高さ測定器

高さ測定器とは

高さ測定器とは、機械加工部品などに対して、ある基準面からの高さ方向の距離を計測するための測定器です。

一般的には、ハイトゲージとも呼ばれています。高さ測定器は測定対象物の高さを測定するだけでなく、ケガキをすることも可能です。定盤の上など、高さ測定器が置かれている水平面上を基点として、この基準点からの高さを測定します。

測定時は、バーニヤと呼ばれる副尺を使用し、精密に高さを測定することができます。また、高さ測定器は、スクライバと呼ばれる測定子を使用します。スクライバは硬い材質で先端が尖っているので、測定物に定盤と平行な線を、正確な高さでケガキが可能です。

高さ測定器の使用用途

高さ測定器は主に、金属加工製品の製造品質確認や製品開発の現場で使われます。例えば、加工した金属製品の高さが図面規格内であるかどうかを確認するために、高さ測定器が用いられます。

高さ測定器を用いれば、定盤などの平面上からの高さを正確に測ることが可能です。バーニヤと呼ばれる副尺を用いて目盛を読み取るため、0.01mm単位で高さを測ることができます。簡単な操作で高さを精密に測定できるのが特徴で、測定室からラインサイドまで幅広い場面で使用可能です。

また、高さ測定器は先端が硬く鋭い材質でできており、高さ方向の線をけがくこともできます。ケガキは先端が動かないように、スライダの止めねじをしっかりと締めて固定して行うことが重要です。

高さ測定器の原理

高さ測定器は、本体ベース、目盛が描かれている本尺、本尺を取り付けた柱、微小な読み取りを行うバーニヤ、高さ測定のため上下動させるスライダ部、測定子にあたるスクライバで構成されています。

高さ測定器は測定対象物とともに、定盤の上に置いて使用する測定器です。測定作業では、まず上からスライダを下ろしていき、スクライバ底面を測定物に接触させます。この高さが測定値になります。数値の読み取りは、本尺目盛とバーニヤ目盛の重なった箇所を読み取りますますが、目盛の読み方はノギスとよく似ており、少し慣れが必要です。

正確に測定を行うには、スクライバに必要以上の測定力をかけず、目盛は正面から読むことが重要です。また、ベース底面とスクライバが平行になっている必要があります。スクライバの固定が不十分であったり、定盤などの平面度が確保されなかったりする場合、安定した測定ができません。

高さ測定器は長年使用していると、経年変化などにより柱が傾いてくることがあります。スクライバを取り付ける箇所にてこ式ダイヤルゲージなどを取り付け、直定規などの側面に当てた状態でスライダ部を上下させて値の変化を見ます。柱が傾いているときは、調整もしくは修理が必要です。

高さ測定器のその他情報

1. 高さ測定器の誤差要因

高さ測定器での測定では、さまざまな原因により測定誤差が発生します。例えば、測定力のかけ過ぎ、測定物と測定器の温度差による熱影響、目盛を読み取る角度による視差の影響などがあります。特に測定器の構造による誤差が避けられないのは重要なポイントです。

測定器の構造から生じる誤差の主な原因は、柱の曲がりとスクライバの傾きから生じるものです。スクライバの傾きは、その測定方法と構造の上から避けることができません。高さ測定器は柱に取り付けたスライダからスクライバが伸びているため、スクライバの取付時に傾きが生じるだけでなく、経年変化により部品に隙間やガタが生じ、それがスクライバを傾かせる原因になります。

また、スクライバや取り付けるための部品の自重によるたわみも、スクライバの傾きの原因になります。これらの構造上の誤差は、新品であっても一定量は生じています。その誤差が測定器の分解能より小さい場合は懸念する必要も少ないですが、経年変化により誤差が大きくなった場合は注意が必要です。

そのため、日常点検だけでなく、校正事業者として認証を受けたとところで校正を行うなど、定期的な管理が欠かせません。

2. 高さ測定器使用上の注意

本尺、ベース底面は使用前と使用後に清掃を行い、キズや錆、油などによる摺動の悪化を防ぐことが必要です。メーカや製品によっては、スクライバの測定面と高さ測定器のベース底面の平行度を規定しているものもあります。使用時の定盤の上や保管場所にゴミや切粉などがあると、ベース底面にキズやカエリが生じ、平行度の悪化原因になります。

急激な温度変化が生じる場所に保管することも、望ましくありません。熱影響による膨張と収縮の繰返しにより、精度の悪化だけでなく測定器そのものの変形の原因となります。

窓や壁の近くで断熱性能が不十分な箇所にあれば、気温差による熱影響を受けます。室内で直射日光が当たらない場所である場合も、決して油断はできません。

トータルカウンタ

トータルカウンタとは

トータルカウンタとは、動作の回数や物体の数をカウントして表示する機器です。

カウントした数値を表示する機能のみのカウンタであり、工場機器の生産台数や動作回数を目視確認する用途で使用されます。カウントはリセットボタンなどでリセットするまで保持します。

