NTCサーミスタについての概要、用途、原理などをご説明します。また、NTCサーミスタのメーカー21社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。NTCサーミスタ関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:日本エマソン株式会社、2位:株式会社芝浦電子、3位:株式会社大泉製作所となっています。
早稲田大学大学院でMBE法による窒化物半導体成長に関する研究に従事。2016年に大学院を修了後、非鉄金属系メーカーへ入社。金属製錬工場における設備保全・エンジニアリングの業務に従事。2022年に化学系メーカーへ転職。同様の業務に従事。
前田 理也のプロフィール
NTCサーミスタとは、温度が上がると抵抗値が下がる性質を持つ電子部品です。
NTCとは、Negative Temperature Coefficient (負の温度係数) の頭文字をとったもので、温度と抵抗に負の相関があるという意味です。サーミスタ (英: Thermistor) は、Thermal Sensitive Resistor「熱に敏感に反応する抵抗体」から派生した言葉です。抵抗体を被測定体に接触させ、電気抵抗の差から温度を測定することができる部品のことを指します。抵抗体には金属酸化物半導体を使用していることが特徴です。
NTCサーミスタは材料が安価で加工しやすいため、サーミスタの中でも最も汎用性が高いです。微小な温度変化でも抵抗値が変化するため、高精度なサーミスタです。身近な家電製品や産業機器など広く利用されています。
抵抗値の違いを検出して、温度センサーとして利用されています。リードタイプやチップタイプ、ディスクタイプ、薄膜タイプなどがあります。
NTCサーミスタは安価な特性から、産業用途から家電製品まで幅広く使用されます。主に温度センサーとして利用されており、一例を以下に示します。
スマートフォンは熱に弱い部品や熱で精度が落ちる部品が使用されているため、熱がこもらないようにすることが重要です。そこで内部の温度変化をNTCサーミスタが検知して、ICに情報を伝えています。室温を測定するだけではなく、回路の安定化や故障を防ぐために過熱から回路を守る温度保護素子としても利用されます。
電気・電子機器において、電源投入時に一時的に定常電流値を超えて大きな電流が流れることがあります。この電流は突入電流と呼ばれます。突入電流の発生理由としては、大容量コンデンサの初期充電などが考えられます。
NTCサーミスタにおける低温時の高抵抗値を利用し、電源投入時の突入電流抑制に使用される場合があります。電流負荷によってサーミスタの温度が上昇すると、抵抗値が減少して電力も同様に減少します。
通電による温度上昇で抵抗値が低下するため、固定抵抗を使用するよりも電力損失を低減することが可能です。そのため、NTCサーミスタは突入電流を簡便・効果的に制限するICL(Inrush Current Limiter:突入電流リミッタ)として、電気・電子機器の回路保護に使用されます。
NTCサーミスタは温度測定回路として広く使用される部品です。温度変化を抵抗値変化で検出する部品のため、他の抵抗器と組み合わせて使用することが多いです。最もよく使用される回路構成は、定電圧源にプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗を介して、サーミスタを接続し使用する方法です。
NTCサーミスタの主成分はセラミックスです。NTCサーミスタはマンガン、ニッケル、コバルトなどの酸化物を混合・焼結した半導体セラミックスに電極をつけています。ドーピング物質によってN型半導体とP型半導体があります。
通常は温度上昇時に自由電子と正孔の移動速度は小さくなります。しかしながら、NTCサーミスタは価電子帯の電子が熱エネルギーを受けて伝導体へ移動し、伝導体中の自由電子と正孔の増える割合のほうが上回るため、抵抗が小さくなります。温度が上がると指数関数的に抵抗値が下がる特性を持っており、抵抗温度係数は1℃あたり3~5%下がります。NTCサーミスタは抵抗値がなだらかに低下する点が特徴です。
NTCサーミスタを作るには、原料の酸化物を均一になるように混合して800℃~1,000℃で仮焼きします。それらを粉砕した後に粒の大きさを成型に適したサイズまで大きくし、最終形状に成型して1,300~1,500℃で焼成します。最後に電極を形成し、エポキシ樹脂で外装して完成します。
NTCサーミスタは用途や寸法、B定数、抵抗値などによって選定します。用途はNTCサーミスタを使用する用途です。車載用や電子基板実装用などがあります。寸法と合わせて実装する場面に応じて選定します。
B定数は温度変化に対する抵抗値の傾きで、NTCサーミスタの材料配分によって変化します。B定数が大きいほど温度による抵抗変化が大きくなります。したがって、B定数が大きい製品は高感度であり、小さい製品は低感度です。
抵抗値は室温 (25℃) における通常抵抗値です。一般的には低温環境下では抵抗値が小さい製品を選定し、高温環境下では抵抗値が大きい製品を選定します。
参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/3898/
