PCIボード

PCIボードとは

PCIボードとは拡張ボードとも呼ばれ、パソコンに接続して使用できる機能を拡張することができます。PCIボードは、機能拡張のための基板をさします。

主にデスクトップパソコンで使われ、マザーボードなどの拡張ボード取り付け用のインターフェースに接続し使うことができます。パソコンによっては、PCIボード用のインターフェースがない場合もあります。

PCIボードの種類は様々発売されており、ボードによって追加できる機能が様々変わります。

PCIボードの使用用途

PCIボードの種類は様々ですが、代表的な種類は以下の通りです。

  • グラフィックカード:パソコンとモニターを接続するためのコネクタを拡張できます。
  • ネットワークボード:パソコンにLANや光ファイバなどの接続コネクタを拡張できます。
  • サウンドボード:パソコンにオーディオインターフェースを拡張できます。
  • ストレージボード:パソコンにストレージをを制御するための拡張ができます。
  • 外部インターフェース用:USBなどの外部インターフェースを追加できます。
  • チューナー:パソコンに地デジチューナなどの拡張ができます。

PCIボードの原理

PCIボードには様々な規格があり、パソコンにあったPCIボードを選ばないと正しく接続ができませんので注意が必要です。

代表的な規格として、PCIとPCI Expressがあります。最近ではPCIはあまり使われておらず、PCI Expressが主流になっています。

PCI Expressの中でもレーン数によって、規格が細分化されており、接続部のコネクタピン数やコネクタの切り込み位置などが異なっています。レーン数が多いほど、通信速度も速くなります。

また、PCIには、通常PCIとLowProfilePCIの2つのサイズが存在します。省スペースのパソコンなどはLowProfilePCIが多く使用され、通常のPCIでは取り付けができないです。通常のPCIとLowProfilePCIではボードのサイズやブラケットのサイズが異なります。

また、PCIボードの種類によっては、ブラケットを2つ以上使用する場合があり、ブラケットのスペースがない場合取り付けができないことがあります。

PET

PETとは

PET

PETとは、ポリエチレンテレフタレート (英: Poly Ethylene Terephthalate) の略称で、ポリエステル樹脂の1種です。

非常に多岐の用途で使用されている汎用プラスチックの1つで、JISでは、「エチレングリコールおよびテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルの重縮合によって製造する重合体」と定義されています。

PETの使用用途

PETはペットボトルの材料として良く知られています。射出成形、ブロー成形の2つの工程を経てボトル形状になります。ペットボトルは注入される飲み物・液体によって、耐熱性や耐圧性を使い分けています。

PET製のフィルムはPETフィルムと呼ばれ、フィルム成形時の延伸 (機械的に引き延ばす) により、物性が大幅に変化するのが特徴です。縦・横2方向に延伸 (二軸延伸 ) されたPETフィルムは優れた特性を示し、工業製品や梱包用途で多く利用されます。

また、テレビ・スマホ・タブレットのフラットパネルディスプレイの材料としても使用されます。その他の用途は、熱収縮チューブや衣料向けの合成繊維などです。

透明性が高く、一般的にはPC (ポリカーボネート/ポリカ) より安価で、PVC (ポリ塩化ビニル/塩ビ) より強度があります。これらの特徴より、食品用容器・機械カバー・医療用加工品などの用途でも使用されています。

PETの性質

PETは透明性、強靭性に優れています。電気的な特性では、体積固有抵抗、絶縁破壊強さ、耐アーク性が良好で、耐候性も比較的良い部類に属します。また、燃焼しにくい自己消火特性や、燃やしても有毒ガスを発生しないことが知られています。

耐水性に優れ水を通しませんが、熱水に対しては弱く、耐熱性のペットボトルの耐熱性も80℃程度です。ガスバリア性は良好ですが、若干の気体透過性があるため長期間にわたって保存する場合は内容物の酸化が進行する可能性を有しています。

PETはマシニングやドリルなどの各種機械加工が可能です。また、透明なPETにエンドミルで加工を行うと、加工面が白化して透明性が失われてしまうことに留意する必要があります。基本的にPETは接着性が良くない樹脂ですが、ポリエステル系の接着剤では接着可能です。

PETの種類

PETは、加工方法によって物性が大きく変わる樹脂です。先述したPETフィルム成形時の延伸処理によりフィルム物性は大きく変化しますが、冷却方法によっても、A-PET (Amorphous-PET) と、C-PET (Crystallized-PET) という物性が異なる2種類のシートに作り分けることが可能です。

1. A-PET

PET樹脂を溶かして急冷して作られる非結晶性のPETです。A-PETは透明で光沢があり、塗装も容易です。スーパーやコンビニで見かける総菜パックやデザート容器、化粧品のクリアケースやブリスターパックなどに使用されています

