オイルミストコレクター

オイルミストコレクターとはミストコレクター

オイルミストコレクターは吸引した空気の中に含まれる油滴を取り除くための機器です。主に加熱により油煙が発生する場合や、工作機械の金属加工に伴い発生するオイルミストを捕集します。

オイルミストに含まれる油分は人体に悪い影響を与えます。オイルミストを取り除くことで作業環境の改善はもちろんですが、周辺の床のべたつきを防ぎます。床のべたつきを防ぐことで人が滑って転倒するリスクも防げることから、安全性の観点から必須の機器です。

オイルミストコレクターの使用用途

オイルミストコレクターには種類がいくつか存在します。

1つがフィルター式です。ブロワーによって吸引されたオイルミストをフィルターに通すことで油分を濾過する装置です。非常に構造がシンプルで軽量コンパクトなのが特徴です。

もう一つが遠心分離式です。オイルミストに含まれる油分を遠心力を利用して分離する装置です。フィルター式と同様に構造はシンプルです。メンテナンス性が良く設置が簡単であることが特徴です。またフィルターはありません。

オイルミストコレクターの原理

フィルター式オイルミストコレクターは複数のフィルター層からなっています。まず1次フィルターで大きな油滴を取り除き、2次フィルターで更に細かい油滴を取り除きます。複数のフィルターを通すことでブロワーの汚れを防ぎます。

遠心分離式オイルミストコレクターは内部にディスクやドラムといった形状の高速回転装置が内蔵されています。吸引された空気は高速回転装置によって遠心力をかけられ、油滴のみ外側へ飛ばされます。飛ばされた油滴は装置の内壁に衝突させることで回収されます。このような原理から、1マイクロメートル以下のサブミクロン粒子は軽いため分離することができません。

電気集塵式オイルミストコレクターはオイルミストが荷電極を通過することで粒子を帯電させます。その際にコロナ放電が発生しています。アース極板の静電力によって油分を吸着しています。このような捕集方式の為、1マイクロメートル以下のサブミクロン粒子も捕集することができます。

パワーアナライザ

パワーアナライザとは

パワーアナライザ

パワーアナライザとは、電気機器で発生する電力を測定するための装置です。

電力を測定することで、エネルギーの変換効率や電圧降下による機器の異常を確認することができます。パワーアナライザではなくても、電力自体は電力計で測定することは可能です。

しかし、電力以外にも電圧、電流、周波数など様々なパラメータを測定できることが、電力計にはないメリットです。結果表示画面には、複数のチャンネルが存在しています。チャンネルを設定することで、必要なパラメータだけを表示させることが可能です。

パワーアナライザの使用用途

パワーアナライザは太陽光発電や風力発電など、自然のエネルギーを利用した発電効率の測定に用いられています。太陽光発電や風力発電のような自然エネルギーを利用した発電は、再生可能エネルギー発電と呼ばれます。

再生可能エネルギーの利用は環境に優しいため、普及が進んでいる状況です。一方で、エネルギーの供給が気候に左右され、火力発電などよりも発電効率が悪いというデメリットも存在します。

発電効率を測定することで、電力がきちんと供給されているか確認しています。エネルギー不足により発電効率が低下している場合には、バックアップシステムが作動させる取り組みも行われています。

パワーアナライザの原理

パワーアナライザは、電気機器での電力流れを測定します。直流回路と交流回路では、電力計算手法が異なります。

直流回路では、電力量は測定した電圧と電流を掛け合わせることで計算可能です。しかし、交流回路の場合、電流値は一定ではないため単に電圧と電流を掛け合わせただけでは測定できません。電力流れを測定する際は、電気信号の実効値決定が必要です。

パワーアナライザでは周波数サイクルをデジタルに検出して、電力変換中に信頼できる実効値を計算可能です。実効値がわかると、計測器が実施する計算が明確化します。交流回路の場合、直流相当の値を算出するために2乗平均平方根で実効値を表現します。

パワーアナライザの特徴

現在のパワーアナライザは、以下の様な特徴があります。

1. 携帯性

太陽光パネルなどフィールドでの測定が必要な場面が多いため、小型軽量化がされています。従来ハードウェアで行っていた演算機能を電力解析エンジンに凝縮するなどの技術を用いて実現しています。

2. 環境適応性

恒温室や温度変化の激しいエンジンルームなど、過酷な温度環境下でも高精度な測定ができるように設計されています。

3. データの送信が可能

Bluetoothなどの無線技術対応アダプタを併用することで、データロガーの様な機器に測定値を送信できます。

4. インターフェイスの多様性

USB、LAN、GP-IB、RS-232C、外部制御、2台同期と多種多様な規格に対応しています。

パワーアナライザの種類

高精度で電力測定を行うパワーアナライザですが、近年は様々な発展型が各メーカーから発売されています。

1. オシロスコープ統合型

従来のパワーアナライザは波形観測の機能がなかったため、別途デジタルオシロスコープなどの波形測定機器を用意する必要がありました。2015年に高分解能オシロを統合したタイプが発売され、1台で電力と波形の両方を同時に測定することが可能となりました。現在は、複数社で同様のオシロスコープ統合型が発売されています。

