コーティング装置

コーティング装置とは

コーティング装置

コーティング装置とは、物や表面を特定の物質で覆うための装置です。

コーティングとは、物体の表面を定着可能な素材で覆うことです 。食品加工分野ではコーチングと呼ばれることもあります。対象物の形状、材質、コーティング素材に応じて最適な装置を選択します。薄膜コーティング装置の場合、小型、大型、R&D用、量産用などを考慮し、場合によっては特別注文でカスタマイズすることも視野に入れます。

コーティング装置の使用用途

コーティング装置は、自動車、航空機、精密機器、金属、食器、食品、医療品など使用される分野は多岐に渡ります。

フライパンなど食品加工機器へのテフロンコーティング、自動車・航空機などの電子基板の防湿剤コーティング、お菓子・ペットフードなどの食品加工コーティング、薬の錠剤コーティングなど様々な用途で使用されます。

コーティング装置の原理

コーティングは表面処理のひとつで、製品の表面に薄い膜を付着させる成膜技術のことです。コーティングは蒸着加工とよばれ、蒸着加工は蒸着材料を蒸発、気化させたものを製品の表面に付着させて薄膜を形成できます。

一般的に蒸着加工により、表面の強度を高めることができ、ほかにも装飾性、光の特性 (反射・透過) 、機能性を製品に付与することができます。蒸着材料には、金、銀、アルミニウム、クロム、ジルコニアなどの様々な種類があり、それらを気化し製品の表面に薄膜としてコーティングさせています。

コーティング装置の種類

フッ素樹脂をコーティングするテフロンコーティング装置、銅箔にフォトレジストをコーティングするPRコーティング装置、DLCダイヤモンドライクカーボン膜がベースのPVDコーティング装置、食品の攪拌や味付けをする食品コーティング装置、真性カーボン膜をコーティングするICF成膜装置、ダイヤモンドライクカーボン膜を使用するDLC成膜装置などコーティング対象物やコーティング素材によって様々なコーティングがあります。

1. DLC装置

DLC (ダイヤモンド・ライク・カーボン膜) をコーティングするための装置です。DLCとは、アモルファス 構造の炭素薄膜 (ダイヤモンドとグラファイトのsp3/sp2結合を有する膜) のことです。ナノレベルの薄さでコーティングが可能で、対象物に非常に高い硬度と耐摩耗性を付加できます。

切削工具、金型、パンチ、各種機械部品を長持ちさせるために使用されます。コーティングされた工具を使用することで、仕上りの向上やアルミ加工の溶着防止などの効果も期待できます。気化を利用したPVD (物理蒸着) 方法では水素を使用せず成膜が可能です。

真空中において特殊なイオン源によりC6H6 (ベンゼン) をプラズマ中で分解してダイヤモンドライクカーボン膜を生成します。マルチイオン源によるプラズマエリアの制御と基板回転機構により、複雑形状物へも均一で密着力の強いコーティングを行います。ダイヤモンドの性質に近い高硬度 (マイクロビッカース硬度2,000~4, 000) 、低摩擦係数 (μ=0.2以下) 、表面平滑性及び耐溶着性・離型性に優れるという特徴があります。

2. 食品加工における流動層式コーティング装置

コーティングは化学品や塗装だけでなく、食品加工にも使用されます。流動層式コーティング装置は、バレル式研磨機の流動層を応用して開発されたコーティング装置です。研磨機がもつ研磨技術をコーティング技術に応用したものです。

流動層に傾斜をつけることにより過流動を可能にし、様々な流動を作り出すことができます。短時間で均一にコーティングが可能で、少ない人員で高品質の食品加工が可能です。

3. 基盤コーティング装置

基盤に防湿絶縁素材などをコーティングするための装置です。従来装置によるコーティングでは、機器の基盤以外の部分にもコーティングしてしまうことが課題でした。基盤コーティング装置では、マスキング作業が不用でプログラムがコーティング範囲を自動で検出します。スプレーで噴霧することにより広範囲からスポットまで効率よくコーティングできます。

4. 窒化チタンコーティング装置

PVDコーティングでよく使用されるコーティング装置です。硬度や耐熱性を付加する際、バランスの良いコーティングが可能です。特に耐摩耗性に優れているため、工具や金属などのコーティングに向いています。密着性が高く、他のセラミック素材の下地として使用されることもあります。

