傾斜計

傾斜計とは

傾斜計

傾斜計は、傾斜の角度を測定するための装置になります。

振り子によって位置を推定する振り子式と、流体とガスに満たされた容器内部にあるフロートの静電容量の変化量によって測定するフロート式があります。

傾斜計は、加速度の変化に対応していない製品が多いため、頻繁に振動が生じている環境での使用には適していません。加速度が発生する自動車などに搭載する場合には、ジャイロセンサーを使用して水平を担保する必要があります。

傾斜計の使用用途

傾斜計は、ビルや大型の施設、高所作業などが生じる建設現場などで使用されます。地盤の水平を測定することにより、建物の土台の寸法を決定する場合や、高所で作業するクレーン車などの土台を設置する際に、水平を担保することにより、転倒を防止するために使用されます。

傾斜計の選定の際には、傾斜を測定する方法や、精度、測定までの所与時間、温度などの使用環境、他の機器との接続性などを考慮する必要があります。

傾斜計の原理

傾斜計の測定原理を、振り子式とフロート式に分けて説明します。傾斜計には、水平を測定する部品のほかに、測定した値を出力するための接続端子や、表示部、制御盤などで構成されています。

  • 振り子式
    振り子式は、磁石が付いている振り子、磁力の変化を検知するための磁気センサ、微小な振動を抑制するためのオイルなどで構成されています。測定時は、振り子が重力によって地球の中心に向かって揺れており、その振動の中心位置と磁気センサの位置の距離によって変化する磁力の値によって、傾斜計の設置場所がどの程度の傾きかを測定します。
  • フロート式
    フロート式は、円形の容器内部にガスと液体が同体積で密閉されており、その中に電極として機能する2つのプレートがある構造となっています。測定時は、液面が傾斜角に応じて傾き、その傾きによって、プレートの静電容量が変化し、その変化量を測定することによって、傾斜角を測定します。非常に高温の場合では、液体が気化する可能性があり、正確な測定ができない可能性があるため、注意が必要です。 

参考文献
https://www.jcmanet.or.jp/wp-content/uploads/2017/03/1fe60fa1769b5144036195f2b900813b-1.pdf
http://www.pacico.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/pacico_cat12p_201609_dic121.pdf

伝送器

伝送器とは

伝送器とは、センサなどで測定した情報を他の機械に伝送するための装置です。

主に伝送される物理量としては、圧力や差圧、圧力変動などの圧力に関する情報が一般的です。伝送の方法としては、空気圧を変化させることによって伝送する空気圧信号形式と、電気信号と伝送線を用いて伝送する電気信号形式、光ファイバーケーブルを使用した光信号形式があります。

伝送器の使用用途

伝送器は、プラントや浄水場、排水処理場などで使用されます。パイプやダクトなどに接続し、それらを流れる流体の圧力や液位、流量、温度などの情報を計測し、外部の装置に伝送します。

伝送器の選定の際には、測定範囲、測定精度、伝達方法などの考慮が必要です。一部の製品では、プロセッサが内部に搭載されており、測定した情報をもとにその他の装置の動作のスイッチや制御の役割を果たすものもあります。

伝送器の原理

伝送器は、圧力などを測定するためのセンサ部とセンサの情報を電気信号に変換する処理部、変換した電気信号を伝送するための伝送部で構成されています。

動作時は、ダイヤフラムやサーモパイル、振動子などのセンサによって、圧力や流量、温度などの情報を電気信号として、処理部に伝達します。

1. 処理部

処理部では、センサから送られてきた情報を伝送するための電気信号に変換します。処理部では、プロセッサが内蔵されている製品もあり、センサから得られた情報をもとに他の装置の制御信号も同時に生成し、伝送するための電気信号として、伝送部に送られます。

2. 伝送部

伝送部では、空気圧や電気信号、光信号などでその他の装置に伝送されます。空気圧を用いる伝送方式では、空気の圧力によって伝送されるため、ノイズが少ないことが特徴ですが、伝達時間が長くなります。

