減衰器

減衰器とは

減衰器(Attenuator、アッテネータ)とは装置で得られた信号を適切な信号レベルに減衰させる電子回路または装置のこと。Attenuatorの略号でATTと表記することもある。信号の波形をゆがませることなく減衰させる。減衰器は電気信号だけでなく光などの物理的な量の計測の際にも使用される。

抵抗器を用いて電気的に信号を減衰させる場合と、センサーの検出部を一定サイズのカバーで多い入力を制限することで検出可能な適正信号レベルまで減衰させる物理的な減衰手法がある。

減衰器の使用用途

減衰器も用いる目的としては「レベル調整用途」「測定データの減衰用途」「インピーダンスマッチング」などが考えられる。また計測機に減衰器を意図的にかませ、検出データのシグナル/ノイズ比を向上させる目的で使用することもある。

具体的な使用例としては、オーディオでの出入力調整用途、測定用減衰器、紫外線強度計の入力エネルギー調整など。

なお減衰器に対し、逆に信号を増幅する装置は増幅器(ブースター)という。

減衰器の原理

単純にシグナルを減衰させる目的であれば適当な抵抗を入れることで目的を果たせるが、高周波回廊における減衰器はインピーダンスを保持しながら減衰することが必要。そのため複数の抵抗を組み合わせたT型減衰回路やπ型減衰回路を使用して入出力の整合性を取りながら信号を減衰させる。

スペクトラム・アナライザや測定用受信器には分析部へ入力される信号を適切なレベルに調整するための減衰器が内蔵され、検出データの飽和を防ぎ正確な結果を得られるように調整されている。また紫外線強度計の受光部(センサ)を開口部を絞ったアッテネータで覆うことで入力エネルギー量(受光紫外占領)を既定比率で減衰し、測定データのオーバーフローを防ぐ物理的なアッテネータも存在する。

また測定機器の場合、信号レベル的には減衰する必要のない(適切な信号レベルでデータが入力されている)場合にもあえて一度減衰し、シグナル中に含まれるノイズの影響を下げでることで、データ品質(シグナル/ノイズ比)の向上を行うことも可能。

減衰率が固定のものの他に、ダイヤルや外部からの調整により減衰率を変更可能な可変アッテネータと呼ばれるものもある。

参考文献
https://www.stack-elec.co.jp/?p=265
https://as76.net/ant/att.php

減容機

減容機とは減容機

減容機は、ゴミなどの体積を減らすことによって搬送しやすくするためや、保存のための体積を確保しやすくするための装置になります。

圧縮する対象を分類する機構がある装置や、圧縮したものを梱包する装置などの機能が付いている装置や、空き缶やペットボトル、発泡スチロールに特化した装置などがあります。油圧によってプレスする方法や、高トルクの歯車によって圧縮する方法、熱を加えることによって溶解させ、体積を減らす方法などがあります。

減容機の使用用途

減容機は、ゴミ処理施設や集積場、様々な製造工場における廃棄物の処理部、ゴミ収集車などで使用されます。減容機を使用する対象としては、一般的なごみやペットボトル、空き缶、発泡スチロール、段ボールなどになります。

減容機の選定の際には、減容比、減容する対象に装置が適しているかどうか、サイズ、消費電力、減容する速度などを考慮する必要があります。また、熱や分類、洗浄、梱包などの追加のオプションなども考慮する必要があります。

減容機の原理

減容機の動作原理を説明します。減容機は、輸送部と減容部で構成されています。輸送部では、ローラや押し出し機で輸送されます。製品によっては、手動やフォークリフトなどでの輸送が必要な場合があります。減容部では、油圧によるプレスか高トルクのモータに接続された歯車での圧縮力によって減容されます。

空き缶やペットボトルの減容の際には、リサイクルの意図も含まれるため、不純物の除去や洗浄なども同時に行う機構が付いている多くなります。不純物の除去の場合は、水での洗浄や送風機、または、細かい不純物の除去するためのスリットがついており、その上を減容対象が振動しながら通過するような機構があります。発泡スチロールの減容の際には、発泡スチロールは融点が低く、熱によって溶解するため、加熱部が付いている製品が多くあります。段ボールの減容の場合は、段ボールを溶解させる溶剤を混合することによって、段ボールを溶かし、圧縮し、乾燥させる機構が付いている製品もあります。 

参考文献
https://www.moriyas.co.jp/product/kankyo_setubi/ippan_gomi/index.html
https://www.webshiro.com/kankyoukiki_sc/volume-reducter.html
http://www.tatsumi-air.co.jp/prd/lGenyo.html
https://www.fjtex.co.jp/kankyo/select/s1296/

