飛沫防止パネル

飛沫防止パネルとは

飛沫防止パネル

新型コロナウィルスの流行に伴い、コロナウィルス感染症対策として飛沫防止パネルの利用が進んでいます。
コロナウィルスの感染が唾液の飛沫によるものだという認識から、主に人間の咳や会話の際に飛ぶ唾液の飛沫を飛沫防止パネルを立てることで遮断しています。したがって、飛沫防止パネルは、人と人が対面で接する窓口やレジ等で利用され、人が集まるオフィスのパーテーションとしても使用されています。

物理的に飛沫を遮断することができるので、マスクのみの感染症対策よりも高い飛沫抑制効果と安心感が得られます。現在販売されている飛沫防止パネルは透明の製品が多く、パーテーションとして区切ってもお互いの顔や様子がわかり、スムーズに会話をすることができるのも利点です。

飛沫パネルの利用が望ましい場所

飛沫防止パネルは感染症対策のために導入されており、多くの人と対面する機会の多い事務所、各種販売店、銀行や役所の窓口等での利用が多く見られ、主に机の上に設置して使用されています。

また、飛沫防止パネルは、マスクを外す機会が多く、飲食に伴う飛沫の拡散が懸念される飲食店での利用が推奨されています。特にカウンタなど密接しやすい箇所での使用は効果的です。

飛沫パネルとしては全面パネルとなっているもののほか、切符やお金等の受け渡しのため、窓が一部空いているものもあります。

飛沫防止パネルの形状

飛沫防止パネル

飛沫防止パネルには、折り畳み式や組み立て式があります。
折り畳み式は、図1のように、プラスチック素材などの板に折り目を入れた製品であり、折り目を開くことで自立させる製品です。

また上記のように折り目があることから、立たせていた部材を折り畳み、コンパクトにして運べるのが利点です。

組み立て式は下記に示すように、中央にパネルを差し込む溝部を有するスタンドとパネルをセットにしたものなどがあり、このスタンドによりパネルを自立させる形状のものが多く、スタンドとしては、プラスチック製のものやステンレス製のものが挙げられます。この組み立て式は、組み立てが簡単な上に、軽量であり、移動も簡単です。

飛沫防止パネル

飛沫防止パネルの使用上の注意

利用後のパネルには飛沫がついていますので、利用した後にはウェットティッシュで拭くなど、こまめに消毒を実施することが望ましく、飛沫が付着したウェットティッシュなどは廃棄してください。

なお、プラスチック製の飛沫防止パネルの材質には、アクリルやPET樹脂、硬質塩化ビニルなどが利用されています。PET樹脂、硬質塩化ビニルは消毒に使用されるアルコールや次亜塩素酸ナトリウムに耐性がありますが、アクリルは濃度の高いアルコールで拭くと、微小なクラックが発生する可能性がありますので注意してください。

また、可燃性のプラスチックが使用されている場合があるので、注意書きを読み、コンロの周辺やたばこの喫煙など火気がある場所では使用しないようにしてください。

飛沫防止パネルの効果

人間の咳や会話の際の唾液は、マスクや飛沫防止パネルが何もない場合、平均で1 ~2 m程飛ぶとされているほど広い範囲に飛沫します。

飛沫防止パネルを置くことでどの程度の飛沫を防ぐことができるのかを検証したところ、床から120 センチ(椅子に座った人の口ほどの高さ)のパネルがある状態でせきをした場合、一部の細かいしぶきが仕切り板を超えて、正面や斜め前、横にいる方へ広がっていることが確認できました。また140 センチほど(座った人の頭がほぼ隠れるほどの高さ)のパネルでは、周りの方へはほぼかかっていない状態でした。

すなわち、飛沫防止のためには最低でも頭の位置ぐらいの高さのパネルを置く必要があります。

飛沫防止パネルの素材別の特徴

先程、飛沫防止パネルの形状としては、折り畳み式と組み立て式があることを述べました。飛沫防止パネルのパネル部分の素材によっても、その特徴は大きく異なります。

代表的な飛沫防止パネルの素材とそれぞれの特徴は以下のようなものがあげられます。

建材ボードや、魚箱などに使用されている発砲ポリスチレン素材は、非常に安価で、軽くかつ丈夫で、アルコール消毒も可能なためとても衛生的で、飛沫防止パネルに向いている素材です。しかし、基本的に白や黒などの色がついており、透明ではありません。視界が遮られてしまうので、対面での対話が必要な場所での使用には向いていません。

段ボール素材も発砲スチレン素材と同じく安価で軽量です。他の素材よりは廃棄し易いという特徴があります。一方で、発砲スチレンと同様、視界が遮られてしまうため、対面での対話が必要な場所での使用には向いていません。

元々、アクリルガラスやアクリルケースなどとして用いられているアクリル素材は、厚みや重要感があり、一番強固な素材です。透過性も高く高級感もあるため対面での接客シーンに適しています。

PETなどのプラスチック素材は、比較的透過性もあり軽量で、アクリル素材よりは割れにくく、扱いが容易であるという特徴があります。

その一方で、飛沫防止パネルと同じ用途でビニールカーテンなどを用いられる場合もあります。設置が簡易なことから、利用する場所やシーンなどによって使い分けができます。

まとめ「飛沫防止パネルを選ぶ基準と今後の展望」

これまで飛沫防止パネルについて述べてきましたが、飛沫防止パネルを選ぶ基準としては以下の5点が挙げられます。

  1. 使用する場所やシーン
  2. 飛沫防止パネルの形状
  3. 使用上の注意
  4. パネルのサイズ
  5. 飛沫防止パネルの素材

飛沫防止パネルは、感染症拡大防止グッズとして今後も需要が高まる傾向にあると思われます。現状でも、プラスチックやアクリル素材のパネルの販売額が2 倍以上となっている企業や、5 割ほど増産している企業もあり、原料メーカーにもその需要の影響があります。とある展示会でのアンケートでは6 割ほどの会社が飛沫防止パネルを導入している結果が出ているなど、多くの企業で飛沫防止パネルの必要性を感じていることがうかがえ、今後のさらなる需要の高まりを示しています。したがって、飛沫防止パネルに関わる原材料メーカー、製造メーカー、販売物流企業などにその影響があると予想されます。購入する側にとっても製造販売する側にとってもビジネスチャンスとなり得る商品です。

