マザーボード

マザーボードとは

マザーボード

マザーボードとは、パソコンに使用されるプリント基板のことで、システムボードやメインボードとも呼ばれ、パソコンに必要な中心的な基板です。自作でPCを組み立てる場合は、このマザーボードに各種必要な部品を取り付けて、作成するPCに機能を追加していきます。

マザーボードは、パソコンを構成するほぼすべてのパーツを接続します。CPUやメモリ、グラフィックボード、マウスやキーボードなどです。また、マザーボードにはチップセットとBIOSプログラムが組み込まれており、パソコンの基本的な機能をコントロールします。

マザーボードの使用用途

マザーボードはパソコンもしくは制御や分析表示が必要な機器のコントローラの主要な部品として使用されます。

マザーボードを使用することで次のようなものが揃うため、比較的短期間かつ安価な費用で、要件に合ったコントローラの開発やパソコンの組み立てが可能です。

  • 様々なグレードのCPUを搭載できるCPUソケット
  • 様々な容量のメモリを挿せるメモリソケット
  • USB2.0や3.0、RS232C、LANなど標準的な外部インターフェースの提供
  • 様々な機能を持つボードを追加できる拡張用スロット

マザーボードはソフトウェアの開発と必要最低限のハードウェア開発だけで製品開発できるメリットがあります。

マザーボードの原理

マザーボードはコンピュータの主要なパーツ間をインターフェースして、相互にデータのやり取りを行わせることができます。マザーボードがインターフェースしている代表的なパーツは以下の通りです。

  • CPUソケット
    CPUを取り付ける部分のソケットで、CPUとの適合性があります。
  • メモリソケット
    メモリを取り付ける部分のソケットで、メモリの規格に合わせて複数の種類があります。具体的には、ストレージ及び光学ドライブ接続用コネクタ (英: Serial ATA, SATAコネクタ等) や、拡張用スロット (PCIスロット,PCI Expressスロット等) があります。
  • 電源コネクタ
    マザーボードに電源を供給するためのコネクタです。
  • IOポート
    様々な入出力ケーブルを接続する箇所です。 (LANケーブルやUSBコネクタ、HDMIやD-Subコネクタなど)

また、マザーボードにはOSを立ち上げる前に、各パーツに対して初期化や基本的な制御を行うBIOSプログラムが搭載されています。マザーボードはインターフェースとBIOSプログラムにより各パーツの統合と管理を行っています。

マザーボードの種類

マザーボードには様々な用途に対応するために、以下の様な観点で多様な種類の製品が提供されています。スペックや予算に応じて適切なマザーボードを選択する必要があります。

  • 対応CPU
    主要なCPUメーカにはIntel社とAMD社がありメーカによりソケットに違いがあります。また、同一メーカであっても世代によって違う場合があります。
  • 対応メモリ
    現在、流通しているメモリの規格にはDDR3/DDR4/DDR5があり、それぞれに対応するマザーボードは違ってきます。
  • I/Oポート
    I/OポートにはUSB2.0やUSB3.0、RS232C、LANなどがありマザーボードによってI/Oポートの数や用意されている種類が異なります。
  • サイズ
    マザーボードのサイズにも様々な大きさが提供されています。

マザーボードのその他情報

マザーボードの大きさの種類

マザーボードは規格化された複数の大きさが存在します。代表的な大きさには以下の規格があります。

  • ATX
    244×305mmの大きさで、デスクトップ用のパソコンで広く使われています。
  • Micro-ATX
    244×244mmの大きさで、省スペース用のパソコンで使われています。

下記の3種類の大きさは組込機器などの小型機器に採用されています。

  1. Mini-ITX: 170×170mm
  2. Nano-ITX: 120×120mm
  3. Pico-ITX: 100×70mm

また、大きさのことはフォームファクター (英: form factor) と呼びます。メーカーのカタログや仕様書で大きさを確認する場合はフォームファクターも確認することが大切です。

参考文献
https://pcjisaker.com/motherboard/
https://btopcs.jp/basic/before/parts/motherboard/

