大型3Dプリンター

大型3Dプリンターとは

3dプリンタ

大型3Dプリンターとは、規模の大きい物を造形することに特化した3Dプリンターのことで、主に業務用で使用されることが多いです。

これまで大型の造形物は、多くの場合職人の経験に基づく手作業により制作されてきました。しかし、大型3Dプリンターを用いることで経験や時間に捉われない製造ができるようになります。

大型3Dプリンターは、同時に複数の小型造形物を造形することもできるため、小型3Dプリンターに比べて効率的な造形も可能です。

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大型3Dプリンターの使用用途

大型3Dプリンターの使用用途

図1. 大型3Dプリンターの使用用途

大型3Dプリンターには様々な使用用途があります。例えば、大型の試作品、装飾、立体看板、フィギュア、インテリア、小道具の制作などです。また、成形用の注型制作にも使われています。

近年では大型3Dプリンターを用いた住宅や橋梁の造形も行われ、今後、さらに新しい分野に活用の幅を広げていくことが期待されています。

大型3Dプリンターの原理

大型3Dプリンターの原理

図2. 大型3Dプリンターの原理

3Dプリンターには様々な積層方式があり、製品によって採用されている方式が異なります。

光造形方式は、紫外線を光硬化樹脂に照射して積層する方式であり、比較的、短時間で造形できるため、多くの大型3Dプリンターにも採用されています。熱溶解積層方式は、可塑性樹脂をノズルから吐出して積層する方式であり、素材にエンジニアリングプラスチックを用いることができるため、耐久性が求められる造形にも有効です。

作りたい大型製造物の用途によって適した製品を選ぶことが大切です。

大型3Dプリンターのその他情報

1. 大型3Dプリンターの素材

大型3Dプリンターでは様々な素材を用いて造形を行うことができます。下記の他に、柔軟性があり最終製品にも用いられるナイロンや、強度が高く酸やアルカリにも強いポリプロピレン、石膏なども素材として用いることができます。

ABS
ABSは曲げや伸びに対して丈夫であり、研磨などの加工も行いやすいです。ただし、ABSは湿気に弱いという欠点があり、大きな製品を作成すると変形することもあります。価格が安いため、社内向けの製造などでの利用に向いている素材です。

PLA
PLAと呼ばれる自然由来のプラスチック素材も大型3Dプリンターの材料としてよく用いられます。硬くて安定した出力ができるため、大きい製品を作成するのに適しています。ただし、研磨などの加工には不向きです。

金属素材
高度な製品では、金属素材を取り扱うことができる機種もあります。アルミニウムチタンや鉄鋼などを素材として用いることができますが、当然素材も高価となるので産業用途での利用が主となります。

2. 大型3Dプリンターの価格

近年、3Dプリンターの価格は低下していますが、大型3Dプリンターの価格は一般的に高価です。

産業利用を行うための大型3Dプリンターの価格は、様々な素材を扱える機種であれば50万~100万程度、大規模な製造を実現するためのものであれば数百万以上となります。着色が可能であったり、金属やセラミックなどの素材にも対応したハイクラスの3Dプリンターであれば、500万以上が主な価格帯となります。このクラスの製品となると、プロトタイプだけではなく最終製品の作成も行うことができます。 

3. 大型3Dプリンターの将来性

大型3Dプリンターの将来性

図3. 大型3Dプリンターの将来性

大型3Dプリンターは様々な分野での活用が期待されています。例えば、建設業界では大型3Dプリンターを用いた住宅や橋梁の造形が進められています。将来的には、技術者不足解消やより効率的な工事の実現につながることが期待されます。

また、自動車業界では、大型3Dプリンターを用いたボディやタイヤ等の造形も進められています。近年、EV化の流れもあり、新たな設備が必要となるタイミングでもあるため、より一層3Dプリンターの活用に注目が集まっています。

参考文献
https://dfc-3d.com
https://japan.mimaki.com
https://www.ricoh.co.jp
https://www.pc-koubou.jp
https://www.recmbus-3dprint.com

切削加工機

切削加工機とは

切削加工機

切削加工機とは、工作物の切削や切断、穴開けをするために使われる機械の総称です。

切削加工には多種多様な方法が存在するため、加工したい形状それぞれに適した方法を選ぶ必要があります。また、工具の刃の向きや数、形状もさまざまです。

切削加工機の使用用途

切削加工機は、ねじや配管部材などの日常生活に近い用途から、工業用機械や医療機器、ロボットに至るまで幅広い分野の部品製作に用いられています。同形状の部品を大量生産する方法として、金型を使った加工方法がありますが、多様化するニーズに合わせ、小ロットで複雑な形状の部品を製作したい場合は、切削加工機が適しています。

切削加工機の原理

切削加工機の原理は大きく分けて2つに分類されます。1つは、被加工物を回転させ、そこに工具を当て工作する旋削です。もう1つは、工作物を固定し工具を回転させて工作する転削です。

1. 旋削

旋削は分かりやすく言えば、ろくろで陶器を成形するような加工方法です。代表的な切削加工機は旋盤です。円盤または円筒状の被加工物を回転させながら、主軸に固定した刃物上の工具に当てることによって、外丸削りや面削り、穴開け、中ぐり、突切り、表面へのネジ加工などを行うことができます。