深絞り包装機

深絞り包装機とは

深絞り包装機とは、食品や医療品などを衛生的に保存できる真空包装を行うための装置のことです。

プラスチックのシートを包装対象に合わせて成形し、対象物を置いた後、上からシートをかぶせます。内部を真空状態にし、熱処理によってシートを接合することで、密封された状態での包装が可能です。

包装方法の特徴は、内部が真空になっているため、菌の繁殖を抑制し、商品の衛生的な保存ができる点です。消費者に安心して商品を提供できます。また、プラスチックシートを使うことで、包装対象にフィットするため、見栄えも良くなります。

深絞り包装機は、食品業界や医療品業界で幅広く活用されており、品質管理や衛生面での信頼性が高い装置です。

深絞り包装機の使用用途

深絞り包装機の使用用途は、食品工場や医療機器製造工場で多岐にわたります。

1. 食品工場

食品工場では、ハムやソーセージ、生の魚介類など、保存性が低い食品や空気に触れると味が劣化する食品の包装に活用されています。そのため、食品の鮮度や品質を維持し、消費者に安心して提供することが可能です。

2. 医療機器製造工場

医療機器製造工場では、衛生的な輸送が求められる医療用機器の包装に使用されます。工場内のクリーンな環境で包装された機器は、医療現場まで衛生的に輸送されることが保証されます。

 

深絞り包装機を選定する際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。具体的には、包装の精度とスピードが挙げられます。高精度で迅速な包装ができる機器を選ぶことで、生産効率が向上します。

また、装置の機能の柔軟性も重要で、さまざまな形状やサイズの商品に対応できる機器が望ましいです。メンテナンス性を考慮すると、維持管理が楽になります。

深絞り包装機の原理

深絞り包装機は、土台のプラスチックシート供給部、成形部、包装対象挿入部、シート供給部、真空熱処理部、切断部で構成されており、これらの連携によって効率的な真空包装が実現可能です。

まず、ローラー状に巻取られた土台のプラスチックシートが供給部から送り出されます。次に、成形部で包装対象に適した形状にシートが成形され、その後包装対象が挿入部で成形後のシート上に配置され、真空熱処理部へと進みます。

真空熱処理部では、上側からプラスチックシートが供給され、包装対象に被せて内部の空気を抜きながら、熱を用いてシートの四隅を接着させ、密封することが可能です。接着包装後のシートは、切断部で適切な大きさに切り分けられます。

切断部と真空熱処理部の間には、プラスチックシートの巻取り部があり、最適なタイミングで巻取りが行われることで、包装ラインのスムーズな移動できます。また、真空熱処理部の後には、賞味期限や製造年月日などを印字するための装置が設置されている場合も多いです。

深絞り包装機のその他情報

深絞り包装機のメリット

食品の鮮度を保てる
深絞り包装は真空包装が可能なため、製品中の酸素を遮断することで食品の鮮度を通常より長期的に保持することが可能です。食品は空気に触れることで酸化が進み劣化します。

美味しさは損なわれ、異臭や変色を招きます。また、酸素の存在下ではカビや菌が繁殖しやすく、食中毒の原因になるので注意が必要です。賞味期限を長く保つためには、保存温度とともに酸素の遮断が重要な役割を果たします。

食材に調味液が浸透しやすい
食材と調味料を真空包装し加熱する真空調理は、低温かつ短時間で均一に調味液を内部まで浸透させることが可能です。空気は熱伝導率が悪いため、製品中に空気が含まれていると食材に熱が伝わりにくく、結果的に高温加熱によるパサつきや煮崩れを引き起こします。

真空状態にすることで熱が伝わりやすくなる上に食材組織の浸透圧が高まり、少量の調味液でも味が染み込みやわらかくジューシーに仕上げることが可能です。

製造現場でライン化しやすい
深絞り包装機は食品工場や医療品工場などにおいて製造ラインに組み込みやすく、人手を減らしコストの削減が可能です。チャンバー式などの真空包装機の場合は、袋詰め・真空包装・運搬といった工程が発生します。

一方、深絞り包装機は金型に合わせてフィルムが成形されます。さらに、包装後の製品は自動で排出されるため、基本的には型への製品投入以外の工程を無人化することが可能です。

2. 深絞り包装に適したフィルム

フィルムは、ボトム材 (底材) とトップ材 (フタ材) の2種類です。

ボトム材
金型に合わせて成形されるため、柔軟性やヒートシール性に優れた無延伸フィルムが適しています。

トップ材
ハリと耐久性に優れ印刷にも適した延伸フィルム、あるいはボトム材と同様に無延伸フィルムが使用されます。

 