2. 高精度測定機種

パワーアナライザの中には電力測定と電力測定の周波数範囲で高い精度を誇る機種があります。高級機種の一部は、100 kHz以上や1 Hz以下の範囲を測定可能です。

変化幅の大きな現象の高精度測定及び、インバータのスイッチング駆動測定に適しています。

パワーアナライザの選び方

パワーアナライザは価格帯から、普及価格機と高級機に機種が分けられます。どちらを使用するかは、電力測定における正確さと周波数範囲を考慮したうえで選定します。

100kHz以上や1Hz以下を含む周波数範囲を測定する場合や高度な測定確度を求める場合は、高級機を使用するのが一般的です。変化幅の大きな現象 (待機電力 / フルパワー) の高精度測定やインバータ・スイッチング駆動の測定に適した機種は、やや高価な普及価格機 (中級機) ~高級機の中から選定します。それ以外の場合は、普及価格機で対応可能です。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/detail/?product_key=649
https://www.hbm.com/jp/8099/what-is-a-power-analyzer-the-working-principle-explained/
https://www.fluke.com/ja-jp/products/electrical-testing/high-precision-power-analyzers
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Basic-Topics-017/
https://ednjapan.com/edn/articles/2003/16/news010.html
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html
https://eleking.net/k21/k21t/k21t-power.html
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48192
https://electric-facilities.jp/denki1/souden.html
https://news.mynavi.jp/article/20150130-a126/
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Basic-Topics-017/

ホーニング盤

ホーニング盤とは

ホーニング盤

ホーニング盤とは、金属加工の中でも表面仕上げに用いる機械であり、主に円筒の内径面を仕上げるための工作機械です。

ホーンと呼ばれる工具に回転運動と往復運動を与えて、ホーンに取り付けた複数の砥石で、筒状の内面を押しつぶしながら回転し、内面を仕上げていきます。ホーニング盤では、一度にたくさん削ることができません。

あらかじめ中ぐり盤などで円筒状の切削を行ったあとに、最終仕上げとしてホーニング盤を用いるのが一般的です。ホーニング盤は内面研削盤と似ていますが、ホーニング盤のほうがより精密な穴精度、真円度、さらには高い面粗度で加工することができます。

ホーニング盤の使用用途

ホーニング盤の主な使用用途は、エンジンシリンダの内面仕上げです。ホーニング盤ではほぼ鏡面仕上げに近い状態の面粗度で仕上がりますが、小さな線状の傷を交差するようにつけることができます。

エンジンのシリンダではこの小さな傷の中にエンジンオイルを残留させ、オイルの油膜を保つことによって、シリンダをピストンリングとの摩擦から守ります。この特徴的な加工目は、クロスハッチと呼ばれるものです。

エンジンではシリンダ以外にも、ロッカーアームやコネクティングロッドの摺動部、遊星歯車のピニオンの内径の仕上げ加工にも、ホーニング盤が用いられます。ピニオンの内径はベアリングの外輪の役割を果たし、オイルによる潤滑効果が期待される部位です。遊星歯車は、自動車用の変速機などに用いられています。

ホーニング盤の原理

ホーニング盤ではホーンと呼ばれるスティック状の工具に、回転と上下運動を与えます。ホーンの側面には複数の砥石が取り付けられており、ホーンの中心から外に向けて、ばねや油圧によって加工する内径面に押し付けられます。円筒に対して砥石を押し付けあて、回転と上下運動によって除去加工を行うのがホーニング加工の原理です。

砥石による除去加工では熱が生じるため、大量の切削油をかけながら加工します。ホーニング盤では複数の砥石を全て密着させて加工を行うので、砥石を取り付けているスティックの外径を超えての加工はできません。それぞれの加工物の内径に合わせたスティックと、そのスティックに取り付ける砥石も別々で用意する必要があります。

ホーニング盤の種類

ホーニング盤の多くは円筒の内径を仕上げるための工作機械ですが、以下のようなホーニング盤もあります。

1. 平行平面ホーニング盤

平行平面ホーニング版は、2枚の円盤型砥石でワークを挟み込み、回転と往復運動を与えるながら加工します。複数のワークを同時に均一の高さに揃えることができ、それぞれのワークには高い平行度と平面度、面荒さが得られるのが特徴です。

また、ワークには自転と公転運動が与えられるため、加工面にはクロスハッチが得られます。

2. 液体ホーニング盤

液体ホーニング盤は、水と砥粒を混ぜた混合液をワークに吹きかけて表面の艶消し仕上げを行う工作機械です。ショットブラストのようなイメージに近いもので、入り込んだ複雑な形状のワークに対しても使用できます。

ホーニング盤のその他情報

1. ホーニング加工のクロスハッチ

ホーニング加工でできた細かな網目状の傷を「クロスハッチ」と呼びます。クロスハッチはホーン (砥石) の回転運動と往復運動の繰り返しを利用し、ホーンが下に向かうときの角度と、上に向かっていくときの角度の違いにより意図的に作った傷です。

