ジャイロセンサーについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ジャイロセンサーのメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ジャイロセンサー関連企業の2023年10月注目ランキングは1位:株式会社村田製作所、2位:アナログ・デバイセズ株式会社、3位:パナソニック株式会社となっています。
ジャイロセンサーとは、角速度を検出するためのセンサーのことです。
ジャイロスコープとも呼ばれています。角速度とは、単位時間あたりに物体が回転する物理量を指し、高度で正確な制御が求められている現在の工業機械製品において不可欠なセンサーです。
特に、ロボットや航空機、自動車の車体制御などの分野では、微小な回転を考慮したフィードバック制御を行う必要があり、必ずジャイロセンサーが使用されています。
ジャイロセンサーの使用用途は、スマートフォンやデジタルカメラ、ゲーム機器、宇宙産業、航空、自動車、産業用ロボットなどの制御に幅広い分野で使用されています。
ジャイロセンサーの具体的な使用用途は以下の通りです。
ジャイロセンサーは、熱や振動耐性、大きさなど製品によって特徴が異なります。そのため、ジャイロセンサーを使用する装置の制御の精度や使用環境を考慮して選定する必要があります。
ジャイロセンサーの代表的な測定方法として、コリオリの力を使って測定する振動型と、光のサニャック効果を使って測定する光学型が挙げられます。
振動型ジャイロセンサーで用いるコリオリの力とは、回転している物体が移動する際に物体に作用する見かけ状の力のことです。振動型はさらに、圧電方式と静電容量方式に分類できます。
なお、コリオリの力と角速度の関係は次式で表現可能です。
ω=F/2mv (ω:角速度、F:コリオリの力、m:物体の質量、v:移動速度)
光学式ジャイロセンサーで用いるサニャック効果とは、光が通過する光路が運動していれば、光路の長さが長くなる原理のことです。この物理現象は、光速が常に一定であるために生じます。光学式ジャイロセンサーでは、周回している光自体が回転することによって、光路が長くなり、それによって生じる位相差を測定することで角速度を算出できます。
ドリフト補正
ジャイロセンサーの出力に対して誤差を発生させる要因は複数あります。その中でも気をつけなければならない特性が「ドリフト」です。ドリフトとは、本来初期値として与えられるゼロ点がドリフトし、初期値が少しずつずれて検出誤差が大きくなることを指します。
ドリフトが生じる内的要因としては、DC成分のゆらぎ (低周波の変動) と高周波のノイズによる影響です。DC成分のゆらぎはバイアス不安定性、高周波ノイズは角度ランダムウォークと呼ばれます。バイアス不安定性に関しては、供給電圧の安定性に依存しますので、電源の見直しで改善することが可能です。
角度ランダムウォーク補正
角度ランダムウォークの補正方法については各社のノウハウとなりますが、一般的に良く用いられている補正方法としてカルマンフィルタを用いた補正が挙げられます。
カルマンフィルタとは、直前までの情報と現在取得したデータをもとに、最も適切なシステムの状態を推定する手法のことです。時間とともに変化する変数を、過去の情報と現在取得した情報から本来のあるべき姿を推定する問題と言い換えることもできます。この測定値及び変数そのものにもノイズが乗っているものとして取り扱うことが重要です。
ジャイロセンサーとよく似た性質を持つセンサーの1つに、加速度センサーがあります。両者は混同されることもありますが、全く別のものです。
加速度センサーはその名の通り、加速度を検知するためのセンサーです。慣性力を利用して物体の移動速度の変化を測定し、電気信号として出力します。加速度からは物体の振動の様子や衝撃の大きさといった情報を得ることもできるため、加速度センサーは幅広い用途に使用されています。基本構造はジャイロセンサーに似ています。
一方、ジャイロセンサーは前述した通り、角速度を検知するために用いられるセンサーです。コリオリの力を利用して物体の動き (回転) や向き・姿勢の変化を測定し、それを電気信号として出力することができます。
昨今、慣性力の検出センサーでよく解説される言葉に、3軸・6軸対応センサーがあります。各々前後、左右、上下の加速度 (3軸) と角速度 (6軸) を対応させていて、車載センサーとして自動車の運転支援システムであるADASや自動運転技術に欠かせません。
一例として、自動車のカーナビにはジャイロセンサーと加速度センサーの両方が搭載されており、ジャイロセンサーで自動車の向きを、加速度センサーで移動距離を検知することで、トンネル内など電波が届きにくい場所でも現在地を高精度に表示することができます。
3軸はロール・ピッチ・ヨーで表現され、これらの軸によって姿勢を表現することが可能です。特に、ロール・ピッチに関しては、誤差要因のドリフトそのものをフィードバック回路として自身で補正させることもできます。さらに、ドリフト補正のために異なるRefとして、現在の基準に地磁気センサーを6軸対応センサーに追加して用いるものがあり、この場合は9軸対応センサーと呼ばれています。
ジャイロセンサーは、回転運動を伴う機械において、その運動の様子を画面表示したり、制御したりする場合に使用しますが、ジャイロセンサーの小型化に大きく貢献しているのが、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 技術です。MEMS技術は、半導体業界の薄膜微細加工の技術を展開して用いられています。
ジャイロセンサーにおいても、「光学式」や「機械式」とは異なり、小型・集積化が比較的容易です。MEMS式のセンサーは、比較的高度な制御を可能にするASICとの親和性も高いために、スマートフォン等のモバイル機器をはじめとして多くのデバイスに内蔵されています。
