リニアレギュレータICについての概要、用途、原理などをご説明します。また、リニアレギュレータICのメーカー33社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
リニアレギュレータICは、安定した電圧の電源を出力する電子回路です。入力された電源に対して、抵抗や半導体素子の電圧降下の作用によって、一定の電圧を出力端子から供給します。入力電圧に対して、出力の電圧が小さいとその分損失が大きくなるので、小電力で動作する回路や電子部品などの電源として利用されています。リニアレギュレータICの中でも、可変抵抗器を直列につないだものをシリーズレギュレータ、並列につないだものをシャントレギュレータと呼ばれています。
リニアレギュレータICは、小電力で動作する電子機器や精密機器などの電源部分として使用されます。回路が単純であるため、低価格帯の製品が多く、供給する電源の電圧の安定性に優れており、ノイズが少ないため、多くの製品で利用されています。リニアレギュレータICの中でも、シリーズレギュレータは、可変抵抗器で電圧降下を行う際に発熱するため、冷却装置と同時に使用する必要があるので、選定の際には注意が必要です。
一般的な3端子レギュレータを使用して、リニアレギュレータICの動作原理を説明します。3端子レギュレータは、入力端子、出力端子、グランドの3つの端子があり、入力端子とグランドの間に、電源と入力コンデンサを接続し、出力端子とグラントの間に出力コンデンサを接続することで、出力端子から、一定の電圧の電源が供給されます。
リニアレギュレータICの内部は、可変抵抗器と基準電圧源などで構成されている制御装置で構成されています。制御装置では、可変抵抗器を通過した部分の電圧を測定し、フィードバック制御を行い、可変抵抗器の抵抗値を変動させることで、出力端子から供給される電圧の大きさを一定に制御します。可変抵抗器では、電圧降下を行わなければならないので、安定して電源を供給するためには、ドロップアウト電圧と呼ばれる入力電圧と出力電圧の差の最小値を上回る入力電圧が必要になります。通常は、1.5V程度であるため、注意して選定する必要があります。
3端子レギュレータは、不安定な入力電圧をトランジスタやFETなどの素子を用いて安定した出力電圧を得るものですが、入出力端子間の電圧差と出力端子から流れる電流(出力電流)との積がレギュレータ内部の熱となって電力が消耗されます。従って、入力電圧と出力電圧の差が大きいほど、かつ出力電流が大きいほど発熱量は多くなります。その為3端子レギュレータを使う際は放熱設計が重要な要素となります。効率的に放熱するように、適切なヒートシンクを設計して3端子レギュレータに取り付けることが必要です。
3端子レギュレータは、出力電圧をフィードバックして常に安定した電圧を出力するよう動作しています。それ故入力端子-GND間と出力端子-GND間に接続するコンデンサは非常に重要ですが、特に出力端子のコンデンサが適切なものでないと出力電圧が発信する恐れがあります。一般的には3端子レギュレータのメーカーが推奨するコンデンサを選定することになりますが、その場合もコンデンサのリード線(パターン)は短くして入出力端子の近傍に接続する様留意して下さい。
また、入力や出力に何らかの異常電圧が加わることが予想される場合は、3端子レギュレータを保護する回路が必要になります。
入力側に瞬間的な高電圧が加わる恐れのある場合は、入力に抵抗やツェナーダイオードを付加してその高電圧をクリップして下さい。
入力電圧が出力電圧より低下する可能性がある場合も対策が必要です。何らかの理由で入力電圧が大きく低下する場合、出力端子には大きな静電容量のコンデンサが接続されている為に電圧が維持されますので、一時的に入力端子よりも出力端子側の方が高い電圧になることがあります。また複数の電源を組み合わせた回路では、他の電源から廻り込んで出力電圧が入力電圧より高くなる可能性も考えられます。これらへの対策として、出力端子から入力端子方向に電流が流れるように保護ダイオード(入力側をカソード、出力側をアノードに接続)を付けておく方法があります。
3端子レギュレータでは、ドロップアウト電圧(入力電圧に対し出力電圧が低下した分)の大きさにより、標準型もしくはLDO型に分類されます。
標準型のドロップアウト電圧は3.0V程度になりますが、LDO型はドロップアウト電圧が1.0Vを下回り、標準型より小さいことが特徴です。尚LDOとはLow Drop Outを省略表示したものです。
