ヒンジピン

ヒンジピンとは

ヒンジピン

ヒンジとは蝶番(チョウツガイ)丁番の別称で、主に板やドアの開閉、蓋物の番(つがい)として要になる重要な建具部品のひとつです。ヒンジピンは開閉する板材の側端にネジ固定された方の部品で、受け側の部品の穴に差し込まれて番の機能を果たします。

そのなかでも厳密に「ヒンジピン」と呼称される部品の種別は、受け側のホールに対し差し込み側の回転を持って機能しているスティックピンを差して言う呼び名になります。

ヒンジピンの使用用途

使用される箇所はドアの開閉部、縦に開閉する窓の鍵、箱などの蓋物を開閉する取り付け部品、フィットネスマシンなどを円弧に動かすピン(又はスティックバー)がそれにあたります。

油圧式のドアストッパーや、手動の押し切り(紙切断機のこと)などでもヒンジピンの丁番と同じ仕組みで部品が動いています。

また開閉が頻回な用具庫やコインロッカーの扉、機器類のカバーの開閉部品など、普通の蝶番より耐久性が必要な用途に使用されます。

ヒンジピンの原理

ヒンジピン(を含む丁番)は上品であれば、半永久的な性能を誇ります。設置接合部がスチールやステンレス、鋼鉄など耐久性に優れた固定材質だった場合、錆やゴミ詰まり意外は永続的に使用が可能です。

簡略に仕組みを解説すると「筒の中で棒が回る」というシンプルな仕様です。この原理を元にヒンジピンは様々な連結方法があり、各種用途に適合しています。

例として、事務用品の押し切り(簡易紙切断機)は「割り止め」と呼ばれる部類で稼働部と固定部それぞれを2ヶ所でボルト止めしている仕様です。最強はキー止めといわれる連結方法があります。

ほか、止め輪式、止めネジ止め式、ナット止めなどがあり各種耐用が異なります。

業務用冷蔵庫のドアや車体のドアなどにも見えない部分にヒンジピンが使用されています。車のボンネットや後部トランクなどはヒンジピンとドアキャッチが複合したような仕様です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md02/c1235.html

台車移動用防止ストッパー

台車移動用防止ストッパーとは

台車移動防止用ストッパー

台車移動防止ストッパーとは、台車下に装着する踏み込み式ストッパーの総称です。主に移動が頻繁で、各所で積み荷の荷下ろしや積載を行うときに台車を固定する目的で使用されるブレーキ部品になります。

部品的には固定用ポール部分にクラッチがついた形状が多いようです。荷積時みや停止の際に安全確保のための車輪止めになる機能部品です。移動防止ストッパーは持ち場を離れるときにもロックを掛けるという目的を兼ね装着されます。

材質は鉄鋼、ステンレス、スチール材が多く使用されており、踏み込み板を足で押し込む形式です。

台車移動用防止ストッパーの使用用途

台車移動防止ストッパーの使用用途は台車の固定、車止めです。これにより作業時の振動で台車がぐらついたり、工場、倉庫などでのでの荷積み中にコンベアのラインからずれて行ってしまったりなどのちょっとした台車のストレスを扱いやすくします。

利便性が高い用途はスーパーの棚だし、品だしの大型カートに装備する用途です。品だし中の積荷の安定性を確保することや、レジの呼び出しで一時的に持ち場を離れる際に位置固定する意義は大きいものです。

台車移動用防止ストッパーの原理

台車移動防止ストッパーはシリンダタイプの2重筒部品を組み合わせ、台車の固定横滑り防止目的で使用される器具です。強度目安はストッパー固定時に台車を三点で支えることになりますので、台車車体重量+積載荷重(総量)を3で割った重量(量/kg)を目安に適正な規格を選びます。

台車を確実に位置固定するためには、ロックしたときに、床下から台車下までの寸法通りの台車移動防止ストッパーを使用します。採寸が適正でないとロックが浮いて掛かりません。

取り付けは4本ボルト固定で台車裏側に外郭側のシリンダー台座を固定します。素材は重量鉄鋼、スチール、超合金などの硬質金属を加工して造られています。

ロックペダルとアンロックペダル(解錠ペダル)が付いておりロックペダルの踏み込みが完了すると同時にアンロックペダルが定位置に固定される仕組みになっています。

解錠時は、アンロックペダルは軽く踏むだけでバネピンの反跳力によりロックペダルも定位置に戻ってきます。ワックス床や氷冷室の荷出し、積載にはなくてはならない安全補助器具です。

軌道台車

軌道台車とは

軌道台車

軌道台車とは、設置されたレール上を移動するように設計された台車です。

工場や倉庫内での資材運搬や製品搬出などを目的に使用されます。軌道台車は、軌道上を移動するための特化した設計をしています。そのため、軌道との接触面積が広いため、安定性が高いです。

