フラットパネル

フラットパネルとはフラットパネル

フラットパネルは、建設現場で使用される凹凸のない白い囲いになります。従来は、鋼板を囲いとしていましたが、外側からボルトなどを外すことで開けることができるという安全面の不安を、外側にボルトなどを取り付けない凹凸のないものとすることで解消しています。強度についても、ほとんどの製品で鋼板と同程度になっています。白を基調としており、光沢のある製品が多いため、建設現場の周辺を美しく見せる効果も期待できます。基本的には、建設現場の内側に鉄パイプやフックを使用して土台を設置し、取り付けます。

フラットパネルの使用用途

フラットパネルは、建設現場の囲いとして使用されます。フラットパネルを使用することにより、建設現場への部外者の侵入を防ぐほか、白を基調としているため、見た目も美しく景観を汚すことが少なくなります。フラットパネルにイラストなどを貼ることも可能になります。フラットパネルの選定の際には、囲いを設置する高さ、パネル1つの大きさ、質量や構造などの取り付けやすさ、塗装の色合い、強度などを考慮して選定する必要があります。

フラットパネルの特徴

フラットパネルの特徴を説明します。フラットパネルは、アルミ枠とポリプロピレン樹脂、亜鉛メッキ鋼板などを使用して、片側に白色の塗装がされている構造となっています。鋼板のみの囲いに比べて、アルミ枠などを使用している製品は軽量になっています。構成される要素を変更することで、防音機能が高い製品もあります。

取り付け時は、フラットパネルとJ型のフック、鉄パイプ、コーナーパネル、ジョイント金具、幅調整フラットパネルが必要となります。設置場所に必要な幅のフラットパネルをジョイント金具で繋げます。その際、幅調整パネルで必要な幅を調整します。その後、フラットパネルと鉄パイプをJ型フックで接続します。鉄パイプは、土台となる鉄パイプと接続され、フラットパネルは地面に固定されます。コーナー部では、直角に曲がったコーナーパネルを用いて、別方向のパネルと接続します。 

参考文献
https://www.gatekogyo.co.jp/Poli_Flat_Panel.html
https://www.meijishoko.com/products/gate/page05.php

フラットドリル

フラットドリルとは

フラットドリルとは、通常のドリルとは異なり、先端が平らな形状をしている切削工具のことです。

平らな形状のため、通常のドリルでは加工が困難な斜面や曲線に対しても穴をあけられます。さらに、座ぐり加工や交差する穴をあけるような加工にも使用されます。

加工した穴の終端側にバリがでにくく、穴が曲がったりすることも少なく平らに真っすぐ穴をあけることが可能です。そのため、薄い鋼板の通し穴にも適しています。また、工具の寿命を長くするために、定期的に切れ味を研ぐ必要があります。研ぎ方によっては、先端の平らな形状が失われることがあるため注意が必要です。

様々な素材に対して穴をあけられますが、素材の硬度によっては、適切な加工条件を選択する必要があります。また、使用するドリルの径や先端角度も、加工する素材や穴の形状によって適切に選択が必要です。

フラットドリルの使用用途

フラットドリルは、通常のドリルでは加工が困難な傾斜面や曲線に対しての穴あけ加工に使用されます。斜面に対して垂直な穴をあけられ、座ぐり加工によって平らな面を作って深穴加工時の案内を作ることも可能です。加工した穴の終端側にバリができにくく、平らに真っすぐ穴をあけられるため、薄い鋼板の通し穴にも適しています。

さらに、フラットドリルはRになっている面や交差している穴にも対応し、さまざまな形状に対して柔軟に穴あけ加工ができるため、自動車部品や電子部品、航空機部品など、幅広い分野で使用されています。

また、高い剛性を持ち、加工による振動を抑えることが可能です。高速加工にも対応できるため、生産性向上や加工品質の向上など、多くのメリットが得られます。

フラットドリルの原理

フラットドリルは、平面状の刃物で穴をあけることで成り立ちます。刃物が完全に平面状になっているため、座ぐり加工をする際に穴の中央に盛り上がりができず、深い穴加工の前加工ができる点が特徴です。また、貫通穴では、鉄の厚みが薄くなる部分が軟弱になることを抑制し、終端のバリが出にくくなるため、鉄板を短時間で効率的に穴あけ加工できます。

