チタン箔とは
チタン箔とは、チタンを薄く延ばした高機能な金属材料です。
チタンは地球の地殻に豊富に存在する元素であり、その優れた特性から様々な産業で使用します。チタン箔とはこのチタンやチタン合金を圧延などの技術を用いて加工し、厚さを数百μmから数十μmという薄いシート状にした製品です。
最大の特長の一つは、高強度と軽量性の両立です。チタンは同密度の鉄の60%程度の重さですが、強度は一般の合金鋼に匹敵します。強度対重量比が高いため、航空機やスポーツ用品など、軽量化と耐久性の両方が求められる分野で特に重宝されます。また、耐食性にも優れており、海水などの環境下でもほとんど腐食しません。人体に対しても無毒であり、生体適合性にも優れています。チタン箔はこれらの特性を、薄く柔軟な形態で実現した材料です。
チタン箔の使用用途
チタン箔は以下のような用途で使用します。
1. 航空宇宙・輸送機器
チタン箔は高い強度対重量比と耐熱性を活かし、航空機などのエンジン部品や機体構造材に利用されます。航空機にとって重量の削減は燃費の向上や航続距離の延長に直結します。チタン箔の軽量かつ強靭な特性は、機体の軽量化に大きく貢献します。また、エンジンの高温に晒される部分のカバー材などにも使用できます。
2. エネルギー・電子機器
チタン箔は優れた耐食性と電気化学的な安定性から、次世代エネルギー関連機器の重要な構成要素として使用されます。例えば、水素燃料電池のセパレーターや電解槽の電極材料として利用されることがあります。また、リチウムイオン電池などの高性能な二次電池において、高効率や長寿命が要求される場合にも電極材料として使用実績があります。
3. 医療・音響機器
チタン箔は生体適合性を有します。したがって、歯科治療におけるインプラントなど、人体に埋め込む用途で使われるチタン加工物の製造プロセスに利用されます。また、極めて薄く加工できるため、高性能なスピーカーやヘッドホンの振動板などにも採用されています。