注意点は、コーティング前に対象物を十分に洗浄する必要がある点です。表面から発生する汚れや錆がコーティング成分と結合することで、剥がれ、密着性の低下、変色などの原因となります。また、高温の真空層内でコーティングするため、樹脂材料などには注意して取り扱う必要があります。

コーティング装置のその他情報

コーティング装置の特徴

蒸着加工の特徴として金属やアルミなどの非鉄材、樹脂等幅広い素材に対応できます。代表的な表面処理に電気メッキは電流により表面処理を行うことからアルミや樹脂などの導電性がない製品でも、蒸着加工であれば蒸着材料や製品に電流による負荷を与えることなく、蒸着することが可能で製品への負担が少なくなります。

参考文献
https://www.nanotec-jp.com/NANOCOAT
http://www.seto-eng.co.jp/tab/05.html
http://www.kurimoto.co.jp/product/item/ContinuousFluidBedDryingSystem.php
https://www.shimadaappli.com/products/products2/
https://www.tipton.co.jp/coating/principle/
https://www.kenko-tokina.co.jp/mmf/titanium.html

コントロールボックス

コントロールボックスとは

コントロールボックス

コントロールボックスとは、制御関連機器をカバーし収納するためのボックスのことです。

収納する機器や収納目的、使用場所によって形や素材など、目的に沿った製品が多種多様にあります。また、制御ボックス、フレームボックス、ディスプレイボックス、通信プラボックス、電気ボックス、防水キャビネット、開閉プラボックスなど、使用目的や材質によって用いられる名称もさまざまです。

機密性を求める製品や水に強い製品、錆に強い製品など、要望に沿った製品加工をカスタマイズすることができます。

コントロールボックスの使用用途

コントロールボックスの使用用途は、その収納するものの用途 (使用環境、収納機器の内容) に応じて、非常に多岐にわたっています。

具体的な使用用途は、以下のとおりです。

  • 通信機器や携帯電話通信用の基地局、屋外アクセスポイントなど通信用途
  • ブレーカや制御ユニット、電気工事用プルボックスなどの電気電力制御用
  • FA用コントロールボックス、スイッチボックス、産業設備などの産業機器
  • 太陽光発電接続箱、屋外用測定器や通信機などの屋外設備
  • 端子台接続箱、工作機械の電力ケーブル接続など

コントロールボックスの原理

コントロールボックスは、内蔵する設備を周囲の環境から保護し、使用状態が一目でわかるように、さまざまタイプが用意されています。そのため、その使用環境や用途に適したボックスを選定することが大切です。

コントロールボックスの材質は、一般的にステンレスや鉄、スチール、アルミニウムですが、用途によっては硬質樹脂やプラスチック製のものもあります。構造や仕様で重要な項目としては、信頼性の確保のために防水、防塵機能や気密性があげられますが、使用される環境によっては、防爆機能が必要です。

電気的な設備の導通が必要な場合が多く、金属製のタイプや配線用の穴が必要で具備されているものもあります。特に経路のON/OFFスイッチボタンとその表示がコントロールボックスの前面パネルに搭載されたものは、スイッチボックスとも呼ばれます。

コントロールボックスのその他情報

1.コントロールボックスの防爆性能

コントロールボックスの重要な性能の一つが防爆性能です。防爆性能とは、使用される周囲環境が例えば引火しやすいガスや薬品を扱う現場 (=防爆エリア) である場合に、内蔵されている電気配線機器が何らかの理由で電気的に短絡し火花などを発生しても、周囲ガスへの引火や爆発が発生しないように抑制するための指標です。

防爆設備に関しては、労働安全衛生法や消防法、電気事業法などの各種法律でその設置義務が定められており、コントロールボックスの使用環境によっては防爆性能に留意する必要があります。

2. コントロールボックスのON/OFFスイッチ

工場の現場でのFA産業機器には、作業者による誤動作に伴う労働災害の発生の抑制のために、FA産業機器の主要動作に関するON/OFF用キノコ型のボタンをわかりやすく配置されています。また、緑や赤色の状態の表示灯を具備したものが多いです。

このコントロールボックスは特に「スイッチボックス」とも呼ばれ、内蔵されたモーメンタリースイッチと一緒に広く製品化されています。そのほか、電力関係の制御ボード内蔵のコントロールボックスも前面にON/OFFのスイッチを具備したものや、流れる電流値や印加電圧を一目でわかるようにインジケーターを搭載したものもあります。

