ショットブラスト

ショットブラストとは

ショットブラスト

ショットブラストとは、砂やガラス球、鋼球やセラミックスのなど、メディアと呼ばれる投射物を、金属などの加工物表面に高速で打ち付ける表面処理の方法です。

単にブラストと呼ばれることもあります。ショットブラストの主な目的は、錆の進行を抑制して、塗装の品質を長く保つための耐久性向上です。ショットピーニングは、以下の3つの効果があります。

1. 錆・汚れを除去する清浄化

一つ目の効果は、処理する製品の表面の錆やスケールを落とす効果です。再塗装する際に、古い塗装を剥がして表面を清浄化するために行われることもあります。

2. 塗装や接着前の下地処理

ショットブラストは塗装、めっき、接着を行う前の下地処理として行われます。ショットブラストによって表面が粗くなると、塗装、めっき、接着剤との密着性が高くなります。

3. 耐久性の向上

金属材料には、加工することで硬くなる加工硬化という現象が起こります。ショットブラストを施すと、表面層の狭い範囲に加工硬化が生じ、部品の耐久性を向上させることができます。

ショットブラストの使用用途

ショットブラストは鉄工、造船、建築業界などで行われています。これらの目的は、長期間に渡って、錆などの腐食などを防ぐことが求められる部材に対して行われます。

例えば、船舶の構造を支える骨材、河川や海に掛かる橋梁、マンションやビルといった建物など、潮風、海水、風雨に対して高い耐久性が求められる部材に対して、ショットブラストが行われます。その他にもショットブラストは、電力プラント、ガスタンク、海洋構造物などにも施されており、その分野は幅広いです。

ショットブラストの原理

ショットブラストには、ミルスケールの除去と塗料との密着性向上の2つの原理があります。

1. ミルスケールの除去

ミルスケールとは、鋼材の表面にある鉄の酸化物の層のことです。このミルスケールを残したまま塗装を行っても、塗装の下から錆が発生してしまいます。そこで、塗装前にショットブラストを行いミルスケールを除去しておくことで、塗装の下から錆が進行しないように抑制できます。

2. 塗料との密着性向上

ショットブラストによって表面に凹凸ができると、くさび効果によって鋼材と塗料との密着性が向上します。

ショットブラストの実施方法

ショットブラストには稼動方法によって、手動式と自動式があります。

1. 手動式

手動式は手持ちのエアーガンで行います。大型な工作物で自動化が難しいものや、形状が複雑なものであっても、表面全体にショットブラストを施すことが可能です。

2. 自動式

自動式は大型以外の製品を大量に処理する場合に向いています。自動ショットブラストマシン内に製品を入れて、一度に大量の製品を処理します。製品の供給方法はローラーコンベヤを使うもの、ハンガーに製品を吊り下げるもの、回転テーブルを使うものがあります。処理する製品の形状や処理数によって、適切な選定が必要です。

ショットブラストのその他情報

ショットピーニングとの違い

ショットブラストに類似した表面処理に、ショットピーニングがあります。ショットピーニングも、メディアを製品の表面に投射する表面処理技術の一つです。

ショットブラストとショットピーニングの違いは、処理の目的の違いです。ショットブラストが主に錆の進行を抑制するなど、外観や耐食性の機能向上を目指しているのに対し、ショットピーニングの目的は材料強度の向上です。

金属材料には塑性変形すると硬くなり、材料強度が向上する加工硬化という現象が起こります。また、ショットブラストによって表面に残留圧縮応力が発生することで、製品の強度が高まります。結果的に部品の疲労強度、耐摩耗性、耐応力腐食割れ性が向上するわけです。

例えば、自動車部品では、エンジンやモーターの出力を伝える歯車の強度と耐摩耗性が向上します。ショットピーニングによって、従来よりも歯車部品を小型・軽量化したり、更に出力が大きいエンジンに適用するための強化方法として、ショットピーニングは採用されています。

参考文献
https://shotblast.info/basic-knowledge/#i-9
https//www.blast.co.jp/index.php/top

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