MMICについての概要、用途、原理などをご説明します。また、MMICのメーカー28社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。MMIC関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:旭化成エレクトロニクス株式会社、2位:Qorvo, Inc.、3位:Eclipse Microwave, Inc.となっています。
MMICとは、主にマイクロ波の増幅・スイッチング・ミキシングなどを行うための機能を一つの半導体基板上に集約した集積回路 (IC) のことです。
「Monolithic Microwave Integrated Circuit」の略称であり、モノリシックマイクロ波集積回路を指します。集積回路にはハイブリッド集積回路とモノリシック集積回路の2種類があり、必要な素子を一つの基板に集約することで機能をもたせたものをモノリシック集積回路といいます。
一方で、ハイブリッド集積回路は、モノリシック集積回路などを高密度に集約し、マザーボードやモジュール基板などの上で一つの集積回路にしたものです。
MMICは、スマートフォンに代表される携帯端末や、センサーを活用したRFIDなどの通信、基地局向け送受信IC、衛星放送の受信機など、主にマイクロ波を通信に用いる用途に活用されています。従来のディスクリート部品を組み合わせて作るMIC (マイクロ波集積回路) と比べて、はんだ付け部分などが無いため故障発生の頻度が低いことが特徴です。
また、部品点数が少ないため、MMICを活用することで、小型化、軽量化、低コスト化に貢献します。
MMICの原理は、マイクロ波の集積回路を構成する上で適した材料であるGaAsやSOIなどの半絶縁性半導体基板上に、受動素子であるインダクタやキャパシタを形成し、高周波損失を抑制した状態で、動作速度に優れる能動素子であるバイポーラトランジスタなどを用いてアナログ集積回路を作成する点にあります。
MMICにおいて、よく用いられる能動素子としては、MESFET,HEMT,HBT,MOSFETなどがあ挙げられます。GaAsやGaN、SOIといった、化合物半導体材料や絶縁性に優れた半導体基板より作成される場合が多いです。
半導体材料が異なれば電子の移動度やバンドギャップエネルギーが異なるため、動作周波数や耐圧などの要求される仕様に適した物性の半導体を選択すると、高出力や高周波に対応させることができます。受動素子を使用する目的は、主にインダクタ、キャパシタ、抵抗がマイクロ波の回路のインピーダンス整合をとることです。
インダクタは、高インピーダンス線路やスパイラルインダクタが多く使用されています。キャパシタは、誘電体・対向電極がサンドイッチのような構造をとったMIM構造や、櫛形電極を並べた構造を持つものなどがあります。
マイクロ波用途向けMMICの代表的な事例としては、GaAs基板上のMMIC、SOI-CMOSやSiGe基板でのMMIC等があげられます。スマートフォン上に用いられるセルラー向けの高周波パワーアンプやローノイズアンプ、WiFi通信用の高周波パワーアンプやアンテナ周辺の送受信の経路の切り替え用スイッチは、一般にGaAs基板上のMMICやSOI-CMOSのMMICが良く用いられています。
その理由は、基地局への数GHz帯のマイクロ波の電波の送信向けに数Wクラスの電力を増幅して、出力しなければならないために、高い増幅率と高い効率を兼ね備えたトランジスタが形成可能であることと、高周波向けの整合 (マッチング) 回路に用いられる容量やスパイラルインダクタもそれなりに高いQ値が確保できるGaAs基板やSOI基板上のMMICが適切であるためです。
また、トランジスタは、この分野ではHBT (Heterojunction Bipolar Transistor) がよく使われます。これはMOCVD成膜技術の活用により、比較的ばらつき制御がしやすく、かつHEMTデバイスのように負電源バイアスが必要でないためです。
MMICでないと構成が厳しいアプリケーションには、5Gの特にミリ波通信用途向けの事例や、衝突防止車載レーダー向けのミリ波用途などが分野として挙げられます。この場合のアクティブ素子は、周波数特性に優れたGaAsのHEMTデバイスやInP系のHBT、Si系の微細SOI-CMOSやSiGe HBTを用いるのが一般的です。
デバイスの特性を図る性能指標としてカットオフ周波数 (fT) や最大発振周波数 (fmax) がよく利用されますが、次世代通信規格であるBeyond5Gや6G向けのサブTHz領域などの場合は、この周波数を増幅可能な半導体デバイスは非常に限られます。例えば、D-band 140GHzを扱う半導体デバイスとしては fTは少なくとも倍以上の300GHz程度は必要です。
パッシブ素子も、ミリ波帯の場合、伝送損失が非常に大きくなるため、ディスクリート構成というよりはMMIC化で集積を図ることで、各々の回路ブロック間の伝送損失を可能な限り抑制する技術が欠かせません。ミリ波帯のアプリケーションでは、その電力を稼ぐために、ビームフォーミングというアンテナアレイ技術もMMICと組合せて用いられており、Beyond5Gや6G通信向けに研究開発が活性化している状況です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1985/2/3/2_3_10/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1993/13/3/13_3_22/_pdf/-char/ja
https://sei.co.jp/technology/tr/bn173/pdf/sei10546.pdf
http://www.ieice-hbkb.org/files/10/10gun_07hen_01.pdf
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MMICのカタログ一覧はこちら企業
日清紡マイクロデバイス株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 旭化成エレクトロニクス株式会社 |
9.0%
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2 | Qorvo, Inc. |
6.8%
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3 | Eclipse Microwave, Inc. |
5.3%
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4 | VIPER RF Limited |
4.5%
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5 | 日清紡マイクロデバイス株式会社 |
4.5%
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6 | MicroWave Technology.Inc. |
4.5%
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7 | パナソニック株式会社 |
4.5%
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8 | Silicon Radar GmbH |
4.5%
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9 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 |
3.8%
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10 | MACOM Technology Solutions Inc. |
3.8%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年5月のMMICページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
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NT1191 は、GNSS マルチバンド(1164MHz~1610MHz)に対応した広帯域LNA です。NT1192 は、L5/L2/L6 バンド(1164MHz~1300MHz)に対応した1.2GHz LNA です。...
