分取HPLCについての概要、用途、原理などをご説明します。また、分取HPLCのメーカー12社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。分取HPLC関連企業の2023年3月注目ランキングは1位:株式会社ワイエムシィ、2位:日本分析工業株式会社、3位:柴田科学株式会社となっています。
分取HPLCとは、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) で分離した成分を採取する装置です。
主成分の精製、純度の向上や試料に含まれる不純物の微量成分を採取することができます。分取HPLCは、カラム精製や再結晶などの他の精製方法とは異なり、HPLC上で分離した各成分をそれぞれ選択的に採取することが可能です。
分取HPLCの原理は通常のHPLC分析と同様であるため、適切なカラムを選択すれば化学構造や分子量、立体構造などの化合物の様々な特徴で各成分を分離、精製することが可能です。またカラムのサイズや装置構成を変えることによって、分取HPLCではミリグラムからキログラムオーダーまで目的物の取得量を変えることができます。
分取HPLCの特徴はHPLC上で分離したピークをそれぞれ別に得ることができます。
有機化学や生化学などの分野では、合成で得られたサンプルの中には主成分の他に不純物や副生成物など多数の微量成分が含まれています。しかしカラム精製や再結晶などの一般的な精製方法では選択的に一つの成分だけを抽出することは困難です。
分取HPLCではHPLCで分離した各ピークを別々のフラクションとして収集できるため、主成分、不純物をそれぞれ高純度で選択的に採取することができます。
高純度サンプルの用途として、例えば素材業界では分取HPLCによって得られた高純度の目的物を用いた材料、物性評価が行われています。また、化学業界では高純度の不純物、副生成物の構造解析を通して反応系で発生している副反応の解析が行われています。
生物系の分野では、分取HPLCがサイズ排除クロマトグラフィー (SEC) カラムを使用したタンパク質の精製に使用されています。
高分子の分野では、ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC) カラムを使用した高分子の精製、分子量分画を行い、各成分の物性評価を行っています。HPLCの高い分離能を利用して、様々な化合物が含まれている天然物のサンプルから目的物を抽出することもあります。
分取HPLCの分離機構は通常のHPLC分析と同様です。
HPLCカラムには、アルキル基や水酸基などの官能基が表面に修飾されている固定相と呼ばれる物質が充填されています。カラムの中に試料溶液を注入すると、試料と固定相との相互作用によって試料の各成分がカラム表面と吸着します。
この相互作用、吸着力の大きさは各成分の化学構造によって異なるため、カラム内で吸着、脱離を繰り返すうちに試料に含まれる各成分は分離していきます。固定相との相互作用が弱い成分はカラムから早く溶出し、逆に相互作用が強い成分は遅く溶出します。
この相互作用の種類はカラムの固定相によって異なります。例えばC18カラムのようにアルキル基が修飾された固定相の場合、試料と固定相の間の疎水性相互作用の大きさが分離に影響します。したがって疎水性が高い化合物や炭素を多く含有する化合物ほど溶出は遅くなります。
分取HPLCはHPLC装置の後ろにフラクションコレクターと呼ばれる装置を連結することができます。フラクションコレクターとは、HPLCの溶出液を一定の時間などで区切って採取する装置です。
フラクションを保持時間ごとに分け、ピークの溶出挙動に応じて細かく分けて採取できます。フラクションコレクターによって分けられた各溶出液を濃縮することで高純度の目的物を得ることが可能になります。
リサイクル分取HPLC装置は、カラムの後ろに切り替えバルブを搭載しており、一度カラムを通過した溶出液を再度同じカラムに通液させることができます。
一般的にカラムが長いほどHPLCの分離能は向上します。したがって何度もカラムに通液させることで、一本のカラムでは分離しなかった成分も分離、回収することが可能になります。ただし、切り替えバルブを設ける装置の構成上、通常のHPLC装置とは別で専用の装置を用意する必要があります。
参考文献
https://www.gls.co.jp/product/topics/plc/
https://www.gls.co.jp/technique/technique_data/lc/usage_of_prep/
https://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/faq/prep/index.htm
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分取HPLCのカタログ一覧はこちら企業
ジーエルサイエンス株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年3月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社ワイエムシィ |
20.3%
|
2 | 日本分析工業株式会社 |
13.6%
|
3 | 柴田科学株式会社 |
11.9%
|
4 | 日本分光株式会社 |
10.2%
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5 | ジーエルサイエンス株式会社 |
10.2%
|
6 | 日本ビュッヒ株式会社 |
8.5%
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7 | エムエス機器株式会社 |
6.8%
|
8 | 株式会社島津製作所 |
6.8%
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9 | アジレント・テクノロジー株式会社 |
3.4%
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10 | 株式会社池田理化 |
3.4%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年3月の分取HPLCページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
Metoreeに登録されている分取HPLCが含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
トラップカラムを用いて目的成分の濃縮が可能で微量成分でも高濃度で分取可能な分取HPLCです。
分画したいピークをクロマトグラム上で指定することで必要なパラメーターを自動設定する機能を有しており、パラメーター設定の手間を減らすことができます。
分取中のトラブルに対応して試料の回収を可能にするサンプルレスキュー機能を搭載しています。
質量分析計のシグナルをトリガーとして用い、UVシグナルに依存しない分取も可能です。
リサイクルや分取など目的とする操作をあらかじめプログラムして実行可能な分取HPLCシステムです。本体の大型LCDタッチパネルからすべて設定可能です。わかりやすい画面、直感的にプログラムを設定できます。
カラム交換時の溶媒置換も簡単に行える自動洗浄機能を搭載しています。
試料の大量注入や複数回インジェクションに対応するリピートインジェクター機能を標準装備しています。
クロマトグラムのピークを認識して自動分取するピークモードを有し、目的物のロスを防ぎます。
EXTREMAは高速液体クロマトグラフ(HPLC)システムで、セミ分取用のポンプをシステムに組み込むことで合成物や天然物から目的物を単利・生成する分取HPLCとして使用可能です。
セミ分取用ポンプには拡張ベイ内に脱気ユニットやリサイクル分取のためのリサイクルユニットを組み込むことが可能です。
本体ユニットの操作パネルからはもちろん、PCからも制御可能です。
カラムや光源は本体前面から行える仕様のため、メンテナンス性に優れています。
1台でフラッシュと分取HPLCに対応可能な分取クロマトグラフィーシステムです。
リモート制御に対応しており、PCの他タブレットやスマートフォンでも精製作業のモニタリングや制御が可能です。
カラムやカートリッジは本体前面に設置されており、操作性や省スペース性に優れています。
蒸発光散乱検出器(ELSD)とUV検出器を統合し、使用する溶媒の設置スペースを機器上部に設けるなど機器本体サイズ以外にも省スペースで使用しやすい工夫がされている分取HPLC装置です。
サンプルから目的物質を分離したり精製するための分取HPLCシステムです。
専用オートサンプラーによる自動インジェクションの他、シリンジポンプやマニュアル操作でのインジェクションなど、様々なサンプルインジェクションに対応可能です。
リサイクル分取にも対応しています。専用の機構を搭載し、デッドボリュームによる分取効率の低下を軽減しより効率よい回収を可能にします。
専用ソフトウェアによりインジェクションからフラクションコレクターによる回収まで全自動で行うことができます。クロマトグラムを見ながらの分取もソフトウェア上からコントロール可能です。