クーラントろ過装置とは
クーラントろ過装置とは、工作機械で使われる切削油や研削油から切り屑などの不純物を取り除く装置です。
クーラント液は工作機械の刃物を潤滑しつつ冷却する重要な溶液です。しかし、加工を続けるうちに、削り取られた金属の粉や砥石の粒子などが混入し、汚れていきます。スラッジと呼ばれるこの不純物が混入したままクーラント液を使い続けると、加工物の表面に傷がつき、加工精度に悪影響を及ぼす可能性があります。
クーラントろ過装置はフィルターや遠心力など、様々な方式を用いてスラッジを効率的に除去します。これにより、クーラント液を常に清浄な状態に保ち、加工精度の安定化と、工具やクーラント液の長寿命化に寄与します。温度管理や気泡除去の機能を備え、液体の状態を総合的に整える製品も販売されています。
クーラントろ過装置の使用用途
クーラントろ過装置は以下の用途で使用されます。
1. 加工機械
最も一般的な使用用途は、NC旋盤や研削盤といった工作機械でのクーラント液の浄化です。金属を切削・研削する工程では、金属の切り屑や砥石の粒子が絶えず発生し、クーラント液に混入します。クーラントろ過装置はこれらの固形物を連続的に取り除くことで、加工対象物の仕上がり精度を向上させることが可能です。
2. 部品洗浄
自動車部品や電子部品、精密機器の部品などを製造する際の、洗浄工程でも活用されます。部品に付着した油分や金属粉を洗い流す洗浄液は、使用を重ねるうちに汚れが蓄積します。クーラントろ過装置を応用し、洗浄液中の微細な異物を除去することで、洗浄液をきれいに保つことが可能です。これにより、部品の洗浄品質が安定し、不良品の発生を抑制できます。
3. 特殊加工・非金属加工
金属加工以外にも、特殊な加工分野でその役割を果たします。ワイヤー放電加工機などが一例で、加工液中のスラッジを除去し、安定した放電状態を維持するためにろ過装置が用いられます。また、ガラスやセラミックス、シリコンといった非金属材料の加工においても、加工時の微細粒子をクーラント液から取り除くために使用されることがあります。