汎用旋盤は、被加工物の送りや工具の操作を作業者が手動で行います。それに対し、加工条件などの制御をコンピュータによって行うのが NC旋盤です。NCとはNumerical Controlの略で、工具を操作する座標、被加工物の回転数などをプログラムで入力するため、作業者の熟練度に依らず品質が安定しており、同一形状の加工物を大量生産することができます。

2. 転削

転削は刃の付いた切削工具を回転させながら当て、被加工物を成形する方法です。代表的な加工機はフライス盤です。フライス盤はエンドミル、正面フライス、みぞフライスなど様々な種類の切削工具を使います。溝加工や曲線加工が可能なのが特徴です。

旋盤と同様に手動で工具を操作するのが汎用フライス盤で、工具の位置や切込み量などの加工条件を作業者が判断して設定します。一方、コンピュータ制御により加工を行うのがNCフライス盤で、3DCADなどの設計ソフトを用いた加工プログラムで制御することにより、汎用フライスよりも複雑な形状加工が可能です。

また、複数軸に別々の工具が取り付けられるマシニングセンタというものもあり、直線と回転運動を組み合わせて、穴開けや曲面加工などの切削を連続的に行い、複雑な形状の加工ができます。

切削加工機の種類

切削加工機は所望の形状によって適切なものを選択する必要があります。種類は大きく分けて旋削、フライス、穴あけの3つが挙げられます。

1. 旋削加工

旋削加工は、金属などの材料を回転させ、そこに刃物上の工具を当てることで円柱形に削る加工法です。様々な加工方法の中でも、工作物を回転させるという特徴から、ニードルやボルトなどの丸い形状をした製品を作ることが可能です。

2. フライス加工

フライス加工は、工作物の方を固定してフライスという多刃の工具を回転させて当て、加工する方法です。フライスはドリルに形状が似ていますが、刃が側面に設けられている点が異なっています。フライスの種類は多岐にわたるため、加工の内容によって最適なものを選びます。曲面加工を施したり、溝を掘ったりすることができます。

3. 穴あけ加工

穴あけ加工は、工作物を固定し、回転させたドリルを当てて削りながら貫通させる方法です。ドリルを平滑な表面に当てると位置ずれを起こすことがあるため、まずセンター穴という窪みを設けた後に、穴あけを行います。

自動車や航空機部品など高い精度が求められる穴あけをする場合は、リーマという側面に刃がついた刃物を用いて加工を施します。穴あけ加工による用途にはねじやボルトなどがあります。

切削加工機のその他情報

1. 切削加工機のメリット

切削加工機のメリットは、複雑な形状や高精度な加工が可能なことです。NC旋盤やNCフライス盤、マシニングセンタなどのコンピュータ制御を用いる切削加工機を使うことで、製品のばらつきを抑えながら大量生産できます。

汎用旋盤や汎用フライス盤などの人の手で加工を行う切削加工機では、少量生産になりますが複雑な加工が可能です。

2. 切削加工機のデメリット

切削加工機のデメリットは、必ず切削くずが出ることです。また、素材によっては、削る際に発生する熱で変形が生じたり、加工の精度が低下したりする恐れがあるため、適切な加工速度の設定が求められます。

その他、切削時には熱が発生するので、切削油を使う頻度gが高くなり、切削工具の摩耗により交換も必要です。

参考文献
https://www.jmtba.or.jp/machine/introduction
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/cutting/type.jsp
https://www.taiyoparts.co.jp/blog/2040/

光造形3Dプリンター

光造形3Dプリンターとは

光造形3Dプリンター

光造形3Dプリンターとは、光造形方式を用いた3Dプリンターのことです。

光造形方式とは、紫外線をあてることによって硬化する素材を一層ずつ硬化させて積層することで立体的な構造を作る方法です。この素材には、エポキシ系やアクリル系の樹脂などの液体の光硬化性樹脂が用いられます。

光造形方式は、現在実用化されている3Dプリンター技術の中で最も古くから存在しています。産業界において最も普及した積載造形方式です。

光造形3Dプリンターの使用用途

光造形3Dプリンターの使用用途として、デザインの確認、マスタモデルや注型などの製造があげられます。

光造形3Dプリンターの高精度で滑らかな表面をもった造形物を造形できるという特徴から、最終的な製品の造形に用いられる場合もあります。

使用用途によってプリンターや素材の種類を使い分ける必要があります。

光造形3Dプリンターの原理

光造形方式は、3次元データをプリンターに読み込ませ、液体樹脂に紫外線を照射することで造形を進めていきます。

造形のフローとしては光硬化樹脂の液体で満たしたタンクにレーザーを当てて樹脂を硬化し、1層目を作ります。次に、硬化させた積層面から1段下げ、同様にして次の層を硬化します。これを何度も繰り返して積層していくことで造形します。

層の厚さを薄く設定すれば非常に精度の高い造形を行うことができ、厚く設定すればスピーディーで効率の良い造形が可能です。

光造形3Dプリンターの種類

光造形3Dプリンターには、いくつかの種類が存在します。

以下、代表的な造形方式について説明します。

1. 光造形3Dプリンターの造形を進める方向による分類

光造形3Dプリンターは、造形を進める方向により以下の2つに分類されます。

  • 自由液面方式
    造形物に対して、上から光を当て、硬化した層を積み重ねていくことで造形を進めます。
  • 吊り下げ方式
    造形物を吊り下げるようにし、下から光を照射することで造形を進めます。