クロスハッチを得るためには最初に、荒削りとして番手の粗い砥石を用いて、比較的遅い回転数で角度の大きな網状を作ります。そのあと、仕上げ加工として、番手の細かい砥石で回転数を上げて加工し角度の小さな傷を作り、最終的には角度20°から60°ほどの交差する傷が形成されます。

クロスハッチを作ることにより、金属同士が摺動し合う部位においてオイルがクロスハッチの溝に入り込み、油膜の保持を高めることが可能です。

2. ホーニング盤と内面研磨の違い

ホーニングと研磨 (内面研削) はどちらも仕上げ加工として高い精度で穴加工することができますが、加工方法が異なります。ホーニング盤では円筒状に取り付けられた複数の砥石を押し付けて、往復運動をしながら加工していくのに対して、内面研削では砥石の1点のみをワークに当てて、ワークと砥石を回転させながら加工します。

ホーニング盤は内面研削よりも高い真円度、面粗度で加工することができますが、前工程であけた穴に沿う形で加工するので修正が利きません。一方で、内面研削ではある程度の修正が可能であること、また加工精度は芯だし作業によって決まります。

リークテスター

リークテスターとは

リークテスタ

リークテスターとは、工業製品や配管の漏れを検査するための装置やケミカル用品です。

漏れ検出の方法によって、主に2つのタイプに分類されます。1つ目は電気的に漏れを感知するタイプで、製品全体や配管全体の漏れ確認に適しています。2つ目は液体を用いて視覚的に漏れを発見するタイプで、漏れ箇所を特定することができます。

これらのリークテスターは、製造ラインや配管点検の現場で活用され、精密な検査が必要な業界で欠かせないツールです。特に、ガス漏れや冷媒漏れといった重要な問題を早期に発見するために重要な役割を果たしています。

リークテスターの使用用途

リークテスターは、製造業から家庭用機器に至るまで幅広い分野で使用されています。

製造ラインでは品質管理の一環として、不良品を市場に出さないために内圧方式や外圧方式で漏れを検査することが必要です。エアコンや冷蔵庫など冷媒を使用する機器では、冷媒ガス漏れをチェックする必要があります。特に、赤外線吸収式のリークテスターは、迅速な漏れ検出が求められるシーンで有効です。

ガス配管の点検には、半導体方式のリークテスターが高感度で漏れ箇所を特定します。さらに、液状のリークテスターを使用することで、漏れ箇所を目視で確認でき、迅速な修理が可能です。使用環境に応じて適切なリークテスターを選択することが、精度の高い検査を実現するために重要です。

リークテスターの原理

リークテスターの動作原理は、対象物の内部または外部の圧力変化を利用して漏れを検出する仕組みに基づいています。
主に以下の3つの方法です。

  • 外圧式:製品をチャンバーと呼ばれる圧力容器内に置き、内部を加圧します。外部の圧力が内部に漏れ込んでいるかどうかを検出します。
  • 内圧式:製品内部に圧力をかけ、圧力変動を監視することで漏れを確認します。特に使用されているものは、製品全体の密閉性を検査することです。
  • 内圧チャンバー式:内圧式と外圧式を組み合わせ、チャンバー内に製品を配置し内部を加圧、チャンバー内の圧力変動を利用して漏れを検出します。

また、赤外線吸収式や半導体方式など、ガス検知型のリークテスターもあります。これらは吸引した空気中のガスを分析して漏れを特定し、特に優れている点は感度や反応速度です。赤外線吸収式は即時性が高く、半導体方式は高感度で長寿命という特徴があります。

検査機器を使用しての作業は、漏れの有無の確認であり、漏れ箇所の特定には、液状のリークテスターや水没目視検査が必要です。これにより、内部の腐食や見落としが発生することもあります。

リークテスターの種類

リークテスターには、検出方法や使用目的に応じて多くの種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切な選択が必要です。

1. 電気的検知型リークテスター

赤外線吸収式や半導体方式が代表的です。これらは冷媒や可燃性ガスの漏れ検査に使用され、特に感度や反応速度に優れています。

2. 視覚的検知型リークテスター

液体検査薬を使い、漏れ箇所を目視で確認できます。スプレータイプが特に役立つのは、水道管やエアコンの接続部分の点検です。

3. 内圧式・外圧式リークテスター

圧力をかけて漏れを確認する方法で、製造ラインや配管システムのテストに使用されます。

4. 特殊用途向けリークテスター

高温環境や微細な漏れを検出するための特別な設計がされたモデルもあります。近年では、IoT技術を活用したスマートリークテスターも登場しており、データのリアルタイムモニタリングや遠隔操作が可能です。