特に重要な機器は、ボックス扉の開閉が施錠可能です。このコントロールボックスは、鍵または暗証番号、暗証カード認証などで扉を開閉できるタイプが多いです。

参考文献
https://www.takachi-el.co.jp/
https://www.takachi-el.co.jp/

シールドルーム

シールドルームとは

シールドルーム

シールドルームとは、電気電子機器に悪影響を及ぼす外部からの電磁波や磁場の影響を遮断し、さらに外部に電磁波や磁場をもらさない構造に設計された部屋のことです。

電気を使用する電子機器は、電磁波を発生しているため、常に電子機器や装置はさまざまな電界の影響を受けています。また、その周りに対して影響を与えている可能性も高いです。その電磁波の影響を排除するのが、シールドルームの大きな役割です。

シールドルームは、金属や金網等の導電体で覆われています。新築時から施工し、既存の場合は内部に組み立て可能なパネルを組み立てて施工する場合もあります。使用する目的や計測内容、設置したい場所。環境等に応じた設計となっています。

シールドルームの使用用途

シールドルームは、電磁波の悪影響を排除したい場合に用いられます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • MRIや脳磁図、心磁図のような生体磁場の計測機器を設置した計測室
  • 機密に係わるコンピュータールーム
  • 電磁妨害波の測定室や影響を除いた信号評価を行う実験室
  • 録音スタジオ

精密機器や電子機器などの製品開発や品質管理を行う環境を整備するために使用します。また、施設内部の機器や装置から発生する電磁ノイズ (不要電波) によって、施設外部の機器や装置に影響を与えないよう対策をする場合などにもシールドルームは用いられます。

シールドルームの原理

電磁シールドは、金網や金属板などの導電性材料が電磁波を反射する性質を利用しています。この導電性材料で覆った部屋が、電磁シールドルームです。

電波シールドルームを製作にあたって重要なことは、空間の発生する電磁波や外部から影響される電磁波をシールドするだけではなく、双方から漏洩する電波ノイズをシールドすることです。特に開口部 (扉・窓・空調口など) のシールド処理がポイントになります。

目的および扱う周波数範囲によって、シールドルームは以下の3つに分類できます。

  • 静電シールド用
    室内の電位を一定に保つためのシールドルームです。 (脳波室や聴力検査室など)
  • 磁気シールド用
    一般に地磁気~10kHzのシールドルームです。
  • 平面電磁シールド用
    10kHz~40GHzのシールドルームです。 (電子機器のノイズ実験室や無響室、録音スタジオなど)

EMC対策におけるシールドは、電磁シールド用指すことが多いです。電子機器のEMC対策やイミニティ対策には、電磁シールドが多く利用されます。

シールドルームのその他情報

1. シールドルームと電波暗室の違い

シールドルームは、電磁波を遮蔽するために、扉や空調、電源などにいたるまで部屋全体をシールドしているのが特徴です。それに対して、電波暗室はさらに内部に電波吸収体を張って、電波の反射を完全に抑制しています。

電波吸収体は、スポンジ状のとげのある形状をしており、炭素の粉やフェライト成分を含んでいます。電波吸収体を部屋全面に張ることで、電磁波に関する入射波をおよそ10万分の1程度まで減衰可能です。電波暗室で電磁波は存在できず、電波無響室と呼ばれることもあります。

2. 電波暗室でのアンテナ評価

シールドルームは妨害波やノイズの遮断により、対象となる信号自体の高品位な評価が主目的なのに対して、電波暗室では電磁波が反射しない性質を利用して、アンテナの放射試験がよく行われています。

ミリ波含めての移動体通信や車載レーダーやセンシング技術には、電波の指向性試験は欠かせません。アンテナの放射ビームの形状やアンテナそのものの電気的な特性を評価する際に、電波暗室は欠かせない環境です。

3. シールドボックスや電波暗箱

電波暗室は非常に大掛かりな装置であるため、メンテナンス含めコストがかかります。シールドルームの場合、電波吸収体の分のコストは抑制されますが、それでもそれなりのコストを有するため、対象となる評価規模によっては、シールドボックスも広く用いられています。

大きさが手軽なため、同様に電波暗箱タイプも評価用途に応じて広く扱われています。

参考文献
https://www.noe.co.jp/technology/07/07ane1.html
https://cend.jp/emc_primer/product/sroom.html