図1 造形を進める方向による分類

図1. 造形を進める方向による分類

2. 光造形3Dプリンターの光の当て方による分類

3Dプリンターは、光の当て方によっても、いくつかの方式に分類することができます。代表的なものとして以下の3つがあげられます。

  • レーザー走査方式
    レーザーポインターのような光で線を描くようにして照射する方法です。
  • プロジェクター方式
    プロジェクターを用いて、光を面で照射します。1度の照射で1つの層ができあがります。
  • 液晶パネル方式
    プロジェクター方式同様、光を面で照射します。液晶パネル方式では、プロジェクターではなく液晶ディスプレイを使用し光を照射します。

図2 光の当て方よる分類

図2. 光の当て方による分類

光造形3Dプリンターのその他情報

1. 光造形3Dプリンターの特徴

光造形3Dプリンターの特徴として、以下のようなメリットとデメリットがあります。

  • メリット
    高い精度で造形することができ、造形物の表面も滑らかです。また、比較的、短時間での造形が可能です。
  • デメリット
    装置や樹脂が高価で、後処理も必要となるため、コストがかかります。

用いられる素材の光硬化樹脂にも特徴があり、目的物の使用用途によって使い分けます。例えば、エポキシ樹脂は太陽光の耐性が弱く、アクリル樹脂は壊れやすいという特徴があるため、強い力が加わる場合や、耐久力が求められる用途には向いていません。

2. 光造形3Dプリンターによる造形の手順

光造形3Dプリンターによる造形は、3次元データの作成と変換、造形、後処理の順で行われます。

  1. 3次元データの作成と変換
    3DCADや3Dスキャナにより造形物の3次元データを作成します。このデータをSTLデータ、さらに、使用する3Dプリンターに対応するツールパスデータへと変換し、3Dプリンターに読み込ませます。
  2. 造形
    光造形3Dプリンターによる造形を実施します。
  3. 後処理
    造形直後の造形物表面には、未硬化の樹脂が残っているため、アルコール等による洗浄を行います。使用する樹脂によっては、強度を上げる等の目的から、二次硬化という処理を行います。それらの処理の後、造形物を変形から守るために用いられるサポート材を取り除きます。

3. 光造形3Dプリンターによる造形で取り扱うデータ

図3 光造形3Dプリンターによる造形で取り扱うデータ

図3. 光造形3Dプリンターによる造形で取り扱うデータ

光造形3Dプリンターで造形を進めるためには、3次元データ、STLデータ、ツールパスデータという3種類のデータを取り扱う必要があります。

  • 3次元データ
    3次元データは、3DCADや3Dスキャナーなどにより作成することができます。3DCADはコンピュータを用いて造形したいものを設計することで3次元データを作成します。比較的容易に利用できるものから、様々な機能を持ったより高性能なものまで存在し、無料で利用できるものもあります。3Dスキャナーは身の回りにあるものを読み取ることで3次元データを取得します。最近では、スマートフォン等を利用して手軽にスキャンできる仕組みもあります。
  • STLデータ
    3次元データを三角形の集合体として表現したようなデータであり、三角形の頂点の座標と法線ベクトルという情報を含みます。多くの3DCADソフトウェアではSTLデータとしての出力が可能です。STLデータ作成の際は、現実的に造形できないような破綻したモデルとなっていないかの確認と修正が必要となります。
  • ツールパスデータ
    ツールパスデータは、実際に3次元モデルを造形するにあたり3Dプリンターがどのように操作するのかという情報です。使用する3Dプリンターにより、対応するツールパスデータは異なります。これを3Dプリンターに読み込ませることで造形が可能となります。

参考文献
https://www.3d-studio.jp
https://d-engineer.com
https://www.solize.com

リチウムイオン蓄電システム

リチウムイオン蓄電システムとは

リチウムイオン蓄電システム

リチウムイオン蓄電システムとは、電力需要の安定化や停電時の電力供給を目的としたリチウムイオン蓄電池を用いたシステムです。

平常時にリチウムイオン蓄電システムの本体に、電力会社から配電される電力や、太陽光発電システムと連携して自家発電した電力を蓄えておくことで、消費電力の多い時間帯での電力購入の抑制や、災害による停電などの有事の事態に、電力の供給が可能となります。

リチウムイオン蓄電システムの使用用途

リチウムイオン蓄電システムは、家庭から企業まで、幅広い用途に使用されています。家庭では、太陽光発電システムと併用して取り入れるケースが多いです。自家発電電力の余剰分の買い取りを義務付ける制度が2019年に終了することを受け、家庭で作った電気を蓄電しておきたいという背景からさらに蓄電システムへの需要が高まっています。

また、日常的な電力使用に加え、停電などで電力の供給が止まった場合に、蓄電した電力を使用することができるため、災害対策などの観点からもニーズが高まっています。企業での使用用途には、事業継続対策の為に取り入れる例が多いです。

災害やシステムの障害によって、電力が十分に供給されず、事業継続が困難となる事態は、企業にとって大きな損害を与えてしまうため、未然に防ぐためにも蓄電システムは不可欠となっています。例えば、24時間止めることができないサーバーやなどや、大型ビルの照明などで用いられている他、事業の使用目的に合った大容量の蓄電システムなども提供されています。

リチウムイオン蓄電システムの原理

蓄電池とは、化学反応を利用して放電と蓄電を行える電池のことです。放電時と反対の向きに電流を流すことで充電が可能となります。

リチウムイオン電池とは、正極と陰極にそれぞれリチウム遷移金属酸化物、炭素材料を使用し、正極・負極間には主に不繊維を用いたセパレータおよび電解液とよばれる有機溶媒を使った蓄電池です。

