液体用ポンプ

液体用ポンプとは

液体用ポンプ

液体用ポンプとは、液体を移動させるために使用される装置です。

ポンプは一般的に液体を対象とする装置のため、ほとんどのポンプが液体用ポンプです。液体を吸い上げて圧力をかけ、それを配管や管などを通して別の場所に送り出す役割を果たします。液体用ポンプは、液体を効率的に吸い上げて送り出すことが可能です。

水や化学薬品、石油などのさまざまな液体に対応しています。また、現代の液体用ポンプは自動化技術に対応しており、センサーや制御装置と連携して自動的に運転・制御できる場合が多いです。遠隔制御も可能であるため、遠隔地からの監視や操作ができます。

ただし、液体の性質や使用目的に応じて適切な種類を選択することが重要です。誤ったポンプの選択は性能の低下や故障の原因となる可能性があります。

液体用ポンプの使用用途

液体用ポンプの使用用途を挙げると、枚挙に暇がありません。以下は液体用ポンプの使用用途一例です。

1. 水道

一般家庭や工業用途での水の供給にポンプが使用されます。井戸水や地下水をくみ上げて、建物や農地への給水を行います。また、水の浄化や排水処理にもポンプが使用され、汚水の排出や浄水プラントの運転などに利用されることが多いです。

2. プラント

石油やガスの採掘や輸送などにおいてポンプが必要です。特に原油や重油の輸送には高圧のポンプが使用されます。また、化学プラントにおいてもさまざまな液体や薬品を処理するための特殊な材質のポンプが用いられます。

3. 食品加工

 食品や飲料の容器に液体を充填する際に使用されます。粘度の高い液体にも適用することが可能です。また、ジュースや調味料などの液体を果実や原料から搾り出す圧搾ポンプとしても使用されます。

液体用ポンプの原理

液体用ポンプの中で共通する基本的な原理は、「ポンプが液体を吸い上げて圧縮し、それを別の場所に送り出す」という点です。全ての液体用ポンプは液体を吸い上げる機構を持っています。ポンプ内で空間を作り、液体をその空間に引き込むことで行われます。ポンプ内の圧力低下により液体が吸い上げられます。

吸い上げた液体は、ポンプ内で圧力をかけられます。この圧縮によって液体のエネルギーが増加し、送液を行うのに必要な圧力を得ることが可能です。

圧縮された液体は、ポンプ内の排出口から別の場所に送り出されます。液体の流れを制御するために、バルブや弁が使用されることもあります。

液体用ポンプの種類

液体用ポンプにはさまざまな種類が存在します。以下は液体用ポンプの種類一例です。

1. ギアポンプ

ギヤが互いにかみ合って液体を移動させるポンプです。1つのギヤが回転すると、従動するギヤも同時に回転します。歯車の間の空間が液体を吸い上げ、回転するギヤによって液体が圧縮されて排出口に送られます。

粘性のある液体を効率的に移動させることが可能です。潤滑油や燃料の供給に広く使用されています。

2. ピストンポンプ

ピストンとシリンダーの組み合わせによって、液体を移動させるポンプです。ピストンがシリンダー内を往復運動することで液体が吸い上げられ、シリンダー内の圧力が変化します。ピストンの動きによって液体が圧縮され、排出ポートから送り出されます。

高圧での使用や正確な流量制御が必要な場合に有利です。粘度の高い液体などに広く使用されます。

3. ダイヤフラムポンプ

可動するダイヤフラムを用いて液体を吸い上げ、圧縮して排出するポンプです。ダイヤフラムは液体との接触部を密封することが可能です。したがって、薬品や腐食性のある液体、固形物を含む液体など、特殊な液体の取り扱いに適しています。

4. 渦巻ポンプ

液体を回転する羽根によって吸い込み、遠心力によって液体を外側に押し出すポンプです。羽根の形状により、液体がポンプ内で渦巻状に流れます。この特性により、液体がゆっくりとポンプ内を回転しながら移動するため、固形物の凝集が防止可能です。

流量が多く必要であり、圧力をそれほど必要としない用途に使用されることが多いです。

参考文献
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a3a.html
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1b.html

超硬ボールエンドミル

超硬ボールエンドミルとは

超硬ボールエンドミル

超硬ボールエンドミル (英: everloy-cemented-carbide ball end mill) とは、超硬材で作られたエンドミル工具の先端が、球状の刃先をした切削工具です。

超硬は超硬合金とも呼ばれ、非常に硬い合金です。炭化タングステン炭化チタンなどを鉄に添加し、高温で粉末焼結により押し固めて製造します。

ボールエンドミルは、側面と片側端面に刃があり、端面側がボール状になっています。複雑な曲面加工が可能です。超硬材のエンドミルは、主にマシニングセンタの工具に使用されます。

超硬ボールエンドミルの使用用途

ボールエンドミルは、曲面形状を成形する切削加工に適しています。そのほか、底面の角部に部品やゴミが貯まらないようにするためのフィレット部や、液体の流路としてのかまぼこ状の溝の加工にも使われています。

具体的な用途は、射出成形型・レンズ型などの金型類、モデリング、小物部品などの形状加工です。切削工具の先端が球面の特徴があり、複雑な曲面加工が可能です。ただし、底面のコーナー部をシャープなエッジにする切削加工には向きません。