電気信号や光信号による伝送では、振動などが大きい場所などではノイズが発生する可能性がありますが、伝送速度が速いことが特徴です。

伝送器の種類

伝送器の種類は、伝達手法によって分けられます。

1. 電気信号形式

電気信号は電流や電圧で値を伝える信号です。伝送速度が速く、遅れがほとんど生じません。そのため、長距離伝送に向いています。

また、制御機器や記録計とやり取りする場合に、空気圧信号のように変換の必要性がありません。信号の種類も電圧信号やパルス信号など、さまざまです。

使用する機器によって信号の種類が違ったり、制御機器が対応していなかったりすることもあるため注意が必要です。

2. 空気圧信号形式

空気圧信号形式は圧縮空気の圧力で値を伝える信号形式です。電気信号とは異なり、着火源とならないため本質的な防爆である信号です。プラントの信号源として、今でも使用されています。

電子機器を使用している場合、機器から電磁ノイズが発生することもありますが、空気圧信号の場合そのようなノイズに強い点がメリットです。一方で、空気圧信号は長距離伝送に向いておらず、計装空気という乾燥した綺麗な空気の使用が必要であることがデメリットです。

3. 光信号形式

光の点滅を使って情報を伝える信号形式です。光信号形式を実現するためには、光を減衰すること無く伝える媒体と信号として発信するための光源が必要です。

半導体レーザー光源と光ファイバーを用いることで、光信号形式は実現しています。端末から電気信号として送出されるデジタルデータを光変換で半導体レーザーの光点滅に変換します。その後、光ファイバーを通して送出しています。

受けて側では、光信号を電気信号に変換することでデジタルデータを取得する形式です。光信号形式では信号を長距離かつ高速に伝送することが可能で、大型プラントの計装に適しています。

参考文献
https://www.yokogawa.co.jp/
https://www.jemima.or.jp/tech/1-01-02-02.html

ローラーポンプ

ローラーポンプとは

チューブポンプ

ローラーポンプとは、伸縮性があり復元力の高い特殊なチューブと、複数の突起が付いたローラーで構成されているポンプです。

このローラーが回転することで、突起がチューブを押し圧縮し、その圧力でチューブ内の流体を押し出して輸送します。チューブポンプホースポンプとも呼ばれるこのポンプは、流体の輸送をチューブ内の体積変化を利用して行うため、容積式ポンプに分類されます。特にスラリーなど、歯車式ポンプで輸送が困難な流体に対して効果的です。

ローラーポンプの使用用途

ローラーポンプは、その特性を生かして医療機器、化学製品工場、石油製品の輸送など様々な場面で使用されます。特に、スラリーのような不純物を多く含む流体や、衛生面が重要視される環境での使用に最適です。

ローラーポンプを選定する際には、輸送量、脈動の少なさ、消費電力、衛生面、そしてポンプが輸送する流体に適しているかどうかを考慮する必要があります。

ローラーポンプの使用例としては、人工透析での血液の輸送、石油製品をタンクへ輸送する場合、飲料水をペットボトルへ充填するプロセスなどが挙げられます。これらの用途では、ポンプが提供する穏やかな流れと精密な流量制御が特に求められるため、ローラーポンプが非常に有効です。

ローラーポンプの原理

ローラーポンプは、伸縮性があり復元力の高いチューブ、ローラー、ローラーを回転させるモータ、吸い込み口と吐き出し口で構成されています。ローラーにはチューブを完全に密閉して回転させる突起が付いており、一部のモデルには流量調整を行うための弁が吸い込み口と吐き出し口に設けられています。

動作時、ローラーが回転し、その突起がチューブを圧迫して移動します。この圧迫によりチューブ内の流体は押し出され、吐き出し口から輸送されます。チューブが突起によって押しつぶされた後、その部分は復元され、この時の内部は一時的な真空状態です。この真空状態が次の流体の吸い込みを促進します。突起がチューブを変形させながら流体を押し出すこの動作により、チューブ内に流体が詰まることが少なく、安定して流体を輸送することが可能です。

ローラーポンプの選び方

ローラーポンプは特に、医療、研究施設、食品加工、化学処理といった用途でその特性が生かされます。これらの分野では、流体の精度や純度が求められるため、それに適応するポンプを選ぶ必要があります。ローラーポンプを選ぶ際は、次の点を考慮します。

1. 流体の性質

輸送する流体の性質を考慮することが重要です。粘性が高い流体や、腐食性、高温または超低温の流体を扱う場合、それに耐えうる材質のチューブとポンプ本体が必要です。例えば、食品産業ではFDA承認された材料から作られたチューブが求められることがあります。

2. ポンプの性能

ポンプの性能面では、必要な流量と圧力を確認してください。ローラーポンプは一般的に低い圧力で動作しますが、必要な流量を維持できるかどうかが選定の鍵となります。また、ポンプの効率とエネルギー消費も考慮に入れるべきです。エネルギー効率の良いポンプは運用コストの節約にもつながります。

