ゲートドライバ

ゲートドライバとは

ゲートドライバとは、電圧によって駆動するタイプのMOSFETやIGBTのゲート端子に電圧をかけて駆動制御するための回路です。

現在、最も汎用的なゲートドライバはMOSFETのゲートを駆動制御する回路ですが、抵抗やダイオード、バイポーラなどのトランジスタを使用したアナログ回路技術があります。最近ではゲートドライバ周辺回路部品自体も進化しています。

その種類や組み合わせは豊富にありますが、MOSFETを使ったゲート電圧駆動制御回路を習得することが最も実用的です。

ゲートドライバの使用用途

ゲートドライバは、MOSFETとゲート抵抗だけのシンプルな駆動回路でパワートランジスタを駆動する際に使用されます。

ゲートドライバのメリットは部品点数の少なさです。デメリットは抵抗値によってスイッチング速度や損失が大きく変わり、適度な抵抗値に設定するのが難しいことです。また、この抵抗値調整の課題を改善した回路としてMOSFETのゲートをON/OFFをダイオードで別々に駆動する回路にも使用されます。

ダイオード分の電圧が残ってしまうため完全にゼロにはなりませんが、この問題をクリアしたものがMOSFETのPchとNchを上下に接続したプッシュプルと呼ばれる回路です。ゲートドライバの使用用途として現在では最もよく使われています。

ゲートドライバの原理

ゲートドライバは、トランジスタのプッシュプル回路で構成されています。

プッシュプル回路とは2つのトランジスタを使って交互に動作させることで、スイッチングまたは増幅を行う回路のことを指します。プッシュプル回路には、「エミッタフォロワ型」と「エミッタ接地型」の2種類がありますが、基本的には後者である場合が多いです。

ゲートドライバはトランジスタの現場で大きな仕事をする力持ちのパワー素子と、制御方針を命令する頭脳で社長的な役割のマイコンとの間を取り持つ中間管理職のような役割を持つ回路から構成されています。

大電流を流すことができるパワー素子として、パワーMOSFETIGBTが挙げられます。これらを直接駆動する電圧や電流は、通常のマイコンが出力できる電流や電圧では不十分である場合がほとんどです。

そのため、パワー素子とマイコンで駆動させるためにはその間ゲートドライバが必要です。

ゲートドライバのその他情報

1. 超高速ゲートドライバとは

超高速ゲートドライバとは、ゲートドライバの中でも特に高速スイッチングに特化したゲートドライバのことです。

その中でも超高速と呼ばれる部類は、概ね目安としてスイッチング速度が数十p (ピコ) 秒以下の素子になります。ピコは10のマイナス12乗になるので、1秒のマイナス12乗 (1兆) 分の1以下の速さでスイッチングします。

これは、昨今の半導体素子の技術革新によって起こった進化とも言えます。

2. 超高速ゲートドライバの実用化

実用化されている超高速素子ゲートドライバとしては、以下のものがあります。

1つ目は、半導体として最もよく利用されているシリコンを用いたトランジスタで、バイポーラ型とMOS型があります。バイポーラ型は高速で数十ピコ秒のスイッチングが可能です。MOS型は動作は遅延しますが、高密度な回路集積に適しています。

2つ目は化合物半導体タイプのトランジスタです。ショットキーゲートタイプの電界効果トランジスタのMESFET、ヘテロバイポーラトランジスタのHBT、高移動度電界効果トランジスタのHEMTがあります。使われる半導体はガリウムヒ素系化合物です。この素子は数ピコ秒のスイッチング動作が可能な現在の超高速に対応した素子で、最も高速な半導体になります。

3つ目は研究段階ではありますが、ジョセフソン素子と呼ばれる2種類の超伝導体間のトンネル効果を利用したものがあります。2つ目に紹介した素子の半分のスイッチングスピードで、ニオブなどの金属材料が使われます。しかし、動作には極低温を要する等の条件があり実用化にはまだまだ課題があるのが現状です。

3. SiCゲートドライバ

SiCゲートドライバは、耐圧性能とスイッチング速度改善において優れており、昨今のパワーエレクトロニクスの世界で注目されている半導体素子です。その活用が業界のトレンドにもなっているシリコンカーバイド (通称SiC) と呼ばれる半導体によって構成されたゲートドライバのことを指します。

特にSiCを使用したMOSFETは、高電力対応のインバータにおいて課題になっているそのスイッチング性能を大きく向上させることに寄与し、高いブレークダウン電界強度とキャリアドリフト速度を実現しつつ放熱性を改善させました。

しかし、SiCには様々なSiC組成構成における電圧の相違を解決しなければならないという課題があります。

4. ゲートドライバの現在の主力デバイス

現在ゲートドライバで動作させたい主力デバイスはMOSFETやIGBTという電圧駆動デバイスです。ゲートドライバは電流を常時流す必要はないですが、スイッチング動作時に短時間のパルス電流が流れるため、パワーデバイスとしての定格電流や電圧値などには十分注意が必要です。

特にIGBTの場合はMOSFETと比較して数10Vの高電圧時にその特性の良さが発揮されるため、ゲートドライバのバイアス特性もその電圧領域や用途に極力合わせたものを選定した方が無難です。

5. モジュール化と今後のトレンド

IGBTはその高電圧動作および最大定格を超えると瞬時に破壊しやすいという特徴があります。そのためIGBT単体 (ディスクリート) ではなく、ゲートドライバICと、保護回路などとIGBT単体を組み合わせたIGBTモジュールの方が使いやすく、現在多く市場に受け入れられています。

