光造形3Dプリンター

光造形3Dプリンターとは

光造形3Dプリンター

光造形3Dプリンターとは、光造形方式を用いた3Dプリンターのことです。

光造形方式とは、紫外線をあてることによって硬化する素材を一層ずつ硬化させて積層することで立体的な構造を作る方法です。この素材には、エポキシ系やアクリル系の樹脂などの液体の光硬化性樹脂が用いられます。

光造形方式は、現在実用化されている3Dプリンター技術の中で最も古くから存在しています。産業界において最も普及した積載造形方式です。

光造形3Dプリンターの使用用途

光造形3Dプリンターの使用用途として、デザインの確認、マスタモデルや注型などの製造があげられます。

光造形3Dプリンターの高精度で滑らかな表面をもった造形物を造形できるという特徴から、最終的な製品の造形に用いられる場合もあります。

使用用途によってプリンターや素材の種類を使い分ける必要があります。

光造形3Dプリンターの原理

光造形方式は、3次元データをプリンターに読み込ませ、液体樹脂に紫外線を照射することで造形を進めていきます。

造形のフローとしては光硬化樹脂の液体で満たしたタンクにレーザーを当てて樹脂を硬化し、1層目を作ります。次に、硬化させた積層面から1段下げ、同様にして次の層を硬化します。これを何度も繰り返して積層していくことで造形します。

層の厚さを薄く設定すれば非常に精度の高い造形を行うことができ、厚く設定すればスピーディーで効率の良い造形が可能です。

光造形3Dプリンターの種類

光造形3Dプリンターには、いくつかの種類が存在します。

以下、代表的な造形方式について説明します。

1. 光造形3Dプリンターの造形を進める方向による分類

光造形3Dプリンターは、造形を進める方向により以下の2つに分類されます。

  • 自由液面方式
    造形物に対して、上から光を当て、硬化した層を積み重ねていくことで造形を進めます。
  • 吊り下げ方式
    造形物を吊り下げるようにし、下から光を照射することで造形を進めます。

図1 造形を進める方向による分類

図1. 造形を進める方向による分類

2. 光造形3Dプリンターの光の当て方による分類

3Dプリンターは、光の当て方によっても、いくつかの方式に分類することができます。代表的なものとして以下の3つがあげられます。

  • レーザー走査方式
    レーザーポインターのような光で線を描くようにして照射する方法です。
  • プロジェクター方式
    プロジェクターを用いて、光を面で照射します。1度の照射で1つの層ができあがります。
  • 液晶パネル方式
    プロジェクター方式同様、光を面で照射します。液晶パネル方式では、プロジェクターではなく液晶ディスプレイを使用し光を照射します。

図2 光の当て方よる分類

図2. 光の当て方による分類

光造形3Dプリンターのその他情報

1. 光造形3Dプリンターの特徴

光造形3Dプリンターの特徴として、以下のようなメリットとデメリットがあります。

  • メリット
    高い精度で造形することができ、造形物の表面も滑らかです。また、比較的、短時間での造形が可能です。
  • デメリット
    装置や樹脂が高価で、後処理も必要となるため、コストがかかります。

用いられる素材の光硬化樹脂にも特徴があり、目的物の使用用途によって使い分けます。例えば、エポキシ樹脂は太陽光の耐性が弱く、アクリル樹脂は壊れやすいという特徴があるため、強い力が加わる場合や、耐久力が求められる用途には向いていません。

2. 光造形3Dプリンターによる造形の手順

光造形3Dプリンターによる造形は、3次元データの作成と変換、造形、後処理の順で行われます。

  1. 3次元データの作成と変換
    3DCADや3Dスキャナにより造形物の3次元データを作成します。このデータをSTLデータ、さらに、使用する3Dプリンターに対応するツールパスデータへと変換し、3Dプリンターに読み込ませます。
  2. 造形
    光造形3Dプリンターによる造形を実施します。
  3. 後処理
    造形直後の造形物表面には、未硬化の樹脂が残っているため、アルコール等による洗浄を行います。使用する樹脂によっては、強度を上げる等の目的から、二次硬化という処理を行います。それらの処理の後、造形物を変形から守るために用いられるサポート材を取り除きます。

3. 光造形3Dプリンターによる造形で取り扱うデータ

図3 光造形3Dプリンターによる造形で取り扱うデータ

図3. 光造形3Dプリンターによる造形で取り扱うデータ

光造形3Dプリンターで造形を進めるためには、3次元データ、STLデータ、ツールパスデータという3種類のデータを取り扱う必要があります。

  • 3次元データ
    3次元データは、3DCADや3Dスキャナーなどにより作成することができます。3DCADはコンピュータを用いて造形したいものを設計することで3次元データを作成します。比較的容易に利用できるものから、様々な機能を持ったより高性能なものまで存在し、無料で利用できるものもあります。3Dスキャナーは身の回りにあるものを読み取ることで3次元データを取得します。最近では、スマートフォン等を利用して手軽にスキャンできる仕組みもあります。
  • STLデータ
    3次元データを三角形の集合体として表現したようなデータであり、三角形の頂点の座標と法線ベクトルという情報を含みます。多くの3DCADソフトウェアではSTLデータとしての出力が可能です。STLデータ作成の際は、現実的に造形できないような破綻したモデルとなっていないかの確認と修正が必要となります。
  • ツールパスデータ
    ツールパスデータは、実際に3次元モデルを造形するにあたり3Dプリンターがどのように操作するのかという情報です。使用する3Dプリンターにより、対応するツールパスデータは異なります。これを3Dプリンターに読み込ませることで造形が可能となります。

参考文献
https://www.3d-studio.jp
https://d-engineer.com
https://www.solize.com

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