バイオとは

バイオとは、多様な生物(細菌・ウイルスなどを含む)や細胞などを研究する生物学で得られた知見を応用し、新しい技術や製品を開発する取り組みです。
バイオテクノロジーの分野
このバイオ関連の技術は様々な分野で応用されています。
- 製薬
従来、人の身体を治療するのは化学反応で作られた化合物でした。しかしこの化合物は異物なので体内で積極的に分解・排出されるので成分が有効な期間は短いです。一方、バイオテクノロジーの産物である「抗体医薬」は体内にも存在するたんぱく質を利用するので、有効性が長期間持続すると言われています。
- 農業
農業の分野では、長らく化学合成された農薬を活用していました。しかし、これらの農薬は害虫だけではなく人間にも悪影響を及ぼします。ある微生物が作る化合物が害虫にのみ効果をもつことが分かりました。微生物由来の成分なので自然に分解されるので人体にも優しく、バイオ農薬と呼ばれています。
- 建築
建築分野では特殊な微生物を中に封じ込めた「自己修復コンクリート」というものが開発されています。このコンクリートは、あらかじめ混ぜ込まれたバクテリアが炭酸カルシウムの結晶を作りコンクリートの亀裂を補修する機能を備えています。
- エネルギー
石油資源の枯渇が叫ばれる中、人類は新たなエネルギー源を求めています。微生物の力で、捨てる予定の間伐材などを発行させて可燃性のガスを生成して、発電に利用する取り組みが進んでいます。
バイオ研究で利用する主な設備の種類
バイオのテクノロジーの研究にあたって必要な設備をご紹介します。
- 培養装置(CO2インキュベータ)
バイオの研究では、酵母や大腸菌などの微生物、ヒトや動物の細胞を増殖させて利用しています。細胞を培養させるためには、その細胞が元々いた環境に近い温度やpHで育てる必要があります。例えばヒトの細胞なら体内に近い37 ℃、pH 7.0(中性程度)が望ましいです。多くの培養装置がCO2の濃度を使って培養液のpHを調整する仕組みになっているため、CO2インキュベータと呼ばれています。
- 培養容器
上記の培養装置に直接細胞が入った液体をいれてはいけません。コンタミネーションといって雑菌繁殖につながるためです。そのために、細胞が入った液体を入れる培養容器が必要になります。ガラスシャーレ、シャーレや培養液が入ったフラスコを回転させて酸素を供給する振盪機など様々な種類があります。
- マイクロマニピュレータ
細胞を培養するのは細かい作業が必要なので、少量の液体を精度よく吸い出すことができるマイクロマニピュレータを使って作業を行います。サイズも1 μL~5000 μLと様々です。
- ピペットチップ
細胞を培養するには清潔さを保って作業することが必要なので、マイクロマニピュレータの先についている吸い出し口を都度使い捨てて作業を進めます。その使い捨て吸い出し口をピペットチップと呼びます。
- PCR
バイオ研究では、細胞のもつ遺伝子を分析したり細胞に組み込むための遺伝子を増やしたりする必要があります。その遺伝子の増幅を、自然に存在する遺伝子の複製機能を応用して実現したのがPCR法です。
- 超音波ホモジナイザ
細胞の中身を分析するためには一度細胞を粉砕する必要があります。その際に、細胞を砕くために使う設備が超音波ホモジナイザです。細胞を砕くとしても細胞の内容物を壊すわけにはいかないので、水を加熱することなく粉砕できるこの手法が一般的です。
- ELISAキット
細胞がどのようなタンパク質を分泌しているかを分析する技術がELISA法です。この手法に必要な抗体がついたプレートや蛍光物質つきの抗体がまとまっているのがELISAキットです。
参考文献
・Futureco製品HP「バイオ農薬」
https://www.futurecobioscience.com/ja/products/biopesticides/
・建材試験情報 2010年12月号 三橋 博三著「自己治癒・自己修復コンクリート」
https://www.tsp-co.com/seihinitiran/01TSCF/siryou/jikotiyu01.pdf