Vベルト

Vベルトとは

Vベルト

Vベルトとは、回転機の動力を伝える断面がV型になっているベルトのことです。

コストが低く、チェーンに比べ音が静かである点が特徴です。Vベルトはその規格にあったプーリーと合わせて使うことで能力を発揮します。

プーリーとは、ベルトが食い込むように溝が切ってある円盤のようなものです。この溝にVベルトを取付回転させます。Vベルトは使用に伴う摩耗や、Vベルト自身の伸びが発生するため定期メンテナンスが必要です。そのままにしておくと、Vベルトとプーリーがスリップして異音の発生や能力低下につながります。

Vベルトの使用用途

Vベルトは動力伝達の面で広く使用されています。具体的な使用例は、自動車の動力伝達やファン、ブロアの駆動部などです。そのほか、農機具へ使用されるケースも多いです。

Vベルトは、メンテナンス性と低コスト化の面から使用されています。使用用途に応じてVベルトを複数本使用し、より大きな動力を伝達します。複数本使用することによって、仮に1本が何かしらの原因で切れてしまっても、動力を伝え続けられるためです。

Vベルトの原理

V型になっていることで、平ベルトよりも多くの摩擦を発生させられます。V型になっていない平ベルトでは、ベルトの張力とプーリーからの垂直方向にかかる応力が等しいため、多くの摩擦を生むにはベルトに張力をより多く掛ける必要があります。

一方で、Vベルトは端部が傾いているため、ベルトがプーリーから受ける反力は垂直方向の応力よりも大きくなります。このことから、Vベルトは平ベルトよりも少ない張力で大きな動力を伝達することが可能です。

しかし、ベルトとプーリーの間に小さなすべりが生じるため、回転運動を正確に伝達することができません。正確な回転運動を伝達する必要がある場合には、歯付きベルトを用いる必要があります。

Vベルトの特徴

Vベルトは動力伝達方法の一つですが、テンション調整を適正にしなければ能力を発揮することができません。テンションが強すぎると異常摩耗や各回転軸の摩耗、ベアリングの破損、動力機器の過負荷に繋がります。反対に弱すぎると、Vベルトのスリップ音の発生、能力低下、Vベルトの脱落による機器停止などに繋がります。

適正テンションはメーカーカタログにて決められています。軸間距離の定数倍の押し代と押す力で対応する基準内に納めることが大切です。この時にテンションゲージと呼ばれる道具も使用するため、メンテナンスをする際は併せて持っておく必要があります。

また、Vベルトにはコグと呼ばれる凹凸が付いたタイプのベルトもあります。これはプーリー径が小さいものに最適です。曲率半径が小さいとVベルトのかかりが甘くなるので、コグタイプのVベルトと使用することで解消できます。

Vベルトのその他情報

1. Vベルトの使い方

仕様書に計算方法が記載されているため、メーカーからの指示に従います。ベルトの張力を調整する際には、2つのプーリーの間隔により調整することが一般的ですが、軸間距離を調整できない場合にはテンショナーを用いて張力を調整します。

テンショナーとは、自由に回転することできるベルトの張力を調整するためのものです。動力の伝達元でも伝達先にもなりません。テンショナーを用いた場合は、ベルトの寿命が短くなる傾向にあるので、こまめな点検や張力の調整が必要になります。

2. Vベルトを使用する際の注意点

Vベルト交換時には、プーリーの状態も確認しておきます。Vベルトが新品でもプーリーが摩耗していれば、Vベルトの異常摩耗や回転不良につながるためです。溝ゲージと呼ばれるプーリー用のゲージがあり、これを利用することで状態を確認することができます。

また、Vベルトの交換時はベルトとプーリー間で手指を挟みやすく、けがしやすいため注意が必要です。そのほか、ベルトの寿命や運動性に影響を与えるので、取り付け時にもプーリー間での平行度を確認します。ベルト幅によって許容平行度が異なることにも注意しましょう。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/v_bert/
https://www.mitsuboshi.com/japan/product/general/kind/vbelt/standard.html

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