荷重測定器

荷重測定器とは荷重測定器

荷重測定器 (英: load measuring instrument) とは、物体を引張る力や押す力を測定する機器です。

代表的な荷重測定器は、フォースゲージロードセルトルク計などの種類があり、それぞれの測定器で検出できる力の種類が異なります。

例えば、フォースゲージは押し引きなどの動作時に発生する力を測定し、ロードセルは力の変換器として使用され、また、トルク計は回転やねじれの力を測定します。

荷重測定器の使用用途

荷重測定器は、材料の硬度や機器を操作する際に発生する力の大きさや様々な物体にかかる力の大きさなどを数値で表すために使用されます。

1. フォースゲージ

フォースゲージは、主に手で持って、測定対象に直接押し引きの作用を行う場合に使用されます。例えば、ファスナーやシャッターの開閉などの動作時にかかる力の測定です。

また、フォースゲージをスタンドに固定して測定を行うことで、均一で再現性のある測定が可能です。そして、測定対象の硬度試験や開閉試験などの用途にも使用されます。

2. ロードセル

ロードセルは、主に装置などに取り付けて荷重測定のための変換器として使用されます。測定対象によって、使用するロードセルの大きさや形が異なり、小型から大型の形状まで幅広くあります。

3. トルク計

トルク計は、回転トルクやひねり力などを測定する際に使用します。測定対象か、トルク計のどちらかを手で持って、持っていない方に締め付けや開閉動作を行って測定します。

キャップの開け閉め力の測定や、ねじ締め動作力の測定などに用いられるケースも多いです。そのほか、エンジンなどの出力トルクの測定や、回転機械の負荷トルクの測定用途もあります。

荷重測定器の原理

フォースゲージは、押し引きの動作力や、剥離・摩擦などで生じる力を測定します。ばねを利用するタイプと、ロードセルを内蔵するタイプがあります。

ばねを利用するタイプは、荷重によるばねの変形量を機械的に指示する方式です。ロードセルは、計測した力を電気信号に変換することで数値化します。変換する方式はいくつかあり、中でもひずみゲージ式がもっとも多く使用されています。

力がかかることで変形した量からひずみを測定することができるひずみゲージを用いる方法です。この他、ピエゾ圧電式・金属薄膜式・静電容量式・光ファイバー式などが使われるケースもあります。

トルク計は、回転動作における力を測定するため、回転軸のねじれ角度の変化を位相差として感知し、これを電気信号に変換して測定します。

荷重測定器のその他情報

1. 荷重測定器とロードセル

デジタル表示をする荷重測定器は、ロードセルを使って荷重を検出します。ロードセルとは、金属にひずみゲージを貼った荷重センサーです。ロードセルの金属部は荷重容量によって設計されており、荷重により金属が変形する量をひずみゲージの伸縮で抵抗値の変化に置き換え、それを電気的に増幅して荷重値に変換します。増幅した荷重をデジタルの表示計に表示します。

ロードセルを使った荷重測定器は、荷重値の表示精度が高いです。ただし、衝撃や過荷重により金属が塑性変形を起こしやすく、荷重測定器のロードセル部分の取扱いには注意が必要です。落下させない、衝撃を与えない、過荷重が加わえないなどが重要になります。

2. テンションゲージ

テンションゲージは、駆動ベルト、チェーンなど、伝動するために張られた張力を計測する荷重測定器です。張力は、2点間に引っ張られた力を言い、2点間の距離・引張方向に対し垂直方向へ加えた荷重と、この荷重によるベルトなどの「たわみ」を使用して計算で算出します。

伝動ベルト以外にも、印刷用輪転機の用紙が張られる力や、機織りでの糸の張られた力、鋼板ロールからプレス機に送られる鋼板の引っ張られる力なども同様に計測します。テンションゲージと呼ばれるものは、アナログタイプとデジタルタイプの2種類です。

たわみ量が同時に計測できるもの、規定された2点距離をゲージの機構として保持して、張力を独自の規格で表示するものがあります。また、デジタル・アナログのフォースゲージそのものを指す場合もあります。

参考文献
https://www.forcegauge.net/faq/56788.html
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_torque2.htm
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.forcegauge.net/mesurement/used/top
https://www.forcegauge.net/know-how/measurement
https://tml.jp/knowledge/transducers/load_cell-example.html
https://www.toyo.co.jp/files/user/img/product/mecha/pdf/MAG_TMTFRTLB.pdf

溶接用保護具

溶接用保護具とは

溶接用保護具

溶接用保護具は、溶接作業時に安全に溶接作業を行うために身につける各種保護具です。例えばアーク溶接では、火花や強烈な光から体を守る必要がありますし、感電にも注意する必要があります。このため、事故や怪我を起こさなためにも作業に適した服装で作業することが重要です。