これにより、高速運転時やカーブなどでの安定性が確保されます。軌道台車の車輪は一般的に鉄などの金属製であり、軌道との間に適切な摩擦力を生み出すことが可能です。少ない力で物品を運搬するため、効率的に資材を搬送できます。

ただし、軌道上を移動するため、軌道自体の保守が重要です。軌道の傾斜や曲線半径などの仕様を適切に保つ必要があります。また、軌道上に障害物がある場合は影響を受ける場合も多いです。

軌道台車の使用用途

軌道台車は、さまざまな目的で利用されています。以下は軌道台車の使用用途一例です。

1. 物流・貨物運搬

倉庫や工場内などで、大量の物品や貨物を運搬するために軌道台車が使用されます。軌道上に敷設されたレール上を移動することで、効率的に荷物を運ぶことが可能です。これにより、人力に比べて労力を節約し、作業効率を向上させることができます。

2. 産業機器の移動

大型の産業機器は、建物内での配置変更やメンテナンスのための移動が必要な場合も多いです。軌道台車を使用することで、重い機器を容易に移動させることができます。また、軌道上を移動することで、正確な位置への配置が可能です。

3. 人員輸送

建物内の広大なエリアや大規模な施設では、徒歩では効率的に移動できない場合があります。軌道台車を利用した人員輸送システムを導入することで、従業員や訪問者を効率的に移動させることが可能です。これは、空港のターミナルや展示会会場などで見られることがあります。

軌道台車の原理

軌道台車は、軌道上を移動するための特殊な設計が特徴です。一般的にはレール、台車、駆動機構などで構成されています。

建物内で軌道台車が移動するためには、レールシステムが敷設されます。通常は床や地面に固定されたレールが設置され、軌道台車はこれらのレール上を移動します。レールは一般的に直線や曲線などの形状を持ち、軌道台車の運行範囲や経路を決定する構成要素です。

軌道台車本体は、台車枠と車輪から構成されます。台車枠は車両の骨組みであり、レール上を支持する役割を果たす構成要素です。車輪はレールに密着するような設計となっており、摩擦力によって安定した走行を実現します。

建物内の軌道台車には、駆動機構が備わっている場合があります。これにより、軌道台車が自律的に移動することが可能です。駆動機構には電気モーターなどが使用され、適切な速度や力を発揮して軌道上を移動します。

軌道台車の選び方

軌道台車を選ぶ際に考慮すべき要素は、搬送物の種類、積載荷重、駆動源、搬送速度などです。

1. 搬送物の種類

軌道台車を選ぶ最初の要素は、搬送物の種類です。軽量の箱やパレット、長尺物、液体容器など、形状や特性によって搬送方法が異なる場合があります。搬送物に合わせた形状や荷台の設計、固定装置などを備えている必要があります。

2. 積載荷重

軌道台車を選ぶ際には搬送する荷物の重量を考慮することが重要です。軌道台車の積載荷重は設計や構造によって異なり、必要な荷重に合わせて適切な積載能力を持つ軌道台車を選びます。

また、将来的な需要の増加を見越して余裕を持った積載能力を持つ軌道台車を選ぶことも大切です。

3. 駆動源

軌道台車の駆動源には、モーターなどが使用されます。モーターは静音性が高く精密制御が可能ですが、電源供給が必要です。選択する際には適切な駆動源を選び、効率的かつ持続可能な動力源を考慮する必要があります。

4. 搬送速度

軌道台車の搬送速度は、作業効率や生産性に大きな影響を与えます。搬送物の種類や距離、作業の要求に合わせて適切な搬送速度を選ぶことが重要です。また、特定の部分での制動や減速の能力も考慮する必要があります。

金属角パイプ

金属角パイプとは

金属角パイプ

金属角パイプとは、ステンレス、鉄鋼、合金などを素材に金型で押し出し等で作製した構造材の総称です。

スチールパイプの断面が4角型の棹ものですが、長さ形状は自由にカットされ使用されています。規格品として、サイズ、素材、長さが決まっている既製品も多くあるので大量購入は比較的容易です。

「平角パイプ」と呼ばれるものは切断面は長方形であり、俗に「角パイプ」と呼称しているのは正方形の断面を持つ角パイプになります。

金属角パイプの使用用途

材質にもよりますが、硬質超合金やスチール製角パイプでは、鉄柵、建具だけでなく耐荷重性能を生かした後付けベランダ床や資材ラックの構造パイプなどにも使用されています。

