高精度温度計

高精度温度計とは高精度温度計

高精度温度計とは、温度計の中でも高精度に温度を計測できる精密温度計測器のことです。

温度センサとあわせて使います。計測機本体と温度センサを併用して用いることで、正確な温度の計測が可能です。そのため、温度の調整や温度計の校正などに使用されています。

温度センサには、熱電体センサや測温抵抗体センサなどが用いられており、それぞれ特徴が異なるため、使用用途に適した温度センサを選択することが重要です。

高精度温度計の使用用途

高精度温度計は、温度計を校正する際に使用します。温度センサを組み合わせて用いることで温度の調整を行い、普段使いの温度計の校正温度が正しいかを確認します。しかし、高精度温度計は、普通の温度計よりも高額であったり、大型である分使い勝手は劣ったりするのが欠点です。

温度センサによってあらかじめ校正済みの正しい温度データをメモリーに内蔵し、高精度温度計のメモリーに内蔵されていないタイプでは外付けメモリーに保存します。このメモリーのデータを読み込むことで、高精度での計測が可能です。JISの温度許容差で定義されている誤差よりも、計測器やプローブの個体差も含めた精密な調整ができます。

高精度温度計の原理

Fig1 温度計の原理

図1. 温度計の原理

工業的によく用いられる温度センサには、熱電対と測温抵抗体があります。

1. 熱電体による温度センサ

Fig2 熱電対の許容差

図2. 熱電対の温度許容差

熱電体による温度センサは、2種類の異なる金属導体を組み合わせた温度センサのことです。異なる金属の接点に温度差が生じると金属同士の間に電圧が生じ、熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して電圧を測定することで、温度を正確に計測しています。

小型化できることから、くる応答の速さと高温でも計測が可能なことが特徴です。熱電対の先端 (異なる金属線が接着されている部分) のみが測定部だと誤解しがちですが、異なる金属線の間で発生する起電力が測定対象になるため、導線部も含めた温度差が重要になります。測温抵抗体よりも温度許容差としては大きめです。

2. 測温抵抗体による温度センサ

Fig3 測温抵抗体の許容差

図3. 測温抵抗体の許容差

測温抵抗体による温度センサは、温度上昇にあわせて金属の電気抵抗が大きくなるという原理を利用したものです。純度の高い白金やニッケルなどを素線の材料として使用しています。

熱電体と比べて高温での使用ができず、カバー範囲は狭いです。しかし、低温から中温の領域で非常に高精度な温度の検出をすることができることや安定度が高いことが特徴です。

温度計の一般許容差は、JISにより規定されています。高精度温度計は通常の温度計と原理的には同様ですが、その中でもクラスの高いものを使用し、校正などをしっかり行うことで精度を保っています。

高精度温度計のその他情報

1. 高精度温度計の測定誤差

いくらスペック上厳密な校正を行っても、環境にあわない測定をすると正しい温度は測定できません。代表的な誤差要因は以下の通りです。

測温抵抗体の誤差要因

  • 通電電流による自己加熱の影響
  • 測定対象の温度変化による熱衝撃の影響
  • 振動、衝撃の影響

そのほか、異常電圧、電流 (落雷、高圧放電等) の影響や絶縁抵抗の低下による影響も要因として挙げられます。

2. 熱電対の誤差要因

最もよく使われるK型熱電対の誤差要因は以下の通りです。

還元性雰囲気における酸化
K型熱電対を800~1,000℃間の高温還元性雰囲気下で使用すると、数百℃も測定値がずれる場合があります。これはK型熱電対+側で使用されているクロメル線の表面酸化皮膜が還元性雰囲気の影響によって還元され、その後酸化しNiCr2O4が生成するために起こるためです。特に水素ガスは高温において一部の金属保護管を透過してしまうため、水素透過の少ないシース材を使用することが大切です。

シース中間温度による影響 (シャントエラー)
シースが測定対象温度よりも高温部に接触していると、測定対象部よりも高めの温度になります。これは800℃以上の高温でシース内部にある無機充填物の絶縁抵抗が低下するためです。設置方法に注意し、素線間の絶縁距離が大きくなるよう外径の太いシースを選択するのが有効的です。

K型熱電対の不可避誤差 (ショートレンジオーダリング)
K型熱電対を300~550℃の温度で使用すると、熱起電力の特性が変化し、誤差が生じる場合があります。これはクロメル合金の金属組織が300~550℃の温度で熱起電力が増加するためです。650℃以上に加熱すると元の特性に戻ります。

外部からの電気的影響
発電機やモーター等から発生するノイズが、誤差を引き起こす場合があります。ノイズの影響を最小限にするためにはシールド付き補償導線を使用します。シールド付き補償導線を使用しなかったり、2点接地型を用いたりすると、遮蔽効果が減少したり、かえって誘導電流を拾ったりする可能性もあるため、一般的には1点接地が推奨されます。

補償導線を使用しない場合の影響
熱熱電対は先端部の温度ではなく、先端と導線でつないでいるところの「温度差」が起電力となって測定されています。そのため、導線でつないでいるところまでが起電力発生部です。しかし、すべてを熱電対線にするとコストがかかったり、抵抗値が高くなりすぎるため補償導線が使われます。

