精密ろ過装置

精密ろ過装置とは

精密ろ過装置とは、微細な不純物を取り除き高品質な液体を回収する装置です。

液体を薄い膜でこし取る仕組みを有し、膜の孔径はおおむね0.1〜1 µm程度です。水や薬品などに含まれる粒子や細菌を物理的に捕集するため、凝集剤や消毒剤を追加しなくても清浄度を高められる点が大きな特徴です。膜の材質にはポリフッ化ビニリデンやポリプロピレンなどの高分子が多く用いられ、耐薬品性や耐熱性が求められる用途ではセラミック膜が採用されます。

装置には液体を圧送するポンプや、膜に目詰まりを起こさせない逆洗機構、処理状況を監視する圧力計や濁度計及び電子制御ユニットなどで構成されます。また、精密ろ過装置は上流の粗ろ過や下流の超純水工程と組み合わせられて運用されることが多いです。

精密ろ過装置の使用用途

精密ろ過装置は以下のような用途で使用されます。

1. 浄水施設

浄水施設では、河川水や地下水に混在する濁質や鉄錆及び細菌を膜で物理的に捕集するために使用されます。これにより、後段の活性炭や逆浸透膜への負荷を軽減させることが可能です。薬剤投入量を抑えながら水質基準を満足させられるため、運転コストを低減しつつ安定給水できます。さらに、逆洗や自動制御を組み合わせることで目詰まりを抑え、保守作業の手間を小さくできます。

2. 食品・飲料

食品・飲料製造工程での品質保持に用いられます。清酒やビールの製造では、酵母や微小な澱を除去しながら香味成分を保つことが重要です。精密ろ過膜は加熱殺菌を避けたい飲料でも常温で雑菌を除けるため、風味を損なわないクリアな製品を提供できます。

3. 医薬・製造業

電子部品や医薬品製造における超純水・原薬ろ過の工程で使用されます。半導体ウェハ洗浄水ではナノレベルの粒子混入が歩留まりを左右するため、精密ろ過で粒子数を大幅に減らしてから超純水精製へ移行します。医薬品原薬の懸濁液では、結晶サイズを均一化しつつバクテリアを除去して無菌管理を強化できます。