建材としてサンルームの施工やエクステリアなど、工場、工場での設営資材、ベランダや非常階段の手すり、仮設デッキでの柵囲いなどでもよく目にする構造材です。

軽金属アルミ製材であれば、持ち運びも容易いことからプールサイドの休憩用デッキチェアや屋外ベンチなどの素材に重宝されています。

金属角パイプの原理

資材特徴として、金型でプレスし押し出して作製するので比較的均一な高品質で、規格通りの製品が大量生産できることです。また、裁断、溶接いかんでは様々な形状に適合できるのも利点です。

形状を利用した加工では、雨樋としてそのまま施工する使用法です。色調もシックな真鍮色など素材の美しさを利用したリフォーム用例です。

工場では機械構造物資材、運搬台車、作業用鉄橋設営などで見ることが出来ます。また簡便に組み立てられるジョイントポット部品も市販されています。導管として使用する際でも継ぎ手に当たるアジャスターバリエーションで分岐することも可能です。

音楽製作現場では、プロ使用の100kgを越える各種音響機材のサウンドラックとしても活躍しています。俗に音楽機材一式を差し「サウンドラック」と呼びますが、これはスチールラックに納めることから転じた呼称のようです。材質の機能性にも申し分ありませんが、その重厚感とメタリックな質感が好まれ、サウンド製作の臨場感を盛り上げます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech_material/M1401000000/M1401160000/?basicSpecView=mech_material

工具研削盤

工具研削盤とは

工具研削盤とは、一定量の切削に使用し切れ味が悪くなった切削工具に、再度研削を施し切れ味を復活させるための機械です。

工具研削盤は、グラインダーとも呼ばれます。また、この場合の切削工具には、ドリルやエンドミル、フライスカッターやホブカッターなどがあります。

研削する工具の種類によって各種研削盤があり、それぞれ専用機的な使い方をします。 具体的には、ドリル研磨機、カッター研削盤、ホブ研削盤などです。その他、多くの種類の工具に対して研磨できる万能工具研削盤というものもあります。さまざまな附属装置を備えることで、多種の工具に対応可能です。

工具研削盤の使用用途

工具研削盤は、切削工具の再研削に用いられます。工具研削盤で研削する工具は、金属を機械加工するためのもので、切削工具と呼ばれています。

汎用的な使い方を可能にしている万能工具研削盤では、複雑な形状をしたエンドミルなどは、再研削ができない場合があります。また、一般には手動で研削を行うために熟練を要します。

一方で、技術革新に伴い現在では、数値制御によって多軸を制御するCNC工具研削盤の出現によって、複雑な形状の工具の自動研削を行うことが可能です。適切な検索条件と砥石の選定によって、安定した研削が実現できます。砥石軸を自在に旋回させることによって、さまざまな工具を1回の把持で研削すること可能で、高品位に仕上がります。

工具研削盤の原理

工具研削盤は、高速で回転する砥石に工具を少しずつあてることで、表面を削り取り、切れ味の悪くなった工具の表面を加工します。これらの工程によって、切れ味を取り戻すことが可能です。

エンドミル、フライス、リーマ、タップなど、一般的な形状の工具に関しては、複雑なプログラムのセットアップが不要で、手動で研削を行うことでができるため、万能工具研削盤で手早く研削することが可能です。しかし、多数の複雑な形状の工具を安定して研削するには、CNC工具研削盤が優位になります。

万能工具研削盤の場合、2軸もしくは3軸を手動で同時に操作する必要があるため熟練を要します。そこで、1軸のみNC制御させことによって研削作業を簡易化した、簡易NC工具研削盤もあります。エンドミル外周の逃げ面やすくい面のスパイラル形状やボールエンドミルRすくい面や逃げ面のスパイラル形状など、主軸のみをNC化すると、熟練を要すことなく研削を行えます。

工具研削盤の種類

工具研削盤の代表的な種類として、以下の3つが挙げられます。

1. 万能工具研削盤

一般的なドリル、エンドミルなどの研削には、万能工具研削盤が使われます。万能工具研削盤には多数の調整軸があり、研削する工具の構造、形状をさまざまな形状、径、長さ、切れ刃の状態、に調整することが可能です。しかし、検索する工具に関する知識が必要です。また、多数ある調整軸を適切に操作する技能が求められます。

2. CNC工具研削盤

現在、一般的な工具の加工には、複数の軸を同時にまたは連動して動かすことができる金法を持つ「CNC工具研削盤」が主流です。これらの最新のCNC工具研削盤には研削された工具の形状を計測する機能や、加工熱による研削ホイールの変形を検知して加工代を調整する機能を持つものもあります。