マルチプレクサ

マルチプレクサとは

マルチプレクサ

マルチプレクサとは、複数の入力信号を単一の出力信号に選択的にルーティングするスイッチングデバイスです。

デジタル回路のマルチプレクサでは、デジタル信号 (ビット) が選択的に通過して、データを1つのチャネルに集約します。一方、アナログ回路のマルチプレクサでは、アナログ信号 (電圧や電流) を選択的に通過させることで、多様な信号源からの情報を1つのチャネルに統合します。

このように、マルチプレクサは回路設計の効率化と高度化に対する強力なツールとなり得ます。

マルチプレクサの使用用途

マルチプレクサは、デジタルおよびアナログ回路設計の多くのアプリケーションで広く使用されます。特にデジタルICのマルチプレクサは、データの選択と切り替えを行うデジタル回路の要として、さまざまなシステムで活用されています。

1. データ選択回路

マルチプレクサは複数のデータ入力から1つを選択して出力します。このため、CPUとメモリなどの間で転送するデータを選択するデータセレクタとして用いられます。アドレス指定により必要なデータを選び出せるので、データ転送回路で重要な機能を担っています。

2. アナログ/デジタル変換回路

アナログ入力をデジタルデータに変換するADコンバータでは、マルチプレクサがアナログ入力の選択に用いられます。1つのADコンバータで複数チャネルの変換を実現できるため、回路規模の縮小化が図れます。

3. 通信機器

有線や無線通信機器では、複数のチャネルのデータを1本の伝送路にまとめるためにマルチプレクサが使われます。マルチプレクサによりデータを時分割多重化し、伝送効率の向上が実現します。

4. 計測・制御システム

センサなどからの複数チャネルのデータを集約するのにマルチプレクサが活用されます。マルチプレクサを用いることで、計測系統を簡略化できます。

マルチプレクサの原理

マルチプレクサは、デジタルとアナログの両方で用いられますが、基本的な仕組みは共通しています。

1. デジタルマルチプレクサ

デジタルマルチプレクサは、複数のデジタル入力を1つのデジタル出力に選択的に接続するデバイスです。これは、デジタルスイッチのような役割を果たします。複数の入力ラインがあり、それぞれに対応する制御信号が存在します。

制御信号により、任意の入力ラインが出力ラインに接続されます。入力ラインの選択は、バイナリ値 (0または1) の制御信号により行われます。例えば、2入力マルチプレクサでは、1ビットの制御信号でどちらの入力が出力に接続されるかを選択可能です。制御信号が0の場合は1つ目の入力が選択され、制御信号が1の場合は2つ目の入力が選択されます。

2. アナログマルチプレクサ

アナログマルチプレクサは、複数のアナログ入力から1つを選択してアナログ出力します。内部の主要な構成要素は、アナログスイッチとアドレスデコーダです。

アドレスデコーダは、選択する入力チャネルを指定するデジタルアドレスを入力とします。アドレスデコーダはこのアドレス信号に基づき、対応するアナログスイッチの制御信号を生成します。アナログスイッチはこの制御信号により、指定されたアナログ入力をアナログのまま出力します。

このように、アナログマルチプレクサもデジタルのアドレス指定で任意のアナログ入力を選択可能です。アナログ信号の切り替えが高速に行えるため、通信機器などで活用されています。

マルチプレクサの選び方

マルチプレクサを選ぶ際には、以下の点に注意が必要です。

1. 使用用途

マルチプレクサにはアナログ、デジタル、高周波など用途に合わせた種類があります。用途と必要な特性に合ったタイプを選択が重要です。

2. 入力と出力の数

マルチプレクサの入力と出力の数は、システムの規模に合わせて選択します。入力数が多いほど規模の大きなシステム構成が可能になります。

3. 速度性能

マルチプレクサの切り替え速度は、用途によって重要な性能です。高速な切り替えが必要な用途の場合は、速度特性を確認します。

4. 動作周波数範囲

アナログ型のマルチプレクサでは、動作可能な周波数範囲が性能を左右します。使用する周波数帯域に対応しているか確認が必要です。

5. 消費電力

マルチプレクサの消費電力も、仕様を確認すべき点の1つです。低消費電力デバイスを選ぶことで、システムの省電力化に寄与できます。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/5479/