ボールエンドミルによる切削加工は、プレス加工などの塑性加工と比較すると、切削加工は寸法精度が高く、複雑な切削加工が可能です。

超硬ボールエンドミルの原理

超硬ボールエンドミルは、ボール状の刃先を使って、曲面加工ができます。さらに、NC工作機械と併用することで複雑な3次元の曲面の加工が可能です。

ボールエンドミルは、刃先の断面積が小さいため剛性が大きくありません。したがって、刃こぼれが生じやすいので注意が要ります。切削工具用の超硬合金は、P種、M種、K種の3つの用途分類があります。

1. P種

P種は耐熱性、耐溶着性が優れており、炭化チタンTiC、炭化タンタルTaCなどを多く含みます。クレーターや熱亀裂といった熱的損傷に強い合金です。主な用途は、鋼、合金鋼、ステンレスなどの加工です。

2. M種

M種は炭化チタンTiC、炭化タンタルTaCなどを適度に含み、熱的、機械的損傷ともに強い合金です。主な用途は、ステンレス、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄などの加工です。

3. K種

K種は強度に優れる炭化タングステンWC主体の合金です。特にすきとり磨耗のような機械的損傷に強い特性があります。

主な用途は、鋳鉄、非鉄金属、非金属などの加工です。一方、硬いがために、ねばさが少なく折れやすい性質もあります。圧縮には強いが、引っ張り、横からの力には弱いのが欠点です。

超硬ボールエンドミルの特徴

長所

  • プレス加工などのせん断加工に比べて、エンドミルによる切削加工は寸法精度が優れています。
  • 通常のエンドミルとは異なり、刃が丸いことから、エッジ部分を無くし複雑な曲面の加工が可能です。ボールエンドミルの球半径以上の曲率半径であれば曲面を自在に成形することができます。
  • ダイヤモンドコーティングを使えば、さらに高度を上げて、超硬材の加工が可能になります。
  • 刃先が摩耗すれば再研磨可能で、経済的です。

短所

  • エンドミル加工は、除去する部分が多くなるため、材料の歩留まりは悪くなります。
  • 加工面が波形状になることで、表面にばらつきが発生する場合があります。そのため、塗りつぶすように加工するので、加工時間がかかります。
  • 底面の角部の直角加工ができません。また、切削くずの排出性が悪いです。

超硬ボールエンドミルの種類

超硬ボールエンドミルには、構造面から分けると、一体型、刃先分離型、ろう付け型の3種類があります。

1. 一体型

一体型は、シャンクから刃先までが一体になっているエンドミルです。剛性が高いため高精度の加工が可能です。また、摩耗しても再研磨・再コーティングして使うことができます。

2. 刃先分離型

刃先分離型は、インサートと呼ばれる刃先をねじや押さえ金で固定するタイプです。超硬素材を部分的に使いことで、価格を下げています。特徴は、刃先が摩耗したとき新品と交換できることです。

3. ろう付け型

ろう付け型は、シャンクに超硬の刃をろう付けしたエンドミルです。低価格タイプです。

参考文献
https://sakusakuec.com/shop/pg/1endmill03/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_processing/mp01/a0239.html

可変抵抗

可変抵抗とは

可変抵抗

可変抵抗は回路を設計する上で基本的な素子として電気回路や電子回路ではよく使われます。抵抗体と抵抗体の表面を移動する摺動子(しゅうどうし・ワイパー)からできており、摺動子の移動により抵抗値を自在に可変できる特徴を有します。

可変抵抗のことをポテンショメーター(potentiometer)と英語圏の方々では呼んでいます。
従って、海外に合わせるわけでもありませんが、言いやすさもあり本稿では、可変抵抗をポテンショメーターと言い換えて以下では説明します。

様々な電子機器において使用されており、特にオーディオ機器の調節ボリュームとしての使用を代表的な一例として挙げることができます。

構造が単純でありながら性能もそこそこ良く低コストであることから便利に使用されています。このようにそこそこ性能が良いという反面で、可動部があるため摩耗により抵抗値が変化する欠点があげられます。

このようなポテンショメーターのデメリットを許容できない場合は、コスト的には高くなりますがデジタル式のソリューションを選択する方法もあります。

可変抵抗の使用用途

ポテンショメーターは、電流の量を調整したり電圧を調整したりする働きがあります。

自由に好きな抵抗値に設定することができるという特徴を生かしポテンショメーターは以上のような回路上の役割を果たしています。

このような機能を利用して民生用機器としてはオーディオ機器の音量制御等の各種ボリューム調節用として使用されたり、ゲーム機のコントローラ等にも使用されています。

さらに、もう一つの機能として変位センサの役割をポテンショメーターは持っています。
被測定物までの距離や寸法などの測定が可能なものを変位センサと言います。
車などのワイパを動かしてその位置が変化した場合、この変位センサの機能を使い距離や寸法などを測定することが可能です。

安価で比較的精度も高いポテンショメーターは、我々が良く利用する機器や装置をはじめとして、産業機器向けの用途としても使用されており、例えば、船舶機器や医療機器、更には建築機械、工作機械などにも使用されています。