カウント数に応じた制御出力は持ちません。カウント数を設定して出力したい場合はプリセットカウンタを使用します。

トータルカウンタの使用用途

トータルカウンタは産業用途に広く使用される機器です。以下はトータルカウンタの使用用途一例です。

  • 真空遮断器の動作回数確認
  • 大型脱水装置の運転回数確認
  • プレス機やコンベアの搬送バッチ数確認

基本的にはバッチで運転する産業機器に使用します。真空遮断器などは運転回数によって寿命や整備頻度決める場合があるため、トータルカウンタが付属することが多いです。また、巨大遠心分離機やフィルタプレスなどは運転回数をカウンタでカウントする場合が一般的です。

トータルカウンタの原理

トータルカウンタのカウント方式は2種類あります。

電気回路の接点信号やパルスでカウントする電子カウンタと、カウンタ内に内蔵されている電磁石の磁力によってカウントする電磁カウンタです。用途などに応じて使い分けます。

1. 電子カウンタ

ロータリーエンコーダ光電スイッチなどの検出装置パルス信号を入力するカウンタです。デジタル回路データを保存するため、内部では2進数として処理されます。表示は7セグメント表示が一般的です。

パルス幅などの出力感度や不感時間などの設定が可能な製品も多く販売されています。電磁カウンタに比べて検出速度も高速です。ただし、多くの場合は動作に電源が必要です。バッテリや電池で動作する製品も販売されています。

2. 電磁カウンタ

検出装置が発するパルスの電気信号によって、カウンタに内蔵されている電磁石が動作させるカウンタです。電磁石の力で文字盤を動かしてカウントします。

機械的な動作によってカウントするため、外部電源が不要な製品が一般的です。検出装置からのノイズの影響を受けにくい点が特徴です。ただし、カウンタの応答性については、電子カウンタに比べて遅くなります。

トータルカウンタの選び方

トータルカウンタは入力方式や電源方式などに応じて選定します。

1. 入力方式

入力方式はカウントに使用する入力種類です。一般的には無電圧接点入力が使用されます。

トランジスタ接点を入力できるカウンタも販売されています。その場合、トランジスタの入力電源を選定する必要があります。

2. 電源方式

トータルカウンタ自体に電源が必要な場合は供給する必要があります。電池式であった場合には外部電源を必要としません。ただし、電池式の場合は使用時間に応じて電池が切れてしまう場合もあります。

電源を供給する場合、主な電源仕様はDC24V、AC100V、AC200Vなどです。商用電源をそのまま使用したい場合はAC100VやAC200Vを選定します。制御電源としてDC24Vを有する機器の動作カウンタとして使用する場合はDC24V仕様を選択する場合もあります。

3. 取付方法

トータルカウンタは制御盤盤面に表面取付することが多い製品です。カウンタ裏面には端子台などが取り付けられ、制御盤などの内線と接続されます。

トータルカウンタに合う穴を開口してねじを切り、ねじなどで固定します。制御盤内部保護のために接続表面にはゴムパッキンが付属します。パッキンを介して固定することで気密性が増し、制御盤内への水滴侵入を予防します。メーカーによっては取付枠や取り付け用金具が別途販売されています。

4. リセット方法

トータルカウンタにはリセットボタンが付いており、カウントをリセットしたい場合はリセットボタンを押すことでリセット可能です。無電圧接点を接続してリセット可能な製品も販売されています。接点出力でリセットさせたい場合はリセット接点付きの製品を選定します。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/glossary/component/counter/index.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/11/95/index.html

ミニバイス

ミニバイスとはミニバイス

ミニバイスは、「バイス」の中でも小型なものを指します。「バイス」は、作業時に加工物を固定するための道具であり、様々な加工作業で使用されています。ミニバイスは、主に手作業で行う加工の際に使用されており、最近では100円ショップなどでも購入することが可能となっています。バイスそのものの素材としては、金属から樹脂のものまで幅広く存在し、素材によって保持力が異なります。

ミニバイスの使用用途

やすりがけや、切断作業などの加工時に、加工対象物を固定するために使用されます。手で押さえて加工できる作業であれば必要ありませんが、高速回転する機材を使っての加工など、加工するものを手で持った状態での作業ができない場合には、必須の工具です。バイスは、加工物そのものを固定するだけなので、実際の使用時には、ねじやクランプなどで、バイスそのものを加工台に固定する必要があります。ミニバイスは、この中でも小型なものを指し、主に手作業での加工を行う際に使用されることが多いです。

ミニバイスの原理

「バイス」も「ミニバイス」も、ねじを回すことで直線運動を行う機構で構成されており、対象物を左右から挟み込むことで固定を行います。ねじの締め付け力によって固定を行うため、柔らかいものを固定する際は、対象物が破損しないように注意する必要があります。一般的に、金属製のバイスと樹脂製のバイスが存在しますが、固定するものも、バイスの素材に合わせて「金属の加工は金属製のバイス」、「樹脂の加工は樹脂製のバイス」という形で使用されることが多いです。また、金属製のバイスの中には、対象物を固定する面に「V溝」が彫られており、棒状の物などを固定しやすくなっているものも存在します。