メモリ

メモリとは

メモリの図解

図1. メモリの概要図

メモリとは、様々なデータやプログラムを記録するために使用する、半導体で構成される記憶装置のことです。

今日のコンピュータのほとんどは、ノイマン型と呼ばれる構成でできています。ノイマン型とは、米国の数学者ジョン・フォン・ノイマンによって提唱されたとされています。ノイマンが提唱した方式はプログラム内蔵式コンピュータと呼ばれ、プログラムをコンピュータ上の記憶装置 (メモリ) に入れて、命令を1つずつ実行する方式です。

メモリはデータやプログラムを記憶しCPUとやり取りを行う装置であり、コンピュータの構成として重要な機能を担っており、現在の電子機器のあらゆるものにメモリが搭載されています。

メモリの使用用途

PCの構成要素

図2. コンピュータの構成要素

コンピュータは、主にCPU (中央演算装置) とメモリ (記憶装置) とHDD (ハードディスクドライブ) で構成されます。プログラムの命令やデータのやり取りをCPUとメモリでやり取りしながら処理を行います。そのため、CPUを搭載している電子機器のほぼ全てにメモリが搭載されています。

コンピュータの機能は以下の5つです。

  1. 入力機能
    マウスやキーボードなどから入力を行います。
  2. 出力機能
    プログラムによる処理結果をモニタ等に出力します。
  3. 記憶機能
    プログラムやデータなどの記憶を行います。
  4. 演算機能
    四則演算や比較処理を行います。
  5. 制御機能
    プログラムに従い、入力装置、出力装置、記憶装置、演算装置などのコントロールを行います。

メモリの記憶容量は、作業机の広さに例えられます。メモリの容量が大きければ大きいほど (作業机が広ければ広いほど) 、複数の作業を並行して行うことが可能です。

メモリの容量が小さいと記憶できないデータは一旦HDDに書き込まれますが、HDDからのデータの読み出し/書き換えはメモリに比べて時間がかかるため、全体の処理速度が低下してしまいます。

メモリの原理

メモリは、半導体で構成される記憶装置のことで、機能や形態によってRAMとROMに分類されます。一般的にはメモリとはRAMのことを指します。

1. RAM

DRAMとSRAMの比較

図3. DRAMとSRAMの比較

RAMはRandom Acess Memoryの略で、メインメモリとして使われます。CPUから頻繁にアクセスされ、プログラムやデータの一時保管を行うメモリです。CPUの作業用の領域といえます。RAMは揮発性メモリーと呼ばれ、装置の電源が切れるとそのたび消去されてデータは失われます。RAMにはDRAMやSRAMに大別されます。

DRAMはDynamic RAMの略称です。SRAMと比較して大容量ですが、動作はやや遅く、リフレッシュ/プリチャージといった電荷の再充電が必要というデメリットがあります。SRAMよりも安価で大容量なので、一般的なPCのメモリにはDRAMが使用されます。

SRAMはStatic RAMの略称です。Static (静的) とあるように、電荷の移動がないことが特徴です。DRAMと比べて高速で使いやすいですが、容量は小さくなります。高速に動作する特徴を生かし、CPUのキャッシュメモリにはSRAMが使用されます。

2. ROM

ROMはRead Only Memoryの略語です。名前の通り、読み出し専用のメモリです。ROMは不揮発性メモリで、電源を切ってもデータが消えません。そのためBIOSやHDDやルーターなど、内蔵ファームウェアを記録するためによく使用されます。書き込みができるかどうかで、以下の種類に分類されます。

  • マスクROM
    製造時にデータが書き込まれ、後からの書き換えはできないもの。
  • EEPROM
    内容の書き換えが可能なROMのこと。最近では、スマートフォンの内蔵メモリをROMと表記することがありますが、そのROMはこのEEPROMを指します。先だって開発されていたEEPROMを改良したものが、USB型などが普及しているフラッシュメモリです。

参考文献
https://ms-laboratory.jp/zai/etc/com/3/cm3.htm
https://www.pc-master.jp/words/ram-rom.html

メモリカード

メモリカードとは

メモリカード

メモリーカードとは、薄いカード形状の補助記憶装置のことです。

メモリカードは小型で、データの書き換えが可能かつ消費電力が少ないため、モバイル情報機器等の記録メディアとして広く採用されています。

メモリカードの使用用途

メモリカードは、記録メディアとして様々な電子機器で使用されています。例えばデジタルカメラやビデオカメラにおける画像情報の記録と保管、スマートフォンでのデータ保存、オーディオプレーヤーでは音楽データの記録など、様々な電子機器の記録媒体です。

