PTCサーミスタについての概要、用途、原理などをご説明します。また、PTCサーミスタのメーカー12社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。PTCサーミスタ関連企業の2022年7月注目ランキングは1位:株式会社大泉製作所、2位:株式会社村田製作所、3位:Amphenol LTW Technology Co., Ltd.となっています。
PTCサーミスタは、ある一定の温度を超えると抵抗値が急上昇する電子部品です。村田製作所が「ポジスタ」という名前で登録商標を取得しています。
PTCとは、Positive Temperature Coefficient (正の温度係数)の頭文字をとったもので、温度と抵抗に正の相関があるという意味です。サーミスタ(Thermistor)は、Thermal Sensitive Resistor「熱に敏感に反応する抵抗体」から派生した言葉で、抵抗体を被測定体に接触させ、電気抵抗の差から温度を測定することができる部品のことを指します。抵抗体には金属酸化物半導体を使用していることが特徴です。
PTCサーミスタの使用用途
PTCサーミスタは、通常時は温度、抵抗値ともに低いですが、過大電流が流れると温度が急激に上昇し、ある温度を超えると抵抗値が急上昇します。この仕組みにより、電気回路に過電流が流れることによる電子部品の故障を防ぐ効果があります。そのため、回路の保護や、自己発熱することを利用した過熱素子としての用途でヒーターなどの機器に組み込まれています。
PTCサーミスタは、チタン酸バリウムに微量の希土類元素を添加することで、大きく3つの特性を得ています。
抵抗値が室温(約25℃)からキュリー点まではほぼ一定であり、キュリー点(室温の2倍程度の抵抗値を示す温度)を超えると急激に抵抗値が上昇します。この性質により、電子回路の過熱を素早く検知し、回路を遮断することで、電子部品の発火、故障を防ぎます。
PTCサーミスタは、キュリー点を超えるまでは、電圧の上昇に対し、電流も上昇します。キュリー点を超えると電圧の上昇に対し、サーミスタ自体の抵抗値が上昇するため、電流値は減少していきます。すなわち一定電力を保ちます。電圧電流特性は、山なりのようなグラフになるのが特徴です。
PTCサーミスタの電流時間特性は、電圧を加えた直後は、ドバっと電流が流れ、時間の経過とともに電流値が減少していく点が特徴的です。スイッチ軌道直後に大きな電流を流すことができる特性を利用して、モータ起動などに使用されています。
電子回路の設計を考える際、温度という問題は常に考えなければいけません。室温を測定することはもちろん、回路の安定化や故障を防ぐために過熱から回路を守る温度保護素子としても利用されています。
PTCサーミスタ(Positibe Temperature Coefficient)は、温度が上昇すると抵抗値が増加するタイプのサーミスタです。室温時には比較的低い抵抗値を示しますが、外部熱源によって特定の温度(キュリー温度)以上に加熱されると、抵抗値は急増します。温度測定以外にも急激に抵抗値が上がる性質を利用して、部品やデバイスを過熱から保護するためや過熱検知を行い電流制限する用途などにも使用されます。
産業機器などの電子機器でパワー半導体やモーターなど使用する際には過熱の保護を考慮する必要があります。そこでPTCサーミスタが使用されます。パワー半導体やモーターを過熱から保護するために排熱用のヒートシンクやモーター巻線などとPTCサーミスタを物理的に熱結合させることで利用します。PTCサーミスタの特性から抵抗値が増加することを利用し過熱検知を行い、動作の停止や電源遮断を行う形で回路を構成します。
PTCサーミスタは、温度が上昇すると抵抗値が増加する正の温度係数を持つ温度依存性のある抵抗素子です。室温時ではある程度低い抵抗値を持ち、電流が流れると発生した熱がPTCサーミスタの温度を上昇させます。この効果により回路やデバイスを過電流から保護するために利用することができます。
回路に過大電流が流れる場合、PTCサーミスタが高温になり抵抗値が高くなることで、結果として過電流が制限されます。過大電流発生の原因が解消されると、電流が少なくなるためPTCサーミスタの温度上昇が抑えられ高抵抗となっていた抵抗値が低くなります。そのためこの機能を利用し、PTCサーミスタは過電流保護素子として復帰可能なヒューズとして利用されることがあります。
参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/3898/
https://ednjapan.com/edn/articles/1712/20/news012.html
