クランプメータ

クランプメータとは

クランプメータ

クランプメータとは、回路に流れる電流を測定する器具です。

一般の電流計は電流回路の内部に組み込む必要があり、回路を一度停止させる必要があります。一方で、クランプメータは電線部分を外からクランプするだけで電流を測定可能です。回路を遮断する必要がなく、素早く安全に作業を行えます。

クランプメータの使用用途

簡易的に回路に流れている電流値を知りたい場面で使用します。

下記は使用の一例です。

  • 電気工事作業における通電の事前および事後確認
  • 電気回路が故障時の原因調査のための通電部確認
  • 電動機器の稼働状況確認

また、クランプメータの特徴は無停電で利用可能なことです。連続稼働する設備に対しても適用できます。

クランプメータの原理

クランプメータは電流を実測せず、電流から発生する磁場を測定することで電流換算値として出力します。

クランプメータのクランプ部分には磁気コアがあり、その部分で磁場を検知し電流値に換算します。交流と直流で磁場の極性が異なるため、原理は異なるものです。

多種ある測定方式の中でも直流・交流どちらも検知できる方式として、ホール素子式があります。この方式では磁気コア内にホール素子を組み込み、被測定回路の磁界を電圧として計測し、内蔵されたアンプを介して電流値に換算します。

クランプメータの選び方

電流回路には直流回路と交流回路があります。計測したい回路の電流成分と測定したい精度によって適切なクランプメータを選定することが重要です。

大きな精度を必要としない場合、直流・交流どちらも対応できるホール素子式が無難です。ただし、回路の設置位置によってはうまくクランプできないことも想定されます。交流の場合は、コアがないロゴスキー式のクランプメータを選定することで、クランプ部を曲げながらの計測が可能です。

クランプメータのその他情報

1. 漏れ電流の測定方法

漏れ電流があると感電の恐れがあるため、電気設備の保守において非常に重要な点検項目です。その測定に漏れ電流クランプメータを用います。
漏れ電流は非常に微小な電流で、漏れ電流クランプメーターには敏感な変流器が搭載されます。変流器には透磁率が高く微小電流の検出に適したパーマロイが使われます。

漏れ電流の測定は、「零相電流の測定」と「アース線電流の測定」の2通りです。

零相電流の測定
零相電流の測定では全相一括でクランプします。クランプメータは電流による磁界を検出して電流値に変換しますが、負荷に対して流れる電流による磁界は互いに打ち消し合います。ただし、漏れ電流がある場合は磁界が不平衡となり、クランプメータに電流値が表示されます。この電流値を読むことで、漏れ電流の大きさを測定可能です。

アース線電流の測定
電気機器は筐体をアース線にて接地します。漏電の際はアース線を通して大地に漏れ電流が流れるので、アース線を直接クランプして電流値を測定することが可能です。

2. クランプメータの精度

交流電流の測定方法として、「平均値型」と「実効値型」の2通りがあります。

平均値型
平均値型とは交流の半周期の電流値を平均し、その平均値に波形率をかけて測定値とする方法です。

実効値型
実効値型とは電流値を周期的にサンプリングして測定し、その測定値にRMS演算を実行して実効値を求める方法です。

電流計測では、測定対象の電流が正弦波であれば測定方法に関わらず同じ数値を示します。しかしながら、測定対象の電流が歪波である場合、高調波成分によって平均値型クランプメータが正しい実効値を得られません。

一方、実効値指示型のクランプメータはサンプリング周波数が十分高ければ、測定精度を低下させることなく測定可能です。以上のように、測定対象の電流が歪波を含む場合は実効値型クランプメータを使用します。ただし、安価なクランプメータは平均値型の可動コイル型です。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=44
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/184.html
https://www.kew-ltd.co.jp/support/knowledge/technical/clampmeter
https://kurashi-no.jp/I0015676

ブラシモータ

ブラシモーターとはブラシモーター

ブラシモーターとは、回転軸に電流を流すためにブラシと呼ばれる摺動接点をしたモータです。

巻線型の交流モータなどもブラシを用いますが、ブラシモーターと言えば一般的には直流ブラシモータを指します。

構造が簡単で安価、さらにトルク制御が容易なのが特徴です。ただし、ブラシは回転によって摩耗するため定期的なメンテナンスが必要です。駆動時の騒音が発生するという欠点があります。

ブラシモーターの使用用途

ブラシモーターは民生品から産業用途まで幅広く使用されています。代表例としては下記の通りです。

  • オフィス用小型扇風機やPC冷却ファン
  • ボイラー排気ファンなどの産業用機器
  • 通勤電車の走行モータ
  • エレベータの昇降モータ

直流モータの中では安価なことから、直流オフィス機器の冷却ファンなどに用いられます。また、トルク・回転速度制御が容易なため、電車やエレベータなどの移動機器に古くから利用されてきました。

近年、移動機器のトルク制御はブラシが不要で保守が容易なインバータ制御が主流となってきました。また、ブラシレスモータなども普及しつつあります。

ブラシモーターの原理

ブラシモーターの構成は、回転子、固定子、整流子です。固定子にはコイルを用いる場合と永久磁石を用いる場合があります。

固定子からは常時磁界を発生させ、回転子に巻かれたコイルによって流れる電流と固定子磁界で電磁力が発生してモーターを回転させます。
ブラシは整流子に接し、コイル電流の向きを一方向となるようにすることが大切です。

電流の大きさを変えることでトルクと速度を制御可能なのが特徴です。

ブラシモーターのその他情報

1. ブラシモーターの寿命

ブラシモーターのブラシ寿命は一般的に数百時間~数千時間とされます。一方、ブラシモーター本体の寿命は軸受の寿命で決定され、一般的に数万時間~数十万時間です。

ブラシモーターは固定子と回転子との間で、反発する力と引き合う力が切り替わることによって回転します。回転子が回転するには磁力の極性を回転角度によって切り替える必要があり、整流子がその役割を果たします。

