グリースのメーカー7社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
グリースとは原料になる液体状の基油に増稠剤を混ぜ合わせて半固体、若しくは固体化させた潤滑剤で、JIS K2220:2013で定義されます。使われる基油によって「鉱油系グリース」および「合成油系グリース」に分けられ鉱油系グリースが一般的です。
増稠剤の種類によって「石けん系グリース」と「非石けん系グリース」にも分けられ、とりわけリチウム石けん基グリースは、戦後の高度成長を支え、現在でも幅広い分野で利用されています。
グリースに特徴を持たせるために、酸化防止剤や耐荷重添加剤などの添加剤を加えることもあります。
グリースは軸受や装置機械の可動部分の摩擦を防ぐ役割を果たすほか、化学機器のジョイント部分に塗布し密着性を保つために用いられます。特に軸受の潤滑剤性能は自動車産業や精密機器業界で重要な役割を担っています。また、機械および機器の高性能化や小型化そして環境配慮の点から、潤滑剤は更なる性能向上が求められています。グリースは潤滑剤として利用される潤滑油と比較されて使い分けられています。
潤滑油と比較したグリースのメリット
潤滑油と比較したグリースのデメリット
グリースは単に基油と増稠剤との混合物ではありません。石けん分子からなる増稠剤が三次元の網目状構造(ミセル構造)を形成して網目状構造の中に基油が取り込まれ保持されることでグリースは構成されています。グリースに応力がかかることで網目状構造が歪み、保持された基油が滲み出すことで潤滑の役割を果たします。
先にグリースのメリットおよびデメリットで挙げた項目の一部は、網目状構造に起因するものです。つまり異物および少量の水がグリースに接触しても網目状構造は大きく乱れることなく、むしろ異物等を含みながらも構造を保持するため、潤滑剤としての機能が大きく損なわれることがないのです。
なお低速および高速回転におけるグリースの評価時には流体の非ニュートン性を考慮する必要があります。潤滑油は低速の応力(せん断力)ではくさび効果が生じず油膜が切れてしまいます。一方でグリースは低速でも一定の粘性を示すため、せん断面での膜厚を保つことができます。
グリースには様々な種類がありますが、代表的なものとして、「モリブデングリース」、「リチウムグリース」、「シャーシグリース」、「シリコングリース」などがあります。
モリブデングリースは極圧性が高いことが特徴で、重荷重部に多く用いられます。ただ、粘度が比較的低いので、グリースの流出には注意が必要です。
リチウムグリースは最も汎用的なグリースで、耐水性、耐熱性、潤滑性に優れています。ただ、ゴムや樹脂には悪影響を与えるものもあるため、ゴム製品や樹脂製品にはラバー用と明記されているタイプを使用します。
シャーシグリースは自動車に多く使用されており、汎用性の高いグリースです。リチウムグリースに比べて性能は劣りますが、比較的安価で入手できるグリースです。
シリコングリースはゴムや樹脂に悪影響が出にくいため、ゴム製品や樹脂製品に多く用いられます。
グリースの使用方法として挙げられるものに、「塗布」、「手動給脂」、「自動給脂」があります。
塗布は最も一般的で、シャフトやチェーンなど潤滑したい部分に手で塗布します。設備のメンテナンス項目でも、各摺動部に定期的にグリースを塗布するように指示があるものがほとんどです。
手動給脂は、リニアガイドやボールねじなど内部にグリースを給脂する際に行う方法です。一般的に内部に給脂が必要な機器には「グリースニップル」と呼ばれる給脂口がついており、グリースガンを使用して、グリースニップルより内部に給脂します。
自動給脂は、グリースポンプにより定期的に自動給脂するシステムです。グリースポンプから硬質チューブまたは金属パイプで給脂位置までグリースを供給します。一般的には配管内に定量バルブを組み込み、グリースの供給量が一定になるようにしています。
グリースポンプは手動と電動があり、手動は自動給脂とは呼べませんが、作業者が入れない部分に給脂をする際に必要になります。電動は上位制御機器からの指令で定期的に給脂ができるので、作業者によるメンテナンス工数を削減できることはもちろん、作業者による塗布忘れなどのミスを防ぎ、設備のトラブルを防止することができます。
参考文献
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