なお、補償導線とは、組み合わせて使用する熱電対とほぼ同じ熱起電力である導線のことです。たまに熱電対の原理を勘違いして補償導線を使わず普通の導線を使用してしまったり、使用するべき導線を間違えてしまうことがあります。

そのほかにも測温抵抗体も熱電対も接触させて温度を測定するものになるため、接触の仕方や外部環境温度などにも注意が必要です。

参考文献
https://www.chino.co.jp/products/calibration/cab-f201/
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/measure/anritsu_meter/hds-aps/
https://www.mksci.com/products/list/18.html
https://www.wika.co.jp/ctr2000_ja_jp.WIKA
https://www.watanabe-electric.co.jp/sensor/faq/sokuon/01.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/thermometry/thermocouple.jsp
http://nds-nihondensoku.co.jp/about_thermometer
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/thermometry/resistance_bulb.jsp
https://ednjapan.com/edn/articles/1604/01/news007.html

高効率モーター

高効率モーターとは高効率モーター

高効率モーターとは、電力を効率的に変換して動力を生み出すモーターです。

モーターは電力を受け取って回転運動を生み出しますが、その過程で一部の電力は熱や損失として失われます。高効率モーターは、電力損失を最小限に抑え、最大限に有効利用する設計がされた機器です。

高効率モーターは損失が少ないため、熱の発生が抑えられます。これによってモーターの内部温度が低くなるため、寿命が長くなることが利点です。また、電力消費を削減するため、環境に与える影響を軽減します。

エネルギー効率の向上は、温室効果ガスの排出削減やエネルギー資源の節約につながります。高効率モーターは産業や家庭用電化製品など、さまざまな分野で利用される機器です。エネルギー効率の改善と環境負荷の低減を目指す取り組みの一環として、高効率モーターの普及が進んでいます。

高効率モーターの使用用途

高効率モーターはさまざまな分野・用途で使用されます。

1. 工場・製造プラント

工場や製造プラントで使用されるモーターは、高い効率性が求められます。高効率モーターは、ポンプやコンプレッサーなどの駆動に使用されます。高効率モーターにより、エネルギーコストの削減や生産性の向上が可能です。

2. 電気自動車・ハイブリット自動車

高効率モーターは、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両において重要な役割を果たしています。モーターの効率性が高いほど、駆動距離の延長や充電の効率化が可能です。

3. 家庭用電化製品

 家庭用電化製品においても、高効率モーターの使用が進んでいます。冷蔵庫や洗濯機などの家電製品において、省エネルギー性と静音性を実現するために高効率モーターが採用されています。

高効率モーターの原理

高効率モーターは、エネルギー変換の効率を最大化するように設計されています。特に、磁気回路の設計が重要です。磁気回路はコイルと磁性材料から構成されており、電流が流れることで磁場が生成されます。磁気回路の形状や材料を最適化することで、磁束の効率的な伝達と集中化が可能です。

また、損失を最小限に抑えるために、低損失材料が使用されることが多いです。鉄芯には低コア損失材料が使用され、コイルには低抵抗の導線が使用されます。これにより、熱損失やエネルギー損失を減らして効率を向上させます。

制御回路を効率化することで、損失を低減する場合も多いです。最適な電力供給や電流制御により、モーターの動作効率が最大限に引き出されます。また、電力回生やインバータによる速度制御などによって低損失化することが可能です。

高効率モーターの種類

高効率モーターには国際電気標準化機構 (IEC) によって定義されたモーターの効率等級があります。

1. IE1

従来の標準効率モーターです。効率が比較的低く、高い効率を求める場合には適していません。一般的な産業用途で使用され、コストを抑えたモーターとして広く利用されます。

2. IE2

IECの効率向上基準に基づいて設計されたモーターで、効率がIE1よりも高いです。IE2モーターはエネルギー消費削減を目的に開発され、効率的な運転を実現します。

3. IE3

更なる高効率化を実現するために開発されたモーターです。IE3モーターはIE2よりも高い効率を持ち、エネルギー消費をさらに削減します。現在、産業用に広く使用されているモーターです。

4. IE4

超高効率モーターとされています。IE3よりもさらに効率が高く、エネルギー消費を大幅に削減します。特殊な技術や設計が組み込まれており、省エネルギー性能の最大化に焦点を当てています。

ただし、IE4は高価でありIE3の方が経済的な場合も多いです。

5. IE5

IECの効率基準の中で最も高い等級です。IE4よりも更に高い効率を持ち、エネルギー消費をさらに効率的に削減します。最新の技術や設計が組み込まれています。

高効率モーターのその他情報

高効率モーターの注意点

高効率モーターは効率が高く、回転数が高くなる傾向にあります。ポンプやファンのモーターを一般型から高効率に変更した場合、消費電力が増加する恐れがあります。インペラカットなどによって負荷を低減させなければ、増エネすることも多いです。

また、始動電流も大きくなる恐れがあります。配線やブレーカなどの関連機器が問題ないかを事前に確認することが大切です。

参考文献
https://www.tmeic.co.jp/product/rotating_machinery/motor/high_efficiency/about_toprunner/
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/b6.html