リークテスターの選び方

リークテスターを選ぶ際には、使用目的や検査対象に合わせた適切な選択が重要です。以下の点を考慮することで、最適な選定が可能です。

1. 使用環境

屋内外、高温や低温環境など使用する環境に応じて、耐熱性や耐候性の必要性を判断します。

2. 検査精度

検査対象の漏れの大きさやガスの種類に応じた精度を選びます。微量のガス漏れに適しているのは高感度な赤外線吸収式や半導体方式です。

3. コストパフォーマンス

初期費用だけでなく、メンテナンスコストや消耗品費用も含めた総合的なコストを考慮します。

4. 校正のしやすさ

定期的な校正が必要なため、簡単に校正できる製品や、校正サービスを提供するメーカーの製品を選ぶと安心です。

5. 最新技術の導入

IoT対応のスマートリークテスターは、データの保存や共有、遠隔監視が可能で、長期的な運用コスト削減に貢献する場合もあります。

参考文献
https://www.leaktester.co.jp/about/

ロータリーストッカー

ロータリーストッカーとはロータリーストッカー

ロータリーストッカーとは、天井空間を利用して大量の部品や製品などを収納できる循環式の回転棚です。

仕組みとしては、装置内に配置された複数の棚やトレイが回転し、必要な物品を自動で取り出し口まで運ぶ機能を有しています。この機能により、垂直方向の空間が有効活用され保管密度が高まると同時に、作業の効率化とスペースの節約が可能です。主に部品や書類、軽量物の管理に適しており、製造業や物流業、小売業などでは幅広く活用されています。

ロータリーストッカーの使用用途

ロータリーストッカーは、製造現場での組み立て部品や加工用治具、各種ツーリングの保管・管理などのために利用されています。

1. 工場

工場では部品や工具の保管に利用され、必要なアイテムを迅速かつ正確に取り出すことで生産性を向上させます。特に小型部品や多品種少量の部材管理に適しています。

2. 物流・倉庫業

物流や倉庫業では、在庫の保管と管理に用いられます。ロータリーストッカーは垂直方向に収納スペースを確保するため、限られた床面積を有効活用できます。またバーコードや電子タグと連携させることで在庫管理が効率化され、誤出荷のリスクも低減します。

3. 医療機関・薬局

医療機関や薬局では、薬品や医療器具の保管に利用されています。医薬品を分類し取り出しやすくすることで、医療スタッフの作業効率が向上します。

4. 小売業

小売業では貴重品や在庫商品を効率よく管理するために使用されています。

ロータリーストッカーの原理

ロータリーストッカーの原理は、回転式の収納構造を利用して物品を効率的に保管・取り出す仕組みに基づいています。この仕組みにより垂直方向のスペースを最大限に活用し、作業効率を向上させることが可能です。

装置内部には複数の棚が円形または楕円形に配置されており、モーターやチェーン駆動システムによって回転します。回転運動により、必要な棚が使用者の操作によって指定位置 (通常は取り出し口) まで自動的に移動します。これにより使用者は無駄な動作を省き、迅速に物品を取り出せます。

ロータリーストッカーは、重力の影響を最小限に抑えるために棚や支持構造が適切に設計されており、安定した回転を実現しています。また操作面では、ボタンやタッチパネルを使った制御が一般的で、登録されたデータに基づき目的の棚を正確に位置決めします。

ロータリーストッカーの種類

ロータリーストッカーは、用途、作業性、および設置環境等に応じて分類されます。

1. 円形タイプ

円形タイプは、小型から中型の物品を効率よく収納するため主に工場や小売業、医療機関などで利用されます。棚が円形に回転し必要な物品を簡単に取り出すことができるため、保管密度が高まりスペースを有効に活用できます。

2. 円筒形タイプ

円筒形タイプは、複数の棚が筒状に配置され、回転することで収納物を取り出す形式です。収納量が大きく、部品や工具などの管理に非常に適しています。円筒形の構造により各棚が独立して回転し多くの物品を効率的に取り扱うことができるため、大規模な倉庫や工場で活用されています。

3. モジュールタイプ

モジュールタイプでは、複数のロータリーストッカーを組み合わせてより大きなシステムを構築することができます。大規模な物流センターや製造業で見られます。

ロータリーストッカーの構造

ロータリーストッカーの構造は、効率的な収納と取り出しを可能にする回転式の仕組みで成り立っています。

内部には複数の棚やトレイが垂直に配置され、これらが円形または楕円形のガイドフレームに沿って回転します。回転はモーターやチェーン駆動装置によって制御され、必要な棚を正確な位置に移動させます。

本体は頑丈なフレーム構造で作られており、重量物にも耐えられるよう設計されています。また外装パネルは耐久性と安全性を考慮した素材で覆われています。取り出し口には操作パネルやディスプレイが組み込まれ、直感的な操作で特定の棚を指定できます。さらに棚の位置決め精度を高めるためにセンサーやガイドレールが使用されており、滑らかで正確な動作を実現しています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0556.html
https://www.makishinko.co.jp/page/products_rs.html

金属ベース基板

金属ベース基板とは金属ベース基板

金属ベース基板 (英: metal-based printed circuit board) とは、ベースに金属を使用したプリント基板です。

放熱が必要なLED照明が近年普及したため、アルミプリントや銅プリントなど金属ベース基板の需要が増えています。通常のプリント基板は、熱を逃がす効率が悪く高温になるため部品の寿命が短くなります。

パワーエレクトロニクス分野でも、放熱技術が必須です。炭化ケイ素SiC基板、窒化ガリウムGaN基板、アンプの基板などは、金属ベース基板が必要になっています。

金属ベース基板の使用用途

金属ベース基板は、LEDを搭載した照明の基板、電子部品の熱によるダメージ防止、電力用半導体素子の冷却、高温環境下での基板使用などを目的に使用されています。

LED以外の用途では、電力用半導体素子の発熱を金属ベース基板を使用して、性能を引き出します。また、ハイブリットIC 車載電装、 高密度実装パッケージ、太陽光発電、家電製品などの熱による損傷を防ぐために有用です。