しかし、フラットドリルの刃物全体に負荷がかかるため、切りくずを出す力が通常のドリルと比べると弱く、深い穴を開けられないことがデメリットです。また、ねじれ角が穏やかな形状になっているため、切りくずを出す力が弱くなってしまうことも深い穴加工に制限をかける要因となります。

フラットドリルの種類

フラットドリルには、主にフルートドリルとスパイラルドリルの2種類があります。使用用途に適した種類を選ぶことが、高精度な加工や生産性の向上に繋がります。

1. フルートドリル

フルートドリルは、先端が完全に平らなフラットタイプのドリルです。主に、座ぐり加工や深穴加工の前加工など、平面を作る前加工に使われます。また、鉄板を短時間で効率的に穴あけ加工ができるため、量産加工に適しています。しかし、深い穴をあけようとすると、切りくずが出せなくなるため、フルートドリルだけの加工には限界があるでしょう。

2. スパイラルドリル

スパイラルドリルは、先端が平らではなく、らせん状になっています。スパイラルの角度によって、切りくずを効率よく排出できるため、深穴加工に適しています。また、フルートドリルよりも切削力が強く、加工速度も速いため、一般的なドリルと同様に、あらゆる加工に使用可能です。ただし、フラットドリル特有の問題である、刃物全体への負荷がかかってしまうことがあります。

参考文献
https://faq.osg.co.jp/faq/show/703

フライトコンベア

フライトコンベアとは

フライトコンベアは、両側に搬送用のチェーンやベルトがついている土台と、その中央にフライトと呼ばれる板状の金属で構成されている、輸送機器になります。駆動時は、両側のチェーンやベルトが動作することに付随して移動するフライトによって、輸送対象物を押し出すようにして輸送を行います。通常は、チェーンやベルトの部分は、密閉されており、輸送対象の物質が外部に漏れないような工夫がされています。そのため、付着率が高い物質や、含水率が高い物質など、輸送することが難しいものを輸送することに適しています。

フライトコンベアの使用用途

フライトコンベアは、化学工場や鉱山、ゴミや泥水の処理施設などで利用されます。使用例としては、粘性や含水性が高く、輸送することに通常の輸送機器では、適さないような化学製品の原料の輸送や、輸送時に粉塵が発生する鉱山から掘り出される物質などの輸送になります。フライトコンベアの選定の際には、輸送する対象がそのフライトコンベアに適しているかどうか、輸送速度やメンテナンス性、高温下、高粉塵下での耐久性、サイズ、消費電力量、騒音レベルなどを考慮する必要があります。

フライトコンベアの原理

フライトコンベアの動作原理を説明します。フライトコンベアは、コンベアの土台、土台の両端に位置しているモータに接続された駆動用のチェーンやベルト、そのチェーンやベルトに等間隔で取り付けられているフライトと呼ばれる板で構成されています。チェーンやベルト、フライトはコンベアの土台を一周するように取り付けられています。コンベアの両端は、汚泥物質や輸送時に粉塵が発生する輸送対象を輸送するために、液体や粉塵が漏れないように密閉されている構造となっていることが一般的です。

動作時は、モータが回転しチェーンやベルトを移動させ、それと連動してフライトも移動します。フライトによって、輸送対象を押し出すように移動します。輸送対象が、土台の下側を通過する場合もあります。チェーンやベルトの取り付け方によって、上下や左右の向きに方向転換させるような設計を行うこともできるため、自由度の高い輸送が可能なことが特徴です。 

参考文献
https://www.j-showa.com/items/item-2.html
https://kenki-corporation.jp/2018/06/09/flight-conveyor/

フライスカッター

フライスカッターとは

フライスカッター

フライスカッターとは、工作機械に取り付けられる回転刃を持つ切削工具です。

正面フライスやフェイスミルとも呼ばれます。テーブル上の加工物を切削する際に使用され、広い範囲を一度に切削することが可能です。

他の切削工具と比較して、フライスカッターは広い平面や側面を効率よく削れるため、様々な工作物の加工に適しています。多くの金属加工作業では、まず平面を削ることから始めることが一般的であり、その点でもフライスカッターは非常に重要な役割を果たしています。

