パワーユニット

パワーユニットとは

パワーユニット

パワーユニット (英: power unit) とは、自動車などのエンジンやモーターなどの動力を発生させる装置のことです。

様々な産業機器など、大型機器の動力源として利用されます。内燃機関に加え、複数のモーターや発電機から成るため、一体の動力源としてパワーユニットと呼ばれています。

内燃機関としては、ディーゼルエンジンを用いる場合が多いです。ここで発生した動力を油圧ポンプなどによって伝達し、機械を動作させます。

パワーユニットの使用用途

パワーユニットは、様々な大型機械を動作させるために使用されます。例えば、排水用ポンプ、オイルポンプ、農業機械、建設機械、通信機器などです。この場合、油圧式パワーユニットがよく使用されています。

また、モータースポーツの一つであるF1では、F1カーの動力源としてパワーユニットが使用されます。従来のエンジンだけでなく、ハイブリッド式のターボエンジンへと改良したため、二酸化炭素排気量の減少が実現されています。

パワーユニットの原理

パワーユニットを使用すれば、ディーゼルエンジンなどのエンジンから発生した動力を複数のモーターなどを通じて、様々な産業機械の動作が可能です。産業用において以前から利用されてきた一方、近年ではF1におけるパワーユニットの開発が進んでいます。

F1のパワーユニットでは、内燃エンジン、ターボチャージャーやバッテリー、エネルギー回収システムなどのハイブリッド装置から成ります。これらの装置がコンピュータ制御されることで、燃費の向上やエンジン性能の向上、排気ガスの清浄化が実現可能です。このように、自動車産業においては、パワーユニットの高度化が進んでいます。

一方、自動車においてエンジンや変速機、クラッチを含めた装置の呼び方は、パワープラントです。なお、発電所という意味でもパワープラントが用いられます。

パワーユニットのその他情報

1. F1パワーユニットの歴史

F1がはじまったのち50年以上、F1マシンは燃料を用いて走っていました。一般車でいうと、ガソリン車にあたります。F1は、モータースポーツであるとともに、次世代技術の開発という面も持ち合わせています。

石油や化石燃料の枯渇、環境問題への取組みを鑑み、2014年にハイブリッド式パワーユニットの導入を行いました。このパワーユニットは小排気量でハイパワーを生み出す技術が詰まっています。

2. F1パワーユニットの構造 

F1のパワーユニットは、以下の部品構成になっています。

ICE
ICEは、内燃機関であり、エンジンに相当する部品です。従来は想像を絶するようなハイパワーエンジンが使用されていましたが、現在は、排気量1.6l、6気筒のエンジンに定められています

TC
TCは、ターボチャージャーと呼ばれ、エンジンより排出される排気ガスを利用し、エンジンへ送られる空気を圧縮して送りこむ機能を持っています。圧縮された大量の空気を送ることで、エンジンのパワーを飛躍的に高めます。

また、ターボチャージャーと連動しているMGU-Hは、熱エネルギー回生システムです。ターボチャージャーの回転を補助します。これにより、熱回収とともに、ターボチャージャー最大の泣き所であるターボラグの緩和が可能です。

MGU-K
MGU-Kは、運動エネルギー回生システムであり、一般的なハイブリッド車でおける発電機に該当し、役割は、減速時に発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換することです。

電気エネルギーはバッテリーに送られ備蓄されます。また、MGU-Kは、モーター駆動の機能も備わっており、バッテリー内の電気エネルギーを使い、モーターとして駆動力を発揮します。

MGU-H
MGU-Hは、熱エネルギー回生システムであり、排気ガスによる熱エネルギーを電気エネルギーに変換するものです。MGU-Hは、ターボチャージャーに連結されており、ターボチャージャーが使い切れない排気ガスの熱エネルギーを利用します。

変換された電気エネルギーはバッテリーに備蓄され、ターボチャージャーを補助する際は、バッテリーの電気エネルギーを利用します。

その他

  • ES
    変換された電気エネルギーを備蓄するバッテリーです。
  • CE
    パワーユニットの制御を行う電子デバイスです。

参考文献
https://formula1-data.com/glossary/car/body/power-unit
https://www.goo-net.com/knowledge/10568/
https://formula1-data.com/glossary/car/body/power-unit