金属ベース基板の原理

金属ベース基板は、アルミ、、ステンレスなどの金属板の上に絶縁層を積層し、さらにその上に導体である銅箔の回路を重ねるのが標準的な構成です。アルミや銅などは、樹脂やセラミックなどに比べ、熱伝導が良い金属です。基板に金属を使うことにより、LEDなどから発生した熱を効率よく放熱させます。

絶縁層の厚さは放熱性に影響します。放熱性は絶縁層を薄くすると良くなりますが、耐電圧は逆に悪くなります。また、絶縁層のフィラーの量も放熱性に影響します。

金属基板ではない一般の基板が耐熱性グレードFR-4の場合、熱伝導率は0.38W/m・K程度に対し、金属ベース基板は、1.1~2.5W/m・K程度に上昇します。熱伝導率が大きいほど熱を速く伝え、絶縁層が薄いほど熱抵抗が小さくなり、放熱特性が良くなります。

金属ベース基板の種類

金属ベース基板には、主に2種類が使用されます。

1. アルミ基板

アルミ基板は軽く、放熱性が良いので多く使われています。主にLED照明に使用され、表面から銅箔、絶縁層、ベースアルミで構成されます。

アルミ基板には、両面アルミベース基板と両面アルミコア基板があります。両面アルミベース基板は、両面基板、絶縁層、ベースアルミをプレスして製造する片面実装タイプです。

両面アルミコア基板は、ベースアルミの両面に、絶縁層、銅箔をプレスしたものです。銅箔の厚さを厚くする場合、厚い銅箔、絶縁層、ベースアルミをプレスすることで製造します。銅箔の厚さは400µm程度まで可能です。

2. 銅基板

銅基板はアルミより約1.7倍放熱性が優れ、発熱量が大きい部品に使用されます。表面から銅箔、絶縁層、銅板で構成され、アルミ基板に比べ重いです。また、高価のため小ロットの使用は難しいですが、放熱性が優れている特徴があります。

放熱性は、絶縁層の厚みが薄い方が放熱しやすく、厚い方が高電圧に耐えます。両面銅コア基板は、銅板の両側に絶縁層、銅箔を設け、スルーホールで接続します。

金属ベース基板のその他情報

金属ベース基板のメリット    

1. 優れた放熱性
一般に多く使われるガラス布基材エポキシ樹脂のFR-4や複合基材エポキシ樹脂のCEM-3と比較すると、金属ベース基板は放熱性が数倍以上優れています。熱伝導率が大きい金属をベースに使用しているので、放熱能力が優れています。    

2. 優れた寸法安定性
アルミ基板と銅基板は、一般の基板に較べ熱膨張係数CTEが小さい特性があります。CTEが小さいと、温度による伸縮が小さくなります。通常のFR-4基板に比べ、金属基板は温度変化に対し、寸法が安定しています。    

3. ひずみが少ない伝送
金属ベース基板は、放熱性に優れているので、温度上昇が小さいのが特徴です。したがって、信号伝送のひずみが少なくなります。

そのため、パワーコンバータ、照明、太陽光発電、背面照明、自動車用LEDアプリケーション、家電製品などに金属ベース基板が使用されます。

参考文献
https://www.pcbgogo.jp/knowledge-center/aluminum_printed_circuit_board.html

光コネクタ

光コネクタとは

光コネクタ

光コネクタとは、光ファイバー回線を接続するためのコネクタです。

光信号伝送のために、光ファイバーケーブルの完全な接続を可能にします。光コネクタは光回線ケーブルを容易に接続可能なため、導入や保守作業が容易です。光ファイバーの素早く確実な接続を実現します。

また、精密な設計と製造技術により、光ファイバーとの間で最小限の光損失を実現します。これによって信号の伝送効率が向上し、より遠くまで信号を送ることが可能です。

ただし、光コネクタは非常に精密な部品であり、光ファイバーとの接触部分がきれいでなければなりません。コネクタが汚れや指紋などで汚れていると、信号の品質や伝送効率が低下する可能性があります。光コネクタを扱う際には清潔な環境で作業し、コネクタの保護キャップを使用することが重要です。

光コネクタの使用用途

光コネクタはさまざまな産業において活躍する部品です。代表的な使用例として、通信業界が挙げられます。

具体的には、光ファイバーケーブルの接続や光分配器など、長距離通信や高速データ伝送における光ファイバーネットワークの構築に使用されます。また、データセンターでは大量のデータの高速伝送と低遅延が要求されます。

光コネクタを使用した光ファイバーネットワークは高い帯域幅と信号品質を提供することが可能です。これによって、データセンター内のサーバーやストレージシステムを結びつけます。

そのほか、テレビ放送や医療機器・産業機器も用途の1つです。航空産業・防衛産業においても重宝されます。高速かつ安定したデータ通信が重要な場合に使用されることが多いです。