https://product.tdk.com/info/ja/products/protection/temperature/chip-ntc-thermistor/technote/apn-chip-ntc-thermistor.html
https://product.tdk.com/info/ja/products/protection/current/ntc-limiter/technote/apn-ntc-limiter.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
2023年11月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 日本エマソン株式会社 |
9.1%
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2 | 株式会社芝浦電子 |
8.2%
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3 | 株式会社大泉製作所 |
7.3%
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4 | 株式会社村田製作所 |
6.9%
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5 | タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 |
6.9%
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6 | TDK株式会社 |
6.5%
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7 | 株式会社立山科学センサーテクノロジー |
6.5%
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8 | KOA株式会社 |
6.0%
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9 | 北陸電気工業株式会社 |
6.0%
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10 | パナソニック株式会社 |
5.6%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年11月のNTCサーミスタページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
ビード型サーミスタ素子は、サーミスタ粒をガラスで封止したntcサーミスタです。
高温での信頼性が特に優れているため工業・民生機器と広く利用可能であることの他、最大使用温度350℃まで対応可能であること、Niメッキ加工を施したジュメット線を使用しているため耐酸化や耐マイグレーションに優れていることが特徴です。
ガスレンジ、IHヒーターなどの調理機器や電子レンジ、炊飯器等の家電調理機器の温度測定に最適です。
高精度AT型NTCサーミスタは、低コストであるにも関わらず高精度の性能である温度検出デバイスです。
優れた耐熱サイクル耐久性のみならず、制御回路とセンサの間に調整がないことやRoHSに準拠していることの他、小さなB値の公値と抵抗値を持っていること、
±0.3℃の温度精度を保証しているため非常に正確な温度制御に使用できることが特徴です。
プリント回路板に一定の長さで挿入する必要がある際に最適です。
TD05,TD11シリーズは、-40℃~+150℃という高温度範囲での使用が可能なntcサーミスタです。
高精度の抵抗値でありB定数の許容差±1%を実現していることの他、端子電極にすずめっきを施していることや、静電気放電耐圧に優れていること、素子表面全体を全面ガラスコートしていることにより信頼性が高いといったことが特徴です。
エンジンコントロール回路やDC/DCコンバータといった用途に最適です。
ERTJ0EA101Hは、面実装タイプのntcサーミスタです。
積層構造と独自の外電形成技術により信頼性が高いことの他、125 ℃まで使用可な高耐熱性であること、環境に配慮したPbフリー材料で構成されていること、RoHS指令対応であることが特徴です。
携帯電話の水晶発振回路の温度補償や半導体素子の温度補償、 液晶表示装置のコントラストの温度補償やバックライト用冷陰極管の輝度の温度補償に最適です。
ディスクリート NTC サーミスタは、基本的なものから複雑なものまで多くの用途や環境条件での温度検知に最適なntcサーミスタです。
高精度と互換性を兼ね備えていることの他、実績のある長期の安定性と信頼性を誇ること、小型コンポーネントであること、高速な応答時間であること、-80ºC~ +300ºCの温度範囲で利用可能であることが特徴です。
医療分野では、カテーテル、腎臓透析、患者監視での使用に最適です。
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