非接触回転計

非接触回転計とは

非接触回転計とは、非接触で物体の回転速度を測定する装置です。

回転計には、機械の回転軸に物理的に接触する製品もありますが、非接触回転計は直接接触することなく回転速度を測定することが可能です。直接接触せず回転速度を測定するため、測定対象に損傷を与えず非破壊的に測定することができます。

また、光学的な方法や磁気センサーを使用して回転速度を測定するため、高速な回転にも対応することが可能です。物体が高速回転する場合でも、正確な測定結果を得ることができます。

物理的な接触がないため、摩耗や磨耗の問題が少なく、長寿命です。接触式の場合は回転軸やセンサーが摩擦や衝撃によって劣化する可能性がありますが、非接触回転計ではその問題がありません。

非接触回転計の使用用途

非接触回転計は、さまざまな産業や分野で使用されています。一般的には、モーターやその負荷装置の回転検出に使用されることが多いです。

1. 自動車産業

自動車産業では、自動車の回転部品監視や制御に使用されます。エンジンの回転数や回転速度、モーターやポンプの回転数などを測定し、性能のモニタリングや制御に寄与します。

2. エネルギー産業

エネルギー産業においては、風力タービンや水力タービンなどの回転機械モニタリングに適用可能です。回転速度や回転方向の測定により、効率の最適化やトラブルの早期検出などが可能です。

3. スポーツ

スポーツのパフォーマンス分析やトレーニングに使用される場合もあります。スポーツカーや自転車のホイール回転速度を測定することで、動きを最適化するためのデータを得ることができます。

非接触回転計の原理

非接触回転計の原理は、使用される具体的な技術によって異なります。以下は一般的な非接触回転計原理の一例です。

1. 光学的原理

光学的な非接触回転計では、レーザー光や光源からの光を使用して回転速度を測定します。光源からの光を測定対象の表面に照射し、反射光を検出します。回転する対象物の速度に応じて反射光の位相や周波数が変化するため、これを検出して回転速度を計測可能です。

2. 磁気原理

磁気センサーを使用する非接触回転計では、測定対象に取り付けられた磁石の位置や動きを検出します。磁石は回転する対象物に固定され、磁気センサーはその近くに配置することが多いです。回転すると、磁石の磁場が磁気センサーに影響を与えて回転速度を検出します。

3. 音響原理

音響的な非接触回転計では、音波を使用して回転速度を測定する回転計です。音源から発せられる音波を測定対象の表面に向けて放射し、その反射音を検出します。回転する対象物の速度によって反射音の周波数や位相が変化するため、これを検出して回転速度を計測します。

4.電磁波原理

回転する対象物に電磁波を照射し、その反射波や散乱波を検出する非接触回転計です。回転速度によって反射波や散乱波の位相や周波数が変化するため、これを検出して回転速度を計測します。マイクロ波やレーダー技術が使用されることもあります。

非接触回転計の選び方

非接触回転計を選ぶ際には、応用範囲や測定要件、測定環境などを考慮することが重要です。これらを検討しつつ、性能とコストをバランスさせることが重要です。

1. 応用範囲

まず、回転計を使用する目的や応用範囲を明確にします。機械の監視や制御に使用する場合は、定置型を選定します。また、突発点検や定期点検など、人が操作する場合は可搬式を選定することが多いです。

2. 測定要件

測定要件も確認します。測定したい回転速度の範囲や精度、測定対象のサイズや形状に基づいて選定することが重要です。高速回転に対応する必要がある場合は測定レンジが高速側に広い製品を選定し、スペースが小さい場合は小型の製品を選定します。

3. 使用環境

測定を行う環境も重要な要素です。高温や腐食性など、非接触回転計が使用される環境に適応できる耐久性を有するかを検討します。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_revo.htm
https://www.webshiro.com/syouhinsetumei/MD34T-477S.html
https://www.webshiro.com/p04-25sokukaiten.htm

露点計

露点計とは

露点計とは、大気中の湿度を測定するための装置です。

特に、水蒸気が凝結して水滴や霜が形成される温度を示すのに使用されます。露点計の主な目的は、湿度と温度のデータを組み合わせて、空気中の水蒸気の過飽和度や凝結のリスクを評価することです。

露点計は多くの場合、冷却ミラー法や冷却鏡法を使用して、水蒸気の凝結点を正確に測定します。湿度の変化や凝結の可能性に対する警告や制御が可能となるため、さまざまな産業やアプリケーションで使用されています。