また、バイスには、基本的に固定用の穴や長穴が開いており、これを利用してねじで加工台への固定を行うことが必要です。ねじでの固定ができない場合には、別なクランプを使用して固定することもあります。これは、バイスそのものを固定しておかなければ、作業中にバイスごと加工対象物が動いてしまうためです。特に、ドリルやリューターなどの高速回転するものなどで加工を行う場合、思わぬ怪我につながる可能性も高いため、注意が必要となります。

ミキシングバルブ

ミキシングバルブとは

ミキシングバルブ

ミキシングバルブとは、温水と水を混合させて給湯温度をフレキシブルに制御する温度調整弁です。

従来から、ガス給湯器や電気温水器などに使用されています。昨今ではオール電化住宅の普及により、省エネ性の高い通称エコキュートと呼ばれるCO2自然冷媒ヒートポンプ給湯機などに採用されています。

温水と冷水を接続するだけで、簡単に給湯が可能です。また、温水および冷水の圧力変動に対して追従性がよく、希望の適温でお湯を供給することができます。

ミキシングバルブの使用用途

ミキシングバルブは、さまざまな使用用途で利用されます。

1. シャワーの水栓

日用品として広く使用される用途としてはシャワーの温度調整です。シャワーの水栓にはミキシングバルブが使用され、冷水と温水を適切な比率で混合して快適な温度のシャワー水を供給します。

2. 水回りの水栓

家庭の水回りには広く使用されており、浴槽の水栓も用途の1つです。洗面台の水栓や洗濯機の給水口にも使用されることが多いです。温水と冷水を調整し、使いやすい温度の水に調整します。

3. 暖房システム

暖房システムにもミキシングバルブが使用されることがあります。冷水と温水を混合し、必要な温度範囲に熱水を供給します。床暖房システムやラジエーターなどで使用される場合が多いです。

4. 食品産業・塗装業

食品産業や塗装業においても、広く使用される機器です。食品産業では飲料の原料を正確に混合するために使用されるほか、調味料やソースの製造などでも利用されます。塗装業では異なる色や化合物を正確な割合で混合し、一貫性のある仕上がりにします。

ミキシングバルブの原理

ミキシングバルブは、複数の入口ポートから供給される異なる流体を制御します。冷水と温水のような異なる温度・圧力の流体が入力されることが多いです。

弁体などの内部機構を操作することで、流体の通過量や流量を制御します。ハンドルやレバーの動きによって、弁体が開閉し、流体の通過が制御されます。ミキシングバルブの場合、2つの入力箇所に弁がある場合が一般的です。

ミキシングバルブ内のミキシングチャンバーでは、異なる流体が混合されます。入口から供給された流体をチャンバー内で混合し、一定の比率で混合された流体が出口ポートから出力されます。冷水と温水などの異なる温度の流体を混合することによって所望の温度を得ることが可能です。

また、異なる圧力の流体を入力した場合でも、一定の出力圧力を維持することができます。入力ポートの圧力や流量を調整し、出力ポートで安定した圧力とします。

ミキシングバルブの選び方

ミキシングバルブを選ぶ際は、さまざまな要素を考慮することが必要です。以下はミキシングバルブの選定する際に考慮するべきポイントです。

1. 耐圧性能

耐圧性能はミキシングバルブが耐える最大圧力です。耐圧性能が高い製品は高圧流体に使用可能ですが、高価な上に接続口が大きくなる場合が多いです。使用する場面に見合った製品を選定します。

2. 材質

材質も考慮するべき要素です。一般的には耐食性や耐久性はミキシングバルブの材質に応じて決定されます。金属製の製品がほとんどです。

また、金属の中でも青銅やステンレス、鋳鉄などの種類があります。青銅は銅と錫の合金で、鋳造や加工が比較的容易でコストも低いです。ステンレスは耐食性・耐久性が高い反面コストが高く、鋳鉄は低コストな反面耐食性が低いです。

3. 耐熱温度

耐熱温度はミキシングバルブが耐える温度を指します。一般的には温水の混合を目的とする製品が多いため、90℃程度の耐熱温度の製品が大半です。仕様に合わせて選定します。

耐熱温度の他に、設定可能温度なども存在します。設定可能温度は出力として取り出すことができる温度の範囲です。その幅が広い製品が優れていますが、入力流体の温度に依存する場合が多いです。

4. 接続口径・方法

接続口径や接続方法を選定する必要があります。接続方法はフランジ接続やねじ込み接続が存在します。ねじ込み接続の製品が多いです。

また、接続口径は接続方法に応じて種類が存在します。フランジ接続の場合はミリメートル呼称されることが多く、ねじ込み接続の場合はインチ呼称されることが多いです。

参考文献
https://www.venn.co.jp/products/temperature_regulating.html
https://www.miyawaki-inc.com/hot_water/m

ボールタップ

ボールタップとは

ボールタップ

ボールタップとは、浮子を使用して流体の水位を調整するための装置です。

主に液体を取り扱うタンクや容器に取り付けられ、水位の上昇や下降に応じて流体の供給や排出を制御します。操作が簡単で、水位の制御を容易に可能な点が特徴です。浮子の位置に応じて自動的に弁が開閉するため、特別な操作や設定が必要ありません。