3. メンテナンスの容易さ

さらに、メンテナンスの容易さもポンプ選びの重要な要素です。特に、頻繁に清掃や部品交換が必要な用途では、簡単に分解・清掃できる構造のモデルが望ましいです。これにより、ポンプのダウンタイムを減らし、全体的な運用効率を向上させることができます。

4. コスト

全体的なコストも考慮に入れる必要があります。初期投資だけでなく、運用中のメンテナンスコスト、エネルギー消費、消耗品のコストも評価してください。長期的な視点でコスト効率の良い選択を行うことが、経済的にも持続可能な運用を保証します。

これらの要素を総合的に考慮し、具体的な用途と条件に最適なローラーポンプを選定することが、効果的な流体管理とコスト効率の良い運用を実現することができます。

参考文献
https://sanyo-technos.com/sp1/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/29/1/29_1_33/_pdf/-char/ja

レベル測定計

レベル測定計とは

レベル測定計とは、容器内や河川などの水位を測定や、粉体物が積層している高さを測定する機械のことです。

多くの測定原理が開発されており、様々な会社からレベル測定計が発売されています。水位や高さのレベルを測定し、そのレベルに応じて適切な機器を動作させるためのスイッチとしての機能を併せ持つ製品もあります。測定方法の代表的なものとしては、フロート式、電極式、圧力式、超音波式、レーザー式、静電容量式などがあります。

レベル測定計の使用用途

レベル測定計は、液体を保存するためのタンクを使用する産業や、河川などを管理する施設や浄水場など、産業から公共施設まで幅広く利用されます。選定の際は、測定の精度や検出速度、測定対象がその測定方法に適しているかどうか、使用環境への耐久性、取り付けやすさ、メンテナンス性を考慮する必要があります。

レベル測定計の使用例を以下に示します。

  • 貯水タンクの残量の測定
  • 化学工場における混合の度合いの測定
  • ダムの管理施設における水位の管理 

レベル測定計の原理

レベル測定計の代表的な測定原理は、フロート式、電極式、圧力式、超音波式、レーザー式、静電容量式です。

1. フロート式

マグネットが内蔵されているフロートと呼ばれる浮きを水面に設置し、その移動をマグネットから発生する磁力によって測定する方法です。

2. 電極式

数本の長さの違う電極棒を水面に垂直にたらし、液中と空気中の電極の通電率の違いからレベルがどの程度を大雑把に測定する方法になります。測定精度は、電極の本数によって決まります。

3. 圧力式

タンクの底に圧力計を設置し、液体による圧力の大きさを測定することによって、レベルを推定します。液体を入れる前に設置する必要があります。

4. 超音波式

液面に向けて超音波を照射し、その超音波が液面に反射して戻ってくる時間を測定することによってレベルを測定します。非接触で測定できる方法になります。

5. レーザー式

液面に向けてレーザーを照射し、そのレーザーが液面に反射したときの戻り光の位相の変化を測定することによってレベルを測定します。非接触で測定できる方法になります。

6. 静電容量式

空気中と液中に電極を設置し、レベルの違いによる液中と空気中の静電容量の違いを測定することによって、レベルを推定します。 

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/levelsensor/type/
https://www.jp.omega.com/prodinfo/levelmeasurement.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0301.pdf

リレーボックス

リレーボックスとは

リレーボックス

リレーボックス (英: Relay box) とは、電気部品のリレーを複数収納した機器です。

複数のリレー (英: Relay) とそれらを収納するためのボックス状のケースから構成されます。複数のリレーを1つの場所にまとめて収納することで、配線を整理し、保護や管理を容易にします。

また、外部からの機械的なダメージや環境条件からリレーを保護するのも役割の1つです。

リレーボックスの使用用途

リレーボックスは、さまざまな産業や応用分野で使用されます。以下はリレーボックスの使用用途一例です。

1. 自動車産業

自動車のエンジン制御システムや電子制御ユニット (ECU) で使用されます。エンジンの点火システムや燃料噴射システムの制御に関与し、信号の受け渡しや保護機能を構成します。

2. 産業装置制御

工場や製造プラントの制御システムにおいて使用されます。製造ラインの動作や機械の制御、制御信号の配線管理などに用います。

3. 建築および住宅

照明システムやHVAC (暖冷房) システムの制御に使用されます。リレーボックスを使用することで、複数の照明や電源を一元管理することが可能です。オフィスビルなどの照明は、現在はリレーボックスによる集中監視コントローラが主流です。

