ろ過タンク

ろ過タンクとは

ろ過タンクとは、容器内に充填したろ材に原水を通し、不純物を物理的に除去する装置です。

一般的に、鋼製やFRP (繊維強化プラスチック) 製の密閉容器内部に、珪砂・アンスラサイト・活性炭・セラミックスなどの粒状ろ材を層状に充填して構成されます。原水がこれらのろ材層を通過する過程で、水中に含まれる懸濁物質・濁度成分・有機物などがろ材の表面や空隙に捕捉され、清澄な処理水が得られる仕組みです。

過タンクの最大の特徴は、物理的な閉塞により処理能力が低下した際、水流を逆向きに通す「逆洗」という工程を行うことで、ろ材に堆積した汚れを排出し、性能を回復できる点にあります。これにより、ろ材を頻繁に交換することなく、長期間にわたる安定した連続運転を実現します。

ろ過タンクの使用用途

ろ過タンクの主な使用用途を以下に示します。

1. 製造・プロセス分野

製品の洗浄や加工に必要な用水を確保するために利用されます。

特に、半導体や食品、医薬品製造における純水製造システムでは、逆浸透膜 (RO膜) 装置の前段に設置され、膜の目詰まり (ファウリング) を引き起こす微細な懸濁物質や有機物を除去します。この前処理により、精密な後段設備の負荷を軽減し、製造ラインの安定稼働と製品品質の維持に貢献します。

2. ユーティリティ・設備管理分野

冷却塔 (クーリングタワー) やボイラー設備の循環水管理に導入されます。

循環水の一部を連続的にろ過するサイドストリーム処理を行うことで、外部から混入する塵埃や系内で発生するスケール、スライムを取り除きます。これにより、熱交換器の伝熱効率低下や配管閉塞を未然に防ぎ、エネルギー効率の向上および設備の長寿命化を実現するための重要な保全策となります。

3. 水資源・環境分野

水源の質的改善や排水の再利用において活用されます。

地下水利用においては、溶存する鉄分やマンガンを特殊なろ材で酸化・除去し、工業用水基準に適合させます。また、工場排水の最終仕上げとして浮遊物を除去し、場内の散水や洗浄水として再利用することで、新水取水量の削減と環境負荷の低減を同時に達成します。