電源電圧として12V と5Vの組み合わせが一般的であった頃は、12Vから5Vに変換するのに3端子レギュレータが盛んに採用されましたが、この場合ドロップアウト電圧が3V程度の標準型でも問題なく使えました。ところが3.3V系のデジタルICが主流となって電源電圧が5Vと 3.3Vとの組み合わせになると、基板上で5Vを3.3Vに変換する為にLDO型を採用することが必須となりました。
バイポーラトランジスタを使った標準型の出力回路は、NPNトランジスタ2個をダーリントン接続した構成になっていますが、LDO型の出力回路ではPNPトランジスタ1個で構成しています。これにより小さなドロップアウト電圧での動作が可能になりました。
しかしながら負帰還特性も変化し、LDO型は標準型に対して安定動作範囲が狭くなり発振し易くなっています。それ故にLDO型では、出力端子に接続されるコンデンサの容量やESR(等価直列抵抗)特性が極めて重要なファクターとなります。
なお「LPO型は低飽和なので、損失が小さく抑えられる」とのメリットが考えられますが、それは入力電圧と出力電圧の電圧差を小さくした場合に云える事であり、電圧差が大きい場合は標準型と変わるところはありません。
参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/dc-dc-converters/dcdc_what4
https://www.zuken.co.jp/club_Z/zz/tech-column/20171025_r002.html
https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.459.1242&rep=rep1&type=pdf
https://pages.rohm.co.jp/Tech_download05.html
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/3-terminal-regulators-guide
https://www.njr.co.jp/electronic_device/PDF/application_notes/3_TER_VOL_REG_J_REL.pdf
https://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/34/34391/34391_onboard.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
BD00EA5Wxxxシリーズは、低消費電流リニアレギュレータICです。
BD00EA5WFPは45 V耐圧、出力電流500 mA、消費電流17 μA(Typ)となっています。
出力電圧はADJ端子の抵抗を調整することで、1.2 Vから16 Vまで設定できるようになっています。
出力短絡などによるIC 破壊を防止する過電流保護、ICを過負荷状態などによる熱破壊から防ぐ過熱保護回路を内蔵しており、幅広いアプリケーションに対応できる製品となっています。
R1560シリーズは、入力最大60 V、 100 mA出力可能な超低消費リニアレギュレータICです。
産業用の製品は、動作温度範囲はマイナス50 ℃まで対応しており、低温から高温まで幅広い温度範囲をカバーすることができます。
入力電圧は5.5 Vから60 V と幅広く、出力電圧精度は±0.8%の高い精度を実現しています。
絡電流制限回路、過電流保護回路、サーマルシャットダウン回路を標準内蔵しており、電気製品の定電圧源に最適な製品となっています。
NR301E、NR302Aは、最大出力電流1AのリニアレギュレータICです。
放熱パッドが付属した面実装型8ピンタイプのパッケージが採用されており、さらに過電流保護機能、過熱保護機能が標準搭載されているため、少数の周辺部品でリニアレギュレータ回路の構成が可能となっています。
また、出力電圧はセラミックコンデンサで安定化できるため、電解コンデンサを使用する場合に比べ、実装面積を削減できます。
AV機器、OA機器、白物家電などへのアプリケーションに最適な製品となっています。
S-19251シリーズは、CMOSプロセス技術が採用された、高性能なリニアレギュレータICです。
75 dB typ.の高いリップル除去率を実現、消費電流も20 μA typ.と低消費電流で動作することができます。
また、出力トランジスタの過電流を制限するための過電流保護回路と、発熱を制限するためのサーマルシャットダウン回路を内蔵しており、長時間使用でも安定したパフォーマンスを発揮できます。
車両機器、車載機器へのアプリケーションに最適な製品となっています。