機械的な部品が少なく、故障やメンテナンスの必要性が低いので、長期間にわたって安定して使用可能です。また、比較的低コストで入手できる点もメリットです。

水位調整に電力を使用しないため、省エネルギー効果もあります。水位の制御により、必要な流体の供給や排出量を最適化することで、水やエネルギーの節約にも貢献します。

ボールタップの使用用途

ボールタップは産業用途から日用品まで、幅広い用途で使用される機器です。代表的な用途はトイレの給水装置です。タンク内の水位が下がると、ボールタップが開いて水の供給が行われます。タンク内の水位が一定の範囲に達すると、ボールタップが閉じられて水の給水が停止します。

産業用途としての代表例は、クーリングタワーです。クーリングタワーは発電所などで熱を発する設備の冷却に使用される装置で、冷却水の循環が行われます。冷却水は蒸発して徐々に少なくなるため、ボールタップを使用して適宜給水が必要です。

また、農業における灌漑システムに組み込まれることもあります。水位の制御により、農地への水の供給を効果的に調整することが可能です。水位が一定の範囲を保つことで、作物へ適切な水量を供給します。

ボールタップの原理

ボールタップの原理は、浮力とバルブの連動に基づいています。ボールタップには液体中で浮力を受けるフロートまたは浮子があります。フロートは一般に球状または円盤状で、軽量な材料で作られるのが一般的です。フロートは液体の中に浮かび、水位の変動に応じて上下に移動します。

フロートの上下運動に連動して開閉するバルブが付属しています。バルブはフロートの下部に取り付けられ、水の供給や排出を制御します。なお、バルブは、フロートの位置に応じて開いたり閉じたりする部品です。

ボールタップが取り付けられたタンクや容器から液体が減ると、フロートは下降します。フロートが下降するとバルブが開いた状態となり、液体がタンクに供給される仕組みです。液体が供給されると水位が上昇し、フロートの上昇と共にバルブを閉まって水の供給が停止します。

ボールタップの選び方

ボールタップは以下の要素を考慮して選定します。

1. 材質

ボールタップは、使用環境や流体に適した材質を選ぶことが必要です。一般的には、ステンレス鋼や真鍮などの耐食性の高い材料が使用されます。特定の環境や流体によっては、プラスチック製のボールタップが適している場合もあります。

ボールの材質として多いのは、プラスチックや銅玉です。耐食性や強度を持たせたい場合はステンレスを使用します。選ぶ材質は、耐久性や化学的な互換性などの要素を考慮して決定する必要があります。

2. バルブ径

バルブ径はボールタップの流体処理能力を示す重要な要素です。流体の供給や排出の量に応じて、適切なバルブ径を選ぶ必要があります。

一般的には、大口径のバルブはより大量の流体を制御することが可能です。ただし、大口径の製品は大型の場合が多く、徐々に高価になります。システムの制約や必要な流体量に合わせて適切なバルブ径を選ぶ必要があります。

3. 構造

ボールタップには、単式と複式の2つのタイプがあります。単式は、水位の上昇に対して一本のアームでバルブを開くだけのシンプルな構造です。一方、複式は複数のアームを使用してボールの上下を検知する構造です。

単式の方が構造が簡単で安価ですが、複式の方が強度に優れている利点があります。使用環境や必要な水位制御の精度に応じて、単式または複式のボールタップを選ぶ必要があります。

4. 取り付け方法

ボールタップの取り付け方法は、使用するシステムや設備によって異なる場合が多いです。一般的な取り付け方法には、フランジ取り付けやネジ取り付けなどがあります。システムの仕様や取り付けスペースに合わせて、適切な取り付け方法を選択する必要があります。

参考文献
https://ssl.fcservice.co.jp/column/2013/10/post-40.html
https://www.kanevalve.co.jp/product/balltap.html

ボルト軸力計

ボルト軸力計とは

ボルト軸力計とは、ボルトが発生している軸力の大きさを知るための計測器です。

ボルトを含めたねじは、ねじ自体が引っ張られて元の長さに戻ろうとする弾性力によって、対象物を固定する力を発生しています。引っ張られたボルトが元に戻ろうとする力を軸力と呼び、ボルト軸力計によって計測します。ボルト軸力計には超音波式と油圧式が存在しますが、油圧式はトルシアボルトなどの製品検査に用いられる軸力計です。

一般的には、超音波式のボルト軸力計が普及しています。非破壊で検査が可能で、装置が小さく使う場所を選ばないなどのメリットがあります。

ボルト軸力計の使用用途

ボルト軸力計は、特に軸力管理が必要な締結の検査に用いられます。量産製品の締結検査に用いられることは稀であり、例えば風車や発電所といった施設の建設などが代表的な用途です。

