インサーキットテスタ

インサーキットテスタとはインサーキットテスタ

インサーキットテスタとは、電子機器の内部の電子回路基板上に実装されている電子部品の個々の電気的な特性を評価するための検査装置のことです。

電子機器が正しく機能するためには、内部の電子回路基板が正常に動作することが必須です。電子回路基板は、電子部品がプリント配線板 (基板) に正しく実装され、電源が供給されることにより動作が可能となりますが、この電子部品が実装された状態の基板を検査するのがインサーキットテスタです。

インサーキットテスタでは、基板に実装された個々の部品の電気的な特性を微小な電力で検査することが可能です。基板を破損せずに不良箇所の位置を特定し、人の肉眼では発見が困難な不良部位を確実に発見することができます。

インサーキットテスタの使用用途

インサーキットテスタは、電子機器や電子部品が搭載された電子回路基板を取り扱う工場の開発や量産ラインの検査工程で、広く用いられています。インサーキットテスタには、プレス型インサーキットテスタとフライングプローブテスタがあります。

プレス型インサーキットテスタは高速検査が可能であり、大量生産基板に適しています。また、検査治具にも使用されます。フライングプローブテスタは検査治具が不要で少量多品種基板に適しており、微細なパターンに対応可能です。

具体的な検査項目には、部品を実装しているハンダのショート・オープン不良、コンデンサ・コイル・抵抗等の定数間違いによる不良、コンデンサ・コイル・抵抗・ダイオード・トランジスタ等の部品欠品不良、IC・コネクタのリード浮き不良、フォトカプラやデジタルトランジスタ、ツェナーダイオードの動作確認などに使用されます。

また特殊な検査では、電気的に検査不可能な部品の画像検査、SOPやQFPなどの接着 (ハンダ) 不良検査、簡易ファンクション検査などにも使用可能です。

インサーキットテスタの原理

インサーキットテスタは、電子基板上で必要な箇所にプローブを当てて、通常動作時のバイアスとは別に非常に微小な電気的な信号を印加させることにより、部品の定数や機能、および内部のビアを含めた信号ラインのオープンやショートなどの不具合を抽出しています。

各種検査をスムーズに実施するために必要な内部構成を有しており、通常は電気検査を行うための計測部と、計測ラインをとらえて認識するためのスキャナ部、および計測ラインを被検査基板上の特定の場所に通電接触させるためのプロービング部、さらにこれらをコントロールするための制御部から構成されています。

プロービング部に測定信号を印加した際の電圧、および電流の値から電子部品の定数を測定します。電気回路は一般的にネットワークを形成しているため、素子個別の定数を測ることが困難です。しかし、インサーキットテスタでは検査精度を向上させるためにさまざまな機能が備わっている機種が多いです。

インサーキットテスタのその他情報

1. インサーキットテスタの機能

ガーディング機能
並列接続による電流が起こす誤差の影響を電気的に切り離す機能です。 

位相分離
抵抗およびコイル、コンデンサによって構成された回路網に交流信号を印加すると、電流と電圧の間に位相差が生じます。この位相差を利用して、各素子の定数を正確に測定することが可能です。

2. フライングチェッカー

フライングチェッカーとは、インサーキットテスタの1種類で、主にプローブを当てて、基板の実装部品のオープンショートを判別する検査装置です。標準的なプレスタイプのインサーキットテスタよりも、検査時間がかかりますが、プログラムやピンボードなどの準備が不要な点を重視したい場合に利用されます。

フライングプローブチェッカーとも呼ばれ、ガーバーデータからネットリストを作成して、そのデータを元に基板の始まりと終わりにプロープを当てて断線を検査します。続いて、そのネットの1点と隣接するネットとの間でプローブを当ててショートを検査します。

フライングチェッカーは、ベアボードチェッカーを改良し、実装後に一般的なインサーキットテストとして使用できるタイプの検査装置も多いです。具体的な検査方法としては、プローブ2本または4本で基板両面から挟み込む形で検査が行われます。この検査装置は、プリント基板のオープン状態と短絡状態を検査するもので、電気的導通を確認するもの、C容量を測定して短絡を見つけるものがあり、一般的には、C容量法の方が、測定時間が短縮可能です。

3.ファンクションテスタ

ファンクションテスタとは、基板の製造工程において、よく比較される同じ様な基板を検査するインサーキットテスタとは、全く別の目的を行う検査装置です。インサーキットテスタは、回路のオープン状態かショート状態かの部品含めた基板の実装状態を検査することが主な目的であったのに対し、ファンクションテスタは回路自体の例えば入出力動作と言った機能が正しく動いているかどうかを確認するための検査装置です。

この機能検査は、通常ファンクションテストと言い、検査する基板のインプット端子に仕様で決まった電気信号を印加して、仕様通り出力されるか否かを検査確認します。また、他にも、スイッチやLEDなどのインサーキットテスタによるオープンショート検査だけでは確認しにくい部品の検査や、MCUや各種ICなどの集積回路動作やソフト書き込み等も実施されています。

一般にインサーキット検査とファンクション検査を比較した場合、製品の動作確認の観点からはファンクション検査の方が重要で、ファンクションを優先に実施する製品の方が大半です。

参考文献
https://www.takaya.co.jp/product/fa/ict/
https://www.jemima.or.jp/tech/3-07-01.html
http://protec5461.co.jp/protec/?p=3143

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