放射温度センサーのメーカー7社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
放射温度センサーとは、物質から発せられる赤外線を感知して、温度を測定する装置です。絶対零度を超える温度を持つ、あらゆる物質から放射される赤外線エネルギーを検出し、温度を測定する仕組みとなっています。
物質内部の温度や気体の温度は測定することができませんが、物体に触れることなく瞬時に温度を測定することが可能です。測定可能範囲(スポット径)と測定距離が機器によって決まっているため、状況に応じて選定する必要があります。
放射温度センサーは高速に温度測定ができるほか、直接触れずに非接触での温度測定もできることから、移動・回転する物体や、センサーを接触させると表面温度が変化してしまうような、小熱容量物体の温度測定に適しています。
産業プロセスや研究分野などと、広範囲で用いられています。特に、対象物が動いている場合や電磁界によって囲まれている場合、または対象物が真空あるいはその他調節空気内にある場合に用いるのが有効です。
人間を含め、全ての物質は赤外線を放出しています。手のひらを頬に近づけると温かさを感じますが、これは頬から発せられている赤外線を手の皮膚が感知しているからです。一般に、物質の温度が高いほど放出される赤外線量は多くなっています。
赤外線放射とは、電磁スペクトルの一部であり、その周波数は可視光と電波の間程度です。この周波数範囲において、0.7ミクロンから20ミクロンの周波数のみが実用的な一般の温度測定に用いられているのが現状です。具体的な原理は次のようになっています。
物質から放出された赤外線を、サーモパイルと呼ばれる検出素子に集めます。なお、サーモパイルとは吸収した赤外線によって温められ、その温度に応じて電気信号を発する検出素子を言います。
複数の熱電対が、温接点を中心部に向けた状態で直列接続されており、その温接点が向かう中心部には赤外線吸収膜が設置されています。レンズで集められた光は温接点部分にのみ当たるため、外側にある冷接点側との間に温度差が生じます。これによりゼーベック効果によって電圧差が生まれ、温度測定ができる仕組みです。
参考文献
https://www.jp.omega.com/technical-learning/infrared-temperature-measurement-theory-application.html
各種放射温度センサーの値をグラフにプロットし、表にしました。ベータ版機能のため一部製品のみの表示となっております。
横にスクロールすると表の全体をご覧頂けます。
製品名 | IR-SAシリーズ | IR-CAシリーズ | IR-CZシリーズ | IR-CDシリーズ | IR-BAシリーズ | IR-BZシリーズ | 放射温度センサ FT シリーズ | Xi80シリーズ | Xi400シリーズ | PIシリーズ | レーザ同光軸放射温度計 | FTKXシリーズ | FLHXシリーズ | M1241-IR640-F02 |
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最低測定温度[℃] | 0 | -50 | 0 | -50 | 0 | 0 | 0 | -20 | -20 | -20 | 140 | 100 | 90 | -20 |
最高測定温度[℃] | 2500 | 3500 | 3500 | 3500 | 1300 | 1000 | 500 | 900 | 900 | 1500 | 3000 | 2000 | 2000 | 900 |
会社名 | 株式会社チノー | 株式会社チノー | 株式会社チノー | 株式会社チノー | 株式会社チノー | 株式会社チノー | 株式会社キーエンス | オプテックス・エフエー株式会社 | オプテックス・エフエー株式会社 | オプテックス・エフエー株式会社 | ジャパンセンサー株式会社 | ジャパンセンサー株式会社 | ジャパンセンサー株式会社 | 株式会社シロ産業 |
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
IR-SAシリーズは、耐熱防塵性を持った高機能な放射温度計です。
サイズは直径50mmと小型でありながら、ステンレスで設計されたボディのため防塵防水性はIP67規格に準拠しています。