その他の使用分野として、研究開発が挙げられます。軸力を知るためには歪ゲージを用いた軸力ボルトが使われますが、ねじに穴を開けたり歪ゲージのリード線が通せるような工夫もしなければなりません。ボルト軸力計は耐久試験など、試験前と試験の経過、試験終了時のボルト軸力の計測などにも有用です。

ボルト軸力計の原理

ここでは、超音波式のボルト軸力計の原理を説明します。超音波ボルト軸力計で計測するのは、締結によって生じるボルトの伸びです。理由として、ボルト中を伝わる超音波の伝播速度が変わることと、ボルトが伸びことが挙げられます。

超音波の伝播速度は、ボルトに作用している応力の大きさによって変化します。ボルトを締結していない状態とボルトを締結しボルトに引っ張り応力が生じている状態では、超音波の伝播速度は遅くなります。

   v = v0 (1 – ασ) 

v: 応力負荷状態での超音波の伝播速度
v0: 無負荷状態での超音波の伝播速度
α: 材質と超音波の周波数によって決まる計数
σ: 締結によってボルトに生じている応力

また、応力が発生している状態は、ボルトが伸ばされていることを意味します。

   l = l0 (1 + σ/ E) 

l: 締結によって伸びた状態のボルトの長さ
l0: 無負荷状態でのボルトの長さ
E: ボルトの材質のヤング率

ボルトの締結によって超音波の伝播速度が遅くなること、またボルト自体が長くなっていることから、ボルトの端面から発射した超音波が先端まで伝わり反射して戻ってくるまでの時間は、無負荷状態のボルトよりも長くなります。つまり、無負荷状態と締結状態での超音波の電波時間の差が生じることを利用しているのが、超音波式ボルト軸力計の原理です。

ボルト軸力計の種類

ボルト軸力計のほとんどは超音波式ですが、油圧式のボルト軸力計もあります。油圧式のボルト軸力計はトルシアボルトと呼ばれる、破壊をともなうボルトの検査や強度試験に持ちられるものです。

ボルト軸力計のその他情報

ボルト軸力計を使用する際の注意点

超音波式のボルト軸力計が用いられますが、ボルト端面が平行になるように研磨が必要になるなど、ボルトの軸力は必ずしも簡単に計測できるわけではありません。ボルトの軸力管理はとても重要ですが、軸力を直接知ることは難しい場合がほとんどです。

工業製品の生産管理などでは、締め付けトルクや締め付け角度による管理が行われています。しかし、締め付けトルクや締め付け角度は、軸力の代用値に過ぎません。最も多く行われている締め付けトルクによる管理は、ねじ面やねじの座面の摩擦係数がある想定範囲内にある場合に限ってボルト軸力の代用値になります。

摩擦係数が想定範囲から外れていれば、締め付けトルクを管理しても、狙いどおりの軸力を得ることはできません。トルク管理によるボルト締結の管理においては、ねじやねじ座面の摩擦のばらつき範囲を想定し、生産においても想定範囲内を保つことが重要です。

参考文献
https://www.dakotajapan.com/maxseries.html
https://www.honda-el.co.jp/hb/3_25.html
https://www.tohnichi.co.jp/products/detail/79
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/43/506/43_506_223/_pdf
https://magazine.cartune.me/articles/2368
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/viscoelasticity-basic1/

フレキ管継手

フレキ管継手とはフレキ管継手

フレキ管継手とは、フレキシブル管継手の略で、柔軟性があり自由に曲げられる配管継手です。

給排水管やガス用配管をはじめ、様々な設備の配管継手として使用されています。柔軟性があるため、熱膨張で伸縮しやすい配管や振動しやすい機器との配管との接続に活用されています。

また、地震が発生したとしても、誘起される振動を吸収することが可能です。材質としてはSUS304等のステンレス鋼が用いられていますが、一部ゴムなどの非金属が使われることもあります。フレキ管継手の接続方法は、ねじ込みやフランジなどの一般的な配管継手と同様で、長さもある程度自由に選択することができます。

フレキ管継手の使用用途

フレキ管継手は、耐震性や耐熱性などに優れているため、水や油などの液体から、空気・蒸気・ガスなどの気体に至るまで様々な流体を輸送することができます。汎用性が高く、継手のバリエーションも豊富です。フレキ管継手の代表的な使用用途は、以下の通りです。

1. 振動に曝される用途

フレキ管継手は、振動を吸収する性能があるため、工場などにあるポンプやタンク、回転する機械用の配管として利用されています。振動する機械の配管が柔軟でないと、その振動が建物に伝搬し、建物自体が揺れてしまう可能性があります。

また、建築物同士を連結する配管や免振設備にも活用されています。日本は地震が頻発する国なので、地震によって地盤が振動したり沈下したりした場合でも、配管の破損を防ぐことができます。

2. 熱変化に曝される用途

蒸気の配管など、激しい熱変化のある使用用途の場合、膨張と伸縮を繰り返すことになるためその影響で劣化や破損する恐れがあります。この熱変化による応力を和らげるため、フレキ管継手が使用されます。