可変抵抗の原理

ポテンショメーターは摺動子(可動部)が抵抗体の上を動いて移動した場合、抵抗体の停止した場所により抵抗値が決まります。このように構造およびメカニズムがシンプルであることから製作コストをかけずに作ることができます。

一定の電圧を抵抗体から出ている2つの端子にかけ、3本目の端子から摺動子(ワイパー)の移動する位置により異なる出力がなされます。抵抗体の表面に均一な抵抗物が塗られているため、長さあたりの抵抗値は同じになるため、摺動子(ワイパー)の移動位置で抵抗値は確定します。

以上の仕組みを利用し、実際に出力された電圧から変位量を測定します。この測定結果を変位センサとして利用したりします。
さらに、システムコントローラにアナログ量を入力して制御させたり、サーボモータの出力状態の検出などに使われます。

ポテンショメーターはリニア(リニア型)ポテンショメーターとロータリー(回転可変型)ポテンショメーターがあります。前者は直線上の位置を検出するもので、後者は回転角度を検出するものです。

単回転型と多回転型とがロータリー型(回転可変型)にはあります。これは導電性プラスチックを使用しているものなどがあります。

精度を高める目的で、抵抗値の変化が移動量に対してリニアになるように慎重に製作されています。
他の分類方法として接触型と非接触型があります。
接触式にはセラミック(ceramics)と金属(metal)を混合したサーメット(cermet)抵抗素子型、巻線抵抗素子型およびコンダクティブプラスチック(Conductive plastic)抵抗素子型などの種類があります。

以上の通り説明してきたポテンショメーターに対して、デジタルポテンショメーターがあります。以下に簡単に触れておきます。

コントローラー側でアナログ方式のポテンショメーターの摺動部を設定する電子部品がデジタルポテンショメーターです。IC内部に存在する集合抵抗をコントローラーからの制御で切り替えていきます。可動部がないため摩耗することがなく、高精度の抵抗値を安定して得ることができ、ノイズも発生しません。寿命が長く高性能という特徴があります。

アナログ方式およびデジタル方式のポテンショメーターには夫々の特徴がありますので、使用する回路で要求されるスペック、コストを考え、いずれを使うべきかの判断を行う必要があります。

参考文献
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/analog_devices/115321/
https://www.aor.co.jp/glossary/syllabary/potentiometer/
https://engineer-education.com/variable-resistor/
https://book.mynavi.jp/files/topics/56029_ext_90_0.pdf

ボーリングバー

ボーリングバーとは

ボーリングバー

ボーリングバーとは、工作機械を使用してボーリング加工を行う際に用いられる工具です。

一枚刃のバイトと寸法調整ネジから構成されています。ボーリング加工とは、あらかじめドリルによって空けられた下穴に誤差0.05mm以内といった精度の内径加工を施す仕上げ加工のひとつで、精密な穴加工をするときに用いる加工方法です。

エンドミルの円弧補間による穴仕上げよりもバックラッシ (歯車間の遊び) が発生しにくく、真円度が確保しやすい特徴があります。

ボーリングバーの使用用途

主にH7やH6公差の精密な穴加工をするときに使用します。エンドミルよりも高い面粗度と真円度を確保できるため、公差が厳しい加工に対応できるためです。

工業製品の分野において、ボーリング加工は必要不可欠であり、具体的にはエンジンやトランスミッションなどに使われる接合部、シャフトを通す歯車の穴において幅広く使われる加工方法です。

また、穴の精度を向上させるほどがたつきが少なく耐久性も向上していくため、日常で使用する機械の接合部分にもボーリング加工を施しています。

ボーリングバーの原理

ボーリングバーは、チップ取替式 (スローアウェイチップ) の刃物と寸法を調整するためのネジで構成されています。ネジを六角レンチで回すことでチップの位置を動かすことができるので、あらかじめ空けた下穴に合わせて調整してから加工します。

ボーリングバーを用いた加工で注意するポイントは、貫通後のプログラムです。主軸が回転したまま加工点まで戻ると仕上げ面に螺旋状の傷がついてしまうので、必ず主軸の回転を停止し、刃先が仕上げ面に触れないよう逃がしてから加工点に戻します。このときの穴加工プログラムはGコードのG76を用いるので、マシニングセンタを使用するときはG76を使用してボーリング加工をするのが理想です。

同じく精密な穴加工にリーマを用いることもありますが、リーマは小径の加工に適しており、経済面においてはリーマに軍配が上がります。それに対してボーリングは直径20mm以上の穴加工に対応しますが、ボーリングバーは高価であるため、コストがかかることがデメリットです。

ボーリングバーの種類

ボーリングバーは大きく分けて2種類あります。

1. ハイスボーリングバー

15mm以下の穴の仕上げは、一般公差のみの仕上げで用いる荒加工で使われます。靭性が高いため衝撃に強い反面、高速加工に適しておらず仕上げ面においても超硬に比べ振動によるビビりが発生し粗くなりがちなので、使われる場面は限定されます。h7などの公差仕上げの場合、直径15mm以上の穴で用います。

2. 超硬ボーリングバー

ハイスよりも硬度の高い素材で構成されたボーリングバーで、精密加工において広く用いられています。一般公差の荒加工で用いると折れやすいため、15mm以下の公差穴に使用します。ハイスのボーリングバーより高価ですが、公差が安定しやすく時間が短縮できるので長期的には安価です。