製造過程において、フィルムが縦や横方向に引き伸ばされてできたものが延伸フィルムです。延伸フィルムと無延伸フィルムでは分子の配列が変化するため、柔軟性や耐久性、透明性といったフィルムとしての特性が大きく異なります。

参考文献
https://www.tokyofoods.co.jp/products/food/deepdrawing/tabid/74/Default.aspx
https://www.mechanize-wp.com/
https://www.nasco-japan.com/show_case/post.html
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030253824.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/19/0/19_0_101/_article/-char/ja/
https://www.kurilon.co.jp/usefulguide/detail/?id=16
https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/food-packaging/product/1200453_7250.html
http://www.pp-film.jp/knowledge.html

液体ディスペンサ

液体ディスペンサとは

液体ディスペンサとは、タンク内の液体を一定量ごとに吐き出す装置のことです。

基盤の加工や洗濯機、消毒液の自動噴射システムなどさまざまな用途があります。吐出方法はいくつかのタイプが存在し、それぞれ特徴が異なります。

エアシリンジ式は、シリンジに入った液体をコンプレッサからの空気圧で押し出す方式です。容積式はモータを使用して液体の容積を変化させ、その変化により液体を吐出します。チューブ式は、液体が入っているチューブに圧力をかけることで液体を吐き出します。

なお、それぞれの方式は、用途や液体の性質によって選択することが重要です。

液体ディスペンサの使用用途

液体ディスペンサの使用用途は、半導体やディスプレイ、自動車、電池の製造工程、トイレや洗濯機、自動消毒液噴射装置まで非常に広範囲です。半導体、ディスプレイ、電池の製造では、液体材料の供給が重要な役割を果たします。

自動車の製造では、塗料や防腐剤の供給が必要です。また、トイレや洗濯機では、洗剤や消毒液の供給が求められます。

液体ディスペンサの選定する際は、供給する液体に対応しているかどうかを確認することが大切です。さらに、吐出する量の精度や吐出する量の大きさも考慮に入れるべきと言えます。

液体ディスペンサの原理

液体ディスペンサの動作原理は、エアシリンジ式、容積式、チューブ式で異なります。

1.  エアシリンジ式

エアシリンジ式は、吐出対象の液体が入るシリンジ、コンプレッサ、開放弁、制御盤などで構成されています。動作時は、コンプレッサによって高められた圧力を開放弁で開放することによって、シリンジを圧力で押し、シリンジ内の液体を吐出し、吐出する量が入力値に達するときに、制御盤により弁が閉じられ、吐出が停止します。

2. 容積式

容積式は、吐出対象が入っている容器と、その中にある容積式のポンプで構成されています。動作時は、モータの回転によって、容積式のポンプが動作し、流体を押し出すことで、吐出されます。

3. チューブ式

チューブ式は、吐出する液体が入っているチューブ、コンプレッサなど圧力を加えられる装置で構成されています。動作時は、圧力をチューブに加えることで、チューブから液体が吐出します。 

液体ディスペンサのその他情報

液体ディスペンサと併用する機械

液体ディスペンサは、製造業や研究開発、医療など多岐にわたる分野で利用される機械です。これらのディスペンサは、精密に液体を計量・分配するために重要な役割を果たします。

しかし、単体で使用するよりも、自動充填機、ミキサー・アジテーター、ロボットアームなどの機械と併用することで、より効率的で正確な作業が可能です。

1. 自動充填機
自動充填機は、液体ディスペンサと併用すると効率が格段に向上します。製品の容器に、一定量の液体を自動で充填するのが目的です。

自動充填機は液体ディスペンサから正確な量の液体を受け取り、製品の容器に充填します。これによって、作業者が手作業で行うよりも高速かつ正確に液体を充填できるため、生産性の向上につながります。

2. ミキサー・アジテーター
液体の混合や攪拌を行うために利用されます。液体ディスペンサで計量された複数の液体を、ミキサー・アジテーターによって均一に混合することで、一貫した品質の製品が得ることが可能です。

また、ミキサー・アジテーターは、温度や粘度が異なる液体を効率的に混合するためにも使用されます。

3. ロボットアーム
ロボットアームは、液体ディスペンサからの液体供給を受け取り、目的の場所に正確に移動させられます。作業者が手作業で行うよりも迅速かつ精密に液体を移動させることが可能です。

また、ロボットアームはプログラムによって制御されるため、繰り返し作業の正確性が向上します。結果として、製品の品質が一貫して維持されるだけでなく、生産性も向上します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/dispenser.jsp
https://www.musashi-engineering.co.jp/faq/faq001.html