アーク溶接では主に以下の保護具を身につけて作業する必要があります。
例えば、溶接用保護面、安全帽、遮光メガネ、防塵マスク、腕カバー、前掛け、溶接用革製保護手袋、安全靴、足カバーなどです。

溶接用保護具の使用用途

溶接に必須な保護具の使用用途は以下の様なものです。

  • 溶接用保護面
     溶接時に発生する有害光線から作業者の目を保護し、スパッタなどから顔面や頭部を保護します。
  • 防塵マスク
     アーク溶接ではフェーム等の粉塵が舞うために、これらを吸い込まないようにする必要があります。
  • 前掛け
     溶接時には火花が飛ぶため、燃えにくい服装で作業する必要があります。化繊や綿などは燃えやすいため、革製の前掛けが適しています。
  • 溶接用革製保護手袋
     前掛けと同様に燃えにくく、熱が伝わりにくい素材であることが必要なため、革製の手袋が最適です。

溶接用保護具の原理

ここでは溶接用保護具のうち、主に溶接用保護面について説明します。

溶接用保護面はJISで規定されており、主な形状としてヘルメット形とハンドシールド形があり、ヘルメット形にはヘッドギアタイプと安全帽取り付けタイプに分かれます。どちらのタイプも溶接を行う際に発生する紫外線や強烈な可視光線から目を守ることと、溶接時に飛び散るアークやスパッタから顔や頭部、のどを保護するために使用します。

どのタイプの溶接用保護面にもシールドが装備されていますが、シールドに採用されている主な材質はアクリルポリカーボネートになります。これらは二種類の素材は、耐衝撃性や耐熱性、対薬性に違いがあるため、作業に適したシールドを選定する必要があります。  

溶接用保護面はJISで規定されていますが、指定品目ではないためJISマークの付く製品はありません。ただし、溶接用保護面を選ぶ基準としては着用者の視界を妨げず、シールドが自由に交換出来るものを選択すると良いでしょう。また、溶接時の光線が溶接用保護面の細部からもれない事も重要な確認項目の1つになります。

参考文献
http://www.monozukuri.org/mono/db-dmrc/arc-weld/case/skill/sk16.html
https://job-con.jp/guide/navi252

耐摩耗鋼板

耐摩耗鋼板とは

耐摩耗鋼板とは、非常に優れた耐摩耗性を持つ鋼板のことです。

摩耗とは物質同士の接触や摩擦によって表面が削れる現象のことであり、機械部品や建築材料など、幅広い分野で問題となっています。耐摩耗鋼板は摩耗に強く耐久性が高いため、過酷な環境下で使用される部品や機械に用いられます。また、一般的な鋼板に比べて薄くても十分な強度を持つため、部品の軽量化にも貢献します。

しかし、耐摩耗性を向上させるために、鋼材には硬質な素材が用いられているため、加工が困難であるというデメリットもあります。そのため製造コストが高くなってしまう場合もあります。

材料は炭素鋼がベースで、クロム、マンガン、モリブデン、バナジウムなどの合金を加えることにより硬度や強度を高めます。また、耐摩耗性だけでなく耐食性や耐熱性などの特性を持つ製品もあります。

耐摩耗鋼板の使用用途

耐摩耗鋼板は、建設機械の分野で使用されることが多いです。建設機械は土砂や岩石といった強い摩擦力を生み出す材料を扱うため、部品の耐久性が求められます。そのため、耐摩耗鋼板が使われます。

例えば、ブルドーザーやダンプトラックの排土板、油圧ショベルのバケット部分など、長時間使用される部分には耐摩耗鋼板が必要です。部品が劣化することで生じるコストやダウンタイムを減らすため、強度や摩耗性に優れた素材が必要だからです。

また、農業機械や鉱業機械、製鉄所の設備などでも耐摩耗鋼板が使用されています。機械や設備では、異物混入や高温・高圧などの過酷な環境下での使用が求められます。そのため、強度や摩耗性だけでなく、耐食性や耐熱性といった性能が必要です。

耐摩耗鋼板の原理

耐摩耗鋼板は、鋼材表面に特殊な合金層を形成することにより耐摩耗性を向上させています。

合金層は、主にクロム、マンガン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、ボロン、タングステンなどの元素で構成されています。これらの元素は、鋼材表面に薄い層を形成し、表面を硬化させることが可能です。この硬化した表面は、高い耐摩耗性を持ちます。