リチウムイオン電池はこれまでの蓄電池と異なり、正極・負極材が層状構造となっており、その隙間にリチウムイオンを蓄えることが可能であり、リチウムイオンが正極・負極間を伝導することで充放電が行われます。

リチウムイオン電池の仕組み

図1. リチウムイオン電池の仕組み

リチウムイオン電池はこれまでの蓄電池と比較して、サイクル寿命、温度特性、出力・充電性能および体積当たりの容量に優れていることから蓄電システムとして広く使用されています。

リチウムイオン蓄電システムは、太陽光発電と組み合わせて使用されることが多いです。蓄電する電気は通常の系統電力か太陽光発電で発電した電力を用います。また、一般的には通常の配電盤から電力を供給する一般負荷と、緊急時に蓄電システムから電力供給が可能な特定負荷に分けられます。

平常時の昼間は太陽光発電による電力があるため、系統電力の使用量を抑えることが可能です。余剰分は蓄電に使用したり、必要に応じて売電したりできます。夜間は系統電力に加え、使用量が多い場合に蓄電システムから電力供給が可能です。深夜帯のような電力消費が少なく、電気料金が低い時間帯では蓄電システムに充電を行います。

停電が発生した場合は、昼間は太陽光発電と蓄電システム、夜間は蓄電システムから電力を供給することで、緊急時においても電気の使用が可能となります。停電時の場合では特定負荷に電力が供給されます。

また、蓄電システムがネットワークをネットワークに接続することで、パソコンなどからリモートで蓄電システムの状態を管理や、EMS(Energy Management System)を用いた電力使用の管理が可能となります。

蓄電システムの概略図

図2. 蓄電システムの概略図

リチウムイオン蓄電システムのその他情報

1. リチウムイオン蓄電システムのメリット

リチウムイオン蓄電システム導入のメリットとしては、停電時の非常用電源として使用できることと、太陽光発電との併用や電力ピークの平坦化による省エネ・省コスト効果がある点が挙げられます。

非常用電源としてのメリットについては原理でも解説したように、蓄電システムに電力をためておくことで、緊急時においても電気が使用できる点です。省エネ・省コスト効果を詳細に解説すると、昼間は太陽光発電による電力を用いることで購入する電力量が減ります。

また、余剰分は蓄電システムへ充電したり、売電したりすることも可能です。また、一般的に深夜帯のような電気使用量が少ない時間帯の電気料金は低く設定されているため、その時間帯に充電します。昼間のピーク時にためた電気を使用することで電力使用のピークを平坦化させ、電気料金を抑えることができます。

蓄電システムによる電力使用のイメージ

図3. 蓄電システムによる電力使用のイメージ

2. リチウムイオン蓄電システムの注意点

リチウムイオン蓄電システムを利用する上で注意する点がいくつかあります。

リチウムイオン電池の劣化
リチウムイオン電池の蓄電池は繰り返し利用できますが、何度も繰り返し使っていくことで蓄電池自体の容量が劣化します。一般的に蓄電池の寿命は、充電から放電までのサイクルを何回行えるかを表す「サイクル回数」を用います。サイクル回数5000回といったように、企業ごとのサイクル回数を確認しておくと、製品仕様が把握できます。

蓄電池にためられる容量
蓄電池にためられる電気の容量は決まっており「kWh(キロワットアワー)」で表します。容量が大きいほどリチウムイオン蓄電システム自体の価格も高くなるので、停電時に必要な電力量や普段利用する電力量を考慮した上で、容量を決める必要があります。

リチウムイオン蓄電システムの種類
リチウムイオン蓄電システムは設置する場所により種類が分けられており、屋外に設置する大型の「定置型」と、室内に設置できる「コンセント型」の2種類があります。特に屋外型は大きいため、設置するスペースを考慮しておくことが必要です。

参考文献
https://www2.panasonic.biz/ls/souchikuene/chikuden/sys1-3/chikuden_whats.html
https://sumai.panasonic.jp/chikuden/lithium/
https://www.totech.co.jp/service/energy/energy-next-plus/lithium-ion-battery/
https://rakuene-shop.jp/columns/battery-point/
https://www.shouene.com/v2h/v2h-knowledge/about-v2h.html
https://totsugekitai.com/media/

ラジアルベアリング

ラジアルベアリングとは

ラアジアルベアリング(英語:Radial Bearing)は、シャフト(回転軸)の軸中心に対して直角方向の、ラジアル方向に荷重が加わる場合に適用するベアリングです。

通常は、「ラジアル荷重」と「スラスト荷重」のどちらがかかるかで選定します。ただし、ラジアル荷重とスラスト荷重の両方ともに支持できる種類もあるので、主にどちらの荷重が加わるかで決定します。

ラジアルベアリングの使用用途

ラジアルベアリングは、回転するシャフトを備えたあらゆる機械に使用されています。身近な家電製品・玩具から、一般産業用の機械・設備、航空機・鉄道車両・自動車など多くの場所で、さまざまな種類が使用されています。

ラジアルベアリングの原理

ラジアル荷重

図1. ラジアル荷重

ラジアルベアリングの原理は、以下のような機能で、接触面の摩擦による抵抗を低減することで、シャフトは滑らかに回転し、ラジアル荷重を支持します。ラジアルベアリング、シャフトと荷重の関係は、図1 ラジアル荷重を参照して下さい。