3. その他の用途

工場などで既存の設備や配管に加えて新たに配管工事をしたい場合、新たな配管がどうしても干渉してしまうことがあります。解決策の1つとして、様々な配管を組み合わせる方法もありますが、フレキ管継手を使用すれば1本で既存設備、配管を迂回可能で、工事も簡単に進めることができます。

フレキ管継手の特徴

フレキ管継手の大半は、SUS304などのステンレス鋼で造られています。一部ゴムなどの非金属素材からなるものもあります。ステンレス鋼は可とう性がありませんが、ベローズ構造やチューブ構造にすることで、可とう性を持たせられます。

ベローズ構造とは、いわゆる蛇腹形状です。ベローズには単式と複式があり、単式は1つのベローズで主に軸方向と角度、軸方向に対して直角方向の変位に対応することができます。一方、チューブ構造とは、波状のバネのような形状のことを指します。

古くから使われている硬質の塩ビ配管継手の場合、配管の芯がズレていると接続することができません。フレキ管継手では芯ズレがあったとしても施工が可能になり、工事の手間も比較的少なくすることができます。

フレキ管継手の種類

フレキ管継手には接続方法に応じて、さまざまな種類があります。代表的なものがフランジ型で、小口径から大口径まで幅広い用途に対応することができます。

ネジ型も使用される場合が多く、直径65ミリ以下の配管の接続に使われています。接続方法にはユニオンやニップルが一般的です。

フレキ管継手のその他情報

フレキ管継手の注意点

フレキ管継手は便利な部材ですが使用に際し、いくつか注意事項があります。まず挙げられるのが、口径によって最小の曲げ半径があることです。フレキ管継手の大半はステンレス鋼でできているため、所定の最小曲げ半径よりも小さい寸法で施工すると破損する恐れがあります。

次に挙げられるのは、長さにも制約があるということです。所定の長さより長い寸法で施工をすると、本来示す耐震性や熱膨張耐性を示さなくなります。最後に挙げられるのは、ねじれに対して非常に弱いことです。フレキ管継手はねじれが加わると、容易に破損してしまうことがあります。

参考文献
https://www.technoflex.co.jp/about/products/flex/
https://www.nfk-jp.com/products/flexible/

ヒューム集塵機

ヒューム集塵機とはヒューム集塵機

ヒューム集塵機とは、溶接作業に伴って発生するヒュームを吸引するための機器です。

ヒュームとは、固体物質の蒸気が凝固したり、気体の化学反応によって生じた固体粒子が空気中に浮遊するものを指します。このようなヒュームは、特にアーク溶接の際に発生します。また、グラインディング作業によって飛散する微細粉塵にも有害性があり、この場合も集塵機の使用が必要です。

溶接ヒュームには酸化鉄、ケイ素酸化物、ベリリウム、カドミウム亜鉛、鉛、アスベストなど、多様な有害物質が含まれています。このため、溶接作業を行う際にはヒューム集塵機を適切に使用し、作業環境の安全を確保することが極めて重要です。

ヒューム集塵機の使用用途

ヒュームを吸い込むことで、じん肺という病気になるリスクがあります。じん肺は、小さな土ぼこりや金属の粒などの無機物や鉱物性の粉じんが発生する環境で働く人々が、長年にわたりこれらの粉じんを大量に吸い込むことにより発症します。

この病気は、肺の組織が線維化し硬くなり、弾力性を失うことが特徴です。じん肺を避けるために、特に溶接作業などでヒュームが発生する際にヒューム集塵機が使用されます。

ヒューム集塵機の使用例としては、自動車整備工場や金属加工場が挙げられます。これには板金加工レーザー加工、溶接などが含まれます。これらの場所では、ヒュームやその他の粉じんが常に発生するため、集塵機を用いることで作業環境の安全を保ち、労働者の健康を守ることが可能です。

ヒューム集塵機の原理

ヒューム集塵機の原理は他の集塵機と大きく異なるわけではありません。主に羽根車を用いて吸引を行います。その際、ヒュームが羽根車に付着しないよう、いくつかのフィルター構造が用いられ容器内にはバッフル構造が設けられており、重たいヒューム粒子はこのバッフルに遮られて捕集されます。

その後、金網フィルターを通して大部分のヒュームが捕集されます。さらに、それでも取り除けない微細なヒュームはフィルターで捕集します。

また、溶接時にはスパッタや火花が発生します。これらの火花には溶けた金属の粒が含まれており、近くの金属に触れると冷えて固着します。これらの粒はスパッタと呼ばれ、集塵機内に入ると火災や故障の原因となるため、それらを阻止する仕組みが設けられています。

捕集したヒュームの除塵には、パルスジェット方式が広く用いられています。これは間欠的にジェット噴射を行うことで、効率的に捕集したヒュームを除去します。このプロセスにより、集塵機は効果的にヒュームを管理し、作業環境の改善が可能です。

ヒューム集塵機の選び方

使用する場所の規模とヒュームの量を考慮する必要があります。大規模な工場や頻繁に溶接作業が行われる場所では、高い吸引力と大容量のフィルターを備えたモデルが最適です。