高力ボルト

高力ボルトとは

高力ボルト

高力ボルトとは、主に鉄骨構造の建築用に使われる強度の高いボルトのことです。

一般的に使用されるSS400と呼ばれる鋼材の引っ張り強さは400N/mm2ですが、高力ボルトに使われる材料は、低くても800N/mm2の強度があります。そのため、一般的な機械用としては使用されずに、建設の分野で使用されます。

特に鉄骨造でよく採用される摩擦接合の継手として、鋼材同士を固定する際のボルトとして、広く使用されているボルトです。

高力ボルトの使用用途

高力ボルトの使用用途は、主に建築分野です。建物の構造を作る方法は色々ありますが、その中でも鉄骨で建物の構造を製作する方法は、コンクリート造に比べると非常に簡単です。

そのため、日本では多用されることの多い構造ですが、高力ボルトは鋼材同士の接合に使用されます。鉄骨造の場合は、鉄骨同士を溶接していると非常に手間がかかり、建設現場での溶接では品質も安定しません。

そこで、摩擦接合と呼ばれる方法で接合します。この摩擦力を発生させるのに高トルクが必要なため、高力ボルトが使用されます。

高力ボルトの原理

高力ボルトは、鉄骨同士の接合という大きなトルクが必要な箇所に有用で、クロム鋼クロムモリブデン鋼が長年使用されてきました。しかし、現在使われるようになってきたのは低炭素ボロン添加鋼です。低炭素ボロン添加綱により、クロム鋼やクロムモリブデン鋼で問題となった遅れ破壊対策が可能となりました。

また、高力ボルトの1つであるトルシア型高力ボルトは、締結作業の完了と軸力の確保、締結後に故意に緩めることができな構造になっているのが特徴です。

高力ボルトの種類

高力ボルトはその形状と使用方法によって、摩擦接合用高力六角ボルトと、トルシア型高力ボルトの2種類に分かれています。

1. 摩擦接合用高力六角ボルト

摩擦接合用高力六角ボルトは、建築部材の摩擦接合に用いるためのボルトです。「JIS B 1186 摩擦接合用高力六角ボルト 六角ナット・平座金のセット」で規定されています。摩擦接合とは、ボルトによって軸力から接合部材同士の摩擦力を発生させることで接合力を得る方式です。

ボルトには強度によって区分を表す記号がありますが、摩擦接合用高力六角ボルトはF10TやF8Tで表されます。なお、F8Tで区分されるボルトとして溶融亜鉛めっき高力ボルトが挙げられることがありますが、正確にはJIS規格には合致しておらず、国土交通大臣認定品であることがほとんどです。

溶融亜鉛めっきを施したボルトはめっきの膜厚が大きいため、嵌合性が悪くオーバータップという加工がめっき後に施されており、この処理がJIS B1186では認められていません。JIS該当品にはならず、国土交通大臣の認定を得た製品だけが実用されています。

2. トルシア型高力ボルト

トルシア型高力ボルトは、締め付け部が特殊な形状になっているため専用工具が必要になります。しかし、規定トルク以上で締め付ければ締め付け部が破断する形状になっており、トルク管理が非常に簡単です。

トルシア型高力ボルトは、頭部は六角形状ではなくリベットのような円形状です。締結作業はねじ先端部分を回しますが、軸部分に溝があり、締結作業が完了すると破断します。溝部分で破断するまで締め付けるため、軸力と一定以上加えることが可能です。

また、本体を回転させるためにチャックする部分が破断しているので、締結後に故意に回して緩めることができません。

高力ボルトのその他情報

 高力ボルトとハイテンションボルト違い

高力ボルトとハイテンションボルトは同一のものです。高張力鋼 (ハイテンションスティール) によって作られていることから、「高力」と「ハイテン」2つの呼び方をされます。

高張力鋼にも種類があり、ニッケル量を3%ほどに高め海岸付近での塩の耐性を高めたものや、NiやCuを添加量を増やして大気腐食力を高めた耐候性のものもあります。

参考文献
http://www.bolten.co.jp/products/product/101-detail
http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-suberikeisu.html
http://www.bolten.co.jp/products/product/101-detail

風量計

風量計とは

風量計とは、風の速度や風量を測定するための計測器具です。

主に気象学や環境モニタリング、建設、エネルギー産業、航空業界などで使用され、風のパラメータを正確に測定し、分析するのに役立ちます。風量計は、建物内の換気量を測定するのに風量計は非常に重要です。

一般的な建物は気密性に優れているので、そのままでは空気の入れ替わりが非常に少なくなります。そのため、換気扇やダクトなどで換気をしますが、換気量は室内の容積や人の人数などで規定されています。

似たようなもので風速計もありますが、風速計は速度を測定する器具です。風速から風量を測定するにはダクト等の面積を計算する必要があります。そのため、何を計測したいかによって風量計、風速計を使い分けることが重要です。

風量計の使用用途

風量計は、適切な風量が管理できているかを測定するために使用します。最もよく使用されるのが、建物の換気量が要求通りに使用されているかの確認です。建物の換気量は使用用途などによって厳密に決められており、その換気量を測定する際に風量計が使用されます。