1. ローラーベアリング(転がり軸受)

インナーリング(内輪)とアウターリング(外輪)の軌道輪間で、ボール(玉)やローラー(ころ)などの転動体が転がることで、低い摩擦抵抗でシャフトを回転させることができます。

2. メタル、ブッシング(滑り軸受)

ベアリングの原理

図2. ベアリングの原理

摩擦抵抗の小さい金属や潤滑剤を含侵した部品で、シャフトを支持することで、低い摩擦抵抗でシャフトを回転させることができます。

ラジアルベアリングの種類

ラジアルベアリングの種類

図3. ラジアルベアリングの種類

ラジアルベアリングは、構造・機能・用途により多くの種類があります。

1. ローラーベアリング(転がり軸受)

ボールベアリング(玉軸受)

深溝ボールベアリング(深溝玉軸受)
深溝ボールベアリングは、最も代表的で一般的なベアリングで、「摩擦抵抗が小さい」「高速回転に適応していて、振動は少なく騒音も低い」という特長があります。転動体のボール(玉)は、インナーリングとアウターリングの軌道輪間に配置され回転します。

また、リテ―ナ(保持器)を備えたものは、でボールの位置を維持し回転を補助することで、より正確で滑らかな回転が可能になります。ボールの保護がない開放形や、ボール部分にグリースを密封した、シール形とシールド形あります。

アンギュラボールベアリング(アンギュラ玉軸受)
アンギュラボールベアリングは、アウターリング・インナーリング・ボールの接触点を結んだ直線はラジアル方向に対して角度がついています。これを接触角と呼び、接触角は15度、30度、40度があります。

この接触角により、「1方向のアキシアル荷重もしくはラジアル荷重との合成荷重に適している」「精度の高いシャフトの回転に適している」という特長があります。通常スラスト荷重が加わる場合は、2個(2列)~4個(4列)の単列形を組み合せて使用します。

複列アンギュラボールベアリング(複列アンギュラ玉軸受)は、インナーリングとアウターリングが一体構造で、スラスト荷重が加わる場合でも単体で使用が可能です。接触角とベアリングの組み合わせは、図4 アンギュラボールベアリング を参照して下さい。

アンギュラボールベアリング

図4. アンギュラボールベアリング

自動調心ボールベアリング(自動調心玉軸受)
自動調心ボールベアリングは、アウターリング内側の軌道面中心が球面形状で、インナーリング外側は軌道用溝が2列あるベアリングです。インナーリング・ボール・リテーナは、アウターリングに対してある程度の傾きで回転することができます。

よって、ベアリングの取り付けによる芯出しの狂いや、シャフトやハウジングの加工誤差は、自動的に調整されます。ただし、あまり大きいなスラスト荷重を受けることはできません。ボールベアリングの形状などは、図5 ボールベアリング(玉軸受)を参照して下さい。

ボールベアリング(玉軸受)

図5. ボールベアリング(玉軸受)

ローラーベアリング(ころ軸受)

シリンドリカルローラーベアリング(円筒ころ軸受)
シリンドリカルローラーベアリングは、転動体のローラー外形が円筒状で、インナーリング・ローラー・アウターリングの軌道面は線接触になり、大きなラジアル荷重を支持することができます。ローラーは、インナーリングとアウターリングのつばでガイドされ、安定した回転を行うことができ高速回転用に適しています。また、片方向もしくは両方向のスラスト荷重を支持することができるものもあります。

テーパーローラーベアリング(円すいころ軸受)
テーパーローラーベアリングは、転動体のローラー外形が円すい状で、テーパーローラーの頂点とインナーリングとアウターリングの軌道面が、ベアリング全体の中心線上の1点で交差する形状になっています。
ローラーは、インナーリングとアウターリングの軌道面で「真の転がり運動」の回転をします。また、インナーリングとアウターリングの軌道面による合成された外力で、インナーリングのつばに押しつけられてガイドされます。

自動調心ローラーベアリング(自動調心ころ軸受)
自動調心ローラーベアリングは、転動体のローラー外形が樽状で、アウターリング軌道面の中心とベアリング全体の中心は一致しています。自動調心ボールベアリングと同様に、自動調心性があります。ラジアル荷重と両方向のスラスト荷重、またこれらの合成された荷重を支持することができます。振動や衝撃力のかかるような用途にも使用することができます。ローラーベアリングの形状などは、図6 ローラーベアリング(ころ軸受)を参照して下さい。

ローラーベアリング(ころ軸受)

図6. ローラーベアリング(ころ軸受)

ニードルベアリング(針状ころ軸受)
ニードルベアリングは、細い直径の長いニードル(針状ころ)の転動体を組み込んだベアリングです。断面が小さく省スペースで設置可能で、ある程度大きい荷重でも支持することができます。ニードルベアリングの形状などは、図7 ニードルベアリング(針状ころ軸受)、メタル、ブッシング(平軸受)を参照して下さい。

ニードルベアリング

図7. ニードルベアリング(針状ころ軸受)、メタル、ブッシング(平軸受)

2. メタル、ブッシング(滑り軸受)

メタル、ブッシング(滑り軸受)は、直接的に軸受の滑り面で、シャフトの回転や部品の直線移動を支持するベアリングです。シャフトもしくは移動部品と軸受の滑り面は、直接接触しているため摩擦力は大きく、摩擦熱が発生します。