90℃の高温域まで測定可能で、中温域では高速応答性を実現しつつ、高温域では金属と炭素の共晶点から目盛りを校正することで高精度な温度測定が可能となっています。
設定表示器と組み合わせて使用すれば、計測対象に応じた放射率などの設定が遠隔で安全に実施できます。
IR-CAシリーズは、本体に温度表示機能や外部出力機能を備えたオールインワンタイプの放射温度計です。
低温域から高温域まで最適なカメラが見つかる豊富なラインナップが特長で、特に高温域では3500℃までの測定が可能であり、鉄鋼などの溶融金属の温度測定に適しています。
オールインワンタイプのため1台で測定からデータ出力までできますが、外部オプションを組み合わせることで遠隔操作も可能となるため、作業者の安全を保った運用ができます。
IR-CZシリーズは、本体に温度表示機能や外部出力機能を備えたオールインワンタイプの放射温度計です。
低温域から高温域まで広くカバーした設計となっており、低温域ではワイドレンジな計測を、高温域では金属と炭素の共晶点から温度校正を行い高精度な測定結果が得られます。
オールインワンタイプのため1台で測定からデータ出力までできますが、外部オプションを組み合わせることで遠隔操作や保守運用が可能なため、作業者の安全を保てます。
IR-CDシリーズは防爆対応の放射温度計で、主に可燃性のガスや液体が多く存在するプラントや地下の工事現場、半導体工場などでの温度測定に適しています。
一般的な防爆構造の温度計に対して、7.5kgと軽量化してつくられているため、導入設置時のハードルが下がります。
放射率の設定範囲も幅広く様々な放射温度を測定できる上に、自動放射率演算機能も搭載しているため、深い知識がなくとも対象物の温度を計測することができます。
IR-BAシリーズは、コンパクトな安価版の放射温度計で、ガラス基板や燃焼ガスからアニール材など測定用途に応じた幅広いラインナップを揃えています。
高速で移動する物体の測温が可能なため、ベルトコンベアで搬送する鉄鋼半製品などの温度計測に最適で、応答性も50msと高速対応しています。
小型で安価ながら機能は充実しており、測定値をアナログ出力したり、放射率を任意の値に設定したりできるため、詳細な測定を高精度で実施することができます。
IR-BZシリーズは、本体と検出部を分離させて温耐性を高めることで高温環境下での計測に特化した放射温度計です。
測定応答性は15msと超高速なため、生産ラインのスループットを落とすことなく安定した温度測定が可能です。
小型分離型タイプの放射温度計でありながら、測温可能域は0℃から1000℃と幅広く、あらゆる工場の生産ラインに適しています。
周囲温度の急激な変化にも対応しているため、常に温度ドリフトの少ない良好な測定結果が得られます。
FTシリーズは、検出範囲を目視で確認しながら被写体の測温が可能な放射温度計です。
本体からガイドとなるレーザーが発光しており、測定位置を目視確認できるため、温度測定時のヒューマンエラーを除くことができます。
超長距離タイプのセンサーヘッドを使用すれば、最大3000mmのロングレンジでも測温が可能なため、生産設備のレイアウトに合わせた最適な設置ができます。
測定対象物に応じて、放射率を直接入力することもでき、逆に温度から放射率を自動で算出することもできるため、初心者でも簡単に扱えます。
FTKXシリーズは、ファイバー型の放射温度センサーで窓越しの計測が可能なため、ガラス製の真空チャンバー内の測温などに適しています。
短波長のレーザーを使用することで、ガラス面を透過し奥の空間内の温度を測定することができ、その測温応答時間は1msと世界最高レベルの速度を誇ります。
小型化するために本体には最低限の機能を搭載しつつ、計測位置合わせの補助としての緑色LEDライトを発光機能もあるため、位置ズレの心配はありません。
FTHXシリーズは、ファイバーレス型の放射温度センサーで、ガラス製の真空チャンバー内などの窓越し計測が可能です。
堅牢さに加え、耐薬品性も備えているため、半導体製造工場などにも設置することが可能です。
ファイバーレス型のため、価格は抑えてありながら、その測温応答時間は1msと世界最高レベルの速度を誇ります。
小型化するために本体には最低限の機能を搭載しつつ、計測位置合わせの補助としての緑色LEDライトは温度計測中も発光可能でであり、位置ズレの心配はありません。