ディレイラインICについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ディレイラインICのメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
ディレイラインICは、電気信号の伝搬時間を遅くする機能を持つ集積回路です。
論理回路では一つの回路の出力が次の回路に入力するまでの時間をゼロとして扱いますが、実際は有限の遅延時間が発生します。異なる経路を通ってきた複数の信号は、論理回路上で同時に入力していたとしても、実際の回路では異なるタイミングで入力することになります。
このような異なる位相を持つ複数の信号のタイミングを合わせたり、また、信号を意図的に遅らせたりする場合に使われるのが、ディレイラインICです。
ディレイラインICは、電子回路の中で、複数の信号の入力タイミングを合わせるために使用されます。
特に、クロック信号とデータ信号のスキュー合わせによく使用されます。また、信号の歪みの除去、パルス幅の変更、周波数を整数倍の高周波数に逓倍するなどの用途にも使われます。
ディレイラインICは、電子回路内の信号の時間を正確に調整することができるため、医療用CT、ソナー海洋機器、レーダー機器、放射能検出機器など短時間に起こる事象の検出用途に使用されます。また、放送機器、通信機器、家電などの分野でも使われています。
基本的なディレイラインは、インダクタンスLとキャパシタンスCをはしご型につなげた伝搬回路で構成されます。遅延時間は、Lの平方根、Cの平方根、はしごの段数Nに比例します。
ディレイラインには、この他に、論理ゲートの伝搬遅延時間を電源電圧で制御し、プロセスや温度、電圧の変動による論理ゲートの遅延の変動を打ち消す電圧制御ディレイライン(VCDL)もあります。
ディレイラインICには、主にパッシブディレイライン、アクティブディレイライン、プログラマブルディレイラインの3つの種類があります。
パッシブディレイラインは、電源を必要としない受動素子で構成されたディレイラインです。インダクタンスLとキャパシタンスCで構成されるタイプは、パッシブディレイラインになります。
アクティブディレイラインは、電源が必要な能動素子で構成されたディレイラインで、外部デジタル回路を直接駆動することができます。論理ゲートの伝搬遅延を利用するVCDLはアクティブディレイラインになります。
プログラマブルディレイラインは、遅延時間をプログラムで変化させることができるディレイラインです。マルチプレクサ機能を持つゲートとディレイラインを組み合わせ、アドレス信号入力によって遅延時間を制御します。アドレス入力を固定すれば、通常のディレイラインとしても使えます。
プログラマブルディレイラインのディレイライン部は、パッシブディレイラインを使うものと、アクティブディレイラインを使うものがあります。
参考文献
https://jpc-inc.co.jp/wp-content/themes/jpc-inc/pdf/DL.pdf
https://pdfserv.maximintegrated.com/jp/an/A4617J.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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