2022年7月22日
NJG1186 は、L5/E5/B2/G3/L2C バンド(1164MHz~1228MHz)に対応した前段SAW フィルタ及びLNA(ローノイズアンプ)内蔵の1.2GHz FEM 製品です。昨今、自動車、ドロ...
2022年7月22日
NT1189は、5G(Sub6)基地局向けLNAです。低歪みと高利得特性の両立、及び低NF(雑音指数)特性で受信感度の改善及び向上に貢献します。外部回路の変更により、3....
2022年11月1日
AK5806は、3次のカットオフ可変ハイパスフィルタ―(HPF)と、ゲイン可変アンプ (PGA)を内部に保有したベースバンドMMIC です。
5MHzまでの、ベースバンド信号のゲイン調整及び、周波数帯域調整を実行することが可能なため、AD変換前に微小アナログ信号の増幅と、帯域制限に適しています。
主な特徴としては、3次カットオフの可変ハイパスフィルター及び、ゲイン可変アンプを搭載していることがあり、主な用途としてはミリ波レーダーなどが挙げられます。
製品の仕様としては、チャネル数は8で、HPFカットオフ周波数(最小)[kHz]は25であり、HPFカットオフ周波数(MAX)[kHz]は1000となっていて、ゲインミスマッチ[dB]は1、位相不一致[度]は1で、内部ゲイン[dB]は42であり、消費電流[mA]は300で、動作温度[℃]は-40~125の範囲となっています。
Power Amplifier MMICs (Packages)のEMM5077VUは、3.4〜5.0GHzの周波数範囲の標準通信帯域用に内部整合された2段増幅器を含むパワーアンプMMICです。
厳格な品質保証プログラムによって、最高の信頼性と一貫した性能が保証されています。
高出力電力:Pout = 31.0dBm(標準)で、高い線形ゲイン:GL = 26dB(標準)であり、ブロードバンド:3.4〜5.0 GHzかつ、インピーダンス整合Zin/Zout=50Ωで、小型ハーメチックメタル-セラミックSMTパッケージ(VU)となっています。
Amplifier MMICsは最先端のMMICであり、用途としては、航空宇宙や、防衛及び、通信などであり、RF、マイクロ波、およびミリ波市場の主要な機能をカバーしています。
アンプMMICや、低ノイズアンプMMICだけでなく、減衰機MMICや、移送器MMICも手掛けています。
扱っている周波数の範囲も幅広く、2GHz~20GHz程度の物から、93GHz~95GHz程度物まで、様々な種類の物を手掛けています。
24 GHz PRODUCTS - Radar Front Ends in the ISM Band, LNAs and Receiversは、標準コンポーネント、主にレーダーおよび通信アプリケーション用のMMICです。
この24 GHzの範囲では、製品スペクトルは、高性能の低ノイズアンプから、純粋な受信機、さまざまな特性のトランシーバーまで多岐にわたります。
使用しているSiGeテクノロジーと、多くの製品で使用されている標準化されたQFNパックに基づいています。
このMMICは小型化されていることが特徴であり、フロントエンド全体は、3 x3ミリメートルのサイズのICに収容されていて、一部のICでは、アンテナはパッケージまたはシリコンチップに統合されており、独自の製品を形成しています。
MMICのうち、39GHz(38.6〜40GHz)および37GHz(37〜38.6GHz)のスペクトルは、FCCによって柔軟に使用できるようになっています。
この割り当ては、5Gシステムの開発と試行を促進することを目的としていて、PRFIによって設計された5G PAを含む評価PCBを示しており、これらの帯域の両方をカバーしています。
PCBで評価した場合、ゲインは約20dBで、出力はIP3を基準にして37〜42GHzで+ 40dBmです。
このICは、大量の0.15µm GaAs PHEMTプロセスで製造され、SMT互換のエアキャビティQFNプラスチックパッケージに組み立てられていて、オンチップの電力検出器が組み込まれているため、送信された出力電力を監視できます。