また、耐摩耗鋼板は鋼材中に特殊な結晶構造を持つことも特徴のひとつです。結晶構造は鋼材の内部に微小な結晶を形成することで、表面硬度を高める効果があります。結晶構造により、鋼材は耐摩耗性を持つだけでなく強度も向上します。

耐摩耗鋼板のその他情報

1. 耐摩耗鋼板の溶接

耐摩耗鋼板を使用する建設機械用のバケットや排土板などの構造物は、ねじ止めなどの機械締結だけでは作製することができず溶接による接合が必要になる場合があります。

耐摩耗鋼板では、一般的にMAG溶接や被覆アーク溶接などが広く利用されますが、溶接による接合部に要求される特性や施工の状況によって注意すべき点が3つあります。

接合部に耐摩耗特性が必要かどうか
接合部が土砂などと接触する部分でない場合は耐土砂特性が必要でないため、溶接棒も広く選択できます。接合強度だけを考慮すればよいため同種の耐摩耗鋼でなくても良く、溶接性に優れる軟鋼や予熱の必要がないオーステナイト系ステンレス溶接材など、構造物や施工ニーズに合わせることが可能です。

一方で、接合部にも耐摩耗性が要求される場合は、溶接性に優れる耐摩耗鋼を選択する必要があるため、選択肢が狭まります。また、耐摩耗鋼は鋼板の状態で性能が最高となるように設計され作りこまれていますが、接合時に加わる熱によって軟化し耐摩耗性が低下するため、高温での軟化抵抗を向上するシリコン (Si) 添加量が多い耐摩耗鋼などを選択する必要があります。

溶接割れの発生
耐摩耗鋼板はで高い耐摩耗性を発現させるために、炭素やクロムなどの合金元素が大量に添加されていて、溶接割れの感受性の指針の一つである炭素等量が高くなっています。

炭素等量が高いほど耐摩耗特性は高くなりますが、一方で溶接割れがしやすくなるため溶接の際に脆化の原因となる水素の混入を低減したり、予熱により拘束力を低下させるなどの工夫が必要です。

予熱温度の管理
耐摩耗鋼板は一般的に200℃以上の温度に曝されると材料が軟化して、耐摩耗性が低下するため、溶接による熱影響や溶接割れの防止目的で施される予熱によって耐摩耗性などの低下に注意する必要があります。溶接後の残留応力の開放や組織健全化を目的とした後熱処理は基本的に施しません。 

2. 耐摩耗鋼板の熱処理

耐摩耗鋼板では、オーステナイト域から急冷し硬質で耐摩耗性に優れるマルテンサイトを得る「焼入れ」と、靭性を向上させて割れにくくさせる「焼戻し」の2つの熱処理が特に重要になります。

焼入れでは、冷却速度が遅いと硬度が不十分で要求通りの耐摩耗性が得られない点に注意が必要です。焼戻しでは、温度が高すぎると靭性は向上しますが逆に硬さが低下して耐摩耗性が得られなくなるため、両方のバランスを考えた温度設定と管理が重要になります。

参考文献
https://seizotimes.com/%E8%80%90%E6%91%A9%E8%80%97%E9%8B%BC%E6%9D%BF
https://www.morikawa-tc.jp/hardox
https://www.weld.nipponsteel.com/techinfo/weldqa/detail.php?id=27TLDD2

精密切断機

精密切断機とは

精密切断機

精密切断機とは、高い精度で金属を切り出すことが可能な装置のことです。

JISB1010で「といし車を用いて工作物を切断する工作機械」と定義されており、特に精密切断機ではダイヤモンドやCBNホイール (立体晶窒化ホウ素) などの硬度が高い物質をといしに使用します。摩擦面が粗くならず、バリやカエリ、ホコリのない試料片を作成することが可能です。

また、CCDカメラを搭載した機種では、モニターで切断部を拡大できます。切断面の位置をより正確に決定することが可能となり、より精度の高い切断ができます。精密切断機は、電子部品や半導体などの製造業界をはじめ、自動車や航空機、医療機器など、さまざまな産業で幅広く利用されています。

精密切断機の使用用途

精密切断機は、その名の通り、さまざまな材料を切断するために使用されます。金属やセラミックス、合成樹脂、鉱物、生物試料、電子材料など幅広い分野で活躍しており、切断面の形状観察にも役立っています。SEM (走査電子顕微鏡) やマイクロスコープなどで観察されることが一般的です。

そのほか、電子部品や半導体、自動車や航空機の部品、さらには医療機器などの製造業界でも利用されています。産業では、精密さと品質が求められるため、精密切断機の重要性はますます高まると予想されています。

精密切断機を使用する大きなメリットは、チッピング (といしの刃先が丸く欠けてしまう現象) やクラック (切断試料に細かいヒビが入ってしまう現象) を防げることです。そのため、試料の品質を維持しながら切断作業を行えます。