2. C-PET

PET樹脂を徐冷して作られる結晶性PETです。C-PETは、非結晶性のプラスチックよりも耐熱性に優れており、220℃までの高温に耐えることができます。そのため、電子レンジやオーブンなどでの加熱が必要な食品の容器やトレー、トレイなどに使用されています。

PETのその他情報

PETの製造方法

PETの工業的な製造方法は、エチレングリコールとテレフタルル酸を脱水縮合させてエステル結合を形成する直接重合法と、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応させるエステル交換法の2種類があります。

PETに代表される、ポリエステル樹脂は、脱水縮合させる2価のアルコールや2価のカルボン酸を変えることで様々な種類のものを作ることができます。エチレングリコールを炭素数4つのブチレングリコールに変えることで得られるポリブチレンテレフタレート (PBT) は耐久性、ストレッチ性が高く、スポーツウェアや水着などに使われています。

参考文献
https://i-maker.jp/blog/polyethylene-terephthalate-8354.html
https://www.plaport.co.jp/technology/pet

RAM

RAMとは

RAM

RAM  (英: Random Access Memory) とは、読み書きが可能な半導体メモリの1種です。

一方で、RAMと混同されがちなROM  (英: Read Only Memory) は、読み出しのみが可能なメモリを指します。なお、RAMには、主にSRAM (Statistic RAM) とDRAM  (Dynamic RAM) の2種類があります。

SRAMは、フリップフロップ回路の論理値でデータを記憶し、DRAMはキャパシタの電荷の有無でデータを記憶します。しかし、どちらも電源を切ると記憶内容が消える揮発性メモリです。

最近では、モバイル機器やIoTの発展に伴い、不揮発性RAMの需要も高まっています。このため、強誘電体RAM (FeRAM:Ferroelectric RAM) 、磁気抵抗RAM (MRAM:Magnetic RAM) 、相変化メモリ (英: Phase Change Memory) 、抵抗変化RAM (Resistive RAM) などの不揮発性RAMが、次世代RAMとして期待されています。

RAMの使用用途

RAMはパソコン、スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機などさまざまなデジタル機器に使用されています。CPU (中央処理装置) がプログラムやデータを処理する際に、高速かつ効率的にアクセスできるようにするために必要不可欠な部品です。

1. パソコンのメインメモリやキャッシュメモリ

RAMの使用用途は多岐に渡ります。最も一般的な用途は、オペレーティングシステム (OS) やアプリケーションプログラムの実行です。プログラムやデータを読み込み、CPUが必要な情報に素早くアクセスできるようにします。

RAMのサイズが大きいほど、複数のプログラムを同時に実行できたり、大きなデータを扱うことができたりするようになります。
RAMはサーバーのキャッシュメモリとしても用いられ、高速かつ効率的なデータアクセスを実現します。

2. グラフィックスカード

RAMはグラフィックスやビデオの処理にも使用されます。グラフィックスカードは、RAMを搭載しており、高速な画像処理やビデオの再生が可能になっています。

3. ゲーミングデバイス

RAMはゲーミングにも欠かせない要素です。ゲームは、高速な処理能力とグラフィックスカードの高速処理によって描画されます。RAMが大きければ、より高精度で複雑なグラフィックス処理を実行できます。

 

最近では、RAMの需要が急速に増加しており、特にゲーミングや仮想現実 (VR) の分野での需要が高まっています。これらの用途には、高速で大容量のRAMが必要とされます。今後も、より高性能なRAMが開発され、コンピュータの処理速度やグラフィックスの表現力が向上していくことが期待されます。

RAMの原理

1. SRAM

SRAMは、一般的に6つのトランジスタで校正されたフリップフロップ回路を基本のメモリセルとして、1つのフリップフロップ回路に1ビットのデータが記録されます。データの書き込み時は、ワード線の電位をHighにしてフリップフロップ回路をイネーブル状態にし、ビット線のデータ (HまたはL) を回路に与えます。

ワード線をLowにすると、書き込まれたデータは保存され、電源電圧がかかっている限り保持可能です。データの読み出し時は、ビット線と反転ビット線をプリチャージした後、ワード線をHighにしてフリップフロップ回路をイネーブル状態にすると、保存されていたデータに応じた電位がビット線と反転ビット線に伝わります。ビット線・反転ビット線の端に設置されたセンスアンプが電位差をモニターし、判別したデータを出力します。

2. DRAM

DRAMは、一般的に1つのトランジスタと1つのキャパシタを基本のメモリセルとして、1つのキャパシタに1ビットのデータが記録されます。データの書き込み時は、ワード線の電位をHighにしてトランジスタをON状態にすると、ビット線がHのときキャパシタが充電されます。

DRAMのデータは、キャパシタに電荷が蓄えられている状態が1、電荷がない状態が0と判断されます。書き込み動作後、ワード線をLowにするとトランジスタはOFF状態になる、キャパシタの電荷は保持されます。データの読み出し時は、ワード線をHighにしてトランジスタをON状態にすると、キャパシタの電荷の有無に応じてビット線の電位が変化し、ビット線の端に設置されたセンスアンプが微細な電位差を感知してデータを読み出します。