デメリットは靭性が低く衝撃に対して脆いため、突く方向によっては折れてしまう可能性があります。早送りを多用しすぎないなど、衝撃を避けるような加工方法を考える必要があります。

ボーリングバーのその他情報

ボーリングバーの調整方法

ボーリングバーの調整は、バーに組み込まれている調整ネジを回して寸法調整をします。

ネジのクランプを外し、目盛りを見ながら時計回りにネジを回すことで寸法を拡大していきます。調整ネジを反時計回りに回すと縮小しますが、ネジ間の遊び (バックラッシ) がある関係で目盛りと異なる寸法になる可能性が高いため注意が必要です。

また、ボーリングバーの種類によっては目盛りがデジタル表記になっているものもあり、目盛りの読み間違えや目盛りを注視する手間が省けるメリットがありますが、価格が高価な点がデメリットです。アナログ同様、実際の表示と寸法は必ずしも一致しないので微調整の手間はどちらも変わりません。

CPUファン

CPUファンとは

CPUファン

CPUファンとは、熱暴走を防止するためにCPUを冷却する送風機です。

CPU (Central Processing Unit) は、中央演算処理装置と呼ばれる部品です。パソコンで行われる多くの処理を担うことから、非常に負荷がかかって発熱します。

複数もしくは複雑な処理が必要な場合は、CPUの温度が80℃まで上昇し熱暴走の危険が伴います。熱暴走が発生するとCPUに致命的な欠陥が生じるだけでなく、他のパーツにも悪影響を及ぼします。こうしたトラブルを防ぐために、CPUファンで熱伝導率の高いヒートシンクを冷却し、正常な動作をサポートしています。

CPUファンの使用用途

CPUファンは、コンピュータを構成する上で必須部品であるCPUの冷却用途に使用されます。正確にはCPUを直接冷却せずに、CPUと接続したヒートシンクを冷却して間接的に吸熱しています。そのため、ヒートシンクの材料には熱伝導率の高いステンレスやアルミ、をはじめとした金属板が使用されます。

CPUファンの原理

CPUファンはフレーム、モーター、羽根車などによって構成されます。フレームは、ポリカーボネートなどのプラスチック樹脂やアルミニウムで構成されます。四隅に取付穴を開けたフレームが一般的で、形状は真円形や正方形です。

モーターは、羽根車を駆動させる動力装置です。コンピュータの電源装置がDC電源であり、ノイズを発生させづらいことからDCモーターが一般的です。一般的にはDC12V仕様のモーターが使用されます。羽根車はフレームと同様の材質で、複数枚の羽根を持ちモータを動力に回転・送風します。

CPUファンの種類

CPUファンは冷却方法に応じて空冷式と水冷式の2種類に分けられます。

1. 空冷式CPUファン

CPU上にヒートシンクを設置してCPUファンで冷却するタイプです。CPUで発生した熱をヒートシンクが吸熱して冷却します。ファンを大きくすれば冷却効果が高い反面、回転音が大きくなるため、適切なファンを選定することが重要です。構造が簡単で安価なため、ほとんどのコンピュータで採用されます。

2. 水冷式CPUファン

ラジエータで冷却した水を熱交換器に循環させて冷却します。高解像度でハイスペックなパソコンやスーパーコンピュータに使用されます。冷却性能が非常に高い反面、大きなスペースが必要な上に高価です。

CPUファンのその他情報

1. CPUファンの回転数

CPUの性能を最大限に発揮しつつ、静音性を保つためにはCPUファンの回転数制御が重要です。PCの基本ソフトウェアであるBIOSにて、CPUファンの制御に関する設定を行うことができます。

CPUファンの回転数は温度による自動制御が一般的です。CPU温度に応じて回転数を上下するように自動で制御されます。手動で制御するように設定することも可能です。また、CPUファンと合わせてケースファンも活用することで、効率的にPCの内部温度を低減できます。

近年のCPUやヒートシンクは性能も向上しており、ファンの回転数を低めに設定しても熱暴走が発生しにくくなっています。CPUファンの音がうるさいと感じる場合は、設定を変更して回転数を下げることで改善する可能性があります。 

2. CPUファンの掃除方法

CPUファンの利用を続けると、PC内部に存在するホコリやゴミによって次第に汚損します。CPUファンに汚れがたまると冷却性能が低下してCPUが熱暴走する可能性が高まるため、定期的な清掃が必要です。

特に注意して掃除すべきなのはスリット部分にたまったゴミです。ヒートシンクの隙間部分がゴミでふさがるとファンの送風が滞ってしまい、冷却性能が低下します。

また、冷却効果はCPUファンとヒートシンクの間に塗られたグリスにも依存します。グリスは熱伝導率の高い素材を使用し、定期的な塗り直しが必須です。CPUファンの掃除を行う際には、あわせてCPUとの接続部分のグリスもふき取って新しいグリスを塗布します。劣化したグリスを使い続けると、CPUに対する冷却性能が低下します。

参考文献
https://www.4900.co.jp/smarticle/11502/
http://jisaku-pc.net/speed/bios_05.html
https://www.pc-master.jp/jisaku/fan.html