また、換気量以外にも食品などに使用される乾燥機の風量測定にも使用されます。食品によっては高温で乾燥できない場合もあるので、低露点の風邪を大量に流し込んで乾燥を促します。

このとき、露点と同様に風量も重要になるので、その風量を測定するのに風量計は使用されています。

風量計の原理

風量計は風速計とは異なり、ダクトや配管から流れ出る全ての風を補足する必要があります。風速計であればダクトや配管内の一部でも測定できるので、プロペラの回転数やピトー管による圧損から測定できますが、風量はそのような測定はできません。

そのため、風量計は大きなコーンやフード等を取り付け、直接ダクトや配管に取り付けられるようになっています。また、ハイエンドなモデルでは吐き出し口だけでなく吸い込み口でも測定が可能です。

基本的に測定者による誤差はほとんど出ませんが、風の漏れなどには注意する必要があります。また、風量計はダクトに直接取り付けるため、本体のサイズが大きくなりがちです。少し使用しづらいことも欠点として挙げられます。

風量計の選び方

1. 測定範囲

風量計の使用目的に応じて、必要な風速の測定範囲を明確にします。風量計の選定範囲が実際の風速と一致しないと、正確なデータが得られません。用途に合わせて最適な範囲を選び、必要なデータを収集できるようにします。

2. 風向センサーの有無

風向情報が必要な場合、風向センサーを備えた風量計を選びます。風向情報は、航空業界や建設プロジェクトなどで重要です。僅かな風向きでプロジェクトや作業に影響を及ぼすため、高精度のものが求められます。

3. 精度と耐久性

測定の精度と風量計の耐久性は重要です。特に長期間の使用や過酷な環境での運用を考え、高精度で耐久性のあるモデルを選ぶ必要があります。データの正確性と長寿命を確保することで、作業の安定性が向上します。

4. データ管理と通信機能

測定データの管理やリアルタイムモニタリングが必要な場合、データ記録と通信機能を備えた風量計の検討が必要です。データの収集と共有が容易であれば、効率的な運用が可能となります。

リアルタイムな風量測定が求められる場合は通信機能の速度も重要となるため、用途を明確にしたうえで選ぶ必要があります。

参考文献
https://www.transtech.co.jp/product/tsi-laflobalometerhoods-6200
https://www.transtech.co.jp/product/tsi-accubalanceaircapturehood-model8380
https://i-sooki.co.jp/allproduct/ct01/model6750/

風向風速計

風向風速計とは

風向風速計

風向風速計とは、風速計と風向計の機能をどちらも備えた計測器のことです。

風速と風向を同時に測定することが出来るため、風の状態を観測するために用いられています。風向風速計には種類が多数あり、風杯型、風車型、超音波の3つのタイプが主なものです。風向は、36方位あり、10分間か2分間の平均の方向を風向として表示します。

風速は単位時間あたりの空気の移動距離を表したもので、こちらも10分間か2分間の平均の値を風速として、ノットという単位を用いて表示します。大型の高精度観測用から、小型で携帯できるものまであり、幅広い用途に対応しています。

風向風速計の使用用途

大型の高精度観測の用途では、風の状態を観測することで大気の運動を把握することができるため、風向風速は気象を予測するための指標として非常に重要な位置づけとなっています。

風の観測地によって雲の動きや風の強さを把握することで、災害や天気の予測を行うことが出来、日常の天気予報や花粉の予報などの身近な情報から、強風や暴風などや台風や波浪などの注意や警報の発令を行うことで、被害の拡大を防止したりすることに役立っています。

また、船舶や航空機を安全に運行させるためには風の情報が必須となるため、空港や沿岸部には風向風速計が設置され、常にリアルタイムの風の情報を把握しています。

小型の携帯用の風向風速計の用途は、屋内環境における風の状態を観測することを目的として用いられています。具体的には、空調やダクトなどの設備の検査や保守点検業務の際や、クリーンルーム内の空気循環の状態を調査するために使用されています。

風向風速計の原理

1. 風杯型風向風速計

回転軸の周りに半球か円錐の形状をしたカップを3から4方向に取り付けた構造をしています。カップ状の風杯が風を受けて回転する速度を計測することで、風速を測定します。

2. 風車型風向風速計

胴体部分とプロペラ部分からなり、胴体の先端についたプロペラが風を受けて回転することで風速を計測し、胴体が流線型をしているために風の向きに動くことで風向を計測することが可能です。

3. 超音波型風向風速計

超音波風向風速計は、音波の受信部と発信部を二基一組で設置して使用します。超音波の伝達速度は一定ですが、風の影響を受けると伝達する速度が変化するため、音波を空中に発して受信するまでの速度の差分をとることで、風速を計測します。

風光風速計のその他情報

風向風速計の設置場所

1. 観測場所
風速計は風に影響されやすいため、一般的に平坦で開けた場所に設置されます。建物や樹木などの障害物との距離は、障害物の高さの10倍以上必要です。

建物の端や凹凸のある崖の上から吹く風は、風の測定に大きな影響を与えます。風向計は鉄塔を利用してビルの屋上に設置するのが比較的一般的ですが、吹き付ける風や冷却塔などの屋上構造物、ビルの大きさや高さによる風の乱れの影響を受けにくい場所を選ぶことが望ましいといえます。