フライスカッターの使用用途

フライスカッターは主に平面や側面、段付き加工などの面加工に用いられ、高い面精度での加工が可能です。刃物の直径が大きいことが一般的であり、円周状に複数枚のチップ (刃) を均等に配置しています。フライスカッターにはさまざまな種類が存在し、チップの枚数や外径、さらには刃の取り付け角度が異なります。

そのため、平面加工を行う際にも、加工箇所に応じて適切なカッターを選定することが大切です。複数のフライスカッターを併用しながら加工を行うことで、より効率的で精度の高い加工が実現できます。そのため、フライスカッターは、金属加工業界において幅広く活用されており、その重要性はますます高まっています。

フライスカッターの原理

フライスカッターの原理は、直径が大きいほど多くの面積を削れる点にあります。ただし、その分機械にかかる負荷も大きくなるため、パワーの大きい工作機械が必要です。

また、チップの枚数にも注意が必要です。枚数が多いほど一枚にかかる負荷が小さくなり、1回転あたりの切削量が増えます。そのため、直径が大きく、かつ枚数が多いカッターが加工能率が高くなります。ただし、枚数が多い場合、切りくずがカッターに詰まりやすくなるため、荒加工では注意が必要です。

さらに、刃の取り付け角にも種類があり、カッターを横から見たときの挿入角 (アキシャルレーキ角) と、裏から見たときの挿入角 (ラジアルレーキ角) が用途によって異なります。例えば、アルミや銅といった軟鉄の加工には、両方の角度が大きいカッターを選びます。一方、鋳鉄などの硬い金属の加工では、切りくず排出性を重視し、両方の角度が小さいカッターを選びます。

フライスカッターのその他情報

1. フライス用サイドカッター

サイドカッターは、長く深い溝を大量にフライス加工する場合、特に横型フライス加工機を使用する場合に使用されています。サイドカッターを使用することにより、開いた溝、閉じた溝、ギャングスリット加工、突切りなどの溝フライス加工を行うことが可能です。

さまざまな外径や厚みに対応したものが展開されており、これらを使い分けることにより、目的とする溝の長さや深さの加工形状を得ることが可能です。サイドカッターを使用する際には、少なくとも1つの刃先が常に切削部に食付くように、カッターサイズ、ピッチおよび位置を制御する必要があります。

また、サイドカッターによる切削加工はガウンカットによって行うことが推奨されています。

2. フライスカッターの切削条件

フライスカッターで切削するため条件には、切削速度、送り速度、カッターの外径などがあり、使用するカッターの材質や被切削対象物の材質によって適宜設定が必要です。送り速度に関しては、カッターの長寿命化を優先する場合や被切削対象物が硬い場合、荒加工の場合、摩耗の進行が急激な場合には比較的小さく設定されます。

一方、切削性のよい材料の場合、仕上げ削りや精密仕上げなど平滑な仕上げ面が必要な場合には送り速度が比較的高く設定されます。

参考文献
https://www.sandvik.coromant.com/ja-jp/knowledge/milling/pages/groove-or-slot-milling.aspx
https://mrt-metalsaw.com/archives/technology/condition
https://www.atom21.co.jp/dcms_media/other/calc.pdf

ピラニ真空計

ピラニ真空計とは

ピラニ真空計

ピラニ真空計とは、電気抵抗を利用した、真空度を測定するためのセンサーです。

ピラニ真空計の装置は小型のため持ち運びが容易で、操作も簡便なため、真空度を測定するための多くの場面で使用されています。ピラニ真空計は、ピラニゲージや単にピラニとも呼ばれています。

ピラニ真空計はシンプルな構成と安価が特徴で、測定子を測定環境に設置すると、真空度によって測定子への電流が変わり、真空度の測定が可能です。一般的に、ピラニ真空計は、コントローラと測定子で構成されており、測定範囲は約0.5Paから2KPa程度となっています。

原理上、測定範囲の下限付近では、精度が悪くなるので、圧力値が重要な測定では他の真空計が必要です。中には、測定子とコントローラが分離できるのピラニ真空計もあります。真空計の中には測定範囲でしか使用できず、範囲外で使用すると壊れてしまうものもありますが、ピラニ真空計はそのような心配はなく、大気圧から動作できることが魅力です。