浸透槽

浸透槽とは

浸透槽

浸透槽とは、雨水を浸透処理することで一時的に貯めたり、流出抑制を行うための設備です。

プラスチック製ブロック材などを地下に埋設することが一般的な方法です。土地への建設制限も特にありません。浸透槽の設置により、大雨のときなどにも雨水が地表にあふれることがなくなり、水害対策になります。また、大量の雨水が下水管に流れ込むことがなくなるため、下水管の負担が減り、設備の延命化にもつながります。

都市計画の一環や近年増加する台風やゲリラ豪雨への対策として、浸透槽の整備は治水対策の観点で国や自治体で進められている施策です。

浸透槽の使用用途

浸透槽は主に下記のような場所で設置が進んでいます。

  • 公共施設 (消防署、市役所など)
  • 公園・スポーツ施設
  • 工場・物流施設
  • 商業施設
  • 宅地 (集合住宅など)
  • 教育施設 (学校、保育園など)
  • 病院、介護・福祉施設

学校の校庭や保育園の園庭、公園などの地下に浸透槽を導入すると、水はけが良くなり利用しやすくなります。各種施設では駐車場などの地下に利用されることが多いですが、雨水を貯留浸透処理することにより敷地内の水循環の改善を効果的に行うことが可能です。

また、近年増加する異常気象による大雨への対策として、国土交通省、NEXCO、地方自治体、都市再生機構など公的機関での採用も進んでいます。ゲリラ豪雨は都市部のビル乱立や流域の都市化、異常気象などが原因とされており、また、台風による大規模な水害も多発しています。浸透槽の設置はこれらに対する効果的な対策の1つです。

浸透槽の原理

浸透槽は大きな槽に雨水を溜め込み、調節しながら徐々に水を放出していきます。槽の形状により種類が分けられます。

1. オープン式

オープン式とは、大きな空の槽を設置する方法です。完全に地下に埋めるのではなく、槽の一部が地上に現れている状態になっています。オープン式の浸透槽は一般的にコンクリート製です。

オープン式は水の貯蔵量が目で見えるため、メンテナンスが容易であり、従来一般的に使用されていました。しかし、槽への不法投棄や水質汚濁による悪臭発生や、転落の恐れがある危険性から現在では地下式のほうが主流となっています。

2. 地下式

地下式の浸透槽とは、穴の開いたブロックを地下に設置する方法です。ブロック内の穴に一時的に水が溜め込まれます。一般的には槽の材料はプラスチックが用いられ、小さな単位のブロックをずらして組み上げる仕組みです。ブロック間に高い空隙 (95%程度) を確保しながら堅牢かつ頑強な構造体を構成することが可能です。1つのブロックは約3kg程度と軽く、人力で施工することができます。大型重機や特殊車両などは不溶です。

完全に地下に埋めて使用するため、悪臭や転落の危険性はありません。コンクリート工法で必要な養生期間が不要となり、工期の圧縮や施工コストの削減が期待できます。また土地も有効的に利用することができます。 強度が高いことから、通常、車両総重量25tまでの車両乗り入れが可能です。上部スペースは、公園、校庭、駐車場などに活用されることが一般的です。

浸透槽の種類

上述の通り浸透槽は、現在プラスチック製の地下埋設式の浸透槽が一般的です。様々なメーカーから販売されており、複数種類の製品があります。

プラスチック製の浸透槽製品の中には、再生材料を材料に用いることで環境に配慮したものや、レベル2地振動の耐震性を備えた製品などがあります。製品によって、積み上げられる最大の段数や最大土被り、最大埋設深度などの適用範囲が異なります。空隙率は概ね92%〜95%です。用途や土地条件などにあわせて適切なものを選択することが必要です。

参考文献
https://sekisui-cw.co.jp/features/index.html
https://www.takiron-ci.co.jp/product/product_03/aquabrick/
http://www.tokyo-sougou-chisui.jp/mokuteki/index04.html
https://www.ryuikiken.org/pub/rc/rc0201/rc0201_023.pdf
https://www.hokukon.co.jp/business/rain/ra05.html

流速計

流速計とは

流速計

流速計とは、河川を流れる水や、ダクトから廃棄される空気などの流速を知るための計測器です。

流速計には、羽根車の回転速度を用いる測定や超音波のドップラー効果を用いる測定など、幅広い種類の測定原理による製品が開発されています。流速計と類似した用語に流量計があります。流速と流量は定義が異なりますが、互いに関係性があり、全くの別物ではありません。

流速計と流量計は、同じ類の計測器として扱われるのが一般的です。

流速計の使用用途

流速計は、河川やダムなどの調査や工業製品の生産工場など幅広い範囲で使用されます。例えば、河川の流速の調査、排気ガスの速度調査、樹脂製品の射出整形において、材料の流入速度の制御、化学溶液の流入速度の制御などです。