また、風速計の観測場所を選ぶ際風の乱れがない場所を選ぶことも重要です。風の乱れは近くにある建物の大きさや高さなど、さまざまな要因で発生します。そのため、風の乱れの影響を受けない場所を選ぶ必要があります。

2. 設置場所
風速計は機器支持部の底面が水平になるように、タワーやポストの上に設置します。これにより正確な測定値が得られるようになります。風速計が水平でないと、カップが均等に回転せず、測定値が不正確になります。

水平であるかどうかを判断するには、水準器を使用します。水平器を使用すると、取り付けベースの上部が水平かどうかを確認することが可能です。風速計が水平でなければカップが均等に回転せず、測定値が不正確になるため注意が必要です。

3. 高さ
風速計の高さは2つのポイントに注意して取り付けます。

1つ目は草木や他の建設物などによって邪魔されない高さであることです。2つ目は地表付近の温度勾配の影響を受けない高さであることです。風速計の理想的な高さは、10フィート (3メートル) です。橋梁上やトンネルの出口で風速を観測して自動車や列車を安全に運行させるなど、目的がはっきりしている場合は、目的に合わせて測定器の設置場所や高さを選択する必要があります。

参考文献
http://www.koshindenki.com/products.aspx?id=11
http://www.weather.co.jp/yng/yng.htm
https://www.rex-rental.jp/feature/37/anemometer
https://www.jma-net.go.jp/naha-airport/kansoku/wind/wind.html
https://fieldpro.jp/word/word-wind/ https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf

顕微鏡カメラ

顕微鏡カメラとは

顕微鏡カメラとは、顕微鏡に取り付けて使用するカメラのことです。

顕微鏡カメラを使用することで、顕微鏡で観察している内容をそのまま静止画や動画として撮影できるようになります。顕微鏡の接眼レンズをのぞき込まなくても、モニターで観察したり顕微鏡画像をデータとして保存することが可能です。

デジタル化によりUSBやHDMI端子でコンピューターやモニターに接続できるようになったため、観察と同時に計測や解析を行ったり、リアルタイムに大人数で観察したりすることが容易にできるようになりました。

顕微鏡カメラの使用用途

顕微鏡カメラは、研究や製造現場において観察、記録、計測など様々な用途に使用されています。

例えば一人の目視確認だけでは根拠に乏しい場合に、データとして観察結果を保存することで、研究発表や業務報告等の際に根拠の裏付けとして提示することが出来ます。

観察中に計測や解析をしたい場合にもコンピューターに顕微鏡カメラを接続することで、ソフトウェアで同時に作業を行うことができます。実習や発表の際にモニターに映し出して共有したり、診療の際に患者に目視で説明する場面にも使用されています。

顕微鏡カメラの原理

顕微鏡は、対物レンズで作られた拡大像を観察しています。

顕微鏡カメラは、写真投影用レンズ (カメラアダプター) とカメラ本体で構成されます。対物レンズで得られた拡大像を写真用投影レンズを使ってカメラ本体の撮像素子上に結像させることで電気信号に変換し、画像として出力します。

写真用投影レンズ (カメラアダプター) には、顕微鏡の三眼鏡筒に取り付けるタイプや接眼レンズの代わりに取り付けるタイプなどがあります。顕微鏡カメラは顕微鏡が捉えた高倍率の被写体をとらえるため、被写体のどの部分にフォーカスして観察しているのかを素早く把握する必要があります。

手動で顕微鏡を動かす素早い操作にも対応するため、メーカ毎に解像度やフレームレートを高めるなどして高画質な映像を高速に得られる工夫が施されています。

顕微鏡カメラの種類

顕微鏡カメラには、カラーカメラやモノクロカメラがあります。カメラによって色再現性や解像度などの特性が異なるため、観察対象の特徴や使用用途に合わせて顕微鏡カメラを選ぶ必要があります。

1. カラーカメラ

観察している標本の状態を色と共に記録します。カメラメーカーは接眼レンズを通した色に似た色を表現するために色補正技術を用いています。

2. モノクロカメラ

電子増倍機能素子を用いることでカラーカメラでは検出することが出来ない微弱な光を検出することができるため、微弱蛍光している標本などの映像化が可能です。特定の用途で能力を発揮しています。

顕微鏡カメラの選び方

顕微鏡カメラを選ぶ時は、以下の項目に注意して、観察対象の特徴や使用用途に合ったものを選んでください。

1. 解像度

画像をどこまで細かく分解できるかを表します。数値が大きくなるほど画質がよくなりますが、画像データの容量が大きくなります。

2. フレームレート

1秒間に何枚の画像を出力できるかを表します。数値が大きいほど標本や顕微鏡の素早い動きにも映像のブレや遅れが起こりにくくなります。

3. 感度

撮像素子が光を電気信号に変換する効率のことです。感度が高いほど弱い光でもカメラで撮影することができます。撮像素子の特性上、弱い光になるほど電気的ノイズが大きくなるため、低ノイズとか高 S/N という表現をすることもあります。