ピラニ真空計の使用用途

ピラニ真空計は、真空到達度管理が必要なチャンバーや石英管などに接続された流体回路中や表面清浄度が求められる場所で使用されています。具体的には、中真空領域の測定によく使用されています。

中真空領域とは、油回転真空ポンプを使用して到達できる真空状態であり、フロンガス吸引等の測定時の計測などが一例です。ピラニ真空計は、高真空~超高真空排気系の粗引きラインや、高真空ポンプの背圧ラインに使用されることが多いです。

しかし、気体の種類や組成によって表示値が異なるので、絶対圧力を測定するためには事前に充分な較正が必要になります。また、ピラニ真空計は、理化学実験で真空状態を作る際や真空蒸着、凍結乾燥、医療用機器、分析機、レーザー応用装置、真空排気装置、半導体製造装置のプラズマエッチング空間、電子顕微鏡の真空パック等の測定にも使用されています。

ピラニ真空計の原理

ピラニ真空計は、電気抵抗型の真空計であり、電流を流したプラチナ (白金) 線へ気体が衝突する際に消失する熱エネルギーから電流を算出します。その電流値から圧力に逆算するということです。この微小圧力が、そのまま真空度に相当します。

ピラニ真空計の測定子内にはプラチナ製の極細の線が張ってあり、このプラチナ線に電力を加え温度を200度程度に加熱します。このプラチナ線に空気がぶつかるとプラチナ線から熱を奪い、プラチナ線の温度を200度に保つためにコントローラはより多くの電力をプラチナ線へ与えるのです。

逆にプラチナ線にぶつかる気体分子がなければ、プラチナ線の温度は少ない電力でも200度を保持することが可能です。プラチナ線へ供給する電力量の変化を測定することにより、測定環境内の真空度が計測できるようになります。

また、ピラニ真空管の精度を保つためにはプラチナ線の管理が重要です。プラチナ線は通電を繰り返すことにより消耗し、新品時に比べ、200度にするためにより多くの電力を必要にするようになるため、定期的な交換が必要になります。また、プラチナ線へのゴミの付着なども測定精度に影響を及ぼすため、定期的な清掃も欠かせません。

真空計のその他情報

真空度の定義

圧力は、低真空、中真空、高真空、超高真空などの真空度で分けられており、ピラニ真空計では低真空から中真空まで測定できます。真空度はJIS (日本工業規格) により、以下のように圧力の範囲によって5つに分類されています。

  • 低真空 (low vacuum): 105Pa~102Pa
  • 中真空 (medium vacuum): 102Pa~10-1Pa
  • 高真空 (high vacuum): 10-1Pa~10-5Pa
  • 超高真空 (ultra high vacuum): 10-5Pa~10-8Pa
  • 極高真空 (extremely high vacuum): 10-8Pa以下

参考文献

http://www.nucleng.kyoto-u.ac.jp/people/ikuji/edu/vac/chap3/pirani.html

パワーMOSFET

パワーMOSFETとはパワーMOSFET

パワーMOSFETは、大出力用途に対応したMOSFETデバイスの総称です。MOSFETはゲート端子に電圧を印加しドレインとソースをONさせ、増幅出力を得ることが出来る電界効果トランジスタ(FET)であり、MOSは「Metal Oxide Silicon」の頭文字をとっています。

昔は、スイッチング素子といえば、ベースとコレクタとエミッタ端子を備えたバイポーラトランジスタが主力でしたが、それに比較して、MOSFETはスイッチング速度が速く、低圧でオン抵抗が小さいので低損失な動作が可能です。

パワーMOSFETの使用用途

パワーMOSFETの使用用途としては、従来、パワートランジスタにバイポーラを使用している回路において、その代替えとして使用することが可能です。特に、パワーMOSFETは、バイポーラ型のパワートランジスタに比べて、スイッチング損失が低減できます。

それまでMOSFETの課題であったオン抵抗の高さや耐圧の低さと大電力への応用困難と言う問題に関して、昨今のプレーナゲート型の二重拡散構造やトレンチゲート構造、更にはスーパージャンクション構造と言った技術革新により、全て課題はクリアされて、現在ではパワートランジスタの世界において、MOSFETが主力になっています。