光コネクタの原理

一般的な光コネクタはハウジングと、光ファイバーの先端を固定するフェルールから構成されます。光ファイバー回線においては、この先端部同士を直接突き合わせるのがコネクタ接続の原理となっています。接続が少しでもずれてしまうと接続損失が増加するため、高精度に接続できる構造が必要です。

光コネクタを接続する相手方の機器を光アダプタといいます。光アダプタの内部にはコネクタの形状に合った割スリーブが内蔵されているため、高精度の接続が実現可能です。

接続面 (端面) はPC研磨処理されることが多く、別名球面研磨です。球状になった端面はコネクタ内のスプリングによって頂点が凹む形で突き合わされます。これによって光ファイバー同士に空気の層ができにくくなり、ロスを最小限に抑えた接続が可能です。

光コネクタの種類

光コネクタにはさまざまな種類が存在しています。よく使用される光コネクタの種類を以下に列挙します。

1. SC (サブスクライバ・コネクタ)

SCコネクタは、精密な円筒形のフェルールを持つ一般的な光コネクタです。このコネクタは、押引によって脱着する機械的ラッチ機構を備えており、簡単かつ確実な接続を提供します。一般的に、単一モード光ファイバーケーブルに使用されます。

2. LC (ルシフェラーコネクタ)

LCコネクタは小型のフォームファクタを持つ光コネクタです。全体的に小型なコネクタであり、高密度配線環境に適しています。一般的に、単一モードおよびマルチモード光ファイバーケーブルのどちらにも使用されます。

3. ST (ストレート・チューブ)

STコネクタは、バヨネットカップリング機構を持つ光コネクタです。このタイプのコネクタは比較的大きく頑丈であり、一般的にマルチモード光ファイバーケーブルに使用されます。ネットワーク機器やデータ通信用途で利用されることが多いです。

4. FC (ファイバ・コネクタ)

FCコネクタは、ネジ式カップリング機構を持つ光コネクタです。このコネクタは、高い耐久性と信号品質を提供するため、工業環境や防衛分野で使用されることがあります。一般的に、単一モード光ファイバーケーブルに使用されます。

参考文献
https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-optical-connector/

精密水準器

精密水準器とは

精密水準器は、高度な水平の基準が要求される精密機器などの製造工程などで、水平を確認するために使用されます。液体の内部にある気泡の位置を測定することによって、精密水準器の位置がどの程度の傾斜があるかを測定します。JIS規格によって、水準器の精度が厳密に定められています。基本的には、目視によって水平を確認しますが、気泡の位置をセンサで測定することによって、デジタル信号として傾斜度合いを入手できる精密水準器も発売されています。

精密水準器の使用用途

精密水準器は、精密機器や半導体、ディスプレイなどの製造工程など、高い精度が要求される製造現場で使用されます。工作機械や製造装置の動作前や設置時に使用します。作業ごとに高度な水平が要求される機器に搭載されている場合もあります。精密水準器の選定の際には、測定精度や振動への強さ、デジタル式かアナログ式か、使用する環境に適しているかどうか、測定のしやすさ、サイズなどを考慮する必要があります。

精密水準器の原理

精密水準器の測定原理を説明します。精密水準器は、精密に目盛り付けされ、水平などが担保されている容器、容器が取り付けられている精密な筐体で構成されています。容器はわずかに湾曲しており、その容器の内部には、規定量の液体と気体が入っています。デジタル式の場合は、気泡を観測する部分にイメージセンサが内蔵されています。

目視での測定時は、気泡が容器にある目盛りのどの位置にあるかを目視で確認することにより、精密水準器が位置している場所の傾斜を測定します。デジタル式の場合は、センサから取得した画像を処理することによって、どの程度の傾斜があるかを内蔵されている制御基板で計算し、表示部に表示します。また、傾斜の度合いを電気信号としてその他の接続可能な機器に伝達し、フィードバック制御などを行い、水平を保つためのセンサとして機能することも可能です。仕組み上、振動が多い環境や高温の環境下では、正常に機能しない場合があるため、注意が必要です。

精密水準器の種類

精密水準器は日本工業規格であるJISによって、その構造や精度が決められています。

精密水準器は感度によって種類が三つに分けられています。水平器の感度は、一種(0.02mm/m、約4秒)、二種(0.05mm/m、約10秒)、三種(0.1mm/m、約20秒)の三種類にJIS規格で定められています。感度とは、気泡を1目盛移動させるのに必要な傾斜角のことで、感度表示は底辺1メートルに対する高さが基準になります。

例えば1種の場合、底辺1メートルに対し0.02mmの高さを1目盛で検出します。300mmのサイズの水準器(1種:感度0.02mm/m)を用いて気泡が1目盛移動している場合、水準器の端から端まで6μmの高さの違いがあります。

また感度は、傾斜角度(秒)でも表されます。角度1秒とは、1mにつき4.85μmです。

  • 1種 0.02mm/m = 角度4秒 = 0.00111°
  • 2種 0.05mm/m = 角度10秒 = 0.00277°
  • 3種 0.1mm/m = 角度20秒 = 0.0055°