参考文献
https://www.tenpokagushop.com/wism/special/acrylic.html
https://www.office-com.jp/products/list7004.html
https://www.asahi.com/articles/ASN636TPJN63PLBJ003.html
https://www.fjtex.co.jp/hansoku/blog/partition-comparison/#i-5
https://www.hansoku-express.com/display//c-4_922/c-925/p-4293?cPath=922_925
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000032175.html

サーバーラック

サーバーラックとは

サーバーラック

サーバーラックとは、コンピューターシステムやネットワーク機器などを収容するためのラック型の収納装置です。

通常、スチール製のフレームに取り付けられた複数の棚板で構成されています。これらの棚板には、電源ユニット、サーバー、ストレージデバイス、ルーター、スイッチなどの機器が設置されます。

サーバーラックは、ネットワークセキュリティやシステム運用管理などの観点から効率的な機器管理を可能にするために使用される装置です。サーバーラック内の機器は、冷却ファンや空調装置によって冷却されます。また、ラック内には配線やケーブルを整理するための配線用のスペースもあります。

サーバーラックの使用用途

サーバーラックは、コンピューターやネットワーク機器を収容するために使用されます。これにより、機器を一元管理し、物理的な配置を最適化ができます。

1. 保守性の向上

機器をラックに収めることで、配線やケーブルの整理が容易になり、メンテナンスやトラブルシューティングがスムーズに行えます。また、ラック内の機器の管理も簡単になるため、管理コストの削減にもつながります。

2. セキュリティの向上

サーバーラックは、セキュリティの向上にも役立ちます。ラック内に収納された機器は、鍵付きのラックを使うことで物理的に保護され、不正アクセスや盗難などから守られます。

3. 廃熱対策

ラック内の機器は、適切な冷却システムによって冷却されるため、故障やダウンタイムのリスクを低減できます。

4. 拡張性

サーバーラックは、スケーラビリティの向上にも貢献します。ラックには、必要に応じて追加の機器を追加できるため、ビジネスの成長に合わせてシステムを拡張ができます。

サーバーラックの原理

サーバーラックには、いくつかの規格があります。機器を収める収納棚のことをラックと言いますが、その箱に設置するのに適した形状の機器のことをラックマウントサーバーと言います。

現在、一般的に使用されているラックの幅の規格は米国電子工業会が定めた19インチ (482.6mm) が標準です。また、ラックに取り付ける機器の高さ (厚み) も米国電子工業会によって規定されていて、1.75インチ (44.45mm) の倍数が標準となっています。

この1.75インチの高さ (厚み) を1Uと呼称していることから、2Uサーバーや3Uサーバーなどの呼び方をする、ラックマウントサーバーも存在します。

サーバーラックの選び方

サーバーラックは、EIA (米国電子工業会) の定義した規格によりサイズが共通化されていますが、用途に応じてさまざまな種類が販売されているため、最適なものを選ぶことが大切です。

1. 設置するサーバーの種類

サーバーラックに設置するサーバーの種類に応じて、適切なラックを選ぶ必要があります。ラックマウントサーバーを設置する場合は、19インチラック、デスクトップパソコンのような形状であれば据え置き型を選択します。

2. ラックタイプ

ラックタイプには、タワー型やラック型などがあります。設置場所やスペースに合わせて、適切なラックタイプを選ぶ必要があります。

3. 収納するサーバーの数 (ユニット数)

ラックの高さは、ユニット数で表されます。1Uは1.75インチの高さで、ラックの高さは1U単位で決まります。収納するサーバーの数に応じて、適切なユニット数を選ぶ必要があります。

4. 奥行のサイズ

ラックの奥行きは、設置する機器の奥行きに合わせて選ぶ必要があります。設置する機器であるラックマウントサーバーの奥行きは、各社概ね奥行き約540mm前後となっていますが、規格で定められているわけではありません。サーバーラックの選定時には、注意が必要です。

5. 特長

ラックには、冷却システムや配線用のスペース、取り外し可能なサイドパネルなどの特長があります。必要に応じて、ラックに備わる特長をチェックして選ぶことが重要です。

サーバーラックのその他情報

サーバーラックのオプション

サーバーラックには、さまざまなオプションをつけることができます。最も基本的なオプションは、サーバーラックの耐震性を上げるためのスタビライザーやアンカー固定などの地震対策用品です。サーバーは地震に弱く、振動によりHDDの故障が発生する可能性もあるため、地震対策は必須となります。

また、雷などを理由に電源が瞬断した際の対策として、UPSをつけることをおすすめします。UPSは無停電電源装置のことで、電源が喪失した場合にも一時的であればサーバーに電源を供給し続けることが可能です。

その他、作業をしやすくするための作業台や、ラックを移動しやすくするためのキャスター、排熱をよくするためのファンなどがオプションとして挙げられます。

参考文献
https://www.sanwa.co.jp/product/desk_rack/server/server_select_eia.html
https://direct.sanwa.co.jp/contents/sp/rac/server_select.html
https://www.kawamura.co.jp/ebook/l_pdf/SK40-rackop.pdf
https://www.rakuten.ne.jp/gold/sanwadirect/cat/serverrack/choose.html