また、消費電力が少なく小型/軽量という特徴から、PCやタブレット端末のデータ保存用デバイスとしても利用され、多くのPCにおいてメモリカードリーダーが搭載されています。

メモリカードの原理

メモリカードには様々な規格がありますが、基本的にはNAND型フラッシュメモリとコントローラー回路から構成されて、一つのパッケージに収められています。NAND型フラッシュメモリは、電源が印可されていない場合でもデータを保持する不揮発性メモリの一種で、次の特徴があります。

  • データの書き込み速度が速い
  • 容量あたりの単価が安い
  • 回路構造から記憶素子の (メモリセル) を多く配置することが可能で、高集積化して容量を増やしやすい

このため、大容量のデータストレージに適しています。ただし、ブロック単位でのアクセスが基本的な動作なので、ランダムアクセスを実行する場合は低速になることが避けられません。

また、コントローラ回路はフラッシュメモリへのデータの読み出し/書き込みを制御するものです。一方、フラッシュメモリは書き換え回数に上限があり、NAND型フラッシュメモリの場合、せいぜい10万回程度と言われています。また、記録されたデータの保持期間も通常であれば10年程度です。

そのため、メモリカードはこの制約から逃れられません。定期的に新しいメモリカードに交換する事や記録したデータは長期保存に適した別の記録装置に保存することが望ましいでしょう。

メモリカードの種類

これまで様々な種類のメモリーカードが提案されてきましたが、現在はCFカードやSD、microSDカードに集約されつつあります。

1. CFカード

コンパクトフラッシュとは、SanDiskが開発したメモリーカードの規格です。一般的にはCFカードと呼ばれます。CFカードはPCカードと互換性を持たせた電気的仕様となっているので、嘗てはアダプタを装着してPCカードスロットから使用することもありました。

入出力インターフェースの規格がATAであることから、PCからはハードディスクと同様の記憶装置と見なすことができます。

2. CFexpressカード

CFexpressはCFカードの後継と言えるメディアで、その仕様はCFの策定団体であるCFA (CompactFlash Association) で策定されました。その最大の特長は、PCのSSDなどで採用される通信プロトコルNVMeに対応したことです。

なお、CFexpressは次の3種類が規定されています

  • Type B
    最初に実用化されたもので転送速度は最大16Gbpsでした。寸法は長さ38.5mm、幅29.6mm、厚さ3.8mmです。最新の高性能一眼レフカメラやミラーレスカメラに採用されています。
  • Type A
    長さ28mm、幅20mm、厚さ2.8mmとコンパクトなサイズで、PCIe Gen.3×1、NVMe 1.3の採用で転送速度は8Gbpsと規定されています。
  • Type C
    長さ74.5mm、幅54.4mm、厚さ6.2mmと大型ですが、PCIe Gen.3×4、NVMe 1.3によって32Gbpsと極めて高速なデータ転送速度となっています。

3. SDメモリーカード

SanDisk社、松下電器産業、東芝の3社が共同開発したメモリカードの規格で、サイズは長さ24mm、幅32mm、厚さ2.1mmながら、1TBの大容量を実現しています。また著作権保護機能CPRM (Content Protection for Recordable Media) を内蔵している事も特徴の一つです。

SDメモリカードはデーター転送速度でクラス分けされていますが、最速のものでもCFカード並みの2Gbps程度で、CFexpressカードには及びません。しかし小型で使い易い上に安価なことから、一般的なデータ保存には幅広く利用されています。

4. microSDカード

SDカードをさらにコンパクトにした記録メディアがmicroSDカードです。そのサイズは長さ15mm、幅11mm、重さ約0.4gと極小です。携帯電話やスマートフォンをはじめ、タブレット、デジタルオーディオプレーヤーなどで使われています。

5. SmartMedia

東芝によって提唱された切手サイズ (横37mm、長さ45mm、厚さ0.76mm、重さ1.8g) のメモリカードの規格です。デジタルカメラ、PDA、デジタルオーディオ、ゲーム機などに広く利用されていました。

6. miniSD

SDメモリーカードのサイズを縮小したもので、主に携帯電話のメモリカードとして採用されていましたが、更に小型のmicroSDカードが出現し、そちらに置き換わりました。

