X線分析装置についての概要、用途、原理などをご説明します。また、X線分析装置のメーカー7社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。X線分析装置関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:株式会社リガク、2位:株式会社日立ハイテクサイエンス、3位:株式会社島津製作所となっています。
X線分析装置とは、対象物にX線を照射した際の蛍光X線スペクトルによって元素の含有量を解析する装置のことです。
X線分析装置は物質の定性分析や定量分析に利用されており、試料を破壊することなく短時間で調べることができるので物質の組成分析方法として活用されています。
X線分析装置は固体、液体でも測定が可能で、定性分析の手法として比較的高感度であるため、信頼性が高い検査装置です。
X線分析装置は、固体、液体を問わず試料の定性分析、定量分析を非破壊で行うことができます。特に合金材料や土壌に含まれる有害金属の有無とその含有量を調べるために利用されています。
例えば、岩石、隕石など成分が未知の物質の組成を調べる際にはX線分析が有効です。最近では、環境や安全保全の観点からプリント配線のハロゲンフリー化が進められており、その保証のためにX線分析装置で分析がされています。他にも、有害性化学物質の定性と定量に利用され、RoHS指令で定める物質の検査に利用されます。また、簡単に持ち運べる携帯型装置も販売され、用途が広がっています。
図1. (a) 蛍光X線の発生 (b) X線分析装置の構造
X線分析装置では、対象にX線を照射して放出される蛍光X線の波長 (またはエネルギー) と強度を計測しています。
物質にX線を照射するとその原子はエネルギーを吸収して励起し、蛍光X線を発します。蛍光X線の波長 (またはエネルギー) は元素ごとに固有であるため、検出した蛍光X線スペクトルの波長から物質の種類を特定し、その強度から定量をすることも可能です。
X線分析装置は、X線を発生させるX線源、試料を保持する試料室、生じた蛍光X線を分光・検出する検出部で構成されています。
X線源では、高電圧をかけて発生させた電子線を、タングステン等のターゲットに照射しX線を発生させます。生じたX線を試料の上面または下面に照射します。このとき、試料室内は大気や窒素、真空など雰囲気が選択できることがあります。
また、試料観察モードが付属しているX線分析装置では試料を観察しながら照射位置を選択できることがあります。試料から放出される元素由来の蛍光X線を検出器で検出し、定性分析を行います。定量分析においては蛍光X線の強度を測定し検量線やファンダメンタルパラメーター法 (FP法) を用いて含有率を求めます。
X線分析装置の分光・検出方法には波長分散型とエネルギー分散型があります。
図2. エネルギー分散型X線分析装置の測定イメージ
エネルギー分散型蛍光X線分析装置 (略称: ED-XRF、またはEDX、EDS) は、蛍光X線のエネルギーに対してその強度を測定する方法です。
具体的には、検出器に入射した蛍光X線を検出器内の半導体でパルス電流に変換し、増幅したのちにパルス1個の電流値から波高を測定します。電流値から入射したX線のエネルギーは電流値に比例するため、蛍光X線のエネルギーに対するその強度のグラフが得られます。
図3. 波長分散型X線分析装置の測定イメージ
波長分散型蛍光X線分析装置 (略称: WD-XRF、またはWDX、WDS) では、蛍光X線の波長に対してその強度を測定する方法です。
波長分散型では、試料から発生した蛍光X線を分光結晶により分光し、検出器で測定します。分光結晶に入射した蛍光X線はブラッグの回折条件に従ってある特定の方向に強く散乱されます。
ブラッグの回折条件とは、波長λの光が格子面間隔dの物質に入射したとき、2dsinθ=nλ (θ: ブラッグ角 n: 整数) を満たす回折角2θの方向に強く散乱されるという法則です。つまり、分光結晶の面間隔dは固定されているため、様々な波長のX線が入射しても、回折角2θの方向に検出器がある時は1種類の波長のX線のみが検出されます。検出部を回転させ広い角度で蛍光X線を測定すると、蛍光X線の波長に対するその強度のグラフを得ることができます。
エネルギー分散型と波長分散型の検出方法にはそれぞれ特徴があり、用途に応じて適切に選択する必要があります。
1. エネルギー分散型
エネルギー分散型は分光の必要がなく、半導体の検出器が直接蛍光X線の波長を分析することができるため、小型化することが可能です。また、分光の必要がなく一度に複数種類の元素分析が行えるため、短時間で測定が可能です。試料の形状や凹凸に関係せずに測定できるため、電子顕微鏡などと併用して使われることがあります。
一方、得られるスペクトルのピークが重なることがあり分解能が低い傾向にあり、測定対象に微量しか含まれない元素の検出が難しいといったデメリットもあります。
2. 波長分散型
波長分散型では蛍光X線を分光結晶で分光し、検出器で測定します。波長で分光するため、隣接ピークの分離が容易で高感度かつ分解能も高い傾向にあります。
一方で、複雑な分光系を有するため装置自体は大型で高価になる傾向があります。また、回折角を変化させながら測定するためエネルギー分散型に比べて測定に時間がかかり、試料表面は平滑である必要があります。
参考文献