https://www.maximum-tech.co.jp/ptc.html
https://product.tdk.com/info/ja/products/protection/temperature/limt-sensor/technote/apn-limt-sensor.html
https://www.murata.com/ja-jp/products/thermistor/ptc/basic/ptc
https://product.tdk.com/info/ja/products/protection/temperature/limt-sensor/technote/apn-limt-sensor.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年7月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社大泉製作所 | 17.3% |
2 | 株式会社村田製作所 | 12% |
3 | Amphenol LTW Technology Co., Ltd. | 10.1% |
4 | KOA株式会社 | 9.1% |
5 | ニチコン株式会社 | 8.7% |
6 | 日本電産コパル株式会社 | 8.7% |
7 | Vishay Intertechnology, Inc. | 7.7% |
8 | TDK株式会社 | 7.2% |
9 | Thinking Electronic Industrial,Co., Ltd. | 6.3% |
10 | Thermik | 4.8% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年7月のPTCサーミスタページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
過熱検知用 PTCサーミスタ SMDタイプ PRFシリーズは、一定の温度を超えると電気抵抗が急激に増える特性を使って、パワーICやFETの発熱部の過熱防止に使用されます。
電気抵抗の変化を使う方式なので耐ノイズ性が優れています。
発熱部が複数あっても、PTCをシリーズにつないで過熱を検知できるメリットがあります。そのため回路がシンプルになり、さらにICポート数を少なくできるので、機器を小型にすることが可能になります。
NBCサーミスタは、株式会社大泉製作所のPTCサーミスタを構成する基本のサーミスタ素子で、電気特性の経年変化が少なく、信頼性が長期に続くベアチップサーミスタです。
Auを使用したワイヤーボンディング実装法で半導体レーザに多く使用されています。
抵抗値が10 kΩ~30 kΩの3製品があり、サイズは0.34~0.48 mm角、厚さは0.25~0.31 mmです。
表面実装型チップサーミスタにしたものが別シリーズにあり、LCDバックライトや2次電池の過充電保護等に使用されます。
株式会社マキシマム・テクノロジーのptcサーミスタは、過電流保護用16Vシリーズのサーミスタです。
小さい抵抗値を有するので、電流検出センサ、車載モータの保護や定電圧回路の保護などに適しています。
過電流保護は、原因を除去すれば抵抗値は復帰するので、繰り返し使用ができます。この場合接点がないのでノイズの発生なく使用できます。
小型で過電流に対する応答が速く、作動すると電源を切るまで保護が続き電源オフで抵抗値が復帰します。
ポリマーリセッタブルサーキットプロテクタ PRCP-ASML/Xは、PTCサーミスタを使用した復帰型の過電流プロテクタです。
過電流が解除されれば復帰して繰り返して使用できます。
応答性が速く、0.402 milsチップの表面実装タイプです。
リチュームイオン・リチュームポリマーバッテリパックの保護、PCマザーボードやUSBポートの保護、携帯電話やゲーム機のポート保護、およびデジカメ・プリンタの保護などに最適です。
セラミックPTCサーミスタPSAは、Thinking Electronic Industrial,Co.、Ltd.のモータ起動に使用されるサーミスタです。
電圧範囲は、160~430 V acで広いレンジをカバーしており、作動温度は-10~+85 ℃(最高電圧で)で、長い期間安定して使用できます。
EUの特定有害物質の使用制限RoHS指令を満足し、UL&cUL、VDE、TUV、CQCの各規格に対応しています。
冷蔵庫やフリーザにおけるコンプレッサ用の遅延リレーに最適です。
モノタロウでチェック
秋月電子通商でチェック
アズワンでチェック
ミスミでチェック