なお、DRAMには、キャパシタに蓄えられた電荷が時間の経過とともにリークして減少する特徴があります。そのため、一定時間おきにデータを読み出してそれを再度書き込むリフレッシュ動作が必要です。 

RAMの選び方

SRAM (Static RAM) とDRAM (Dynamic RAM) は、データを一時的に保持するための半導体メモリ技術です。これらの技術は異なる特性を持つため、用途や要件に応じて適切な選択が重要です。以下の観点からSRAMかDRAMかを選びます。

1. 速度

SRAMはDRAMよりも高速です。CPUキャッシュなど、高速性が重要な用途で使用されます。一方、DRAMは比較的遅いですが、一般的なメインメモリ用途に適しています

2. 消費電力

SRAMはDRAMに比べて消費電力が低いです。低電力消費が重要なアプリケーション(例: 組み込みシステムやIoTデバイス) ではSRAMが適しています。

3. 容量

DRAMはSRAMに比べて大容量で安価です。大量のデータを扱う必要がある場合 (例: パソコンやサーバー) は、DRAMを選択します。

4. データ保持

SRAMは電源が入っている限りデータを保持できますが、DRAMは一定時間ごとにリフレッシュが必要です。データ保持の安定性が重要な場合はSRAMが適しています。

5. 信頼性

SRAMはDRAMに比べて信頼性が高く、環境条件や製造プロセスのばらつきに対しても強いです。信頼性が重要な用途 (例: 軍事、宇宙、産業用途) ではSRAMが適しています。

6. 価格

DRAMはSRAMよりも一般的で、生産量が多いためコストが低いです。予算に制約がある場合や、大量のメモリが必要な場合はDRAMを選びます。

 

SRAMは高速性、低消費電力、データ保持の安定性、信頼性が重要な用途で選ばれることが多いです。一方、DRAMは大容量かつ安価なメモリが求められる場合に適しています。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/memory
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/69/11/69_11_1347/_pdf

SCSIコネクタ

SCSIコネクタとは

SCSIコネクタ

SCSIコネクタとは、コンピュータシステム間でデータを転送するために使用されるインターフェースの1つです。

米国規格協会によって標準化されたインターフェース規格であるSCSIに対応したコネクタを指します。SCSIとは、「Small Computer System Interface」の略で、スカジーと読みます。

SCSIの特徴は、パラレル信号を用いて通信を行うことです。8本や16本などの銅線を用いて、パラレルに信号を伝送します。パラレルとは複数の伝送路を用いて、同時に複数ビットの通信を行う方式のことです。

SCSIコネクタの使用用途

SCSIコネクタは、コンピュータに周辺機器を接続するのに用いられます。具体的には、マウスやキーボード、プリンタなどです。

ただし、集積技術の向上とともにインターフェースの技術が進化し、最近ではUSBコネクタが周辺機器の接続コネクタとして一般的に使われています。

SCSIコネクタの原理

SCSI接続は、入出力要求を出す機器 (イニシエータ) から実際の動作をする機器(ターゲット) に対して指示を行い、実行した結果をイニシエータに返すという動作原理です。SCSIコネクタは、このSCSI接続の物理的な接続部に用いられます。

実際の運用上はコンピュータと周辺機器の主従関係の接続も多いですが、本来SCSI接続は各機器が対等の動作をする前提で設計されています。すなわち、1本の信号線に多数の機器を接続することが可能です。

この接続形式は、パス型と呼ばれるものです。通常、パスと呼ばれる信号線の最後には、ターミネータ (終端抵抗) を取り付けます。また、終端を持つ直線ではなく、環状の信号線に機器を数珠つなぎにすることもできます (デイジーチェーン接続) 。

SCSIコネクタの種類

SCSIコネクタには、さまざまな規格やケーブル長を持ったものがあります。規格によって、端子の大きさが異なる場合が多いです。

1. SCSI-1・SCSI-2・Ultra SCSI規格

SCSIは、初めて登場してからコンピュータの処理能力向上により、データ転送速度や最大接続数などの増加などさまざまな規格が出てきています。大まかには、SCSI-1、SCSI-2、Ultra SCSIと順に高性能になっている状況です。

これらの規格は、データ転送をパラレル方式で行います。例えば、これらのうちで最も高性能なUltra 320 SCSIでは最大転送速度が320MB/S、転送幅は16ビット、最大配線長はLVDで12m、最大機器接続台数は16台です。

なお、パラレル方式によるデータ転送は、技術的に高速化の限界に達したため、次項に挙げるシリアル方式のSCSIが開発されました。

2. Serial Attached SCSI (SAS)

シリアルインターフェースの技術向上により、SCSIにもシリアルデータ転送を適用させたSerial Attached SCSI (SAS) という規格があります。SASは、ハードディスクドライブなどのストレージと接続する際に、用いられる場合が多いです。