超硬パンチ

超硬パンチとは

超硬パンチ

超硬パンチ (英: everloy-cemented-carbide punch tool) とは、超硬合金で作られ、材料に押しつけて穴開けなどに使われる工具です。

ポンチや雄型とも呼ばれます。超硬合金の一例は、炭化タングステン (WC) と炭化チタン (TiC) を鉄に添加し、結合剤としてコバルト (Co) 粉末を用いて、加圧成型で1,300~1,500℃の高温で焼結した合金です。

即ち、押し固めて、材料を融点近くで熱することにより、密着し固結した合金金属になります。超硬パンチは、耐摩耗対策として使われる非常に硬く熱に強いパンチです。通常のパンチ材 (SKD11相当) は、1,330℃付近の摩擦熱で、パンチの刃先がだれ始めて切れが悪くなります。

超硬パンチの使用用途

超硬パンチは、金型、自動機、精密機械、実験装置などの部品加工に広く使用されています。超硬合金金属のパンチであるため、耐摩耗対策が主な目的です。

精密金型に用いられることが多く、プレス金型用のパンチとして使われます。摩耗による寸法変動が少ない超硬パンチを使うことで、安定した寸法の維持が可能です。

超硬パンチは、耐摩耗性に優れており、圧縮応力には強いもの、引っ張り応力に弱いため使用する場合には、パンチ保持部の強度を上げる必要があります。

1. 粉末冶金用金型

超硬パンチは、粉末冶金用金型の製造に使われ、エンジンや変速機などの部品加工に使用されます。高精度の加工が可能で、生産性向上につながります。

2. 精密プレス金型

高精度のパンチ・ダイにより、プレス金型として自動車部品や電子部品の製造に使用されます。

超硬パンチの原理

切削工具用の超硬合金は、P種、M種、K種の3つの用途分類があります。

1. P種

P種は耐熱性や耐溶着性が優れており、TiC,TaCなどを多く含みます。特にクレーターや熱亀裂といった熱的損傷に強い合金です。鋼や合金鋼、ステンレスなどの加工に使われます。

2. M種

M種はTiC,Taなどを適度に含み、熱的、機械的損傷ともに強い合金です。ステンレスや鋳鉄、ダクタイル鋳鉄などの加工用です。

3. K種

K種は強度に優れるWC主体の合金で、特にすきとり磨耗のような機械的損傷に強い特性があります。鋳鉄や非鉄金属、非金属などの加工に使われます。

一方、硬いがために、ねばさが少なく折れやすい性質もあります。圧縮には強いですが、引っ張りや横からの力には弱いです。

超硬パンチの特徴

工具や金型には、加工する材質より数倍の硬さが必要です。硬度に優れた超硬合金は、工具や金型の用途に適しています。

超硬合金は切削工具の材料として開発され、鉄の2倍の重量があります。金と同等の比重を持っていることが特徴です。さらに、硬度だけでなく、強度や弾性に優れ、高温時の硬度低下も少ないのもメリットです。したがって、超硬合金は切削工具の素材として適した特性を有しています。

成形金型で使われる超硬パンチは、超微粒子超硬合金を使用しています。加工は円筒検索とプロファイル研削を組み合わせて行い、精度は5μm程度です。さらに、先端部の端面と表面をラップ処理して、面粗度を良くしています。

超硬パンチの種類

1. 小径パンチ (φ~9.9mm)

小径先端ランド部などの微細形状加工も可能です。径0.1mm程度のパンチが可能です。精密冷間鍛造、穴抜き、パイロットピン等に使われます。材質は、SKH51、HAP-40等のハイス鋼であり、微粒・超微粒系超硬合金です。

2. 中径パンチ (Φ10mm~)

精密冷間鍛造に最も適した大きさのパンチです。精密冷間鍛造、穴抜き等に使われます。材質は、SKH-51、SKD-11等のスチール鋼を使い、微粒・中粒・粗粒系超硬合金です。

3. 太径長尺パンチ (~Φ50mm)

圧造成形による深穴加工では、製品精度を維持するために超硬パンチを使い、精密冷間鍛造用です。微粒・中粒・粗粒系超硬合金です。

タイマーIC

タイマーICとは

タイマーIC

タイマーICは回路上において発振回路として使用されたり、一定周期のパルスを供給できることからたとえばLEDの表示に使用したりします。

最もメジャーなタイマーICとしてXX555があります。XXの部分はメーカーによって変わってきますが一般的にタイマーIC 555と言えば、デジタル回路を設計する人なら誰でも知っているほど有名なICです。

歴史もかなり古く1971年に初めて作られ、以降、様々な半導体メーカーでも作られ現在では、最も有名な半導体といっても過言ではありません。

タイマーICの使用用途

タイマーICの用途の1つである発振回路はデジタル回路において、システムを駆動させるための大元の同期信号として使われます。また、システムを制御するためのマイコンやシステムコントローラなども、発振回路により生成された一定周期の信号を自らが動作するための大元の同期信号として使用します。

LEDの表示回路においては、その表示の周期を比較的自由に設定することができるため用途は広いです。

その他、デジタル回路を設計する場合に、任意の周波数を有する一定周期の信号が必要となるケースが良くあります。このような場合にタイマーICはとても便利で手軽に利用されます。

