チップサーミスタとは
サーミスタとは周囲の温度が変化すると急激に抵抗値が変化する半導体素子で複数の金属を混合して作られています。
チップサーミスタはプリント基板上に表面実装が可能なサーミスタです。
温度が上昇するとゆるやかに抵抗値が小さくなるNTC(negative temperature coefficient)サーミスタ、温度が上昇すると急激に抵抗値が小さくなるCTR(critical temperature resistor)サーミスタと呼ばれるタイプのものがあります。
逆に温度が上昇すると急激に抵抗値が大きくなるPTC(positive temperature coefficient)サーミスタと呼ばれるタイプ、以上の3種類に分類されます。
チップサーミスタの使用用途
NTCサーミスタは温度が高くなると抵抗が減少します。この特性を使い温度検出用センサの他、温度調整を行う回路等で使われています。
PTCサーミスタは温度が上昇すると、抵抗値が大きくなる温度が存在します。この特性を利用して温度検出用センサの他、ヒューズの替わりに過電流の保護回路として使われたり、ヒーターや加熱を検出する回路などで使われています。
実際の使用例としてエアコンが挙げられます。室内機および室外機の双方でサーミスタを使って、室内温度の制御を行っています。
車ではサーミスタを使って、エンジンの温度や外気温度を測定しエンジン内の燃焼が最適となるよう制御しています。
更に、宅内の家電機器では、冷蔵庫やコーヒーメーカー等でも使われています。
チップサーミスタの原理
マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなどを混合してNTCサーミスタは作られます。PTCサーミスタはチタン酸バリウムとセラミックスを混合したり、ポリマーにカーボンブラック等を混合して作られています。更にバナジウムに添加物を混合して作られているのがCTRサーミスタです。
通常、金属等の導体では温度が上昇すると移動する自由電子と導体の結晶中の陽イオンが激しく衝突するようになります。
これは陽イオンが温度の上昇に伴い振動が起きるからです。この振動による衝突から、自由電子の移動速度が遅くなることにより抵抗値が大きくなります。
このことにより、温度が上がっていくとNTCサーミスタやCTRサーミスタでは、抵抗が大きくなる訳です。
他方、半導体では、温度の上昇に伴い陽イオンが増加しますが、この割合が自由電子の移動速度の減少に勝るため抵抗が減少するためPTCサーミスタでは、温度が上がるにつれて抵抗値が下がります。
このように夫々の素子の特性を生かし、サーミスタは私たちの周りにおいて、様々な場所で効果的に利用されています。