SASについては、最大転送速度は3GB/s、ケーブル長は8m、接続台数は128台です。SASでのケーブル長は従来のパラレルSCSIと比べると短くなっていますが、用途として周辺デバイスまでの距離が8mを超えることは珍しく、8m以上必要な場合、SASエキスパンダを用いると距離を延長することができます。

また、SASのコネクタはSATAと同じ物理層をカバーしており、互換性を持っています。SATAとは「Serial Advanced Technology Attachment」の略で、コンピュータにハードディスクや光学ドライブなどを接続する規格の1つです。

参考文献
https://www.newtech.co.jp/introduce/h1/
https://www.newtech.co.jp/introduce/h3/
https://www.fujitsu.com/jp/products/computing/storage/lib-f/tech/interface/

SSD

SSDとは

SSD

SSDとは、データを記録用ストレージの一種です。

「Solid State Drive」の略で、半導体を使用した記録デバイスであることが特徴と言えます。

SSDの使用用途

近年、SSDはOA機器に幅広く使用されます。ハードディスクと同様、データ記録のためのストレージとして用います。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • オフィスビル管理用サーバーの記録保存用
  • 一般家庭用PCの記録保存用
  • オフィス用PCの記録保存用
  • 監視カメラのデータ保存用
  • クラウドサーバーにおける記録保存用

SSDの原理

SSDの内部は、NAND型フラッシュメモリ、コントローラ、キャッシュメモリ、インターフェースなどで構成されます。NAND型フラッシュメモリは、SSD内部にあるデータを保存する部分です。1セル当たり1ビットデータを保存するものはSLCと呼ばれ、2ビットであればMLC、3ビットの場合TLCと呼ばれます。

SLCは耐久性が高い利点がありますが、容量が少なく高価です。コントローラは、データの読み書きを行うためのアクセス制御を行う部分です。NAND型フラッシュメモリには書き換え回数の上限があり、特定メモリだけに書き込みをしないためにアクセス制御が行われます。

キャッシュメモリは一時的なデータキャッシュを行う部分です。DRAMを用いられる場合が多く、一時保存をすることで書き込み処理の高速化が可能です。製品によってキャッシュメモリを持たないSSDもあります。SSDのインターフェースは、SSDとパソコン等の接続を行う部分です。SATAやmSATAなどの複数の規格があります。

SSDのその他情報

1. SSDの歴史

大容量のデータ保存のためにこれまでHDD (Hard Disc Drive) が多く使われてきました。HDDは高速で回転させたディスク上の磁気を読み書きすることで、データ記録を行います。構造が簡単で安価な反面、ディスクを回転させる駆動部を持ち、衝撃に弱い欠点がありました。

また、HDDが主流である当時はSSDの保存可能容量が少なかったため、OA機器の記録媒体はHDDが主流でした。しかし、近年はSSDの大容量化に伴い、HDDに変わって普及が進んでいます。

2. SSDとHDDの違い

SSDとHDDはどちらもOA機器用ストレージとして用いられます。ただし、その特徴からそれぞれメリットとデメリットがあります。

SSDのメリット

  • データの書き込み・読み出しが速い
  • PCなどのOSを導入した場合に起動が速くなる
  • 駆動部がなく、動作音がない
  • 衝撃に強い

SSDのデメリット

  • HDDに比べて高価
  • 大容量タイプがHDDと比較して少ない
  • 書き込み可能回数に上限があり、寿命がある

HDDのメリット

  • 安価で大容量の記録媒体を導入可能

HDDのデメリット

  • 駆動時にディスクが回転する動作音が発生する
  • 衝撃に弱く、振動などでデータが破損する恐れがある
  • 消費電力がSSDと比較して大きい
  • 読み書きのスピードがSSDと比較して遅い

上記の通り、HDDとSSDにはそれぞれメリットとデメリットがあります。そのため、用途に応じて使い分けることが重要です。一例として、同一PCにHDDとSSDを1つずつ導入する場合があります。

この場合、SSDに使用頻度が高いソフトウェアやOSを書き込み、HDDに動画や画像などを書き込みます。この運用により、普段のPC操作やPC起動が速い上に大容量ストレージを持つPCとして運用することが可能です。

3. 外付SSDとUSBフラッシュメモリ

USBメモリ型外付SSDなどの製品も販売されています。USBメモリのようにコンパクトで持ち運びに便利です。USBメモリ型外付SSDとUSBフラッシュメモリはどちらもNAND型フラッシュメモリを使用しています。ただし、OS上では読み取り方が異なります。

USBメモリ型SSDは、コンピュータ内部でローカルディスクとして認識されます。頻繁な抜き差しを想定していませんが、内部パーティションの設定をUSBフラッシュメモリよりも自由に変更することが可能です。