露点計の使用用途

1. 湿度管理

露点計は、湿度を正確に測定し、特定の湿度レベルに達した際に結露が発生するかどうかを監視するのに使用されます。建築物や工業プロセスにおいて、湿度を管理する際に役立ちます。例えば、建物の内部で結露が起きると、カビや腐食などの問題が発生する可能性があるため、湿度制御が重要です。

2. 気象観測

気象庁や気象予報士が天候予測を行う際に、大気中の湿度と温度を監視し、結露や凝結の可能性を評価します。これにより、降水の予測や霧、霜、凍結の予知が可能となります。

3. 冷蔵庫や冷凍庫の管理

露点計は冷蔵庫や冷凍庫内の湿度を監視し、食品や医薬品などの保存条件を維持するのに使用されます。湿度が適切でない場合、食品の劣化や医薬品の品質の低下が起こる可能性があります。

4. 工業プロセス

工業プロセスにおいては、露点計は製品の製造や品質管理に使用されます。特に、特定の湿度条件が必要な製造プロセス (例: 塗装、乾燥、プラスチック成形など) において、湿度制御が重要です。

5. 環境モニタリング

環境保護や品質管理の観点から、露点計は大気中の湿度を監視するために使用されます。湿度の変化は、空気中の水分の量や汚染物質の拡散に影響を与える可能性があるため、環境モニタリングにおいて不可欠な装置です。

露点計の原理

露点計は、空気中の水分を測定する機器です。その測定方法は「静電容量式」と「鏡面冷却式」の2つに大きく分けられます。

静電容量式は簡単に測定できるため、ポータブル型などで活躍します。一方、鏡面冷却式は精度が高く、精度が求められる場合に使用されるケースがほとんどです。

1. 静電容量式

静電容量式は、電気の作用を利用して水分を検出する仕組みです。静電容量式は非常に細いセンサーが中に入っており、特殊な金属が蒸着されています。

このセンサー部に水分が付着すると水分の量により抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を水分量としてセンサーから出力されます。

2. 鏡面冷却式

鏡面冷却式は、機器内部の鏡面に露点を測定したいガスを吹き付けます。その後、冷却をすれば鏡面に結露が発生し、鏡面を加熱すれば結露が無くなります。

これらの作業を繰り返して一番バランスの良いところを露点として出力するため、精度の高い測定が可能ですが若干時間がかかることが欠点です。

露点計の選び方

1. 使用用途

露点計を選ぶ際は、まず最初にその具体的な用途を明確にすることが重要です。例えば、建築、工業プロセス管理、気象観測、または環境モニタリングなど、使用する分野や目的によって必要な仕様が異なります。

2. 測定範囲と精度

露点計の測定範囲と精度は非常に重要です。測定する温度と湿度の範囲がカバーされ、かつ精度が高いものを選ぶ必要があります。

用途に応じて、適切な測定範囲と精度は異なります。高精度かつ広範囲であれば価格が高くなるため、予算との兼ね合いも重要な選定基準です。

3. データロギングと通信

測定データの保存、分析、および共有が必要な場合、露点計がデータロギング機能や通信機能をサポートしているか確認します。データの管理やリアルタイムのモニタリングが重要な場合に、最も適した機能を備えた露点計を選ぶ必要があります。

4. 耐久性と保守

露点計は長期間にわたって正確な測定を提供する必要があります。したがって、耐久性のある製品を選びます。

また、保守作業や校正が容易かどうかも重要な要素です。長期的な使用を考えて、保守性が高い露点計を選ぶことをおすすめします。

参考文献
http://www.nykk.co.jp/products/dew_point_recorder/and_dew_point_recorder.html
https://www.tekhne.co.jp/dewpoint/
https://www.tekhne.co.jp/products/dewpoint/

パワーマネジメント

パワーマネジメントとは

パワーマネジメント

パワーマネジメントとは、電源管理、省電力性能を目的としたシステムの消費電力を抑えるための機能を備えた装置です。

例えば、自動車などのパワーデバイスでは性能の高度化に伴い、消費電力が増大傾向にあります。低電力での動作や不使用下における動作停止等を組み合わせ、省電力化を実現します。

