高周波リレーとは
高周波リレーとは、高周波信号を切り替える素子のうちの1つです。
高周波リレーは一般にコネクタをもたないため、はんだ付けを行って使用され、高周波特性は基盤の影響を大きく受けます。また、リレーを高周波回路で使用する場合、アイソレーション (接点が開いている場合の接点間 (回路間) の信号の漏れ) と、インサーション・ロス (接点が閉じている場合の信号の損失) という問題があります。
高周波リレーの使用用途
高周波リレーは、高周波回路と呼ばれる回路を有する機器に使用されています。高周波の信号を制御するためには、普通のリレーではなく、高周波に特化したリレーが必要です。
例えば、携帯電話基地局、放送機器、計測機器、無線機などが挙げられます。また、家庭内にも広く普及している無線LANやBluetoothも用途の1つです。いずれも、各種機器の内部における信号をスムーズに切り替えるという役目を担っています。
高周波リレーの原理
高周波リレーは、一般的なリレーと同様の構造をしています。
1. リレーの原理
リレーでは、鉄芯に巻かれたコイルに微小な電気が流れることで、電磁石の働きで鉄片が引き寄せられ接点同氏が接触し、回路がつながることで電源から直接、電装品へ大きな電気を流すことができます。端子間の電気が遮断されると、コイルに発生していた磁場が消滅し電装品の動作が停止する仕組みです。
高周波回路でリレーを使用する場合は、アイソレーションとインサーション・ロスが問題になります。
2. アイソレーション
アイソレーションは、リレーオフ時の出力端子間の抵抗に相当します。高周波ではリレーがオフ状態であっても、信号の漏れが発生します。アイソレーションは、この信号の漏れの度合いを示すパラメータです。
周波数が高くなると漏れが大きくなり、アイソレーションの値自体は小さくなる傾向があります。回路間での混信の原因になります。
3. インサーション・ロス
インサーション・ロスは挿入損失とも呼ばれ、接点が閉じている時に発生する接点間での信号損失を指します。周波数が高くなると接点間 (回路) での信号の損失が大きくなることで、正確に信号の伝達が不可能になり、発熱の原因につながります。
つまり、信号の周波数が高くなった際にも、接点が開いている際には接点間での信号の漏れが少なく、接点が閉じている時に信号の損失が少ないことが重要です。
4. リターン・ロス
信号経路の途中でインピーダンスが変化する箇所があると、信号の一部が受信側まで到達せずに送信側に戻る反射と呼ばれる現象が発生します。
信号反射の程度をリターン・ロスと呼び、入力電力と反射電力の比を用いて表します。反射の程度を示す他の指標としてVSWR (Voltage Standing Wave Ratio) があります。VSWRの値は、1に近いほど反射が少なく、良い特性であるという意味です。
高周波回路に使用されるリレーには、一般的なリレー特性以外に高周波特性が必要とされるため、上記のようにアイソレーションが大きく、インサーション・ロスが小さいことが必要です。また、信号の反射の程度を示すリターン・ロスは大きく、VSWRは小さく、抵抗の値を示す特性インピーダンスが適切であることが求められます。
高周波リレーのその他情報
高周波回路
高周波回路とは、高周波時の動作が低周波時の動作と異なる電子回路を指します。無線LAN等、周波数が数GHzに及ぶ電子信号を扱う回路は高周波回路です。
電子信号が高周波になると、電子回路の場所ごとに信号の電流や電圧レベルが異なることを考慮する必要があります。この振る舞いを扱う回路は、分布定数回路と呼ばれます。
参考文献
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2004/12/p130-131.pdf
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2004/08/p114-115.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/control/relay/device-hi/index.jsp
https://www.mskw.co.jp/support/car/relay