ジャイロセンサーについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ジャイロセンサーのメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ジャイロセンサー関連企業の2022年6月注目ランキングは1位:セイコーエプソン株式会社、2位:株式会社村田製作所、3位:STマイクロエレクトロニクス株式会社となっています。
ジャイロセンサは角速度を検出するための装置です。角速度は単位時間あたりに物体が回転する量です。機械製品に高度で正確な制御が求められている現在の工業において、微小な回転を考慮した制御を行う必要があり、その場合には必ずジャイロセンサが必要になります。ジャイロセンサの測定原理としては、コリオリの力を使って測定する振動型と、光のサニャック効果を使って測定する光学型が代表的です。
ジャイロセンサは、スマートフォンやデジタルカメラ、ゲーム機器、宇宙産業、航空、産業用ロボットなど幅広い分野で使用されます。ジャイロセンサは、熱や振動耐性、大きさなど製品によって特徴が異なるので、ジャイロセンサを使用する装置の制御の精度や使用環境を考慮して選定する必要があります。
ジャイロセンサの使用例を以下に示します。
主なジャイロセンサである振動型と光学型について、それぞれ動作原理を説明します。
振動型ジャイロセンサはコリオリの力を用いて角速度を測定します。コリオリの力は、回転している物体が移動する際に物体に作用する見かけ状の力のことです。振動型ジャイロセンサでは、振動によって移動している物体が回転するときに生じるコリオリの力を受けて、物体が振動する振幅を測定することによって角速度を測定しています。
光学式ジャイロセンサはサニャック効果を利用して角速度を測定します。サニャック効果とは、光が通過する光路が運動していれば、光路の長さが長くなる原理です。これは、光速が常に一定であるため生じる現象です。光学式ジャイロセンサでは、周回している光自体が回転することによって、光路が長くなり、それによって生じる位相差を測定することで角速度を測定しています。
ジャイロセンサーとよく似た性質を持つセンサーの1つに「加速度センサー」があります。ここでは、ジャイロセンサーと加速度センサーの違いについて解説していきます。
ジャイロセンサーは、「角速度」を検知するために用いられるセンサーです。コリオリ力を利用して物体の動き(回転)や向き・姿勢の変化を測定し、それを電気信号として出力することが出来ます。主にカーナビや手振れ補正付きのデジタルカメラなどに使用され、最近ではスマートフォンやゲーム機に搭載されるケースも多くなってきています。
一方で、加速度センサーは、その名のとおり「加速度」を検知するためのセンサーです。慣性力を利用して物体の移動速度の変化を測定し、電気信号として出力します。加速度からは物体の振動の様子や衝撃の大きさといった情報を得ることも出来るため、加速度センサーは幅広い用途に使用されています。
両者はそれぞれ対象となる物理量が違いますが、両センサーを組み合わせることで物体の動きをより詳細に検知することも可能です。
たとえば、自動車のカーナビにはジャイロセンサーと加速度センサーの両方が搭載されています。ジャイロセンサーで自動車の向きを、加速度センサーで移動距離を検知することで、トンネル内など電波が届きにくい場所でも現在地を高精度に表示することが出来ます。
ジャイロセンサーは、回転運動を伴う機械において、その運動の様子を画面表示したり、制御したりする場合に使用します。
検知方式によっていくつかの種類に別けられますが、最も一般的なものが「振動式」といわれるものです。一定方向に振動させた振動子に回転運動を与えることでコリオリ力を発生させ、この時の両電極間に生じる静電容量差から角速度を検出します。半導体技術が発達したことで小型化・集積化が実現し、現在では電子機器における重要なセンサーの一つとして、多くのデバイスに内蔵されるようになりました。
それ以外にも「光学式」や「機械式」などがありますが、これらは構造的に小型化することが難しいため、飛行機や船舶などの大型輸送用機器に使用されることが多いようです。
また、ジャイロセンサーはその用途によって必要とされる角速度の検出範囲が異なります。たとえば、スマートフォンなどのモバイル機器の場合は300~2000dps(degree per second、1秒間あたりの回転角度)、カーナビなどの自動車向け機器の場合は100~500dpsほどの範囲を必要とします。そのため、センサー選定時には、機器の使用状況を踏まえ、どのくらいの検出範囲があれば充分なのかを考慮したうえで選定する必要があります。
ジャイロセンサの出力に対して誤差を発生させる要因は複数あります。その中でも気をつけなければならない特性としてドリフトが挙げられます。
本来初期値として与えられるゼロ点がドリフトし、初期値が少しずつずれていくことで検出誤差が大きくなることをドリフトと表現します。
ドリフトが生じる内的要因としては、DC成分のゆらぎ(低周波の変動)と、高周波のノイズによる影響です。DC成分のゆらぎはバイアス不安定性、高周波ノイズは角度ランダムウォークと呼ばれます。
バイアス不安定性に関しては、供給電圧の安定性に依存しますので、電源の見直しで改善することは言うまでもありません。厄介なのは角度ランダムウォークで、これはデバイス固有のパラメータと言い換えても差し支えありません。
3軸はロール・ピッチ・ヨーで表現され、これらの軸によって姿勢を表現することが可能となります。特にロール・ピッチに関しては、ドリフトそのものをフィードバック回路として自身で補正させることも可能です。また、ローパスフィルタやカルマンフィルタを用いてドリフト誤差を低減する方法も提唱されています。
角度ランダムウォークの補正方法については各社のノウハウとなりますが、一般的に良く用いられている補正方法としてカルマンフィルタを用いた補正が挙げられます。
カルマンフィルタの概念を詳細に説明することは困難を極めますが、概要のみの説明に留めるならば、「直前までの情報と、現在取得したデータをもとに、最も適切なシステムの状態を推定する手法」のことを指します。
時間とともに変化する変数を、過去の情報と現在取得した情報から本来のあるべき姿を推定する問題と言い換えることも可能です。この測定値及び変数そのものにもノイズが乗っているものとして取り扱うのが重要です。