パワーマネジメントの使用用途

パワーマネジメントは様々なデバイスにおける省電力化を実現するために、コンピュータによりシステムの動作を制御するものです。例えば、システムが一定時間動作されない場合には、CPUが動作を低減したり、停止させたりします。PCのスリープ機能もこのプロセスの一つと言えます。

あるいは回路における消費電力を抑えるためのパワーMOSFETなどを活用した、自動車の制御システムが開発されています。これにより低消費電力が実現され、パワーマネジメントが進みつつあります。

パワーマネジメントの原理

パワーマネジメントは、自動車などのパワーデバイスのように、省エネルギー (省電力化) が求められる場面で重要な役割を担います。

特に、自動車の制御回路 (英: Electronic Control Unit, ECU) の高度化に伴い、バッテリへの負荷が高まっています。その分、制御回路における消費電力も増加しています。ECUにはLCIと呼ばれる半導体回路が搭載されています。LCIはLarge Scale Integrationの略で、大規模集積回路を意味します。

パワーデバイスの省電力化を図るためには、LSIにおける消費電力を抑制することが重要になります。パワーマネジメントLSIを用いることで、LSIにおける消費電力を制御します。LSIにおける消費電力を抑えるために出力トランジスタとしてパワーMOSFETが用いられます。特に低電圧領域において電力の変換効率が高いという特徴があり、その性質を利用しています。

自動車も含め、様々な産業機器に搭載されるLSIの数は増えていくことが予想され、パワーマネジメントLSIのさらなる高度化が必要とされます。

参考文献
https://fscdn.rohm.com/jp/products/databook/datasheet/ic/power/switching_regulator_system/bd8165muv-j.pdf

電磁波吸収シート

電磁波吸収シートとは

電磁波吸収シートとは、電磁波を発生する、あるいは電磁波により誤作動する恐れのある電子機器に用いられる部材です。

電子機器のEMC (電極両立性) 対策には、電磁波ノイズ発生側の対策であるEMI (Electro Magnetic Interference) と、受ける側の対策であるEMS (Electro Magnetic Susceptibility) があります。国際IEC (International Electrotechnical Commission) 規格や電気用品安全法により、その方法が定められています。

電磁波吸収シートは、その対策に用いる代表的な部材です。近年、CPUの高速化に伴って、電磁波の周波数帯が高周波に移行してきており、ノイズ対策が困難になっています。電磁波吸収シートをノイズ発生源付近に貼り付けることで、近傍のノイズを吸収、抑制が可能です。

磁性材料とゴムの複合させた物や薄いプラスチックを積層させたものが電磁波吸収シートとして流通しており、切り貼りが容易、安価で軽量などの利点を有しています。

電磁波吸収シートの使用用途

電磁波吸収シートの使用用途は一般にはあまり知られていませんが、非常に幅広い分野に用いられています。代表的な使用用途は以下の通りです。

1. 電子機器用途

スマートフォンや家電など、半導体基板が内部にある機器に電磁波吸収シートが使われています。筐体の内部や基板に電磁波吸収シートを貼り付けることで、機器の中での輻射ノイズの発生や共振、内部反射を低減させることができます。

2. 通信障害対策用途

航空機や船舶の無線には周波数30MHz以下の電磁波が使われていますが、このノイズの低減に電磁波吸収シートが活用されています。また、日常生活に欠かせない携帯電話やテレビの電話障害を防ぐためにも電磁波吸収シートが使用されています。

3. 自動車用途

近年、自動車には衝突防止レーダーをはじめ、数多くのセンサーが搭載されています。レーダーはミリ波になりますが、その電磁波干渉やノイズ対策として、電磁波吸収シートが用いられています。

電磁波吸収シートの原理

電磁波吸収シートは、シートの中に複合された磁性材料に電磁波を吸収させ、電気エネルギーを熱エネルギーを変換しています。磁性材料は電磁波の吸収帯によって種類が異なり、例えば衛星通信のノイズ防止には、そこで実用する周波数帯域を選択的に吸収できる物質が採用されています。

また、近年は磁性材を使用していないプラスチック製、不織布製の電磁波吸収シートも流通しています。前者は異なる誘電率を持つ樹脂シートを積層させることで分極を発生させ、電磁波を吸収するタイプです。後者は、特殊な表面処理を施した不織布を使うことで、ノイズを抵抗損失により熱に変換しています。

