フェライトについての概要、用途、原理などをご説明します。また、フェライトのメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。フェライト関連企業の2022年7月注目ランキングは1位:日本セラミック株式会社、2位:日立金属株式会社、3位:株式会社メイトとなっています。
フェライトと関連するカテゴリ
1987年~1991年昭和電線電纜勤務 高分子材料研究室にて電線の被覆材の研究に従事
1991年~1997年小池国際特許事務所にてパテントエンジニアとして勤務
1997年~2005年GE横河メディカルシステムにて知財部員として勤務
現在、ライターとして活動。
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鈴木裕子のプロフィール
フェライトとは、酸化鉄を主成分とするセラミックで、磁性材料として利用されています。セラミックなので金属磁性体に比べると電気抵抗が高く、耐腐食性や耐薬品性に優れていることが特徴です。
フェライトは主に磁石として利用されており、フェライト磁石と呼ばれています。安価で大量生産できることから、その利用分野は家電製品やゲーム機、パソコン等、多岐に渡ります。
他にもトランスのコアとして利用されたり、電波暗箱や電波暗室などにおいて、電磁波を遮断する材料としても利用されています。さらに、レーザープリンタなどでトナーを運ぶキャリアとしてもフェライト粒子が利用されており、日常生活に浸透している磁性材料です。
フェライトには下記の3種類があります。
スピネル型フェライトは、Fe2O4を主成分とするフェライトです。以前は、主成分が酸化鉄であることから、生成のためには800℃以上の高温で熱処理を行わなければなりませんでした。
近年ではアルカリ溶液中で反応を行うことで100℃程度の低温でも生成できるようになっています。スピネル型フェライトは、マンガンやコバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの添加物と混ぜ合わせることで、軟磁性を示すソフトフェライトです。
六方晶型フェライトは、M・Fe12O19(MはBa、Sr、Pbなど)の化学式で表されるフェライトです。バリウムやストロンチウムを添加することで硬磁性を示すハードフェライトです。
ガーネット型フェライトは、天然のザクロ石と同型の結晶構造を持つフェライトで、Mg3Al2Si3O12の化学式で示される構造を持ちます。ガーネット型フェライトは、スピネル型フェライトと同じ軟磁性を示すソフトフェライトです。
ハードフェライト
ハードフェライトとは、一度強力な磁場をかけると磁性を持ち、その磁性が維持される強磁性を持つフェライトです。
ソフトフェライト
ソフトフェライトとは、磁界が加わると磁化を発現し、磁界がなくなると磁気がなくなる軟磁性を持つフェライトです。透磁率が高いことが特徴で、コイルやトランスのコアに用いられています。
フェライトは、ノイズ低減部材としても使用されています。例えば、USBなどの高速通信信号において、EMI(Electromagnetic Interface)は大きな問題です。EMI(電磁障害)は通信線に限らず、電気機器などが不要な電磁ノイズを放出することを指します。
EMIの認証・品質保証の点から電気機器には、ClassAやClassBといった分類が用意されており、製品ごとに適切なEMI対策が必要です。通常は、回路設計やパターン設計の時点でEMI対策を講じますが、設計後期になり開発期間も限られている場合には、フェライトを使用することがあります。
フェライトをノイズの発生源ハーネスに巻きつけることによって、フェライトの磁化に応じてケーブルのインピーダンスが変化し、その結果ノイズ電流を軽減することが可能です。ただし、ノイズ電流を軽減するということは高周波成分を落としていることになります。つまり、フェライトは簡易のローパスフィルタとして機能していることになります。
このように、高周波成分を落とすことは、信号をなまらせることに繋がるので、波形の訛り、ひいては信号品質の劣化を招く可能性がある点には留意が必要です。フェライトのノイズ低減の特性は、インピーダンスによって決まり、インピーダンスはフェライトの材質、サイズ、ターン数に依存して変化します。
フェライトの材質が同じで、同サイズのものを用いた場合、ハーネスのターン数Nに応じてインピーダンスが増加するのが一般的です。インピーダンスの増加に伴ってより強力なノイズ対策となりますが、対策したい周波数帯域に合わせて、ターン数を選択する必要があります。
また、インピーダンスには、断面積も影響しており、原則としてフェライトの内径が小さく、外径が大きいものの方がインピーダンスを高くすることが可能です。高周波対策部品として、幅広いラインナップのフェライトがあります。それぞれの特性を把握し、対策したい周波数帯域に適した特性のフェライトを使用することが重要です。
参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1610/31/news019_4.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nikkashi1898/65/11/65_11_1748/_pdf/-char/ja
https://www.techno-kitagawa.com/techinfo/tech/ferrite.html