精密切断機の原理

精密切断機は、高い硬度の砥石を用いて、金属やセラミックス、合成樹脂、鉱物、生物試料、電子材料などさまざまな素材を緻密に切断します。切断面は、SEM (走査電子顕微鏡) やマイクロスコープなどで形状観察を行うのが一般的です。精密切断機の利用により、チッピング (といしの刃先が丸く欠ける現象) やクラック (切断試料に細かいヒビが入る現象) を防げます。

精密切断機には、乾式タイプと湿式タイプがあります。乾式タイプは、試料に対して直接切断作業を行いますが、湿式タイプでは試料とといしの間に切削液が入り込むことで、焼付きを起こさずに切断することが可能です。

砥石には、ダイヤモンドやCBNホイール (立体晶窒化ホウ素) などの高い硬度を持つ材料が使用されており、精密切断機の高い切断精度を生み出しています。また、切断過程で発生する熱や摩擦を最小限に抑えることで、切断面のバリやカエリ、ホコリが無い試料片を作成可能です。

精密切断機のその他情報

精密切断機の制御方法

精密切断機には、試料と砥石の動きによって「上下動切断」「スライド切断」「振動切断」「スキップ切断」という4つの制御方法があります。湿式タイプでは、振動によって切削液が試料と砥石の間に入り込みます。

熱に弱く加工時に変形しやすい材料や、複雑な形状、硬度の高い材料も切断可能です。切削液はクーラントや切削油とも呼ばれ、水溶性と不水溶性の2種類があります。

水溶性切削液は作業環境の掃除のしやすさや引火しにくさから使用されることが多く、水溶性切削液にはエマルジョンタイプ、ソリューブルタイプ、ケミカルソリューションタイプがあり、JISによってA1種、A2種、A3種と規定されています。

さらに、試料の硬度に応じて砥石の回転速度を変えられる砥石の可変切断や、回転速度を一定にする砥石の周速制御切断が可能です。そのため、試料の硬度や形状に合わせて最適な切断方法を選択する必要があります。

参考文献
https://www.stc-jp.co.jp/products/kishu_search/setsudan/toishi_setsudan/

小型結束機

小型結束機とは

小型結束機

小型結束機とは、小包や雑誌、新聞の梱包、配線などを紐できつく縛り、結束できる機械です。

手で結束する場合、紐の間にすき間が出来て強く縛れないことがあります。小型結束機を使用した場合、増し締め用のレバーが備え付けられているため、簡単に結束の強度を調整でき、緩みなく結束できます。

片手でも操作できるため、日常家庭から電気工事の配線といった場面で効率的に結束作業を行うことが可能です。

小型結束機の使用用途

小型で汎用性も高く、家庭から産業、学術分野など様々な場面で使用されます。

小型結束機は、農産物や食品等の袋口を閉じたり荷物を紐で縛ってまとめたりする際に使用されています。

電気工事の現場では、簡単に配線を縛ってまとめることができるため、よく使用されています。細い配線などであれば、結束機を使わずとも縛ることはできますが、工事用の太い配線などでは小型結束機が便利です。また、網状のネットが破損した場合にも、小型結束機により簡単に補修できます。

小型結束機の原理

小型結束機は、機械に結束用のバンドを装着し対象に仮に縛り付けます。手元のレバーを引くことで徐々に片側の紐が送り出され、縛る強度が高まります。

結束用としてよく使われるバンドは、PET (ポリエステル) 、PP (ポリプロピレン) といった素材が代表的です。バンドの表面には細かい凹凸が刻印されており、滑り止めの役割を果たしています。

参考文献
https://www.askul.co.jp/s/14-1405-1405002-14010050005/
https://www.bildy.jp/mag/reinforcingbarbindingmachine-guide/
https://www.webshiro.com/syouhinsetumei5/MB11SL-KP.html

空気圧縮機

空気圧縮機とは

空気圧縮機

空気圧縮機とは、空気を高圧に圧縮する機械のことです。

コンプレッサとも呼ばれ、空気を吸い込んでピストンやローターなどの部品で圧力をかけて、タンクに貯めたり、ホースやパイプで送り出したりします。空気圧縮機は、工業や建設、医療などのさまざまな分野で利用されています。

それぞれの用途によって使用する圧力や空気量が変わり、圧縮空気を生成する空気圧縮機にも条件に応じて色々な種類があります。空気量や吐出圧力 (空気圧) によって、適した空気圧縮機の種類と大きさ (機器サイズ・出力) が決めらているのが一般的です。