電磁波吸収シートの種類

電磁波吸収シートは、構成される素材によって様々な種類の製品が流通しています。代表的な種類は以下の通りです。

1. 電磁波吸収ゴムシート

磁性材とゴムを混合させたシートです。ゴム特有の柔軟性と絶縁性に優れており、加工も容易です。また耐蝕性が良く、湿度が高い環境など、過酷な使用状況に適しています。厚みは薄いものでは0.25mm、厚いものになると4mmの製品があります。

2. 電磁波吸収プラスチックシート

ポリエステル樹脂を成形したプラスチックシートを積層させた製品です。磁性材を含有していないためコストを低く抑えられ、かつ厚みが薄いため軽量である利点があります。透明な製品も流通しており、窓など光を透過させる必要のある被着体にも使用可能です。

3. 電磁波吸収不織布

プラスチックシートと同様に、磁性材を使用していない環境に良い製品です。厚さは最薄で50µmにすることが可能で、柔軟であるため半導体基板の凹凸にも追従することができます。

参考文献
https://www.techno-kitagawa.com/techinfo/tech/absorbers.html
http://www.rf-world.jp/bn/RFW07/samples/p107-108.pdf

電磁流速計

電磁流速計とは

電磁流速計 (英: electromagnetic flow meter) とは、電磁誘導の物理法則を使って流速を測定する測定器です。

従来の計測機に取り付けられたプロペラの回転を利用する方式と比べて、電磁流速計は故障するリスクが軽減されて取り扱いが容易になっただけでなく、微流速から高流速まで幅広い流速に対応できます。ただし、測定原理上、電磁流速計の測定対象は導電性の液体に限られます。

油などの絶縁性の液体や気体の測定はできません。電磁流速計は、センサ部分、尾翼部分、重錘部分などから構成されています。各部分を整流効果の高い形状にすることで流れが乱れないため、正しい流速の測定が可能です。

電磁流速計の使用用途

電磁流速計は、主に河川や湖沼、水路やダムなど水の流れが生じている場所で、水流の流速を正確に計測するために使用されます。

流速の計測により、水害の防止や河川調査、海流・潮流調査、橋梁建設、雨水、下水、汚水、養殖・海洋生物の研究など様々な分野で活用されます。電磁流速計は電磁海流計とも言われ、表層海流の流速を測定する海洋測器として用いられます。

電磁流速計の原理

電磁流速計は、ファラデーの電磁誘導の原理を利用して水流などの流速を計測します。ファラデーの電磁誘導の法則とは、「磁界を導電体が横切って運動する場合、その導電体に電圧が生じて電流が流れる」という法則です。

地球の磁場を流れる水流には、電磁誘導によって電流が生じています。同じように、電磁式流速計を河川や海洋などの水中に入れて磁界を発生させ、その磁界を導電体である水が流れることにより、流体に対して電磁誘導が生じることで起電力が発生します。その起電力と水流の流速は、比例の関係になるため、電位差から流速を測定することが可能です。

電磁流速計は、高圧線や河川の底の石・金属類などにより、ノイズが入ることが一般的です。しかし、電磁流速計が作り出す磁界の範囲を狭め、集中的で強力なものにすることで、ノイズの防止ができます。

電磁流速計のその他情報

1. 電磁流速計の長所

広い測定条件
水深3cm程度から測定が可能です。また、0.1m/s以下の微流速から、6m/s以上の高流速まで、流速の広い範囲の測定ができます。さらに、液体の温度・圧力・密度・粘度の影響がありません。

高精度・高信頼性
流速の測定精度は微流速から高流速まで、±0.3~2%程度です。電磁流速計は、プロペラ式流速計と比較して、センサー部に可動部がないので、故障が少ないです。

また、付着物がなく、メンテナンス性に優れています。測定器による圧力損失は無視可能で、固体・気泡などの混入物があっても測定できます。

データ処理が容易
測定データは本体メモリーに記録でき、後でパソコンに転送して、データ処理が可能です。

2. 電磁流速計の短所

導電性の液体に限定される
電磁流速計は、導電性液体の流速測定に限定されます。導電率が5μS/m以下の低導電率の液体は測定できませんが、センサー部が静電容量形の電磁流速計は液体中の起電力を測定するので、流速測定が可能です。

誤動作が起こりやすい
電極付着やライニング付着による誤動作が起こりやすいことが短所です。また、河川などで使用する場合、川底の石や金属異物などによる誤動作が発生することがあります。高圧線の近くでは、ノイズが入ってしまう可能性も高いです。