USBフラッシュメモリは、コンピュータ内部でリームバブルディスクとして認識されます。安価で小容量の製品を購入可能であることが特徴です。また、USBフラッシュメモリを使用するプレーヤーなどでは、外付SSDを正しく認識できない場合があります。

参考文献
https://www.elecom.co.jp/pickup/column/storage_column/00015/
https://www.pro.logitec.co.jp/about_hdd/hddssd/20200403/

UPS

UPSとは

UPS

UPSとは、Uninterruptible Power Supply の略で、無停電電源装置のことをさします。バッテリを内蔵し、停電や電源トラブルなどの入力電源異常時に、サーバーやパソコン電子機器やネットワーク機器などに問題を起こさないよう電力を供給するための装置です。

UPSは機器や設備を電源トラブルから守り、電子機器やシステム、サービスを安定稼働させるために、欠くことのできない機器として、広く用いられています。

UPSの使用用途

UPSは、電力送電経路の不具合や自然災害による停電や、大規模工事に伴う電源切り替えなどによる電源変動などに対して、電力需要側で適切な対策をとるために様々な場所で使われています。

オフィスでは、パソコンやOA機器、ネットワーク機器など、店舗などではPOS端末や顧客情報端末、防犯、防災関連機器など、コールセンターやデータセンターなどでは、パソコンやサーバー類、通信機器や空調設備など、金融関連ではATM端末やオンライン端末など、放送局では放送機器や電装機器などです。様々な分野で電源を守り、安定稼働するために広く用いられています。

UPSの原理

UPSは、停電や電源トラブルなどの発生時に、接続機器への電力供給に問題がでないようにする無停電電源装置のことで、UPSは給電方式の違いによりいくつかに分けられます。

常時インバータ方式は、商用電源の状態にかかわらずインバータによって安定した電力供給を接続機器に行うUPSです。常時給電するため、停電などの発生時にも、切り替えによって切断される時間がなく電力供給されます。

ラインインタラクティブ方式は、商用電源が正常稼働時にはそのまま接続機器に電力供給して使い、それとともにインバータを用いて充電器として充電を行います。停電発生時には、充電されたバッテリからインバータにより直流を交流に変換し、接続機器へ供給を行います。

常時商用給電方式は、商用電源が正常稼働時にはそのまま接続機器に電力供給してつかい、停電発生時には、蓄電されていたバッテリから、インバータにより直流から交流に変換され、接続機器へ供給を行います。

参考文献
https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/ups/aboutups/index.html
https://www.ntt-f.co.jp/service/ups/about/
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1403/19/news118.html

USBコネクタ

USBコネクタとは

USBコネクタ

USBコネクタとは、電子機器に用いられる接続インターフェースのコネクタ部のことです。

「Universal Serial Bus」の略で、コンピュータに周辺機器等を接続するためのインターフェースの規格を指します。USBは、プラグアンドプレーと呼ばれる差し込むだけでOSが自動設定対応する仕組みに対応しており、ユーザーはパソコンや端末などの電子機器に接続するだけで、個別のユーザーによる設定なしで、周辺機器や拡張ボードなどすぐ使うことができます。

また、ホットプラグという機能により、パソコンや電子機器の電源が入っていてもUSBコネクタから抜き差しすることが可能です。

USBコネクタの使用用途

USBコネクタは、主に日常に使用する電子機器の外部デバイスやアプリケーションとの接続用途に用いられています。利便性の高さから、現在では様々な電子機器にUSBコネクタが搭載されています。

例えば、パソコンのキーボードやマウス、プリンタ、外付けハードディスクやフラッシュメモリなどです。また、スマートフォンなどのモバイル機器、タブレットやデジタル家電の様々な電子機器にもUSBコネクタが搭載されています。

USBの規格もUSB1.0からUSB3.1まで、新規格が発表されるごとに転送速度が速くなっています。それにより、データ転送におけるウェイト時間が大幅に減少しています。

USBコネクタの原理

USBコネクタの原理は、電子機器の旧式のコネクタであるモデム用RS-232Cやマウス向けPS/2のように、個々のデバイスに応じての使いわけが不要であり、USB規格に適合する周辺機器を同じように使用可能で、電源オンの状態でのコネクタの抜き差しや、コンピュータのOSへの接続を自動に対応可できる利便性にあります。

USBコネクタの規格の特徴は、USB接続ポートでホスト側の電源を供給可能になっているため、接続するマウスやキーボード、メモリなどの接続したいデバイスの電源を個別に別電源から供給する手間を省けることです。この機能の拡張として、昨今ではUSBコネクタを接続するホストとの通信機能を省き、充電専用ケーブルとして活用するケースも出てきています。

なお、現在のUSB規格では周辺機器は一つのバスで最大127台接続可能です。USBコネクタ形状は、改訂される規格や周辺機器の状況に合わせて、大小さまざまな仕様があります。