流速計の選定の際には、対応している計測の流速の範囲、耐久性、メンテナンス性、非接触か接触型かを考慮する必要があります。通信機などを組み込まれている流量計も多く、遠距離からモニタリングが可能になるため、作業の効率化が可能です。

流速計の原理

流速計の測定原理を、羽根車を用いる電気式の流速計、超音波を使用する流速計に分けて説明します。流速計は、測定部と測定部から出された電気信号などを情報処理する装置、通信機器などで構成されているのが一般的です。

1. 電気式

電気式の流速計は、羽根車の回転数を計測することによって、流速を測定する方式です。羽根車に磁石などを取り付け、その磁石が回転することによる磁界の変化量を電気信号として変換し、情報処理部へパルス信号として送信します。

羽根車は、測定対象の流体が流れる方向に必ず向いてなければなりません。そのために重しなどを取り付けることによって、流体の方向に羽根車が向くように調整されています。

2. 超音波式

超音波式は、流体に向けて超音波を発信し、その超音波が水面で跳ね返ってくる時の位相のずれを情報処理部へ送信し、位相のずれから流速を測定します。非接触で離れた位置から測定することができるため、流体の流れを阻害せずに、安全に測定することができることが特徴です。

流速計の種類

原理の項目で紹介した電気式、超音波式以外にも、流速計には以下のような種類があります。

1. 差圧式

差圧式は流体の経路の中にオリフィスと呼ばれる経路を細く絞った部分を設け、オリフィスの前後の圧力差から流速を求める方式です。圧力差が大きければ流速は速く、圧力差が小さければ流量は遅いことを示します。気体、液体、蒸気の測定に使え、安価で可動部分がなくメンテナンスなども容易です。

2. 電磁式

電磁式流量計は、ファラデーの電磁誘導の法則を利用しています。導電性流体が流れている空間に流れと90度の角度で磁界を発生させると、流速に応じた起電力が生まれます。導電性流体のみに適用できる測定法ですが、液体の温度や圧力、密度や粘度の影響を受けない測定が可能です。

3. コリオリ式

コリオリ式は、回転座標系の運動物体にはたらく見かけの力であるコリオリの力を利用した流速計です。2つに別れたU字形のパイプに流体を流すと、入り口と出口で逆向きにコリオリの力が作用し、パイプがねじられます。

流体の流速が速いほどコリオリの力は大きく、パイプの変形も大きくなることから、流速を求める流速計です。

4. 熱式

熱式は流体が流れる際に、熱源から熱を奪って温まる現象を利用しています。流体経路の2点の温度差や、ヒーターを設置し、ヒーターの上流と下流の温度差が同じになるように制御する際の消費電力から流速を算出する方法があります。

5. カルマン渦式

カルマン渦式は、カルマン渦の数を検出することから流速を求める方式です。カルマン渦とは、流体中にある柱状の障害物の下流側に発生する渦で、カルマン渦式流速計では、圧電素子で渦の振動を検出したり、超音波で検出したりするものもあります。

参考文献
http://www.dentan.co.jp/technology/denji_ryusoku.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/

プラスチックニッパー

プラスチックニッパーとは

プラスチックニッパーとは、樹脂などの比較的やわらかい素材を切断するために使用される工具です。

名前のとおりプラスチックの切断に特化したニッパーのため、ピアノ線などの硬い金属線は切断できません。無理に切断しようとすると、一般のニッパーに比べて刃が薄いため破損する可能性が高いです。

ただし、軟金属 (やアルミ、真ちゅうなど) の細い金属線であれば、製品によっては切断可能なものもあります。

プラスチックニッパーの使用用途

プラスチックニッパーの使用用途は、プラスチック製品の切断やバリ取りです。電気配線の整線で使用される結束バンドなどを、それほど大きな力を要せず簡単に切断できます。ツラ切りが可能でバリが出にくいため、正しく使用すればケガをしにくいキレイな切り口に仕上がります。

キャッチング機能があるニッパーであれば、切れ端をつかんだまま保持可能です。切れ端が飛散しないため掃除がしやすくなるほか、切れ端の残留による機械や装置、精密機器などの不具合も防止できます。

狭い隙間でも刃先を差し込みやすいので、プラモデルのパーツや3Dプリンターのサポート材など、細かく入り組んだものにもよく利用されています。 プラモデル用のニッパーは、特に刃先が細かく薄いです。