3. 専用研削盤

形状の特殊な歯車の加工に使われるホブやピニオンカッター、キー溝、スプライン溝などを加工するブローチなどには、専用の研削盤があります。

工具研削盤のその他情報

1. 研削と研磨や切削との加工の違い

研削加工と研磨加工は、工具の切れ味を再生するために行う点では同じですが、再生する方法が異なります。研削加工は砥粒で工具の刃物を削って形そのものを変えますが、研磨加工は砥粒で表面を滑らかに磨くために圧力を工具の刃物にかけます。

切削加工は砥粒ではなく、リーマやエンドミルなど、加工物の形状を削り取って加工する目的で行われ、その後研削加工や研磨加工で微調整する場合が多いです。

2. 工具研削盤の砥石

切削工具の材質は、高速度工具鋼超硬合金、など一般の鋼材より硬い材質が用いられています。さらに 、熱処理や表面処理が施されているために、硬度がさらに高くなっています。

一方、切削工具の刃先寸法は、その精度が機械加工時の仕上がり寸法精度に大きく影響するため、研削には精度が高く、高い硬度の被削材を検索できる研削砥石や、ダイヤモンドやCBN (Carbon Boron Nitride) が塗布された研削ホイールを使用します。研削加工時には加工時に発生する熱が砥石やダイヤモンドホイールの寸法や、研削されている工具の寸法に影響し、工具の出来上がり寸法にも大きく影響します。

最近のCNC工具研削盤では、それらの発熱で寸法補正を行うものもありますが、研削される工具の硬度や材質の組成に影響するため、温度上昇を抑制し温度管理を行う研削液の使用が必須です。工具研削盤だけでなく、研磨研削液の選定も重要となります。

参考文献
https://www.makinoseiki.co.jp/product/01_mg30.html

制御盤用クーラー

制御盤用クーラーとは

制御盤用クーラーとは、電気制御盤や電子機器の冷却に使用される装置です。

電気制御盤は機械やプロセスを制御するための機器であり、高温や過熱によって故障する内部機器が故障する危険があります。制御盤用クーラーは、このような制御盤内の温度を適切な範囲に保つために使用されます。

熱交換器や冷却装置を使用して制御盤内の熱を外部に排出する製品が多いです。ファンによって外気を取り込むだけの簡素な製品も販売されています。これにより、制御盤内の環境温度が上昇せず、機器の動作に必要な温度条件を維持することが可能です。

ただし、制御盤用クーラーを設置する際は、適切な空間と通風を確保することが重要です。クーラーの周りに遮蔽物がないことを確認し、冷却効果を最大限に引き出すために適切な空気の流れを確保する必要があります。

制御盤用クーラーの使用用途

制御盤用クーラーは以下のような用途で広く使用されています。

1. 製造業

産業機械の制御盤用クーラーは、工場や製造現場で使用される機械の制御盤内でも重要です。これらの機械は高負荷で動作し、制御盤内の温度上昇が問題となります。

一例としては、自動車組み立てラインの制御盤や金属加工機械の制御盤などが該当します。制御盤用クーラーは、制御盤内の温度を適切な範囲に維持することで、機械の安定した動作と信頼性を確保します。

2. ビル・オフィス

建築物や施設内の自動制御システムにおいて、制御盤用クーラーが広く使用されます。これらのシステムには、エレベーター、冷暖房装置、照明制御、セキュリティシステムなどが含まれます。制御盤用クーラーによって、制御盤内の温度を適切に管理することで、システムの効率性や信頼性の向上が可能です。

3. 電力配電

電力供給や配電システムにおいても、制御盤用クーラーが必要な場合も多いです。発・変電所、送電設備などの電力制御や保護機器の制御盤内で使用されます。これらの制御盤は高電力負荷や電力変換に伴う熱を発生させます。

制御盤用クーラーは、制御盤内の温度を管理し、機器の過熱や機能低下を防止することが可能です。これにより、電力供給や配電の安定性と信頼性が確保されます。

4. 通信・ネットワーク機器

通信基地局やデータセンターなどの通信・ネットワーク機器では、制御盤用クーラーが重要です。これらの機器は高度な処理能力を要求されるため、発熱が発生しやすく、適切な冷却が必要です。

制御盤用クーラーは、通信機器やネットワーク機器の制御盤内の温度を適切に管理し、機器の動作安定性と信頼性を確保します。特にデータセンターでは、大量のサーバーやネットワーク機器を冷却するために効果的に使用されます。

制御盤用クーラーの原理

制御盤用クーラーは、熱を除去するための冷却原理を使用します。冷却原理には、強制対流冷却や熱交換器を使用した冷却を実施する場合が多いです。ファンを使用して強制的に空気を循環させることで冷却効果を得ます。

ファンは制御盤内の熱を外部に排出するために使用されます。制御盤内の熱気がファンによって吸い込まれ、外部へ排出されることで、制御盤内の温度を下げることが可能です。制御盤用クーラーには熱交換器が組み込まれている場合があります。