USBコネクタの種類

USBコネクタの形状は様々あります。代表的なものは、以下の通りです。

  • USB Type-A
    PCに搭載されていることが多い一般的なUSBコネクタ。
  • USB Type-B
    PCに接続する周辺機器に搭載されることが多いUSBコネクタ。
  • USB Type-C
    2015年以降使用されているUSBコネクタで上下対象の形で上下問わず接続が可能なUSBコネクタ。近年、パソコンの周辺機器やスマートフォンなど、使用する機器が増えている。
  • Mini USB Type-B
    デジタルカメラやモバイルバッテリーなどの小型機器に多く使用され、コネクタの形状が小さいタイプのUSBコネクタ。
  • micro USB Type-B
    Mini USBからコネクタ形状がもう一回り小さくなったUSBコネクタ。スマートフォンやタブレットなどに多く使われているタイプ。
  • Lightning
    Apple製品に多く用いられているUSBコネクタ。小型であり、Type-Cと同様上下を問わずに接続が可能なタイプ。

USBコネクタのその他情報

1. USBコネクタの伝送速度

USBの規格の改訂に合わせて、年々USBコネクタの最大伝送速度の規格が早くなってきています。1996年の初代の規格USB1.0は、最大伝送速度が12Mbpsでしたが、2013年にリリースされたUSB3.1では10Gbpsとなり、10Gbpsを超えました。2022年の最新規格 USB4 Version2では、運営団体から最大伝送速度は理論値で80Gbpsのアナウンスもされています。

2. USBコネクタの供給可能電力

USBの規格の改訂に合わせ、伝送速度のみならず、供給可能な電力値も向上してきています。初代USB1.0では、最大電流500mA、電力値は2.5Wまでを扱う規格になっていましたが、USBコネクタの利便性の良さから、様々な用途に活用されるにつれて扱える電力要求も高まっており、Type-Cのコネクタについては、最大電流値3A、電力値は15Wに拡大しています。

なお、これらの値は規格だけは決定されず、当然ながら用いるUSBコネクタの形状や種類、ホスト側の機器によってこの電流や電力値は制限される点に注意が必要です。

参考文献
https://time-space.kddi.com/ict-keywords/20190116/2549
https://www.sanwa.co.jp/product/cable/howto/usb.html

VCO

VCOとは

VCO

VCOとは、入力電圧によって発振周波数が変化する発振器のことです。

「Voltage Controlled Oscillator」の略で、日本語では圧制御型発振器と呼びます。VCOの入力電圧に対する出力できる周波数範囲は様々で、製品によってその周波数範囲が異なります。

一般的にVCOは、PLL (Phase Locked Loop) に用いられます。PLLは位相同期回路とも呼ばれ、入力信号と出力信号の位相を同期させる回路で、周波数を安定化させることが可能です。

VCOの使用用途

VCOは、様々な電子機器アプリケーションで使われる周波数制御の目的で用いられています。具体的な使用用途は、メディアプレイヤーやデジタルカメラ、オーディオ類の民生用機器、また通信システムなどの携帯電話、無線LAN、ラジオ、そしてTVチューナーやGPS、Bluetoothなどです。

特に高い周波数を扱う電子機器内に使用する場合は、主にVCOをPLLとして使用し、周波数を安定化させています。PLLシンセサイザとしての活用は、無線通信用の高周波を合成する発振回路としてよく用いられます。

VCOの原理

VCOの原理は、電波を生成する発振回路の発振周波数を電圧で制御するために、発振回路の一部に共振周波数を電圧で可変可能とする回路を有し、その共振周波数の電力を維持し増幅する増幅回路によって、所望の周波数を生成する動作にあります。

VCOの共振周波数生成の手法は、大きく分けてリングVCO、LC VCO、VCXOの3つがあります。

1. リングVCO

リングVCOは、インバータを複数段もちリング状につなぐことで発振回路を構成するVCOです。インバータの段数とゲートの遅延量を利用して発振周波数を制御することが可能であり、その段数や遅延量は外部からのバイアス電流で制御可能です。

周波数可変範囲に優れ、広くPLLに用いられますが、電源ノイズの影響を受けやすく、一般に周波数安定度は高くありません。

2. LC VCO

LC VCOは、LC発振器とバラクタを用いて構成するVCOです。ここでのバラクタとは容量可変ダイオードのことであり、印加電圧によってPN接合の接合容量を可変させることが可能なダイオードです。容量を可変することで、LCの共振に起因する発振周波数を変化させ、VCOの発振周波数を電圧で可変させています。

3. VCXO

VCXOは、水晶振動子 (Xtal) を用いたVCOです。水晶振動子は高いQ値 (Quality factor) を持つため、周波数安定度が高くなります。その代わりに、可変できる出力周波数の範囲が狭まくなります。

また、水晶振動子ではなくセラミックの振動子SAWの振動子を用いてもVCOを作ることが可能です。水晶振動子に比べて、周波数の可変範囲を大きくできますが、安定度では水晶振動子の方が優れています。