7. マルチメディアカード

Siemens社とSanDisk社が共同開発したメモリカードです。主にデジタルカメラや携帯電話などに利用されていましたが、後発のSDカードに置き換わりました。SDカードはマルチメディアカードを改良したものと云われています。

8. xDピクチャーカード

オリンパス光学工業と富士写真フイルムが共同開発したメモリカードの規格で、主な用途としてデジタルカメラの記憶媒体をターゲットとしたものです。一時期両社のデジタルカメラに採用されていましたが、追従するメーカーはなく、両社とも現行製品ではSDカードやminiSDカードに変更しています。

9. メモリースティック

ソニーが提唱した著作権保護機能が搭載されたメモリカードで、かなり長い間ソニー製のPCやデジタルカメラ、デジタルオーディオ機器などの記録メディアとして採用されていました。2011年以降、新たな動きはありません。

10. メモリースティック Duo

メモリースティックを小型化した規格で、携帯電話の記録メディアとして開発されたものです。携帯電話、デジカメ、DVビデオカメラ、PSPなどに採用されていました。

 

この他にも様々なメモリーカードが利用されてきましたが、新たな機器に採用されることは最早ないでしょう。その中でも代表的なメモリーカードを上記で紹介しましたが、既に販売を終了したものもあります。

参考文献
https://www.paltek.co.jp/techblog/techinfo/210215-01
https://xtech.nikkei.com/it/pc/article/knowhow/20090223/1012529/
http://web.tku.ac.jp/~densan/local/memorycard/memorycard.html
http://cashari.net/basic/m_card_2.htm

モータードライバIC

モータードライバICとは

モータードライバIC

モータードライバIC(英語: Motor driver integrated circuit)とは、モーターを駆動するために必要な電圧や電流を出力し、制御を行う電子部品です。ACモーター/DCモーターブラシレスモーター/ブラシ付きモーター、ステッピングモーターなど、モーターにもさまざまな種類があり、それぞれ駆動する電圧、電流、信号などが異なるため、それぞれに合わせたモータードライバICを選択する必要があります。

モータードライバICの使用用途

モーターは、家電製品、携帯機器、OA製品、産業機器、自動車など家庭用から産業用まで、さまざまな機器に使われています。世界の消費電力全体の約50%はモーターによるとも言われています。モーターの用途に応じて、高精度、低騒音、低振動、高速回転、高効率、低消費電力、高信頼性など、要求される性能もさまざまです。これらの性能は、モーターの種類や駆動方法や制御方法によって大きく影響するため、適切なモータードライバICを選ぶことが重要です。

モータードライバICの原理

モーターに流す電流の大きさ、印加する電圧、タイミングや向きなどを調整することで、モーターの回転速度、トルク、開始/停止、正転/逆転などを制御することできます。そのために、モーターと電源の間にパワートランジスタなどのスイッチング素子を接続して駆動回路を構成します。例えば、4つのスイッチング素子を用いて構成されるHブリッジと呼ばれる駆動回路があり、それぞれのスイッチング素子のオン/オフをモータードライバICを使って制御します。

実際は、モーターの種類によって回路構成や制御方法が異なります。例えば、ブラシ付きDCモーターは、フルブリッジ回路を構成してPWM制御します。また、ブラシレスDCモーターは、ハーフブリッジ回路を構成してPWM制御します。また、ステッピングモーターは、パルスを1回入力するごとに決まった角度だけ回転します。よって、これらの回路構成や制御方法など、モーターの種類に合ったモータードライバICを使う必要があります。

参考文献
https://techweb.rohm.co.jp/motor/knowledge/basics/basics-01/21
https://www.marubun.co.jp/service/technicalsquare/a7ijkd000000bom5.html
https://voltechno.com/blog/motordriver/

リアルタイムクロック

リアルタイムクロックとは

リアルタイムクロック

リアルタイムクロックとは、時計の機能を搭載するICデバイスです。

RTC (英: Real Time Clock) とも呼ばれ、モデルによってプログラマブルな時刻アラームや、うるう年の自動補正機能などを持つものもあります。

本体機器の電源を切っても時刻を刻み続ける必要があるため、本体とは独立した電源を持っています。時計機能を必要とする電子機器でも、相対的な時間だけが必要な場合はリアルタイムクロックがなくても動作可能です。