今後のゲートドライバの技術開発のトレンドとしては、より小型・高性能を目指した使いやすい製品だけでなく、D級アンプやモータ駆動用などの用途特化型のICが開発されていくと考えられます。これらのゲートドライバは先に述べたSiC半導体やGaNデバイス用のゲートドライバとの住みわけが図られていくでしょう。

参考文献
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/articles/isolated-gate-drivers-what-why-and-how.html
https://detail-infomation.com/gate-driver-type/
https://www.rohm.co.jp/power-device-support

流速センサー

流速センサーとは

流速センサーとは、工場の生産ラインにおける液体量の流速や、河川などの流速を測定するためのセンサーです。

流速の測定方法としては、様々な方法が採用されています。流体が羽根車を回転させる運動量を測定する方法や、流速による超音波の位相のずれを測定する方法、流体が熱を奪う量を測定する方法など幅広く開発されています。センサーを測定することによって、制御装置などに接続することによって、その他の装置を動作させるためのスイッチやフィードバック制御に利用されます。

流速センサーの使用用途

流速センサーは、工場や環境設備、住宅設備など幅広い分野で利用されている計器です。流量センサーの選定の際には、使用する動作原理がその流体の流れに影響を与えないかどうかや、測定できる流速の範囲、温度や流れる流体の種類に応じた耐久性、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

流速センサーの使用例を以下に示します。

  • 河川の生態系調査のための流速の測定
  • 工場のダクトを流れる排気ガスの流速測定
  • 化学溶液の流速の調整や制御
  • 風洞実験での乱流計測
  • 空力騒音解析 (列車パンタグラフ近傍やドアミラー近傍での流体騒音計測など)
  • 機器内冷却ファン風の乱流計測
  • 流れと音の相関計測
  • 金型成型・ダイカストマシン・射出成型機などの冷却水監視
  • 次亜塩素酸ソーダ・苛性ソーダなどの薬流の計測
  • 浄水場、配水池での凝集剤や滅菌剤の注入監視
  • 滅菌処理システムの監視
  • 工場の排水処理の監視
  • 苛性ソーダの使用量管理

流速センサーの原理

流速センサーの主な測定原理には、羽根車式、超音波式、熱式などがあります。

1. 羽根車式流速センサー

羽根車式流速センサーは、磁石が取り付けられた羽根車とその磁石の磁界の変化を読み込むためのコイル、羽根車を流体が流れる方向に向けるための重しなどで構成されています。羽根車が流体の流れによって回転し、その回転量を羽根車に取り付けられた磁石の磁界の変化をコイルなどで測定することによって、電気信号を送信する仕組みです。

2. 超音波式流速センサー

超音波式流速センサーは、超音波発生装置、受信装置で構成されています。超音波を流れる流体に向けて照射し、その流体によって跳ね返ってくる超音波の位相の変化量を測定する、ドップラー効果を利用して流速を測定します。非接触で測定することができることが特徴です。

3. 熱式流速センサー

熱式流速センサーは、サーモパイルなどの熱を検知する検出素子と増幅器などで構成されます。流体の流れによって測定部の温度が減少し、その減少量を測定することによって流速を算出する仕組みです。流体の種類に影響されにくいことが特徴です。

4. 電磁式流速センサー

電磁式の流速センサーは、ファラデーの電磁誘導の法則を利用しているセンサーです。導電性流体が流れている空間に流れと90度の角度で磁界を発生させると、流速に応じた起電力が生まれます。導電性流体のみに適用できる測定法ですが、液体の温度や圧力、密度や粘度の影響を受けない測定が可能です。

流速センサーの種類

流速センサーは、まず、気体用と液体用の2種類に大きく分けられます。様々な製品があり、気体液体兼用で使える製品も中にはあります。

1. クランプオン式

超音波式センサーの一種であるクランプオン式のセンサーは、配管の外から測定する仕組みのセンサーです。接液しないため、グリス・接着剤の塗布量の確認や、接液を極力避けたい食品・薬品の充填量確認などに使用されています。高粘度液体の測定も可能です。また、瞬時流量の測定だけでなく、吐出用途の測定も可能であり、配管素材は樹脂や金属をはじめとして様々な材質に対応します。

2. 電磁式流速センサー

電磁式流速センサーは、流路部は貫通構造で可動部がない構造になっており、圧力損失が小さく耐久性が良いです。流路部に誘導体を混ぜたプラスチック素材を採用することで、流体が電極に接液しない構造としているものもあります。また、装置組込みに適した小型の製品もあります。

参考文献
http://www.kanomax.co.jp/technical/detail_0042.html
https://www.oval.co.jp/techinfo/keisoku/ultrasonic.html
https://www.jfe-advantech.co.jp/products/ocean-sensor.html

霧化器

霧化器とは

霧化器とは、霧状にした水を放出する装置です。

超音波や加熱により、水を霧状に変化させて空間に放出します。用途としては、空間の加湿、除菌や消臭、舞台演出などがあります。除菌や消臭用途でよく用いられるのは超音波タイプです。

旧来は加湿や除菌で用いられることが多くありましたが、最近は舞台演出にも使われています。照明が霧にあたることで輝きが増し、演出に効果的です。床への設置タイプから机におけるタイプまで、さまざまな種類があります。