VCOのその他情報

1. VCOの実装形態

VCOは、その周波数とアプリケーションによって実装形態はさまざまです。発振周波数を決定付ける因子にはLC値がありますが、低い周波数を発振させる時に比較的大きなインダクタや容量が必要になるため、すべてをIC化するには小型化や低コスト化の観点にそぐわない場合があります。状況によってはチップ部品や水晶、MEMS、セラミック基板などの振動子を用いるケースも多いです。その場合はVCOモジュールとしての実装形態になります。

一方で、RF高周波やミリ波などの無線通信対応には、PLLとの集積やミキサやデジタルロジックなど含めRFICの一部分として用いられるケースがあります。

2. VCOの位相雑音

VCOの位相雑音の低減は、無線通信のアプリケーションにおいて、PLLのジッタや変調精度 (EVM) などの諸特性とも密接に関連するため、非常に重要な特性です。位相雑音の低減が高品位な通信実現には不可欠であり、メーカー各社はこのノイズ低減に向けてしのぎを削っています。

発振周波数安定性にも関係しますが、VCOの共振回路のQ値を上げることはVCOの位相雑音低減に非常に有効で、良好なPLL特性にも不可欠です。一方で、高いQ値の実現には、材料物性の観点からICの1チップ化が困難である場合があり、また高いQ値は周波数可変範囲に影響を与えます。

昨今では、アナログ・デジタル回路の進展により、ノイズ低減と周波数可変範囲の拡大の両立を目指すべく、フィルタ回路内蔵によるノイズ低減や逓倍回路との併用による周波数可変範囲の拡大を図ったVCO関連製品も登場しています。

参考文献
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2004/05/p098-099.pdf

Vベルト

Vベルトとは

Vベルト

Vベルトとは、回転機の動力を伝える断面がV型になっているベルトのことです。

コストが低く、チェーンに比べ音が静かである点が特徴です。Vベルトはその規格にあったプーリーと合わせて使うことで能力を発揮します。

プーリーとは、ベルトが食い込むように溝が切ってある円盤のようなものです。この溝にVベルトを取付回転させます。Vベルトは使用に伴う摩耗や、Vベルト自身の伸びが発生するため定期メンテナンスが必要です。そのままにしておくと、Vベルトとプーリーがスリップして異音の発生や能力低下につながります。

Vベルトの使用用途

Vベルトは動力伝達の面で広く使用されています。具体的な使用例は、自動車の動力伝達やファン、ブロアの駆動部などです。そのほか、農機具へ使用されるケースも多いです。

Vベルトは、メンテナンス性と低コスト化の面から使用されています。使用用途に応じてVベルトを複数本使用し、より大きな動力を伝達します。複数本使用することによって、仮に1本が何かしらの原因で切れてしまっても、動力を伝え続けられるためです。

Vベルトの原理

V型になっていることで、平ベルトよりも多くの摩擦を発生させられます。V型になっていない平ベルトでは、ベルトの張力とプーリーからの垂直方向にかかる応力が等しいため、多くの摩擦を生むにはベルトに張力をより多く掛ける必要があります。

一方で、Vベルトは端部が傾いているため、ベルトがプーリーから受ける反力は垂直方向の応力よりも大きくなります。このことから、Vベルトは平ベルトよりも少ない張力で大きな動力を伝達することが可能です。

しかし、ベルトとプーリーの間に小さなすべりが生じるため、回転運動を正確に伝達することができません。正確な回転運動を伝達する必要がある場合には、歯付きベルトを用いる必要があります。

Vベルトの特徴

Vベルトは動力伝達方法の一つですが、テンション調整を適正にしなければ能力を発揮することができません。テンションが強すぎると異常摩耗や各回転軸の摩耗、ベアリングの破損、動力機器の過負荷に繋がります。反対に弱すぎると、Vベルトのスリップ音の発生、能力低下、Vベルトの脱落による機器停止などに繋がります。

適正テンションはメーカーカタログにて決められています。軸間距離の定数倍の押し代と押す力で対応する基準内に納めることが大切です。この時にテンションゲージと呼ばれる道具も使用するため、メンテナンスをする際は併せて持っておく必要があります。

また、Vベルトにはコグと呼ばれる凹凸が付いたタイプのベルトもあります。これはプーリー径が小さいものに最適です。曲率半径が小さいとVベルトのかかりが甘くなるので、コグタイプのVベルトと使用することで解消できます。

Vベルトのその他情報

1. Vベルトの使い方

仕様書に計算方法が記載されているため、メーカーからの指示に従います。ベルトの張力を調整する際には、2つのプーリーの間隔により調整することが一般的ですが、軸間距離を調整できない場合にはテンショナーを用いて張力を調整します。

テンショナーとは、自由に回転することできるベルトの張力を調整するためのものです。動力の伝達元でも伝達先にもなりません。テンショナーを用いた場合は、ベルトの寿命が短くなる傾向にあるので、こまめな点検や張力の調整が必要になります。

