触覚センサーのメーカー8社・15製品を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
触覚センサー(英語: Tactile sensor)はヒトの触覚の感覚を模したセンサーです。
技術の基本は接触面の圧力と振動を電気的信号に変えるセンサーです。
さらに触覚センサーは温度に対する感受性など複数の情報と統合され、繊細な対象の質感を推定したりする機能を備えるものもあります。
触覚は対象の性質、テクスチャを評価する機能にとどまらず、物を適切な力で掴むため、ペンを握って文字を書いたりするためなど人の基本動作に重要な役割を果たすことから、ロボティクス技術の発展に必須です。
触覚センサーは医療やロボットへの応用が期待されています。
対象の硬さを評価できることから、乳がんや前立腺がんに由来する「しこり」の存在を感度よく捉えることができ、がんの早期発見に貢献しています。
また表面の粗さに起因するざらつきを評価することで、皮膚炎や乾皮症などの定量評価に用いられます。
ロボティクスでは、指に擬したセンサー開発によりロボットハンド用センサーとして、握力調整のための情報を提供します。
産業においては製品のテクスチャをモニタリングすることで、品質管理に役立てることができます。
触覚センサーは、接触力を電気量に変換する変換器を中心に構成されています。これらの電気信号は信号・情報処理回路を介して解析されます。
変換器には様々な様式が採用されています。
例えば、導電性で挟まれた空間の圧力を加えたことによる変化に伴う静電容量を検知する方法があります。用途にもよりますが、一般的にはセンサー素子として圧電セラミックス素子(PZT:ジルコン酸チタン酸鉛)が利用されているケースが多いです。
圧電セラミックス素子はピエゾ素子とも呼ばれて、圧力を加えることによって電圧変化を生じる素子です。これを圧電効果と呼びます。
ピエゾ素子の固体結晶内のイオンの配置が、圧力を掛けることにより変化することで、結晶の一端がプラスの電気を帯び、もう片方がマイナスの電気を帯びるという、電気分極という現象が起こります。
圧力の情報や振動の情報が圧電素子によって電気信号に変換されることで、処理回路を介して触覚の情報へと変換されます。
触覚センサーは一般的に、接触力を電気量に変換する変換器(検出素子)、電気量の検出回路、信号・情報処理回路、信号伝送回路から構成されます。
対象物の物性によって共振状態が変化する性質を利用し、発振周波数の変化を捉えて、硬さや柔らかさなどを評価します。
また、光学的な原理としては、センサー内部の光導波路の散乱光の変化を検出することにより、センサー表面での物体の接触位置を捉えることができます。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)とは、センサー、電子回路などを、微細加工技術によって基板上に集積化したデバイスを指します。
近年ではMEMS技術を用いた超高感度の触覚センサーが注目されています。
触覚センサーの市場規模は、2019年の82億490万$から、2025年までに160億8380万$へ達すると予測されています。
触覚センサーは、⼈と共同で働くことができるロボットの発展を⽀える重要な要素の⼀つになります。
アメリカのMITで開発が進められているRoCycleというロボットでは、材質を識別する触覚センサーをロボットハンドに内臓し、紙やプラスチック、⾦属を認識して分別することができるように研究が進められています。
韓国の浦項⼯科⼤学校では、ナノスプリングなどを⽤いて、微細な圧⼒や振動を感じ取ることができる⼈⼯指紋センサの開発が進められています。
開発の成果として、触覚センサーで得た情報を機械学習で解析し、99.8%の精度で8種類の繊維の区別に成功したと言うことを発表しています。
触覚センサーの精度が向上することによって、ロボット産業を中心にこれから益々需要が見込まれます。
参考文献
http://www.nihonbinary.co.jp/Products/Robot/BioTac.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/75/4/75_4_230/_pdf/char/ja
http://sensait.jp/7971/
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/knowledge/089
https://www.kagawa-u.ac.jp/ccip/images/2-02/EN-11-022.pdf
https://kotobank.jp/word/%E8%A7%A6%E8%A6%9A%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5-161284
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http://www.cmctd.co.jp/tech/sensor/sensor.html
https://staff.aist.go.jp/maekawa.hitoshi/tactile/
https://www.gii.co.jp/report/ina978862-tactile-sensors-market.html
https://www.aeonbank.co.jp/investment/report/pdf/2019090502.pdf
https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/mems.html
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
Metoreeに登録されている触覚センサーのカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
マルサン・ネームの触覚センサーは、個々の位置情報をダイレクトに検出し、センサー単体でリアルタイムに処理が出来るため、センシング結果が即時で解り、処理速度が極めて速いことが特長です。
センシング箇所への追加部品が必要なく、厚さや高さが限られた箇所へも使用できる、RoHS対応のシート型の触覚センサーです。
主な用途は、二足歩行ロボットや介護ロボット、義肢のサポートアームなど医療や介護の周辺機器です。
超薄型触覚フィルムキットは、静電容量検出型圧力検出方式のセンサヘッドと信号処理基板、USBケーブル、専用ソフトがセットになった、アナログ入力機能のある触覚センサ―です。
厚さ0.5mmの超薄型のセンサヘッドは、貼り付けるだけの簡単固定で、曲面にも実装できます。
製品寿命100万回と耐久性が高い触覚センサーの用途は、ロボット用触覚機構をはじめ、介護福祉機器用やゲームコントローラー用などの入力機構です。
T-4500は、柔軟なシリコンラバーをベース素材とした薄型設計を活かし、様々な形状の面測定もできる、高感度かつ高精度の静電容量式触覚センサーです。
3.8mmピッチで64個のフォースセンシング素子から構成されており、最大1024個センシング素子を形成できるため、人の脈拍のような非常に低い圧力も測定できます。
この触覚センサーは、医療分野をはじめ、自動車分野、ロボットなど様々な分野で利用されています。
BioTacは、人の指が感知する触覚・圧覚・温度感覚が検出できる、指型・生体模倣型の触覚センサ―です。
力・微小振動・温度変化の検出器を導電性の液体と人工皮膚で覆った、独自の触覚センサー構造は、堅牢な設計でメンテナンスも容易です。
BioTacは3軸方向の力、接触点や形状、質感、滑りや摩擦感、熱特性の情報が取得できるため、ロボットハンドのセンサや質感の定量的な評価などに適用できます。
uSkin Sensorは、高密度の分布型3軸触覚センサモジュールです。
デジタル出力のため、測定値を収集するために必要なのは数本のワイヤーのみで、追加のアナログ/デジタル変換器は必要ありません。電気ノイズや干渉に強く、全般的に高い品質の測定値が得られます。
薄くて丈夫なソフトセンサのためサイズ、形状、硬さ、重さの異なる物体を把持することができます。
また、グリッパーやロボットハンドに簡単に装着することができます。センサの数により、1×1~4×6タイプまで様々な製品をご用意しており、外側のカバーもご希望により変更可能です。
主に、国内外の自動車メーカーやロボット産業の開発部門で使用されています。