4. 色再現性

人の目と顕微鏡カメラのセンサーは、光や色に対する感度が異なります。そのため、顕微鏡カメラでは、観察している標本と同じような色に合わせる処理をしています。メーカー毎に特徴があるので、確認することをお勧めします。

参考文献
https://www.wraymer.com/camera/index.html
https://www.olympus-lifescience.com/ja/cameras/
https://www.microscope-net.com/products/camera/
http://www.bmsci.com/products/?id=1499167483-741708&ca=38&pca=1

面取り機

面取り機とは

面取り機

面取り機とは、木材や鋼材などの角をC面にすることで角を切削する加工機のことです。

加工形状には、C面取りやR面取り、細かい形状の糸面取りが存在し、主に硬い材料で角が立つ場合にケガを防止するために使用されます。

面取り指示が図面などにある場合は、縦・横を面取り機で2mm削除するという意味で「C2」という表記がされます。また、面取り機のチップには木材用や鋼材用などの種類があり、機械と一緒に使い分けることで材質に合わせた切削が可能です。

面取り機の使用用途

面取り機は、木材、鋼材、プラスチック、アルミニウムなどの素材の角をC面やR面に加工する機械であり、角が立っている場合にケガを防止するために使用されます。

加工精度が高く、切削面が滑らかに仕上がるため部品の寸法精度を向上させることができます。また、材料の強度や耐久性も向上させることも可能です。一般的には自動車や航空機などの大型機械部品、建築材料、家具などの木材製品など、さまざまな産業で使用され、最近では、3Dプリンターとの併用により、さらに高度な形状の部品を作れるようになっています。

面取り機の原理

面取り機は、回転するカッターヘッドによって切削ができます。刃物には硬質合金やダイヤモンドなどの超硬材料が使用されることが多く、材質に合わせて選択されます。C面取り用、R面取り用、糸面取り用など、さまざまな形状があり、目的に応じて使用可能です。

切削の深さや加工速度などは機械の設定によって調整されます。また、切削時に発生するバリや切屑は、排出装置によって処理され、加工面の品質を向上させます。

木材、プラスチック、鋼材、アルミニウムなど、硬度や厚さによって使用する刃物を選択し、適切に加工を行うことが必要です。また、曲面部分や細かい箇所にも対応できるよう、さまざまな形状の刃物が開発されています。

面取り機の種類

面取り機は、ハンディータイプや卓上タイプ、パイプ面取り機など、多様な種類があります。

1. ハンディータイプ

ハンディータイプは、持ち運びができるため、高所や大型機器の角の加工など、狭い場所での作業に適しています。曲線加工が可能なハンディータイプは、穴径、半径、溝、角材の削除ができるため、幅広い用途に使われます。また、R面取りでは角を半径状に加工可能です。

2. 卓上タイプ

卓上タイプの面取り機は、切削加工後のバリなどを取りのけるため、加工後の綺麗な仕上がりを求められる場合に使用されます。

3. パイプ面取り機

パイプ面取り機には、メントリー、電動パイプリーマー、手動パイプリーマーの3種類があります。メントリーは、内側と外側の両面を取れるため、主に塩ビ管に使用されます。電動パイプリーマーは、主に鋼管の面取りに使われ、内側と外側の両面を取れますが、価格が高いです。手動パイプリーマーは、内側と外側の両面を取れ、電源がなくても使用可能ですが、管種や口径ごとに調整する必要があります。

面取り機のその他情報

他の機械との組み合わせ

面取り機は様々な機械と併用することで、より効率的な加工が可能になります。

1. 旋盤
旋盤は、材料を回転させながら面取り機で加工することで、正確で均一な加工ができます。また、旋盤は面取り加工だけでなく、ドリルやフライス加工などさまざまな加工が可能なため、幅広い用途に利用されます。

2. ボール盤
ボール盤は、切削工具を材料に接触させ、回転させることで加工する機械です。面取り機と組み合わせることで、角材の加工に最適な深さや角度で加工ができます。

3. ミーリング加工機
ミーリング加工機は、切削刃を備えた回転する工具を用いて、直線、曲線、複雑な形状の加工が可能です。面取り機と併用することで、ミーリング加工機では加工しきれない部分の面取りが可能です。

4. その他の併用される機械
さらに、面取り機と併用される機械として、ワイヤーカッターや放電加工機などがあります。これらは、面取り機で削り取れない部分を加工可能です。ワイヤーカッターは、細いワイヤーを用いて材料を切削する加工機であり、放電加工機は、高周波電気放電を利用して加工する機械です。

参考文献
https://haikanko.net/8-chamfering-tools-essential-for-piping

非常電源

非常電源とは

非常電源

非常電源とは、通常の電力供給が使用できない環境下で電力を供給するためのバックアップシステムのことです。

停電や災害、電力系統の障害など、通常の電力供給が利用できない状況において重要な役割を果たします。非常電源の場合はJIS、消防法及び建築基準法で明確にどのような非常電源が必要かが定められています。