5. 自動制御システム

自動制御システムの一部として、使用されることがあります。自動ドア制御やエレベーター制御に使用されます。信号機の制御用リレーボックスも、街中で見かける場合があります。

リレーボックスの原理

リレーボックスは一般的に以下の要素で構成されます。

1. ボックス

リレーとその他の電気部品を収納するための箱状のケースです。ボックスは耐久性のある素材で作られており、内部の電気部品を保護します。また、ボックスには通気孔や配線用入線口などが開口されている場合が一般的です。

2. リレー

リレーボックスの主要な構成要素はリレーであり、電気信号を受け取って機械を制御するためにデジタル信号を出力する部品です。ある入力が起点となり別の出力に影響を及ぼす様子が、バトンリレーをイメージさせることからこの名前が付けられました。リレーは接点がある有接点リレーと無接点リレーに分けられます。

有接点リレーは接点を機械的に動作させて接点信号を出力するリレーで、動作原理からメカニカルリレーとも呼ばれます。電磁コイルや接点などで構成されます。

無接点リレーは半導体を使用することで、物理的に接点を動作させずに接点信号を出力する部品です。動作原理から、ソリッドステートリレーとも呼ばれます。高応答性と高寿命が特徴で、オンオフが高頻度で必要な場面に活用されます。

3. 接続端子

外部からの信号や電源との接続を行うための端子部品です。入力端子は制御信号の受け入れを可能にし、出力端子は制御信号を他の装置や回路に伝達します。この部品によって、リレーボックスの外部接続を容易にします。

4. 配線

リレーおよび他の電気部品間を接続する部品です。制御信号や電力の経路を確立し、各リレーが適切に動作させます。配線は通常、ケーブルや配線用ハーネスを使用されます。

リレーボックスの選び方

リレーボックスを選ぶ際は、電気的条件、リレー種類、サイズなどを考慮します。

1. 電気的条件

電気的条件は、回路の使用電流や電圧要件のことです。制御信号の電流や電圧に合わせて、適切な能力を持つリレーや端子部品を備えている必要があります。電圧要件などの選定を誤ると、リレーの焼損などに直結する場合があります。

2. リレーの種類 

リレーボックスには、さまざまな種類のリレーが使用されることがあります。ターミナルリレーやソリッドステートリレーなど、使用環境や用途に応じて適切なリレータイプを選択します。

ターミナルリレーなどを選定すれば、リレーボックスのサイズダウンが可能な場合があります。

3. サイズ・取り付け方法

サイズと取り付け方法も重要な要素です。設置するスペースや取り付け方法 (壁面取り付け、DINレール取り付けなど) に合わせて適切なサイズと取り付けオプションを選びます。

参考文献
http://www.mskw.co.jp/support/car/relay
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-relays/part1/basics

ラインレーザー

ラインレーザーとは

ラインレーザーとは、空間にレーザーのラインを引くことで、作業を行う位置を明確にする装置です。

建設現場や内装工事で主に使用されます。非破壊で、跡が残らないことが特徴です。正確な位置にレーザーを当てるために、設置する地面が傾いている場合でも、水平を担保する必要があります。

ラインレーザーの種類は、ジンバル式と電子正準式です。レーザーの本数が2本の製品から、数本の製品まであり、天井にまでラインを引くことができる製品も存在します。

ラインレーザーの使用用途

ラインレーザーは工場や施設、住宅を建設する際の建設現場において、装置を搬入する場所の指定や、構造物を設置する場所の指定などで利用されます。また、内装工事の場合では、穴をあけるポイントの指定などに有用です。

ラインレーザーの選定の際には、水平を出す機構の選択、レーザーの本数、使用する環境にラインレーザが適しているかどうかを考慮することが大切です。レーザーの色についても、環境によって見やすさが異なるため、注意が必要です。

ラインレーザーの原理

ラインレーザーは、水平を出す機構とレーザー出力部で構成されており、水平を出す機構はジンバル式と電子正準式の2つです。レーザー出力部では、半導体が使用されます。半導体にエネルギーを与えると励起状態になり、励起状態から基底状態に戻ろうとする際に、光を放出します。

ある励起状態の半導体内部の原子が光を放出すると、この光が周囲の励起状態の原子に照射されます。この後、周囲の励起状態の原子も誘導放射と呼ばれる現象を起こして光を放出します。これがレーザー光が強い強度で出力される原理です。

