自動ステージとは
自動ステージとは、制御された自動送り装置によって任意の位置に位置決めができるステージのことです。
自動ステージは製品により、縦横斜めなどの多方向への調整可動が行えます。使用する際は、可動方向や調整幅 (精度) 、または手動での調整が必要かを考えます。Z軸の追加により三次元的な可動も可能となるため、自動ステージの用途は幅広いです。
自動ステージの使用用途
自動ステージは、調整や位置決めなどを目的として製造装置や電子顕微鏡などの様々な装置で使用され、各種装置の可動調整が必要な部分に取り付けられます。
また、自動ステージには自動送り装置が取り付けてあるので、自動的な調整が可能です。自動ステージの使用例として、以下の用途が挙げられます。
- 製品検査用装置の調整や位置決め
- 装置位置 (部組) のストローク調整用
- カメラや顕微鏡等のストローク調整、位置決め
- FA装置の搬送や位置決め
- NC・CNC等のストロークが必要な加工機
自動ステージの原理
自動ステージの基本となる構成の1つとして、ガイド機構が挙げられます。また、自動送り装置も欠かせない要素です。
1. ガイド機構
アリ溝ガイド
台形状のアリ溝とアリ溝の収まるアリほぞを利用したガイド機構です。摩擦係数が高いため、精度の高い位置決めには不向きですが、コストは抑制できます。
V溝ガイド
ローラーが内蔵されるスライダーとV溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。スライダーが移動するときに、V溝の側面に接触するローラーが転がります。剛性が高く、低摩擦で微小な送りが可能です。
リニアボールガイド
ボールが内蔵されるスライダーと円弧状のR溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。スライダーが移動するときに、R溝に接触するボールが転がります。あらゆる方向の負荷に対して安定した負荷能力があり、正確な位置決めにも適しています。
2. 自動送り装置
自動送り装置は、送り機構とモーターを備えています。送り機構の種類は以下の通りです。
ラック&ピニオン
ラックギアが形成されるレールとピニオンと呼ばれる歯車を利用した送り機構です。素早くステージを送ることはできますが、高精度な位置決めには向いていません。
送りねじ
おねじとめねじを利用したねじ方式の送り機構です。例えば、ボールねじがこの送り機構に該当します。
ねじのピッチの分解能でステージを送れるため、細かな送りは可能です。一方で、送り速度が遅く、長いストロークの位置決めには向いていません。
なお、モーターとしては以下のものが挙げられます。
ステッピングモーター
永久磁石を持つローターとコイルを持つステータによって構成されています。コイルに電気を流してローターを回転させる構造です。
ACサーボモーター
ローターの回転角度を検知するエンコーダーを備えています。エンコーダーの検知結果に基づいてコイルに流れる電流を制御してトルクを制御できます。
自動ステージの種類
自動ステージには、直動ステージと回転ステージとゴニオステージがあります。
1. 直動ステージ
直動ステージは、水平方向や上下方向に直線移動するステージを持つステージです。1軸ステージとして、水平方向の1方向に移動を行うX軸ステージと上下方向に移動を行うZ軸ステージがあります。
また、左右方向の移動と前後方向の移動を行うXY軸ステージ (2軸ステージ) や、左右方向の移動と前後方向の移動に加えて上下方向の移動を行うXYZ軸ステージ (3軸ステージ) もあります。
2. 回転ステージ
回転ステージは、上下方向を回転の軸方向として回転するステージです。代表例として、ゴニオステージがあります。
ステージの垂直線上の一点を回転中心にして、ステージが円弧状に移動します。ステージの傾斜角度の調整が可能です。なお、ゴニオステージには、1軸ステージと2軸ステージがあります。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0039.html
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/product/xy/faq/faq01.html
https://www.marubun.co.jp/service/mps/a7ijkd000000l156.html
https://www.yaskawa.co.jp/product/mc/about-servo