リアルタイムクロックの使用用途

リアルタイムクロックは現在時刻を必要とする機器に使用されます。組込みシステム上の電源とは別の電源やバックアップなどにつなげることで、システムの電源が切れても時刻を刻み続けることができます。例えばパソコンやゲーム機、パチンコ、電話やFAX、炊飯器などに使用されます。

パソコンはOS起動時に現在の時刻を知るためにリアルタイムクロックより読み込みます。ゲーム機やパチンコでは、現実の時間や時期に合わせたイベントを発生させたり、演出を作動させたりするための機能に用いられます。電話やFAXなどは、カレンダーや時刻の表示などに用いられます。炊飯器はタイマー機能で使われています。

リアルタイムクロックの原理

リアルタイムクロックは、一般的に水晶振動子と発振回路から構成されます。

水晶振動子は圧電素子で、規則正しく振動する圧電効果をもつ特徴があります。水晶振動子から振動を電気に変えて取り出すと、規則正しく振動する電気信号を得ることができ、単一周波数を持つ交流信号を得ることができます。

発振回路とは、直流電源から所望の周波数の交流信号を作る部品や装置のことです。発振回路によって周期性をもつ信号を持続的に発生させることができます。

この水晶振動子と発振回路でリアルタイムクロックを構成し、正確な時刻を刻みます。水晶振動子を使用する理由は、水晶振動子は高いQ (英: Quality Factor) を有しており、急峻な通過特性を示すため、選択的に精度よく周波数を取り出すことができるためです。これにより、正確な時刻を刻むことが可能になります。

また、リアルタイムクロックはOSなどが持つタイマー機能に比べて低消費電力で独立した電源を持ちます。あまり電力が必要ないため、本体の電源切っても長期間動作可能です。

リアルタイムクロックの選び方

リアルタイムクロックを選定するポイントは、時刻精度、長時間駆動、サイズの3つです。

1. 時刻精度

時刻によって料金体系が変わるケースで使用量を測定する機器では高精度のリアルタイムクロックが必要となります。水晶振動子は温度によって周波数が変動するため、温度補償回路を備えたモデルが必要です。

2. 長時間駆動

長期間駆動させる必要がある場合は低消費電力のモデル、本体電源がオンの場合は自動で電源を切り替えて本体から供給されるモデルなどを検討します。

3. サイズ

組み込む機器によりサイズに制限がある場合は部品点数を削減されたものやワンパッケージになったリアルタイムクロックを選択します。

リアルタイムクロックのその他情報

1. リアルタイムクロックの特徴

リアルタイムクロックにはうるう年や大の月、小の月などカレンダーに必要な機能がついているため、組込機器で日付に関わるプログラムを簡単にすることができます。また、必要時以外はリアルタイムクロックのみ動作させて、本体の電源をオフにすると消費電力を削減できます。

2. リアルタイムクロックの機能

基本的な時刻・カレンダー情報を提供する以外に以下の様な機能を持つモデルもあります。

  • アラーム
    設定した時間になると信号が出力されます。
  • バックアップ電源切替
    本体の電源がオンの時に内蔵電池から本体電源に切り替える機能です。
  • タイムスタンプ
    あるイベントを検知した時の時刻データを記憶します。
  • リセット
    本体の電源を監視し閾値を検出するとCPUにリセット信号を出力します。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/5128/
https://www.kumikomi.jp/rtc/

リーマ

リーマとは

リーマとはドリルなどで開けられた穴を仕上げ加工するために使用する工具です。リーマを使用することで、穴の直径の精度、穴の内面の面粗度、穴の真円度などの仕上げを行います。形状は円柱もしくは円錐型をしており、周囲には刃が数本(6本~8本程度)たてられています。リーマには機械に装着して使用するマシンリーマ、手加工で使用するハンドリーマ、刃が螺旋状にたてられているブローチリーマ、円錐状の形状をしているテーパーリーマなどがあります。

リーマの使用用途

リーマの形状はエンドミルやドリルと似ていますが、通常は穴の仕上げのみに使用する事ができます。エンドミルのように横方向の加工をする事はできませんし、ドリルのように穴をあけることもできません(一部穴あけ機能を持つリーマは有ります)。