避雷針

避雷針とは

避雷針

避雷針は落雷から電気機器や人体を保護する構築物です。

針状の金属でできており、地面に垂直に設置されます。電力系統分野では主に屋外変電所などに施設され、落雷を避雷針に導くことで直撃雷から機器を保護する役割を担います。

また、耐電設備として「避雷器」がありますが、避雷針と同義語ではありません。避雷針は人や建物への落雷を防ぐものであることに対し、避雷器は落雷地点付近の電気機器を故障から防ぐためのものです。

避雷針の使用用途

避雷針は落雷による電気機器・人体への被害を防止する目的で設置されます。設置される建築物は以下の通りです。

  • 高層ビルなどの建築物
  • 低層な住宅街や建造物があるエリア
  • 危険物貯蔵区域や危険物貯蔵タンク

主に建築物の屋上や屋根上に設置されます。また、危険物貯蔵タンクなどへは落雷による漏洩や火災を防止する目的で設置される場合が多いです。避雷針は大電流に耐える導線で接地極へ接続し、落雷を地中へ流すように施設します。

避雷針の原理

避雷針の材質にはステンレスやチタンを使用します。導電性が高く、強風や雨風による腐食に耐えることが理由です。

雷雲はプラスとマイナスの電荷を持っており、雲の上部にプラス電荷、下部にマイナス電荷が分布されます。避雷針の先端にプラス電荷を分布させると、雷雲下部のマイナス電荷と避雷針プラスの電荷が引き寄せられ落雷が避雷針に誘導されるという原理です。

雷雲の真下にある物体にはプラス電荷が貯まるため、必然的に避雷針の先端にプラス電荷が貯まります。そのため、避雷針にプラス電荷を貯める人工的措置は不要です。

また、避雷針により誘導した電荷を安全に地面へ放電させなければならないため、避雷針を確実に接地する必要があります。

避雷針のその他情報

1. 避雷針とPDCE避雷針

避雷針は建物の屋根などに設置するのが一般的です。日本では7~8月に雷が集中します。夏場は上昇気流により電荷を帯びた積乱雲が発達しやすいためです。

一般的には高い建物に設置する避雷針ですが、周りに高い建物がない場合は戸建て住宅へ避雷針を設置することがあります。一方で、避雷針は落雷を誘導する目的で設置するため、被害を軽減させますが完璧になくすことはできません。

そこで近年では、雷を避ける目的の落雷抑制 (PDCE) 避雷針があります。これは、雷雲は負極、地面は正極という電荷の違いを利用したものです。避雷針の上部を負極に制御することで、従来雷が避雷針を通っていたものが避雷針を避けて、地面に落やすくなります。

2. 避雷針の設置基準

避雷針を含む避雷設備は建築基準法や消防法、電気事業法などによって、基準が定められた構築物です。

建築基準法では、高さ20メートルを超える建物、煙突や広告塔、飛行塔などの工作物で20メートルを超えるものに避雷設備の設置が義務付けられます。ただし、建物の場合は周囲の状況によって安全上支障がなければこの限りではありません。

20メートル以下の建物でも周りに何もない場合、落雷が直撃する可能性もあります、建築基準法では、建築物の使用目的、建築物の構造や建築物の内容物、孤立の程度、地形、高さのそれぞれに指数を設けています。合計の40以上か否かが判断基準です。

また、電気事業法では、避雷針を含めて太陽光発電や発電機などの定期点検並びに保安規定などが定められております。その中で、避雷設備に設置する接地抵抗は10Ω以下であると定められています。

参考文献
http://yane-takarazuka.com/column/kodatejuutakunihiraisinnhahituyounainoka-hiraisinnnoyakuwaritorakuraitaisaku.html

複合加工機

複合加工機とは

複合加工機とは、NC旋盤とマシニングセンタを組み合わせた機械のことです。

複数の加工工程を一度に行え、高い精度で加工を行えます。一般的に、旋盤機能とマシニングセンタ機能が組み合わされた複合加工機は、同一の工作物に対して、複数の角度からの加工ができるため、加工時間の短縮、作業効率の向上、品質の向上が期待できます。また、2つの機械を別々に設置する必要がなく、スペースの有効活用が可能です。

複合加工機には、マシニングセンタが主体のものとNC旋盤が主体のものがあります。マシニングセンタが主体のタイプは、旋盤機能が主体のものよりも精度が高く、複雑な形状の加工に適しており、NC旋盤が主体のタイプは、大径加工や小径長さ比の高い部品の加工に適しています。

複合加工機を使用することで、複数の工程を一度に処理できるため、工程の簡略化や作業効率の向上、品質の向上が期待できます。また、機械の置き場所を減らせるため、工場内のスペース効率も向上します。工作物のサイズや形状、材質に応じて、適切な複合加工機を選択することが重要です。

複合加工機の使用用途

複合加工機は、複数の機能を1つにまとめた機械であり、多様な加工が可能です。そのため、自動車や航空機の部品、医療器具、産業機器など幅広い分野で使用されています。

複合加工機は、特に複雑な形状や高精度な加工が必要な部品の製造に向いています。例えば、航空機の部品では、高強度のアルミ合金やチタン合金の加工に複合加工機が必要です。また、医療分野でも、人工関節や歯科インプラントなどの精密な部品の製造に使用されています。

さらに、複合加工機は、生産性を向上させることが可能です。複数の加工機能を1つにまとめることで、加工工程の簡略化や作業時間の短縮につながり、生産性が向上します。また、複数の加工機能を1つの機械で行うことで、スペースを取らないというメリットもあります。

複合加工機の原理

複合加工機は、マシニングセンタベースタイプとNC旋盤が主体のターニングセンタベースタイプがあります。マシニングセンタベースタイプは旋削加工を可能にする回転テーブル、ターニングセンタベースタイプはNC旋盤の主軸を持ち、工具を取り付けることで複数の加工機能を統合したものです。