駆動は単に直流電圧を印加すればよく、駆動が簡単で使いやすい反面、ブラシは機械接点のため回転により摩耗するためブラシを取替できない場合はブラシ寿命がモータの寿命になります。

2. ブラシレスモータとの違い

ブラシモーターは直流電源で簡単に駆動できるため、DCモータとも呼ばれます。一方のブラシレスモータは永久磁石同期モーターとも呼ばれます。ブラシモーターはブラシレスモータよりも駆動が簡単でコストも安価なため、幅広い用途に使用可能です。

ブラシモーターは多くの場で活用されていますが、ブラシの摩耗により寿命が短いところが欠点です。長期間使うためにはブラシ交換が必要となります。ブラシモーターの制御には、直流電圧の制御だけでなくPWMパルスで駆動する方法もあります。

一方のブラシレスモータは、整流子とブラシを排除して回転子に永久磁石を使用しています。ブラシが無いため寿命が長く、軸受寿命がブラシレスモータの寿命です。

ブラシレスモータの駆動は「矩形波駆動(正方波電圧で駆動する方法)」と「正弦波駆動(サイン波電圧で駆動すること」に分類されます。矩形波駆動は駆動回路が比較的簡単な半面、回転時に騒音や振動などが発生します。一方の正弦波駆動では駆動回路は複雑になりますが、回転時の騒音や振動が低いのが特徴です。

参考文献
https://jp.aspina-group.com/ja/learning-zone/columns/what-is/002/
https://interface.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/interface/2010/01/if01_045.pdf
https://www.renesas.com/jp/ja/application/home-building/motor-control-solutions/motor-types

タブ端子

タブ端子とは

タブ端子とは、電線及びハーネス同士を接続するために使用される端子の一種です。

ファストン端子とも呼ばれている端子です。コネクタのオス側がタブ端子であるのに対し、雌側はレセプタクルと呼ばれています。タブ端子にレセプタクルを嵌めることで、接続を行います。

電線やハーネスの接続端子には多くの規格があると混乱の元となってしまうため、メーカーの間で端子規格を統一することで設計しやすくしています。タブ端子は端子規格のうちの1つです。

タブ端子の使用用途

タブ端子の使用用途は、タブをレセプタクルに挿し込むことによるケーブルの接続です。レセプタクルはタブと同じようにケーブル端に圧着されている場合もありますが、基板などにに実装されている場合もあります。

タブ端子はケーブル同士を完全に固定して接続せず抜き差しが可能になっているため、ケーブルを差し替える、交換するなどのメンテナンスが必要な箇所などに重宝されます。また、組立時にケーブルの引き回しが不便な場合は、中継のための安価なコネクタとして使用されることもあります。

タブ端子の原理

タブ端子は、金属の平板を折り曲げたタブを同じく平板を折り曲げて作ったレセクタプルの溝に挿し込むことでケーブル同士を接続可能です。レセクタプルの溝幅をタブの厚さよりやや小さくすることで、金属の弾性力で固定します。標準的なものでも接続は強固ですが、より強固に接続するために抜け防止のツメがあるタイプもあります。

タブ端子はカシメによりケーブルを圧着しています。レセプタクルとの接続は強固なため、抜き差しの際は慎重に作業しないと端子からケーブルが抜けるおそれがあるため注意が必要です。

タブ端子の種類

タブ端子はIEC国際規格に準拠した日本産業規格のJISで規格化されており、平型接続端子のオス側のことを言います。そのタブ端子の種類は、メス側の接続子と組み合わせで、端子勘合部の幅によってシリーズがあり、通称110、187、250ファストンなどと呼ばれています。

この110ファストンが、タブ端子110のことです。更に205シリーズ等と言った独自のシリーズを加えて標準品として準備しているメーカもあります。なお、基板実装用ファストン端子としては、袋詰めの梱包品やラジアルリードテーピング品やSMT用エンボステーピング品、または連鎖リール状が一般的に標準品として準備されています。

いずれも、JISの平型端子の規格に準拠していますが、実際のファストン端子メーカーの数は、国内外含めると数十社です。簡単に製造できるので、タブ端子の選定と信頼性が電気配線の安全性を確保するために、重要な要素です。

タブ端子のその他情報

1. タブ端子の使用上の注意

タブ端子はそのままでは金属が剥き出しになってしまうため、絶縁体で端子を覆って感電や漏電からの保護が必要です。レセクタプル側にのみカバーをかけ、ケーブルを接続したらタブ側はカバー内に隠れるような形状にします。

タブ端子の形成は、平板の折り曲げと圧着を行うため専用工具が必要であり、電線の太さやコネクタの形状、大きさにより使う端子を選定することが大切です。多くはJISなどで規格化されているので、規格表を見ながら選定することになります。

2. タブ端子の圧着工具

平型端子の正しい付け方 (かしめ方) は、端子のツメを曲げて配線コードに付けるだけならラジオペンチなどでもできそうですが、電工ペンチで圧着します。その際に、ワイヤバレルが重要なキーワードとなります。

ワイヤバレルとは、圧着端子形状において、電線の絶縁被覆を除去した芯線を圧着する部分の名称です。結局は、端子台のこのワイヤバレルの部分が、いかに電線の芯の部分をしっかり確実に圧着しているかで、端子台の接続に関する信頼性が決まります。

ここをしっかり圧着していないと、引張強度が弱く抜けてしまいます。逆に、圧着強度が不適格で、強すぎたりすると、芯線が切れて断線が生じます。メーカー推奨の専用圧着工具を使用して、しっかり確実に圧着することが重要です。

参考文献
https://www.kyoshin-k.co.jp/products/daien.html
https://www.diylabo.jp/basic/basic-93.html

シール材

シール材とは

シール材

シール材とは、2つ以上の物体を密着させるために使用される材料です。

配管などに使用され、液体や気体といった流体の漏れを防ぐのが目的です。部品によるシール材はガスケットやパッキン、Oリングと呼ばれ、薬品などの硬化によるシール材はシーリングやコーキングなどと呼ばれます。