機械加工の穴の仕上げ用途のほか、金型で成型された部品(射出成型、ダイキャストなど)の穴を仕上げる用途でも使用します。板金部品に対してもレーザー加工後の仕上げやタレットパンチ穴の仕上げに使用する場合も有ります。

リーマの特徴

穴の仕上げにはいくつかの方法が有りますが、リーマは工具が比較的安価で加工精度もよく、面粗度も良好で簡単に作業ができるという特徴があります。リーマ作業は手作業で行う場合と機械で行う場合が有りますが、いずれの作業でも下穴にそって仕上げを行う為、下穴を適切に開けておくことが重要です。リーマでの削り代は小径の場合は0.1mm程度~大径(Φ50)では0.5mm-1mm程度とする事が多いようです。リーマの種類別の特徴については以下の通りです。

  • マシンリーマ
    機械に装着して使用するリーマで、シャンク(機械にチャッキングする部分)の形状がテーパになっています。刃はストレート刃とネジリ刃の2つのタイプがあります。
  • ハンドリーマ
    手加工で使用するリーマで、シャンクの先は四角形になっており、タップハンドルなどに装着して使用します。
  • ブローチリーマ
    刃が螺旋状にたてられているリーマで、加工時に切り粉が刃の間にたまりにくいため抵抗が少なく、ビビリが起こりにくいのが特徴です。
  • テーパーリーマ
    テーパ穴を仕上げるためのリーマです。テーパピン用の穴やモールステーパの穴を仕上げる時などに使用します。

参考文献
https://toolremake.com/difference-between-endmills-and-reamers/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kakougenba_0703/
http://www.fptools.com/reamer.html

リレーターミナル

リレーターミナルとは

リレーターミナル

リレーターミナルとは、リレーが取り付けてある端子台のことを指します。

近年、産業機器の制御演算部分にはロジックコントローラや産業用PC等の電子精密機器が使用されます。また、それらの精密機器は小型化が進んでおり、ハードワイヤーの出力容量が小さくなる傾向にあります。従って、電磁弁や電動バルブ等の出力容量が大きい計装機器を使用する際はリレーによって絶縁し、出力容量を大きくとる必要があります。リレーターミナルを使用すれば、省スペースで簡単に電子精密部品と出力容量が大きい計装機器を絶縁することが可能です。

リレーターミナルの使用用途

リレーターミナルは、産業用機器制御用として使用されます。特に、大型機器の制御用として使用されることが多々あります。具体例を挙げるとすれば、油圧プレスや油圧搬送機器、固液分離用フィルター等です。

小型の産業用装置の場合、ロジックコントローラや産業用PCを使用せず、ほとんどの場合はリレー等を用いたハード回路で制御します。電子精密機器が高価な為です。小型機器ではリレーターミナルをあまり使用しないのは、リレーターミナルを使用する最大の利点はロジックコントローラ等との接続を容易とするためだからです。

リレーターミナルの原理

リレーターミナルは、主にリレー部分とケーブル部分、端子台部分の3つのパーツに分かれます。

リレー部分は、精密機器等による出力と交流出力などを絶縁するパーツです。リレーとは、電磁石によって電気回路に使用される接点を開閉する装置です。出力容量はリレーの大きさに応じて大きくすることが出来ますが、実際に接点を駆動させるため、接点荒れ等の故障が発生します。現在、ロジックコントローラはトランジスタ出力が主流となっています。接点を持たず、開閉回数による寿命が理論上存在しないためです。ただし、直流回路でしか使用できず、DC24V等の低電圧で使用される場合がほとんどです。従って、リレーにはDC24V等の低電圧コイルが使用されます。リレーは1個から取り外し可能で、故障した場合に容易に取替が可能です。

ケーブル部分は、ほとんどの場合ロジックコントローラとの接続を容易とするため、コネクタ式になっています。10本以上の多芯で、芯線直径0.5mm2以下の細線が使用されます。

端子台部分は、プラスねじ等が使用されます。ねじ込み端子が使用される場合もあります。リレーの接点容量も5A以下と小さいことがほとんどの為、3.5M以下のねじや直径1.25mm2以下の配線用ねじ込み端子などの小型端子が使用されます。

 