その光を鏡板や接合部で増幅させることによって、レーザーとして光を発します。前述の誘導放射では同じ波長、位相の光を放出するため指向性の高い光が出力されます。

1. ジンバル式

ジンバル式は振り子が内蔵されており、その振り子が振動することによって地球の中心点を割り出し、水平を取ります。重力を用いたシンプルな動作原理であるため、後述する電子正準式のように外気温や外気圧に精度が左右されることがありません。

ただし、振動がある場所では振り子の振動が安定せず、ラインが安定しないため注意が必要です。また、粉じんなどの異物に弱い特徴もあります。

2. 電子正準式

電子正準式は、液体と気泡がある容器が内蔵されており、その気泡の位置を測定することによって水平を取ります。気泡の位置を測定するセンサーのことを正準センサーと呼びます。正準センサーで取得したセンサー値を元に、水平位置の計算を内部にある基板を用いて行います。

上記の原理のため、ジンバル式と比較すると振動に強い点がメリットです。しかし、高温下では気泡が大量に発生する可能性があり、正準センサーが正確なセンサー値を取得できないため注意が必要です。温度の他に圧力にも影響されます。

ラインレーザーのその他情報

1. レーザーの光の大きさと色

レーザーの光の大きさは、規格によって決められており、ラインレーザには人の目に入ってもすぐには被爆しない大きさの光が使用されます。 レーザーの色には赤色と緑色があります。

赤色は屋外になると見えにくくなるため、用途は主に屋内や薄暗い現場でのライン出しです。緑色の光は屋外でも見やすいため、屋外のライン出しの用途でも使用されます。

2. 受光器

受光器とは、光に反応して音を出してくれる装置です。受光器をライン出しをしている周辺箇所に当てることで、音による判断でどこにラインが引いてあるのかを確認します。直射日光で明るい現場等、光が見づらい状況で活躍する装置です。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/principle.jsp
https://jpn.tajimatool.co.jp/category/39
https://www.bildy.jp/mag/linelaser-faq-first/
https://www.bildy.jp/mag/linelaser/

モールディング

モールディングとは

モールディング

モールディングは、日本語では成形という意味で使用され、溶かした樹脂を金型に流し込み成形することや、粉体に圧力をかけて成型することを言います。プラスチックの製造としては、射出成型が一般的で様々な会社から射出モールディング装置が発売されています。また、半導体の製造工程において、半導体チップを保護する樹脂としても、モールディング技術が利用されており、現在の産業としては欠かせない技術となっています。

モールディングの使用用途

モールディングは、プラスチックの製造現場や半導体の製造現場、樹脂製品の製造現場など、様々な産業で利用されています。ペットボトルや半導体チップの保護膜が主なモールディング先になります。モールディングの装置の選定の際には、製造スピードや成形精度、消費電力、対応しているモールディングの素材などを考慮する必要があります。特に、精密機器、その部品、半導体の製造工程で使用されるモールディングの装置については、高い精度の装置を選定する必要があります。

モールディングの原理

モールディングの主な使用用途である、プラスチックの成形の射出成型と、半導体のモールディングを例に出して、動作原理を説明します。

射出成型

射出成型は、インジェクションモールディングと呼ばれ、ペットボトルやプラスチック容器の成形に使用されています。加熱することで溶かした樹脂を金型に流し込み、冷却することで樹脂を金型の形に成形します。一般的な連続射出成型の場合は、金型から取り外す装置があり、連続して成形を行うことができます。

半導体モールディング

半導体のモールディングは、配線が完了した半導体チップを樹脂で囲むことによって、酸化やごみの付着から保護するために行われます。半導体チップの上に、金型を設置し、金型に少量の溶解した樹脂を流し込み、冷やすことで成形します。半導体がダメージを受けない温度で樹脂を流し込み、高精度の金型で凝固させ、バリなどを発生させないことが求められます。 

メタルソー

メタルソーとは

メタルソー

メタルソーとは、切断機に取り付けて素材を切ったり、溝を加工するときに使用するドーナツ型のノコギリ刃のことです。

材質が高速度工具鋼 (ハイス) で作られており、さまざまな材質の加工が可能になっています。再研磨して使用できるため、刃の円径が切断機の限界を超えて小さくなるまで何回でも使用可能です。