水道やガスなど配管接合部のねじに巻くシールテープのようなシール材もあります。なお、駆動箇所に使用するシール材はパッキン、固定箇所に使用するシール材はガスケットです。

シール材の使用用途

シール材はあらゆる産業において使用される部材です。以下はシール材の使用用途一例です。

1. 機械・自動車業界

機械や自動車の内部には、潤滑用油や冷却水などが内封されている場合があります。これらの液体が漏れ出さないようにするため、シール材が使用されます。また、振動や衝撃から部品を保護するためのクッション材としても有用です。

冷蔵庫やエアコンなどの家電製品にも気密向上を目的として、シール材が使用されます。樹脂製タッパーの蓋などのパッキンもシール材の1種です。

2. 建設業界

建物の隙間や屋根の隙間を塞がずに使用すると、雨漏れなどの原因となります。したがって、シール材を建物防水や断熱材として使用します。また、窓枠やドアフレームなどの隙間を埋めるためにも使用されます。

3. 航空宇宙産業

宇宙の高温や低温、高圧や低圧など、極端な条件下に耐えるシール材が必要です。具体的には、高真空でも安定したシリコンシール材や高温に強いフッ素ゴム系シール材などが使用されます。

シール材の原理

シール材の接着方法として、圧着、挿入、粘着、膨張、変形などの方法があります。材料や形状によってさまざまな方法で密封します。

ただし、その基本的な原理は隙間を埋めることで物質の漏れを防止することです。物体同士の隙間を埋めることで、密封します。ガスケットやOリングなどは、変形によるシール材です。一方、シリコンやポリウレタンなどのボンドシーリングは挿入・粘着によるシール材です。

1. 圧着

圧着は、シール材を物体の間に挟むことで物体同士を強く密着させる方法です。

2. 挿入

挿入は、シール材を物体の隙間に挿入することで隙間を埋める方法です。

3. 粘着

粘着は、シール材に粘着性を持たせることで密着させる方法です。

4. 膨張

膨張は、シール材を水や液体に浸すことで膨張させて密着させる方法です。

5. 変形

変形は、シール材を加工して物体の形状に合わせることで密着させる方法です。

シール材の種類

シール材は、材質や形状によってさまざまな種類に分類されます。以下はシール材の種類一例です。

1. ゴムシール

ゴム材料使用したシール材です。耐久性や柔軟性に優れ、高い密着性を持つ点がメリットです。一般的には、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴムなどが使用されます。

2. シリコーンシール

シリコンを材料としたシール材です。耐熱性に優れたおり、高温環境での使用に適しています。また、耐薬品性にも優れているため、医療機器や食品関連製品などでも使用されます。

3. フッ素シール

フッ素樹脂を材料としたシール材です。耐薬品性や耐熱性に優れ、高真空環境でも使用可能です。半導体製造装置や液晶パネル製造装置などで使用されます。

4. メタルシール

金属製のシール材です。高温・高圧環境で使用することが可能で、重工業において広く使用されています。自動車のエンジンやガスタービンエンジン、航空機の部品などに有用です。

シール材の選び方

シール材は使用目的、環境、要求性能などを基に選定します。

1. 使用目的

使用目的が高温や高圧環境の場合は、メタルなどの耐熱性や耐圧性に優れたシール材を選定します。また、薬品や溶剤に耐性が必要な場合には、フッ素樹脂などの耐薬品性の高いシール材を選定します。

2. 使用環境

シール材を使用する環境も考慮します。屋外や水中などの条件下で使用する場合、耐候性や防水性に優れたシール材が必要です。

3. 要求性能

要求されるシール性能も検討要素の1つです。家庭用窓の気密などにはシリコンボンドなどで問題ありませんが、半導体製造などの高真空環境では金属ガスケットなどを使用する必要があります。

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/seal/
https://rivi-manufacturing.com/

ボールネジ

ボールネジとは

ボールネジ

ボールネジ(英語:ball screw)は、回転運動を直線運動に変換して部材の位置を移動させるための送りねじの一形式です。ねじ軸とナットがボールを介して作動します。ねじ軸とナットが相対回転すると、ボールが転動しながら無限循環します。ねじとナットとの間の摺動抵抗が、従来の台形ねじに比べて格段に小さいのが特徴です。

ねじやボールの精度等級により精密な運動ができるため、高い位置決め精度が得られます。自動車のステアリング装置や精密工作機械などに使われます。

ボールネジの使用用途

ボールネジはモータ等の回転運動を直線運動に変換する機械要素です。主な用途として製品・部品の搬送、半導体製造装置、産業用ロボット、工作機械などの搬送・位置決めがあります。ボールネジが1回転することによる移動量(リード)を精密に再現することができるため、ステッピングモーターと組合わせることで高い位置決め精度を実現することができます。

JISでは、ボールネジの精度等級を6種類に分けています。C0、C1、C3、C5の4等級を精密ボールねじ、C7、C10の2等級を一般ボールねじと規定しています。精度に応じて、物品の搬送と位置決めに使用するボールネジを選定します。

NC制御の工作機械では、送り機構を構成し精密位置決め精度を得るためにボールネジが使用されます。また、食品機械、医療機器、ロボット、及び射出成形機、印刷機器、アミューズメント機器などのほか、自動車、列車や航空機、半導体製造装置、検査装置にもボールネジが使われます。

ボールネジの原理

ボールネジの原理

図1. ボールネジの原理

ボールネジは、ねじ軸、ナット、ボールなどから構成される機械要素部品であり、回転運動を直線運動に、または直線運動を回転運動に変換します。ねじ軸とナットの間にボールを入れて軽く転動させることができるトライボロジー技術を用いた部品です。ねじ面の滑り接触運動を転がり接触運動に変えます。ボールは無限循環する必要があるため、循環部品が必要です。