パワーMOSFETの原理

パワーMOSFETは、その原理上、多数キヤリア(n型では電子、p型では正孔)のみで動作します。よって、従来パワートランジスタとして主力であったバイポーラ型の様な少数キヤリアの影響はなく、根本的には、接合型FET以上の高い入力インピーダンスを持っているので、最近のMOSFETは、従来に比べて壊れにくくなっています。

また、パワーMOSFETは、ゲート構造とドリフト層の構造によって大別することが可能で、近年主流の3大構造を以下に説明します。

1. D-MOS Double-Diffused MOSFET構造

これは二重拡散によるチャネル形成で高耐圧を得る構造で、高集積化と低オン抵抗と低損失の高性能パワーMOSFETを実現しました。具体的にはNチャネルMOSFETの場合、N基板エピタキシャル層上に低濃度p型層と高濃度n型層を二重拡散で形成しています。PチャネルMOSFETもありますが、正孔の移動度が電子に比べて小さいために、オン抵抗は大きく特性は劣化方向です。

2. トレンチゲート構造

これはゲートをU溝にして、チャネルを縦方向に形成することで高集積化を実現し、更なる低オン抵抗を図りました。ただし、この構造は低耐圧パワーMOSFETとしての使用となります。単位セル面積をゲートのU溝化で縮小するのが特徴です。

3. スーパージャンクション構造

現在は基板材料の変更を除くと、これが最も優秀なパワーMOSFETです。ドリフト層にスーパージャンクションと呼ばれる周期的な縦型構造のp/n構造を形成させて、従来のパワーMOSFETのシリコン限界を下回る超低オン抵抗を実現しています。

パワーMOSFETのその他情報

パワーMOSFETの市場での使用範囲

パワーMOSFETは低コストかつ高信頼性のシリコン基板で比較的安価に大パワー電源用途に用いられていますが、数KVAを扱う大電力電源用途になると、オン抵抗が数オームに増加するために、損失が著しく増加し使える領域からは外れていきます。

この領域で現在主に用いられている半導体デバイスは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)もしくはSiCパワーMOSFETです。IGBTはMOSFETの大電流領域のオン抵抗の増加分を抑制するため、バイポーラトランジスタと組み合わせたデバイス構造の工夫が施されています。

SiCパワーMOSFETは基板材料にSiC化合物半導体というワイドバンドギャップの結晶を用い、耐圧を飛躍的に改善させている点に大きな特徴があるデバイスです。IGBTは数10Kから数100KVAという大電力で数10KHzの比較的低周波の電源用途に、SiCパワーMOSFETは大電力かつ数100KHzという高速スイッチング電源用途に使われています。

IGBTはデバイス構造上高速スイッチング電源には不向きであり、SiCパワーMOSFETはSiC基板コストが(ウエハサイズの制約などもあり)比較的高いため、このようなすみ分けがなされているのです。とはいえ、比較的安価で使いやすいシリコン基板でのパワーMOSFETは、置き換えるメリットのある新規デバイスが出現しない限りは、今後も中低パワー領域では特性やコスト面の改善を図りつつ、使われ続けるでしょう。

参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1003/03/news115.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/model/powermosfets/

マシンリーマ

マシンリーマとは

マシンリーマとは、穴仕上げ加工に使用される工作機械のリーマの1種です。

手仕上げに用いる「ハンドリーマ」とは異なり、マシンリーマは機械に取り付けて使用します。柄の部分 (シャンク) は、機械に刃物を固定する道具 (チャック) に取り付けられるように、ストレート形やテーパー形に設計されている点が特徴です。

刃物の形状は、直刃で構成されています。刃部では、刃先を用いて穴を切削する作業が行われます。また、刃の後ろにある「バニシング部」は、表面の凹凸を押しつぶしながら滑らかに仕上げる役割を担っているため、精密な穴仕上げ加工が可能です。マシンリーマは、その高い効率と正確さから、工業分野で広く利用されています。

マシンリーマの使用用途

マシンリーマは、高い精度の穴仕上げ加工に適した工具として、さまざまな用途で使用されています。リーマの基本的な役割は、ドリルで穴あけした後、穴の精度を高める仕上げ作業を行うことです。