霧化器の使用用途

霧化器は、空間の加湿、除菌や消臭で利用されることが多いです。舞台演出等でも利用されていますが、一般的な使用用途は以下のとおりです。

1. 空間の加湿

冬場は湿度が下がるため、空気が乾燥します。空気の乾燥は肌が荒れたり、風邪をひきやすくなる原因です。乾燥を防ぎ、快適な空間を維持するために用いられます。

2. 除菌や消臭

空気中には、菌やウイルスが存在しています。菌の繁殖は臭いの発生、ウイルスの繁殖は体調悪化につながります。除菌や消臭に対応する液剤を噴霧することで、空間全体に行きわたり効果的です。

また、霧化器はあらゆる産業分野で使用されています。発熱体の冷却から、加湿による静電気の発生を抑える目的や、水性の物質を用いる現場での乾燥防止などがあります。

霧化器の原理

液体を霧化させた後、装置から放出することで機能しています。霧化させるには超音波と加熱があり、方式によって霧化するメカニズムが異なりますが、主な方式は2つです。

1. 超音波

超音波の振動が液体に伝わることにより、霧状の物体が生成されます。生成には液体の表面張力が関わってきます。一般的に使用される振動子の周波数は2.4MHzです。この周波数を変化させることで発生する霧の粒子径を変化させることもできます。

2. 加熱式

物質の温度が高くないとき、分子は動かず固定されていますが、温度が上昇するにつれて分子運動が激しくなることを用いる方法です。沸点以上になると、分子はばらばらに動き気体になります。気化した分子は表面張力の影響で、表面積が小さくなり霧状で空間へ放出されます。

霧化器の構造

超音波方式を用いた霧化器は、液体に振動を与える振動子とそれを振動させるための発振基盤によって構成されます。効率よく霧化できるよう振動子の先には、ホーンと呼ばれるものが取り付けられているものもあります。

液面とホーンの高さを適正な関係に保つため、液面を調整するフロートとセットで用いられることが一般的です。また、空間へ霧を放出されるためのファンや液体を供給するタンクも一体化していることが多いです。

霧化器の種類

タンクが霧化器と一体化したものが多くを占めます。霧化器の大きさがタンクの大きさに依存するため、大量の液体を霧化させるには必然的に大きなサイズなる傾向にあります。

霧化させる液体の外部からポンプで供給できるようにしたものや、液体槽に直接投げ入れるタイプのものなど、目的に応じてさまざまなものを選ぶことができます。

霧化器の選び方

露化器を使用する際は、目的によって霧化能力を確認します。広い空間であればより大きな霧化能力が必要ですが、狭い空間であれば大きな能力は不要です。

短時間での連続使用が主な場合はいりませんが、長時間の使用であれば間欠機能が機能がついている方が無難です。例えば、家庭用のアロマディフューザー等であれば、寝室や書斎の小さな個室での使用になりますが、大型店舗でアロマ噴霧を行う場合にはより大きな霧化能力と液体タンクが必要になります。

露化器のその他情報

表面張力について

表面張力とは、液体と気体の境界 (界面) で、液体分子ができるだけ表面積を小さくしようとする力のことです。液体の中では分子同士の間に分子間力が働き、お互いの距離が一定に保たれています。分子が気体側に移動した状態は、分子間力が働かず不安定な状態です。不安定な状態を解消するため、できるだけ表面積を小さくする方向に力が働き粒子状に変化します。

参考文献
https://www.seiko-giken.jp/feature/about
https://ultimate-sc.jp/example/sonic/
https://www.honda-el.co.jp/product/list050_24.html
https://www.daikin.co.jp/air/life/laboratory/dry/
https://www.contact-angle.jp/contact-angle/surface-tension/
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0607/

電線加工機

電線加工機とは

電線加工機とは、製造業や電気工事業などで利用される、電線の加工を行う機器のことです。

具体的には、電線のカットや被覆むき、マークチューブの挿入、端子圧着などの作業を効率よく行うために使用されます。さまざまなメーカーが独自の特性を持った電線加工機を市場に投入しており、使用目的に合わせて最適な機器を選ぶことが大切です。

例えば、生産設備の電気配線工事や電気組み立て作業において、正確で迅速な加工が求められる場合があります。IoT対応が進む中で電気工事業における電線加工機の需要が急拡大しているのが現状です。

時代の流れに伴い、多機能で高性能な電線加工機が開発されることが期待されており、今後の技術革新にも注目が集まっています。

電線加工機の使用用途

電線加工機の使用用途として、生産設備の電気配線工事や電気組み立て、電気配線作業などが挙げられます。特に、制御盤製造では欠かせない存在です。

制御盤を製造する際には、電線カット・マークチューブの印字と挿入・電線被覆むき・端子圧着の4工程が必要です。電線加工機は、4工程を自動化することで、制御盤製造のコストダウンや効率化に大きく貢献しています。

従来、これらの作業は人手によって行われていましたが、電線加工機の導入により、作業時間の短縮や労力の削減が可能となりました。また、自動化によって作業の精度も向上し、品質管理が容易になるというメリットもあります。

電線加工機は、製造業や電気工事業の現場で欠かせない機器として、業務効率の向上やコスト削減に大きく寄与しています。

電線加工機の原理

電線加工機は、制御盤製造に必要な電線カット・マークチューブの印字と挿入・電線被覆むき・端子圧着の4工程を自動化する機器です。電線加工機は、以下の4つの構成要素から成り立っています。

