RAM

RAMとは

RAM

RAM  (英: Random Access Memory) とは、読み書きが可能な半導体メモリの1種です。

一方で、RAMと混同されがちなROM  (英: Read Only Memory) は、読み出しのみが可能なメモリを指します。なお、RAMには、主にSRAM (Statistic RAM) とDRAM  (Dynamic RAM) の2種類があります。

SRAMは、フリップフロップ回路の論理値でデータを記憶し、DRAMはキャパシタの電荷の有無でデータを記憶します。しかし、どちらも電源を切ると記憶内容が消える揮発性メモリです。

最近では、モバイル機器やIoTの発展に伴い、不揮発性RAMの需要も高まっています。このため、強誘電体RAM (FeRAM:Ferroelectric RAM) 、磁気抵抗RAM (MRAM:Magnetic RAM) 、相変化メモリ (英: Phase Change Memory) 、抵抗変化RAM (Resistive RAM) などの不揮発性RAMが、次世代RAMとして期待されています。

RAMの使用用途

RAMはパソコン、スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機などさまざまなデジタル機器に使用されています。CPU (中央処理装置) がプログラムやデータを処理する際に、高速かつ効率的にアクセスできるようにするために必要不可欠な部品です。

1. パソコンのメインメモリやキャッシュメモリ

RAMの使用用途は多岐に渡ります。最も一般的な用途は、オペレーティングシステム (OS) やアプリケーションプログラムの実行です。プログラムやデータを読み込み、CPUが必要な情報に素早くアクセスできるようにします。

RAMのサイズが大きいほど、複数のプログラムを同時に実行できたり、大きなデータを扱うことができたりするようになります。
RAMはサーバーのキャッシュメモリとしても用いられ、高速かつ効率的なデータアクセスを実現します。

2. グラフィックスカード

RAMはグラフィックスやビデオの処理にも使用されます。グラフィックスカードは、RAMを搭載しており、高速な画像処理やビデオの再生が可能になっています。

3. ゲーミングデバイス

RAMはゲーミングにも欠かせない要素です。ゲームは、高速な処理能力とグラフィックスカードの高速処理によって描画されます。RAMが大きければ、より高精度で複雑なグラフィックス処理を実行できます。

 

最近では、RAMの需要が急速に増加しており、特にゲーミングや仮想現実 (VR) の分野での需要が高まっています。これらの用途には、高速で大容量のRAMが必要とされます。今後も、より高性能なRAMが開発され、コンピュータの処理速度やグラフィックスの表現力が向上していくことが期待されます。

RAMの原理

1. SRAM

SRAMは、一般的に6つのトランジスタで校正されたフリップフロップ回路を基本のメモリセルとして、1つのフリップフロップ回路に1ビットのデータが記録されます。データの書き込み時は、ワード線の電位をHighにしてフリップフロップ回路をイネーブル状態にし、ビット線のデータ (HまたはL) を回路に与えます。

ワード線をLowにすると、書き込まれたデータは保存され、電源電圧がかかっている限り保持可能です。データの読み出し時は、ビット線と反転ビット線をプリチャージした後、ワード線をHighにしてフリップフロップ回路をイネーブル状態にすると、保存されていたデータに応じた電位がビット線と反転ビット線に伝わります。ビット線・反転ビット線の端に設置されたセンスアンプが電位差をモニターし、判別したデータを出力します。

2. DRAM

DRAMは、一般的に1つのトランジスタと1つのキャパシタを基本のメモリセルとして、1つのキャパシタに1ビットのデータが記録されます。データの書き込み時は、ワード線の電位をHighにしてトランジスタをON状態にすると、ビット線がHのときキャパシタが充電されます。

DRAMのデータは、キャパシタに電荷が蓄えられている状態が1、電荷がない状態が0と判断されます。書き込み動作後、ワード線をLowにするとトランジスタはOFF状態になる、キャパシタの電荷は保持されます。データの読み出し時は、ワード線をHighにしてトランジスタをON状態にすると、キャパシタの電荷の有無に応じてビット線の電位が変化し、ビット線の端に設置されたセンスアンプが微細な電位差を感知してデータを読み出します。

なお、DRAMには、キャパシタに蓄えられた電荷が時間の経過とともにリークして減少する特徴があります。そのため、一定時間おきにデータを読み出してそれを再度書き込むリフレッシュ動作が必要です。 

RAMの選び方

SRAM (Static RAM) とDRAM (Dynamic RAM) は、データを一時的に保持するための半導体メモリ技術です。これらの技術は異なる特性を持つため、用途や要件に応じて適切な選択が重要です。以下の観点からSRAMかDRAMかを選びます。

1. 速度

SRAMはDRAMよりも高速です。CPUキャッシュなど、高速性が重要な用途で使用されます。一方、DRAMは比較的遅いですが、一般的なメインメモリ用途に適しています

2. 消費電力

SRAMはDRAMに比べて消費電力が低いです。低電力消費が重要なアプリケーション(例: 組み込みシステムやIoTデバイス) ではSRAMが適しています。

3. 容量

DRAMはSRAMに比べて大容量で安価です。大量のデータを扱う必要がある場合 (例: パソコンやサーバー) は、DRAMを選択します。

4. データ保持

SRAMは電源が入っている限りデータを保持できますが、DRAMは一定時間ごとにリフレッシュが必要です。データ保持の安定性が重要な場合はSRAMが適しています。

5. 信頼性

SRAMはDRAMに比べて信頼性が高く、環境条件や製造プロセスのばらつきに対しても強いです。信頼性が重要な用途 (例: 軍事、宇宙、産業用途) ではSRAMが適しています。

6. 価格

DRAMはSRAMよりも一般的で、生産量が多いためコストが低いです。予算に制約がある場合や、大量のメモリが必要な場合はDRAMを選びます。

 

SRAMは高速性、低消費電力、データ保持の安定性、信頼性が重要な用途で選ばれることが多いです。一方、DRAMは大容量かつ安価なメモリが求められる場合に適しています。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/memory
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/69/11/69_11_1347/_pdf

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