さらに、ジャイロセンサーはその用途によって必要とされる角速度の検出範囲が異なります。例えば、スマートフォンなどのモバイル機器の場合は300~2000dps (degree per second、1秒間あたりの回転角度) 、カーナビなどの自動車向け機器の場合は100~500dpsほどの範囲が必要です。
そのため、センサー選定時には、機器の使用状況を踏まえ、どのくらいの検出範囲があれば充分なのかを考慮しなければなりません。
参考文献
http://yokoya.naist.jp/paper/datas/79/PRMU.pdf
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b14
https://ednjapan.com/edn/articles/1406/09/news014.html
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/raqs/raq-issue-139.html
https://qiita.com/MoriKen/items/0c80ef75749977767b43
https://mems.tamagawa-seiki.com/words/
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ジャイロセンサーのカタログ一覧はこちら企業
センサテック株式会社 セイコーエプソン株式会社 株式会社木村洋行 ターク・ジャパン株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年10月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社村田製作所 |
20.3%
|
2 | アナログ・デバイセズ株式会社 |
12.5%
|
3 | パナソニック株式会社 |
10.2%
|
4 | 多摩川精機株式会社 |
8.6%
|
5 | 住友精密工業株式会社 |
8.6%
|
6 | TDK株式会社 |
7.0%
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7 | 日本ハネウェル株式会社 |
7.0%
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8 | NXPジャパン株式会社 |
5.5%
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9 | セイコーエプソン株式会社 |
4.7%
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10 | Kionix, Inc. |
4.7%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年10月のジャイロセンサーページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
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センサテック株式会社
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最新の閲覧: 7時間前
用途 ・農機具やロボットなどの姿勢制御、旋回制御 ・無人搬送車(AGV)の姿勢制御、旋回制御 特長 ・ロール方向のジャイロセンサを内蔵...
Metoreeに登録されているジャイロセンサーが含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
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ジャイロセンサーのカタログ6件分をまとめてダウンロードできます!お迷いの方は便利な無料の一括ダウンロード機能をご利用ください。
企業
センサテック株式会社 セイコーエプソン株式会社 株式会社木村洋行 ターク・ジャパン株式会社・軽量であり、小型です。スペースを無駄にすることなく設置することが可能
・環境や使用時間による出力の変化を最小限に抑えた設計
・電源電圧は3.0~5.0ボルトの範囲で対応
・シングルパッケージ6Dofセンサーを使用することで自動運転で要求される高い安全性に対応
・ISO26262企画に準拠しASIL-Dシステムの開発に対応
・キャリブレーションを行うことでコンポネートレベルでの他軸感度の誤差が改善
・温度変化による誤差は0.3°以下
・ジャイロRMSノイズレベルを0.0007/s未満
・耐震度製及び動作温度-40°~+110°を実現
・自己診断機能を有り
・最大-300°/s~+300°/sの角速度測定範囲
・-6gから+6gの加速度を測定可能
・電源電圧は3.0~3.6ボルトの範囲で対応
・SPI/I2Cシリアスインターフェイスに対応
・16・24ビットでの角速度出力
・-20度から+80度までの静止時出力温度安定性
・温度センサーを内蔵
・セレクタブルデジタルフィルタ及び離周波数除去フィルタを内蔵
・電力消費を抑えた設計
・-40度~105度の幅広い温度範囲における安定性
・80LSB/°/secで-300°sec~+300°のフルスケール・レンジを測定可能
・ディスクセンサー構造により、面内角周辺での角速度の測定が可能
・24.6・49・102・201Hzから-3dBフィルター・コーナー周波数を選択可能
・16ビット・32ビットでのSPIトランザザクションを含む、センサー・データ出力できる
・10MHzまでのSPI通信が可能
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