  • 直材投入部
  •  加工ステーション
  • 直材フィード機構
  • 払い出しステーション

4つの機構は、PLC (プログラマブル・ロジック・コントローラ) を通じてサーボシリンダやサーボモーター、油圧機構などで駆動し制御されています。電線には多種多様な長さ、太さ、種類が存在するため、電線加工機はそれらに対応できるように柔軟性を持った設備構成となっています。

PLCを搭載することで、ExcelやCSV形式のデータ読み込みが可能です。マークチューブに印刷するための印字データなどを一括登録し、加工動作へ反映できます。

電線加工機による自動化は、従来の人作業に対して8割以上のコストダウンが可能となるとされています。そのため、電線加工機は、制御盤製造業界において業務効率の向上やコスト削減に大きく寄与しています。

電線加工機の種類

電線加工機は主に半自動電線加工機、完全自動電線加工機、多機能電線加工機の3種類が存在します。

1. 半自動電線加工機

半自動電線加工機は、一部の作業を手動で行うことを前提とした機器です。電線カットや被覆むきなどの単純な作業を自動化し、端子圧着やマークチューブの挿入などはオペレーターが手動で行います。小規模な生産や低コストが求められる場合に適しており、初期投資を抑えることが可能です。

2. 完全自動電線加工機

完全自動電線加工機は、電線カットから端子圧着までの全工程を自動で行う機器です。高度な制御技術により、連続的に高速で正確な加工が可能です。大量生産や一貫した品質が求められる場合に最適で、生産効率や品質管理の向上が期待できます。

3. 多機能電線加工機

多機能電線加工機は、さまざまな加工方法や機能を搭載した高性能な機器です。例えば、複数の端子圧着や短時間での切替えが可能な機能や、特殊な被覆剥きに対応した機能などがあります。複雑な加工や多種多様な電線を扱う場合に適しており、作業効率や柔軟性の向上が期待できます。

参考文献
https://www.lionpower.co.jp/business/product_st_system.html
https://www.lionpower.co.jp/business/product_hi_1100.html

電界プローブ

電界プローブとは

電界プローブ (英: Electric Field Probe) とは、空間内の電界強度を測定するためのプローブです。

電界プローブは、電界の強度に応じて信号を発生させます。スペクトラムアナライザやオシロスコープに接続して、主に電磁波の測定、例えばEMC (電磁両立性) 試験、無線通信、アンテナの評価などに使用されます。電界の大きさ、方向、周波数特性などを測定することで、電磁波環境の評価や解析が可能になります。

電界プローブの使用用途

電界プローブはさまざまな分野で使用されますが、主な用途は以下の通りです。

  • EMC試験
    磁界プローブでの測定と合わせて、電子機器の放射エミッションやイミュニティ試験の際に使われます。
  • 無線通信
    基地局やアンテナの性能評価の際に電界強度を検出するため用いられます。
  • 医療機器の試験
    MRIや心臓ペースメーカーへの電界の影響を評価する場合などに用いられます。
  • 研究開発
    大学や研究機関での電磁波伝播の研究など、基礎的研究の場でも活躍します。

電界プローブの原理

電界プローブは、空間の電界成分を検出するセンサーで構成されます。基本的な構造としてプローブ先端に導体が設置されていますが、この導体が電界を受けると静電誘導により誘導電流が流れることから、その誘導電流を電界強度として出力する仕組みです。

電界プローブの種類

電界プローブは用途や測定環境に応じて以下のような種類に分類されます。異なる種類のプローブを目的に応じて使い分けることで、正確な電場評価が可能です。

1. 静電型電界プローブ (E-Field Probe)

静電場や低周波の電場を測定する際に適するもので、検出部には金属板やロッドアンテナが採用されています。

2. ダイポール型プローブ (Dipole Antenna Probe) 

1/2波長のダイポールアンテナを基礎としたプローブで、電磁波の電場成分を広帯域で測定できます。主に無線通信、アンテナ設計の評価に利用されます。

3. 平面型電界プローブ (Planar E-Field Probe)

平面状の導体を使い、広範囲の電場分布を測定する際に用いられます。基板上の電場ノイズ分布の測定など放射性ノイズの発生源調査に有効なプローブです。

4. 光ファイバー型電界プローブ (Optical E-Field Probe)

電場信号を光信号に変換して伝送することで、電気的な干渉を受けにくいプローブです。EMC試験、無線通信の評価などが主な用途です。

5. 広帯域電界プローブ (Broadband E-Field Probe)

広い周波数帯域に対応し、かつ校正された精密な測定が可能なもプローブです。EMC試験や電磁波暴露測定時に使用されます。

6. モノポール型プローブ(Monopole Probe)

一方向に突き出したロッド状の構造で、小型機器の内部や回路基板上の電場測定に適しています。具体的な用途としてPCB上の局所ノイズ源を検出する場合などが挙げられます。

