飛沫防止パネルとは
新型コロナウィルスの流行に伴い、コロナウィルス感染症対策として飛沫防止パネルの利用が進んでいます。
コロナウィルスの感染が唾液の飛沫によるものだという認識から、主に人間の咳や会話の際に飛ぶ唾液の飛沫を飛沫防止パネルを立てることで遮断しています。したがって、飛沫防止パネルは、人と人が対面で接する窓口やレジ等で利用され、人が集まるオフィスのパーテーションとしても使用されています。
物理的に飛沫を遮断することができるので、マスクのみの感染症対策よりも高い飛沫抑制効果と安心感が得られます。現在販売されている飛沫防止パネルは透明の製品が多く、パーテーションとして区切ってもお互いの顔や様子がわかり、スムーズに会話をすることができるのも利点です。
飛沫パネルの利用が望ましい場所
飛沫防止パネルは感染症対策のために導入されており、多くの人と対面する機会の多い事務所、各種販売店、銀行や役所の窓口等での利用が多く見られ、主に机の上に設置して使用されています。
また、飛沫防止パネルは、マスクを外す機会が多く、飲食に伴う飛沫の拡散が懸念される飲食店での利用が推奨されています。特にカウンタなど密接しやすい箇所での使用は効果的です。
飛沫パネルとしては全面パネルとなっているもののほか、切符やお金等の受け渡しのため、窓が一部空いているものもあります。
飛沫防止パネルの形状
飛沫防止パネルには、折り畳み式や組み立て式があります。
折り畳み式は、図1のように、プラスチック素材などの板に折り目を入れた製品であり、折り目を開くことで自立させる製品です。
また上記のように折り目があることから、立たせていた部材を折り畳み、コンパクトにして運べるのが利点です。
組み立て式は下記に示すように、中央にパネルを差し込む溝部を有するスタンドとパネルをセットにしたものなどがあり、このスタンドによりパネルを自立させる形状のものが多く、スタンドとしては、プラスチック製のものやステンレス製のものが挙げられます。この組み立て式は、組み立てが簡単な上に、軽量であり、移動も簡単です。
飛沫防止パネルの使用上の注意
利用後のパネルには飛沫がついていますので、利用した後にはウェットティッシュで拭くなど、こまめに消毒を実施することが望ましく、飛沫が付着したウェットティッシュなどは廃棄してください。
なお、プラスチック製の飛沫防止パネルの材質には、アクリルやPET樹脂、硬質塩化ビニルなどが利用されています。PET樹脂、硬質塩化ビニルは消毒に使用されるアルコールや次亜塩素酸ナトリウムに耐性がありますが、アクリルは濃度の高いアルコールで拭くと、微小なクラックが発生する可能性がありますので注意してください。
また、可燃性のプラスチックが使用されている場合があるので、注意書きを読み、コンロの周辺やたばこの喫煙など火気がある場所では使用しないようにしてください。
飛沫防止パネルの効果
人間の咳や会話の際の唾液は、マスクや飛沫防止パネルが何もない場合、平均で1 ~2 m程飛ぶとされているほど広い範囲に飛沫します。
飛沫防止パネルを置くことでどの程度の飛沫を防ぐことができるのかを検証したところ、床から120 センチ(椅子に座った人の口ほどの高さ)のパネルがある状態でせきをした場合、一部の細かいしぶきが仕切り板を超えて、正面や斜め前、横にいる方へ広がっていることが確認できました。また140 センチほど(座った人の頭がほぼ隠れるほどの高さ)のパネルでは、周りの方へはほぼかかっていない状態でした。
すなわち、飛沫防止のためには最低でも頭の位置ぐらいの高さのパネルを置く必要があります。
飛沫防止パネルの素材別の特徴
先程、飛沫防止パネルの形状としては、折り畳み式と組み立て式があることを述べました。飛沫防止パネルのパネル部分の素材によっても、その特徴は大きく異なります。
代表的な飛沫防止パネルの素材とそれぞれの特徴は以下のようなものがあげられます。
建材ボードや、魚箱などに使用されている発砲ポリスチレン素材は、非常に安価で、軽くかつ丈夫で、アルコール消毒も可能なためとても衛生的で、飛沫防止パネルに向いている素材です。しかし、基本的に白や黒などの色がついており、透明ではありません。視界が遮られてしまうので、対面での対話が必要な場所での使用には向いていません。
段ボール素材も発砲スチレン素材と同じく安価で軽量です。他の素材よりは廃棄し易いという特徴があります。一方で、発砲スチレンと同様、視界が遮られてしまうため、対面での対話が必要な場所での使用には向いていません。
元々、アクリルガラスやアクリルケースなどとして用いられているアクリル素材は、厚みや重要感があり、一番強固な素材です。透過性も高く高級感もあるため対面での接客シーンに適しています。
PETなどのプラスチック素材は、比較的透過性もあり軽量で、アクリル素材よりは割れにくく、扱いが容易であるという特徴があります。
その一方で、飛沫防止パネルと同じ用途でビニールカーテンなどを用いられる場合もあります。設置が簡易なことから、利用する場所やシーンなどによって使い分けができます。
まとめ「飛沫防止パネルを選ぶ基準と今後の展望」
これまで飛沫防止パネルについて述べてきましたが、飛沫防止パネルを選ぶ基準としては以下の5点が挙げられます。
- 使用する場所やシーン
- 飛沫防止パネルの形状
- 使用上の注意
- パネルのサイズ
- 飛沫防止パネルの素材
飛沫防止パネルは、感染症拡大防止グッズとして今後も需要が高まる傾向にあると思われます。現状でも、プラスチックやアクリル素材のパネルの販売額が2 倍以上となっている企業や、5 割ほど増産している企業もあり、原料メーカーにもその需要の影響があります。とある展示会でのアンケートでは6 割ほどの会社が飛沫防止パネルを導入している結果が出ているなど、多くの企業で飛沫防止パネルの必要性を感じていることがうかがえ、今後のさらなる需要の高まりを示しています。したがって、飛沫防止パネルに関わる原材料メーカー、製造メーカー、販売物流企業などにその影響があると予想されます。購入する側にとっても製造販売する側にとってもビジネスチャンスとなり得る商品です。
参考文献
https://www.tenpokagushop.com/wism/special/acrylic.html
https://www.office-com.jp/products/list7004.html
https://www.asahi.com/articles/ASN636TPJN63PLBJ003.html
https://www.fjtex.co.jp/hansoku/blog/partition-comparison/#i-5
https://www.hansoku-express.com/display//c-4_922/c-925/p-4293?cPath=922_925
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000032175.html