熱交換器は、制御盤内の熱を外部の冷却媒体に移動することで熱を除去する仕組みです。制御盤内の熱気が熱交換器によって冷却媒体に熱を移し、冷却媒体は外部へと放熱して制御盤内の温度がさせます。

制御盤用クーラーの選び方

制御盤用クーラーを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。

1. 冷却能力

制御盤用クーラーの冷却能力は、制御盤内の熱負荷や環境条件に応じて選択する必要があります。制御盤内の熱負荷を正確に評価し、適切な冷却能力を持つクーラーを選ぶことが重要です。

制御盤内に設置されたCPUなどの発熱量を合算し、制御盤内温度が許容温度以下となる冷却能力を選定します。電子部品の許容温度は40℃程度の場合が多いため、40℃以下となるように設計します。また、風量の多いファンを選定しておき、盤内サーモスイッチによって入切して使用する場合もあります。

2. 雰囲気

制御盤周辺の雰囲気を考慮して機器を選定します。外気がきれいな場所に設置する場合は制御盤用ファンを用います。海岸沿いなどでは塩害による腐食が懸念されるため、内気を循環させる制御盤用クーラーが用いられます。

3. 冷媒

内気循環の盤用クーラーを選定した場合、冷媒種類に注意が必要です。以前はフロンガス多く使用されましたが、現在は代替として二酸化炭素などを用いるノンフロンクーラーが多く販売されています。

制御盤用クーラーは業務用に分類されるため、フロンを使用すると第一種特定製品として扱われます。第一種特定製品は簡易点検義務などがあり、厳重な管理が必要です。ノンフロンクーラーを使用することで、環境へ配慮し、管理体制を緩和することが可能です。

4. 電源

電源の種類を選定する必要があります。単相電源や三相交流電源などさまざまです。冷却能力を満足したうえで、供給可能な電源を選定します。

参考文献
https://www.apiste.co.jp/enc/guide/

電圧継電器

電圧継電器とは

電圧継電器とは、電気回路において電圧の変化を検出し、それを別の回路や機器に伝達するための装置です。

主な目的は電力システムや制御システムにおいて電圧の変動や異常を検知し、それに応じた制御や保護を行うことです。電圧継電器は通常、電気的に絶縁された回路を介して電圧を伝達します。

これにより、異なる回路間の絶縁性を確保し、電気的な安全性を高めます。特に高電圧環境などにおいて、絶縁性は非常に重要です。また、電圧継電器は高い測定精度を持ち、信頼性の高い動作を提供します。

電圧センサーや回路の設計によって、正確な電圧値を検出して動作することができます。これにより、正確な制御や保護が可能となります。

電圧継電器の使用用途

電圧継電器は、さまざまな使用用途に利用されます。主な用途は送配電や発電・変電における使用です。

1. 電力システム

電圧継電器は電力システムにおいて異常な電圧を検出した際に保護処理を行うために使用されます。過電圧や低電圧を検出することにより、電気の遮断や電力品質の監視などを行う場合が多いです。

2. 変圧器

変圧器において、適切な電圧レベルを維持するためにも使用されることが多いです。一部の変圧器は電源電圧や需要電力変動に対応するために、タップ切替器を有する場合があります。電圧継電器で電圧の変動を感知できるため、自動的に出力電圧を調整することが可能です。

3. 発電機

発電機の適切な動作と安全性を確保するために、電圧継電器が使用されることもあります。発電機の電圧変動や異常を検出し、電圧調整や回路遮断を実施することが可能です。発電機における過電圧や低電圧、逆電力の検出と遮断、同期装置の制御などが発電機における主な用途です。

電圧継電器の原理

 電圧継電器は、測定したい電圧を入力として受け取ります。入力として受け取った電圧は、計器用変圧器などを介して測定されることが多いです。

入力された電気信号は変換回路などに送られます。変換回路によって信号を増幅または変調させ、適切なレベルに変換します。これにより、信号の強度や範囲を調整することが可能です。

変換回路を経由した信号は出力回路で適切な形式に変換されます。これはアナログ信号またはデジタル信号である場合があります。アナログ信号の場合は電圧レベルとして表され、デジタル信号の場合は出力は制御信号や接点信号で発信されることが多いです。

また、電圧継電器は入力回路と出力回路の間に絶縁しているケースがあります。これにより、電気的な絶縁が実現され、安全性や回路の独立性が確保されます。絶縁材料や絶縁トランスを使用することで、回路を絶縁します。

電圧継電器の種類

電圧継電器はさまざまな種類が存在します。以下は電圧継電器の種類一例です。

1. 過電圧継電器

過電圧継電器 (英: over volt relay) は、電力システムにおいて電圧が指定された範囲を超えた場合に動作する継電器です。一定の電圧レベルを超えたときに制御信号を発生させ、通常は回路の遮断や制御装置への信号送信を行います。これにより、電力システムにおける過電圧による機器の損傷や過負荷を防止することが可能です。

