リニアサーボモーター

リニアサーボモーターとはリニアサーボモーター

リニアサーボモーターとは、回転軸を内蔵していない電気モーターのうち、機械制御に活用されるサーボ機構に用いる直線動作が可能なモーターのことです。

一般的なモーターは回転型の運動をするのに対して、リニアモーターは一般的に直線型の運動をします。リニアモーター自体は、リニアモーターカーなどで広く知られている駆動推進のための装置であり、サーボモーターはサーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用するモーターです。

これまで、産業機械や測定器の直動システムにおいて、回転型のサーボモーターが主流でしたが、近年は永久磁石から発生する磁束とコイルに流れる電流との作用 (フレミングの左手の法則) により動くリニアサーボモーターが注目されています。

リニアサーボモーターの使用用途

リニアサーボモーターの使用用途はさまざまです。特にサイズによって、使用用途は異なります。

1. 小径 (Φ4~12mm)

デスクトップタイプの装置に使われます。工業製品や生物バイオ関連などの観察用途が主です。高解像度化が進む画像とその画像処理が求められている分野では、シャフトモーターの高度な分解能が求められています。

2. 中経 (~Φ35mm)

このサイズは最も多く採用され高推力、高精度かつ高速であることが求められている分野、工作機械や半導体装置の各種位置決めや可動部などに広く使用されています。

3. 大径 (~Φ60mm)

その他、大きな加速推力が必要とされる特殊な機械に使用されます。

リニアサーボモーターの原理

リニアサーボモーターの直線的な動作は、磁石を軸としたシャフトとコイルが入った可動子から成り立つリニアモーターが、コイルに流れる電流と永久磁石から発生する磁束との作用、すなわちフレミングの左手の法則により推力が発生する原理を利用しています。

通常シャフトはステンレスでできたパイプの中に磁石を等間隔に詰め、可動子は、シャフトをの周りを覆うように巻かれた3相のコイルで構成されています。可動子はシャフトと接触せず、組み込まれても推力自体には影響はなく、取付けは簡単なことが特徴です。永久磁石から生じる磁気誘導束とコイルに流れる電流との作用によって推力が発生することで作動します。

シャフトを使用したモーターの特徴は、精度の高いリニアスケールを使用すると高精度の位置決めが可能であること、バックラッシュがないこと、コアがない状態であるためコギングがほとんど発生しないことなどです。なお、コギングとは、モーターにおいてシャフトと可動子との磁気的な引力が回転角度に依存して、細かく振動することを指します。

ねじやナットなどの機械構造を内部に持たないので、高速運動が可能です。運動精度が優れている一方で、固定されている側と運動する側が接触していないために剛性は低く、抵抗が大きい重切削には不適です。半導体などの電子部品や医療部品などの加工に使われている機器に使用されています。小型で、構造もシンプルであることが機器に組み込む際の利点です。

リニアサーボモーターのその他情報

1.リニアサーボモーターをアクチュエータに活用する際のメリット

昨今の高性能な工業機械で要求される項目に、高精度な加工と加工の高速化の両立があげられます。リニアサーボモーターが製品化される以前は、リニア動作用のアクチュエーターとして、回転型モーターとベアリングを構成要素とするボールねじの組み合わせで、回転方向の動力を直線方向の動力に変換していました。

従来手法では精度の向上と動作速度の両立が技術的に困難であり、メンテンナンスの頻度も多くなりがちなのです。しかし、リニアサーボモーターは非接触であるが故、高速動作に優れ、その位置決め精度も高精度化しやすく、メンテナンスの手間もいらない多くの利点を有します。

2.リニアサーボモーターをアクチュエータに活用する際の課題

リニアサーボモーターを工作機械に適用する場合の課題はその出力密度と制御性にあります。従来の回転型モーターとボールねじでの駆動と比較して動作の制御性が難しく、高い出力密度を確保するには高い技術力が求められます。

昨今のメーカーの技術革新により、これらの課題は克服され、徐々にリニアサーボモーターが工作機械や産業機器へ広く用いられるようになっています。

参考文献
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor2.html
http://www.taiyo-ltd.co.jp/kpl_jp/product/Catalogue/pdf/parker/Linea%20gijutsu.pdf

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