ゲートドライバについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ゲートドライバのメーカー22社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ゲートドライバ関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:新日本無線株式会社、2位:株式会社タムラ製作所、3位:オン・セミコンダクターとなっています。
ゲートドライバーは、電圧によって駆動するタイプのトランジスタであるMOSFETに
おいて、そのゲート端子に電圧をかけて駆動制御する回路で、これが現在最も汎用ゲート
ドライバーになります。ここでMOSFETのゲートを駆動制御する回路にも、抵抗や
ダイオードやバイポーラなどのトランジスタを使用した回路の他、ゲートドライバー周辺
回路部品自体も日進月歩で進化しており、その種類や組み合わせは豊富であるため、現在、
最も広く使われるゲートドライバーであるMOSFETを使ったゲート電圧駆動制御回路
を習得するのが実用的です。
ゲートドライバの使用用途は多彩ですが、その中でも主な使用方法を紹介します。最初は
MOSFETとゲート抵抗だけのシンプルな駆動回路で、メリットは部品点数の少なさに
なりますが、弱点は抵抗値によって、スイッチング速度や損失が大きく変わるため、丁度
良い抵抗値に設定するのが大変になります。次に、この抵抗値調整の課題を改善した回路
として、MOSFETのゲートをONとOFFをダイオードで別々に駆動する回路があり
ます。ただこれにも問題があり、ダイオード分の電圧が残るため、完全にゼロにならない
弱点があり、これもクリアしたものが、MOSFETのPchとNchを上下に接続した
プッシュプルと呼ばれる回路が現在では最もよく使われています。
ゲートドライバーは何故存在するのかと言った問いかけがあります。その端的な
理由は、本来動かしたい大電流駆動回路をマイコンなどの信号で直接駆動するには、駆動
するための電流の不足や電圧を完全に動作させたり遮断させたりするスレッショルド電圧
を確保出来ないため、それを補完する形で、ゲートドライバーが使われています。例えば、
大電流を流すことが出来るパワー素子として、パワーMOSFETやIGBTがありますが、
これらを直接駆動する電圧や電流は、通常、マイコンが出力できる電流や電圧では、不十分
である場合が殆どであり、どうしてもそのパワー素子とマイコンで駆動するには、その間に
インターフェイス、つまりゲートドライバーが必要になってきます。言い換えれば、ゲート
ドライバは、実際に現場で大きな仕事をする力持ちのパワー素子と制御方針を命令する頭脳
で社長的な役割のマイコンとの間を取り持つ中間管理職と言った役割の回路であると言えます。
超高速ゲートドライバとは、ゲートドライバの中でも特に高速スイッチングに特化して、高速スイッチングに対応したゲートドライバーのことを言います。その高速ゲートドライバの中でも超高速と呼ばれる部類は、概ね目安としてスイッチング速度が数十p(ピコ)秒以下の素子になります。ピコは10のマイナス12乗になりますので、1秒のマイナス12乗(1兆)分の1以下の速さでスイッチングするゲートドライバが、超高速ゲートドライバになります。これは昨今の膨大な高速情報処理社会における情報処理機器の超高速化要求に応じた半導体素子の技術革新によって、同時に起こり得たゲートドライバの進化とも言えます。
実用化されている超高速素子ゲートドライバとしては、以下のものがあります。1つ目が、半導体として最もよく利用されているシリコンを用いたトランジスタで、バイポーラ型とMOS型です。前者が高速で、数十ピコ秒のスイッチングが可能です。逆に、MOS型は動作は遅延しますが、高密度な回路集積に適しています。
2つ目は、化合物半導体タイプのトランジスタで、ショットキーゲートタイプの電界効果トランジスタの通称MESFET、ヘテロバイポーラトランジスタの通称HBT、高移動度電界効果トランジスタの通称HEMTがあり、使われる半導体は ガリウムヒ素系化合物です。この素子は数ピコ秒のスイッチング動作が可能な現在の超高速に対応した素子で、最も高速な半導体になります。更に、3つ目は研究段階ではありますが、ジョセフソン素子と呼ばれる2種類の超伝導体間のトンネル効果を利用したもので、2つ目に紹介した素子の半分のスイッチングスピードが可能で、ニオブなどの金属材料が使われますが、動作には極低温を要する等の条件があり、実用化にはまだまだ課題があります。