一例として、エレベーターや消防用スプリンクラー電源などに導入されます。

非常電源の使用用途

非常電源はさまざまな設備において使用されます。以下は非常電源の使用用途一例です。

1. 病院・医療施設

災害などによって停電が発生しても、電気を使用し続けなければならない代表的な施設が病院です。医療機器の中には人工心臓など、生命維持に直結する製品も多く存在しています。そのため、各病院には必ず非常用電源が確保されています。

停電などの非常時に必要な機器にだけ電力を供給することを目的に、病院のコンセントには色分けされていることが多いです。JIS規格として定義されています。

赤いコンセントは一般非常電源と呼ばれ、電力遮断後に自家用発電設備を介して40秒以内に起動し、10時間以上連続稼働可能です。特別非常電源と表示されている場合は10秒以内に起動し、10時間以上連続稼働可能です。緑色のコンセントは無停電非常電源と呼ばれ、無停電電源装置 (UPS) などによって即時起動します。

2. 一般家庭

災害への備えとして、一般家庭に非常電源が設置される場合もあります。リチウムイオン電池やディーゼル燃料発電機、ガス発電機などが使用されることが多いです。

台風などによる架空電線の断線停電には、プロパンガス発電機が有効です。家庭用の50kgプロパンガスを用いて発電すると、74時間程度の電力を作り出すことが可能です。暖房やスマートフォンの充電など災害時の生活に役立ちます。

3. 商業施設やオフィスビル

商業施設やオフィスビルでは、非常電源がビジネスの継続性に重要です。停電時や緊急事態時でも、エレベーターやセキュリティシステムなどの重要な機能を維持するために非常電源が利用されます。

非常電源の原理

非常電源は通常、蓄電池や発電機などの装置を使用して電力を供給します。

1. 蓄電池

蓄電池は、電気エネルギーを化学エネルギーとして保存し、必要な時にそれを電力として供給する装置です。常用電源運用時は蓄電池が充電されており、停電時には電力を供給します。これにより、一時的な停電や電力障害が発生しても重要な機能やシステムを維持することが可能です。

2. 発電機

発電機は燃料を燃焼させて回転エネルギーを生み出し、それを電力に変換する装置です。停電時に発電機が自動的に作動して電力を供給します。発電機は、長時間の電力供給が必要な場合や大規模な施設で使用されることが多いです。

3. 自動切替装置

常用電源と非常用電源を切り替えるために、自動切替装置と呼ばれる制御装置が使用されます。常用電源が喪失した場合、自動切り替え装置が非常電源に切り替えて電力供給を維持します。また、常用電源が回復した場合には再び常用電源に切り替える製品も多いです。

非常電源の選び方

非常電源を選ぶ際は、電力要件、連続運転時間、切替速度などから検討します。これらを検討した上で、予算の範囲内で最適な選択を行う必要があります。

1. 電力要件

非常電源が電力供給能力を評価することが必要です。使用機器やシステムの電力消費量を把握し、非常時に動作させるための必要電力容量を計算します。供給電圧も常用電源と一致するように選定します。

2. 連続運転時間

連続運転時間も検討することが必要です。想定される連続運転時間を確認し、燃料タンクや蓄電池の容量を決定します。長時間の停電を想定する場合は、別置の燃料タンクを準備する場合もあります。

3. 切替速度

切替速度も検討すべき要素です。通信機器がバックアップ対象の場合は、切り替えが迅速に行われることが重要なケースもあります。蓄電池と直流電源を使用することで、停電時間をほとんど無くすことも可能です。

参考文献
https://www.egm-service.biz/emergency_generator.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/ups/aboutups/
https://www.honda.co.jp/generator/lineup/lpg-generator/eu15igp.html

集電装置

集電装置とは

集電装置

集電装置とは、電車などの搬送装置が走行しながら電線から電気を供給するための装置です。

工場内のクレーンやホイストなどの給電装置として利用されます。搬送装置の軌道の天井や側面にトロリー線を配置し、トロリー上を集電装置のホイールやシューで接続して集電します。

集電装置は電車でよく利用されているパンタグラフや、クレーンやホイスト用のポールコレクター、トロリーポールなど、タイプは様々です。

集電装置の使用用途

集電装置は、主に自走する産業・商用装置で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 工場の天井クレーンやホイストクレーン
  • 新幹線やリニアモーターカー
  • 路面電車や地下鉄電車
  • 工場の自走式搬送ロボット

主に、重量のある機械や装置を一定の軌道で移動させるために使用する場合が多いです。集電装置を利用するには電線を張る必要があるので、あらかじめ決められた軌道でしか使用できません。

集電装置の原理

集電装置は、集電子部分、腕金部分、絶縁碍子などの部品で構成されています。

1. 集電子部分

集電子部分は、実際に裸電線と接触する部分です。通電箇所に接触し、電気を流します。そのため、電気を通しやすいやスズ、カーボンなどの合金が使用されます。接触により摩耗するため、定期的な交換が必要です。

2. 腕金部分

腕金部分は、集電子を裸電線に押し付けつつ支える部品です。ばねなどを使用して集電子を電線に押し付けます。走行時の衝撃に対応するために多少の遊びを持っているのが特徴です。