https://cend.jp/emc_primer/basic/emi.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-8
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年7月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 日本セラミック株式会社 | 13.8% |
2 | 日立金属株式会社 | 10.2% |
3 | 株式会社メイト | 9.7% |
4 | 東京フェライト製造株式会社 | 9.2% |
5 | JFEフェライト株式会社 | 8.7% |
6 | 姫路電子株式会社 | 7.1% |
7 | 日本重化学工業株式会社 | 7.1% |
8 | 株式会社トーキン | 6.6% |
9 | ユナイテッドエレクトロニクス株式会社 | 6.1% |
10 | トミタ電機株式会社 | 6.1% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年7月のフェライトページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
Metoreeに登録されているフェライトが含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
ナノ結晶軟磁性材料である、ファインメット®とは、鉄を主成分としている、厚さが約20um程度の金属の薄板のことであり、結晶粒径を以前は実現不可能だった、10nm程度まで小さくしただけでなく、磁気特性を飛躍的に向上させています。
特長としては、まず飽和磁束密度及び透磁率の両方が高く、前者はFe(鉄)基アモルファスと同レベルであり、尚且つ後者はCo(コバルト)基アモルファスと同レベルとなっており、それでいながらコアロスも少なく、Fe基アモルファスの1/5以下かつ、Co基アモルファスと同レベルであるため、省エネルギー化も可能です。
また、温度特性が良好であり、温度変化に基づく透磁率の変化量を、-40℃~150℃の広い範囲で±10%以内のレベルに抑えることが可能であり、そしてその経時変化も少なく、Co基アモルファスのように、実用上問題となってしまうレベルの透磁率低下も防げるうえ、磁歪も低いため、加工時の応力に基づく特性の劣化も低く抑えることができ、可聴周波成分が入力された際の、騒音も低くすることが可能です。
そして、非常に広帯域で、その特性が良好(高角形比)のレベルを保て、透磁率とコアロスは、ともに広い周波数帯域において、Co基アモルファスと同レベルの特性を有しており、尚且つ、薄帯のため高抵抗であるため、低コアロスとすることが可能で、その上でB-H曲線の形状を制御することが可能であり、B-H曲線の形状及び角形比を、熱処理によって高・中・低と制御可能で、使用目的及び、用途に応じて選択することができます。
ニッケル系フェライト「JR」シリーズは、ソフトフェライトの一種であり、磁界(磁石)に触れることで磁石になりますが、磁界を取り去ると元に戻り、磁気がなくなるフェライトのことです。
ニッケル系フェライト「JR」シリーズの、初透磁率μiは、JR40Gが17で、JRM35Gは240、そしてJRC8Gが850であり、JR11Gは2000となっています。
また、飽和磁束密度Bs (mT)は、JR40Gが200で、JRM35Gは480、そしてJRC8Gが380であり、JR11Gが295となっています。
そして、キュリー温度Tc (℃)は、JR40G とJRM35Gが>250で、 JRC8Gは>180であり、JR11Gが>100となっています。
赤外線センサである、焦電型赤外線センサは、強誘電体セラミックであるフェライトの焦電効果を使用した赤外線センサであり、温度変化の検出が可能であり、人体などから発せられるような、極僅かな量でも、赤外線も鋭く検知することが可能です、
一方で、サーモパイルは、物体から放射される赤外線を受けた際に、入射されたエネルギーの量に応じて、熱起電力を発生することを利用した熱型の赤外線センサであり、エネルギーの絶対量すなわち、温度を検出することができます。
赤外線検出の目的に応じて、焦電型赤外線センサ及びサーモパイルを提供できるだけでなく、多くのカスタム案件にも対応可能で、用途に応じて、焦電型赤外線センサ(パイロセンサ)及び、サーモパイルセンサを選択可能です。
フェライトコア 6Hシリーズは、特長としては、Low-lossでありながら、広い使用温度範囲であることと、またその用途は車載DC呼び、DCコンバータ用トランスなどが挙げられます。
6Hシリーズの、6H45の交流初透磁率μi100kHzは2400であり、飽和磁束密度Bs(mT)23℃は530で、コア損失 at 100KHz 200mTPcv(kW/m3)は、23℃で580、60℃で370、そして100℃で270となっています。
注意事項としては、フェライトコアは、そのキュリー温度を越える環境では、その本来の特性を発揮することができず、機器が誤動作する可能性があるため、キュリー温度を十分に考慮した温度範囲で使用する必要があります。
また、巻線加工をする時には、巻太りによって、フェライトコアを破損したり、巻線に傷を付けたりする可能性があり得るので、コアと巻線の間に、適切なクリアランスを保つように設計する必要があります。
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