サーマルリレーについての概要、用途、原理などをご説明します。また、サーマルリレーのメーカー16社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。サーマルリレー関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:オムロン株式会社、2位:富士電機機器制御株式会社、3位:株式会社椿本チエインとなっています。
サーマルリレーとは、ある電気回路へ設定値を超えた電流が流れた際に、その回路につながる機器への過負荷がかからないように回路を遮断する機構です。サーマルリレーを回路に組み込むことで、回路の焼損などのトラブルを抑止できます。
モーターに定格以上のトルクが必要な状態になると過負荷状態になります。しかし、モーター自身は過負荷かどうかを判定することができないため、目的の回転数になるまで動作を続けようとし、過電流が流れた状態になります。
その場合、通電を続けるとモーターの定格電流を上回った電流が流れ続け、その熱負荷に負けてモーターが焼損するなど故障の原因になります。そういったことを未然防ぐためにサーマルリレーを回路へ組み込みます。
サーマルリレー内部の回路の接点にはバイメタルなどの金属が採用されます。バイメタルは温度が上昇すると熱膨張係数の違いによって一方に反る性質があるため、それを利用してある一定の以上の温度に達した場合、回路が遮断されるように回路が接地します。
サーマルタイプは過電流による発熱によりバイメタルが温められることで発動するため、その発動には過電流発生からバイメタルが温まるまでの間の遅延があります。この性質を利用することで装置の動作初期の起動電流が定格電流を一時的に超えた分は許容するといった制御が可能になります。
一度、遮断側の接点に達した回路は、ばねなどの物理的な機構で強制的にその姿勢を維持することで、リセットボタンを押すまで回路は遮断されたままになり、どのサーマルリレーが検知したか原因を後追いすることが可能です。
電源供給の一次側のサーキットブレーカが遮断されると装置への全電力の供給が停止するため、パソコンなどの付随機器の電源も落ちる可能性があります。そういった事態を防ぐためにも、一次側のサーキットブレーカの定格電流よりも小さいサーマルリレーを選定することで、先にサーキットブレーカが落ちてしまうことを回避できます。
また、装置の過負荷による故障を防ぐために、装置のモーターなどの定格電流よりも小さくしておくことも必要です。かといって、あまりに小さい定格電流にしてしまうと、ちょっとした負荷でもすぐに動作が停止してしまうため、ワンサイズ小さく、かつダイヤルで一定幅の定格電流を設定できるものにすると実際の電流値に合わせた微調整ができます。
サーマルリレーは電磁開閉器の一部として使用されることが多くあります。その場合主回路一次側は市販品では給電用の銅バーで接続される場合がほとんどです。二次側の配線についてはサーマルリレー定格電流以上の許容電流を持つように設計します。
配線の許容電流は配線種類によって違いがありますが、種類ごとに内線規程によって定められています。国内で販売されている配線は内線規程を遵守しています。
サーマルリレーはバイメタル式と電子式の2種類に分類されます。
バイメタル式は、バイメタルの熱膨張によりリレーを動作させる仕組みとなります。
バイメタル方式の場合、設定用つまみを回転させることで±20%程の電流値設定が可能です。それ以上の設定変更は構造上できないため、リレーを取り換える必要があります。保護する装置がモーターである場合は、メーカーごとにモーター容量に見合ったサーマルリレーが販売しているためカタログを確認して選定します。
電子式は保護する装置がインバータ等であった場合に使用されます。回路に流れる電流値を電子回路で読み取り、負荷特性曲線を外れた際に動作します。市販されているインバータでは、インバータ保護機能として本機能が常備されている場合がほとんどです。モーターコントロールセンターなどでも電子式のサーマルリレーが用いられます。
電子式サーマルリレーの設定方法はメーカーにより異なりますが、下限電流値はバイメタル式よりも幅広く設定可能です。取扱説明書を確認して設定します。通常は定格電流値を設定することで自動的に設定されます。
サーマルリレーの接点は、モニター用の通常時開接点(a接点)と回路遮断用の通常時閉接点(b接点)があります。
バイメタル式の場合は購入段階でどちらをいくつ使うか選ぶ必要があります。接点に流れる定格電流値はリレーにより決まっており、通常は2A程度です。主回路に使用すると溶着する危険性が高いため、制御回路用として使用します。
電子式のサーマルリレーは多くの場合、設定によりどちらの接点をいくつ使うかを選べます。ただし、電子式の場合はリレー接点ではなく、トランジスタ接点の可能性があります。トランジスタ接点では交流制御電源を使用すると電子部品が故障するため、事前に回路図を確認する必要があります。
過負荷状態が続きサーマルリレーが動作したとき、その原因を取り除いた後にサーマルリレーを元の状態へ復帰させる必要があります。この手順を「復帰」や「リセット」と呼びます。
復帰手順にも2種類あり、手動復帰型と自動復帰型に分類されます。
手動復帰型は単純で、過負荷原因を取り除いた後にリセットボタンを押すだけです。リセットボタンを押すことでサーマルリレーが本来の状態に戻り、継続して役目を果たすことができます。
自動復帰はリセットボタンを押す必要はなく、サーマルリレー自身が自動でリセットをかけます。
手動自動を問わず注意しなければならない点としては、過負荷要因を取り除かなければ復帰はできず、繰り返しサーマルリレーが動作するといった事態になることです。ですので、サーマルリレーが動作した場合は根本的な要因がどこにあるのかを把握することが重要です。