電界プローブのその他情報

1. 使用上の注意事項

電界プローブを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

1. キャリブレーション
正確な測定には定期的な校正が必要です。

2. 配置と向き
プローブの位置や向きは測定結果に影響するため、充分配慮する必要があります。

3. ノイズと干渉
周囲の電磁ノイズが誤差を引き起こす可能性があるため、シールドルーム内など被測定物を遮蔽した環境で測定することが望ましいです。

4. 過負荷保護
高電界環境ではプローブが損傷することがあるため、適切な測定レンジの選択が重要です。

2. 電界プローブの進化

電界プローブは、電磁波環境の測定と解析に欠かせない重要な機器です。近年の技術革新で、より高精度で使いやすいモデルが登場し進化を続けており、今後も多様な応用分野での利用が期待されています。最近は次のような進展が見られます。

1. 小型・軽量化
ポータブルなモデルが増え、現場での使用が容易になっています。

2. 高周波対応の拡張
ミリ波帯やテラヘルツ帯域まで測定可能なプローブが開発されています。

3. ワイヤレスデータ伝送
プローブからのデータをリアルタイムで無線送信する機能が導入され、ケーブルの這い回しの制約から逃れられるものがあります。

参考文献
https://www.toyo.co.jp/emc/products/detail/?id=1784
https://www.keisokuten.jp/products/maker205.html

電源制御装置

電源制御装置とは

電源制御装置とは、機器の電源のオン・オフを制御する装置です。

工場や家庭内の機器の電源を一元管理するために使われます。特に、ネットワーク対応型の電源制御装置は「リブーター」と呼ばれ、ネットワークに接続している機器の自動または遠隔での制御が可能です。モノをネットワークで繋ぐIoT技術を活用する現場に不可欠であり、ネットワーク監視システムと併せて利用されます。サーバーを判断基準とした電源制御、障害発生箇所を特定してシステムを復旧させる役割を担います。さらに、ネットワーク経由で機器とスマートフォンを連携させれば、手元でスマートに電源を制御でき便利です。

AI技術が電源制御装置のシステムに組み込まれると、障害を事前に予想した機器の制御や、障害を未然に防ぐためのメンテナンスなどに役立ちます。電源制御装置に接続される機器の安定的な稼働と保守に最新のネットワーク技術を用いることで、資源・コストの削減が可能となり、脱炭素化に向けた取り組みにも貢献できます。

電源制御装置の使用用途

電源制御装置は、FA (Factory Automation) やIoT対応機器で、企業内の機器の統合管理やシステム化に使われています。最近の電源制御装置は大きく以下の2種類に分けられ、使用目的や使用環境に合わせた選択が必要です。

1. ネットワーク型電源制御装置

ネットワーク型の電源制御装置は、ネットワークに対応しており、スマートフォンなど他の機器と組み合わせた多機能なシステム構築を可能にします。例えば、統合監視室のシステムに組み込まれると、緊急事態が発生したときに各生産設備の電源を遠隔でオン・オフできます。

通信ユニットを介して複数のシステムを統合し、マスターコンピュータで一元管理もできます。電源モニタと合わせてDXを推進するための自動化システムを構築する過程でも利用されています。

2. アナログ型電源制御装置

アナログ型はアナログのみに対応しており、有線接続された機器のみ制御できます。例えば、工場内に設置された複数の生産設備を監視するために実装された電源制御装置では、各生産設備の電源オン・オフ状態は常に有線で制御します。また、医療機関などで電磁ノイズの影響を考慮しつつ安定した動作を可能にするのはアナログ型です。

しかし導入の際には、配線の制約を受けること、接続する機器の変更があると配線工事も必要になること、ケーブルやコネクタに費用がかかることなどを十分に考慮してください。

電源制御装置の原理

電源制御装置は、さまざまな電源から供給される入力電力を受け取り、変換・調整します。交流電源を直流電源に変換する、あるいは電圧・周波数を調整するなどが例です。調整した電力はシステム内の機器へ分配し、効率的で安定した電力供給を実現します。過電圧、過電流、短絡などの異常発生時には、保護機能が差動してシステム内の機器を保護するので安心です。

電源制御の原理には「リニアレギュレータ方式」と「スイッチングレギュレータ方式」の2つがあります。前者は過剰な電圧がかかると熱として消費して出力電圧を一定に保持する仕組みですが、変換効率は高くありません。一方後者は半導体のオン・オフを高速で行うことで効率的に電圧を変換する仕組みですが、スイッチングノイズが発生するのが欠点です。

電源制御装置のその他情報

再生可能エネルギーの普及や電力不足への対応で、電源制御はますます重要性を増しています。

発電所で発電した電気を家庭や事業所に届けるための配電盤、変圧器、電磁開閉器、電力量計、電力監視システムなどの電源制御に関わる機器へのニーズが高まりが顕著です。特に電力業界の受注は高水準で推移しています。

機器操作の無人化・遠隔化の促進に伴い、電源制御装置は進化を続けています。例えば、これまでのシリコン製半導体から、高効率で高出力な電源回路を実現するシリコンカーバイドや窒素ガリウムなどのワインドバンドギャップ半導体への移行です。高密度な実装技術も装置の設置場所の制約を少なくし、さまざまな機器へ搭載を可能にしています。

参考文献
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/choose/casestudy/rc/02_vpn.html

電流変換機

電流変換器とは

電流変換器 (英: Current Transducer) とは、電流を測定して電気信号に変換するデバイスです。

高い精度で電流を測定することが可能で、正確な電流情報が必要な用途で特に重要です。特に、電力供給ネットワークや産業プロセス制御などで使用されます。

製品を選定することでさまざまな種類のデジタルまたはアナログ信号に変換し、制御システムやデータ収集システムと簡単に統合できます。これにより、リアルタイムのデータモニタリングや遠隔監視が可能です。