カルマンフィルタはかつてのアポロ計画や、現代ならカーナビのシステムなどにも活用されています。ノイズが乗っている系から真の値を推定するので、ランダムウォークによって生じるドリフトの影響を考慮した補正を適用させることが可能となっています。
参考文献
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja|lang_en&id=0ouwQBddBJ0C&oi=fnd&pg=PA1&dq=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5&ots=2qeksXRBpe&sig=zyRx9TFv2uqe0cFTyHHXN51F40U#v=onepage&q=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5&f=false
http://yokoya.naist.jp/paper/datas/79/PRMU.pdf
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b14
https://ednjapan.com/edn/articles/1406/09/news014.html
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/raqs/raq-issue-139.html
https://qiita.com/MoriKen/items/0c80ef75749977767b43
https://mems.tamagawa-seiki.com/words/
各種ジャイロセンサーの値をグラフにプロットし、表にしました。ベータ版機能のため一部製品のみの表示となっております。
横にスクロールすると表の全体をご覧頂けます。
製品名 | IMU(慣性計測ユニット)一覧 | XV7011BB | XV7001BB | ジャイロセンサ SCC3000シリーズ | FXAS21002C: 3-Axis Digital Gyroscope | A3G4250D | I3G4250D | L2G2IS | L3GD20H | ADXRS910 ロールオーバー検出面内ジャイロ・センサー |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最大検出範囲[± deg/s] | 450 | 100 | 100 | 300 | 2000 | 245 | 2000 | 200 | 2000 | 300 |
感度 [LSB(deg/s)] | 66 | 280 | 280 | 80 | 0.063 | 8.75 | 70 | 131 | 70 | 80 |
会社名 | セイコーエプソン株式会社 | セイコーエプソン株式会社 | セイコーエプソン株式会社 | 株式会社村田製作所 | NXPジャパン株式会社 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 | アナログ・デバイセズ株式会社 |
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ジャイロセンサーのカタログ一覧はこちら企業
セイコーエプソン株式会社 センサテック株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年6月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | セイコーエプソン株式会社 | 27.6% |
2 | 株式会社村田製作所 | 8.8% |
3 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 | 8.8% |
4 | TDK株式会社 | 7.5% |
5 | パナソニック株式会社 | 6.6% |
6 | アナログ・デバイセズ株式会社 | 6.6% |
7 | 近藤科学株式会社 | 6.1% |
8 | 多摩川精機株式会社 | 5.7% |
9 | NXPジャパン株式会社 | 5.3% |
10 | 住友精密工業株式会社 | 5.3% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年6月のジャイロセンサーページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
Metoreeに登録されているジャイロセンサーが含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
・SPI/I2Cシリアスインターフェイスに対応
・16・24ビットでの角速度出力
・-20度から+80度までの静止時出力温度安定性
・温度センサーを内蔵
・セレクタブルデジタルフィルタ及び離周波数除去フィルタを内蔵
・電力消費を抑えた設計
・軽量であり、小型です。スペースを無駄にすることなく設置することが可能
・環境や使用時間による出力の変化を最小限に抑えた設計
・電源電圧は3.0~5.0ボルトの範囲で対応
・シングルパッケージ6Dofセンサーを使用することで自動運転で要求される高い安全性に対応
・ISO26262企画に準拠しASIL-Dシステムの開発に対応
・キャリブレーションを行うことでコンポネートレベルでの他軸感度の誤差が改善
・温度変化による誤差は0.3°以下
・ジャイロRMSノイズレベルを0.0007/s未満
・耐震度製及び動作温度-40°~+110°を実現
・自己診断機能を有り
・最大-300°/s~+300°/sの角速度測定範囲
・-6gから+6gの加速度を測定可能
・電源電圧は3.0~3.6ボルトの範囲で対応
・-40度~105度の幅広い温度範囲における安定性
・80LSB/°/secで-300°sec~+300°のフルスケール・レンジを測定可能
・ディスクセンサー構造により、面内角周辺での角速度の測定が可能
・24.6・49・102・201Hzから-3dBフィルター・コーナー周波数を選択可能
・16ビット・32ビットでのSPIトランザザクションを含む、センサー・データ出力できる
・10MHzまでのSPI通信が可能
ミスミでチェック