作業効率を上げるために、戻しバネ付きのニッパーもよく使用されています。切断後にバネの力で刃が元の位置に戻るため、手の疲労も少なく連続的に作業が可能です。

プラスチックニッパーの原理

プラスチックニッパーは、切れ味が良く、バリや白化が生じにくい点が特徴です。それぞれの特徴は、下記のような原理となっています。

1. 切れ味が良い原理

プラスチックニッパーがよく切れるのは、刃をできるかぎり薄くしているからです。刃が薄いほど加わる圧力が大きいため、ハサミや一般的なニッパーなどと比べて切断能力が高くなります。

また、プラスチックニッパーが刃を薄くできる理由は、樹脂などのやわらかい素材を切断することに特化しているためです。そのため、硬い素材を切断すると刃こぼれしやすいので注意が必要です。

ニッパーのサイズが大きいほど力も大きくなるため、プラスチックでも太い材料や比較的硬い材料を切断するには大きな製品を選ばなければなりません。プラスチックニッパーは、呼び寸法150mmが大きいサイズです。細かいところを切断するには125mmサイズが主流です。

2. バリや白化が生じにくい原理

プラスチックニッパーの原理

図1. プラスチックニッパーと一般的なニッパーの比較

プラスチックニッパーは一般的なニッパーに比べて刃が鋭利なため、切断面にバリや白化が生じにくいです。一般的なニッパーは硬い素材を切断しても刃こぼれしないように、表刃も裏刃も角度をつけて刃を厚くしています。表刃がフラットなプラスチックニッパーとは違い、表刃に角度があるぶん切断面にバリが残ります。

白化と呼ばれるプラスチックが白く変色する現象は、樹脂が引き伸ばされて組織密度が小さくなることが原因です。刃の厚い一般的なニッパーは「切る」というより「押しつぶす」ように負荷をかけながら切断するため、白化が生じやすくなります。プラスチックニッパーは刃を薄く鋭利にすることで、素材にかかる負荷を軽減しています。

プラスチックニッパーの種類

ラウンド刃・ストレート刃・片刃

図2. ラウンド刃・ストレート刃・片刃

1. ラウンド刃タイプ

ラウンド刃タイプは、表刃側がゆるやかなR状になっています。対象物がごくわずかに削られるように切断されるため、バリが出にくいです。

2. ストレート刃タイプ

ストレート刃タイプは、表刃側が平らな形状をしています。切断面がフラットになるため仕上がりがキレイです。刃先が細いため、狭い箇所でも切断しやすいです。

3. 片刃タイプ

片刃タイプは、刃が片側にしかついていません。片方が包丁で、もう片方はまな板のようなイメージです。切断面の真ん中にバリが出にくいので、よりなめらかな仕上がりになります。

斜刃・エンド刃

図3. 斜刃・エンド刃

4. 斜刃タイプ

斜刃タイプは、刃先の角度が大きいです。角度が大きいほどニッパーを寝かせる必要がないため、対象物周辺の物体に干渉することなく切断ができます。

5. エンド刃タイプ (喰い切りタイプ)

エンド刃タイプ (喰い切りタイプ) は、ニッパーの先端部分で90度方向からの切断ができます。通常の刃先では対応できないコの字型の奥まったところのバリ取りなどが可能です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/362/

水圧測定器

水圧測定器とは

水圧測定器

水圧測定器は、水道管などの管内を流れる水などの流体の圧力を測定する装置になります。水道管の一部の枝分かれしている部分に測定部を接続し、管内を流れる流体の圧力を測定できます。土木工事やトイレや水道などを設置する際の水が特定の量流れているかを測定する際に使用されます。電気の力を使用せずに、機械的な力のみで駆動する製品や、測定データを数時間に分かって記憶することが可能な製品などが発売されています。

水圧測定器の使用用途

水圧測定器は、住宅などの建設時や、流体を使用する工場で使用されます。具体的な使用例としては、土木工事におけるトイレや水道、排水管などの配管の検査や、工場などを立ち上げる際の水道設備の検査、工場における流れている化学溶液などの水圧の管理などに使用されます。水圧測定器の選定の際には、測定可能な圧力の範囲、対応している流体の種類や㏗などの特性、メンテナンス性、その他の機器との接続性などを考慮する必要があります。

水圧測定器の原理

水圧測定器の動作原理を説明します。水圧測定器は、圧力センサや水道管への接合部、表示部で構成されています。接合部はおねじの形状となっており、水道管の枝分かれしている部分に取り付けることで測定します。デジタル式の水圧測定器は、センサから得られたデータをメモリに記憶させることや、他の機器に送信し、他の機器のスイッチの役割を果たすことも可能です。