切断用砥石を使う高速切断機よりも回転速度が遅いので、火花の飛散や粉塵の発生を抑えながら加工できる特徴があります。

メタルソーの使用用途

メタルソーは、丸材や角材、L字アングル材の切断に使われるほか、高速切断機では不適な塩ビ管やアルミなどの摩擦熱に弱い材質の切断にも使用されます。ただし、非鉄金属や塩ビ管などの素材は、それぞれの材質に適合した刃物を選定する必要があります。

火花を発生させにくいことから、火気に注意しなければならない場所でも使用可能です。また、種類によっては材料を固定するバイスやクランプの角度を自在に変更できるため、角度のついた切断も行えます。

メタルソーの原理

同じ切断機でも、切断用砥石を用いた高速切断機と比較した場合、それらの特徴は大幅に異なっています。まず、メタルソーは高速切断機ほど回転が速くないため、粉塵の発生を抑えることが可能です。

砥石と比べて刃の消耗が早いので、早いペースで再研磨をする必要があります。研磨を繰り返して刃物の径が小さくなりすぎると、交換するコストや手間がかかってしまいます。

砥石は寿命が比較的長いため、長時間にわたって切断し続けることが可能です。しかし、メタルソーに比べると加工スピードは若干落ちる他、高速で砥石が回転しているので、火花や粉塵が盛大に発生します。作業環境に十分な注意が必要です。

また、メタルソーのほうが熱による影響を受けないため、切断したあとの断面にバリが出にくく、切断面が綺麗に仕上がるメリットがあります。

メタルソーのその他情報

1. メタルソーとハンドソーの違い

ハンドソーはいわゆる「のこぎり」で、帯状の金属に刃先がついたものをいいます。メタルソーは全体がハイス材などの硬い材質でできているのに対し、ハンドソーは刃先の部分にだけハイス材が使われています。

帯状の金属は弾力を持っており、力を加えることでしなるのが特徴です。この金属に柄をつけて手動で対象物に対し切断を行います。

メタルソーとの一番の違いは刃先で、ハンドソーには切削性を良くするために刃を左右に振り分けた「アサリ」があることです。メタルソーにはこの「アサリ」はありません。

2. メタルソーの切削条件

メタルソーによる切削条件は切断物の材種やメタルソーの材質、各工程での作業によって変わります。

切削速度の調整は次の指針で行います。

切削速度を遅くするケース

  • メタルソーの寿命を優先するケース
  • 被削材が硬い材種であるケース
  • 荒加工の切削を行うケース
  • 新しい作業に着手するケース
  • メタルソーの摩耗の進行が著しいケース

切削速度を速くするケース

  • 被削性のよい材種のケース
  • 高度な仕上げが必要なケース (完成間際の仕上げ削りや細部の精密な仕上げの場合)

1刃当たりの送り量の調整は次の指針で行います。

送り量を小さくするケース

  • 切断機への取付けが不安定な被削種、形状が薄肉ないしは安定しない材料のケース
  • 薄くしなやかなメタルソーで切削しなければならないケース
  • 高度な仕上げが必要なケース (完成間際の仕上げ削りや細部の精密な仕上げの場合)
  • 切刃に小さい欠けがある場合で送りを下げても最小送りを下回らないケース
  • 深い溝を削るケース

送り量を大きくするケース

  • 被削性のよい材種のケース
  • 断続した被加工面のケース
  • 逃げ面摩耗が著しく増大するケース
  • 機械がビビルようなケース (振動が発生して切削物上に振動の痕が残る場合)

3. メタルソーの研磨について

メタルソーは、研磨を繰り返していると少しずつ刃は削れ直径が小さくなります。切断物に刃が届く限りは再研磨を行い繰り返し使用することができますが、切断機から刃が切断物に届かなくなった場合はメタルソーの交換が必要です。

再研磨をする場合は、なるべく早めに行うとメタルソーの割れなど作業上のトラブルを回避できます。また、切断機に付着した切り粉の整備はメタルソーの寿命を伸ばし、ランニングコストを抑えられます。

4. メタルソーと併用される機械

このメタルソーと併用される機械としては、バンドソーやコールドソーなどが挙げられます。コールドソーはバンドソーよりも切断面がきれいに仕上がるため、精度の高い切断を求められる場合に使用されます。

どちらの機械も、メタルソーと組み合わせることでより高い加工能力の発揮が可能です。また、刃の選択や切削条件の調整によって、さまざまな材料を切断できます。さらに、近年では自動化技術の進歩によって、これらの機械を自動化すると高い生産性と安全性が実現されます。