シクネステープ

シクネステープとは

シクネステープとは、物と物との間 (空間・間隔・隙間・厚さ) に用いられるテープです。フィラーテープとも呼ばれ、必要な寸法に切って使用できます。

用途によって材質、厚さ、幅を選択する必要があり、特殊なテープの製作も可能です。シクネスとは日本語で「厚み」を指しています。似た名前でシクネスゲージがありますが、こちらはリーフ状の止金になっており、自動車および電動機や機械の組立・調整・検査などで使用されます。 

シクネステープの使用用途

1. 産業用途

産業分野では、シクネステープは材料の保護や絶縁などの用途に使用されます。高温や化学薬品に対する耐性が求められる場合もあり、機器や部品の保護や絶縁材料として利用されます。

2. 自動車産業

自動車産業では、シクネステープは振動や騒音の軽減、車体の保護、部品の固定などに使用されます。また、車内やエンジンルームの断熱材としても活用されています。

3. 電子機器

電子機器の組み立てや修理において、シクネステープは配線の固定や保護、部品の絶縁などに使用されます。電子機器のコンパクト化に伴い、シクネステープの需要も増加しています。

4. 建築分野

建築業界では、シクネステープが建材の絶縁や保護に使用されることがあります。防水や断熱材の固定、窓枠やドアのシーリングなど、さまざまな部位で活用されています。

5. 航空宇宙産業

航空宇宙分野では、軽量かつ高い耐久性を持つシクネステープが需要です。航空機や宇宙船の部品の固定や保護、防振材として使用されています。

シクネステープの原理

1. 粘着力

シクネステープの主要な特徴はその高い粘着力です。この粘着力は、接着剤が物質表面に弱い化学結合を形成することで実現されます。この化学的な結合は、分子同士の相互作用力によって引き起こされ、物質同士を結びつけます。

2. 表面エネルギーの適合

シクネステープの接着剤は、接着対象の表面エネルギーと相互作用する能力を持っています。表面エネルギーの適合により、接着剤は物質表面に密着し、強力な接着を実現します。これにより、さまざまな種類の材料同士でもしっかりと接着することが可能です。

3. 弾性と柔軟性

シクネステープは、多くの場合、伸縮性や柔軟性が要求される状況で使用されます。接着剤の特性によって、シクネステープは変形や伸縮に対して適切に応じることができます。これにより、曲面や複雑な形状にも対応可能な強力な接着が可能です。

4. 耐久性

シクネステープは、環境要因や外部からの力に対しても耐久性を持つ必要があります。接着剤の選択や設計によって、シクネステープは高温や湿度、化学薬品に対して耐性を発揮し、長期間の使用に耐えることができます。

5. 取り外し性

シクネステープは適切な条件下で取り外し可能であることも求められます。接着剤の特性を調整することで、必要な時に簡単に剥がすことができるシクネステープも開発されています。

シクネステープの種類

ステンレスやSK、チタンなどがありますが、厚みにより真鍮  (BS) 、 (CU) 、リン青銅の製作も可能となります。一般的な幅は「12.7mm」になります。厚さ (mm) の展開例として東京シクネス株式会社のシクネステープは以下の通りです。

1. SK焼入製

0.01, 0.02, 0.03, 0.04, 0.05~0.40, 0.45, 0.50, 0.41~0.99, 0.55~1.00

2. シクネス製

1.10~2.00, 2.10~6.00

3. SUS製

0.005, 0.01, 0.015, 0.02, 0.025, 0.03, 0.035, 0.04, 0.045, 0.05~0.15, 0.20~0.50, 0.45, 0.60~1.0, 1.20, 1.50, 2.0

参考文献
http://www.r-s-k.co.jp/new1014.html
http://tsk-
https://shim-and-gauge.co.jp/feelergauge.html

ショットブラスト

ショットブラストとは

ショットブラスト

ショットブラストとは、砂やガラス球、鋼球やセラミックスのなど、メディアと呼ばれる投射物を、金属などの加工物表面に高速で打ち付ける表面処理の方法です。

単にブラストと呼ばれることもあります。ショットブラストの主な目的は、錆の進行を抑制して、塗装の品質を長く保つための耐久性向上です。ショットピーニングは、以下の3つの効果があります。

1. 錆・汚れを除去する清浄化

一つ目の効果は、処理する製品の表面の錆やスケールを落とす効果です。再塗装する際に、古い塗装を剥がして表面を清浄化するために行われることもあります。

2. 塗装や接着前の下地処理

ショットブラストは塗装、めっき、接着を行う前の下地処理として行われます。ショットブラストによって表面が粗くなると、塗装、めっき、接着剤との密着性が高くなります。

3. 耐久性の向上

金属材料には、加工することで硬くなる加工硬化という現象が起こります。ショットブラストを施すと、表面層の狭い範囲に加工硬化が生じ、部品の耐久性を向上させることができます。