2. 不足電圧継電器

不足電圧継電器 (英: Under Voltage Relay) は、電力システムにおいて電圧が指定された範囲よりも低下した場合に動作する継電器です。一定の電圧レベルを下回ったときに制御信号を発生させ、通常は回路の遮断や制御装置への信号送信を行います。これにより、電力システムにおける電圧不足による問題や機器の運転不良を防止することが可能です。

バックアップ電源の起動などに使用する場合が多いです。バックアップ電源の多くは非常用発電機を指し、非常灯も含まれます。また、インバータの不足電圧や欠相は故障に繋がるため、インバータの保護用途としても用いられます。

3. 地絡過電圧継電器

地絡過電圧継電器 (英: Over Voltage Ground Replay) は、電力システムにおいて地絡が発生した場合に動作する継電器です。地絡が発生すると正常相の対地間電圧が1.7倍程度となるため、地絡を検知することが可能です。地絡による過電圧による機器の損傷や電気事故を防止するために使用されます。

ただし、地絡過電圧のみで地絡保護を行うと、他場所の地絡によって回路が遮断される危険性があります。したがって、地絡方向継電器や地絡過電流継電器が使用されることが多いです。

参考文献
https://jinden-tool.com/

絶縁シート

絶縁シートとは

絶縁シートとは、電気や熱の絶縁を目的として使用されるシートです。

一般的には、電子機器や電気配線などで使用されることが多いです。絶縁シートは、導電性の材料や部品同士が接触することを防ぎ、電気的なショートや漏電を防止します。

また、熱伝導を低減させ、熱源と他の部分の熱の移動を防ぐ場合もあります。絶縁シートは電気や熱を制御する上で重要な役割を果たす材料であり、安全性や信頼性を向上させることが可能です。

絶縁シートの使用用途

絶縁シートは、さまざまな用途で使用されます。特に広く使用されるのは電子機器および電気回路の絶縁用途です。電子機器や電気回路内での導電性部品の絶縁に使用されます。

基板上の電気回路の絶縁や集積回路などの電子部品の間の絶縁に利用されることが多いです。また、電気自動車や携帯電話などの電池パック内部で絶縁シートが使用されます。

これにより、電池のプラスとマイナスの端子間などが絶縁され、ショートや漏電を防止することが可能です。そのほか、太陽光パネルにも使用されることが多いです。外部の劣化要因からパネルを保護するために使用されます。

絶縁シートの原理

絶縁シートは、主に電気絶縁と熱絶縁の2種類の原理を有します。

1. 電気絶縁シート

電気絶縁シートの場合は、電気的な絶縁性を提供するために使用されます。導電性材料同士が接触することを防ぎ、電流の流れや漏電を防止することが可能です。

絶縁シートの材料は、電気を通さない特性を持っており、電子機器や電気回路の異なる部品間で絶縁が確保されます。

2. 熱絶縁シート

熱絶縁シートの場合は、熱の伝導を低減するために使用されます。熱エネルギーは高温から低温へと伝導しようとする性質を持っていますが、熱絶縁シートの材料は熱を通しにくい性質が求められます。熱絶縁シートは熱の移動を防ぐバリアを形成し、熱が逃げるのを防ぐことが可能です。

絶縁シートの種類

絶縁シートにはいくつかの種類が存在します。以下は絶縁シートの種類一例です。

1. ポリマー系絶縁シート

ポリマー材料を基にした絶縁材料です。ポリマーは長い鎖状分子から構成される高分子化合物であり、その特性によって電気絶縁性や耐久性が備わっています。ポリエステルやポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリマーが使用されます。

ポリエステル絶縁シート
ポリエステル絶縁シートは、ポリエチレンテレフタラート (PET) 樹脂を基材としたシートです。高い耐熱性と耐久性を持ちながらも柔軟性があります。一般的に、電子機器の基板上での絶縁や電気回路の保護に使用されます。

ポリイミド絶縁シート
ポリイミド絶縁シートは、ポリイミド樹脂を基材としたシートです。ポリイミドは非常に高い耐熱性を持ち、広い温度範囲で安定した性能を発揮します。そのため、高温環境での電気絶縁や耐熱性が要求される場面に使用されます。

ポリテトラフルオロエチレン絶縁シート
ポリテトラフルオロエチレン絶縁シートは、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 樹脂を基材としたシートです。PTFEは、非常に低い摩擦係数と優れた耐化学性を持ちます。絶縁性に優れており、耐薬品性や耐熱性も高いため、化学工業や高温環境での電気絶縁に使用されます。