空気圧縮機の使用用途

空気圧縮機は空気を高圧にする機械で、さまざまな用途に活用できます。

1. 土木・建設分野

ドリルやハンマー、レンチなどのエアーツールの動力源として用います。電動工具よりも軽くて小さくてパワフルで、火花や熱を発生しないので安全です。

2. 塗装分野

自動車や家具など、表面に均一に塗装するためのエアーブラシやスプレーガンにも圧縮空気が用いられます。この圧縮空気の供給源として空気圧縮機は使用されます。

3. 工業分野

圧縮空気は自動調節弁にも用いられます。この場合、DCSやPLCなどの制御機器からのデジタル調節電気信号をその出力に応じた空気圧信号に変換して、その空気圧を調節量として利用することが多いです。

4. その他

空気圧縮機から送られた高圧の空気を使って、埃やゴミを吹き飛ばして清掃する際に用いられます。電子部品や機械などの細かい部分に付着した汚れを除去できます。

また、空気圧縮機から送られた高圧の空気を使って、温度を下げたいときにも有用です。空気を急速に膨張させると、温度が低下します。この原理を利用して、食品や医薬品などの冷却に使われます。冷却用のエアーチラーが代表例です。

空気圧縮機の原理

空気圧縮機は、ボイル・シャルルの法則に基づいて動作します。ボイル・シャルルの法則とは、一定量の気体が温度が一定であれば、体積と圧力は反比例する法則です。

つまり、体積が小さくなれば圧力が大きくなります。空気圧縮機はこの法則を利用して、以下の順序で高圧の空気を作り、必要な場所に供給します。

1. 吸引

空気圧縮機は周囲の空気を吸引します。空気は吸引する際にフィルターで浄化され、異物や汚れが取り除かれます。

2. 圧縮

吸引された空気は、高速回転する圧縮機の内部で圧縮されます。これにより、空気の分子が密に詰まり、空気圧力が増加します。一般的なタイプの空気圧縮機には、ピストン型とロータリースクリュー型があります。

3. 貯蔵

圧縮された空気はタンク内に貯蔵されます。タンクは高圧空気を安定して供給できるようにするためのバッファーとして機能します。

4. 供給

貯蔵された圧縮空気は、バルブや調整器を通じて必要な場所に供給されます。エアツール、自動車のタイヤ、製造プロセス、または他のアプリケーションに使用される圧縮空気は、効率的にエネルギー源として利用されます。

空気圧縮機の種類

空気圧縮機は、圧縮方法によって以下の4つに分類されます。

1. 往復式コンプレッサ

ピストンとシリンダーで構成された空気圧縮機です。ピストンが往復運動して、シリンダー内の空気を圧縮します。レシプロ式は高圧にできますが、振動や騒音が大きく、熱を発生しやすいです。

2. 回転式コンプレッサー

ローターとハウジングで構成された空気圧縮機です。ローターが回転運動し、ハウジング内の空気を圧縮します。振動や騒音が小さく、熱を発生しにくいです。

3. 遠心式コンプレッサー

インペラ (羽根車) の遠心力により気体に速度エネルギーを与え、それを圧力に変換して気体を圧縮するコンプレッサです。大型化に適している一方で、高圧縮には適していません。

4. 軸流式コンプレッサー

翼型断面を有する翼を回転させることにより、気体を軸方向に流して圧縮するコンプレッサです。段階的に圧縮するため高圧縮にも対応可能で、大型化にも適しています。

空気圧縮機には、圧縮方法以外にも分類の仕方があります。圧縮段数 (1段、2段、多段) 、潤滑・シール方式 (給油式、ドライオイルフリー式、水潤滑式オイルフリー) 、冷却方式 (空冷、水冷) 、制御方式 (インバーター、アンロード制御、安全弁制御) 、形状 (タンクマウント型、パッケージ型) などが代表例として挙げられます。

参考文献
https://www.ihi.co.jp/compressor/technical-info/basic.html
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/tech/2.html 

熱風乾燥機

熱風乾燥機とは

熱風乾燥機とは、熱風を使用して物質や製品を乾燥させる装置です。

工業的なプロセスや製造業で広く使用されます。湿度を低下させることで物質や製品の水分を除去し、乾燥させることが可能です。これによって、製品の品質を向上させたり、保存性を延長したりすることができます。

例えば、食品産業では、果物や野菜、穀物、肉製品などを乾燥させるために熱風乾燥機が使用されます。乾燥時間や温度を制御することで異なる種類の物質に対応します。また、乾燥機の設計や機能は使用する産業や用途に応じたラインナップが豊富です。

