防振ばねとは
防振ばねとは、振動や衝撃を軽減・吸収する目的で用いられるばね製品です。
例えば自動車では、路面からの振動や衝撃を吸収するためにコイル状のばねとともに、振動エネルギーを減衰させるための装置が一緒に用いられています。防振ばねは、ばねの機能に加えて、振動エネルギーの減衰機能も兼ねたばね製品のことです。
例えばコイルばねの鋼線の周囲を粘弾性体で覆うことなどにより、振動エネルギーを減衰させる方式などがあります。一般的なばねに比べると、振動の繰り返し数 (周期) を減らし、揺れの大きさも小さくする効果が得られます。
振動は、放置すると装置の性能劣化や故障の原因となるほか、周囲の騒音や不快感、構造物への損傷にもつながりかねません。そのため、振動を制御し、機器や周辺環境の安定を図るために、防振ばねが利用されます。
防振ばねの使用用途
防振ばねは、産業分野から日常生活まで、幅広い場面で活用されています。
1. 空調機器・送風機
屋上や機械室に設置された大型空調機や送風機は、運転中に絶えず振動を発生させます。これらの機器を架台に固定し、間にコイルスプリング型の防振ばねを挿入することで、振動が建物の構造体へ伝わるのを防ぎ、騒音や共振の発生を抑制します。
2. 発電機・コンプレッサー
ディーゼル発電機や空気圧縮機などの大型機械は、高速回転や圧縮運動に伴い強い振動が発生するものです。これを床面や基礎に直接伝えると、周囲の構造物や配管に損傷が及ぶ危険があります。そこで、鋼製ばねによる防振装置を用いることで、安全性と機器の耐久性が向上します。
3. 精密機械・電子機器
精密機械や電子機器が使用される環境には、周囲から振動が伝わる場合もあります。振動が機械の機能や性能に影響を及びにくくするために、防振ばねの利用が有効です。
4. 検査機器・計測機器
検査や計測に用いられる機器においても、振動を取り除かなければならないものがあります。例えばばね秤では、対象物を乗せて揺れたままだと、正確な重さを測ることができません。防振ばねは検査や計測機器でも重要な役割を果たします。