電流変換器の使用用途

電流変換器はさまざまな用途で使用されており、電流監視や制御など、さまざまな機能を果たすための重要なデバイスです。以下は電流変換器の使用用途です。

1. 電力送配電

電力供給ネットワークでは、電流変換器が重要な役割を果たしています。送電線や変電所での電流を正確に測定することにより、電力会社は電力供給の効率性と安定性を確保することが多いです。制御機器に適した信号に変換することで、電力供給量の調整や障害検出に使用されます。

2. 産業プロセス

工場や製造プロセスでは、電流変換器が機械の電流をモニタリングし、制御するために使用されます。製造ラインのコンベアやモーターの電流を制御し、生産効率を向上させたり、機器の保護を行うことが可能です。高精度で電流を測定し、制御機器に適した信号に変換して出力します。

3. 自動車

自動車の電子制御システムでは、電流変換器がモーターの電流を監視するために使用されます。電流を制御基板などで取り扱いやすい信号に変換することが可能です。電動車 (EV) やハイブリッド車では、電池パックの充放電管理などに不可欠です。

4. 電子機器

電子機器や電源装置では、電流変換器が電流制御と電流モニタリングに使用されます。コンピュータの電源供給ユニットでは、電流変換器は電圧や電流を安定させ、安定した電力供給に寄与する装置です。また、バッテリー充電器でも電流変換器がバッテリーへの充電電流を制御します。

電流変換器の原理

電流変換器は電流を測定し、アナログまたはデジタル信号に変換するデバイスです。電流変換器の動作原理は、使用されるセンサーのタイプに依存します。シャント抵抗やホールセンサー、変流器などが使用されます。

1. シャント抵抗

シャント抵抗は、電気回路に直列に挿入する低抵抗部品です。電気回路は、抵抗に電流が通過すると電圧降下が生じる特性を持っています。オームの法則に従って、シャント抵抗両端の電圧降下を測定することで通過する電流を計測する仕組みです。

2. ホール効果センサー

ホール効果センサーは電流と磁界の関係によって電流を測定するセンサーです。通常はセンサーの周りに永久磁石が配置され、通過する電流と磁界の相互作用で発生する電圧を測定することで電流値へ変換します。

3. 変換器

変流器はコイルを使用して電流を検出する方式です。2つのコイルと鉄心からなり、一次コイルに通過する電流によって発生する二次コイルの電流を計測することで一次コイルの電流を測定します。これにより、大電流の測定も可能です。

電流変換器の選び方

電流変換器を選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下は電流変換器の選定要素一例です。

1. 電源電圧

電流変換器の選択において電源電圧は重要な要素です。電流変換器は通常、電源を導入することが必要となります。一般的にはDC24VやAC100~240Vなどが使用され、電源電圧に合わせて選定することが重要です。

2. 入力レンジ

電流変換器は特定の電流範囲内で動作します。電流変換器には、測定したい電流の範囲に合った入力レンジを選ぶことが必要です。AC0-5A入力やAC0-1A入力などの製品が存在し、入力信号に応じて適切に選定します。

3. 出力信号・レンジ

電流変換器の出力信号や出力レンジは、制御機器の要件に合わせて選択することが必要です。一般的な出力信号には0−5Vなどのアナログ電圧や4−20mAなどのアナログ電流などがあります。出力信号の範囲も重要で、これは制御システムとの互換性を確保するために考慮する必要があります。

参考文献
http://www.nfcorp.co.jp/techinfo/keisoku_kouza/viamp/viamp02/index.html
https://ednjapan.com/edn/articles/1503/23/news074.html

電圧検出器

電圧検出器とは

電圧検出器とは、供給された電圧を検出するために使用される機器です。

電気回路や電子機器において使用されるデバイスの1種です。主に電圧信号の変動や特定のしきい値超過を監視するために使用されます。これにより、電子機器の適切な動作や保護を行うことが多いです。

電圧検出器の使用用途

電圧検出器は、さまざまな使用用途で利用されます。以下は電圧検出器の代表的な使用用途の一例です。

1. 電源管理

電圧検出器は、電源回路において使用されます。電圧の変動や異常を検出し、電源の切り替えや保護回路のトリガーを制御します。電圧が低下した場合に補助電源を切り替えるなど、安定した電力供給を確保するために使用されることが多いです。

また、バッテリーの充電状態や電圧レベルの監視に使用されます。バッテリーの過充電や過放電を防ぐために、電圧検出器を使用することで適切な充電制御や警告機能が可能です。また、バッテリー残量の表示や交換時期の判断にも利用されます。

2. 過電圧保護

回路や機器を過電圧から保護するために使用されます。定められたしきい値を超える電圧を検出されると、保護回路が作動して回路を遮断するなどの対策を講じます。これにより、電子機器や回路の故障を防止することが可能です。

3. 自動車

電圧検出器は車載用途でも広く使用されます。自動車は電子制御システムが重要な要素となっており、安全性や快適性を確保するために正確な電圧監視が必要です。

車両のバッテリーは、エンジン始動や電子機器の動作に必要です。電圧検出器はバッテリーの充電状態や異常な電圧レベルを監視し、適切な充電制御やバッテリー交換の判断に役立ちます。電気自動車においてはモーター駆動用バッテリーの残量を確認するために使用されることも多いです。