そのため、相互の接触面をオイルで潤滑したり、軸受の滑り面に潤滑剤を含侵させた金属を使用したり、潤滑性に優れた樹脂素材などを使用しています。ドライベアリングは、潤滑剤を使用していない滑り軸受です。

滑り軸受は、比較的に安価で、寸法の自由度は高く安価で使い勝手も良く、さまざま種類が使用されています。メタル、ブッシング(滑り軸受)の形状などは、上記 図7 ニードルベアリング(針状ころ軸受)、メタル、ブッシング(平軸受)を参照して下さい。

参考文献
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/jik/radial_t/index.htm
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/jik/radial_k/index.htm
https://koyo.jtekt.co.jp/2019/02/column01-04.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0018.html

モーションボード

モーションボードとは

モーションボードとは、企業におけるデータを統合して管理し、集計や分析の結果をグラフや表で可視化できる情報基盤のことです。

企業における様々な情報源に直接アクセスしてつなぎ、異なるシステムに分散して蓄積されたデータや情報を収集します。一元化して管理することができるビジネス・インテリジェンスツールのダッシュボードです。

必要な情報源に迅速にアクセスすることで、全社的にリアルタイムにデータを利用できます。刻一刻と変化する事業を取り巻く環境にも素早く対応できます。あらゆるデータや情報を可視化して、分析や活用することが可能です。

モーションボードの使用用途

モーションボードは、情報基盤を必要とする多くの企業で使用されています。様々な部門を抱え、異なるシステムを複数稼働しているような企業では、データや情報を一元管理することは困難です。そのため、モーションボードを特に有効活用することができます。

IoT機器からの検知データも管理することができるモーションボードでは、機械や従業員の稼働状況を即時に把握して管理したい場合にもとても有用です。収集したデータを可視化することによって、事業の状態を直観的に把握することができ、改善点や潜在リスクをいち早く認識することができます。

モーションボードの原理

モーションボードの仕組みは、次のような工程から成り立っています。

  • まず第一に、企業が保持している複数の情報源に対して個々に接続器を開発します。この接続器によって、各システム内に蓄積されている個別のデータに対してアクセスします。
  • 次に、各システムのデータベースから取得した個別のデータを集計します。これらのデータを一元化し、て単一の仮想データに統合します。
  • 最後に、統合されたこれらの仮想データを元に、アプリケーションによって、可視化や分析を行います。開発されたアプリケーションによって、使用できるツールが異なります。

工程を繰り返すことで、リアルタイムのデータにアクセスし、常に新しい情報へアップデートします。

参考文献
https://www.scsk.jp/product/common/motionboard/index.html
https://www.hitachi-solutions.co.jp/drsum-motionboard/
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/dwh/bi-tool/motionboard/
https://www.scsk.jp/sp/mwbi/products/motionboard.html

モーションセンサー

モーションセンサーとはモーションセンサー

モーションセンサーとは、対象物の動作を物理量として感知して信号出力する検出装置です。

主に人や動物に取り付けて使用されます。加速度センサー角速度センサーを組み合わせて構成されます。

モーションセンサーの使用用途

モーションセンサーは民生品から産業機器まで幅広く使用されています。

以下に使用例を列挙します。

  • 自動ドアや自動改札機
  • スマートフォンやゲーム機コントローラー
  • 自動蛇口や自動点滅照明
  • 自動検温機
  • ドローン

モーションセンサーによって非接触で人の動きを検知できるため、使用用途の幅も広く多岐にわたります。

モーションセンサーの原理

3次元空間の物体の動きは、3軸の加速度と角速度によって表現することが可能です。モーションセンサーはこの仕組みを利用して対象物の動きを検知します。主に使用されるのは加速度センサーと角速度センサーで、3軸に対してそれぞれ1つ以上使用します。

採用しているセンサーの方式や種類はセンサーそれぞれによって設計が異なります。全体的な動きを捉えるものや、近距離での細かい動きを捉えるものなど、様々な特性を持たせることができます。

非接触で生物を検知するモーションセンサーでは、主に放射温度センサー光電センサーなどを使用します。人感センサーと呼ばれることもあり、温度変化を検出するものが主流です。

モーションセンサーのその他情報

1. モーションセンサーの市場動向

新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、モーションセンサーの市場規模は拡大中です。マーケティング会社の調査によると2019年度に57億ドルだった市場規模が、2025年度には約93億ドルへ成長すると予測されます。

モーションセンサー市場の大半は光電センサーが占めます。その中でもCCDやCOMSのイメージセンサーは車載カメラによる事故防止だけでなく、ドローンやロボットなどへの搭載により需要が伸びる可能性が高いです。

またIoT化が進む工場でも、モーションセンサーの導入が進められています。人の動きを測定することで自動化に向かない手作業工程を改善したり、製造途中の製品や部品を自動的に検査するシステムで活用されます。

2. モーションセンサーのセキュリティ

2017年、アメリカとイギリスの大学からモーションセンサーのセキュリティ問題が指摘されました。アメリカのミシガン州立大学は加速度センサーに対し、特定の音波を与えると誤動作することを指摘しました。公開された情報によれば、与える音波によっては故意に交通事故を引き起こせるようです。

また、イギリスのニューカッスル大学はスマートフォンのモーションセンサーから個人情報を抜き取られる可能性を指摘しました。文字入力でタップしたタイミングとスマートフォンの傾きから、パスワードやロック解除のPINを特定できるようです。