両タイプとも、工場のスペース確保や工程手順の短縮に貢献し、多種多様な形状の加工に向いています。

1. マシニングセンタベースタイプ

マシニングセンタベースタイプは、従来のマシニングセンタとしての切削機能を持ち、回転テーブルが旋盤のように回転するため、旋削加工が可能です。最新の機種では5軸を同時に制御し、1工程で加工が完了する機能もあります。このタイプは大型対象物の加工に向いており、工程手順の短縮が可能です。

2. ターニングセンタベースタイプ

ターニングセンタベースタイプは、NC旋盤の主軸を持ち、スピンドルを停止して任意の角度で回転させます。刃物台に工具を取り付け、ドリルで穴開けやエンドミルで中ぐり、フライス加工といった機能を追加すること可能です。

対向2主軸の機種では、1軸で加工が完了した後に、自動的に2軸目に受け渡されて全面加工できます。1回の取り付けで加工が完了するため、加工の精度が向上が期待できます。

複合機械のその他情報

複合加工機と併用される機械

複合加工機は高度な加工を行える機械ですが、それだけでは完全な加工は困難です。複合加工機と併用される機械が3種類存在します。

1. 測定器
複合加工機で加工を行った後に、その精度を測定するための測定器があります。例えば、3次元測定器や形状測定器があり、高精度で形状の測定が可能です。測定器を併用することで、加工精度を確認できます。

2. ツールプリセッター
複合加工機は、複数の工具を使用できますが、それらの工具の交換に時間がかかることがあります。そこで、ツールプリセッターを使うと、工具を交換する前にあらかじめ位置合わせを行うことが可能です。工具交換時間が短縮され、生産性の向上につながります。

3. その他
複合加工機での加工作業は、単調で重労働なことが多いため、ロボットを併用することがあります。例えば、自動で工具を取り付けたり、加工物を移動したりすることが可能です。また、複数の複合加工機を連携させ、自動で製品を生産することも可能です。

参考文献
https://www.kousakukikai.tech/multitaskingmachine/

汚泥処理装置

汚泥処理装置とは

汚泥処理装置

汚泥処理装置 (英: sludge treatment equipment) とは、排水処理などで発生する汚泥を処理する装置です。

工場や下水処理場では、製品の製造中や、排水を処理した後に汚泥が残り、下水道法や廃棄物処理法等の基準に適合するように処理が必要です。一般には汚泥処理装置を使用します。

汚泥処理は、汚泥の種類が有機物か無機物かによって処理方法が異なるため、汚泥処理装置も多くの種類があります。主な原理は、微生物を利用するものや脱水などがあり、汚泥に応じて装置を選択します。

汚泥処理装置の使用用途

汚泥処理装置は、食品加工工場、鉄鋼製品、化学製品、電子製品、医薬品、自動車、製紙、古紙の製造の排水、下水処理場、機械工場、圧延工場など、幅広い工場が直接的、あるいは間接的に使用されています。

汚泥は、有機汚泥と無機汚泥に大きく分けられます。なお、有機物を含む生活排水や食品工場の排水による汚泥は有機汚泥です。

汚泥処理装置の原理

無機汚泥は無機質で汚染された排水を処理すると発生します。多くの種類があり、例えばメッキ工場では、種々の金属酸化物が排水されます。

一方、有機汚泥は有機質で汚染された排水処理で発生し、下水処理場などで生物処理を行う場合が代表的です。

1. 無機汚泥

無機汚泥には、いくつかの種類があります。石灰、石膏、石炭などの汚泥は、鉱石の洗浄、集塵などの排水に含まれます。酸化金属粉末などの汚泥は、鉄鋼排水や集塵排水の中にあります。Fe,Al,Cr,Cu,Niなどの重金属水酸化物の汚泥は、メッキ排水や酸排水に含まれます。

また、含油凝集汚泥は、機械工場からの排水や圧延工場の排水などに発生します。硫酸バンドや鉄塩などの凝集汚泥は、浄水場の懸濁水処理の排水に含まれます。

2. 有機汚泥

有機汚泥にも種々の種類があります。食品工場の活性汚泥は、工場排水に発生します。有機化学物質の活性汚泥は、有機化学プラントや石油化学プラントの排水に含まれます。

3. 汚泥処理

汚泥処理は搬送しやすいため、最初脱水機を使用して水分を除いてケーキ状にします。汚泥の水分は、結合水、内部水、表面付着水、自由水のいずれかの状態になっています。

汚泥内の水の状態を把握して、適切な脱水機を選択します。自由水や表面付着水は、比較的容易に分離が可能です。ケーキ状の汚泥は、乾燥して金属回収・再利用、焼却、埋め立て、分解処理などが行われます。

汚泥処理装置の種類

汚泥処理装置の種類はさまざまで、装置を組み合わせて処理する場合もあります。以下は汚泥処理装置の例です。

1. 各種脱水機

汚泥処理は、まず脱水機を使用して水分を取り除きます。水分を抜き、濃縮した汚泥をケーキと呼びます。脱水機には多くの方式があります。

真空脱水機
回転ドラムの中心を減圧しながら、ドラムごと汚泥、汚水に浸し、ドラムの外側の布に汚泥を付着させて濃縮し、ケーキ状にします。

多重円板型脱水装置
薄い円板スペーサを組み合わせて筒状のろ体にし、いくつも組み合わせて回転させて脱水します。汚泥を凝集剤でフロックにして脱水します。

ベルトプレス式脱水機
2枚のろ布の間に汚泥を挟んで脱水する装置です。有機汚泥の脱水に適しています

フィルタプレス式脱水機
汚泥をろ過室に詰め込み加圧して脱水する装置です。

遠心脱水機
液体中の固体成分を遠心力の作用で分離する装置です。固体と液体が混ざった状態はもちろん、比重が異なる液体同士でも分離可能です。

2. 加圧浮上装置

水より比重が軽い物質と、水との分離に利用します。水中に微細な泡を発生させ、泡に凝集したフロックを吸着し、浮かせて汚泥を分離します。

3. 活性汚泥処理装置

微生物を接触材で生育し、汚泥に直接菌を付着させます。菌が汚泥を捕捉し定着するのでコンパクトで浄化能力が高い装置です。

余剰汚泥が少ないので、ランニングコストを抑えることができます。微生物のために空気を送り込みますが、酸素を送り込むことでさらに活性化する酸素活性汚泥処理装置もあります。