循環方式には、リターンチューブ式、エンドデフレクタ式、エンドキャップ式、及びこま式、リターンプレート式などがあり、大きさ・精度により使用用途が分かれています。ボールネジの使用に当たっては、ナットをガイドするガイドレールが必要です。ガイドレールは、ナットにかかる軸方向荷重以外の垂直荷重やモーメント荷重を受け持ちます。

ねじ軸は、ナット1回転の移動量であるリードの長さとねじ条数とを組み合わせて、高い精度で移動ができるようにしています。ボールに与圧をかけて、ナットのバックラッシュを無くし、ねじ軸やナットの回転にむらがなく高い位置決め精度を得ることができます。

ボールネジのその他情報

1. ボールネジの特徴

ボールネジは、機械の回転運動を直進運動に変換できる特徴があります。また、逆に直進運動を回転運動に変換することも可能です。ねじ軸を回転駆動するトルクを通常のねじと比べると、1/3以下にすることができます。したがって、ボールネジを駆動するモータの小形・軽量化ができます。

起動摩擦トルクと運動摩擦トルクの差が小さく、またスティック・スリップ現象が回避できるので、高精度に機械を制御できます。ナットを2個使うか、または予め大きな直径のボールを使うかによってナットに予圧をかけることができます。バックラッシュをなくし、剛性が高められるので、制御性が良くなります。

ボールネジの摩耗寿命と転がり疲れ寿命は、計算によって予測できるので、運転の信頼性を高められます。ねじとナットの間の接触面における摩擦係数は、すべりねじで0.1~0.2程度であるのに対して、ボールネジでは0.002~0.004程度です。したがって、伝達効率が高く90%以上あります。

寸法や精度は国際的に標準化され、専用工場で量産されているため使い易く、コストも有利です。一方で、ボールネジは衝撃に弱い短所があります。摺動部が点接触であるために、衝撃が与えられると打痕などが残りやすいと言えます。また、摺動部に異物が入ると不具合や故障の原因になることがあります。工作機械のスライド軸として使用する場合は、切粉の混入が危惧されるため、カバー等をつける必要があります。

2. ボールネジの製造法

ボールネジは作り方の違いによって、「転造」と「研削」に分けられます。

転造ボールネジ
丸棒材を回転させながら転造ダイスと呼ばれる工具に押し当てて、塑性変形させることでねじ溝を成形する方法です。研削と比較すると精度等級は低い傾向にあります。

研削ボールネジ
ねじ研削盤と呼ばれる工作機械を用いて、ねじ溝を研削によって成形する方法です。熱処理後に円筒研削を行うため、転造のものよりも面がなめらかになっているのが特徴です。精密機器用の小型工作機械のスライド軸など、高精度な機械制御を要求される場合に使用されます。

参考文献
https://www.kss-superdrive.co.jp/jp/pdf/qa/Q-BS-01.pdf
https://www.kuroda-precision.co.jp/technical-information/bs/bs019.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td03/a0011.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/c1382.html

オペアンプ

オペ・アンプとは

オペアンプ

オペ・アンプとは、2つの入力端子と1つの出力端子を備え、入力側の電気信号を増幅して出力することができる集積回路です。

「オペレーショナル・アンプリファイヤー(Operational Amplifier)」の略語で、演算増幅器とも呼ばれています。オペ・アンプは接続する回路素子を工夫することで、単なる増幅にとどまらず、入力電圧の加算、減算、時間積分などの演算機能を持たせることが可能です。

現在では、この特徴を活かしたアナログ増幅回路が広く利用されています。

オペ・アンプの使用用途

オペ・アンプを利用した多種多様な回路が知られていますが、その代表的なものを以下に示します。

  • センサー・アンプ
  • ボルテージ・フォロア回路
  • 差動増幅回路
  • 加算増幅回路
  • 積分回路
  • 微分回路
  • 直線検波回路
  • 対数増幅回路
  • 位相発振回路
  • アクティブ・フィルタ

1. センサー・アンプ

オペ・アンプは、マイクロフォン光センサー圧力センサーなどから出力されるいろいろな微小信号をA/Dコンバータが扱える信号レベルまで増幅するセンサー・アンプの分野で使用されています。ここではノイズの影響を避けるため、差動増幅器構成であったり、バンドパス・フィルターを介して信号の周波数帯域外のノイズを除去したりする等の手段が採用されていますが、そこに必ず使用されるのがオペ・アンプです。

2. ボルテージ・フォロア

オペ・アンプは、ボルティジ・フォロアとしても使用されています。高いインピーダンスの信号源はノイズに弱くケーブル長を伸ばせませんが、オペ・アンプをボルティジ・フォロアとして信号源近くに配置すると、オペ・アンプの低い出力インピーダンスで信号を送り出すことが可能です。オペ・アンプを使用することで、ケーブルを長くしてもノイズの影響を減らせるようになります。

オペ・アンプの原理

オペアンプは、2つの入力端子と1つの出力端子から構成され、次のような理想的な特性を備えています。

  • オープンループ・ゲイン:無限大
  • 入力電流:0A
  • 出力インピーダンス:0Ω

実際には、オープンループ・ゲインは90dB以上、入力電流は数nA~1μA程度、出力インピーダンスは0.1Ω~数Ωですが、原理的には上記を前提として考えることができます。

また、オペ・アンプの2つの入力端子は次の機能を備えています。

  • 反転入力端子
    入力信号の位相が180°反転して出力される端子で、回路記号に”-“が表示されます。
  • 非反転入力端子
    入力信号と同相の出力が得られる端子で、回路記号に”+”が表示されます。