想定時は、圧力センサで水圧を測定します。測定する圧力は、静圧になります。水道管を流れる方向に対して、垂直な方向に測定部を設置することによって、静圧を測定できます。圧力センサは、圧力によって変形し、電気信号を発信する圧電素子で構成されており、水圧を電気信号として出力します。水道管の水圧の測定の際には、規定の水圧を水道が排水している状態で満たさなければならないため、排水しながら水圧を測定します。その場合は、排水していない場合での、水圧に比べて低く出る可能性があるため注意が必要です。 

参考文献
https://sooki.co.jp/rental/product/detail/54007/
https://qa.toto.jp/faq_detail.htm?id=11949&category=1638&page=1

校正器

校正器とは校正器

校正器とは、計測機を校正するための機器または器具のことです。

校正は計測器の精度を基準と比較し、本来示すべき値からのズレを把握する作業のことを指します。ズレを「器差」と呼び、器差は計測器の個体差のようなものです。どのような計測器でも少しのズレはあるため、そのズレを把握することが重要となります。

また、器差は環境や劣化によって変動します。そのため、定期的に校正を行うことが必要です。校正を行うことで、計測器で計測した結果の信頼性を保証できます。

校正器の原理

校正を行うには、校正対象の計測器で校正器自体の特性 (質量や寸法など) または校正器からの出力 (電流など) を計測します。例えば、電子天秤 (計測器) で分銅 (校正器) を量ったり、マイクロメーター (計測器) でブロックゲージ (校正器) を測ったりする方法があります。

得られた計測値と校正器の値づけされた値との差が、器差となります。器差を把握することで、校正が完了します。校正器が適切に値づけされていることが、校正操作の根本です。

校正器の使用用途

校正器は、校正対象計測機の状態を把握する際に使用します。通常、定期的に校正を行います。

しかし、校正器自体も校正が必要です。校正器の維持に負担がかかるため、定期的な校正については、専門の業者に委託することも一つの手と言えます。一方で、本来の校正とは意味が異なりますが、測定器の自主点検に校正器を用いる場合もあります。

著しく精度が損なわれていないかを日常点検で毎日確認しながら、正式な校正は半年に1回などのペースで行うといった運用方法も可能です。この場合も、校正器の校正は定期的に行う必要があります。

校正器のその他情報

1. 校正器とトレーサビリティ

校正器は、計測器の校正を行うための標準器という性質を有します。標準であるため、標準 (適切な値づけ) を示す基準が必要です。すなわち、校正器は上位の標準器によって校正されている必要があります。

上位の標準器は、そのまた上位の標準器に校正され、最後には国内で最高位の標準機に行きつきます。計測 (計量) は国が管理しており、国内で最高位の標準器は国がしっかりと管理しています (国家計量標準) 。

この標準との結びつきを「トレーサビリティ」と言います。これによって、国内どこでも同種の計測結果は比較することが可能です。日本を含む各国は、国際度量衡委員会などで標準の互換性を確認しています。

2. 校正器の精度

校正器は校正対象機器より精度が高いものが用いられます。 その方が適切で実用的な管理ができるためです。すなわち、ズレの大きさを低精度で把握したところで、校正対象機器が本来発揮できる精度での測定には役立ちません。

3. マイクロメーターの校正の例

校正の例として、マイクロメーターを計測器、ブロックケージを校正器とします。

  • 計測器:マイクロメーター
  • 校正器:ブロックゲージ

マイクロメーターの最小単位を、1μmm⇒「1mmの1000分の1mm」とします。校正器の条件は、計測器より精度が高いことなので、ブロックゲージの最小単位は、0.1μmm⇒「1mmの10000分の1mm」のものを使用することとします。

このように、校正器であるブロックゲージの方を高精度にします。測定前後に、ブロックゲージを使って、マイクロメーターの校正を行うことで誤差を知ることができます。測定前後に実施することで、最も信頼性の高い校正結果を得られます。

計測値の管理方針によっては、測定ごとではなく定期的に校正を行い、記録を保存し参照できるようにしておくことも可能です。定期的に校正することで、その間の状態を推定することができます。

一方、もし全く校正を行わずに計測を行った場合、誤差が把握できていないため、計測値に信頼性がありません。また、校正器となるブロックゲージの校正については、ブロックゲージよりさらに精度が高い校正器を使って校正を行うことが必要です。

4. 校正事業者登録制度

日本の計量法で定めるトレーサビリティ制度 (Japan Calibration Service System, JCSS) には、校正事業者登録制度があります。登録は任意ですが、計量法関係法規及び国際計量標準ISO/IEC17025の要求事項に適合しているかが登録基準になっています。

JCSSはアジア太平洋認定協力機構 (APAC) 及び国際試験所認定協力機構 (ILAC) の相互承認 (MRA) 制度に参加しており、これら相互承認制度加盟国では校正結果が受け入れられる状況になっています。