熱風乾燥機の使用用途

熱風乾燥機はさまざまな産業や分野で幅広く使用されます。以下は一般的な使用用途の一部です。

1. 食品加工業

果物や野菜、穀物、乾燥肉製品、魚介類などの食品を乾燥させるために使用されます。乾燥することで、食品の保存性を向上させ、品質を維持します。また、乾燥果物やスナックフードの製造にも使用されることが多いです。

2. 製薬業

製薬産業では薬品や医薬品の製造プロセスにおいて使用されることがあります。薬品の湿気を取り除き、製品の安定性と保存性を向上させます。

3. 木材加工・陶磁器

木材の乾燥にも広く使用される場合があります。湿気を取り除くことで、木材の収縮や歪みを抑え、耐久性を向上させます。

また、陶磁器やセラミック製品の製造においても使用されることが多い機器です。湿度を低下させることで、製品の乾燥や焼成のプロセスを効率化します。

4. 化学プラント

化学プラントでは、化学物質や粉体の乾燥に熱風乾燥機が使用されます。石炭や鉱石などの粉体燃料は燃焼炉に投入して使用されますが、含水率が高いと燃料ロスに直結します。したがって、前処理として熱風乾燥機に投入して水分を除去します。

また、塗料の乾燥や化成品の合成にも熱風乾燥機が使用されます。化成品には顔料や触媒などの化学物質が該当します。

熱風乾燥機の原理

熱風乾燥機は乾燥室、加熱装置、排気装置などで構成されます。

1. 乾燥室

乾燥室は、乾燥対象物が配置される場所です。通常は箱型や筒型の構造を持ち、内部に乾燥を行う空間があります。

内壁は温度に応じて耐火煉瓦などの適切な材料で覆われており、熱や湿気の効果的な制御が行われます。

2. 加熱装置

加熱装置は、熱風を生成するために使用されます。電気ヒーターやガスバーナー、蒸気ヒーターなどが一般的な加熱源です。

加熱装置は熱風の温度制御に使用され、乾燥室内を必要十分な温度に保ちます。

3. 排気装置

排気装置は、湿気や排気ガスを外部に排出する要素です。ファンまたは送風機などで送気され、熱風を乾燥室へ送りつつ排気を外部へ排出します。

ファンには押込型と誘引型があり、通常は乾燥チャンバーの上部や側面に設置されます。

熱風乾燥機の種類

熱風乾燥機には、ワンパス型 (単通型) と循環型 (リサイクル型) の2つの主要な種類があります。

1. ワンパス型

加熱された空気が一度だけ乾燥室内を通過する熱風乾燥機です。加熱された空気が、一方向に流れて乾燥チャンバー内を通過します。通常、加熱装置から送風機までの空気の流れは一直線です。

一度の通過で乾燥チャンバー内の物質を乾燥させるため、熱効率が比較的高いです。また、乾燥チャンバー内の温度均一性は送風機の配置と乾燥チャンバーの構造に依存します。均一性を保つためには、適切な送風機の配置と風の分布制御が重要です。

ワンパス型は乾燥プロセスが比較的簡単であり、効率的な乾燥が求められる場合に適しています。

2. 循環型

乾燥チャンバー内の空気を循環させる熱風乾燥機です。加熱された空気が乾燥チャンバー内を循環し、再び加熱装置に戻ります。空気は繰り返し乾燥チャンバーを通過するため、効率的に熱を利用できます。

熱風を再利用するためワンパス型に比べて熱効率が高く、熱の損失が少なくなります。また、空気が繰り返し循環するため、温度均一性が高いです。乾燥チャンバー内の温度差が少ない点が特徴として挙げられます。

循環型は熱効率が高く、温度均一性が求められる場合や長時間の乾燥プロセスに適しています。

参考文献
https://www.nagato.co.jp/technical_doc/kansou03.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/transjtmsj1965a/21/7/21_7_P449/_pdf/-char/ja
http://www.kuroda-dryer.co.jp/sikumi.html

濃度測定器

濃度測定器とは

濃度測定器のイメージ

濃度測定器とは、気体または液体中に含まれるある特定の物質の濃度を測定するための機器です。

フィルタを通して得た特定波長の光や一定刻みの波長に分けた光 (スペクトル) の吸収量や反射量を測定することで、測定対象物の濃度を得ます。測定対象物が固定の場合、対象物の吸収の高い固有の波長の光をサンプルに照射し、検出器で透過 (減衰) 量を測定することで濃度を測定します。パルスオキシメーターも、光の透過度を利用した吸光濃度計の一種です。