異なる溶接プロセスは異なる種類のヒュームを生成します。たとえば、TIG溶接は比較的クリーンなヒュームを生成しますが、MIG溶接やスティック溶接はより多くの有害な粒子を放出する可能性があります。このため、生成されるヒュームの種類に応じて、特定のフィルターシステムを備えた集塵機を選ぶことが必要です。

集塵機のフィルター効率も重要な選定基準です。HEPAフィルターやULPAフィルターを備えた機種は、微細な粒子まで効果的に捕集できるため、特に健康を守るために推奨されます。また、フィルターのメンテナンスや交換の容易さも選択時に考慮すべき点です。簡単に交換や清掃ができる設計のものは、長期的な運用コストを低減します。

さらに、操作性とメンテナンスのしやすさも大切な要素です。ユーザーフレンドリーなインターフェースを持つ機種や、容易にアクセス可能な部品を持つ機種は、日常的な使用において大きな利点となります。また、機械の耐久性や製造元のサポート体制も評価すべきです。信頼できるメーカーから購入し、適切な保証が付いている製品を選ぶことが望ましいです。

参考文献
http://www.yodogawadenki.gr.jp/products/SET.html
http://terukobayashi.com/archives/9727

バイメタル式サーモスタット

バイメタル式サーモスタットとは

バイメタル式サーモスタットとは、温度変化に応じて形状が変わるバイメタルと呼ばれる金属片を使用して、温度制御を行うデバイスです。

バイメタルと呼ばれる2種類の異なった金属を張り合わせた接点を使用したサーモスタットを、総じてバイメタル式サーモスタットと呼びます。古くから使用される方式で、対候性・信頼性が高い装置です。

バイメタル式サーモスタットの使用用途

バイメタル式サーモスタットは、その信頼性とシンプルな構造からさまざまな用途で使用されています。代表的な用途は、温度制御が必要な装置やシステムです。家庭用冷蔵庫やエアコン、温水器などで温度を制御するために使用されます。

また、電子機器や電気機器では過熱による損傷を防ぐために使用されます。バイメタルが一定の温度を検知すると、電気回路を遮断して装置を保護することが可能です。その一例として、コンピュータの電源装置や電気ストーブなどがあげられます。

温度がある範囲を超えた場合に、警報を発するために使用されることもあります。温室や実験室などで温度が制御範囲を外れた場合に警告を出すために使用されることが多いです。

バイメタル式サーモスタットはその信頼性と堅牢な性質から、温度制御や制御回路の動作など、さまざまな分野で広く使用されています。

バイメタル式サーモスタットの原理

バイメタル式サーモスタットは、バイメタルと呼ばれる二層構造の金属片を利用して動作します。バイメタルは異なる熱膨張係数を持つ二種類の金属を積層した構造です。それぞれの金属層が異なる熱膨張係数を持つため、温度が変化すると一方の金属層がもう一方よりも大きく膨張または収縮します。

この膨張や収縮によって、バイメタル全体の形状が変化します。使用される金属としては、高膨張率側が鉄やニッケルの合金にクロムマンガンなどを添加します。低膨張率側は膨張係数を低くした鉄とニッケルの合金が使われることが多いです。

鉄やニッケルが使用される理由は、安くて加工がしやすく、耐久性にも優れているためです。バイメタル式サーモスタットは、バイメタルの形状変化を利用して温度制御を行う機器です。一般的な構造としては、バイメタルが一端で固定され、もう一端に連結された接点やスイッチを配置します。

温度が上昇すると金属片の膨張率差によって片方の金属層大きく膨張し、機器全体が曲がって接点やスイッチが開放されます。

バイメタル式サーモスタットの選び方

バイメタル式サーモスタットを選ぶ際は、以下の点に留意することが必要です。

1. 定格電圧

使用する電気機器や回路の仕様に基づいて、バイメタル式サーモスタットの定格電圧を確認します。製品が許容する最大電圧を超えないように選ぶ必要があります。AC100V~250V程度を許容する製品が一般的です。

2. 定格電流

使用する電気機器や電流要件に応じて定格電流を考慮します。定格電流を超過した場合、接点溶着などの故障が発生するため注意が必要です。適切な定格電流のサーモスタットを選ぶことで、正常な動作と信頼性を確保することが可能です。

制御回路に使用されることが多いため、定格電流は20A以下の製品が一般的です。小型製品の場合は3A程度の場合もあります。

3. 設定温度範囲

使用する場面で要求される温度範囲を確認して、適用可能な製品を選定します。温度範囲外では動作しない製品が多いです。設定温度範囲は数十℃から数百℃まで、幅広いラインナップが存在します。

4. 復帰タイプ

接点の復帰タイプも重要な要素です。自動復帰タイプと手動復帰タイプの2種類が存在します。自動復帰タイプのサーモスタットは、温度が設定範囲内に戻ったときに自動的に元の状態に戻ります。

手動復帰タイプは、一度動作した後は手動でリセットする必要があります。用途に応じて選定する必要があります。

参考文献
http://www.ngt.co.jp/technical/about_thermostat.html
https://www.nippon-heater.co.jp/products/tc/tmqttm/