ロータリーコードスイッチ

ロータリーコードスイッチとは

ロータリーコードスイッチとは、レバーやボタンを操作することによって切り替え操作を行える電気スイッチです。

本体に操作軸と多数の端子がついており、接点を切り替えられる構造です。メーカーによって、ロータリーディップスイッチ、DIPコードスイッチなど様々な名称で呼ばれます。

操作部の形状は様々で、フラットなものやシャフト状になっているものなどがあります。小型のもので、切り替え操作時にドライバーが必要なものなどもあります。

ロータリーコードスイッチの使用用途

ロータリコードスイッチは主にオーディオ機器の音量調整に使用され、人が操作する入力部では設定変更ができる切り替えスイッチとなります。

電子レンジや、扇風機のつまみなど電子機器類の電気的数値の設定で使用されています。また、パイロットによる航空機の操縦の際のスイッチの設定、医療機器類のスイッチの設定部、建設や農機具などのスイッチの設定部、AC/DC駆動の段階的制御の設定など様々な個所に用いられています。

ロータリーコードスイッチの原理

ロータリコードスイッチは、回転する操作部の操作軸に対して、底面にステップ機構やCOM接点、コンタクトなどがあり、周囲に端子 (接点) がいくつもついています。

スイッチの操作部が回転することにより、ステップ機構が決められた角度でコンタクトを移動させ、各接点とCOM接点が導通する機構になっています。

ロータリコードスイッチの切り替え時に接点が移動する間の電気的接続状態によって、ショーティングタイプとノンショーティングタイプの2つに分類されます。

ショーティングタイプは、2つの接点間を移動する際に2点をショートさせる形で次の切り替え点に移る方式です。ノンショーティングタイプは、ショーティングタイプと異なり、2つの接点間を移動する際に一度オープン状態になり次の切り替え点に移る方式です。

回路を設計する場合、2点間がショート状態になるものとオープン状態になるものでは設計が変わる可能性があるため、部品選定時に注意が必要です。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/c/switches/industrial-switches/rotary-switches/
https://ameblo.jp/tkd-blog/entry-11457574927.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E1900000000/E1901000000/E1901060000/

ロータリスイッチ

ロータリスイッチとは

ロータリスイッチは、回転することで切り替え操作を行える電気スイッチです。アナログ回路用やディジタル回路用のロータリスイッチがあり、身近なものとしてオーディオコンポの音量ボリューム調整箇所や電子レンジのつまみなどに使われています。

ロータリースイッチの操作部の形状は様々で、フラットなものやシャフト状になっているものなどがあります。小型のもので、切り替え操作時にドライバーが必要なものなどもあります。

ロータリスイッチの使用用途

ロータリスイッチの用途として、多くの場合オーディオ機器の音量ボリューム調整などに使用されていますが、そのほかにも様々な用途で使用されています。

電子レンジや、扇風機のつまみなど電子機器類の電気的数値の設定、パイロットによる航空機の操縦の際のスイッチの設定、医療機器類のスイッチの設定部、建設や農機具などのスイッチの設定部、AC/DC駆動の段階的制御の設定など様々な個所に使われます。

人が操作する入力部に設定変更ができる切り替えスイッチとして様々な個所で使用されます。

ロータリスイッチの原理

ロータリスイッチは回転する操作部の操作軸に対して、底面にステップ機構やCOM接点、コンタクトなどがあり、周囲に端子(接点)がいくつもついています。

ロータリスイッチの操作部が回転することにより、ステップ機構が決められた角度でコンタクトを移動させ、各接点とCOM接点が導通する機構になっています。

ロータリスイッチの切り替え時に接点が移動する間の電気的接続状態によって、ショーティングタイプとノンショーティングタイプの2つに分類されます。ショーティングタイプは、2つの接点間を移動する際に2点をショートさせる形で次の切り替え点に移る方式です。ノンショーティングタイプは、ショーティングタイプと異なり、2つの接点間を移動する際に一度オープン状態になり次の切り替え点に移る方式です。

回路を設計する場合、2点間がショート状態になるものとオープン状態になるもので、設計が変わる可能性がありますので、部品選定時に注意が必要です。

参考文献
https://www.nkkswitches.co.jp/support/klg/knowledge.html
https://jp.rs-online.com/web/c/switches/industrial-switches/rotary-switches/
https://ameblo.jp/tkd-blog/entry-11457574927.html