ショットブラストの使用用途

ショットブラストは鉄工、造船、建築業界などで行われています。これらの目的は、長期間に渡って、錆などの腐食などを防ぐことが求められる部材に対して行われます。

例えば、船舶の構造を支える骨材、河川や海に掛かる橋梁、マンションやビルといった建物など、潮風、海水、風雨に対して高い耐久性が求められる部材に対して、ショットブラストが行われます。その他にもショットブラストは、電力プラント、ガスタンク、海洋構造物などにも施されており、その分野は幅広いです。

ショットブラストの原理

ショットブラストには、ミルスケールの除去と塗料との密着性向上の2つの原理があります。

1. ミルスケールの除去

ミルスケールとは、鋼材の表面にある鉄の酸化物の層のことです。このミルスケールを残したまま塗装を行っても、塗装の下から錆が発生してしまいます。そこで、塗装前にショットブラストを行いミルスケールを除去しておくことで、塗装の下から錆が進行しないように抑制できます。

2. 塗料との密着性向上

ショットブラストによって表面に凹凸ができると、くさび効果によって鋼材と塗料との密着性が向上します。

ショットブラストの実施方法

ショットブラストには稼動方法によって、手動式と自動式があります。

1. 手動式

手動式は手持ちのエアーガンで行います。大型な工作物で自動化が難しいものや、形状が複雑なものであっても、表面全体にショットブラストを施すことが可能です。

2. 自動式

自動式は大型以外の製品を大量に処理する場合に向いています。自動ショットブラストマシン内に製品を入れて、一度に大量の製品を処理します。製品の供給方法はローラーコンベヤを使うもの、ハンガーに製品を吊り下げるもの、回転テーブルを使うものがあります。処理する製品の形状や処理数によって、適切な選定が必要です。

ショットブラストのその他情報

ショットピーニングとの違い

ショットブラストに類似した表面処理に、ショットピーニングがあります。ショットピーニングも、メディアを製品の表面に投射する表面処理技術の一つです。

ショットブラストとショットピーニングの違いは、処理の目的の違いです。ショットブラストが主に錆の進行を抑制するなど、外観や耐食性の機能向上を目指しているのに対し、ショットピーニングの目的は材料強度の向上です。

金属材料には塑性変形すると硬くなり、材料強度が向上する加工硬化という現象が起こります。また、ショットブラストによって表面に残留圧縮応力が発生することで、製品の強度が高まります。結果的に部品の疲労強度、耐摩耗性、耐応力腐食割れ性が向上するわけです。

例えば、自動車部品では、エンジンやモーターの出力を伝える歯車の強度と耐摩耗性が向上します。ショットピーニングによって、従来よりも歯車部品を小型・軽量化したり、更に出力が大きいエンジンに適用するための強化方法として、ショットピーニングは採用されています。

参考文献
https://shotblast.info/basic-knowledge/#i-9
https//www.blast.co.jp/index.php/top

ターニングセンタ

ターニングセンタとは

ターニングセンタ

ターニングセンタとは、NC旋盤を複合化させたNC工作機械のことです。

回転工具やATC(自動工具交換装置)など、旋盤にはない機能を多数搭載されており、フライス加工や偏心穴あけ加工なども可能となります。

一般に、NC旋盤でできる加工は旋削と簡単な中心穴あけ加工のみです。そのため、フライス加工が必要な場合は、その都度工作物を外してフライス加工機に固定するという作業が必要になります。ターニングセンタではそのようなことがないため、作業効率や生産性の向上が期待できます。

ターニングセンタの使用用途

ターニングセンタは、旋削やフライス、穴あけなどといった何種類かの工程がある工作物の加工に使用されます。段取り替えなしで一気にこれらの加工を行えるため、加工精度が良く、加工時間も短縮することができます。

また、背面主軸付きのターニングセンタなら、掴みかえにより背面加工も行えます。主軸と背面主軸で位相合わせをすれば、把握する位置も指定することが可能です。

ATCを搭載しているものは複雑な5軸加工も行えます。今も進化し続けるターニングセンタは、近年急速に普及が進んでいます。

ターニングセンタの原理

ターニングセンタには、「NC旋盤ベース」と「マシニングセンタベース」の2種類のタイプが存在します。

NC旋盤ベースは、回転主軸に加えドリルやフライスなどの回転工具用の回転軸が追加されたものです。ベースは旋盤なので、円筒状の工作物の加工に適しています。刃物台は旋回式(タレット)のものが多く、工具交換が容易にできます。