ナノバブル発生装置

ナノバブル発生装置とは

ナノバブル発生装置とは、超微細気泡と呼ばれる非常に小さな気泡を発生させる装置です。

ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルと呼ばれる超微細気泡には、殺菌能力や洗浄能力、環境浄化、成長促進、免疫力向上、細胞保護能力などの性質があります。

ナノバブル発生装置の使用用途

ナノバブルの性質を生かした主な使用用途は、以下の通りです。

  • 殺菌力・洗浄力
    病院や介護施設など
  • 環境浄化
    一般排水や工場排水などの排水処理、河川や池や海水の水質浄化など
  • 生態活性化・細胞保護・成長促進
    魚の鮮度維持、牡蠣やエビなどの貝・甲殻類や魚類の養殖など

その他、ナノバブルには水の蒸発を促す効果もあるため、水冷式冷却塔の効率化などが期待できます。熱伝達能力を利用して、効率よく液体の温度を低下させることなどにも利用されています。

ナノバブル発生装置の原理

ナノバブル発生装置では、ナノサイズの超微細気泡を発生させています。一般的に直径50マイクロメートル以下の気泡をナノバブルと呼んでいます。

ナノバブルはイオンの力が働くことで気液界面が縮小し、イオン濃度が濃縮されて気泡内部の温度と圧力が高くなり、様々な現象が発現することが特徴です。なお、ナノバブル発生装置としては、ナノバブルよりも大きく、直径50マイクロメートルよりも大きく0.1mm以下程度の微細気泡であるマイクロバブルと共にナノバブルを生成する装置と、ナノバブルを直接生成する装置があります。

ナノバブル発生装置の種類

ナノバブル発生装置においては、マイクロバブルとナノバブルを同時に生成する「高速旋回液流式」と「加圧溶解式」があります。「界面活性剤添加微細孔式」と「超音波キャビテーション式」は、ナノバブルだけを生成する方式です。

1. 高速旋回液流式

高速旋回液流式は、ナノバブルが液体中に長い時間残存可能で、マイクロバブルは液面に浮上することを利用した方式です。まずは、液体と気体を混合し、気泡を発生させます。

これを高速旋回液流として回転させると気泡が細かく粉砕され、液体中にマイクロバブルとウルトラファインバブルが生じます。マイクロバブルは液面に浮上する性質があるので、マイクロバブルが浮上分離された後、液体内に残存しているナノバブルだけを回収可能です。

2. 加圧溶解式

加圧溶解式では、気体を加圧して液体中に過飽和で溶解させたのち、急減圧をおこなって、液体中にマイクロバブルとナノバブルを発生させます。その後、高速旋回液流式と同様に、マイクロバブルを浮上分離してナノバブルのみを回収します。

3. 界面活性剤添加微細孔式

界面活性剤添加微細孔式では、まず液体中に界面活性剤を十分に添加し、気液界面張力を低下させます。この後、ガスで圧力を掛けながら、ナノバブルのみ通過可能なサイズの超微細孔を有する膜を透過させ、この超微細孔からナノバブルを通過させて回収します。

4. 超音波キャビテーション式

超音波キャビテーション式では、液体中の溶存ガスに超音波によるキャビテーションを起こし、ナノバブルを生成しています。

ナノバブル発生装置のその他情報

ナノバブル発生装置の長所

ナノバブル発生装置は、排水や河川などの水質浄化や、魚介類の養殖での成長促進に利用されていますが、農業でも様々な長所があり利用が広がっています。

1. 栄養素の集積
農業で生育を促進するために活用されている肥料には、ナトリウムや鉄、またカルシウムなどの栄養素が含まれており、これらには、プラスの電荷を帯びる性質があります。ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルは、マイナス電荷を帯びる特性があるため、栄養素を集めて効率良く農作物に与えることが可能です。

2. 植物細胞への浸透
ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルのサイズは植物細胞よりも小さいため、植物細胞へ容易に浸透でき、このことからも肥料中の栄養素を効率よく農作物に与えることが可能です。

3. 気体の運搬
ナノバブル発生装置では、空気だけでなく酸素やオゾンなど様々な種類の気体をナノバブルにすることが可能です。農業で利用される農業用水の中にはポンプで地下からくみ上げるものがあり、その場合水中の酸素濃度が低いことが問題となっています。

ナノバブル発生装置を使用すれば、農業用水中に酸素よりなるナノバブルを生成することも可能です。酸素濃度を上げた農業用水を農作物に与え、かつ酸素がナノバブルとなっているため、植物細胞に酸素が直に届きます。病原菌対策として、殺菌や抗ウイルス性の高いオゾンを閉じ込めたナノバブルを活用している事例もあります。

参考文献
http://anzaimcs.com/main/aboutnanobubble.html
https://kyowa-ctc.co.jp/
https://www.micro-bubble-evc.com/micro-bubble/
http://www.tec-kak.co.jp/seihin/q-and-a.html
https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single075.html
http://www.landbell.jp/images/pdf/nano-gijyutu.pdf