3. 電磁流速計による低流速の測定法

河川での低流速の測定法として、1点法、2点法、精密法などが行われています。

1点法
1点法は、流速計測線上の鉛直方向に、水面から水深の60%の位置で流速を測定する方法です。水深が75cm以下のところで多く使用されます。

2点法
2点法は、流速計測線上の鉛直方向に、水面から水深の20%と80%の位置で流速を測定する方法です。水深が75cmより深いところでの測定に使われます。

精密法
精密法は、流速計測線上の鉛直方向に、水面より20cm間隔で流速を測定し、その平均値を流速とする方法です。

参考文献
https://www.jfe-advantech.co.jp/products/ocean-ryusoku.html
http://www.dentan.co.jp/technology/denji_ryusoku.html
http://www.hicon.co.jp/product/fh950.html
https://www.kenek-co.com/ryusokutop.html
https://sooki.co.jp/rental/product/detail/37602/

電源制御ユニット

電源制御ユニットとは

電源制御ユニットとは、一般的にはあるシステムの電源部を制御するユニットでもあり、又、工場やビルなどにある多数の電源を集中してコントロールする装置のことでもあります。

いずれの場合も、システムの最初の入力部である電源を制御することには変わらないユニットになります。よって、システムに過電流や過電圧の異常があれば保護する動作が働くのは当然のこと、最近では電源制御ユニット部に各種通信などの汎用高機能を持たせて、別システムとの通信が可能になっているものも登場しています。

電源制御ユニットの使用用途

電源制御ユニットの使用用途として、その対象範囲は拡大しています。

従来の電源制御ユニットと言えば、例えば、UPS等の停電時も電力を供給することが出来る安定化電源であったり、各種製品やシステムの電源部を司る電源ユニットであったり、基本的には電源を供給することを主な役割とするユニットでした。

しかし、昨今のデジタル化と無線を使った汎用品の増加に伴い、電源制御ユニットも電源供給のみならず、Wi-FiやLANなどを使って、他のシステムとの通信が可能になった電源制御ユニットが主流になりつつあります。

電源制御ユニットの原理

制御ユニットの原理は、電源制御ユニットと呼ばれる装置の対象範囲によって、その内容は大きく異なりますが、電源を制御すると言う共通点において着目して、その原理を説明していきます。

電源を制御するとは、電源供給を制御することになります。つまり、電源は商用電源などの外部から電源を入力して、供給すべきシステムに電気を出力する役割が主であるため、そのシステムに必要な電源電圧や電流、電源周波数を設定して、制御することが出来ます。又、過電圧や過電流や雷サージなどの危険なノイズが入力された様な異常発生の際には、この電源制御ユニットにおいて、保護動作が動作して、システム全体を保護する機能も持っています。更に、昨今の世界全体における情報社会の進化に伴って、システム全体の電源状態を制御している電源制御ユニットの中に、外部通信機能を搭載して、別システムとの通信によるシステム連結なども可能にさせる等、高機能化が進んでいます。

パワーホイール

パワーホイールとは

パワーホイールは、レールに沿って多数のホイールが取り付けられており、そのホイール上を転がすことで輸送を可能とする装置です。ホイールコンベアとも呼ばれます。

工場における製品の輸送、雑誌・新聞の配送、物流などで使用されます。

使用できる搬送物は、底面がフラットで、負荷重量が均等でバランスが取れるものが適しています。

ホイール上で搬送物を自走させるためには、一定の勾配をつける必要があります。

必要な勾配は搬送物の材質や質量などによって異なるため、用途に応じて設計します。

パワーホイールの使用用途

パワーホイールは様々な物資をライン上に輸送する必要がある、産業、製造、物流といった分野で使用されます。

例えば、工場などの製造ラインにおいて、段ボール、プラスチックケース、木箱などを搬送したい場合に適しています。

これらは複数のホイールが棒に取り付けられたコンベアによって搬送されます(ソロバンコンベア)。

一方、もし搬送物の底面を傷つけたくない場合はホイールの間隔が広いコンベアも使用されます(コロコンキャリア)。

パワーホイールの原理

パワーホイールは、搬送物の寸法や質量、形状などに応じて、適した装置があります。

車輪が棒に複数のホイールが取り付けられています。

これらのホイールがラインに沿って並んでおり、そのホイール上を物資が転がり、輸送されます。

その形状からソロバンコンベアと呼ばれることもあります。(ホイールがソロバンの珠のように見えるためです)