SiCゲートドライバは、耐圧性能とスイッチング速度改善と言う点に優れており、昨今のパワーエレクトロニクスの世界で注目されている半導体素子で、その活用が業界のトレンドにもなっているシリコンカーバイド(通称SiC)と呼ばれる半導体によって構成されたゲートドライバーのことを言います。
特にシリコンカーバイドを使用したMOSFETは、高電力対応のインバータにおいて、課題になっているそのスイッチング性能を大きく向上させることに寄与し、その高いブレークダウン電界強度とキャリアドリフト速度を実現しつつ放熱性を改善させました。しかし、シリコンカーバイドには、更なるコンパクト設計と高速短絡耐量の要求がある為、ゲートドライバにとして使用する場合、様々なシリコンカーバイド組成構成における電圧の相違を解決しなければならないと言う実用面で独自の問題があるのが、現状の課題です。
参考文献
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/articles/isolated-gate-drivers-what-why-and-how.html
https://detail-infomation.com/gate-driver-type/
https://www.rohm.co.jp/power-device-support
https://kotobank.jp/word/%E8%B6%85%E9%AB%98%E9%80%9F%E7%B4%A0%E5%AD%90-161225
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 新日本無線株式会社 | 15% |
2 | 株式会社タムラ製作所 | 9.7% |
3 | オン・セミコンダクター | 8.8% |
4 | ローム株式会社 | 8% |
5 | インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社 | 8% |
6 | アナログ・デバイセズ株式会社 | 8% |
7 | 株式会社東芝 | 8% |
8 | 日本テキサス・インスツルメンツ合同会社 | 7.1% |
9 | イサハヤ電子株式会社 | 4.4% |
10 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 | 4.4% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月のゲートドライバページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
TLP5214A フォトカプラ(IC出力)は、最大高さ2.3mmの薄型パッケージに高度に集積された、出力ピーク電流4.0Aのゲート駆動フォトカプラです。
沿面距離・空間距離が共に8mmであることに加えて、110℃の高温で動作可能なことが特徴です。
さらに、ソフトIGBTターンオフ、アクティブ・ミラークランプ、フォルト信号フィードバック、IGBT非飽和検出、低電圧ロックアウト (UVLO) 機能を備えており、インバータにおけるIGBTやパワーMOSFETの駆動に最適です。
UCC23513は、フォトカプラ入力互換付きかつ、シングル・チャネル絶縁型のゲートドライバです。
強化絶縁定格が5kVRMSであることや出力ピーク電流が3.0Aであることの他に、出力ドライバ電源電圧が13.2V~33Vまでと高いためバイポーラ電源を使用してSiCパワーFETを効果的に駆動することができるという特徴があります。
産業用電源、DC モータ制御、ソーラー、家電製品のインバータ用途に最適です。
BM6101FV-Cは、絶縁電圧2500Vrms、入出力遅延時間350ns、最小入力パルス幅180nsの絶縁素子を内蔵しているゲートドライバです。
動作温度範囲が-40℃~125℃であることや最大ゲート駆動電圧が24Vであることの他に、ミラークランプ機能やフォールト信号出力機能、短絡保護機能を内蔵していることが特徴です。
車載用インバータや車載用DCDCコンバータ、産業用インバータなどに利用することができます。
ADuM4137は、絶縁型IGBTの駆動用に最適化されたシングル・チャネル絶縁型のゲートドライバです。
ミラー・クランプ動作の有無に関わらずユニポーラ2次電源での動作も可能なことや、過電流イベントが発生した際にIGBTを保護する過電流検出機能が内蔵されていることが特徴です。
温度設定を現場で行う際には、IGBTにおけるシステム温度と検出ダイオードのゲインとオフセットを絶縁した状態でモニタすることが可能です。