リチウムイオン蓄電システム

リチウムイオン蓄電システムとは

リチウムイオン蓄電システム

リチウムイオン蓄電システムとは、電力需要の安定化や停電時の電力供給を目的としたリチウムイオン蓄電池を用いたシステムです。

平常時にリチウムイオン蓄電システムの本体に、電力会社から配電される電力や、太陽光発電システムと連携して自家発電した電力を蓄えておくことで、消費電力の多い時間帯での電力購入の抑制や、災害による停電などの有事の事態に、電力の供給が可能となります。

リチウムイオン蓄電システムの使用用途

リチウムイオン蓄電システムは、家庭から企業まで、幅広い用途に使用されています。家庭では、太陽光発電システムと併用して取り入れるケースが多いです。自家発電電力の余剰分の買い取りを義務付ける制度が2019年に終了することを受け、家庭で作った電気を蓄電しておきたいという背景からさらに蓄電システムへの需要が高まっています。

また、日常的な電力使用に加え、停電などで電力の供給が止まった場合に、蓄電した電力を使用することができるため、災害対策などの観点からもニーズが高まっています。企業での使用用途には、事業継続対策の為に取り入れる例が多いです。

災害やシステムの障害によって、電力が十分に供給されず、事業継続が困難となる事態は、企業にとって大きな損害を与えてしまうため、未然に防ぐためにも蓄電システムは不可欠となっています。例えば、24時間止めることができないサーバーやなどや、大型ビルの照明などで用いられている他、事業の使用目的に合った大容量の蓄電システムなども提供されています。

リチウムイオン蓄電システムの原理

蓄電池とは、化学反応を利用して放電と蓄電を行える電池のことです。放電時と反対の向きに電流を流すことで充電が可能となります。

リチウムイオン電池とは、正極と陰極にそれぞれリチウム遷移金属酸化物、炭素材料を使用し、正極・負極間には主に不繊維を用いたセパレータおよび電解液とよばれる有機溶媒を使った蓄電池です。

リチウムイオン電池はこれまでの蓄電池と異なり、正極・負極材が層状構造となっており、その隙間にリチウムイオンを蓄えることが可能であり、リチウムイオンが正極・負極間を伝導することで充放電が行われます。

リチウムイオン電池の仕組み

図1. リチウムイオン電池の仕組み

リチウムイオン電池はこれまでの蓄電池と比較して、サイクル寿命、温度特性、出力・充電性能および体積当たりの容量に優れていることから蓄電システムとして広く使用されています。

リチウムイオン蓄電システムは、太陽光発電と組み合わせて使用されることが多いです。蓄電する電気は通常の系統電力か太陽光発電で発電した電力を用います。また、一般的には通常の配電盤から電力を供給する一般負荷と、緊急時に蓄電システムから電力供給が可能な特定負荷に分けられます。

平常時の昼間は太陽光発電による電力があるため、系統電力の使用量を抑えることが可能です。余剰分は蓄電に使用したり、必要に応じて売電したりできます。夜間は系統電力に加え、使用量が多い場合に蓄電システムから電力供給が可能です。深夜帯のような電力消費が少なく、電気料金が低い時間帯では蓄電システムに充電を行います。

停電が発生した場合は、昼間は太陽光発電と蓄電システム、夜間は蓄電システムから電力を供給することで、緊急時においても電気の使用が可能となります。停電時の場合では特定負荷に電力が供給されます。

また、蓄電システムがネットワークをネットワークに接続することで、パソコンなどからリモートで蓄電システムの状態を管理や、EMS(Energy Management System)を用いた電力使用の管理が可能となります。

蓄電システムの概略図

図2. 蓄電システムの概略図

リチウムイオン蓄電システムのその他情報

1. リチウムイオン蓄電システムのメリット

リチウムイオン蓄電システム導入のメリットとしては、停電時の非常用電源として使用できることと、太陽光発電との併用や電力ピークの平坦化による省エネ・省コスト効果がある点が挙げられます。

非常用電源としてのメリットについては原理でも解説したように、蓄電システムに電力をためておくことで、緊急時においても電気が使用できる点です。省エネ・省コスト効果を詳細に解説すると、昼間は太陽光発電による電力を用いることで購入する電力量が減ります。

また、余剰分は蓄電システムへ充電したり、売電したりすることも可能です。また、一般的に深夜帯のような電気使用量が少ない時間帯の電気料金は低く設定されているため、その時間帯に充電します。昼間のピーク時にためた電気を使用することで電力使用のピークを平坦化させ、電気料金を抑えることができます。

蓄電システムによる電力使用のイメージ

図3. 蓄電システムによる電力使用のイメージ

2. リチウムイオン蓄電システムの注意点

リチウムイオン蓄電システムを利用する上で注意する点がいくつかあります。

リチウムイオン電池の劣化
リチウムイオン電池の蓄電池は繰り返し利用できますが、何度も繰り返し使っていくことで蓄電池自体の容量が劣化します。一般的に蓄電池の寿命は、充電から放電までのサイクルを何回行えるかを表す「サイクル回数」を用います。サイクル回数5000回といったように、企業ごとのサイクル回数を確認しておくと、製品仕様が把握できます。

蓄電池にためられる容量
蓄電池にためられる電気の容量は決まっており「kWh(キロワットアワー)」で表します。容量が大きいほどリチウムイオン蓄電システム自体の価格も高くなるので、停電時に必要な電力量や普段利用する電力量を考慮した上で、容量を決める必要があります。

リチウムイオン蓄電システムの種類
リチウムイオン蓄電システムは設置する場所により種類が分けられており、屋外に設置する大型の「定置型」と、室内に設置できる「コンセント型」の2種類があります。特に屋外型は大きいため、設置するスペースを考慮しておくことが必要です。

参考文献
https://www2.panasonic.biz/ls/souchikuene/chikuden/sys1-3/chikuden_whats.html
https://sumai.panasonic.jp/chikuden/lithium/
https://www.totech.co.jp/service/energy/energy-next-plus/lithium-ion-battery/
https://rakuene-shop.jp/columns/battery-point/
https://www.shouene.com/v2h/v2h-knowledge/about-v2h.html
https://totsugekitai.com/media/

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