また、多くの場合、サーマルリレーの復帰モードは手動⇔自動で切り替えが可能です。
メーカーごとに異なりますが、サーマルリレーの交換推奨期間は約10年といわれています。
交換しなければならない理由として、劣化の問題が挙げられます。
人がつくった以上、劣化からは逃れられないものはありませんが、ことさら信頼性が要求されるサーマルリレー等の部材については、メーカー推奨に従うべきです。
劣化をなるべく防ぐには、劣化の要因を把握する必要があります。
サーマルリレーの劣化要因としては、以下に示す5つの要因が支配的です。
劣化の要因を把握し、これらを回避することで製品寿命をユーザーの手により長くすることも可能です。
参考文献
https://jeea.or.jp/course/contents/08203/
三相誘導電動機の保護システム https://jeea.or.jp/course/contents/08203/
https://toaru-denkiya.com
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/fujid-sougou/book/fujid-sougou-P0141.pdf
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/techsheet/lvsw/bqn-s8-9497-03/BQN-S8-9497-03.pdf
各種サーマルリレーの値をグラフにプロットし、表にしました。ベータ版機能のため一部製品のみの表示となっております。
横にスクロールすると表の全体をご覧頂けます。
製品名 | 標準型サーマルリレーTH-T18 | 標準型サーマルリレーTH-T25 | 標準型サーマルリレーTH-T50 | サーマルリレーTH13 | サーマルリレーTH20 | サーマルリレーTH35 | サーマルリレーTH65 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
最大ヒータ呼び電流 [A] | 15 | 26 | 50 | 13 | 18 | 36 | 65 |
最大消費電力 [VA] | 1.8 | 2.1 | 3.2 | 1.8 | 1.8 | 3.6 | 6.6 |
会社名 | 三菱電機株式会社 | 三菱電機株式会社 | 三菱電機株式会社 | 東芝産業機器システム株式会社 | 東芝産業機器システム株式会社 | 東芝産業機器システム株式会社 | 東芝産業機器システム株式会社 |
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | オムロン株式会社 | 16.3% |
2 | 富士電機機器制御株式会社 | 10.9% |
3 | 株式会社椿本チエイン | 9.8% |
4 | Schneider Electric | 8.7% |
5 | 株式会社戸上電機製作所 | 7.6% |
6 | 三菱電機株式会社 | 7.6% |
7 | 株式会社日立産機システム | 6.5% |
8 | 旭東電気株式会社 | 4.3% |
9 | 東芝産業機器システム株式会社 | 4.3% |
10 | Littelfuse, Inc. | 4.3% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月のサーマルリレーページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
サーマルリレー12〜50フレームは、三相モーターが稼働しているときに生じやすい焼損を防いでくれる熱動形過負荷継電器です。
過負荷保護に動作する2素子タイプの1E形式と、過負荷保護と欠相保護の両方で動作する3素子タイプの2E形式が用意されているのが特徴です。
定格使用電流が220Vの場合、交流だと最大3A、直流だと最大0.5Aなので電気の使い過ぎを防ぐ事も出来ます。
従って、定格使用電流が小さい機械の使用に向いています
PAK-Jシリーズは、ツイン接点を採用した事で10mAまで耐久出来る標準形電磁開閉器です。
IEC/DINの規格に準拠する為35mm幅に作成しており、他の一般的な製品よりもよりコンパクトなのが特徴です。
ネジレス構造を採用したりコイルをカセット化したり消弧カバーを取り外せる様にしたりする事でメンテナンスしやすくしました。
電気に対する負荷が強く寿命が長いので、頻繁にスイッチをON/OFFする機械で活用出来ます。
SKシリーズは、直入モーターや駆動制御装置などが始動するときにかかる熱などの負荷を和らげてくれる速動形サーマルリレー付電磁開閉器です。
45mm幅に小型化されたので同じ幅のマニュアルモータスタータBM3やSKシリーズの電磁接触器も組み込む事ができ、回路全体を簡素化出来ます。
また、PLCのトランジスタ出力が出来るようになったので、従来より最大86%(SK6,9,12形の場合)電力の消費を削減する事が出来ます。
インバータまたはサーボが組み込まれた回路がある機械で活用出来ます。
J7TCシリーズは、電磁接触器のJ7KCも一緒に組み込む事で5.5kW迄の電動機の過負荷保護や欠相保護の動作に対応出来るようになるサーマルリレーです。
モーター動作の制御までしてくれるので、設計から稼働・維持のコストを大幅に下げる事が出来ます。
マニュアルモータースターターと組み合わせて使用することで、ブレーカーと電磁開閉器とを組み合わせるよりも場所を取りません。
製品の小型化に成功しているので、包装機やマシニングセンタなどで活用出来ます。
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