濃度測定器の使用用途

濃度測定器の主な使用用途は、液体や気体中にある特定の目的物質の濃度測定です。様々な産業分野において使用されています。

1. 食品・飲料分野

食品包装に用いられる酸素測定器のイメージ

図2. 食品包装に用いられる酸素測定器のイメージ

食品産業においては、酸素による酸化反応によって品質が低下する製品が多くあります。包装工程において、品質の低下を予防するため、酸素濃度を低く保つことが必要です。充填機、シール機、包装機などの設定値が正しいか、確実にガス充填がなされているかどうかなどを監視するため、酸素濃度計が用いられています。

2. 環境測定

環境監視用途では、空気中のNOX、SO2、CO、CO2、HClなどの各種ガス濃度を監視する目的で濃度測定器が用いられています。また、環境測定用途の酸素濃度計は、特にマンホール、下水道や、タンク、船舶など、酸欠の恐れがある場所での安全確認に用いられる装置です。

3. 医療用途

医療用では、血中酸素濃度の測定 (パルスオキシメーター) 、グルコース濃度測定などの用途で各種機器が用いられています。

4. 工業用途

工業用では、生産ラインにおける液体濃度の管理のために濃度計が用いられています。具体的な例では、ウエハー製造工程におけるレジスト剥離液の濃度管理や酸アルカリ系洗浄液の濃度管理、半導体製造工程におけるリサイクル薬液の濃度管理や酸化膜・窒化膜エッチング液の濃度管理などが挙げられます。

また、微量酸素分析計は、工業用ガス中のごく微量な微量酸素濃度をの測定が可能であり、半導体の製造工程やAr溶接などで用いられる装置です。その他特殊なものでは、印刷でのインクの色濃度の測定などを行う装置や、生コン用塩分濃度計などがあります。

5. 実験科学

実験科学においては、酵素反応による呈色反応を濃度測定して酵素活性値を換算する用途があります。その他では、タンパク質、核酸の濃度測定 (定量解析) などにも濃度測定器が利用されています。

濃度測定器の原理

液体濃度を測定する濃度測定器では、吸光光度法を測定原理とする製品が多いです。

1. 吸光光度法

吸光光度法では、ある波長の光を測定試料を入れる容器 (セル) に照射します。セルを透過した光を受ける受光部 (検出器) から得た電気信号を元に光の透過度 (減衰量) を検出し、物質濃度を測定することが可能です。

照射した光の強度をI0、透過光の強度をI、モル濃度をC、光路長 (厚さ) をl、モル吸光係数をεと定めたとき、-logI/I0を吸光度Aと定義すると下記のような式が成立し、吸光度Aは試料の濃度Cに比例します。この関係式から検量線を作成することで、未知の物質の濃度定量ができます。 (A = εCl)

2. 分光器

光源の白色光より特定波長を得るための方法としては色ガラスなどのフィルターを通すフィルタ式、水晶や石英を原料とするプリズムを用いて分光するプリズム式、回折格子を用いて連続的な分光を得るグレーティング式などがあります。

例えば、フィルタ式は試料と受光部の間に補色フィルタを設置し、光をレッド、グリーン、ブルーのフィルタを通して測定する方法です。

3. 光源・検出器

主に光源として用いられているものは重水素放電管、タングステン、LEDなどです。検出器には光半導体 (ホトセル) 、光電子増倍管 (ホトマル) などがあります。分光の方法や検出器の種類により測定可能な波長域が分かれるため、目的に応じて機器やセルの素材を選択することが必要です。

一方で、オキシメーターのように測定目的物質が決まっている濃度計の場合は、光源から目的物質で吸収の多い特定波長のみが照射され、検出器で得た光を電気信号に換算して濃度として表示されます。

濃度測定器の種類

酸素測定器などのガス測定装置のイメージ

図3. 酸素測定器などのガス測定装置のイメージ

濃度測定器には前述の通り様々な用途があり、気体を測定するや液体を測定するものなど、その種類は様々です。液体を測定する濃度測定器の中でも、吸光光度法の他にも、液体中でセンサー部分の振動片を振動させて生じる粘性抵抗から濃度を測定するものや、超音波と導電率を組み合わせた多成分濃度計などがあります。

また、酸素測定器にも様々な種類があります。例えば、チャンバーやグローブボックス、インキュベーター内の濃度測定を行う理化学用のものや、環境測定用のもの、生産ラインの微量酸素を検出するもの、包装内の酸素濃度を測定するものなどが挙げられます。それぞれの用途に応じて、測定範囲や測定限界が異なるため、用途に合わせたものを選択することが必要です。