また、車両の各種電子制御ユニットは、エンジンやブレーキ、エアバッグなどを制御しています。電圧検出器はこれらの制御ユニットの電源電圧を監視し、適切な動作や異常の検出に貢献します。

電圧検出器の原理

電圧検出器は、入力された電圧とあらかじめ設定された閾値を比較するデバイスです。入力電圧が閾値を上回るか下回るかによって、検出器の出力が変化します。

具体的な方法やデバイスは異なる場合がありますが、この原理に基づいて電圧検出が行われます。入力電圧が閾値を超えると検出が行われ、それに応じた制御などが実行されます。

電圧検出器の種類

電圧検出器にはさまざまな種類があります。以下は代表的な電圧検出器の種類一例です。

1. コンパレータ

コンパレータは入力電圧と参照電圧を比較し、その関係に基づいて出力を変化させるデバイスです。入力電圧が参照電圧を上回るか下回るかに応じて、出力を切り替えます。オペアンプを使用して実現されることが一般的です。

コンパレータは入力電圧が特定のしきい値を超えるか下回るかのみを検出するだけでなく、異常検出やヒステリシスなどの機能を備える場合もあります。これにより、さまざまな応用用途に対応することが可能です。

2. ザイナーダイオード

ザイナーダイオードは逆方向の電圧が特定のレベルを超えると導通する特性を持ったダイオードです。電圧検出器では、ザイナーダイオードを使用して特定の電圧レベルを超えた場合に電流が流れるように設計されます。

ザイナーダイオードは、非常にシンプルな構造です。また、逆方向の電圧が特定のレベルを超えると導通し始めるため、追加の電子回路や部品が不要です。リーク電流も非常に低く、消費電力を最小限に抑えることができます。

3. 継電器

内部のコイルに電圧が印可させ、その電圧レベルに応じて信号を発信する装置です。計器用変圧器を使用することで、高電圧への適用が可能となります。また、コイルとスイッチ部分が電気的に絶縁されており、入力電圧と出力部分を絶縁して切り離すことができます。

ただし、継電器は電磁機械的なデバイスであるため、応答速度や寿命などの制約があります。

参考文献
https://www.zuken.co.jp/club_Z/zz/tech-column/20190226_r010.html
https://www.rohm.co.jp/products/power-management/voltage-detectors/standard/bd48e35g-product

電圧変換機

電圧変換器とは

電圧変換器

電圧変換機とは、電圧を変換・調整することで必要とされる電圧で電力を供給する装置です。

一定の入力電圧を別の出力電圧に変換する役割を果たします。異なる地域や国で使用される電源の電圧が異なる場合、電圧変換器を使用することで電子機器や家電製品を適切に動作させることが可能です。これにより、異なる地域での国際旅行や海外での仕事などの場合にも、既存地域での機器を使用し続けることができます。

ただし、変換する電力の要件を考慮する必要があります。電圧変換器の容量が不足している場合、電力の供給が不安定になる可能性もあるためです。電力要件を確認し、適切な容量の電圧変換器を選ぶことが重要です。

電圧変換器の使用用途

電圧変換器はさまざまな用途で使用されます。以下は電圧変換器の使用用途一例です。

1. 海外旅行・出張

異なる国や地域では電源の電圧が異なることがあります。電圧変換器を使用することで、自国の電子機器や家電製品を異なる電圧の環境で使用することが可能です。企業の海外支店やプロジェクト現場など、異なる地域での業務活動において、現地の電源に合わせた電圧変換器が必要になる場合もあります。

また、海外から輸入した電子機器や家電製品を自国の電源環境で使用する際にも、電圧変換器が必要です。異なる電圧で動作する電子レンジや冷蔵庫を自国の電源に合わせて使用する場合などがその一例です。

2. 工業

工場や製造施設では、異なる電源電圧を必要とする機械や装置が使用されることがあります。電圧変換器を使用することで、これらの機械や装置に必要な電圧を供給し、正常な動作を実現します。なお、これらの用途で使用する場合、変圧器やトランスと呼ばれることが多いです。

また、産業セクターでは、再生可能エネルギーや発電機からの電力を工業用途に統合する必要があります。電圧変換器は、再生可能エネルギーの出力電圧を工業用の電力ネットワークに変換し、効率的なエネルギー供給を実現することが可能です。

3. 電子機器の保護

電圧変換器は、電子機器を不適切な電圧から保護するために使用されます。電子機器は、正確な電圧範囲内で電源供給することが必要です。電源の電圧が高すぎたり低すぎたりすると、機器の故障や損傷の原因になる可能性があります。

電圧変換器の原理

電圧変換器に共通する原理は、電力変換と絶縁です。

1. 電力変換

電圧変換器は、入力電力を変換して出力電力を生成します。入力側の電圧や電力源の特性を変換器内で処理し、出力側で必要な電圧や電力を提供します。

この変換は、入力と出力の電圧差や電力効率、安定性の維持などに基づいて設計されていることが多いです。

2. 絶縁

電圧変換器は、入力と出力の間に絶縁することが多くあります。入力側と出力側の電気的な絶縁を確保することで、安全性と保護を実現します。

絶縁することで、入力と出力間の電圧やノイズの影響を相互に分離し、電気的なショートや障害の発生を防止することが可能です。

電圧変換器の種類

電圧変換器は、主にトランス形式とスイッチング形式の2つに分類できます。

1. トランス形式

トランス形式の電圧変換器は、コイルと鉄心を使用して電圧を変換する型式です。入力コイルと出力コイルがトランスの鉄心に巻かれている構造です。

入力コイルに交流電圧が印加されると、コイルを通る電流がコアに磁界を生成します。この磁界がセカンダリコイルに誘導され、出力側で電圧が生成されます。トランスの巻き数比によって、入力電圧と出力電圧の比率が決まります。