バンドソー刃

バンドソー刃とは

バンドソー刃バンドソー刃 (英: band saw blade) とは、帯状の刃で、バンドソーに使う刃のことです。

バンドソー刃は、高速で運動させて金属・木材等を切断する工具に使用します。ループ状に作られており、高速で循環運動させることで硬い素材でも切断加工が可能です。刃は一方向への移動であり、他の切断工具と比較して、よりスムーズで綺麗な切断ができます。

切断工具の中でも切断能力が高く、効率的な作業を実現します。また、刃の運動速度を変えられるため、低速で使用すれば火花や騒音などを出さずに切断することも可能です。

バンドソー刃の使用用途

バンドソー刃は、ハンドソーに組み込まれて使用するのが一般的です。ハンドソー毎に専用のハンドソー刃が設定されており、消耗品のため、専用の替刃として販売されています。

バンドソー刃は大きく、金属用と木材用に分類することができます。工場や建築現場などで、金属や木材の切断を目的として広く使用されます。

1. 金属用バンドソー刃

金属用バンドソー刃は、鋼材をはじめ、アルミニウムなどの切断に使用されます。角材や丸棒など、形状によらず切断が可能です。また、精肉や食品加工の現場では、解体・加工処理のためにバンドソーが使用されることがあります。

2. 木材用バンドソー刃

木材用バンドソー刃は、製材所などの大型機械で製材に使用され、ポータブルバンドソーに使うものは、木工の現場作業などに使われます。

バンドソー刃の原理

バンドソー刃は、帯状の金属に刃先がついており、ループ状になっている構成です。帯材の部分は弾力性がありますが、刃先は硬い材料を使います。刃先は、いわゆる鋸刃となっており、刃を左右に振り分けて、切削性を良くしています。刃の振り分けは、「アサリ」と呼ばれています。鋸刃の目の細かさ表示は、長さ1インチあたりの刃の数です。ピッチ又は山数と呼ばれます。

  • 18ピッチの場合
    刃のサイズは25.4/18=1.4mm
  • 14ピッチの場合
    刃のサイズは25.4/14=1.8mm

ピッチの選定の要因は、切断する対象物の材質、サイズ、及び作業時間です。鉄骨など硬い金属素材を切る場合は、ピッチ数が多い、目が細い刃を使います。また、アルミニウムなど柔らかい素材の場合は、ピッチ数が小さい、目が粗い刃が最適です。

また、対象物の切断方向の長さに対して、少なくとも2ピッチが常時かかる刃を使う必要があります。中には、ピッチが一定でないバンドソー刃があります。コンビネーション刃と呼ばれ、切断時の刃の振動を抑えることが可能です。ピッチの表記が例えば14/18となっている場合は、14ピッチの刃と18ピッチの刃が、交互に設けられた刃という意味になります。

バンドソー刃の種類

バンドソーの刃の種類は、対象物によって使い分けされ、「合金刃」と「ハイス鋼刃」の2つがあります。

1. 合金刃

合金刃は合金工具鋼から製造され、比較的安価なので広く使用されています。合金刃は、炭素鋼や肌焼き鋼などの比較的低合金な普通鋼材、金型や切削工具に使用される硬質な特殊鋼材、及び木材などの切断加工に適した刃です。

2. ハイス鋼刃

ハイス鋼刃は、鋼にクロムやバナジウム、タングステン、モリブデンなどの硬質な元素を添加することにより強化した素材で作られます。ハイスはハイスピード鋼の略称で、別名は高速度鋼です。

ハイス刃は、ステンレス鋼などの粘り気が高く、比較的切断が困難な材質の切断に適した刃です。しかし、ハイス刃自体の研削性が悪いのが短所として挙げられます。

バンドソー刃のその他情報

バンドソー刃の補修

バンドソーの刃は、使用中の無理な負荷や不適切な交換作業で折れてしまうことがあります。刃の状態を直す方法は、新品を使用する方法と溶接で補修して再利用する方法の2通りです。

溶接補修の手順は折れた部分を平滑に整えて、溶接中に動かないように治具で固定します。その後、バンドソー刃と同種、もしくは近い組成の溶接棒を使用して、切断部を溶接により接合します。その後、平滑に削り落とせば補修は完成です。

もう1つの補修方法として、銀ろうによるろう付け接合が挙げられます。溶接に比べ、簡易な設備でできるのが特徴です。溶接と異なる点は、接合面を垂直でなく斜めに整えておくことです。接合部の強度が、溶接と比較すると弱いので、接合部の面積を大きくして強度を上げます。