マシンリーマを用いることで、ドリルやエンドミルでは得られない高い真円度と面粗さが実現可能です。また、規格が厳密な内径寸法も出すこともできます。そのため、金型の位置決めピンを挿入する穴や、エンジン部品のシャフトなどの摺動部品の加工、そしてノズルのような噴射口の加工に適しています。

リーマはドリルの下穴に従って加工するため、適切な下穴径の選択が重要です。適切な下穴径を選ぶことにより、マシンリーマを効果的に活用し、高精度な穴仕上げ加工を実現することが可能です。マシンリーマは、その特性を活かし、工業分野で幅広く利用されています。

マシンリーマの原理

マシンリーマは、高い穴精度を実現するための原理が備わっています。刃先で穴を加工しながら、バニシング部で穴を整える仕組みにより、精密な穴仕上げ加工が可能です。ただし、リーマ単体では穴あけをすることはできず、下穴が小さいと切りくずが刃物に詰まって加工が不可能になります。

適切な下穴寸法を選ぶことが重要です。リーマ仕上げギリギリの寸法で下穴をあけると、ドリル加工時にできたむしれや傷が消えず、面粗さが良くないままになってしまいます。また、楕円状の穴の修正も難しくなります。通常、下穴加工は仕上げ寸法の0.2〜1.0mmほど小さく加工することが一般的です。

機械で加工するリーマとして、「ブローチリーマ」が挙げられます。マシンリーマと同じ用途で、使い方も変わりませんが、ブローチリーマは直刃ではなく、ねじれた刃を持つ形状が特徴です。切りくずが前方に放出されるため、貫通穴の仕上げに適しています。

また、ねじれ形状により切りくずが詰まりにくく、良好な面粗度で加工できますが、やや高価であることがデメリットです。マシンリーマとブローチリーマは、それぞれの特徴を活かして適切な用途で使い分けることが重要です。

マシンリーマの種類

マシンリーマは、さまざまな工作機械において高精度な穴仕上げ加工を行うために使用される工具です。用途に応じてストレートリーマ、テーパーリーマ、ブローチリーマを使い分ける必要があります。

1. ストレートリーマ

ストレートリーマは、シャンク部分がストレート形状になっているマシンリーマです。一般的な穴仕上げ加工に広く使われており、取り付けや取り外しが容易であることが特徴です。刃先は直刃で、刃数が多いことから、穴の面粗さが良くなります。

2. テーパーリーマ

テーパーリーマは、シャンク部分がテーパー形状になっているマシンリーマです。テーパー穴を仕上げる際に使用されます。テーパー穴は、部品の位置決めや固定に使われることが多く、精度が求められる場合が多いため、テーパーリーマが適しています。

3. ブローチリーマ

ブローチリーマは、刃がねじれた形状を持つマシンリーマです。切りくずが前方に放出されるため、貫通穴の仕上げに適しています。また、ねじれ形状により切りくずが詰まりにくく、良好な面粗度で加工できます。ただし、高価であることがデメリットです。

マグネットリフター

マグネットリフターとはマグネットリフター

マグネットリフターとは、金属製の製品や材料、スクラップなどを吊り上げ、搬送するために使われる強力な電磁石です。

永磁タイプや電磁タイプ、バッテリータイプなどがあり、用途に合わせて様々なタイプを選択できますので、鉄を取り扱う各工場や製鉄所をはじめ、ショベルカーに取り付けたり、水中でも使えるタイプもあるため、リサイクル工場において欠かすことの出来ない搬送機器です。

略して「リフマ」や「リフマグ」と呼ばれることも多いです。

マグネットリフターの使用用途

製鉄所においては、主に鋼板、プレス製品の吊り上げ搬送、リサイクル工場においては金属スクラップや、工作機械から排出された切りくずの吊り上げ搬送に使われています。

マグネットの種類により、吊り上げ能力(何kgまで吊れるか)が異なり、吊り上げることが出来るサイズや材質が大幅に変わります。

マグネットや材料にゴミや粉塵が付いていても吸着力は変わりますので、安全に使用するには、用途に合ったマグネットを選定する必要があります。

マグネットリフターの原理

マグネットリフターには様々な種類があり、主に電源不要な永磁タイプ、磁力を変更できる電磁タイプ、脱着の時のみ電磁力を使う永電磁タイプ、コードレスを可能にしたバッテリータイプの4種類があります。