オペ・アンプの種類

オペ・アンプの種類は、「素子」「電源構成」「特性」の観点から分類できます。

1. 素子による分類

回路を構成する素子により、次の3種類となります。

  • バイポーラ・トランジスタだけで構成したオペ・アンプ
    一般的なオペ・アンプで、特性面で優れた高性能タイプから一般汎用タイプまで多くの種類があります。
  • 入力端子にFETを採用したオペ・アンプ
    基本的にはバイポーラ・トランジスタで構成されていますが、入力回路の初段部をJ-FETによる差動型のソース・フォロアとすることで、高い入力インピーダンスと大きなスルー・レート特性を得ています。
  • CMOSで構成したオペ・アンプ
    耐電圧が比較的低いものの、入力バイアス電流が極めて小さなレベルであることや消費電流が少ないことが特徴です。また入出力のダイナミックレンジが広く、大きな振幅の信号を扱えることも利点です。但し、高い周波数の信号には対応できません。

2. 電源構成による分類

オペアンプを動作させるための電源構成により、次の2種類に分類できます。

  • 両電源タイプ
    アースレベルに対し、プラスとマイナスの電源電圧が必要なオペアンプ
  • 単電源タイプ
    プラスもしくはマイナスの電源電圧のみで動作するオペアンプ

3. 特性による分類

用途に応じて特に重要な特性が異なることから、特徴を持ったオペ・アンプが供給されています。その一例を以下に記しますが、要求仕様に基づいて、適切なデバイスを選択する事が求められます。

  • 広帯域
  • ローノイズ
  • 高精度
  • Rail to Rail 動作
  • 低バイアス電流
  • 低消費電流
  • 高出力電流

オペ・アンプの使い方

オペ・アンプは、アナログ回路特有のエラー要因を有します。また、「オペ・アンプの原理」の項で解説した理想的な特性から外れた部分が、回路動作に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、それらを避ける対策が必要です。具体的な対策は、以下に記します。

  • オペ・アンプに供給する電源はノイズの少ない安定した電圧を出力するものであること
  • 電源端子の近傍にノイズ吸収コンデンサを実装すること
  • デジタル処理回路から距離をとる、もしくはシールドケースに収めること
  • 温度変動が少ない環境に設置すること
  • 正確な増幅率や周波数特性を求める場合は、フィードバック回路の素子の精度や温度特性を踏まえて設計すること

その他にも以下のような注意事項がありますが、個々の対処方法については、専門の文献やオペ・アンプメーカーが提供している資料を参照して下さい。

  • オフセット電圧のキャンセル
  • 発信防止
  • ダイナミックレンジの確保
  • バイアス電流の影響除去
  • 電流供給能力の確保
  • 過大入力信号からの保護

オペ・アンプのその他情報

増幅回路の基本

オペ・アンプは、オープンループ・ゲインが極めて高いため、出力端子から入力端子へのフィードバック回路を適切に設定して、前項に記した様々な機能を実現します。ここでは、オペ・アンプを用いた基本的な増幅回路として次の2つを実例として解説します。

1. 反転増幅器
信号Viは抵抗Riを介して反転入力端子に接続し、反転入力端子と出力端子間は抵抗Rfで接続します。また非反転入力端子は直接アースに接続します。この構成で得られる出力信号Voは (-Rf/Ri) ×Viとなります。”-“は位相が反転していることを示します。

2. 非反転増幅器
信号Viは直接非反転入力端子に接続します。反転入力端子はRiを介してアースにするとともにRfを介して出力端子に接続します。この構成で得られる出力信号Voは (Rf/Ri) ×Viとなります。

参考文献
https://www.ablic.com/jp/semicon/products/analog/opamp/intro/
https://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/1104opamp
http://www.mech.tohoku-gakuin.ac.jp/rde/contents/course/mechatronics/analog.html

圧着端子

圧着端子とは

圧着端子

圧着端子とは、電線の端末へ使用する端末材料の一種です。圧着とは、端子と電線を工具などにより、塑性変形させて機械的に結合する方法です。

圧着端子の大きさは、結合する電線の太さや端子台のねじ径に応じてさまざまな種類があります。また、端子台への接続方法にも、ねじ止めやねじ込みなどの方法があります。

ねじ止めで端子台へ接続する場合、圧着端子の形状は様々なものが選べます。Y型端子やC型端子は作業性が高い反面、締め込みが緩いと抜ける危険性があるので注意が必要です。

圧着端子の使用用途

圧着端子は、端子台や電線同士を強固に接続させる場合に使用します。

一般家庭では、エアコンの室外機と室内機を接続する配線の端末などに使用します。工事業者が仕舞作業を行うため、目にすることはありません。

産業用には、通信配線から電力ケーブルまで、幅広く使用されます。主にケーブルを使用する際の端末に使用します。

間違った工具を使用や作業ミスにより、圧着が不完全となることがあります。不完全な圧着は電線の接触抵抗を高めてしまい、火災などの原因となるため注意が必要です。

圧着端子の原理

圧着端子の固定原理は、電線端末と圧着端子の塑性変形です。一度処理すると圧着個所は元に戻せず、失敗した場合は電線端末を切ることになります。

圧着端子には、バレルと端子の2つの部位があります。バレルは配線と接続される部位で、指定した配線芯線がすべて入る大きさがあります。圧着端子も配線も、などの柔軟な金属材料でできています。圧着工具で合わせて潰すことで強固に接続します。

端子部分は、制御盤や制御機器と接続するための部位です。丸型やY型、棒状などの形状があり、接続先に合わせて選定します。

圧着による電線の接合は絶縁テープなどによる接合に比べて、脱着する危険性が低いのが特徴です。

圧着端子はY型と丸型が多く使用されますが、JIS規格を取っているのは丸型のみです。そのため、JIS規格が指定されている場合、丸型を使用されることが多いです。丸型には呼びサイズがあり、端子台のねじの大きさに合わせた選択が必要です。

圧着端子の種類

圧着端子は、「絶縁圧着端子」と「裸圧着端子」の大きく2種類に分類されます。

絶縁圧着端子は、バレル部分が絶縁体で覆われている圧着端子のことを指します。すでに絶縁体がついているため、絶縁処理の手間が不要となり、接続端の屈曲も防止できます。

裸圧着端子は、バレル部分に絶縁体がない端子のことを指します。圧着後のバレル部分は、絶縁キャップやマークチューブを被せて絶縁処理して使用します。

圧着端子の舌部の形状にも様々な種類があり、一般的に使用されている丸形のほか、C型・Y型になっているものやY型にツメがあるタイプも存在します。C型・Y型の端子はネジ部を弛めることで接続・取外しができる利便性がある一方、ネジの締め付けが甘いと外れてしまいます。