Webブラウザにモーションセンサーへのアクセス許可を与えると、悪質なサイトを訪問するだけでモーションセンサーの情報が盗まれる可能性があります。そのため、スマートフォン使用時は注意が必要です。

参考文献
 https://developer.android.com/guide/topics/sensors/sensors_motion?hl=ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/42/1/42_1_48/_pdf

https://industrial.panasonic.com/jp/products-ac/built-in-sensors/recommend
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1704/26/news024.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1054983.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1049693.html

ポリカーボネート

ポリカーボネート樹脂とは

ポリカーボネート樹脂

5大汎用エンプラとその物性値

表1. 5大汎用エンプラとその物性値 (参照: 化学便覧第5版) 

ポリカーボネート樹脂とは、エンジニアプラスチックの一種で、5大汎用エンジニアリングプラスチックの一つです。汎用エンジニアプラスチックの中で、ポリカーボネート樹脂は唯一無色透明であり、ガラスと比べても遜色ないほどの高い透明性となっています。

また、汎用エンジニアプラスチックの中で耐衝撃性が最も高いことや、主鎖にベンゼン環が2つ含まれているため、火がついても燃え広がらない自己消火性があること等も特徴です。プラスチックの基本的な成形手法のほとんどに対応しており、ポリカーボネート樹脂の加工性は非常に高いです。

ただし、割れや破損が発生することはほとんどありませんが、疲労には弱く傷がつきやすい点や、アルカリや有機溶媒には弱い点に注意する必要があります。

ポリカーボネート樹脂の使用用途

ポリカーボネート樹脂は、様々な条件に対して優れた耐性を持つことと加工性の高さから、非常に多くの用途に使用されています。以下に、ポリカーボネート樹脂の特徴とともに、使用用途の例を挙げます。

1. 透明性

その高い透明性から、メガネのレンズやカメラのレンズ、CD、DVDの基板などの光学用途に使用されます。

2. 衝撃耐性

強い耐衝撃性を持つことから、防弾材料などにも使用され、一般的な環境において使用する場合、割れる心配がほとんどありません。

3. 耐候性

紫外線にも強く、劣化しにくいため、屋外で使う場合にも、高い強度を長期間維持します。屋根材や太陽光パネル表面材など屋外で使用するものや、自動車のヘッドランプレンズやルーフレール、ドアハンドルにも使用されています。さらに、近年では、3Dプリンターによる成形手法にも対応しており、ますます使用用途が広がっています。

4. 寸法安定性

寸法安定性が高く、スマートフォンのケースなどに使われています。

ポリカーボネート樹脂の製造方法

ポリカーボネート樹脂の工業的な製造方法としては、界面重合法とエステル交換法の2つの方法があります。製法によって、密度が異なり、ポリカーボネートに改質剤を添加することで、さらに優れた樹脂素材にすることも可能です。

1. 界面重合法

界面重合法の反応式

図1. 界面重合法の反応式

ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液 と、塩化メチレンまたはクロロベンゼンとの懸濁溶液に塩化カルボニルを添加して水相と油相の界面で縮合重合反応させてポリカーボネートを製造する方法です。エステル交換法に比べて反応条件がマイルドなため、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のポリカーボネートを製造できます。

重合後、ポリカーボネート樹脂は油相に溶解しており、分離中和精製工程、ポリマー回収工程、 乾燥工程を経て顆粒状のポリカーボネートが得られます。

2. エステル交換法

エステル交換法の反応式

図2. エステル交換法の反応式

ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを触媒の存在下溶融混合して、溶媒を用いることなく高温減圧下でフェノールを回収しながら重縮合を行いポリカーボネートを製造する方法です。なお、回収されたフェノールは、ジフェニルカーボネートの原料として再利用されます。得られたポリカーボネートは、溶融状態で得られペレタイジングして製品化できるため、後工程が界面重合法と比較して簡易な合成法です。

ポリカーボネート樹脂のその他情報

1. ポリカーボネート樹脂の世界シェア

ポリカーボネート樹脂は、非常に広範な用途で使用されているため、生産拠点は各地域にあります。資本別でみると、アメリカ系のメーカーが36%、ドイツやベルギーを中心とした欧州メーカーが25%、三菱ケミカル、帝人、出光興産などの日系メーカーが38%となっています。世界的に見ても、日本の企業は非常に競争力が高いといえます。

2. ポリカーボネート樹脂の加工

ポリカーボネート樹脂は、熱を加えると軟らかくなる熱可塑性樹脂です。アクリル樹脂のように切断する、熱を加えて曲げ加工や溶剤を用いた溶接も可能です。

また、金属加工に近い方法で、特性を生かした工作物を作成することもできます。そのため、ポリカーボネート樹脂加工を生業とする事業者も数多いです。

参考文献
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-polycarbonate
https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pc.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/43/3/43_3_181/_pdf/-char/ja
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-polycarbonate
https://www.hyosinnet.com/about_material.html

ポジションインジケーター

ポジションインジケーターとは

ポジションインジケータとは、機械の部品であるワークの移動量を計測して計数で表示することで、ユーザーが容易に位置の測定をできる機械要素部品です。

回転軸に取り付けて使用することで、実際の送り量を確認できます。デジタルで表示するポジションインジケータもあります。デジタル表示にすることにより、細かい位置の調整が可能です。また、読み取りにおいても、作業者の感覚による従来の誤差や、調整のずれをなくしたりすることができ、作業の改善に貢献しています。