その他では、水素ガス溶解液の水素濃度モニタとして使用する溶存水素計や、オゾン濃度計なども濃度測定器の一種として挙げられます。

参考文献
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/principle.html
https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/fluorescence_point/about/index.html
https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/fluorescence_point/concentration/index.html
https://www.environment.co.jp/study/stdy2.htm
https://www.hitachi-hightech.com/hhs/products/tech/ana/uv/basic/uv_course8.html
https://www.jasco.co.jp/jpn/technique/internet-seminar/uv/uv2.html

リンクケーブル

リンクケーブルとは

リンクケーブルは2台のパソコンを繋げてお互いをリンクさせることのできるケーブルです。

リンクケーブルは2台のパソコンのUSBポート同士をケーブルで接続させますので、USBポートがあれば使用することができます。

パソコンを2台使っている場合にはリンクケーブルは大変便利で、1台のパソコンに保存してあるデータをもう1台のパソコンにマウスでドラグアンドドロップするだけで移動できたりしますので、データのバックアップなどに非常に便利です。

リンクケーブルの使用用途

リンクケーブルは2台のパソコンを繋ぎたいときに使用します。

リンクケーブルで接続されたパソコンはモニターもつながりますので、マウス1台のみで2つのパソコンを使用できるようになります。つまり、カーソルを移動させると、1台のパソコンモニターからもう1台のモニターへと移動します。これはデータも同様で、1台のパソコンのファイルをドラグしてもう1台のパソコンへ移してドロップするとファイルも別のパソコンへと移動します。

リンクケーブルの原理

リンクケーブルは2台のパソコン間をケーブルでつないで通信を行いますので、キーボードとマウスはそれぞれ1台ずつしか必要なくなります。2台のパソコンが1台のパソコンのようになりますのでモニターが広くなる上に、キーボードとマウスが少なくなりますのでその分広い作業スペースが確保できます。さらにデータのやり取りも行えますので大事なデータのバックアップが簡単に出来てしまいます。

ファイルなどのデータはドラグアンドドロップだけではなくコピーアンドペーストもできます。このため、外付けのハードディスクを購入せずに使用しなくなったパソコンをデータストレージとしても使用可能となります。

リンクケーブルはパソコン同士のみではなくUSBポートが付いていればパソコンとタブレット同士でもリンク可能で、基本的にMacとWindowsの両方に対応していますので、Windows同士だけでなく、MacとWindowsのリンクも可能です。

ドライバはリンクケーブルに内臓されていますので、パソコンのUSBポートに差し込むとドライバは自動でインストールされます。

減衰器

減衰器とは

減衰器(Attenuator、アッテネータ)とは装置で得られた信号を適切な信号レベルに減衰させる電子回路または装置のこと。Attenuatorの略号でATTと表記することもある。信号の波形をゆがませることなく減衰させる。減衰器は電気信号だけでなく光などの物理的な量の計測の際にも使用される。

抵抗器を用いて電気的に信号を減衰させる場合と、センサーの検出部を一定サイズのカバーで多い入力を制限することで検出可能な適正信号レベルまで減衰させる物理的な減衰手法がある。

減衰器の使用用途

減衰器も用いる目的としては「レベル調整用途」「測定データの減衰用途」「インピーダンスマッチング」などが考えられる。また計測機に減衰器を意図的にかませ、検出データのシグナル/ノイズ比を向上させる目的で使用することもある。

具体的な使用例としては、オーディオでの出入力調整用途、測定用減衰器、紫外線強度計の入力エネルギー調整など。

なお減衰器に対し、逆に信号を増幅する装置は増幅器(ブースター)という。

減衰器の原理

単純にシグナルを減衰させる目的であれば適当な抵抗を入れることで目的を果たせるが、高周波回廊における減衰器はインピーダンスを保持しながら減衰することが必要。そのため複数の抵抗を組み合わせたT型減衰回路やπ型減衰回路を使用して入出力の整合性を取りながら信号を減衰させる。

スペクトラム・アナライザや測定用受信器には分析部へ入力される信号を適切なレベルに調整するための減衰器が内蔵され、検出データの飽和を防ぎ正確な結果を得られるように調整されている。また紫外線強度計の受光部(センサ)を開口部を絞ったアッテネータで覆うことで入力エネルギー量(受光紫外占領)を既定比率で減衰し、測定データのオーバーフローを防ぐ物理的なアッテネータも存在する。

また測定機器の場合、信号レベル的には減衰する必要のない(適切な信号レベルでデータが入力されている)場合にもあえて一度減衰し、シグナル中に含まれるノイズの影響を下げでることで、データ品質(シグナル/ノイズ比)の向上を行うことも可能。

減衰率が固定のものの他に、ダイヤルや外部からの調整により減衰率を変更可能な可変アッテネータと呼ばれるものもある。

参考文献
https://www.stack-elec.co.jp/?p=265
https://as76.net/ant/att.php