精密水準器の等級

精密水準器は性能(精度)によって、JISではA級とB級に等級が分かれています。各性能の交差は以下の通りです。精度とは、計測器が表す値又は測定結果の正確さと精密さ(ばらつきの小さい程度)を含めた総合的な良さで、測定のばらつきのことです。測定を行った際に、測定値±精度となり、±精度の中に測定目的の真の値が含まれる形になります。

JISでは精度は以下の通りとなっています。

  • 全範囲精度 (1種) :A級±0.5目盛、B級±0.7目盛
  • 全範囲精度 (2種及び3種) :A級±0.3目盛、B級±0.5目盛
  • 隣接精度 (1種,2種及び3種) :A級0.2目盛、B級0.5目盛

A級とB級で精度が異なっており、さらに1種と2種及び3種、全範囲精度と隣接精度でそれぞれ精度の値が分けられています。1種、2種、3種とは、精密水準器の種類で説明の通り、精密水準器の感度による差です。全範囲精度とは、精密水準器の全目盛範囲での精度についての規定です。そして隣接精度とは、隣接する目盛に対しての精度の規定です。

参考文献
https://www.fsk-level.com/
https://satosokuteiki.com/item/detail/3113?pid=6332
https://www.kikakurui.com/b7/B7510-1993-01.html

双腕ロボット

双腕ロボットとは

双腕ロボット

双腕ロボットとは、ロボットの胴体と胴体から伸びる2本の腕 (アーム) を有するロボットのことです。

それぞれのアームに役割を持たせて、それぞれのアームを個別に動作させることができます。そのため、2本のアームによって複雑な作業を実施できる点が双腕ロボットの利点です。

双腕ロボットに似たロボットとして、1本だけのアームを持つ単腕ロボットがあります。双腕ロボットは、単腕ロボットよりも人間らしい動作が可能で、物を浮かせた状態でも作業ができます。

双腕ロボットの使用用途

双腕ロボットは、製造業や物流業、飲食業などで使用されています。病院・介護施設などの医療福祉現場や大学などの研究現場で使用されることも多いです。

なお、双腕ロボットは関節部分の構造から2種類に分類できます。1つは垂直多関節型ロボットで、もう1つは水平多関節型ロボットです。水平多関節型ロボットはスカラロボットと呼ばれたりします。

1. 垂直多関節型ロボット

垂直多関節型ロボットは、立体的な作業に向いています。垂直多関節型ロボットが実際に行う作業は、加工や研磨、検査、塗装、溶接、組立、ピッキング、ハンドリングなどです。

2. 水平多関節型ロボット

水平多関節型ロボットは、平面上での作業に向いています。水平多関節型ロボットが実際に行う作業は、検査や組立、ハンドリングなどです。

双腕ロボットの原理

双腕ロボットは、一般的なロボットの仕組みと変わりません。先端のハンド部分とアーム部分、関節 (リンク) 部分で構成されています。垂直多関節型ロボットは、基本的に6軸以上で構成されています。

それぞれの軸を回転させることで、3次元空間上を自由に移動できるような動作が可能です。垂直多関節型の双腕ロボットの中には、片腕が7軸で構成され、腰1軸を持つ人型ロボットもあります。水平多関節型ロボットは、基本的に4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

双腕ロボットのハンドおよびアームを動かす際には、モーターを使用しています。主として使用されるモーターは、サーボモーターです。同様の機能を有するモータとしてステッピングモーターもありますが、ステッピングモーターでは、エンコーダを使用していないことから、自身の位置を把握できません。そのため、ステッピングモーターはハンドやアームの駆動源に不向きです。

双腕ロボットでは、複数のカメラや力覚センサーなどによるセンシング機能によって自律能力を持たせることが可能です。胴体、アーム、ハンド、関節、カメラ、力覚センサー、画像処理、物体認識、力覚制御、これらを組み合わせることで人間に近い双腕ロボットを作り出しています。このおかげで複数の単腕ロボットが必要な作業でも双腕ロボット1台で賄うことができます。

双腕ロボットのその他情報

1. 双腕ロボットの価格について

かつての双腕ロボットの相場は500万円以上のものが大半で、双腕ロボットの購入が難しいと考えている企業が多いのが実情でした。しかし近年では、双腕ロボットが活躍できる食品工場や介護施設などで需要が見込まれるとみて、200万円~300万円台の双腕ロボットが開発されています。

双腕ロボットの低価格化だけではなく、ロボット自体の軽量化や安全性の向上に成功しています。今後の需要に合わせて、低価格で安全な双腕ロボットが増えていくことが期待されます。

2. 双腕ロボットのメリット

複雑な作業が行える
冒頭で紹介したように双腕ロボットは2本のアームを活用するので、他のロボットよりも複雑な作業を行えます。例えば、一方のアームで部品を取り外し、もう一方のアームで部品を取り付けることができます。 こうした複雑な作業を行うことで、作業の効率化を図れるのが大きな利点です。

安全性が高い
厚生労働省の労働安全衛生規則によると、80W以上のロボットの場合、安全柵で囲って、ロボットの作業半径への作業者の立ち入りを禁止する必要があります。しかし、双腕ロボットでは80W未満のモーターが使用されていることが多いので、作業者と共同で作業ができます。

