PETとは
PETとは、ポリエチレンテレフタレート (英: Poly Ethylene Terephthalate) の略称で、ポリエステル樹脂の1種です。
非常に多岐の用途で使用されている汎用プラスチックの1つで、JISでは、「エチレングリコールおよびテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルの重縮合によって製造する重合体」と定義されています。
PETの使用用途
PETはペットボトルの材料として良く知られています。射出成形、ブロー成形の2つの工程を経てボトル形状になります。ペットボトルは注入される飲み物・液体によって、耐熱性や耐圧性を使い分けています。
PET製のフィルムはPETフィルムと呼ばれ、フィルム成形時の延伸 (機械的に引き延ばす) により、物性が大幅に変化するのが特徴です。縦・横2方向に延伸 (二軸延伸 ) されたPETフィルムは優れた特性を示し、工業製品や梱包用途で多く利用されます。
また、テレビ・スマホ・タブレットのフラットパネルディスプレイの材料としても使用されます。その他の用途は、熱収縮チューブや衣料向けの合成繊維などです。
透明性が高く、一般的にはPC (ポリカーボネート/ポリカ) より安価で、PVC (ポリ塩化ビニル/塩ビ) より強度があります。これらの特徴より、食品用容器・機械カバー・医療用加工品などの用途でも使用されています。
PETの性質
PETは透明性、強靭性に優れています。電気的な特性では、体積固有抵抗、絶縁破壊強さ、耐アーク性が良好で、耐候性も比較的良い部類に属します。また、燃焼しにくい自己消火特性や、燃やしても有毒ガスを発生しないことが知られています。
耐水性に優れ水を通しませんが、熱水に対しては弱く、耐熱性のペットボトルの耐熱性も80℃程度です。ガスバリア性は良好ですが、若干の気体透過性があるため長期間にわたって保存する場合は内容物の酸化が進行する可能性を有しています。
PETはマシニングやドリルなどの各種機械加工が可能です。また、透明なPETにエンドミルで加工を行うと、加工面が白化して透明性が失われてしまうことに留意する必要があります。基本的にPETは接着性が良くない樹脂ですが、ポリエステル系の接着剤では接着可能です。
PETの種類
PETは、加工方法によって物性が大きく変わる樹脂です。先述したPETフィルム成形時の延伸処理によりフィルム物性は大きく変化しますが、冷却方法によっても、A-PET (Amorphous-PET) と、C-PET (Crystallized-PET) という物性が異なる2種類のシートに作り分けることが可能です。
1. A-PET
PET樹脂を溶かして急冷して作られる非結晶性のPETです。A-PETは透明で光沢があり、塗装も容易です。スーパーやコンビニで見かける総菜パックやデザート容器、化粧品のクリアケースやブリスターパックなどに使用されています
2. C-PET
PET樹脂を徐冷して作られる結晶性PETです。C-PETは、非結晶性のプラスチックよりも耐熱性に優れており、220℃までの高温に耐えることができます。そのため、電子レンジやオーブンなどでの加熱が必要な食品の容器やトレー、トレイなどに使用されています。
PETのその他情報
PETの製造方法
PETの工業的な製造方法は、エチレングリコールとテレフタルル酸を脱水縮合させてエステル結合を形成する直接重合法と、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応させるエステル交換法の2種類があります。
PETに代表される、ポリエステル樹脂は、脱水縮合させる2価のアルコールや2価のカルボン酸を変えることで様々な種類のものを作ることができます。エチレングリコールを炭素数4つのブチレングリコールに変えることで得られるポリブチレンテレフタレート (PBT) は耐久性、ストレッチ性が高く、スポーツウェアや水着などに使われています。
参考文献
https://i-maker.jp/blog/polyethylene-terephthalate-8354.html
https://www.plaport.co.jp/technology/pet