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/xray/eds/
http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/synopsis/040303.html
https://www.researchgate.net/profile/Keita_Yamasaki2/publication/
http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000171791.pdf
https://www.researchgate.net/profile/Keita_Yamasaki2/publication/
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/xray/wds/
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企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト6
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 株式会社リガク |
21.9%
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2 | 株式会社日立ハイテクサイエンス |
21.5%
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3 | 株式会社島津製作所 |
18.9%
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4 | オリンパス株式会社 |
15.0%
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5 | 株式会社堀場製作所 |
12.0%
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6 | 日本電子株式会社 |
10.7%
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企業
スペクトリス株式会社 マルバーン・パナリティカル 事業部 ユーロフィンイーエージー株式会社本製品は、高感度な測定が可能で最大250×200mmエリアをマッピング可能な高速ステージを採用しているため、非常に高速なマッピング測定を可能としています。
最大500点の指定ができるためオートサンプラのよう連続多点測定が可能、また微小部品の中のどの箇所にも一目で着目元素の確認が可能な製品となっています。
また、樹脂や金属などに含む微量な環境規制物質を短時間で測定でき、複数の材料が組み合わさる試料の測定も可能となっています。
本製品は、新しいシリコンドリフト検出器を搭載されCd・Ka・Od・Ka・などのエネルギー帯に対する高い感度でのスループット測定が可能な製品です。
高い分解能かつ高い計算率を可能にし検出器によって、従来よりも主成分に近い微量元素の検出に優れ、金属の品種管理などにも貢献されています。
真空システムとこの新しい検出器の組み合わせによって軽元素を含んだスラグやセグメントなど、どの工程管理・品質管理でも発揮されています。
本製品は固体・粉体・液体などの元素分析(非破壊)が可能で有害元素の受入検査や医薬品・食品の異物分析、考古学試料や成分分析など様々な分野で活用されています。
最大で300×275×100mmの試料を装着可能で本体サイズも460mm幅と小型、またX線発生時はX線表示灯と全面ランプが点灯し、分析している時もX線表示灯の両側が青点灯するなど、装置の状態が簡単に確認することができます。
また、1画面で試料の画像表示や分析条件の選択、試料名の入力などを行うことができ、非常にシンプルな画面のため、はじめて利用される人でも簡単に操作が可能な仕様となっています。
本製品は、粉末の試料から粉が飛んでも光学系へ影響を与えない試料保護フィルムも必要がない上面照射方式を採用しています。
試料の標準値と情報を入力するだけで、分析線や光学系の測定、共存元素の補正、重なり補正などを自動測定してくれる機能が備わっています。
「らくらく分析」機能により、一連の分析をお気に入り登録することで、ワンタッチで分析を行うことができる機能が搭載、またデータベースの変更や削除などの操作ミスを防止するための設定がオペレータ事に可能でフィーマンエラーの防止も可能となっています。
本製品は、一般的な定性・定量分析やRoHS元素のスクリーニング機能を装備しており、タッチパネル操作で簡単に元素分析を可能にしたエネルギー分散型の蛍光X線分析装置です。
土壌汚染対策や異物調査、材料判定、食品分析、環境分析、考古学や鉱石の分析など、幅広い分多での使用が可能となっています。
分析には新開発したスマートFP法を採用しており、標準試料を準備することなく自動的に残成分及び厚さ補正を行った高い精度での定量結果を得ることができる製品になります。
また、新開発のFP法と自社のSDDと新設計された光学系、全エネルギー範囲対応フィルターにより、高い感度分析を可能にしています。
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