また、作業者の安全も守ることができる点も双腕ロボットの利点です。なお、規制緩和によって一定の条件を満たせば、80W以上のロボットと人間が同じ作業スペースで働くことが可能になりました。

導入コストを抑えることができる
先ほども述べたように、双腕ロボットの低価格化が進んでいます。双腕ロボット自体もそこまで大きくなく、導入のコストを抑えることも可能です。また、作業の効率化を図れるので、人件費の削減にもつながります。

参考文献
https://www.epson.jp/products/robots/souwan/w01/
https://newswitch.jp/p/20537
https://www.robot-befriend.com/blog/dual-arm-robot/

卓上ロボット

卓上ロボットとは

卓上ロボット

卓上ロボット (英: Desktop robot) とは、机の上に載せて使えるサイズのロボットです。

例えば、作業者が行っている作業をロボットに行わせるためにFA (ファクトリーオートメーション) 用途で使用されたり、販売員をサポートするために販売用途で使用されたりします。

取り扱うワークに合わせて独自に開発されるケースもあれば、ロボットメーカーの汎用品を組み合わせて使用するケースもあります。卓上ロボットのエンドエフェクタを置換すれば、さまざまな用途への展開が可能です。

卓上ロボットの使用用途

卓上ロボットは、主にFA分野の自動化を促進するために使用されています。例えば、自動車や電気機器などの製造業です。

また、ワークに樹脂などを塗布する塗布工程やネジ締めなどの組立工程、基板の切断工程、検査工程などでも使用されます。使用目的や使用環境などに合ったタイプの卓上ロボットの選定が必要です。

卓上ロボットの原理

卓上ロボットは、一般的に仕事を行うためのエンドエフェクタとそれを動かすアームなどの可動部、全体を制御するための制御部で構成されています。エンドエフェクタは、各種用途で必要となる動きを具現化するために、溶接・切断・組立などの作業を行います。

一例として、車載用の駆動モータの生産ラインで使用される卓上ロボットの動作は以下の通りです。

  1. 直材が加工ステーションに到着
  2. 識別センサで加工物を確認
  3. 識別センサでの検知結果に基づいて、卓上ロボットに指示が入り、組立作業を開始
  4. エンドエフェクタの治具を入れ替え、組立作業を実施

卓上ロボットは塗布・組立・検査など汎用性に優れているため、 多品種少量生産を行うセル生産現場に最適です。

卓上ロボットの種類

卓上ロボットには、垂直多関節ロボットや直交ロボット、水平多関節ロボット (スカラーロボット) などがあります。

1. 垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人間の腕に近い構造を持つロボットです。一般的に4軸、5軸または6軸で構成されています。それぞれの軸を回転させることで、3次元空間上で自由な動作が可能です。

2. 直交ロボット

直交ロボットは、単軸の直動ユニットを組み合わせたシンプルな構造のロボットです。例えば、XYZの3軸で構成されています。

3. 水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは、水平方向に動作するハンド (エンドエフェクタ) を持つロボットです。例えば、4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

 

その他、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボットには2個のアームを持った双腕型のロボットもあります。卓上ロボットは、溶接や切断などの単工程を1個のアームで行うものと、組立などの複数工程を2個のアームで行うものに分けることも可能です。

卓上ロボットのその他情報

1. 卓上ロボットの安全対策

垂直多関節ロボットのように、ある程度大きいロボット (出力が80W以上のロボット) の場合、作業者の作業エリアとロボットの動作エリアが重ならないように、安全対策としてロボット周辺に柵を設置する必要があります。これは法律で定められていますが、近年法規制が緩和され、人に危害を加えないように人が近づいたときに減速・停止を行うなどの安全対策が取られている場合には柵を設けなくても良くなりました。

しかし、その普及はまだまだ拡がっていません。これは規制緩和後、企業の産業用ロボットに対する設備投資が進んでいないことが一因として挙げられます。一方、卓上ロボットは人と協働作業を行うことを想定して開発されているため、出力80W以下の製品が多く存在します。

この場合、ロボットの周囲に柵を設置する必要がないため、人と一緒に作業を行うことが可能です。しかし、例えば卓上ロボットに塗布作業を行わせるときなどは、卓上ロボットアームにニードルが取り付けられており危険です。距離センサーやカメラなどでロボットの周囲を常に測定して、人に危害を加えないようにする安全対策をシステム側で行うことが好ましいです。

2. 卓上ロボットの活用事例 (ペンプロッター)

ペンプロッターとは、パソコンから出力された文字をペンで紙に書き写す機械のことです。従来は機械工学分野で図面を紙に書き出す際などに用いられていました。

スカラロボットなどのNC機器で構成されることの多いペンプロッターですが、垂直多関節型の卓上ロボットでも実現できます。垂直多関節ロボットは動作の自由度が高く、XYZそれぞれの並進動作はもちろん、各軸の回転動作も可能です。

人間の手書き動作は、並進動作に加えて回転動作も含まれています。垂直多関節ロボットでペンプロッターを実現すれば、従来よりもより手書き文字に近い質感を実現できます。

参考文献
https://www.janome.co.jp/industrial/jpn/products/desktop_robot/index.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet_140115.pdf