タイマーICの原理

タイマーIC XX555は、大きく3種類の回路から構成されています。ウィンドウコンパレータとRS-フリップフロップ(RS-FF)およびCとRによる充放電回路です。基本的な構成は、ウィンドウコンパレータの出力をRS-フリップフロップのRとSの入力につなぎ、この出力(NOT(Q))をオープンコレクタのトランジスタバッファ等を通してCとRの充放電回路につなぎ、更に充放電回路の先をウィンドウコンパレータの入力につなぐという構成です。

CとRによる充放電回路において電圧を印可しCへの充電が始まり、ある一定の電圧に達すると
接続されているウィンドウコンパレータの出力(RS-FFのR端子に接続されている側)が[H]に切り替わります。これを受けてRS-FFのNOT(Q)出力も[H]に切り替わるため、トランジスタバッファはONとなり、その結果、その先につながっているCR充放電回路にて放電が開始されます。すると、放電によって、ウィンドウコンパレータの出力(RS-FFのS端子に接続されている側)が[H]に切り替わるため、RS-FFのNOT(Q)出力が[L]に切り替わります。すると、今まで、放電していたCR充放電回路では、トランジスタバッファのOFFにより、充電を再開する。

以上の動作の繰り返しにより、RS-FFのNOT(Q)の出力は一定周期で反転します。同様に、XX555の出力であるQはNOT(Q)の反転出力を継続します。

参考文献
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/166.html

2相ステッピングモーター

2相ステッピングモーターとは

2相ステッピングモーターとは、A相B相の2相から構成されるステッピングモーターです。

ステッピングモーターとは、パルス信号によって回転軸角度や回転速度を正確に制御できるモーターです。時計の秒針のように、一定の角度で回転します。この角度は、基本ステップ角度と呼びます。

向かい合った磁極で1つの相を形成する形状です。相の数に応じて、制御方法及び1パルスでの動作角度が変化します。

2相ステッピングモーターの使用用途

2相ステッピングモーターの使用例として、時計、産業用装置 (搬送機、ロボット) 、プリンタ、スロット、カメラレンズの動きなどが挙げられます。正確性が求められる軽負荷の分野に有用です。

外部のパルス信号に同期して動作角度及び動作速度を決めることが可能なため、決められた時間と距離 (回転角度) で動作させるものに多く使用されます。また、スイッチ信号を検知して即時停止させることも可能です。ただし、大きな負荷がかかる分野では使用できません。

2相ステッピングモーターの原理

ステッピングモーターは、その回転速度を時間に応じて設定することでその特性を最大限に発揮します。回転速度を時間に応じて設定することを、運転パターンと呼ぶのが一般的です。運転パターンには2通りあります。

1. 自動運転パターン

自起動運転パターンは、モーターの回転速度を最初から最後まで同じ速度で動かす運転パターンです。速度と時間をグラフにすると四角形になるため、矩形駆動と呼ばれます。 

2. 手動運転パターン

モーターの回転速度を最初は遅くして徐々に高速にする手法であり、最大の速度で一定期間回転したあとに徐々に低速にもどして、停止する運転パターンです。

速度と時間をグラフにすると台形になる制御方法であり、台形駆動と呼ばれます。モーターの回転速度はモーター特性や対象物の質量、モーターへの電力や配線方法で決まります。特に、急激に動かし、急激に止めたい用途で使用するときは、選んだモーターの特性が重要です。

2相ステッピングモーターの種類

1. VRモータ型

ローターは鉄でできています。また、ローターとステーターには複数の凸型の歯があります。現在はあまり使用されていません。

2. PMモータ型

ローターは永久磁石からなります。ステーターは90度ごとに配置された巻線を使用しており、対局にある位置のステーターに電流を流します。ローター側の磁化ピッチを細かくすることで極数を増やることはできますが、着磁間隔の関係で20極程度が限界です。

3. HBモータ型

回転軸には円筒形磁石があり、歯が1/2ピッチ分ずれている2枚のローターで磁石を挟んでいます。ステーターは90度ごとに配置された巻線を使用しており、複数の凸型の歯からなります。対局にある位置のステーターに電流を流します。

2相ステッピングモーターのその他情報

2相ステッピングモーターは配線方法

2相ステッピングモーターは配線方法で特性が変化します。機器の設計時には、配線方法の意識で、その機器に適したコストと性能のバランスを得ることが可能です。

1. バイポーラ結線
バイポーラ結線は、モーターの巻線に対して、双方向で電流を流す方式です。モーター内部の構造はシンプルですが、駆動回路は複雑になる点はデメリットです。特性としては、出力トルクはユニポーラ結線よりも、高くなります。また、トルク特性がユニポーラ結線と異なります。

2. ユニポーラ結線
ユニポーラ結線は、巻線に常に一定方向の電流を加える方式です。巻線は2本になるため、モーター内部の構造はその分複雑になります。しかし、モーターを動かすための駆動回路は単純になります。

特性としては、モーター内部の限られた空間に2本の巻線が入り、1本の巻線は常にお休みの状態になるため、バイポーラ結線に比べると半分程度の出力トルクになるのが基本的な考え方です。ただし、前述したようにバイポーラ結線とトルク特性が異なります。