4. 膜分離活性汚泥処理装置

膜分離活性汚泥法は、曝気槽の中に微細な穴を有する膜を浸漬し、汚水を直接ろ過して汚泥を分離します。通常の活性汚泥処理に必要な沈殿槽が不要で、省スペース、処理コスト低減などの効果があります。

また、処理水は水質が良く、微生物も除去できるので、消毒が不要です。

参考文献
https://kcr.kurita.co.jp/equipment/category_05
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/046.html

ガンドリル

ガンドリルとは

ガンドリル

ガンドリル (英: gun drill) とは、深穴をあけるためのドリルのことです。

ガンドリルの名称は、元は猟銃や小銃の穴あけに開発されたドリルであることからきています。ドリルの先端から高圧の切削油を吹き付けながら穴あけ加工を行います。切削油によって切り屑を吹き飛ばしながら加工ができるため、深穴加工や細穴加工をワンステップで行うことが可能です。

ガンドリルは直線性に優れており、高硬度材料や、ステンレス鋼耐熱鋼などの穴あけ加工が困難な材料でも、深穴加工・細孔加工が可能です。ガンドリルを用いた加工は、速度と送りの事前検討が大切で、前加工と切削条件の条件出しをしっかりと行う必要があります。

ガンドリルの使用用途

ガンドリルは、径に対して5倍以上の深さの深穴加工、特にφ3~30mmの比較的小径の穴あけ加工に向いています。深穴加工を行う際、切り屑によって内部を傷つける恐れがありますが、ガンドリルは切り屑を吹き飛ばしながら加工を行うことができます。そのため、高能率・高精度の深穴加工が可能です。

ガンドリル加工の用途例は以下の通りです。

  • 食品機械
    液体充填機、冷却器部品、酪農用搾乳機、食品製造機械部品
  • 輸送機器
    自動車・鉄道車両・航空機部品
  • 産業機械
    スピンドル、シャフト、シリンダ、噴射機、油圧機器、減速機
  • 電気
    電機・電子機器部品、半導体関連熱板、液晶製造装置部品

ガンドリルの原理

ガンドリルは、ポンプを用いて高圧で切削油を噴射しながら切削を行うドリルです。そのため、ガンドリルの内部は空洞になっており、切削油が循環できるようになっています。切り屑を含む切削油は、ドリルの表面 (シャンク) に施されたV字の溝を通って外側に押し出される様になっており、切り屑は後方に設けられたチップボックスで濾過され、切削油は再び循環使用できる仕組みです。

ドリルの先端の穴は腎臓型 (キドニータイプ) や2穴タイプのものなど、様々なものがあり、形状によって送油量やヘッドの剛性などが変わるので、目的に合わせて選択します。ガンドリルはシャンクが長く、曲げ剛性を上げるため、加工箇所にドリルブシュの設置が必要です。

これによって、ヘッドの半径方向切削分力が支えられ、芯ずれが非常に少なく、高い直進性を得ることができます。50cmの深さに対して芯ずれは0.3mm程度の加工が可能です。

ガンドリルのその他情報

1. ガンドリルマシン

ガンドリルによる加工は、専用のガンドリルマシンで行います。ガンドリルマシンは旋盤の一種で、ガンドリルによる穴加工に特化した加工装置です。一般的な旋盤は、材料を回転させますが、ガンドリルマシンによる穴加工は、ガンドリルを回転させて行います。

深穴加工での懸念は、加工によって発生する切粉により加工穴がふさがったり、ドリルの回転を阻害することによるドリルの破損などです。その対策として、ドリル先端から切削油を連続して噴射し、加工穴内部に切削油の流れを作り、その流れで切粉を、穴から後方へ押し出します。ガンドリルにはドライバーと呼ばれるドリルの根元に保持部があり、保持部はガンドリルマシンの回転するチャック部に保持することが可能です。

切削油はドライバーの後部から供給され、ガンドリルのシャンク部を通り、ドリル先端の切れ刃部分から噴射されます。そのため、ガンドリルマシンは、ドライバーを保持する部分に、センタースルークーラント機能 (切削油を供給する機能) を設けます。

ガンドリルは、直径の数十倍の長さになります。加工深さにより、ガンドリルのシャンク部の振れが起きるので、それを抑制するためのガイドを、ガンドリルマシンに複数設けます。ガイドは加工に干渉しないように移動が可能です。

2. マシニングセンタによるガンドリル加工

加工穴の深さが、穴径のおおよそ40倍までのガンドリル加工は、 専用のガンドリルマシン以外でも、汎用のマシニングセンタNCフライス盤、またはNC旋盤などで可能です。この場合、センタースルークーラント機能を設けます。

ガンドリルは切れ刃の形状から、一般的なツイストドリルのような求心力が無いため、ガンドリル加工に入る前に、パイロット穴と呼ばれる下穴加工が必要です。パイロット穴加工は、ガンドリルの仕様に合った穴径のエンドミル・ドリルなどで、加工仕様で指定されている深さまで既定の精度で加工します。

参考文献
https://caddi.jp/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/49/10/49_10_1379/_pdf

ねじ締めロボット

ねじ締めロボットとは

ねじ締めロボット

ねじ締めロボットとは、従来は作業者が行っていたねじ締め作業を、自動で行うロボットです。

ロボットによりねじ締め作業は自動化され、製造効率を上げることができます。さらに、ロボットに加えられたエラー検出機能によって、ねじ作業不良によるねじ浮きや落下等による欠品なども検出し、安定した生産を行うことが可能です。