3. 絶縁碍子

集電子と腕金部分には電線からの電圧が掛かっていますが、 絶縁碍子は走行装置にこの電圧が印可されることを防ぐ部品です。走行装置に電圧が印可された場合、機器の故障や感電事故を招くため大変危険です。絶縁碍子によって絶縁することでこのような事故を未然に防ぎます。

集電装置の種類

集電装置には様々な種類がありますが、パンタグラフ、ポールコレクター、トロリーポールの3つが代表例です。

1. パンタグラフ

パンタグラフは各種の鉄道車両に適用されていて、種類が最も多い集電装置です。大きく分けて、ホイールタイプとシュータイプがあります。

ホイールタイプはホイールが架線に接触して集電し、耐アーク性が高いです。一方で、シュータイプは板状のシューを接触させていて、安定した供給ができます。

2. ポールコレクター

裸トロリー線上をポールコレクターのホイールが接触して、集電します。

3. トロリーポール

昔はよくトロリーバスや鉄道に利用されていた集電装置です。鉄などの金属のパイプでできていて、先端部分のトロリーホイールと架線と接触させて通電します。構造が単純ですが離線しやすいため、現在では減少傾向です。工場のクレーンなどに適用されます。

集電装置のその他情報

1. 集電装置を用いる理由

電車は電気エネルギーを利用してモーターを回転させて走行します。乗り物は世の中に多くありますが、電車は唯一、エネルギーを自車に搭載していない乗り物であることは意外と知られていません。

その理由は、電車の走行性能と距離にあります。大重量の乗り物を電気で長時間・長距離動かそうとすると、バッテリーではエネルギー容量が足りないです。発電機では過大な上、発電用のエネルギーを別途用意する必要があります。そのため、長距離を動かす場合は途中で補給しなければなりません。

上記の制約から、電気を流した架線から電気を取り込むことが最も効率的だと判断されました。その発想から、架線より電気を取り込む装置として集電装置が考案されたわけです。

2. 集電装置の変遷

集電装置は電車の実用化から使用されてきました。1895年に開設した日本初の営業用電車にも集電装置は搭載されています。その時の集電装置は、ポール1本のトロリーポールですが、電線が2本架線式になるとともにポール2本のトロリーポールへ代替されます。

しかし、トロリーポールは分岐点では脱線を防ぐため車掌の手動操作が必要です。進行方向変更の際もポールを上げ下げしなければなりません。そのため、技術の進歩に従って次第に廃れます。時代が進むとビューゲルやパンタグラフが登場し、架線や操作面でのさまざまな問題が解決・改善されました。現在は、パンタグラフが広く用いられ、日本ではほとんどがパンタグラフです。

パンタグラフも登場時は外国製のみでしたが、国内メーカーによる試行錯誤の末に国産パンタグラフが主流となりました。現在も改良を重ねて、機能や性能をより向上すべく切磋琢磨しています。

参考文献
https://www.shinkoh-electric.co.jp/pdf/pdf_file/syudensouchi.pdf
http://www.crane-club.com/study/crane/transmission.html
http://www.tawatawa.com/denshanani/page012.html
https://kyotolove.kyoto/I0000145

複動シリンダ

複動シリンダとは複動シリンダ

複動シリンダーは位置決め装置であるシリンダの一つです。円筒形の筒の中にロッドが入っており、圧縮空気を用いて動作を行います。シリンダは主に伸びと縮みの2種類の長さしか位置決めすることができません。

伸び縮みを行う際に、伸びのみ圧縮空気を使用して、戻りは圧縮空気を抜きスプリングで動作させるものを単動シリンダと呼びます。一方伸び縮みどちらも圧縮空気を利用して動作させるものを複動シリンダーと呼びます。

複動シリンダの使用用途

シリンダには様々な種類が存在します。エアーシリンダー、ロボシリンダ単軸ロボットなど様々です。圧縮空気を動力とするエアーシリンダーは複動シリンダーや単動シリンダの総称となります。

ロボシリンダはモーターとボールネジを組み合わせることでストローク量を自在に操ることができます。単軸ロボットはロボシリンダよりも更に重量物を搬送するのに用いられます。

複動シリンダーは圧縮空気を用いる為構造が簡単で、本体も安く軽量です。

複動シリンダの原理

複動シリンダーは円筒形状のシリンダチューブの両端を、ヘッドカバーやロッドカバーで覆っており、これらのカバーを4つのタイロッドを用いて締め付けています。径が小さいシリンダを用いる場合は、タイロッドを使用せずにカバーとねじ込んだりやカシメ結合したりする方法がとられます。チューブの内部にはチューブとはめ合う形のピストンが入っており、ピストンに取り付けられたロッドがロッドカバーを貫通し、外部に力を伝えます。ヘッドカバーやロッドカバーには、シリンダに空気を供給・排給するポートが設けられており、ピス トンの前後に、交互に空気を供給して往復運動を行います。

シリンダの取り付け方法は様々です。取り付け先によって変化します。L型ブラケットを用いて取り付けるフート型、筒のロッド側にフランジが付いているロッドフランジ型、筒のヘッド側(ロッドと反対側)にフランジが付いているヘッドフランジ型、クレビスにより取り付ける一山クレビスや二山クレビスなど様々です。

参考文献
http://kousyoudesignco.dip.jp/air5.html