バンドソー
バンドソーは、幅の広い薄い刃を使用して切断を行う機械です。刃の長さによって切断可能な材料の厚みが変わります。また、バンドソーは材料を自動で送り込めるため、高い生産性を持ちます。

コールドソー
コールドソーは円盤状の刃を使用して切断を行う機械で、高速回転する刃で材料を切断します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_processing/T1200000000/T1217000000/
https://www.okayasanso.co.jp/purpose/cutting/4340
https://mrt-metalsaw.com/archives/technology/condition
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0343.html

メスコネクタ

メスコネクタとはメスコネクタ

メスコネクタとは、電気信号や電流を伝えるために機器やケーブルについている接続器具のことです。

メスコネクタは、オスコネクタと対になって使用されます。オスコネクタはケーブルの先端に導電性のある金属のピンが付いているのに対して、メスコネクタ側にはピンを挿入するための導電性金属の筒状の穴 (ソケット) が設けられています。

一般的に、ケーブルは複数の導線がまとめられており、メスコネクタには導線の数の穴がまとめて一つのケースに収納されています。メスコネクタはこの複数の接続口の開いたケースを一つとして取り扱います。

メスコネクタの使用用途

メスコネクタは、電気機器類の、信号や電流を通すケーブルの接続と切り離しを行うあらゆる部分で使用されています。

メスコネクタは常にオスコネクタと対になって使用されます。コネクタは電源ケーブルや信号ケーブル、電気機器類の外部から電流や信号を取り入れる部分、電気機器内部の基板上や、基板間のケーブル接続部分などで広く利用されています。

メスコネクタは、通常は電流や信号を流す側のコネクタとして使用されます。

デスクトップパソコンを例にあげると、電源を供給する側のコンセントがメスコネクタであり、コンセントに差し込む電源ケーブル側がオスコネクタです。パソコンの電源ケーブル挿入のパソコン接続部にはメスコネクタが使用され、パソコン本体側にはオスコネクタが付いています。

一方で、ディスプレイに信号を送るパソコン側のコネクタにはメスコネクタが使われ、信号を受け取るディスプレイのコネクタはオスコネクタとなっています。

メスコネクタの原理

コネクタとは電力や電気信号の流れをつなぐための電子部品で機器や回路の接続や乖離を容易にするためのインターフェースです。

メスコネクタは必ずオスコネクタと対で使用されます。オスコネクタは凸型でピンコンタクト (導電部材) が外部に露出しています。この露出部分をメスコネクタの凹部分に差し込んで接続します。

メスコネクタ (レセプタル) はピンコンタクトを受け止めるためバネ特性を持たせたソケットコンタクトが内部に配置されており、オス側のピンコンタクトと接触することで電気や信号を流します。コンタクトは導電性の高い銅合金等でできています。

メスコネクタはケーブル側の導線と固く結合されている一方で、オスコネクタ側のピンとはある程度の力で抜き差しが可能な機械性能を持つことで、ケーブルと機器間の接続と切り離しを容易にしています。

メスコネクタの構造

1. メスコネクタの形状

メスコネクタのケーブル側は、細い導線を挟み込んで潰すことでしっかりと固定できる形状になっています。この部分に導線をあてて圧着ペンチでカシメることで銅線が抜け落ちることを防ぎます。

メスコネクタのピンが挿入される側はソケットと言い、細い円筒形になっています。この部分はオスコネクタ側のピンの外径と長さに合わせた大きさを持っており、ピンとの間で電気信号や電流の導通がしっかりと保たれるようになっています。

一般的に、ケーブルは複数の導線がまとまって一本のケーブルになっています。従って、メスコネクタでは導線の数だけソケットを用意し、オスコネクタでは導線の数だけのピンがあります。そして、それぞれが接続用ケースに収納されています。

2. メスコネクタの規格

信号ケーブルでは用途に合わせて様々なケーブル形状とコネクタ形状が規格化されています。

例えば、デジタルのビデオ信号と音声信号を送るケーブルとしてHDMIケーブルが広く使われています。そして、通常は「HDMIケーブル」と言う場合には、ケーブルと同時にケーブルに使われているコネクタの形状も指しています。

他に良く知られた例としては、RS232-C、HDMI、BNC、USB (USB-A,B,C)、RJ-45などがあります。

また、電子機器内部の基板上には、他の基板との信号の双方向通信のためにBUSケーブルを接続するためのソケットが取り付けられているものがあります。ここでも、メスコネクタとオスコネクタを使って接続を行います。

