リアルタイムクロックとは
リアルタイムクロックとは、時計の機能を搭載するICデバイスです。
RTC (英: Real Time Clock) とも呼ばれ、モデルによってプログラマブルな時刻アラームや、うるう年の自動補正機能などを持つものもあります。
本体機器の電源を切っても時刻を刻み続ける必要があるため、本体とは独立した電源を持っています。時計機能を必要とする電子機器でも、相対的な時間だけが必要な場合はリアルタイムクロックがなくても動作可能です。
リアルタイムクロックの使用用途
リアルタイムクロックは現在時刻を必要とする機器に使用されます。組込みシステム上の電源とは別の電源やバックアップなどにつなげることで、システムの電源が切れても時刻を刻み続けることができます。例えばパソコンやゲーム機、パチンコ、電話やFAX、炊飯器などに使用されます。
パソコンはOS起動時に現在の時刻を知るためにリアルタイムクロックより読み込みます。ゲーム機やパチンコでは、現実の時間や時期に合わせたイベントを発生させたり、演出を作動させたりするための機能に用いられます。電話やFAXなどは、カレンダーや時刻の表示などに用いられます。炊飯器はタイマー機能で使われています。
リアルタイムクロックの原理
リアルタイムクロックは、一般的に水晶振動子と発振回路から構成されます。
水晶振動子は圧電素子で、規則正しく振動する圧電効果をもつ特徴があります。水晶振動子から振動を電気に変えて取り出すと、規則正しく振動する電気信号を得ることができ、単一周波数を持つ交流信号を得ることができます。
発振回路とは、直流電源から所望の周波数の交流信号を作る部品や装置のことです。発振回路によって周期性をもつ信号を持続的に発生させることができます。
この水晶振動子と発振回路でリアルタイムクロックを構成し、正確な時刻を刻みます。水晶振動子を使用する理由は、水晶振動子は高いQ (英: Quality Factor) を有しており、急峻な通過特性を示すため、選択的に精度よく周波数を取り出すことができるためです。これにより、正確な時刻を刻むことが可能になります。
また、リアルタイムクロックはOSなどが持つタイマー機能に比べて低消費電力で独立した電源を持ちます。あまり電力が必要ないため、本体の電源切っても長期間動作可能です。
リアルタイムクロックの選び方
リアルタイムクロックを選定するポイントは、時刻精度、長時間駆動、サイズの3つです。
1. 時刻精度
時刻によって料金体系が変わるケースで使用量を測定する機器では高精度のリアルタイムクロックが必要となります。水晶振動子は温度によって周波数が変動するため、温度補償回路を備えたモデルが必要です。
2. 長時間駆動
長期間駆動させる必要がある場合は低消費電力のモデル、本体電源がオンの場合は自動で電源を切り替えて本体から供給されるモデルなどを検討します。
3. サイズ
組み込む機器によりサイズに制限がある場合は部品点数を削減されたものやワンパッケージになったリアルタイムクロックを選択します。
リアルタイムクロックのその他情報
1. リアルタイムクロックの特徴
リアルタイムクロックにはうるう年や大の月、小の月などカレンダーに必要な機能がついているため、組込機器で日付に関わるプログラムを簡単にすることができます。また、必要時以外はリアルタイムクロックのみ動作させて、本体の電源をオフにすると消費電力を削減できます。
2. リアルタイムクロックの機能
基本的な時刻・カレンダー情報を提供する以外に以下の様な機能を持つモデルもあります。
- アラーム
設定した時間になると信号が出力されます。 - バックアップ電源切替
本体の電源がオンの時に内蔵電池から本体電源に切り替える機能です。 - タイムスタンプ
あるイベントを検知した時の時刻データを記憶します。 - リセット
本体の電源を監視し閾値を検出するとCPUにリセット信号を出力します。
参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/5128/
https://www.kumikomi.jp/rtc/