ねじ締めロボットのシステムには、多軸ロボットやスカラロボット、パラレルリンクロボット、直交座標型のねじ締めロボット、双腕ねじ締めロボット、卓上型の小型のタイプなど、多くの機種があります。

ねじ締めロボットの使用用途

ねじ締めロボットは、大量生産される製品の製造ラインに多く用いられています。機械の組み立てには多くのねじ締結が用いられますが、人の作業では効率が上がらない部位の締結に、ねじ締めロボットが導入されています。例えば、機械装置のケース類の締結など、多くのねじを使用する部位やねじサイズが小さく手作業では作業しにくい部位に有用です。

また、なべねじや皿ねじ、トラスねじ、セムスねじ、Yリセスといった多くのねじの種類に対応できます。六角ボルトや六角ナットなどにも適応可能で、ねじの材質も鉄鋼材料、アルミ合金、樹脂など幅広いです。

しかし、ねじ締めロボットの活用が難しい部位もあります。例えば、障害物が近くにある場合や内側の面、深い穴に使用する場合です。そのため、用途に応じて機種を選択することが大切です。

ねじ締めロボットの原理

ねじ締めロボットは、主にロボット、電動ドライバー、コントローラ、ねじ供給機で構成されています。

1. ロボット

ロボットは、電動ドライバーをねじ締結する部位に正確に位置決めさせるための装置です。ねじ締めロボットに利用されるロボットの種類にはいろいろあります。動きやすい多関節を持つスカラロボットや、直交座標ロボットなどが多く使われています。

2. 電動ドライバー

ロボットのアームの先端に取り付けられています。

3. コントローラ

ロボットの持つ位置情報と電動ドライバーの持つトルクや回転角などの情報は、コントローラによって制御されます。ねじ供給機はねじ締めロボットで効率よく締結作業を行うために、ねじを蓄えて作業に応じて供給します。

ねじ締めロボットのその他情報

1. ねじ締めロボットの機能

ねじ締めロボットでは、ねじ締結作業を自動で行うためにさまざまな付加機能があります。まず電動ドライバー部分につながっているコントローラにはトルクや回転角度の管理、トルク、回転角度の制御、ねじ締めパターン、良否判定といった機能があります。

ねじ締結作業を自動化する上で、締め付けトルクや回転角度は大変重要な情報です。他にもねじの穴つぶれやつまりといった、ねじ部品そのものの異常や不良を検出するためのセンサーがついている機種もあります。

2. ねじ締結で重要な摩擦係数

ねじ締結作業を正しく行うために大切なのは、必要とする軸力を得ることです。軸力とはねじが対象物を固定する力であり、ねじが引っ張られて戻ろうとする弾性力によって生まれます。通常のねじ締結作業では、それぞれのねじにどれだけの軸力が発生したのかを直接確認することはできません。そこで代用特性として、締め付けトルクや回転角度を監視します。

一般的に広く普及しているのは、締め付けトルクです。締め付けトルクは一般向けDIY製品の組み立て図などにも指定されていることがあります。しかし、指定された締め付けトルクで締め付けて適切な軸力が得られるのは、ねじ締結時に発生する摩擦力が想定範囲内にある場合だけです。

具体的にはねじの山と谷との接触面、ねじの頭の部分とねじの座面となる面との間の摩擦係数です。ねじに関する2つの部位の摩擦係数が想定範囲よりも高いと、適切な締め付けトルクで作業しても、十分な軸力が得られません。

逆に摩擦係数が想定よりも低ければ、発生する軸力が高すぎて、ねじが破損したり空回りする可能性があります。手作業、ロボット作業に限らずねじ締結では、締め付けトルクや回転角度はあくまでも代用値であること、摩擦係数が想定を外れていたら、正しい軸力が得られないことを認識しておくことが大切です。

参考文献
http://microscrew-tightening.com/

直交ロボット

直交ロボットとは

直交ロボット (英: orthogonal robot) とは、2~3個の直交する軸に沿って動くロボットです。

ガントリーロボットとも呼ばれます。産業用ロボットは、構造が単純であるため、多種の産業において、作業の自動化の最初のステップとして多く使われます。

直交する座標は、最大でも3個であるため、自作が可能であり、改造も容易です。また、作業を行うプログラムを容易に修正出来るのも特長です。

したがって、作業が複雑な動きを必要とせず、単調な動きである場合は、比較的容易に直交ロボットを用いて機械化できます。

直交ロボットの使用用途

直交ロボットは、主に製造業で使用されています。製造業では、単純な作業として部品の組み立てや搬送などがあります。この分野では、直線的な動きで十分実行が可能なため、直交ロボットが導入されるケースが多いです。

最初に部品の流れるラインを決定します。そして、カメラなどで撮影することで、組み立てから搬送までの作業を分解して、直交ロボットに置き換えます。導入により、生産性の安定が可能です。

具体的には、小型精密機械部品、自動車用部品、基板実装用の電子部品をはじめ、医療、薬品の分野でも直交ロボットが使われます。また、食品分野では、繊細な食品の運搬に、例えば、崩れやすく扱いが難しい豆腐などを、特殊な加工を施したアームが正確に掴み、移動させることも可能です。

直交ロボットの動作範囲は、6軸動作のロボットなどに比較すると単純でわかりやすく、価格も有利です。湿気の多い所や、腐食性ガスを使用する半導体工場など、厳しい条件下でも安定して使用ができます。

直交ロボットの原理

直交ロボットは、リニアガイドに沿って、作業アームをスライド移動させて組み立て、搬送、位置決めなどの作業を行うのが基本動作です。

1軸上を移動するユニットを複数組み合わせて、直交座標系で作業を行います。この場合、ロボットのそれぞれの軸は同時に動かすことができるため、多くの動作は直線移動の重ね合わせで効率的に行うことが可能です。