2. ガラス繊維系絶縁シート

ガラス繊維絶縁シートは、ガラス繊維を基材として使用した絶縁材料です。主成分はシリカ (二酸化ケイ素) であり、他の酸化物や添加物も含まれます。ガラス繊維は高い強度と耐熱性を持ち、非常に軽量です。

高い耐熱性から、高温環境での使用に適しています。高温電子機器や電気絶縁の要求される場所で使用されます。

3. セラミックス絶縁シート

セラミックス絶縁シートは、セラミックス材料を基材とした絶縁材料です。セラミックスは優れた絶縁性と耐熱性を持ち、高温環境での使用に適しています。電力変換装置や高電圧大型装置などの高い電気絶縁要求がある場所で使用されます。

4. シリコンゴム絶縁シート

シリコンゴム絶縁シートは、シリコンゴム材料を基材とした絶縁材料です。シリコンゴムは広い温度範囲で柔軟性を保ち、耐熱性や耐候性に優れています。耐熱性や耐候性が求められる電気絶縁材料などに使用されます。

参考文献
https://www.jpmarkets.net/sell/show-9111922.html
https://www.tomoegawa.co.jp/product/icas/kr.html
https://kenkou888.com/category18/wrap.html

循環ポンプ

循環ポンプとは循環ポンプ

循環ポンプとは、液体を循環させるために使用されるポンプです。

小規模の循環ポンプの一例として、家庭の熱帯魚水槽が挙げられます。大規模な循環ポンプの一例は、水道局が管理する浄水槽です。様々な場所で活躍しているため、循環ポンプは都市生活に欠かせない動力機械であると言えます。

水槽や貯水タンクの貯蔵液を、第二水槽やろ過装置に送出して再還流するのも循環ポンプの役目です。

循環ポンプの使用用途

循環ポンプは家庭用から産業用までさまざまな場面で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • クーリングタワーの冷却水循環用
  • スクラバーにおける薬液循環用
  • 強制循環型水管ボイラーの純水循環用
  • プールの貯水ろ過装置
  • 鉱水泉の湧出する深井戸から浴槽までの送水
  • 養殖水槽
  • 浄水ろ過システムの循環動力
  • 透析濾過装置や人工心臓

循環ポンプの原理

循環ポンプには主にモーターポンプが使用されます。そのため、多くの循環ポンプの動力は電力です。また、ポンプ部分は遠心ポンプが多く使用されます。

遠心ポンプの構成部品は、羽根車やケーシング、回転軸などです。回転軸はモーターと連結されており、モーターの動力により回転します。回転軸に取り付けられた羽根車が回転して圧力を生み出し、液体を送り出します。ケーシングは回転軸や羽根車を堅牢に支えつつ保護します。遠心ポンプ以外にも、ピストンポンプやダイヤフラムポンプなどを使用する場合もあります。

循環ポンプの種類

循環ポンプには多くの種類があります。以下は循環ポンプに使用されるポンプの一例です。

1. ピストンポンプ

ピストンを上下させることで2つの弁を駆動させて液体を汲み上げるポンプです。原理としては、井戸用手押しポンプと同様です。高い圧力が必要な場合に適しています。

2. ダイヤフラムポンプ

ダイヤフラムを上下させることで、圧力を生み出して液体を汲み上げるポンプです。液漏れトラブルなどが発生しにくいのが特徴です。動力に圧縮空気を使用するダイヤフラムポンプも販売されています。

3. 渦巻ポンプ

遠心ポンプの一種で、羽根車を回転させて液体を汲み上げます。構造が簡単で、圧力が高くない代わりに大量の液体を循環できるのが特徴です。

循環ポンプのその他情報

1. 温水暖房用循環ポンプ選びのポイント

温水暖房用循環ポンプとは、熱源機で作られた温水を放熱端末へ送り込むポンプです。必要圧力に応じて回転数が可変する仕組みで、海外市場では省エネの観点から注目されています。そのため、さまざまな温水暖房用循環ポンプが販売されています。

温水暖房用循環ポンプの選ぶ際は、揚程と流量という2つのポイントを押さえる必要があります。揚程はポンプが水を汲み上げる高さです。配管抵抗による圧力損失を考慮してポンプを選定します。

流量は循環ポンプが1時間あたりに送り出す水量です。流量が足りない場合は、熱量が不足して部屋が温まらなくなります。放熱端末に必要な流量を満たした送水ができる流量を選ぶ必要があります。