マシニングセンタベースは、回転テーブルなどの回転軸が追加されたものです。5軸加工機としても使われ、複雑な形状の工作物の加工に適しています。

また、ターニングセンタは工作物を自動で供給・排出できるバーフィーダーやローダーを組み合わせることで、完全自動化にも対応できます。

様々な機能が追加されたターニングセンタは非常に魅力的に思えますが、注意しなくてはならないのは機械の干渉です。多くの工具やセンサー、ロボットアームなどが追加されたターニングセンタのツーリングゾーンには干渉の危険が溢れています。少しでもプログラムを間違えると機械が衝突して故障する可能性もあるため、安全点検やプログラムのチェックはとても重要です。

参考文献
https://www.sandvik.coromant.com/ja-jp/knowledge/machine-tooling-solutions/machines/pages/turning-centres.aspx

ハサミゲージ

ハサミゲージとは

ハサミゲージ (Snap Gauges) とは、限界ゲージの一種類で、棒のような物 (軸) を挟むように当てて外径が既定の寸法になっているかどうか測定する工具です。

鋼板で作られた板状のものでスナップゲージとも呼びます。通り側,止り側のふたつの測定端面をもち,対象物をこれにはさんで測定を行います。

重量が軽いので大径の物でも簡単に検査することができます。0〜1000mmの測定範囲と0.01mmの最小表示量を持つのが標準的なものです。形状は片口と両口があり、使いやすさから片口形状が広く使用されています。

ハサミゲージの使用用途

ハサミゲージは自動車業界をはじめ、電機、半導体、制御機器、建築関連など様々な業界で利用されています。特にミクロン単位の精度が求められる製品、ひとつの製品に対して測定項目が複数存在し、検査に時間がかかる製品、少数製品を検査する時使われています。

実例は以下の通りです。

  • エンジンのピストン形状外径計測などエンジン回りの部品点検
  • 自動車内燃機の整備
  • オートバイ改造のパーツ製作
  • 薄板の厚さ確認
  • モーターの軸の点検
  • 精密機械のメンテナンス、工程管理システム
  • 機械部品の採寸、検品
  • 農業機械の修理、
  • シャフト加工、旋盤加工で公差指定がある部分の測定
  • 金属板や刃物の厚み測定

ハサミゲージの特徴

ハサミゲージというのは単純な構造になっていて軸径の寸法許容範囲の最大値をゲージ通り部に、最小値をゲージ止まり部に設定して、軸径が通り部を通過して止まり部で止まったなら寸法許容差範囲内にあるもので、通り部に入らないようだと軸径は過大、止まり部を通過するようだと軸径は過小であるということが簡単に判別されます。

JISに規定されているハサミゲージの材質は、工具鋼の中では使用頻度の高いSK材で、焼き入れ硬度がHRc60~62のものが使われています。焼き入れ硬度がゲージ測定部の耐摩耗性を決めるので、焼入れ硬度と材質の選択は大きな関係があります。

SK材にクロム (Cr) もしくはタングステン (W) を添加したSKS材の場合は、SK工具鋼より サビへの耐性が優れてます。熱処理により、高強度、高硬度、耐摩耗性を持っているマルテンサイト系ステンレス鋼と高硬度に焼入れが可能なダイス鋼もよく使われます。製造工程や検査工程において信頼を得るためにはJIS校正証明書やトレーサビリティ体系図付のゲージを選びます。

参考文献
https://miwa-sokuhan.com/category/hasamiworld/
http://k-rt.sakura.ne.jp/products/handheldgauge/snapgauge/
http://www.eonet.ne.jp/~geiji/hasami_gaisetu.html

パワーリフター

パワーリフターとは

パワーリフター

 

パワーリフターは主に工場や倉庫など重い荷物を動かす必要がある場所で使用されています。

パワーリフターは重い物を持ち上げることに使用されますが、重い物を単純に運ぶことにも使用できますので汎用性が高いリフタです。パワーリフターを使えば大体人の頭くらいの高さまで物を持ち上げることができますので倉庫の整理などに便利です。

原料や荷物など常に重い物を運んでいる工場や倉庫などではフォークリフトが使用されますが、フォークリフトを使用するまでもなければ大抵パワーリフターが設置されています。