永磁タイプは、小型ながらも高い磁力を持ち、電源不要なため吊り上げ途中に停電しても落ちないので、安全です。しかし、手動で磁力のON/OFFを切り替えるため、遠隔での操作ができません。

電磁タイプは、磁力を変更することができますので、決められた鉄板の枚数分だけ搬送することができます。また、遠隔での磁力切り替えができますので、離れた場所でも操作できます。デメリットは、消費電力が大きい、停電時に落下する恐れがあることです。

2つの特性を組み合わせた永電磁タイプは、脱着のみ通電するので、吸い付けた後は永磁石で固定されます。なので、吊り上げた後に停電したとしても、落下の恐れはありませんし、消費電力も抑えることができます。

バッテリータイプは、ワイヤレスなので機動性に優れ、断線の心配がないことが挙げられます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0053.html

ボタンダイ

ボタンダイとは

ボタンダイ (英: button die) とは、金型の下型ダイプレートに入れ子として使う部品です。

ボタンダイはボタンダイス、ねじ切り調整丸ダイス、丸割駒、調整丸ダイスとも呼ばれます。通常は、下型ダイプレートを使用し、メンテナンスでプレートの表面を研磨可能です。そのためプレートの厚みが薄くなり、下型ダイプレートの取り外しなどの手間がかかります。しかし、ボタンダイは入れ子式のため、ボタンダイのみを取り外し可能です。研磨や交換が可能なため、長期的に使えます。

ボタンダイの使用用途

ボタンダイは焼き入れしないダイプレートに、入れ子として組み込んで用います。金型を容易に製作したり、金型をメンテナンスしたり、長期的に使えます。ハサミで刃に当たる部分であり、ボタンダイのみでは機能せず、刃の相方となるパンチも必要です。ボタンダイが下側の刃で、パンチが上側の刃となって穴加工ができます。

穴加工を繰り返すと刃が摩耗するため、研磨が必要です。下型ダイからボタンダイを取り外して研磨でき、下型ダイにはめ込むと再度使用できます。

ボタンダイの原理

ボタンダイは刃にあたる部分であり、摩耗対策として焼き入れが必要です。ただし下型ダイは、焼き入れをしなくても問題ありません。

パンチが入ることで加工可能です。加工の際に穴詰まり対策として、切断した屑が下に落ちるように貫通させる必要があります。穴詰まり対策を行わないと、パンチが折れ製品を傷つける可能性があります。また、加工した残り屑がボタンダイの表面から飛び出すこともあり、その状態で加工すると製品に打痕が残るため注意が必要です。

ボタンダイの構造

ボタンダイの穴は逃がし部とランド部からなり、断面には3種類あります。材料の通過を考えて、ランド部がテーパーを有するボタンダイもあります。ただし再研磨の際に、穴が徐々に大きくなることが欠点です。

再研磨で必要となる箇所をストレートにして、再研磨で穴の寸法が変わらないようにしたボタンダイもあります。その一方で、ランド部の下部を大きく逃がさずに、ストレートのランド部を下部のテーパーで逃がしたボタンダイは、アンギュラーボタンダイ (英: Angular Button Dies) と呼ばれています。かす詰まりを考慮し、小径穴の抜きに使用しやすいです。

ボタンダイの種類

ストレートなタイプのボタンダイは、軽くプレートに圧入して使います。組込導入部が部品に付いており、組み込みは容易です。標準的なボタンダイはつば付きです。ボタンダイの材質には、粉末ハイス、超硬合金、SKD11、SKH51などが使用されています。

ボタンダイの刃先形状にも複数の種類があります。穴に方向性があるタイプには、回り止めが必要です。寸法と回り止めの作り方は、細かく設定できます。断面も変更可能で、加工する材質や板厚に合わせます。

つばがないボタンダイでは、裏に研磨分のスペーサを敷いて対応可能です。それに対して、つば付きのボタンダイでは、スペーサをつば上に入れる必要があります。再研磨でスペーサは増加しますが、数が多くなり過ぎないように、スペーサの厚さを変えます。