こちらは底面がフラットで、負荷重量が均等でバランスが取れるものが適しています。

パワーホイールに似た装置としてパワーローラがあります。

パワーローラの場合、一本の太いローラーがラインに沿って並び、ローラーの上を輸送されます。

一般的にはパワーホイールの方がローラーに比べて騒音も少なく、なめらかに回転します。
その分、自走勾配が小さくて済む場合があります。

搬送物のサイズや形状に応じてどちらが適しているか異なります。

また搬送物同士の間隔、気温や湿度も影響するため、使用用途に応じてホイールやローラーを検討する必要があります。

参考文献
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/TOH_0032

電磁カウンタ

電磁カウンタとは

電磁カウンタとは、電気信号のパルス波などが電磁カウンタに内蔵している電磁石を動作させ、その動作によってカウントを行う装置です。

実際の回路に接続し、その電気信号の変動値を磁石によって機械的な力に変更してカウントするため、外部からの電力のみで動作します。電磁カウンタは、カウントした数値に応じて機器を動作させるスイッチの役割を持つプリセットカウンタと、カウントした数値のみを出力するトータルカウンタに分類できます。

電磁カウンタの使用用途

電磁カウンタは、様々な製品の生産工場で主に使用されます。電磁カウンタの選定の際には、カウントの精度、接続する回路の電流量や電圧の大きさ、メンテナンス性、接続性、耐振動性や防塵性などを考慮する必要があります。

1. 電気回路計測

電流計や電圧計として使用され、電気回路の電流や電圧を測定します。これにより、電力供給網の管理や電子機器の設計、トラブルシューティングが可能となります。

2. 電力計測

電力メーターとしても利用され、家庭や工業用の電力消費を計測し、電力供給の調整や料金の計算に役立ちます。

3. 地磁気測定

地磁気計として使用され、地球の磁場の変動を測定します。これは地磁気活動の研究や、地磁気方位を利用するコンパスの校正に重要です。

4. 金属探知

金属探知機として使用され、埋まっている金属物体 (例: 貨幣、武器、地下のパイプなど) を検出します。セキュリティ検査や貴重品の捜索に利用されます。

5. 非破壊検査

材料内部の欠陥や異常を検出するための非破壊検査に使用されます。例えば、溶接部の品質評価や材料の密度測定などに応用されます。

6. 医療機器

医療分野では、MRI (磁気共鳴画像法) やCTスキャン (コンピュータ断層撮影) などの画像診断装置にて、電磁カウンタの原理が使用されています。これらの装置は、体内の組織や臓器を詳細に可視化するのに役立ちます。

電磁カウンタの原理

電磁カウンタは、回路に接続するための配線、コイル、電磁石、電磁石の移動によって数値が変動するカウンタで構成されています。プリセットカウンタの場合は、カウントの数値を他の機器に伝達するための装置が付属されています。

電磁カウンタは通常、外部からの電流パルスを生成し、それをコイルに流すことで、コイル周りに磁場を生成します。の磁場が近くにある金属物体に影響を与え、金属物体内に電流を誘導させる仕組みです。この誘導電流は、金属物体によって発生したものであり、その大きさは物体の性質や位置に依存します。

電磁カウンタの選び方

1. 使用用途

まずは、どのような用途に電磁カウンタを使用するのかを明確にすることが大切です。電流測定、電圧測定、地磁気測定、金属探知など、用途に応じた適切な機種が存在します。

2. 測定範囲と精度

測定範囲と精度は、特定のアプリケーションに合わせて選ぶ必要があります。高精度の測定が必要な場合、精度の高いカウンタを選びます。また、広範囲の電流や電圧を測定する場合は、広い測定範囲を持つカウンタが適しています。

しかし、過度に高精度や広範囲のカウンタを選びすぎるとコストが高くなることがあるため、バランスを取ることが重要です。

3. インターフェースとデータ収集

データの取得や記録が必要な場合、インターフェース (アナログ出力、デジタル出力、RS-232C、USB、イーサネットなど) やデータロギング機能 (カウンタが測定したデータを一定の間隔で記録し、後で解析機能) などがあるかを確認する必要があります。