パワーリフターの使用用途

パワーリフターは最大積載能力が1,000kg程度のものまであり、人間が持ち上げられないような非常に重い物も持ち上げることが可能です。

倉庫では荷物の整理の際の荷物の棚への積み下ろしに使用されたり、トラックで納入された際の物品の搬入などに使用されたりします。大きな工場になれば大抵はフォークリフトがありますのでフォークリフトを使用しますが、フォークリフトを持つまでもない中小の工場や開発拠点などでは大抵パワーリフターが設置されています。

パワーリフターの原理

パワーリフターは油圧によりフォークの上昇を行いますが、このフォークの動作には手動と電動の二種類があります。

手動のパワーリフターは電源が不必要という利点がありますが、リフトを上昇させる際には手でレバーを動かす必要があります。比較的軽い物品なら難なく持ち上げられますが、重い物になれば持ち上げる際に手が疲れてしまいます。一度の作業ならいいのですが、一日に何度も使用するのであれば腕に負担がかかってしまいます。

一方のバッテリー式のパワーリフターはバッテリーを使用しますので充電が必要ですが、昇降はモーターにより行われますので手を使う必要がなく、腕に負担がかかりません。さらに、軽い物品なら手動よりも倍程度のスピードで持ち上げられますので作業効率が高くなります。

重い物を楽々と持ち上げられるパワーリフターですが、それほど大きくはないのでエレベーターにも載せられるものもあり、小回りも利きますのでたくさんの機械類や機器類が設置されているような場所でも目的地まで荷物を運ぶことができます。

参考文献
http://www.opk.co.jp/product/detail.php?seq=9

ブローチ盤

ブローチ盤とは

ブローチ盤 (英: broaching machine) とは、ブローチと呼ばれる工具を使用して切削加工を行う工作機械です。

ブローチは、寸法順に配列した多数の切れ刃を持つ長い総形工具です。油圧などの力を利用してブローチを加工ワークに向かって押したり引いたりすることで、ワークの内面や表面を荒加工から仕上げまで一連の工程を行えます。

生産性にすぐれた加工方法で、自動車部品の製造や各種機械部品の多量生産に広く使われています。一方、一般的な汎用機械加工設備に比べて設備費用は高額になるため、少量の生産には不向きです。

ブローチ盤の使用用途

ブローチ盤による加工は、エンジンの部品や歯車のキー溝を彫るのに必要な加工方法です。そのため、自動車や飛行機の部品製造などによく使われます。特にスプロケット、スプライン、歯車などを製造する際に使用される場合が多いです。

ブローチ加工は、大きく分けると、ワークの表面を決まった形状に切削する表面ブローチ加工と、内側の穴に貫通させる内面ブローチ加工の2種類があります。

ブローチ加工では、穴加工やキー溝加工、スプライン加工、六角加工・六角穴加工・四角加工・四角穴加工などのその他加工が行われます。ワークを取り除いた後、ブローチ盤が後ろ握り部を掴んで機械原点に戻ることで、次のワーク加工ができる待機状態になります。

ブローチ盤の原理

ブローチ加工は、ブローチ工具により荒削りから仕上げ削りまで、一度の引抜加工で完成させます。ブローチ加工の加工精度や生産性は、ブローチの設計や精度に依存します。また、ブローチの価格は高額であり、加工部の仕様に対して専用の工具となるため、汎用性はありません。

1刃当たりの切込み量や荒加工から仕上げ加工の条件などは、ブローチの設計に盛り込まれます。ブローチ加工において、適切な切削油の選定も重要です。合わない油を使用すると、加工精度やブローチの寿命を縮めることにつながります。

ブローチ盤の種類

1. 加工による分類

加工によって分類する場合、内面ブローチ盤や表面ブローチ盤、内面・表面とも加工できる両面ブローチ盤があります。内面ブローチ盤は、ワークの穴の内面を削って、仕上げを行います。

表面ブローチ盤は、ワークの表面に溝を形成する場合に使われます。キー溝、スプロケット、スプライン、歯車などを効率・精度良く加工可能です。

2. 構造による分類

ブローチ盤は、構造面から立型と横型の2種類に分類されます。縦型は専有面積が少なく、据え付け面積が少ないので一般的なタイプです。しかし、ブローチを引き抜くようにワークに貫通させるため、ブローチの長さの2倍以上は必要になり、縦長の機械になります。