圧着端子のその他情報

1. 圧着端子のサイズの選び方

圧着端子のサイズは適用電線の断面積と穴の大きさから選定します。圧着端子に彫られている刻印が、「形状(丸形・Y型など)・適用電線の断面積・ネジ部の呼び径」を表しています(例:丸形で適用電線5.5mm2、ネジ部の呼び径の場合、R5.5-6と表記)。

圧着端子にはさまざまな大きさがあり、使用する電線のサイズやネジ呼び径が合っていないと接続不良となります。接続不良は火災の原因となりかねないため、仕様を確認した上で、適切な圧着端子を選ぶことが重要です。

2. 圧着端子で使用する工具

圧着端子を圧着し、電線を接続するための工具として圧着ペンチがあります。

圧着ペンチは、てこの原理でバレル部分を潰す工具です。一般にはラチェット機能が付いており、不完全な圧着を防止しています。

圧着ペンチにはペンチの柄の部分の色によって圧着する対象物が変わります。柄の色によって用途が決まっており、圧着端子には赤柄の圧着ペンチを使用します。バレル部分に適したダイス(圧着部の溝の部分)を使用して圧着します。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/crimp-terminal-guide
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/crimp-terminal-guide
https://www.nikki-tr.co.jp/html/solderless-terminal02.html
http://www.nichifu.co.jp/j/information/lecture01.html
http://www.nichifu.co.jp/j/information/lecture03.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_wire/E1403000000/E1403010000/?CategorySpec=00000041217%3A%3Ac

スピンドル

スピンドルとは

スピンドル

スピンドル (英: spindle) とは、回転軸のことです。

スピンドルの本来の意味は、紡績機の糸を巻き取る紡錘のことですが、工学では主に工作機械で回転する軸のことを指します。この軸に工具刃物を取り付けて加工を行います。

旋盤など刃が固定で工作物が回転する場合は、工作物を取り付けて回転する軸のことです。工具刃物や工作物は軸端に取り付けられますが、軸だけでなく、これらを総称してスピンドルと呼ぶこともあります。また、回転対象そのものや回転装置自体をスピンドルユニット、略してスピンドルと呼ばれます。

スピンドルがその他に使われるのは、自動車ではFF車の後輪やFR車の前輪の回転中心軸、及びパソコンなどのハードディスクドライブやDVDなどの記憶装置、水道栓の部品などです。

スピンドルの使用用途

スピンドルは、対象物を精度良く回転させる装置です。工具刃物や工作物はスピンドルに着脱して使用するため、着脱による回転軸とワークの中心軸にズレが発生します。このズレを振れ回りといい、加工精度の誤差と直結します。

また、スピンドルの回転精度が悪いと、加工後の表面性状も悪くなり、外観品質にも影響が出ます。スピンドルそのものの回転誤差はもちろんのこと、工具刃物や工作物の着脱ごとのズレが少なく、安定して回転するスピンドルは精密加工には欠かせないものです。

工作機械の代表的なものとして、旋盤とフライス盤があります。旋盤は、スピンドルを使用して対象物を回転させます。また、フライス盤は、逆に工具をスピンドルで回転させて加工します。

スピンドルの原理

スピンドルは回転運動を行う機構もしくは装置であるため、回転運動をするための動力が必要です。回転運動を発生させる動力としては、主に電気モータを使用しますが、空気圧による動力を使用するものもあります。

最適な加工条件で加工をするため、モータ直結による動力伝達よりも、歯車やプーリなどにより、回転速度とトルク制御を行う場合がほどんどです。また、スピンドルも安定して高い回転精度を保つため、ベアリングによる軸受けを使用するのが一般的です。

エアベアリングや油圧ベアリングなどの非接触軸受けで、更なる精度向上を図っているものもあります。スピンドルは工作機械の回転軸の構造になっているので、加工による振動や圧力により劣化が避けられません。そのため、定期的なメンテナンスや部品交換を行うことで、常に一定の回転精度を保つ必要があります。

その検査方法は、スピンドルに検査具を取付て円筒物を一周させ、その真円度との差を比較する方法が一般的です。

スピンドルの種類

スピンドルは駆動方式、構造、精度などの違いでいくつかの種類に分類できます。

1. 外部駆動スピンドル

外部のモータ等の動力により、回転させる他の動力と組み合わせて使用する方式です。プーリスピンドルとも呼ばれます。増速や減速して、特定の回転速度にします。

2. ビルトインモータスピンドル

モータとスピンドルを一体にしたもので、モータスピンドルとも呼ばれます。モータのシャフトがスピンドルの役目をしており、コンパクトになり、高精度の加工も可能です。種々の工作機械に使われ、ロボットのハンドなどにも使用されます。

3. エアスピンドル

エアスピンドルは、静圧エア軸受で支持したスピンドルや動力に圧縮空気を使用したスピンドルを言います。静圧エア軸受は、非接触でスピンドルを支持するので、軸受損失が小さく、静かで油による汚染がありません。油を使用できない用途に適しています。

圧縮エアを使用するエアスピンドルは、回転精度が高く、スピンドルの熱変形が少ない長所があります。駆動にエアタービンなどを使用します。トルクが小さいので、切削抵抗によって回転数が変わりやすいのは短所です。エアタービンスピンドルとも呼ばれます。

