ラマン顕微鏡についての概要、用途、原理などをご説明します。また、ラマン顕微鏡のメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ラマン顕微鏡関連企業の2023年08月注目ランキングは1位:レニショー株式会社、2位:日本電子株式会社、3位:株式会社堀場製作所となっています。
ラマン顕微鏡 (または顕微ラマン) とは、ラマン分光装置と光学顕微鏡を組み合わせた測定機器です。
化学構造や分子間相互作用、結晶性などの物質に関する詳細な情報を非破壊で分析できます。ラマン分光装置と顕微鏡を組み合わせることで、測定対象を顕微鏡で観察して選んだ箇所を測定したり、組成の分布を可視化した画像を得ることが可能です。
ラマン分光法は化学結合に基づいているため、測定によって以下の情報を得ることができます。
ラマンスペクトルは物質ごとに固有であるため、迅速に物質を識別したり、他の物質と区別するために使用することができます。また、ラマン顕微鏡は多くの異なるサンプルの分析に使用することができます。 一般的には、金属や合金の分析には適さず、以下の分析に適しています。
ラマン顕微鏡が使用されている代表的な例としては、下記の通りです。
図1. ラマン顕微鏡の構造
ラマン顕微鏡はラマン分光装置と顕微鏡を組み合わせた測定機器で、上図のような構造をしています。
レーザー光源からの照射光は、顕微鏡の対物レンズを通して試料に導かれ、試料に照射されます。試料から発生した散乱光を対物レンズで集光し、レイリー光カットフィルターを通してラマン散乱光のみを検出します。
図2. ラマン散乱
物質に光を照射すると散乱現象が起きます。生じた散乱光のほとんどは照射光と同じ波長のレイリー散乱光ですが、一部、照射光と波長がわずかに異なった散乱光が含まれており、この散乱光をラマン散乱光といいます。
ラマン散乱光には、照射光の波長よりも波長が長いストークス散乱光と、波長の短いアンチストークス散乱光の2種類がありますが、一般的なラマン顕微鏡ではより強度の強いストークス散乱光を測定します。
ラマン散乱光は、照射光が物質と相互作用した結果生じるもので、レイリー散乱光とラマン散乱光の波長差が照射された物質の分子振動のエネルギーに相当します。このとき、ラマン散乱が起こる分子振動は、ラマン活性のある振動モードのみであることが知られており、分子構造からラマン活性な振動モードの推測やシミュレーションをすることが可能です。
分子の振動を利用した類似の分析装置として赤外分光光度計がありますが、測定できる分子振動に違いがあり、相補的な分析装置となっています。
分子の種類や結合状態の違いによって分子振動のエネルギーが異なるため、異なったラマンスペクトルが得られます。ラマンスペクトルのピーク位置と相対的なピーク強度を既知の物質と比較することで物質の同定が可能です。また、次のような解釈をすることで定性分析にもよく利用されます。
スペクトルの強度が濃度に比例することを利用して定量分析も可能です。
図3. (a) レーザー照射による蛍光発生の影響 (b) レーザー照射による劣化
ラマン散乱光はレイリー散乱光に比べて弱いため、ある程度のレーザー光の強度が必要ですが、そのレーザー光によって問題が生じる場合があります。レーザー光の波長が測定する分子の吸収領域と重なっている場合、分子が蛍光を発してラマンスペクトルのバッググラウンドが上昇し、得たいスペクトルが埋没します。
これを避けるためには、露光時間などの測定条件の調整、焦点深さの調節、分光スリットを絞る、共焦点フィルター (DSF) を用いるなどの対策をとる必要があります。他にも、レーザー光源を変えることで蛍光を抑制することができます。
有機物などでは一般的な532 nmのレーザー光を用いると蛍光が生じる場合が多いため、785 nmなどのより長波長のレーザー光が選択されることがあります。ただし、長波長のレーザー光に変更する場合には、分光器や検出器によっては感度が極端に低下することがあるため注意が必要です。
測定対象が有機物やカーボン材料などの場合には、レーザー光の強度と照射時間によっては、測定物質が “焦げて” 劣化することがあります。測定物質の劣化を防ぐには、レーザー強度をさげる、露光時間を短くするなどの測定条件の調整で対応することができます。
また、カーボン材料の一部などは、照射したレーザー光によって反応を起こす光反応性を持つものがあります。このような材料には、同様の測定条件の調整で対応することができる他、レーザー光の波長を変えることで光反応を抑制することができます。
ラマン顕微鏡の感度や分解能の向上を目的に、様々な手法が開発されています。
表面増強ラマン (SERS) 、チップ増強 (TERS) などは、金属表面で起こる局在表面プラズモン共鳴という現象を利用しており、ラマン散乱光の強度が大きく測定でき、より高感度、高空間分解能の測定が可能になっています。
コヒーレント反ストークスラマン散乱 (CARS) 、誘導ラマン散乱 (SRS) は非線形ラマン散乱の種類で、2つの波長の異なる光を同時に使用することで、何桁も高い信号強度のスペクトルを得ることができます。
他にも、ビームスプリッター等を用いることで、1度のレーザー照射で直線状や面状にラマンスペクトルを取得でき、ラマンイメージングがより迅速に行える技術も開発されています。
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ラマン顕微鏡のカタログ一覧はこちら企業
レニショー株式会社 株式会社東京インスツルメンツ 株式会社アントンパール・ジャパン*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年08月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | レニショー株式会社 |
18.6%
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2 | 日本電子株式会社 |
14.0%
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3 | 株式会社堀場製作所 |
11.6%
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4 | オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社 |
9.3%
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5 | ブルカージャパン株式会社 |
9.3%
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6 | MSHシステムズ株式会社 |
9.3%
|
7 | サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 |
7.0%
|
8 | 株式会社池田理化 |
7.0%
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9 | 株式会社ルシール |
4.7%
|
10 | セラミックフォーラム株式会社 |
2.3%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年8月のラマン顕微鏡ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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ラマン顕微鏡6製品が登録されています。
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企業
レニショー株式会社 株式会社東京インスツルメンツ 株式会社アントンパール・ジャパンラマン顕微鏡 XploRA PLUSは、共焦点光学系を用いることで空間分解能をサブミクロンスケールまで向上させたラマン顕微鏡です。鉱物や細胞・品質管理から研究開発まで、さまざまな用途や材料の顕微鏡観察に利用されています。
モーター式ステージと組み合わせて使用することにより、ポイント分析のみならずマッピング測定にも対応可能です。コンパクトな設計ながら、レーザーの自動切換え機能やオートキャリブレーション機能など、操作性を高める機能が多数実装されています。
レーザーラマン顕微鏡は、幅広い倍率における空間分解能を高めた製品です。100倍の高倍率条件では350nmと回折限界並みの空間分解能を達成しており、100nm以下の異物に対しても高い検出感度を誇ります。
ライン状のビームを用いる独自の走査法によって画像の取得速度が数百倍に上がっているため、測定時間の大幅な短縮が可能です。また、レーザーによる走査を採用したことで測定したい位置を画像のクリックのみで指定できるようになり、操作性が改善されています。
DXR3xi イメージング顕微ラマンは、イメージング測定に特化して開発されたラマン顕微鏡です。独自に開発したサンプルステージと検出器を活用することでイメージングの積算を可能としており、高速イメージング・高分解能イメージングのいずれにも対応できます。
イメージング能力だけでなく操作性も良好で、ライトユーザーでも専用のソフトウェアを用いて直感的に操作可能です。
従来機では難しかったイメージング取得中の多変量解析・プロファイルの変更などが行えるため、アプリケーションの幅が広がっています。