2. 温水循環ポンプと熱交換器の関係性

熱交換器とは、熱エネルギーを温度の高い方から低い方へと移動させる機械です。主に、空調機や給湯器に使用します。温水プールや温泉では大型の熱交換器が使用されます。

多くの場合、熱交換器には循環ポンプが必要です。設置する熱交換器の大きさに合わせて、必要流量と必要圧力を満たす循環ポンプを選定します。圧力や流量が足りない場合は、大きな循環ポンプを選定します。ただし、小さいポンプの方が必要電力が少ないため、必要十分なポンプを選定することが肝要です。

3. 高層ビルにおける循環ポンプ

建造物では高層ビルには加圧式の循環ポンプは欠かせません。水道管より引き込んだ導管から貯水タンクに貯水した水を循環ポンプを駆動して地表管に送り出します。また、10階以上の建築物では一度に上階まで送水することが困難なため、中階にて加圧ポンプを使用して圧力を復帰させる場合があります。

参考文献
https://04510.jp/times/articles/-/216?page=1
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/third_period.html

メタルカッター

メタルカッターとは

メタルカッター

メタルカッターとは、金属素材を裁断するためのハサミやカッター類を指す総称です。

主に、手動の手鋏み式とコンプレッサなどを用いた動力式のエアーメタルカッターの2種類が存在します。それぞれのメタルカッターは、用途に応じた切断性能を発揮します。

例えば、補助固定具がセットされたものは安定した切断が可能であり、二枚刀式の2枚刃メタルカッターは美しい切断面を実現可能です。また、穴空けニブラカッターは穴あけ作業に特化しています。

価格帯も手鋏み式は1,000円台からと手頃で、種類も豊富です。メタルカッターは、金属素材だけでなく、厚手ウールや表畳の切断にも対応しており、幅広い用途で活躍します。

メタルカッターの使用用途

メタルカッターは多様な使用用途を持ち、工業や日常生活で大変便利な道具です。主な使用目的として、鉄鋼板やアルミニウム板の裁断が挙げられます。特に、電動式エアメタルカッターは厚手金属板の裁断も可能で、ガルバリウム波板のカット面も美しい断面が得られるため、建材加工において欠かせない工具です。

また、金属や軽金属板だけでなく、塩ビ板やカーペットなどの裁断にも使用できます。リフォームや趣味の工芸作品制作にも活躍しています。比較的柔らかい金属素材、例えばアルミニウムや銅板などを用いた立体製作の際にも使用されることが多いです。

鉄鋼板やアルミニウム板の裁断はもちろん、塩ビ板やカーペットの加工、立体製作における金属素材の取り扱いなど、幅広い分野でメタルカッターは重宝されています。

メタルカッターの原理

メタルカッターは、力学的な原理を利用して金属素材を効率的に裁断できるように設計されています。手動式メタルカッターでは、鋏の柄が長く、テコの原理を活用して薄手鉄板を容易に裁断が可能です。また、固定刃付きのカッターでは、片方の柄だけに体重をかけ押し切ることで、厚手の銅板も切断できます。

しかし、厚みや曲線のある金属板を切断する際には、2枚刃先のメタルカッターが推奨されます。反りを防ぐ効果があるからです。電動式メタルカッターでは、裁断線を2本作り出し、両端を美しくカットすることが可能です。2枚刃先のメタルカッターの特徴として、カッティングと同時に螺旋状のテープダストが出る点が挙げられます。

また、ニブラカッターと呼ばれる電動式メタルカッターは、尖端ロッドを交換することで金属板に穴を空けたり、連続裁断で自由な曲線を再現したりすることが可能です。刃先は、鋼や超硬質合金で作られており、刃こぼれ以外であれば手入れが容易なのもメタルカッターの魅力と言えます。

メタルカッターは、力学的原理を利用した設計や、さまざまな機能を備えた刃先によって、金属素材を効率的に切断する道具です。

メタルカッターのその他情報

メタルカッターと併用される機械

メタルカッターは金属加工に必要不可欠な道具ですが、他の機械と併用することでさらに効率的な作業が可能になります。併用される機械として、主に金属ベンダー、ドリルプレス、金属研磨機が挙げられます。

1. 金属ベンダー
金属ベンダーは、金属板を曲げるための機械です。メタルカッターで裁断した金属板を、所定の角度に曲げることが可能です。建築や金属加工業界でよく使用される道具で、手動式や電動式などさまざまタイプがあります。

2. ドリルプレス
ドリルプレスは、金属板に正確な穴を開けるための機械です。メタルカッターで切断された金属板に、所定の位置に穴を開ける作業を行います。ドリルビットを使用して、安定した状態で正確な穴を開けられるため、金属加工には欠かせない機械です。

3. 金属研磨機
金属研磨機は、メタルカッターで切断された金属の端面を整えるための機械です。切断面がざらついている場合や、バリが残っている場合に使用されます。研磨ディスクやベルトサンダーなど、さまざまなタイプの金属研磨機があります。