4. キャリブレーションと保守

電磁カウンタは、定期的なキャリブレーションと保守が必要です。選んだモデルのキャリブレーション手順や保守の容易さを確認します。特に保守に関しては、定期的な点検、清掃、および部品の交換が含まれ、カウンタの部品が劣化や摩耗することを防ぎます。

カウンタが特定の環境条件下で使用されている場合 (例: 高温、高湿度、腐食性環境など) は 、その条件に合わせた保守措置が必要です。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/glossary/component/counter/index.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/counter_tg_j_1_2.pdf

パワーIC

パワーICとは

パワーICとは、パワー半導体を内蔵する集積回路 (IC: Integrated Circuit) の総称です。

パワー半導体は一般的に、大電力回路に使用される半導体を指します。パワー系の半導体にはパワートランジスタパワーMOSFETIGBTなどがあります。半導体材料の中で、特に1Aを超える大電流を制御する半導体部品をパワー半導体と呼びます。

パワー半導体には、トランジスタやサイリスタなどの電子部品も含まれます。

パワーICの使用用途

パワーICは、産業用機器や民生品機器の制御用ICとして非常に広く使用されています。大電力を扱うパワーICは低消費電力化が強く要望されており、半導体材料やデバイス技術、回路技術を中心に技術革新が進んでいます。

以下がパワーICの使用用途の例です。

  • 太陽電池の駆動モジュール
  • LED照明の点灯回路
  • 電動自動車の制御用ユニット
  • インバータエアコンのインバータユニット

昨今の電気自動車 (EV) やハイブリッド自動車 (HEV) の普及に伴い、車載ユニットの需要向上が顕著であり、今後パワーIC市場は拡大すると予想されています。

パワーICの原理

IC内部の回路により電圧や電流を制御し、各種機器への電力制御をおこなうのがパワーICの主な役割ですが、その機能は非常に多く多岐にわたります。例えば交流 (AC) 電圧を直流(DC)電圧へ変換する働きや、モーターの駆動、蓄電池への充放電を実現します。

その実現のためのIC内部の回路は、整流作用や、コンデンサや抵抗、インダクタ特性を回路素子の組み合わせをもとに利用する場合が多いです。アクティブ素子である半導体デバイスを使用して電源を高速スイッチングしたり、コンデンサで増幅・平滑化したりすることでACやDCの電源を制御しています。この種の機能を有するICはパワーマネージメントICとも呼ばれます。

パワーICならではの特徴として、その扱う電力の大きさから、パッケージや放熱設計には特に注意が必要です。放熱の悪い実装状態だと、電子部品としての信頼性を損なうばかりか、特性劣化を招くために、IC動作に際して十分な電気的な特性を期待できないためです。

低消費電力化の向けたICの回路面の取り組みとしてはインバーター回路があります。「インバーター」とは商用のAC電圧や交流周波数を自由に可変させるための回路でのことであり、モーター駆動やエアコンなどの変化する負荷状態に合わせた制御を低消費電力化させるため、よく用いられる回路です。

パワーICのその他情報

1. パワーIC用半導体デバイス

パワーICが内蔵する半導体デバイスには次のような素子が挙げられます。

ダイオード

トランジスタ

最近では耐圧が高く高速スイッチングに優れたシリコンカーバイド (SiC) を使用したものもあります。その他、トランジスタや高耐圧ドライバーなどの各種ICを1パッケージに内蔵したインテリジェントパワーモジュール (IPM) も存在します。

2. パワーIC材料としてのSiCやGaN

SiC (シリコンカーバイド) は、シリコンと炭素から構成される化合物半導体です。

絶縁破壊電界強度がSiの約10倍、バンドギャップがSiの約3倍あり、次世代のパワー半導体材料として期待されています。これは同じ耐電圧であればSiよりも10倍ほど半導体層を薄くできることを意味します。薄型化によって抵抗が低減され、低消費電力で動作できるので、パワーIC材料としてSiCを使うことにより、低消費電力かつ高耐圧なICを作成できます。

その他パワー半導体材料としてGaN (ガリウムナイトライド) もPC向けの電源変換ケーブル向けなどに実用化されており、次世代向けにはGa2O3なども期待されています。

参考文献
https://www.shindengen.co.jp/products/semi/column/basic/semi/power_semi.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/about/
https://eetimes.jp/ee/articles/2007/28/news027.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/1219080.html