放射線測定器

放射線測定器とは

放射線測定器

放射線測定器とは、放射線の強さや放射線の量を計測する機器です。

放射線には主に5種類あり、それぞれ異なる原理で計測されます。また、計測する対象も空間などの放射線量を計測するものと、個人が累積して受けた放射線の量を計測するものがあります。

原子爆弾や核兵器、原子力発電所の事故などで怖いイメージがありますが、私たちが日頃暮らしている空間にも存在するものです。放射線測定においては、計測の対象とする放射線の性質によって、使用する計測器が異なります。

さらに、放射線量の高い場合、低い場合、あるいはアルファ線・ガンマ線・ベータ線・エックス線という放射線の種類によっても使用できる測定器が変わります。

放射線測定器の使用用途

1. シンチレーション式放射線測定器

シンチレーション式放射線測定器は、一般環境の空間放射線量率の測定に用いられます。また汚染源からの距離の変化で測定値が変動するため、汚染源がどこにあるのかという特定にも活用できます。

空間放射線量率とは、空間放射線の量を1時間あたりに換算したものです。また、空間放射線とは空間を飛び交っている放射線であり、宇宙から降り注いできるものや、自然界から発せられるものもあります。

空間放射量率の単位は、hGy/h (ナノグレイ毎時) です。Gy (グレイ) は人体を含む物質が吸収した放射線の量であり「吸収線量」とも呼ばれています。

2. GM (ガイガーミュラー) 管式放射線測定器

GM管式放射線測定器は、主にベータ線の測定に使われ、体表面汚染の程度の測定に使う測定器です。ガンマ線やエックス線の測定や、空間放射線量率にも使用可能ですが、精度はシンチレーション式に劣ります。

作業員等の衣服や体表面に放射性物質が付着しているかどうかを測定する際や、研究実験における核種の分析にも使用されます。

3. 電離箱式放射線測定器

電離箱式放射線測定器は、空間放射線量率の測定に用います。ただし、電離箱式は強い放射線しか検知できないため、CT機器やレントゲン機器などエックス線を使った装置を製造する現場やそれらを使用している医療現場、原子力の作業現場など放射線の多い環境で使用する測定器です。

4. 個人線量計

個人線量計は装着した人が一定の期間中、どの程度放射線に被曝しているかを、累積量として計測します。個人線量計が使われるのは、放射性物質を扱う施設です。

原子力発電所など、放射線被曝の可能性が高い区域は管理区域として指定されており、立ち入る際には個人線量計を装着して、立ち入った間の被ばく線量を計測することが、法律によって義務付けられています。

放射線測定器の原理

放射線は物質を通過する際に、物質の相互作用を起こします。放射線測定器の原理は、放射線と物質間における相互作用を利用しています。

GM管式放射線測定器や、電離箱式放射線測定器では、放射線と気体間との電離作用を利用しています。電離作用とは、放射線が物質中の原子核の電子を、外側にはじき出す作用のことです。GM管式放射線測定器や電離箱式測定器では、電離作用によって生じた電流を電気信号へと変換することで、放射線量の値を算出します。

シンチレーション式放射線測定器では、物質間の励起作用を利用します。励起作用とは、放射線が原子核の電子にエネルギーを与えることで外側の軌道にはじき出す作用のことです。励起作用では、活性化状態で高エネルギー状態である励起状態から、安定な基底状態に戻る際に、もっているエネルギーを光として放出しますが、この際にからシンチレータ発せられる微弱な光を、光電子増倍管によって増幅し電気信号に変換することで放射線を計測します。

シンチレータはエックス線とガンマ線に反応して発光する物質で、放射線の測定には一般的にNal ヨウ化ナトリウム や、Csl ヨウ化セシウムが用いられています。個人線量計でも蛍光の原理が用いられており、個光刺激ルミネッセンス線量計や、蛍光ガラス線量計、電子式線量計と呼ばれるものがあります。

放射線測定器のその他情報

放射線の単位

放射線に関するニュースでは、普段聞きなれない単位が用いられることがあります。主な単位は、Bq (ベクレル) とSv (シーベルト) です。

ベクレルは、1秒間に崩壊する原子核の数を示したものであり、放射線物質が放射線を発生する能力を表します。一方でシーベルトは、人体が受けた放射線による影響の度合いを示すものです。2つの単位は放射線を発生する側と、放射線を受ける側で表したものになります。

参考文献
https://www.daitoku-scale.co.jp/magazine/9901281
https://www.keisokuten.jp/static/sp_rm.html
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-04-02.html
https://www.jemima.or.jp/tech/6-03-02-06.html

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