参考文献
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/orien-sougou/book/orien-sougou-P0021.pdf

メモリIC

メモリICとは

メモリIC

メモリICとは、プロセッサを使ったシステムにおいて、データの記録を担う半導体デバイスです。

メモリICは大別するとROMとRAMがあります。ROM (英: Read Only Memory) は、製造時に書き込まれたデータを読み出すことに限定されたメモリです。ただし、EEPROMやフラッシュメモリなどデータの書き替えが可能なデバイスもROMに含まれます。

メモリデバイスを駆動する電源が切れても保存されているデータは消えずに維持されているので、繰り返し読み出すことが可能です。RAM (英: Random Access Memory) は、高速にデータの書き込み/見出しができるメモリです。記録されたデータはメモリデバイスを駆動する電源が切れると消えてしまうため、一時的なデータ保存の用途に限定されます。

また、構造的にはSRAM (英: Static Random Access Memory) と集積度を高められるDRAM (英: Dynamic Random Access Memory) があります。

メモリICの使用用途

メモリICはプロセッサと組み合わせて、プログラムデータの格納や演算処理中のデータ保持などに使われます。携帯電話やタブレット端末、パソコンからメインフレームに至るまで、プロセッサを搭載した機器やコンピュータには必ずメモリICが搭載されています。

一般的に、ROMにはプログラムデータが収納されていて、プロセッサはそのプログラムデータに沿ってさまざまな処理を進めます。その際、一時的に保存しておくデータや情報はRAMに書き込みます。また、RAMのデータは頻繁に書き換えれるため、高速に動作することが重要です。

ROMの一部に分類されるEEPROMは、特に電子機器で調整データなどを書き込んでおく目的でも利用されます。フラッシュメモリは、大きなメモリ容量が実現できる上、データ書き換えが可能なROMである特徴を活かして、メモリカードやSSD (英: Solid State Drive) の記憶素子として使われています。

メモリICの原理

メモリICは、一般に多くの記憶素子が整然と並べられた記録エリアと、個々の記憶素子のデータを指定するアドレスライン、記憶素子のデータを外部に伝えるための信号出力ライン、外部からデータを入力するための信号入力ラインを備えたものです。

メモリICと組み合わせて使われるプロセッサは、メモリICのデータ記録エリアの管理も担っているため、必要なデータを読み出す際は、アドレスラインを操作してその記憶素子のデータを信号出力ラインに出力させます。また、メモリに記録するデータは、アドレスラインを操作して記録素子を指定し、信号入力ラインにデータを転送します。

上記がメモリICへの信号の読み出しや書き込みを行う流れです。ただし、メモリICの内部回路構成や駆動方法は、種類により全く異なります。

メモリICの種類

メモリICはROMとRAMに大別できますが、それぞれいくつかの種類があります。

1. ROM

マスクROM
マスクROMは、書き込むデータに応じて専用のマスクを製作し、それを使ってデバイス製造工程でデータが書き込むものです。したがって、書き込まれたデータは変更できません

PROM (英: Programmable Read Only Memory) 
PROMは、書き込み/消去が可能なROMを指し、電源を切っても記憶内容が保持されるROMの1種です。1980年頃にはEPROM (Erasable Programmable Read Only Memory) と云われるデバイスが良く用いられました。

これはフローティング・ゲートを有するMOSFETのアレイ構造であり、専用の書き込みツールを使ってデータを書き込むものです。しかしながら、データ消去時に紫外線を照射する必要があることから、現在ではほとんど使われていません。

代わって、EEPROM (英:Electrically Erasable PROM) とフラッシュメモリが使われています。何れもコントローラからの制御信号を受けて書き込み/消去が可能ですが、フラッシュメモリは特に大きな記憶容量が実現できる構造であることから、メモリカード等に盛んに使われるようになりました。

なお、MOSFETのフローティング・ゲートに注入された電荷の有無によりデータの0/1が決まりますが、その電荷の注入や消去はトンネル効果を利用するので、IC内部に高電圧電源回路が組み込まれています。

2. RAM

SRAM
SRAMは記憶素子にフリップフロップ回路などを利用し、一度記録した内容は電源が供給されている限り保持され続けるという特性があります。後述のDRAMのようなリフレッシュ動作が不要なため、同規模のメモリ容量のDRAMより消費電力が少ない上、高速な読み出し/書き込みが可能です。

しかし、記憶素子の構造が複雑なため高密度化は難しく、製造単価が高額になります。したがって、省電力性や高速性が重視される用途に適しており、例えば、コンピュータ内部でプロセッサーとメイン・メモリの中に配置される高速キャッシュメモリとしてよく利用されます。

DRAM
DRAMはトランジスタとコンデンサーを1個ずつ利用してデータを記録する仕組みです。即ち、コンデンサーに電荷が有り/無しの状態をデータ0/1に定義して記録します。なお、コンデンサーに電荷を蓄積するスイッチとしてトランジスタが作用します。

回路構成が簡単なので、集積度を高くすることができますが、スイッチがOFF状態であってもコンデンサーから徐々に電荷が漏れてしまうため、データの上書を定期的に行って電荷の漏れによるデータ化けを防いでいます。これをリフレッシュ動作と呼びますが、DRAM特有の機能です。