この他にもコネクタは様々な形状や大きさがあり、使用する導線の本数や、ケーブルを流れる信号の特性、周囲の空間等を考慮して、条件に適合したコネクタが使われています。

参考文献
https://www.jae.com/about-connectors/
https://www.jae.com/column/02-connector-structure/

メカニカルブースターポンプ

メカニカルブースターポンプとは

メカニカルブースターポンプとは、既設のポンプの能力を増大させたい時に、切り替えて用いられるポンプのことです。

メカニカルブースターポンプを用いることによって、必要な真空状態にまで気圧まで下げたり、またその到達時間を短くすることができます。

メカニカルブースターポンプは一般的に、単独で用いられることはありません。他の油回転真空ポンプ、ドライポンプ、などの粗引きポンプと組み合わせて用いるポンプです。他の既設ポンプで粗引きとして一定レベルの気圧にまで低下させ、既設ポンプが苦手になる気圧になったところで、メカニカルブースターポンプを作動させます。結果的にシステムとして、排気速度を大幅にアップさせることができます。 

メカニカルブースターポンプの使用用途

メカニカルブースターポンプは、中真空と呼ばれるレベルの真空状態が必要な場合に用いられます。

真空とは一般的には空気が無い状態がイメージされるかもしれません。しかし実際には気圧が通常よりも低い状態のことであり、真空度という尺度によって段階分けされるものです。

真空ポンプにさまざまな種類がありますが、油回転式真空ポンプやドライポンプなどは、大気圧状態から空気を排気し、気圧を下げることが得意なポンプです。このように大気圧から気圧を下げることを「粗引き」といいます。粗引きによって徐々に気圧が下がってくると、油回転式真空ポンプやドライポンプでは排気効率の低下が避けられません。そこでメカニカルブースターポンプに排気の役割をバトンタッチします。構造が違い得意な領域が異なるポンプを組み合わせて用いることによって、求める真空状態に早く到達することが可能です。

また真空状態を利用することで、さまざまなものが製造できます。例えば真空包装、真空乾燥、真空蒸留薄膜、真空冶金、宇宙開発、真空含浸、脱ガス、半導体プロセス、低密度風洞実験など幅広い分野で使用されています。

メカニカルブースターポンプの原理

メカニカルブースターポンプは、二つのひょうたんのようなローターによって、空気を掻き出すようにしながら排気するポンプです。二つのローターはお互いに逆方向 (内側) に回転するようになっており、それぞれのローターが同期してタイミングよく、ケーシングの内部に真空を作り出す構造になっています。吸気側から吸引された空気などの気体はローターとケーシングの隙間の空間に閉じ込められ、2つのローターが回転することによって排気側に気体が押し出されます。

メカニカルブースターポンプのその他情報

メカニカルブースターポンプが用いられる真空レベル

真空とは空気が無い状態ではなく、空気圧が低い状態であることはすでに述べましたが、具体的にJISでは通常の大気圧レベルである10^5Paより低い状態を「真空状態」としています。さらに真空状態は5つの段階によって区分けされています。

  1. 低真空 (low vacuum) : 10^5 ~ 10^2 Pa
  2. 中真空 (medium vacuum) : 10^2 ~ 10^-1 Pa
  3. 高真空 (high vacuum) : 10^-1 ~ 10^-5 Pa
  4. 超高真空 (ultra high vacuum) : 10^-5 ~ 10^-8 Pa
  5. 極高真空 (extremely high vacuum) : 10^-5~ 10^-8 Pa

5段階の真空レベルの中で、メカニカルブースターポンプが実現できるのは中真空段階です。大気圧からの粗引きは油回転真空ポンプやドライ真空ポンプで行い、中真空レベルの1Pa ~ 0.1Pa でメカニカルブースターポンプに切り替えるのが一般的です。ドライ真空ポンプでも中真空レベルに到達させることは可能ですが、排気速度が大きく低下し時間がかかるため、メカニカルブースターポンプに切り替えて使うメリットが得られます。

中真空よりも高い真空状態 (低い気圧状態) を作り出すためには、ターボ分子ポンプ、油拡散ポンプなどさらに他のポンプに切り替える必要があります。

参考文献
https://kurashi-no.jp/I0017669
https://ulvac-kiko.com/support/pump07_mechanical.html