ポジションインジケーターの使用用途

ポジションインジケータは、機械の位置調整に適しています。包装や梱包を行う機械など、ワークを正しい幅や位置に調整するときに用いられています。

装置に直接接触するため、使用環境の影響を大きく受けます。そのため、取り付けハブの部分に用いられる材質によって、使用用途を以下の二種類に大きく分類することができます。

  • スチール
    一般的な環境で使用する場合に用いられ、様々な分野で幅広く多岐にわたって使用されます。例えば、工作機械や装置などで使われています。
  • ステンレス
    錆や腐食に強いため、水や薬品などへの耐性や衛生などが重視される特殊な環境で用いられます。例えば、食品や薬品を扱う機械や装置などで使用されています。

ポジションインジケーターの原理

ポジションインジケータは、送りねじや送り回転軸に取り付けることによって、軸の回転を利用し、ワーク部分の送り量を計算します。

ハブが一回転したときの表示と、送り回転軸のピッチを合わせることで、送り回転軸が実際の送り量を確認できます。送り量の把握により、精密な調整や、作業状況を的確に把握ができます。

参考文献
https://www.nbk1560.com/resources/machine_element/article/indicator-about/
http://konishi-mfg.com/goods/indi/gn2.php
https://www.imao.co.jp/introduce/digital-position-indicator.html
https://www.nbk1560.com/resources/machine_element/article/indicator-about/?SelectedLanguage=ja-JP
https://jp.misumi-ec.com/pdf/fa/09_p1_0689.pdf

ベアリングヒーター

ベアリングヒーターとは

ベアリングヒーターとは、ベアリングの内輪を焼きばめによって軸に取り付ける際に使用する機器です。

焼きばめとは、ベアリングの内輪と金属製回転軸との結合方法の一つです。加熱すると膨張する金属の性質を生かしています。ベアリングを過熱し、内輪の内径を大きくすることによって、ベアリングの内輪と軸と強固に固定することが可能です。

ベアリングの焼きばめは、オイルバスによって温めた油中でベアリングを温める方法などもありますが、オイルバスの準備などに手間がかかります。バーナーでの加熱は、部分的に高音になる可能性があり、ベアリングの材料の強度が低下するリスクが避けられません。

このような問題を解決するためにベアリングヒーターは、電磁誘導による加熱が一般的です。

ベアリングヒーターの使用用途

ベアリングヒーターは、ベアリングの内輪と回転軸をしまりばめによって固定したい場合に使われます。ベアリングの大きさが小さく、しまりばめの締め代が少なければ、内輪を押しながら圧入することも可能です。

しかし、ベアリングが大きく、必要な締め代も大きな場合には焼きばめを行い、ベアリングヒーターを使うと効率的に作業ができます。ベアリング部品は使用される機械に組み付けられる際に、内輪か外輪のいずれかを締まりばめで固定し、もう一方は隙間ばめによって取り外しができるようにしておかなければなりません。

内輪と外輪のどちらかを締まりばめにするのかは、それぞれが受ける荷重の方向や大きさの変動が大きい方を締まりばめにします。内輪と外輪いずれも固定したい場合には、外輪を隙間ばめにした上で、ベアリングリテーナなどによって外輪を固定したり、外輪に二面幅形状を加えたつばを設けて、ハウジング部品と組み合わせたりする方策が必要です。

ベアリングヒーターの原理

焼きばめはベアリング全体を加熱、膨張させて、内輪の内径が大きくなったところに軸をはめ入れます。その後ベアリングが冷えると膨張した穴は元のサイズに収縮し、軸と固着されます。この原理を使うことで、穴と軸は互いに強く固定されるため、緩みに対して非常に強くなります。

ベアリングヒーターの多くは、電磁誘導によってベアリングを加熱します。電磁誘導式の仕組みを一言で表すなら、「電子レンジ」です。コイルに電流を流すことで磁束が発生し、金属の電気抵抗により渦電流に伴う発熱が起こる仕組みを利用しています。

ベアリングを過熱するために火を使用せず、場所も取らないため、安全かつ省スペースで作業が可能です。ヒーターの型式にもよりますが、100V電源で使用可能なものもあります。電磁誘導式のヒーターを使用する場合、過熱後そのままだと磁束が残り、軸受自体に磁力が生じた状態 (磁石と同じ状態) になります。

磁力によってベアリングに砂鉄などの異物が混入する可能性があり、磁力を取り除かなければなりません。そこで電磁誘導式のベアリングヒーターには通常、脱磁機能が搭載されています。

ベアリングヒーターのその他情報

ベアリングヒーターの温度

ベアリングヒーターによって過熱できる温度はヒーターによって様々です。電磁誘導式のうち200℃まで加熱できるものがありますが、ベアリングは原則120℃以下で組み付けるとされています。

なぜなら、ベアリングの焼戻し温度以上に加熱されると、ベアリングの材料の強度が低下してしまうからです。焼きばめではベアリングと軸との温度差が90℃以上あれば、締め代は十分小さくなっている可能性が高いです。ベアリングの過熱しすぎに注意しましょう。

参考文献
https://www.etoh-inc.com/
https://www.tlv.com/ja/products/070000/070100/p070104/
https://www.fukudaco.co.jp/support/glossary/shrink-fit.html
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/9103.pdf
https://www.ezo-brg.co.jp/product/document-detail13.html