エアモータにより駆動するエアモータスピンドルは、低速の用途に使用されます。比較的低速で高トルクな加工に向いています。

4. 高周波スピンドル

高周波モータをスピンドル内部に組み込んだスピンドルです。回転速度を上げたり、回転速度やトルクの制御を行う場合に使われます。

参考文献
http://www.techno-nakanishi.co.jp/spindle/

ガスケット

ガスケットとは

ガスケット

ガスケット(英語:Gasket)は、機器や構造物、配管などにおいて、内部の流体などが流出しないように、気密・密閉性を維持し封止するための部品・材料です。

一般的に封止する目的で、ガスケットとパッキンがあり、ガスケットは主に「動きのない」、「動かない」部分に使用します。それに対してバッキンは、主に「動きのある」、「動く」部分に使用します。

ガスケットの使用用途

ガスケットの使用例(1)

図1. ガスケットの使用例 (1)

ガスケットの使用用途は、配管用フランジや機械部品の接合部、カバーなど平面部の隙間を埋め、封止するために使用します。密閉性を維持し封止することで、内部流体の漏洩を防止することが主な理由ですが、接合面の隙間から異物が混入することを防ぐ目的もあります。

ガスケットの使用例(2)

図2. ガスケットの使用例 (2)

一般的に、ガスケットは接合面間に挟み込み、ねじやボルトにより締め付け、その面圧によって密閉性を高めて使用します。

ガスケットの原理

ガスケットは配管用フランジや機械部品の接合部間に挟み込み、ねじやボルトにより接合部を締め付け、一定の厚みや形状まで圧縮され、その面圧によって密閉性を発揮します。したがって、ガスケットの適切な締め付け方法と締め付け力は、材質・厚み・形状・構造や材質などによって異なります。

特に、配管フランジ用や圧力容器フランジ部のガスケットは、下記規格によって締め付け方法と管理方法が規定されています。これらの規格と、各メーカーの適正締付面圧などを参考にして、最適な締め付け管理すること必要です。

  • 日本工業規格 JIS B2251:2008 フランジ継手締付方法
  • 日本工業規格 JIS B8265:2010 圧力容器の構造 一般事項
  • 石油学会規格 JPI-8R-15-2008 フランジ・ボルト締付管理
  • ASME ASME PCC-1-2013 Guidelines for Pressure Boundary Bolted Flange Joint Assembly

一般的にフランジに使用する場合、流体を封止するために必要な締め付け力は、JIS B8625に規定されている、Wm1: 使用状態でのボルト荷重(締付力)、Wm2: ガスケット締付時のボルト荷重(締付力)を使用します。

液状ガスケットは、接合面に塗布し締め付けることで、均一になり硬化し粘着性を持った薄膜状態になり、密閉性を発揮します

ガスケットの種類

ガスケットの種類は、材質・形状や構造によって様々な種類があります。主な種類は下表を参照してください。

ガスケットの種類

図3. ガスケットの種類

1. 非金属ガスケット

ジョイントシートガスケット
ジョイントシートガスケットは、ガラス繊維材料にゴムや充填剤を加え、圧延・加硫しシート状にしたガスケットです。シート状の材料から、配管用フランジや機械部品の接合面の寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。寸法の自由度も高く、高低温から高低圧用、耐油性や耐熱性にも優れていて汎用性も高く、さまざまな種類があり幅広い場面で使用されています。

ゴム・合成ゴムシートガスケット
ゴム・合成ゴムシートガスケットは、天然ゴムニトリルゴム・シリコンゴムなどのシート状のガスケットです。必要な寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。比較的に低圧・低温用の流体の場合に使用されています。

フッ素樹脂PTFEシートガスケット
フッ素樹脂PTFEを圧縮成形したシート状のガスケットです。無機充填剤やカーボン系充填剤を加え、耐熱性・薬品性・耐酸性や耐アルカリ性を高めた製品もあります。腐食性の高い薬品や食品用配管のフランジ、装置などに使用されています。

膨張黒鉛ガスケット
黒鉛を薬品処理し、高温で加熱膨張させ、シート状に成型したガスケットです。必要な寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。シート単体では強度が低く、強度を高めるために、薄いステンレス鋼板を挟んだり、張り合わせたりして、補強されているものがあります。

耐熱性・耐薬品性に優れていて、一般用配管のフランジ、装置などに使用されています。また、浸透性の高い流体、極低温のLNGや液体窒素用配管のフランジなどにも使用されています。

ヘルールガスケット
ヘルールガスケットは、サニタリー配管用ヘルールフランジに適合した規格ガスケットです。材質は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素樹脂(PTFE)、シリコンゴムなどがあります。食品や医薬・化学薬品用配管のフランジ、装置などに使用されています。

2. セミメタリックガスケット

セミメタリックガスケット

図4. セミメタリックガスケット

うず巻き形ガスケット
うず巻き形ガスケットは、V字断面に成型した鉄やステンレス鋼の薄板のフープと、同形状の膨張黒鉛・フッ素樹脂PTFE・ノンアスベストペーパーなどの緩衝材を、交互に巻き付けたガスケットです。

フープとフィラーで構成された状態が、基本形となります。基本形に加え、フランジ接合面の適切位置設定のための外輪付き、締め付け力による変形低減のための内輪付きがあります。高温・高圧の蒸気・熱媒体油などの流体配管用フランジに使用されています。

メタルジャケットガスケット
メタルジャケットガスケットは、耐熱性の高い中心材(クッション材)を、被覆金属の薄い炭素鋼ステンレス鋼やモネル(ニッケル銅合金)の板を、巻き付けたガスケットです。高温・高圧、耐酸・耐アルカリの配管用フランジや、熱交換器・圧力容器など機器接合部に使用されています。

非金属ガスケット・金属ガスケット・液状ガスケット

図5. 非金属ガスケット・金属ガスケット・液状ガスケット

3. 金属ガスケット

メタルガスケット
メタルガスケットは、薄い軟鋼やステンレス鋼板を波型断面に曲げ、リング状加工にした「金属波形ガスケット」、軟鋼やステンレス鋼板の単板リング状の「金属平形ガスケット」、平形の裏表面に円形状のV字形溝を加工した「のこ歯形ガスケット」があります。エンジンのシリンダブロックとシリンダヘッド接合面や、高温・高圧の配管用フランジなどに使用されています。

