ドリル研磨機とは
ドリル研磨機とは、ドリル切削能力を維持するために、ドリル刃先面へ研磨加工を行う機械装置のことです。
そもそも、ドリルとは被加工物に対し各種大きさの丸穴を開ける工具を指します。ドリル研磨機では、ドリルを装着した加工機械の主軸を回転させることで、ドリルと被加工物の接触面を削り取り、切り子を排出しながら切削加工を行うことが可能です。
ただし、ドリルの使用時間と共にドリル切削面の摩耗が進行します。そのため、ドリル刃先面へ研磨加工を行い、再利用できる状態にする必要があります。
ドリル研磨機の使用用途
ドリル研磨機は切削加工で使用したドリルを再度利用するために、ドリル刃先面を再研磨する目的で使用されています。ドリルには、ソリッドドリル、付刃ドリル、刃先交換式ドリル、ヘッド交換式ドリルの4種類があります。
ヘッド交換式はさらに、ソリッド、ロウ付け、スローアウェイタイプの3種類に分類できます。ドリル研磨機で使用するのは、ソリッドドリルです。研磨機によって研磨加工可能なドリル径が異なります。
基本的には小径ドリルで活用される場面が多いですが、Φ25~40のドリルでも対応可能な研磨機が存在します。ドリル刃先は、被加工物の材質によって刃先角度を変更する必要があります。特に金属系素材を加工する場合は、一般的に先端刃先角度を118°へ研磨します。
ドリル研磨機の原理
ドリル研磨機へドリル径に適したコレットチャックを選択してドリルを固定します。チャックで固定されたドリルを研磨できる位置へ移動させ研磨機へ固定した後、手動または自動にて刃先研磨を実施します。一般的にドリル研磨に使う砥石は「CBN」砥粒です。
ドリル刃先研磨後、シンニング加工をします。シンニング加工とは、ドリル芯厚部先端へ形状付けを行うことです。シンニング加工を施すことで、ドリルを被加工物へ接触させた時に刃先と被加工物の喰いつき性が向上し、芯ブレを抑制することができるため、垂直な穴加工が可能となります。
ドリル研磨機の加工方法
ドリル研磨機は、切削能力の低下したドリル刃先を再研磨して、再利用するための機械です。シンニング付け方によって、代表的な4つの刃付け加工 (X形、XR形、S形、N形) が可能です。
1. X形
一般的なシンニング形状であり、一般的な素材 (軟鋼、プラスチックなど) に最適です。
2. XR形
X形に比べ喰いつき性が劣りますが、刃先強度が保てるためステンレス鋼など素材硬度と粘性を持つ素材に最適です。
3. S形
シンニングが簡易のため、木材等の加工に最適です。
4. N形
シンニング面が浅く刃先強度が他の形より強くなるため、深穴加工に最適です。
ドリル研磨機のその他情報
ドリル研磨機で加工するドリル
一般的には、ねじれがついたツイストドリルがドリルと呼ばれます。ドリルは切削を担う先端部、切り子を排出するねじれがついたリード部、チャックに取り付けるシャンク部で構成されています。ドリルは切削加工で使うたびに刃先切れ味が悪化するため、再研磨が必要になる場合がほとんどです。
ドリルは高速度鋼と超硬合金が材質に使用されることが多く、また刃先先端に耐摩耗特性があるコーティングを施される場合が多いです。
参考文献
https://www.semi-drycut.com/products/?id=1434675270-631146
https://www.ni-co.jp/ec/products/list.php?category_id=20
https://sakusakuec.com/shop/pg/1drill04/