リングポンプとは
リングポンプとは、主に食品やインク、オイル、薬液などの液体を移送するためのチューブポンプの一種です。
チューブポンプは、ローラーポンプ、ペリスタルティックポンプなどとも呼ばれています。弾性があるチューブを複数のローラーでしごくことによって、液体を移送するポンプのことです。押しつぶされたチューブが復元する力によって、次の液体が吸入されます。チューブは交換できるので、液体に適した材質のチューブに変えることによって、さまざまな薬液に使えるのがメリットです。一方で連続的にチューブがしごかれるためチューブは消耗品となり、定期的に交換しなければなりません。
リングポンプは複数のローラーの代わりに大きなリングを用いることによってチューブへの負荷を減らし、チューブを高寿命化したポンプです。なお「Ring Pump」は株式会社アクアテックの登録商標になっています。
リングポンプの使用用途
リングポンプが搭載されている機器を、分野ごとに紹介します。
- 食品・飲料品関係
還元水生成器、つゆ・だし供給装置、カップコーヒー販売機 - 洗浄・清掃関係
床洗浄機、温水洗浄トイレ、ランドリー、洗車機 - 養殖・栽培関係
水耕栽培、海産物の養殖関係 - 医療・介護関連
人工透析器、介護浴槽、手指消毒機器 - 製造業
切削油・プレス油供給、高温槽 - 印刷業界
業務用大型印刷機 - 研究
細胞養殖関連、バイオテクノロジー関連、再生医療関連、Micro-TAS関連、宇宙ステーションでの実験装置
リングポンプの原理
リングポンプは、大きな円弧に沿うように配置した弾性のあるチューブを、円弧の内側に回転中心を持つ大きな一つの偏心ローラーでしごくことによって液体を移送します。偏心ローラーによってチューブは、円弧中で1箇所だけがしごかれるのがリングポンプの特徴です。
従来のチューブポンプは複数の小さなローラーでチューブをしごいているため、チューブがしごかれる回数が多いのと、ローラー径が小さいことから、チューブは局所的にしごかれていました。
リングポンプはチューブを1つの大きな偏心ローターでしごくのが最大の特徴です。チューブがしごかれる回数はポンプ1回転で1回のみ、また偏心ローターの直径が大きいため、チューブは緩やかにしごかれることになります。大きな偏心ローターを用いることによって、チューブの寿命を伸ばすことが可能となりました。
リングポンプの構造
リングポンプにはまず、リングポンプ全体を構成するベース (ハウジング) があります。ベースはその他構成部品が収まる大きな円形の窪みと、吸入、吐出となるチューブが通るための切り欠き形状が彫られたものです。
ベースに彫られた窪み形状に、チューブが沿うように配置されます。さらにチューブの内側に収められているのが、偏心ロータと実際にチューブをしごくリングです。
偏心ローターが回転すると、偏心によって中心軸から一番遠い部分に接しているリングが、チューブをベースの壁面との間を押し狭めることによってチューブをしごきます。チューブをしごくポイントがベースの壁面を回るように移動するとともに液体も移動することによって、チューブの吸入口から吐出口へと移動していきます。
リングポンプのその他情報
リングポンプの特徴
リングポンプは、チューブの寿命が長い以外にもいくつかの特徴があります。まず構造がシンプルであり、小型に仕上がるという点が挙げられます。少量の流体を移送するのにも適したポンプと言えます。
また、チューブは常に閉鎖されることから、逆止効果があります。常時閉鎖する構造は自吸効果もあり、呼び水が要りません。なお逆止効果について株式会社アクアテックは、完璧とは言えないため逆止弁の使用を推奨しています。
リングポンプは2連、3連など複数のポンプを繋いで用いることもできます。連結することによって、送り出される液量がポンプの回転とともに連続的に変動する脈動現象を低減させることが可能です。
参考文献
http://www.three-peace.com/product/detail/?lId=5&mId=10
https://www.surpassindustry.jp/