シールドケーブルとは
シールドケーブルとは、信号や電力を伝達する金属導線部分を接地された金属層で覆ったケーブルです。
接地用金属層は薄膜などを編み込む構造が用いられます。導線部分を金属層で覆うことで外部からの電磁波を遮断すると同時に、外部への電磁波漏洩を防止します。
通信・計装分野では高速通信に寄与し、強電分野で安全性確保に重要な構造です。また、多芯線では線間ノイズも打ち消す役割もあります。
シールドケーブルの使用用途
シールドケーブルは、OA機器用LANケーブルやオーディオ機器用スピーカなど、広く用いられます。
これらの使用目的は、外部から発せられる電磁波から機器を保護するためです。対照的に、高圧配電用途にもシールドケーブルは使用されます。これらは、電磁波の発生を防ぐのが目的です。
シールドケーブルの原理
シールドケーブルの主な構成要素は導体、遮蔽層 (シールド) 、絶縁層、シースです。
通常のメタルケーブルは、導体の外側が絶縁層で覆われています。それに対してシールドケーブルは、この導線部分を覆う絶縁層の上からさらに金属薄膜などの遮蔽層で覆われます。
遮蔽層の外側にシースと呼ばれる絶縁被膜で覆い、電線を外環境から保護します。遮蔽層を接地することで、信号ケーブルをノイズから保護することが可能です。また、動力ケーブルにシールドケーブルを使用すれば、発生する電磁波を打ち消すこともできます。
動力ケーブルからの電磁波を打ち消すことは、誘導による感電事故の防止に繋がるため、安全面の観点から使用される場合も多いです。
シールドケーブルの種類
シールドケーブルには、外部からのノイズを防ぐ「静電シールドケーブル」と、電流による磁束が外部機器へ影響を与えるのを防ぐ「電磁シールドケーブル」があります。種類によって遮蔽層の接地方法が異なるので、種類に合った方法でアース接地することが大切です。
1. 静電シールドケーブル
静電シールドケーブルは、銅やアルミなどの金属テープや、メッシュ状の編み線で芯線を覆ったケーブルです。
これにより、外部からのノイズを吸収してアースに流し、芯線にノイズが入るのを防止します。主に信号用・通信用ケーブルに使用されます。静電シードケーブルの接地方法としては、片端接地が基本です。これは、シールドにリターン電流が流れるのを防ぐためです。
両側をアースに接続した場合は、シールドに電流が流れる可能性が高くなり、電流が流れることでシールドからノイズが発生する危険性があります。また、シールドをアースに接続しない場合は、シールドの効果が得られないだけでなく、シールドに溜まった電荷が何かの拍子で放出されると信号にノイズが生じため注意が必要です。シールドケーブルを使用する場合は、必ず接地するようにします。
2. 電磁シールドケーブル
電磁シールドケーブルは、電流による磁束が外に出ないように鉄と銅で芯線を覆ったケーブルです。
鉄の被覆があるため、曲げや折り曲げに弱いのが欠点です。主に電源ケーブルやモーターなどの大電流が流れるケーブルに使用されます。電磁シールドケーブルを接地する際は、距離により両端接地か片端接地かを選択します。長距離送電の場合は両端接地とし、短距離であれば片端接地とします。両者とも接地配線はできるだけ電気抵抗を小さくすることで、シールド効果を大きくすることが可能です。
一般的には、銅板や銅の杭を地下数mの地点に埋め込み、接地抵抗を低減します。この地下埋設された導体が接地極です。接地極から地表に立ち上げた配線は、アースバーやブスバーと呼ばれる銅のバーに接続します。
参考文献
http://t-sato.in.coocan.jp/terms/shield.html
http://www.gxk.jp/elec/musen/1ama/H14/html/H1408B01_.html
http://energy-kanrishi.com/shield/