シールドルーム

シールドルームとは

シールドルーム

シールドルームとは、電気電子機器に悪影響を及ぼす外部からの電磁波や磁場の影響を遮断し、さらに外部に電磁波や磁場をもらさない構造に設計された部屋のことです。

電気を使用する電子機器は、電磁波を発生しているため、常に電子機器や装置はさまざまな電界の影響を受けています。また、その周りに対して影響を与えている可能性も高いです。その電磁波の影響を排除するのが、シールドルームの大きな役割です。

シールドルームは、金属や金網等の導電体で覆われています。新築時から施工し、既存の場合は内部に組み立て可能なパネルを組み立てて施工する場合もあります。使用する目的や計測内容、設置したい場所。環境等に応じた設計となっています。

シールドルームの使用用途

シールドルームは、電磁波の悪影響を排除したい場合に用いられます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • MRIや脳磁図、心磁図のような生体磁場の計測機器を設置した計測室
  • 機密に係わるコンピュータールーム
  • 電磁妨害波の測定室や影響を除いた信号評価を行う実験室
  • 録音スタジオ

精密機器や電子機器などの製品開発や品質管理を行う環境を整備するために使用します。また、施設内部の機器や装置から発生する電磁ノイズ (不要電波) によって、施設外部の機器や装置に影響を与えないよう対策をする場合などにもシールドルームは用いられます。

シールドルームの原理

電磁シールドは、金網や金属板などの導電性材料が電磁波を反射する性質を利用しています。この導電性材料で覆った部屋が、電磁シールドルームです。

電波シールドルームを製作にあたって重要なことは、空間の発生する電磁波や外部から影響される電磁波をシールドするだけではなく、双方から漏洩する電波ノイズをシールドすることです。特に開口部 (扉・窓・空調口など) のシールド処理がポイントになります。

目的および扱う周波数範囲によって、シールドルームは以下の3つに分類できます。

  • 静電シールド用
    室内の電位を一定に保つためのシールドルームです。 (脳波室や聴力検査室など)
  • 磁気シールド用
    一般に地磁気~10kHzのシールドルームです。
  • 平面電磁シールド用
    10kHz~40GHzのシールドルームです。 (電子機器のノイズ実験室や無響室、録音スタジオなど)

EMC対策におけるシールドは、電磁シールド用指すことが多いです。電子機器のEMC対策やイミニティ対策には、電磁シールドが多く利用されます。

シールドルームのその他情報

1. シールドルームと電波暗室の違い

シールドルームは、電磁波を遮蔽するために、扉や空調、電源などにいたるまで部屋全体をシールドしているのが特徴です。それに対して、電波暗室はさらに内部に電波吸収体を張って、電波の反射を完全に抑制しています。

電波吸収体は、スポンジ状のとげのある形状をしており、炭素の粉やフェライト成分を含んでいます。電波吸収体を部屋全面に張ることで、電磁波に関する入射波をおよそ10万分の1程度まで減衰可能です。電波暗室で電磁波は存在できず、電波無響室と呼ばれることもあります。

2. 電波暗室でのアンテナ評価

シールドルームは妨害波やノイズの遮断により、対象となる信号自体の高品位な評価が主目的なのに対して、電波暗室では電磁波が反射しない性質を利用して、アンテナの放射試験がよく行われています。

ミリ波含めての移動体通信や車載レーダーやセンシング技術には、電波の指向性試験は欠かせません。アンテナの放射ビームの形状やアンテナそのものの電気的な特性を評価する際に、電波暗室は欠かせない環境です。

3. シールドボックスや電波暗箱

電波暗室は非常に大掛かりな装置であるため、メンテナンス含めコストがかかります。シールドルームの場合、電波吸収体の分のコストは抑制されますが、それでもそれなりのコストを有するため、対象となる評価規模によっては、シールドボックスも広く用いられています。

大きさが手軽なため、同様に電波暗箱タイプも評価用途に応じて広く扱われています。

参考文献
https://www.noe.co.jp/technology/07/07ane1.html
https://cend.jp/emc_primer/product/sroom.html

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