一方、横型ブローチ盤は、高さに制約がなく、ブローチを引き抜くストロークが大きくとれるため、表面加工に多く使われる方式です。複雑な形状も加工ができます。

3. ブローチの移動法による分類

ブローチ盤は、ブローチの移動方法によって引き型と押し型に分類できます。前者はブローチを引っ張って加工し、後者はブローチを押して加工します。

4. 駆動方式による分類

ブローチ盤は、稼働方式によって油圧式や機械式などに分類できます。中でも特に多いのは、油圧シリンダーによってブローチを動かす油圧式です。

安定した力をブローチにかけられるため、刃に衝撃を与えにくく、工具寿命が長くなることがメリットとして挙げられます。

ブローチ盤の特徴

長所

1. 生産性が高い
複雑な加工を1工程で行えます。例えば、穴の内面加工では、通常、荒加工、中仕上げ、仕上げと3つの工程が必要ですが、ブローチ加工では1工程で仕上げ加工まで可能です。

2. 製品の再現性が高い
ブローチ加工は、複雑な加工を均一の品質で、大量生産できる再現性の高い加工法です。1刃あたりの切込み量や全体の切削量は、ブローチの設計時に事前に設計されており、均一な加工が可能です。

また、ブローチを引き抜く作業に熟練度が必要ないこともメリットとして挙げられます。

3. 他の方法では不可能な加工が可能
ブローチ加工の場合、他の方法では不可能な加工が可能です。例えば、らせん状の切れ込みを有するヘリカル形状は、ブローチ加工以外では製造できない加工です。

また、棒状の内側や外側に、歯車に用いる切込をいれるインボリュートスプラインも、ブローチ加工のみ製造できます。

短所

1. 少量生産では経済的に不利
ブローチ加工は、ブローチが高価であり、ブローチ盤も他の工作機械に比べて高価格です。したがって、少量生産では経済的に不利となります。

2. 底つまりの加工が不可
ブローチは、ワークを貫通させて使用するので、貫通しない底つまりの加工は不可能です。

参考文献
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/kos/broach/index.htm
https://www.sanjokikai.co.jp/product/tool/

磁気計測器

磁気計測器とは

磁気計測器とは、物体の磁力を測定することのできる装置のことです。代表的な磁気測定器としては、「ガウスメーター」、「フラックスメーター」、「マグネットアナライザ」などがあります。磁石の周りには磁界が発生しており、磁束が伸びています。この磁束が影響する範囲の中では、磁力によって物体が反発したり引きつけ合ったりするのです。また、磁力の原理はモーターやセンサなどの身近な場所で多く利用されています。磁力の大きさや方向を正しく調べることは、様々な製品の品質管理において重要な工程なのです。

磁気計測器の使用用途

磁気計測器は様々な場所で利用されますが、用途によって使用する機器が変わります。物体から出る全ての磁束の和である総磁束を計測するのか、単位面積あたりの磁束である磁束密度を測定するのかという違いです。

まず、総磁束を測定する機器は磁石の磁力検査に利用されます。磁力検査では少ない時間で大量の磁力を調べる必要があるため、総磁束の測定が適しているのです。

次に、磁束密度を測定する機器はよりピンポイントの品質検査に利用されます。細かな範囲の磁束を計測することで単純な品質管理だけでなく、製品の特性を確認することもできます。また、漏洩した磁束を計測し、製品の欠陥を調べることにも適しています。

磁気計測器の原理

磁気計測器には用途によって様々な種類がありますが、ここでは代表的なガウスメーターの原理や特徴についてご紹介します。

ガウスメーターとは、物体の磁束密度を計測することができる装置です。原理としては、ホール効果を利用して磁束密度を計測しています。一定方向に電流の流れる金属や半導体に垂直に磁界をかけると、この二つと垂直の方向にローレンツ力が発生します。金属や半導体内の電子はローレンツ力によって移動させられ片側に集まるため、電流や磁界と垂直方向にホール電圧呼ばれる電位差が生まれます。このホール電圧は対象にかかっている磁界の大きさと比例していることから、計算によって磁束密度を算出できます。

また、固定タイプとハンディタイプのガウスメーターがあります。ハンディタイプのガウスメーターは持ち運びが可能なため細かな部分における磁束密度の測定には長けていますが、測定可能範囲や精度においては固定タイプのガウスメーターが優れています。

参考文献
http://ims-jp.com/column_a/05/
https://www.irii.jp/examination/detail/pdf/kaihoh13_01.pdf
https://ekuippmagazine.com/measuring/gauss-teslameter/