2. Vベルトを使用する際の注意点

Vベルト交換時には、プーリーの状態も確認しておきます。Vベルトが新品でもプーリーが摩耗していれば、Vベルトの異常摩耗や回転不良につながるためです。溝ゲージと呼ばれるプーリー用のゲージがあり、これを利用することで状態を確認することができます。

また、Vベルトの交換時はベルトとプーリー間で手指を挟みやすく、けがしやすいため注意が必要です。そのほか、ベルトの寿命や運動性に影響を与えるので、取り付け時にもプーリー間での平行度を確認します。ベルト幅によって許容平行度が異なることにも注意しましょう。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/v_bert/
https://www.mitsuboshi.com/japan/product/general/kind/vbelt/standard.html

X線管

X線管とは

X線管

X線管とは、X線を発生させるX線発生装置の一種です。

X線管内部で、陰極から陽極へ高速で移動する熱電子が、陽極の金属原子核に引き寄せられて進行方向を変えるときにX線を発生します。X線管には種類があり、管の形態によって、管内が常時真空に保たれた真空管タイプの密閉管と管外部に真空ポンプを設置して高真空状態にする開放管の2種類です。

密閉管はさらに、陽極が回転構造になっている回転陽極管と、回転構造になっていない固定陽極管に分類されます。固定陽極管は陽極が回転するため熱の分散が可能であり、X線管内を流れる電流を増大させることが可能です。

また、X線管には焦点寸法によって、マイクロフォーカス型とミニフォーカス (またはミリフォーカス) 型があります。それぞれ焦点寸法がミクロンオーダーとミリオーダーのX線管です。

X線管の使用用途

X線管はさまざまな分野で、X線発生装置として使用されています。X線は紫外線より波長が短い電磁波で、エネルギーが大きいことから、物質を通り抜けることができる透過作用があります。

この透過作用を利用した使用用途は、以下の通りです。

  • 医療現場
    一般的なレントゲン撮影、マンモグラフィ、CT検査、がん治療に使われるX線治療など
  • 科学・工業分野
    X線回折、蛍光X線分析非破壊試験、厚さなどの材料検査、空港の手荷物検査など

X線管の原理

X線管は、外囲器と陰極 (フィラメント) と陽極 (ターゲット) で構成されます。陰極フィラメントに電流を流し加熱しておいてから、陰極と陽極の間に高電圧をかけると、フィラメントから熱電子が放出され、高速で陽極ターゲットに向かいます。

1. 制動X線

熱電子は、陽極の材料であるタングステンなどの原子核に引き寄せられて急激に進行方向を変え、エネルギーを放出します。このとき、エネルギーの99%は熱エネルギーに変換されますが、残りの1%がX線となって放出されます。このX線は制動X線と呼ばれ、連続したスペクトルを持つのが特徴です。

熱電子が原子核に対してどこを通るかは一意に決まらず、どこを通るかでX線強度が変わります。そのため、制動X線は連続スペクトルを持ちます。

2. 特性X線

熱電子の中には、まれにターゲット原子の電子に衝突するものもあります。衝突された電子は熱電子からエネルギーを得てはじき飛ばされ、外側の電子軌道に遷移しますが、不安定であるためすぐに元の軌道に戻ります。

このとき、電子軌道のエネルギー状態の差分がX線として放出されます。このX線は特性X線と呼ばれ、線スペクトルとして現れます。X線管で発生するX線は、ほとんどが制動X線です。X線管の外囲器にはX線の吸収率が低いベリリウムなどの窓があり、X線はその窓から取り出されます。

X線管のその他情報

1. 管電圧と管電流

X線管で発生するX線の強度やエネルギーは管電圧と管電流に依存します。

管電圧
X線管の陽極と陰極間に印可する電圧です。管電圧を高くすると短波長のX線が発生します。管電圧は強度とエネルギーに影響するパラメータです。

管電流
X線管内部を流れる電流です。陰極で発生した熱電子が陽極に衝突することで、電流となります。回転陽極管では陽極が回転するため熱の分散が可能であり、管電流を増大させることができます。

管電流とX線全強度は比例関係にあります。一方、管電流を変化させてもX線のエネルギーは変化しません。

2. X線の透過性質

X線は波長が非常に短い電磁波であることから物質を透過する性質を持ちます。物質によって透過率は異なり、透過時にX線は減衰します。

透過時に電子と相互作用を起こさずに直進したX線を透過X線と呼び、透過X線の線量の大小がレントゲン写真における白黒の濃淡を決定します。X線の透過能力はX線が持つエネルギーが高いほど大きくなります。

参考文献
http://www.020329.com/x-ray/bougo/contents/chapter3/3-2-ref01.html
http://www.trc-center.imr.tohoku.ac.jp/mono59_2.pdf
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-01-03-04.html