フォトトランジスタ

フォトトランジスタとは

フォトトランジスタ

フォトトランジスタとは、光を検出するための半導体素子です。

フォトダイオードとトランジスタを組み合わせた構造をしています。また、パッケージによって様々な形状のものがあるため、用途に合わせて適切な選択が求められます。

フォトトランジスタの使用用途

フォトトランジスタの使用用途

図1. フォトトランジスタの使用用途

フォトトランジスタは、受光センサーとして幅広く使用されています。特に800nm付近に感度のピークを持つため、赤外線の受光を目的として使用されるのが一般的です。

具体的なフォトトランジスタの用途例としては、「光の強度測定」「赤外線リモコンの受信部」「光電センサー受信部」「光通信」などが挙げられます。特に、テレビやエアコンのリモコンなどで赤外線LEDと組み合わせて使用されることが多いです。

光通信の用途では、インターネットプロバイダから提供されるギガネット光通信サービスがあります。その通信の受光部は通信に最適な高速フォトトランジスタが使用されています。

また、フォトトランジスタは、自動ドアのセンサーとして使用されることもあります。さらに、光を検知して電流が発生することから、光で駆動するスイッチとして用いられるなど、使用用途は幅広いです。

フォトトランジスタの構造

フォトトランジスタの構造

図2. フォトトランジスタの構造

フォトトランジスタは、NPN構造をもつ半導体素子です。このNPN構造によって、フォトトランジスタはフォトダイオードに比べて出力信号が大きく取れるという特徴があります。 (図2 左図参照)

フォトトランジスタのNPN構造は、フォトダイオードの出力をトランジスタで増幅します。半導体のエネルギーギャップに相当する光が入射すると、価電帯の電子が伝導帯に励起します。

これによってN層への移動が起こり、ホールはP層へ移動します。このN層からP層への移動により、接合部で順バイアスがかかり電流が流れる仕組みです。 (図2 右図参照)

フォトトランジスタに利用されるトランジスタは、ベース電極を持っていないのが特徴です。しかし、受光によって発生する光電流がベース電流となり、このベース電流をコレクタで増幅します。

フォトトランジスタの特徴

ベース電流の増幅は、他のトランジスタと同様にhFE (トランジスタの増幅率) 倍です。しかし、フォトトランジスタの特性として、同様のhFE倍であっても、比較的大きなhFEのものが使われるという傾向があります。

これにより、微小なフォトダイオード部の信号を大きなコレクタ電流として取出せますが、コレクタ・ベース接合部では電流が常にリークしており、このリーク電流も増幅されているという点に注意しなければなりません。

つまり、フォトトランジスタは、完全な暗環境であっても微弱な電流が流れている状態です。この暗環境下でも流れている微弱な電流のことを、暗電流といいます。フォトトランジスタで発生する暗電流は、光センサーとしての内部ノイズになります。しかし、この内部ノイズを抑えることは可能です。

暗電流は温度が高い場合には増加し、逆に温度が低い場合には減少していくという特性があります。そのため、この特性を利用して、素子を冷却することにより内部ノイズを抑えることができます。

フォトトランジスタのその他情報

1. フォトダイオードとトランジスタ

フォトダイオードとトランジスタ

図3. フォトダイオードとトランジスタ

フォトダイオードは図3 左図で示すように、光があたると光の強さに応じてIV特性が下側にシフトします (青線が緑線になる) 。このIV特性変化が光の強度を測る目安です。しかしながら、その出力電流はuAオーダなので、そのままの出力では後段の回路が複雑になります。

フォトトランジスタは、フォトダイオードとトランジスタと組み合わせることにより、フォトダイオードで受光したときに発生した光電流をトランジスタの直流電流増幅率hFE倍で増幅することが可能です。そのため、フォトトランジスタの方がフォトダイオードよりも感度がよく、フォトトランジスタの出力電流はmAオーダとなるため、後段の回路の簡素化が実現できます。 (図3 右図参照)

フォトトランジスタの感度は、フォトダイオードの数百倍となり、更に高感度が必要な場合にはダーリントン接続されたフォトトランジスタの使用で、数百倍x数百倍の感度を得ることができます。これにより、数Luxの明るさを検出することが可能です。

2. CDSとフォトトランジスタの違い

CDSとは、フォトレジスタのことです。CDSセルや光導電セルとも呼ばれています。CDSは、受ける照度に反比例して抵抗値が減少します。すなわち、照度が暗いときには抵抗値が高くなり、照度が明るいときには抵抗値が低くなるという特性です。

一般的なCDSの場合、照度が暗いときは約1MΩであり、明るいときには約10kΩと抵抗値が変化します。CDSのメリットは、「分好感度特性が人間の視覚に近い」「構造が簡単」「高感度」「低価格」であることです。CDSは、様々な機器の検出器として用いられています。

例えば、「照度計」「カメラ用露出計」「自動点滅用の明るさ検知用」などです。しかし、CDSの素子として使われている主な材料である硫化カドミウムは、環境に悪影響を与える物質です。そのため、CDSは近年、使用される機会が減りつつあります。

一方でフォトトランジスタは、照度に比例した出力電流が得られます。フォトダイオードとトランジスタが合わさった構造をしているため、高感度というのもメリットの一つです。

参考文献
https://techweb.rohm.co.jp/iot/tech-info/keypoint/3870
https://www.sensor-sk.com/hikari/hika01_hikari.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です