リングジョイントガスケット
リングジョイントガスケットは、鍛造された金属をリング状に機械加工し、フランジ接合面のリング溝にはめ込み使用するガスケットです。リングの断面は、楕円状のオーバル形、8角形のオクタゴナル形、6角形のダイヤモンドリング、3角形のデルタリング、円形の丸形などがあります。

材質は、軟鋼・ステンレス鋼・モネル(ニッケル銅合金)・チタンアルミニウムなどがあります。高温・高圧の蒸気、ガス、油の配管用フランジ、圧力容器など機器接合部に使用されています。

4. 液状ガスケット

液状ガスケットは、接雨水排水の塩化ビニルパイプや、エンジンの接合部など、さまざまな場面に使用されています。少量の塗布量でも有効なため低コストで、接合面とのなじみが良いため、低い締め付け面圧で、比較的低い加工精度でも密閉性が高く、増し締めが不要であることから作業効率が良いなどの特徴があります。

有機溶剤(変性アルキッド系、繊維素エステル系、合成ゴム系)、無溶剤(フェノール系、変性エステル系、シリコーン系、アクリル系)、水性タイプ(水性アクリル系)などのタイプがあります。

https://kinokikou.jp/info/knowledge/gasket-packing/
https://kayo-corp.co.jp/products/packing/standards/
https://kinokikou.jp/info/knowledge/kind-of-gasket-and-packing/
https://www.eslontimes.com/system/category/93/
http://www.jwwa.or.jp/syuppan/jwwakikaku.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html
http://toeikanki.jp/contents/faq/faq2.cfm
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000718586/?rid=rid3
http://ishiiseikou.com/type.html
https://www.nichias.co.jp/products/product/seal/gasket/index.html

電流計

電流計とは

電流計

 

電流計(英語:ammeter)とは、電流の大きさを測るための電気計器です。内部電気抵抗の小さな測定器であり、測定箇所の回路を切り離してその間に電流計を直列に接続します。電流計の内部では、回路に低抵抗を挿入されており、その抵抗の両端の電圧を測定することで電流値に換算しています。

大電流の測定には分流器又は変流器が使用されます。電流計は、直流電流計交流電流計に大別されます。電流計の表示形式には、指針で読み取るアナログ式と、デジタル表示式があります。

工業用ではマルチメーターやクランプメーターよりも精度が高く、微細な電流を測定することができる電流計が利用されています。

電流計の使用用途

電流計は電気を使用している所で実験室的に精密に測定するケースと、制御盤などにモニターとして電流計を固定するケースとがあります。また、簡易的にテスターを使って、電流をチェックする場合もあります。マルチメーターやクランプメーター等にある電流計を使って、住宅や建築物の配電・送電の確認に使用されています。

自動車の計器盤に直流の電流計を備えたものがあります。プラス側であればバッテリーが充電中であり、マイナス側であれば放電されていることが分かります。工場設備、建築物、発電機器などの配電盤に電流計を設置するのが一般的です。学校の理科の実験では、電流を測定する方法を教えます。研究室では、電流を精密に測定することが多くあります。

また、微細な電流によるめっきや表面処理の際には、微細な電流の計測が必要なので、微細電流計や積算電流計が利用されています。

電流計の原理

電流計は回路に直列につないで使用します。指針で表示するアナログ式の電流計では、内部のコイルに流れた電流によって受ける磁場の変化を受けて永久磁石の針が動き、電流値を指し示すことによって計測します。直流電流計は可動コイル型であり、永久磁石とコイルで構成されます。大きな電流測定には分流器を使用して、電流の一部を取り出して測定します。

交流用の電流計は、主に可動鉄片型計器が使われ、45~65Hz程度の商用周波数を測定するのに使用します。電流を測定する場合、接続端子部分の電圧降下及び発熱や磁界の発生による指示誤差などが生じます。一定より大きい電流を測定すると誤差が大きくなります。電流の測定精度をあげるために、直流では分流器が、交流では計器用変流器が使用されます。

デジタル表示の電流計は、分流器や電流検出抵抗器、交流電流センサなどを使用しています。そして両端の微細電圧をデジタル化して電流測定値としています。また、めっき現場等では積算電流計を使う方法が使われています。一定時間に流れた電流を積算して計測することが可能です。

電流計のその他情報

1. 電流計の使用方法と注意点

電流計は回路内のあるポイントに流れる電流を計測する測定器です。内部抵抗は低く、回路に流れる電流に影響がないように作られています。電流計を接続する場合は、電流を測定したい回路に直列に電流計を挿入します。回路の電位の高い方を電流計の+側に接続し、回路の電位の低い方を電流計の-側に接続します。

電流計の-側の端子は一般に複数あります。測定レンジが分かっている場合は適切なレンジを選びますが、分からなければ、大きなレンジから始めて適切なレンジまで落としていきます。小さいレンジから測ると、レンジよりも大きな電流が流れた時に電流計を破壊してしまうことがあるからです。なお、電流計は内部でヒューズにより保護されているものもあります。

同じような計器に電圧計があります。電圧計は回路に並列に接続して2点間の電圧を測定します。電流計で電圧を測るようなつなぎ方をすると、電源をショートすることと同じなので大変危険です。十分注意する必要があります。

2. マルチメーター

マルチメーターあるいはテスターと呼ばれる便利な計器があります。電流ばかりでなく、交流・直流を問わず、電流、電圧、抵抗など基本的な電気特性が測定できます。デジタル式とアナログ式があります。主にハンディタイプであり気軽に持ち歩いて使用できます。

電流は計器内部にある微小抵抗器の両端電圧を測定して電流換算して表示します。直流電圧は2つのプローブ間の電圧を増幅又はアッテネータを通して減衰させ、電圧を表示します。交流電圧は、整流回路を通して交流電圧を直流電圧に変換して電圧を表示します。

参考文献
https://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/elec/kairo/kei.html
https://exam.fukuumedia.com/current/