直交ロボットの特徴

1. 組み合わせの自由度が高い

直交ロボットは、稼働範囲が比較的狭いが、組み合わせの自由度は高く、必要な仕様に合わせやすい特徴があります。動作が他のロボットと比較して単純であるため、制御がしやすく、複数の直交ロボットを組み合わせることも可能です。

他のロボットと組み合わせて連携させることで、ある程度複雑な動きをさせたり、素材のカット工程を入れたりするなど、多くの作業ができるようになります。

2. 精度が高い

直交ロボットは、単純な直線運動しかできないが、その分精度が高くなります。とくに、ボールネジリニアエンコーダを使用したリニアガイドを使用したものは、高精度な位置決めが可能です。

3. 剛性が高い

直交ロボットは、構成する部品が少ないので剛性を高くできます。そのため、隙間や変形が少なく、動作のブレが小さくなり、作業が安定します。さらに、単純構造なので、高速化によるサイクルタイムの短縮が可能です。

4. 低価格

単純な構造、少ない部品点数で製造できる直交ロボットは、多関節ロボットなどと比較して、低価格です。

直交ロボットのその他情報

1. 直交ロボットのデメリット

直交ロボットはメリットだけでなく、デメリットも存在します。

複雑な作業は不可能
直線運動の組み合わせ以外の複雑な作業は困難です。

設置面積が大きい
直交ロボットは、直線的な動きしかできないためと、関節がないので折りたためないため、設置面積が大きくなりやすい短所があります。

大型化が困難
直交ロボットの精度や強度を保って大型化するのは、コスト面で困難です。

2. 直交ロボットの導入事例

搬送作業の省人化
釣り銭の包装後の搬送を多関節ロボットで自動化したものの、耐久性の問題が発生しました。この改善に直交ロボットを採用し、良好な結果を得ました。故障リスクが減少し、労働生産性が1.4倍に向上しています。

ネイル筆製造工程の自動化
ネイル筆は製作工程が複雑なため、ほとんどが手作りでした。作業者の高齢化とコスト低減のため、6台の直交ロボットを導入し、切断や仮付け、接着などの工程をロボットが行うようにしました。その結果、6人の作業者が2人になり、労働生産性は導入前の30倍になっています。

危険作業の負担軽減及び効率化
盤製作メーカーにおいて、重量が重く取り扱いが人では危険性がある作業を直交ロボットに置き換えました。結果は、危険性が排除され、効率が上がり、労働生産性の向上が従来比較で1.4倍になっています。

参考文献
https://www.yamaha-motor.co.jp/robot/lineup/xyx/

成形機

成形機とは

成型機

成形機とは、プラスチックや樹脂の成形に使われている機械のことです。

具体的な使用用途として、家電や部品の製造が挙げられます。チューブやロッド品の製造には押出成形機、発泡スチロールには型物成形機、中空品にはブロー成形機などが利用されます。

成形機には、加工しにくいフッ素樹脂専用の成形機や真空状態で成形する真空成形機もあり、高精度な成形が可能です。また、成形機は大量生産に向いた機械ですが、現在では小ロット生産にも利用されています。

そのため、短時間で切り替えができるフレキシブルな成形機も開発されています。

成形機の使用用途

成形機はプラスチック、金属、ゴム、セラミックスなど、さまざまな材料の成形が可能です。自動車産業や電気・電子機器産業では、複雑な形状を持つ部品を生産することができます。

医療分野では、医療器具や補綴物の生産に使用されます。また、建築業界ではプラスチック製の外装材料や屋根材、食品産業ではチョコレートやシリコン型、繊維産業では紡績機や織機の付属品や織物の生産に使用されています。

成形機の原理

1. 射出成形機

射出成形機は、プラスチック原料などを加熱して射出口から射出し、金型に入れて成形することで成り立つ機械です。押出成形機では、プラスチック原料をホッパーに入れて押出口から押し出し、型によって形を整えます。

2. 押出成形機

押出成形機は、特殊な機械的圧力と加熱によって、熱可塑性材料を押し出す機械です。プラスチック粒子が機械のフィーダーから供給され、加熱されたスクリューによって融解されます。

高圧で押し出されたプラスチック材料は、ダイの形状に合わせて成形され、形状を作り出す仕組みです。最終的に、冷却装置によって形成された製品を冷却し、切り離します。

3. ブロー成形機

ブロー成形機は、プラスチック原料を加熱して中空の形状をした金型に入れ、風圧で膨らませて成形します。型物成形機では、熱可塑性樹脂を型に注入し、冷却して成形し、真空成形機では、加熱したプラスチックフィルムを真空状態の金型に張り付けて成形します。

 

成形機は、高温・高圧環境での成形作業を行うため、安全対策が重要です。また、成形品の品質に影響を与える要素として、原料の種類や品質、金型の設計、成形条件の調整などが挙げられます。成形機は大量生産に向いた機械ですが、現在では小ロット生産にも対応できるよう、短時間で切り替えができるフレキシブルな成形機が開発されている機械です。

成形機の種類

成形機には、射出成形機、押出成形機、ブロー成形機などの種類があります。

1. 射出成形機

射出成形機とは、射出されたプラスチック材料を金型に注入して成形する機械です。射出成形機の特徴は、高速で大量生産が可能であることです。自動化も進んでおり、オペレーターがマシンを操作するだけで、自動で成形から排出までを行えます。

射出成形機は、プラスチック材料を加熱して溶かし、射出口からプラスチックを注入することで、金型に成形します。金型に注入されたプラスチックは、冷却されて固まることで、目的の形状に成形が可能です。

射出成形機は、車のパネルやバンパー、パソコン、はさみの取っ手、注射器、スマホカバーなど、多くの製品に利用されています。素材や形状によって金型の設計が必要となるため、金型の設計と製造技術が重要です。