ボタンダイの選び方

ボタンダイの金型は切れ刃の痛みとともに、再研磨によって切れ刃を再生可能です。金型の再研磨の方法は、プレート全体の研磨と入れ子部品のみの研摩から選択します。

プレート全体の研磨では、プレートが薄くなりますが、入れ子部品も同じように変化するため問題ありません。その一方で、入れ子のみの研摩では、研磨分の調整が必要です。適切な調整ができないと、凸凹がプレート面に生じ、品質が悪くなります。

L寸法が穴径に対して長いと、詰まりやすいです。小径穴の場合には、短い方が適しています。加工によってプレートが厚くなって、穴径に対してL寸法が長くなる場合もあります。バランスの悪いときには、ボタンダイの後部にカラーを入れて、長さを調節可能です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr04/c0128.html

インチねじ

インチねじとは

インチねじ

インチねじとは、ねじの基本となる寸法がインチ単位で規格化されたねじのことです。

日本で広く普及しているねじはメートルねじで、基本となる寸法はメートル単位で規格化されています。インチねじはアメリカ、イギリス、カナダで広く使われています。

インチねじの使用用途

インチねじは主に以下の用途で使われています。

  • 土木建築: 電気、水道、空調機器、配管
  • PC関連: ハードディスク、筐体ケース
  • 精密機器: カメラ
  • 音楽機器: ドラム、スピーカー

その他、航空機や輸入家具にも使用されています。

インチねじの原理

インチねじの原理は、通常のねじの原理と同じです。ねじの斜面を使って重たいものを持ち上げることによって、ねじ本体を引っ張り、大きな締結力つまり軸力を発生させます。ねじを締め付けても弛まないのは、ねじの斜面に摩擦力があるためです。重力の斜面成分の分力よりも摩擦力が大きいことによって、弛まずに締結力が保持されます。

インチねじの種類

インチねじは、「ユニファイねじ」と「ウィットねじ」に大別されます。

1. ユニファイねじ

ユニファイねじは、アメリカのANSI (アメリカ国家規格協会) によって定められた規格です。ユニファイねじにはさらに2種類あります。「ユニファイ並目ねじ」と「ユニファイ細目ねじ」です。細目ねじは並目ねじよりも、ねじ山の間隔 (ねじピッチ) を小さくしたねじです。ピッチが細かいほうが緩みにくい性質がありますが、締結時に多く回さなければならないので、作業性は低下します。並目と細目の2種類があるのは、メートルねじでも同じです。

2. ウィットねじ

ユニファイねじ以外のインチねじとして、ウィットねじがあります。ウィットねじは世界で初めて規格化されたねじとして知られています。メートルねじやユニファイねじのねじ山角度が60°であるのに対して、ウィットねじは55°で定められています。日本では1968年にウィットねじを規格化したJISが廃止されましたが、一部の業界ではまだ使用されています。 

インチねじのその他情報

1. 取扱上の注意

インチねじでも取扱上で注意すべき点はメートルねじと変わりません。ただし、インチねじのねじ穴に、メートルねじを使ってしまうなどという誤使用を避けるように気を付ける必要があります。ねじだけを見ても、メートルねじなのかインチねじなのかを見分けるのは困難です。

ノギスなどを用いてねじの外径やピッチを測る必要があります。規格がわからないねじ穴にねじを締め付ける際に異変を感じたら、無理に作業せずねじのサイズを測ることを推奨します。

2. インチねじの表記

インチねじであるユニファイねじは、ねじの太さ (呼び) や長さを、1インチを8等分を基準にした分数で表記します。この分数について日本では、以下の例のように呼ばれています。

  • 1/8: いちぶ (一分)
  • 5/32: さんにのご
  • 3/16: いちぶごりん (一分五厘)
  • 1/4: にぶ (二分)

また、並目ねじは略号UNC、細目ねじは略号UNFが付けられています。インチねじの表記はこれらの分数や規格を用いて、①ねじの呼び (太さ) 、②ねじの山の数、③規格、 ④長さの順に記します。例としては以下のようになります。

1/4-25UNCx5/8

もう一つのウィットねじはWをつけて表記します。

参考文献
https://www.onoue1950.co.jp/nejichishiki/kikaku/3191/
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/inch/inch_screw.html
https://www.rakuten.ne.jp/gold/nejiya/chiebukuro/info_inchikikaku.html
https://www.tsurugacorp.co.jp/special/inchkoneji.html