MMICについての概要、用途、原理などをご説明します。また、MMICのメーカー28社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。MMIC関連企業の2022年7月注目ランキングは1位:旭化成エレクトロニクス株式会社、2位:パナソニック株式会社、3位:Transcom.Inc.となっています。
MMICは、マイクロ波の増幅・スイッチング・ミキシングなどを行うための機能を一つの半導体基板上に集約した集積回路で、モノリシックマイクロ波集積回路と言います。
集積回路にはハイブリッド集積回路とモノリシック集積回路の2種類があり、必要な素子を一つの基板に集約することで機能をもたせたものをモノリシック集積回路といいます。ハイブリッド集積回路は、モノリシック集積回路などを高密度に集約し、一つの集積回路にしたものを指します。
MMICは、従来のディスクリート部品を組み合わせて作るMIC(マイクロ波集積回路)と比べて、はんだ付け部分などが無いため故障発生の頻度が低いことが特徴です。また、部品点数が少なく小型化、軽量化も実現できます。代表的な使用例としては衛星放送の受信機があり、小型化、軽量化はもちろんのこと、量産による低価格化が期待されています。
また、近年では携帯電話に搭載されたり、RFIDなどの無線通信機器に使用されたりもしています。
MMICは、半導体微細加工技術の向上によって一つの回路ブロックが単一の半導体チップ上に全て集積させています。トランジスタやダイオードのような、波形や周波数を制御するための能動素子と、抵抗やコイル、コンデンサのような受動素子を基板表面に形成させます。
MMICにおいて、よく使用される能動素子としては、MESFET,HEMT,HBT,MOSFETなどで、ガリウムヒ素やシリコンといった、化合物半導体材料から作られています。半導体材料が異なれば電子の移動度やエネルギーギャップが異なるので素材を選択することで高出力や高周波に対応させることができます。
受動素子は、主にインダクタ、キャパシタ、抵抗が使用されます。インダクタは高インピーダンス線路やスパイラルインダクタが多く使用されています。キャパシタは、誘電体・対向電極がサンドイッチのような構造をとったMIM構造や、櫛形電極を並べた構造を持つものなどがあります。
MMICの代表的な事例として、GaAs基板上のMMICや、SiGeのMMIC等があげられます。
携帯電話やスマートフォン上に用いられるセルラー向けの高周波パワーアンプやWifi通信用の高周波パワーアンプは、一般にGaAs基板上のMMICやSiGeのMMICが良く用いられています。その理由は基地局送信向けに数Wクラスの電力を増幅して、出力しなければならないために、高い増幅率と高い効率を兼ね備えたトランジスタが形成可能であることと、高周波向けの整合(マッチング)回路に用いられる容量やスパイラルインダクタもそれなりに高いQ値が確保できるGaAs基板やSiGe上のMMICが適切であるためです。
またトランジスタは、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)がよく使われます。これは比較的ばらつき制御がしやすく、かつHEMTデバイスのように負電源バイアスが必要ではないためです。
MMICの回路での代表事例はパワーアンプとローノイズアンプですが、MMICにする利点は面積小型化と整合素子をオンチップで形成することでの部品点数削減による低コスト化があります。特にセルラー用途向けのSub6GHz周波数やWifi5GHz周波数等は5GHz近傍の整合回路設計に都合の良いインダクタンス値や容量値がその大きさから、オンチップで形成した方が都合が良いために、好んでMMICが用いられています。
ディスクリート部品で構成されたPAモジュールもひと昔前はよく見かけたのですが、最近のパワーアンプは少なくとも多段アンプの入力や段間整合回路はチップ上にMMICとしてアクティブ素子と共に構成されるのが普通です。
MMICでないと構成が厳しいアプリケーションに5G通信向けや衝突防止の車載レーダー向けのミリ波用途が挙げられます。
この場合のアクティブ素子は周波数特性に優れたGaAsのHEMTデバイスやInP系のHBT、Si系の微細CMOSを用いるのが一般的です。ミリ波帯のアプリケーションでは、その電力を稼ぐためにビームフォーミングというアンテナアレイ技術もMMICと組合せて用いられたりします。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1985/2/3/2_3_10/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1993/13/3/13_3_22/_pdf/-char/ja
https://sei.co.jp/technology/tr/bn173/pdf/sei10546.pdf
http://www.ieice-hbkb.org/files/10/10gun_07hen_01.pdf