2. 押出成形機

押出成形機とは、プラスチックやゴム、金属などの材料を溶かし、加圧して押し出すことで、チューブやシート、プロファイル、パイプなどの形状を作る機械です。

ホッパーにプラスチック、樹脂を入れ、量を調節しながら材料をスクリューへ入れていきます。スクリュー内部で加熱して溶かしながら押し出します。押し出しの終わりにダイと呼ばれる口金をつけて、形状を決めます。

3. ブロー成形機

ブロー成形機とは、空気圧を利用して材料を膨張させ、金型の中に押し込みながら冷却・硬化させる機械です。

温度を上げて柔らかくした材料を押出スクリューを通過させて押出成形し、パリソンを作ります。パリソンに圧縮エアーを吹き込みながら金型に押し当てることで冷却し、成形します。

参考文献
https://daikokasei.co.jp/technical/basic-knowledge/blow/
https://www.npl-jsw.co.jp/about_injection-molding/

電子帳票

電子帳票とは

電子帳票とは、PCでWordやExcelで作成された帳票や紙の帳票をスキャンして電子化したもので、法的にも有効な文書保存方法です。

紙の帳票を無くすことで保管にかかるスペースを減らすだけでなく、環境資源としての紙の使用量を削減し、印刷コストや印紙代までコストカットも可能です。企業の場合、電子帳票を導入すれば、業務の効率も良くなります。

帳票を紙から電子データに移行することにより、自然災害等によるデータの紛失リスクにも強くなります。

電子帳票の使用用途

電子帳票は、企業で行われる取引を記録する帳簿とそれらの取引を客観的に証明する伝票を紙媒体に代わって電子化して使われています。

多くの企業で経理事務などを中心に使われていますが、以下のような使用事例があります。

1. 報告書の作成と管理

現場作業の報告書や営業の報告書をスマートフォンやタブレットなどの端末から入力して送信することにより効率化と情報共有を実現しています。

2. 注文書の管理

小売業の場合、Faxで1日に数百件の注文が入ることも珍しくありません。Faxを電子帳票システムと接続して電子化して保存することで、保管スペースの削減と検索の容易性を図っています。

3. 稟議書の承認と管理

稟議書の作成を電子化するだけでなく、承認サイクルもワークフローに載せることで進捗状況の確認ができます。また、社内での情報共有も簡単に行えます。

電子帳票の原理

電子帳票は、これまで紙で作成してきた帳簿や伝票をデジタルデータ化したものです。例えば、エクセルやワード、PDFといった形式で作成および保存されます。

また、紙の文書をスキャンしてPDFやその他の画像データとして変換したデータも電子帳票の1つです。改ざん防止とデータが存在した時期を証明するために、タイムスタンプが利用されます。

特定の時期にタイムスタンプが押された電子帳票であれば、それ以降に修正されていないことを証明できます。

電子帳票システムの選び方

電子帳票システムを選ぶ際には、以下のポイントに注意が必要です。

1. JIIMA認証の有無

JIIMA認証とは、日本情報産業協会が定めた認証制度です。JIIMA認証を取得しているシステムは、電子帳簿保存法の要件を満たしていることが担保されます。

2. 業務範囲の明確化

電子帳票システムには、作成・配信・保存・管理などの機能がありますが、すべての機能を備えているわけではありません。自社の業務範囲やニーズに合わせて、必要な機能を持つシステムを選ぶことが重要です。

3. 利用者の負担への配慮

電子帳票システムを導入する際には、利用者 (社内外問わず) の負担をできるだけ減らすことが望ましいです。例えば、操作性や視認性が良いインターフェースや、多様な端末やフォーマットに対応した出力方法などが挙げられます。

4. セキュリティ・ガバナンスの観点

電子帳票システムでは、個人情報や機密情報などを扱うことが多いため、セキュリティ対策は欠かせません。データ暗号化やアクセス制限などの基本的な機能に加えて、法令遵守や内部統制などにも配慮したシステムを選ぶことが必要です。

5. サポートの充実度

電子帳票システムは、導入後もメンテナンスやトラブル対応などが必要になる場合があります。そのため、サポート体制やサービスレベルなどを確認しておくことも大切です。

電子帳票のその他情報

1. 電子帳票システムの主な機能

帳票作成機能
帳票のレイアウトや項目を設計する機能です。デザインツールやテンプレートを利用して、自由に帳票を作成できます

帳票配信機能
帳票データを相手方に配信するための機能です。メールにファイルとして添付したりURLを記載してダウンロードさせたりすることができます。

帳票管理機能
帳票データを一元的に管理する機能です。キーワードや条件で検索したり、閲覧履歴や変更履歴を確認したりすることができます。

セキュリティ機能
帳票データの改ざんや漏洩を防ぐための機能です。ユーザー認証やロック、タイムスタンプなどの仕組みがあります。

2. 電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、1998年7月に制定された帳票の電子保存に関する法律です。従来、国税関係書類は紙媒体で保存する必要がありました。

しかし、電子帳簿保存法では、書類を電子化して保存することが可能です。さらに、2015年の改正で電子帳簿に対する電子署名が不要になり、3万円以上の契約書や領収書も対象となりました。

電子帳簿保存法を利用するためには、事前に税務署への申請が必要でしたが、2022年1月1日より事前申請は不要となっています。また、電子取引で交わしたデータは紙への出力・保存は認められなくなりました。

なお、電子帳簿保存法の対象となる書類は下記以外にも数多くありますが、電子帳簿保存法の対象外となっている書類は電子保存できないので注意が必要です。

  • 仕訳帳、売掛金元帳、仕入帳、買掛金元帳、固定資産台帳等の会計関連書類
  • 棚卸表、貸借対照表、損益計算書等の決算書類
  • 契約書、領収書、預金通帳、見積書、請求書等の書類

参考文献
https://keiriplus.jp/tips/2020zeiseikaisei_dencyohou/