巻き数比によって、出力電圧を調整することが可能です。また、入力電圧と出力電圧を絶縁することで、それぞれの機器を保護する役割も果たします。ただし、交流でしか使用できず、周波数などは変えられません。

2. スイッチング電源形式

スイッチング電源形式の電圧変換器は、高周波スイッチング素子を使用して入力電源を制御する形式です。通常はトランジスタやMOSFETなどを使用します。入力電源を高速でオンとオフに切り替えることにより、出力電圧を制御します。

スイッチング素子がオンの間は電源に接続され、エネルギーを蓄えます。スイッチング素子がオフの間は電源から切り離され、その蓄えられたエネルギーが出力側に供給されます。スイッチング素子のオン/オフタイミングやオン/オフ時間の比率を制御することで、出力電圧を調整することが可能です。

スイッチング形式では、周波数や電圧を自在に変換することが可能です。また、交流と直流の変換を行う場合もスイッチング形式です。インバータや太陽光発電用パワーコンディショナ―など、用途は多岐に渡ります。

電動ドラムポンプ

電動ドラムポンプとは

電動ドラムポンプ (英: Electric drum pump) とは、主にドラム缶内にあるオイルや薬品などを汲み上げて、移送するためのポンプです。

移送される液体には油や化学薬品、食品の原材料、グリース給脂といった粘度を有するものも含まれます。ドラムポンプには手動のものもあり、ハンドルを廻すことによってドラム缶内の液体を汲み上げます。

私たちの日常生活においては、灯油用のポリタンクから灯油を汲み上げる手動や電動のポンプが、電動ドラムポンプと同じ役割を果たすものです。構造はシンプルであり、ギヤードモーターを組み合わせた上で本体ポンプをドラム缶から用意に着脱可能できる方式のものが普及しています。

電動ドラムはそれぞれの使用目的毎に仕様が異なるため、使用目的や使用用途に応じて使い分けることが重要です。

電動ドラムポンプの使用用途

電動ドラムポンプは、ドラム缶内部の液体を汲み上げるために使用されます。オイル、経由・灯油、バイオディーゼル燃料などの油脂類だけでなく、さまざまな化学薬品、鉱山機械、セメント産業で扱われる液体、食品の原料などの移送にも有用です。

移送する液体によっては、粘度が高いものもあります。もし、ポンプの吸引能力が不足していると、粘度の高い液体は吸引しきれません。汲み上げる液体の粘度にあった能力を持つ電動ドラムポンプを選定する必要があります。

電動ドラムポンプの原理

電動ドラムポンプの原理は、ドラム缶内の液体を電動ポンプによって汲み上げることです。電動ドラムポンプは、大きく3つの部品で構成されています。

ドラム缶の底から液体を汲み上げるために缶内に挿入されるチューブ部分と缶内に挿入されたチューブから液体を汲み上げる電動ポンプ部分、汲み上げた液体を移送するた目のホース部分です。液体の汲み上げに電動ポンプを用いているだけで、原理は一般家庭用の灯油ポンプと変わりません。

電動ドラムポンプの種類

電動ドラムポンプには、ギアポンプ、ベーンポンプ、電動モーターポンプ、電動防爆ポンプの4つがあります。ここでは、代表的なギアポンプとベーンポンプについて紹介します。

1. ギアポンプ

ギアポンプは長穴形状の空間の中で、2つの平歯車が噛み合いながら回転し、液体を移送するポンプです。移送される液体の量が短い周期で変動する脈動が少なく、比較的粘度が高い液体を移送することもできます。

液体の移送量は歯車の回転数に比例するため、移送量の計算がしやすいものギアポンプの特徴の1つです。

2. ベーンポンプ

ベーンポンプは、円形の空間に対して中心が少しずれた羽根車があります。羽根車の羽根をベーンといい、遠心力によって円形空間の外壁部に広がります。

羽根車の回転中心が円形空間に対してずれているため、ベーンが外側に飛び出そうとしながら壁面と接触し、回転することによって液体を移送します。比較的粘度の低い液体の移送に適したポンプです。

電動ドラムポンプのその他情報

電動ドラムポンプを使用する際の注意点

電動ドラムポンプは使用環境や用途に応じて、実装されるモータの規格も設定されており、その規格に対応するモータを選定の上、生産・製造されています。そのため、指定されているスペック毎に使用可能なグリースや油脂が異なり、使用目的や使用条件に合ったタイプのものを選ぶ必要があります。

また、電動ドラムポンプを屋外で使用する場合には、防塵・防水性能を有する製品を選びます。一般的には、IP54相当の防塵・防水性能を有する使用されることが多いです。

工場の生産ラインなどで使用される場合、設備によっては、シングルライン、ダブルラインなどの対応を求めらるケースがあります。それぞれのシステムに合わせた供給を可能とするために、製造メーカー側も同式の型番の中でライン使用を分けています。

参考文献
https://www.koshin-ltd.jp/
https://www.webshiro.com/p74ponpu.html