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MMICのカタログ一覧はこちら企業
日清紡マイクロデバイス株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年7月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 旭化成エレクトロニクス株式会社 | 14.1% |
2 | パナソニック株式会社 | 10.9% |
3 | Transcom.Inc. | 10.9% |
4 | 日清紡マイクロデバイス株式会社 | 7.8% |
5 | 住友電工デバイス・イノベーション株式会社 | 6.3% |
6 | NXPジャパン株式会社 | 4.7% |
7 | Microchip Technology Inc. | 4.7% |
8 | インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社 | 4.7% |
9 | OMMIC | 4.7% |
10 | Qorvo, Inc. | 4.7% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年7月のMMICページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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AK5806は、3次のカットオフ可変ハイパスフィルタ―(HPF)と、ゲイン可変アンプ (PGA)を内部に保有したベースバンドMMIC です。
5MHzまでの、ベースバンド信号のゲイン調整及び、周波数帯域調整を実行することが可能なため、AD変換前に微小アナログ信号の増幅と、帯域制限に適しています。
主な特徴としては、3次カットオフの可変ハイパスフィルター及び、ゲイン可変アンプを搭載していることがあり、主な用途としてはミリ波レーダーなどが挙げられます。
製品の仕様としては、チャネル数は8で、HPFカットオフ周波数(最小)[kHz]は25であり、HPFカットオフ周波数(MAX)[kHz]は1000となっていて、ゲインミスマッチ[dB]は1、位相不一致[度]は1で、内部ゲイン[dB]は42であり、消費電流[mA]は300で、動作温度[℃]は-40~125の範囲となっています。
Power Amplifier MMICs (Packages)のEMM5077VUは、3.4〜5.0GHzの周波数範囲の標準通信帯域用に内部整合された2段増幅器を含むパワーアンプMMICです。
厳格な品質保証プログラムによって、最高の信頼性と一貫した性能が保証されています。
高出力電力:Pout = 31.0dBm(標準)で、高い線形ゲイン:GL = 26dB(標準)であり、ブロードバンド:3.4〜5.0 GHzかつ、インピーダンス整合Zin/Zout=50Ωで、小型ハーメチックメタル-セラミックSMTパッケージ(VU)となっています。
Amplifier MMICsは最先端のMMICであり、用途としては、航空宇宙や、防衛及び、通信などであり、RF、マイクロ波、およびミリ波市場の主要な機能をカバーしています。
アンプMMICや、低ノイズアンプMMICだけでなく、減衰機MMICや、移送器MMICも手掛けています。
扱っている周波数の範囲も幅広く、2GHz~20GHz程度の物から、93GHz~95GHz程度物まで、様々な種類の物を手掛けています。
24 GHz PRODUCTS - Radar Front Ends in the ISM Band, LNAs and Receiversは、標準コンポーネント、主にレーダーおよび通信アプリケーション用のMMICです。
この24 GHzの範囲では、製品スペクトルは、高性能の低ノイズアンプから、純粋な受信機、さまざまな特性のトランシーバーまで多岐にわたります。
使用しているSiGeテクノロジーと、多くの製品で使用されている標準化されたQFNパックに基づいています。
このMMICは小型化されていることが特徴であり、フロントエンド全体は、3 x3ミリメートルのサイズのICに収容されていて、一部のICでは、アンテナはパッケージまたはシリコンチップに統合されており、独自の製品を形成しています。
MMICのうち、39GHz(38.6〜40GHz)および37GHz(37〜38.6GHz)のスペクトルは、FCCによって柔軟に使用できるようになっています。
この割り当ては、5Gシステムの開発と試行を促進することを目的としていて、PRFIによって設計された5G PAを含む評価PCBを示しており、これらの帯域の両方をカバーしています。
PCBで評価した場合、ゲインは約20dBで、出力はIP3を基準にして37〜42GHzで+ 40dBmです。
このICは、大量の0.15µm GaAs PHEMTプロセスで製造され、SMT互換のエアキャビティQFNプラスチックパッケージに組み立てられていて、オンチップの電力検出器が組み込まれているため、送信された出力電力を監視できます。