照度計

照度計とは

照度計

照度計とは、光源によって照らされる面の明るさを測定する測定器のことです。

光源とは、太陽もしくは蛍光灯や白熱電球、LED照明などを指します。また明るさの定義は単位面積あたりの光束 (lm/m2) であり、単位はルクス (lx) で表されます。スタジオでの写真撮影時に使われる入射光式の露出計も照度計の一種と言えますが、絞りやシャッター速度に換算しやすいように、EV値で表示されることが特徴です。

照度計の使用用途

作業環境の明るさが規定されている場合があります。例えば、学校、工場や事務所など人が作業をする場所の照明設備は、「学校環境衛生基準」、「労働安全衛生規則」および「事務所衛生基準規則」によって照度が定められています。これらの場所において、基準を満たすかどうかを測定するために照度計が使用されます。

科学技術の分野において、明るさが実験結果に影響する場合に照度計が利用されます。前項で挙げた露出計は、写真撮影の際に適切な露出条件を定める為に活用されます。

照度計の原理

照度計は光が照射されている面の明るさを測定し、数値化するものです。従って光の強さを検出するセンサーが必要ですが、その目的に適したものがフォトダイオードです。フォトダイオードは光の強さに比例してフォト電流が流れることと、ダイナミックレンジが広いことから照度計のセンサーとして用いられます。このフォト電流を測定して、明るさに変換することが照度計の基本的な原理です。照度計としては次の2つの要素への対応が必要です。

1. 視感度補正

人間の目は波長555nmをピークとして380nmから700nmの範囲の光 (電磁波) に反応しますが、ピーク波長から離れるにつれて徐々に感度が低下します。この特性は国際的に標準化され標準分光視感効率V (λ) と呼ばれます。一方フォトダイオードの分光感度特性はV (λ) とは全く異なることから、フォトダイオードの表面近くに視感度補正フィルターを設置して、照度計の分光感度特性をV (λ) に近似させています。

2. コサイン補正

平行光束に対して垂直な面の照度をEとすれば、θ傾けた面の照度E’は

                       E’=E cosθ

となります。これをコサイン補正と言いますが、コサイン補正を実現するために照度計の受光部に半球上の透過拡散板を設け、ここを通過した拡散光が視感度補正フィルターを通過してフォトダイオードに入射する構造となっています。

照度計の種類

照度計は、測定範囲や精度、使いやすさなどからいくつかの種類があります。

1. アナログ式

一般的にメーターの針によって表示結果を読み取る簡易点検用のシンプルな照度計です。主に蛍光灯や白熱灯など照明器具の明るさを調べるために使われますが、単機能なので消費電力は比較的少なくなっています。

2. 一体型デジタル式

受光部と本体が一体になっているタイプです。アナログ式に比べ多機能で測定範囲も広いため、主流となっています。一体型で扱いやすいことがメリットです。

3. セパレート型デジタル式

受光部と本体を切り離して測定できるため、測定者からの反射光の影響を減らし、より正確に測定することが可能です。高所や狭い場所においても、受光部だけを光源に対して正しい位置に設置することで測定の自由度に優れます。セパレート型は全般的に高精度で測定範囲もより広い機種が多く、太陽光下から暗中まであらゆるところで使えることも特徴の一つです。測定精度の分類はA級、AA級、精密級の3ランクに分かれており、工業計測ではAA級以上を用います。以前はB級の照度計も存在しましたが、現在は廃止されています。

照度計のその他情報

照度計の使い方

照度計の使い方は簡単で、照度計の測定ボタンを押すだけで測定値が表示されます。比較的小型に作られていますので様々な場面において手軽に使えますが、使い方によっては正しい測定値が得られない場合もあります。使い方の注意事項は以下の通りです。

1. 反射光
照度計には、光源から直接入射光だけでなく、周辺の物体の反射光も取り込むため、測定者の手や顔、衣服からの反射光の影響を受けます。センサーの光検出範囲外に身を置くことや、光の反射率が低い衣類を着用するなどで対応を取ります。

2. 測定する光のスポット径
一般的な照度計に多いレーザーのような細いビーム光の測定では、センサーに到達する経路が入射角度によって変わる為、正確な測定が困難です。照度計の受光エリア (透過拡散板の大きさ) より小さいスポット光を測定する場合は、誤差が大きくなります。

3. 光源と照度計受光部の距離
点光源から発する光の照度測定では、光源と照度計の距離が近いほどセンサーへの入射角が大きくなる為、誤差が発生します。光源から照度計までの距離を1m以上離すことが必要です。学校や職場、工場などにおいて適切な環境かどうかを確認する場合には、指定の基準や測定方法に従う必要があります。

参考文献
https://www.meccs.co.jp/column/92/
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=41
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ra/Lamberts_cosine_law.html
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol06.html
https://sakidori.co/article/451267

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