参考文献
https://search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=crmas&p=SDRAM%E3%81%A8%E3%81%AF

カウンタIC

カウンタICとは

カウンタICとは、デジタル回路の1種で、カウント (計数) する機能を備え、主に特定の事象の頻度を数えるために使用される集積回路です。

特定のイベントやクロックパルスに基づいて、内部のレジスタに格納された数値を1つずつ増やす (アップカウント) 、または減らし (ダウンカウント) 、目指す数値に達したとき、もしくは外部機器から要求があったときに計数結果を出力します。カウンタICにはさまざまな種類がありますが、最も基本的なタイプはバイナリカウンタです。

バイナリカウンタは2進数で数を数えることが可能で、例えば4ビットのバイナリカウンタは、0から15までの値を2進数で表現します。また、リングカウンタやジョンソンカウンタなど異なる動作モードを持つカウンタICもあります。

カウンタICの使用用途

カウンタICは、デジタル回路の設計や制御システムなどのさまざまなアプリケーションで使用されるものです。タイマーや順序制御、周波数分周器などが具体的な応用例として挙げられます。

1. タイマー

カウンタICは、特定の時間間隔やイベントの計測に使用されるタイマー回路で使用されています。例えば、デジタル時計やストップウォッチなどがその具体例です。

2. 順序制御

カウンタICは、順序制御回路でも使用されます。例えば、シーケンシャルロジック回路や状態遷移マシンなどで利用され、特定の順序で動作するデバイスやシステムを制御することが主な機能です。

3. 周波数分周器

カウンタICは、入力信号を分割して周波数分周器回路とすることも可能です。これにより高周波信号から整数分の1の周波数の信号を作成することができます。主な用途は、周波数合成や周波数制御などのアプリケーションです。

4. イベント計数

カウンタICは、特定のイベントが発生した回数を計測するためにも使用されます。例えば、交通量調査における車両の台数や通行人の計数などです。

5. データ通信

カウンタICは、データ通信回路で使用されることもあります。シリアル通信やパケット伝送などでデータ数を設定する際に利用されます。

カウンタICの原理

カウンタICは、以下で挙げる要素で構成されています。

1. Dフリップフロップ

カウンタICを構成する論理回路では、Dフリップフロップが主に使われています。この論理回路は1ビットの情報を記憶する機能があるため、この素子を組み合わせて各種のカウンタICを構成します。

Dフリップフロップは、クロック端子 (CLK)、データ入力端子 (D) 、データ出力端子 (Q) とその反転出力を備え、クロックの立ち上がりエッジのタイミングでデータ入力端子に入力されているデータをそのままデータ出力端子へ出力する機能を有したものです。

2. カウンタ

反転出力を入力端子に直結するとともに、データ出力端子を次段のDフリップフロップのデータ入力端子に入力することが基本的な構成です。これをN段縦続に接続することにより、2のN乗のバイナリカウンタが出来上がります。

3. 周波数分周器

Dフリップフロップを前述の端子間接続を行うことで、D端子へ入力したデータの出力は1/2に分周されるとの見方ができます。この機能を利用することにより、カウンタICで周波数分周器を作ることが可能です。

4ビットのバイナリカウンタの場合、2の4乗 (16) となるので入力クロックに対して入力クロックの1/16の周波数を出力することになります。8ビットのバイナリカウンタの場合は同様にして2の8乗 (256) となるので、入力クロックの1/256の周波数を出力することが可能です。

カウンタICの種類

カウンタICにはさまざまな種類があります。代表的なものは、以下のとおりです。

1. バイナリカウンタ

最も基本的なカウンタICであり、2進数で数え上げることができます。Nビットのバイナリカウンタは、0から (2の N乗-1) までの数値を表現できます。

2. リングカウンタ

リング状のカウンタICで、クロック毎に内部のビットが順番にシフトされるものです。各フリップフロップの入リュク端子は前のフリップフロップの出力端子に接続され、最後の出力が最初のフリップフロップの入力端子にフィードバックされます。ビット”1″が、順番に隣のフリップフロップに移動するように機能するものです。

3. ジョンソンカウンタ

ジョンソンカウンタはリングカウンタの一種ですが、最後段の出力を反転して先頭のフリップフロップの入力信号とする点が異なります。特定のパターンが、クロック毎に隣のフリップフロップにシフトされるよう動作するものです。ジョンソンカウンタは、シーケンシャルロジック回路やデコーダ回路などで利用されます。

4. アップカウンタ

アップカウンタは、1つずつ数が増加していくカウンタICで、クロックパルスまたは特定のイベントに応じて、内部の値が増加します。

5. ダウンカウンタ

ダウンカウンタは、1つずつ数が減少していくカウンタICで、クロックパルスまたは特定のイベントに応じて、内部の値が減少します。

6. プリセットカウンタ

プリセットカウンタは、事前に設定された値からカウントを開始するカウンタICです。特定の条件や入力に応じて、指定された初期値からカウントが開始されます。

7. リアルタイムカウンタ

リアルタイムカウンタは、実時間での計測やタイミングに使用されるカウンタICです。内部のカウンタ値をクロックパルスや外部信号に基づいて増加または減少させ、時間の計測やイベントのタイミング制御に利用されます。

参考文献
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/93.html